魔人探偵脳噛ネウロ バトルだヨ! 犯人集合!
【まじんたんていのうがみねうろ ばとるだよ はんにんしゅうごう】
ジャンル
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魔界バトルアドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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コンパイルハート
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開発元
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カムイ
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発売日
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2008年8月28日
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定価
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通常版:6,800円 限定版:8,800円(各税別)
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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×バトル○ミニゲーム シナリオ端折り過ぎ 原作コミックスorアニメDVD買った方がマシ
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少年ジャンプシリーズリンク
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概要
週刊少年ジャンプで連載されていた「推理物の皮を被った単純娯楽漫画」『魔人探偵脳噛ネウロ』のゲーム化作品の一つ。
登場人物やストーリーはアニメ版に準拠しており、原作の要素はほぼ存在しない。
アドベンチャーということで、選択肢を挟みながらネウロと共に様々な「謎」を追っていく……わけではなくて、本作はADV要素が壊滅的である。代わりに犯行が露見し原作名物の「豹変」した犯人との「ぶっちゃけバトル」というミニゲームに挑むことになる。
問題点
ゲーム性の問題点
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途中選択肢は若干数あるが、その後の展開に関わるような重要な選択肢は基本的に皆無。
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本筋に関係ない選択肢を選ぶとちょっとしたDVが起きたりする程度。唯一、各章冒頭でマップといくつかの行き先が提示されることがあり、この行先次第で章の内容が変動する。
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ただし、基本的に択一式なので、人気の高い至郎田の事件がシナリオ上登場しないこともあり得る。クリアしても章選択などはないので、あらかじめ選択前にセーブしておきたい。
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行先を変えても全体のシナリオには影響せず、それで各人の台詞が変動することもない。
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章途中にマップが出てくることもあるが、このマップで行先を選ぶことはできない。単にストーリーが進行する場所が変わるのを示しているだけである。
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もともと原作からして推理要素が薄かったとはいえ、読み進めるだけで事件が勝手に解決する。
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ネウロの捜査シーンすらほぼ描写されない。というか、事件の描写が全然なく、章によっては事件発生から1分で犯人指摘のシーンなどザラ。
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複雑なトリックが用いられた事件でも、文章でしか状況説明がされないため理解し辛い。ネウロの事件解説も「簡単なトリックだ」の一言で済まされ具体的な説明がないことが多い。
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大半のミニゲームは「連打しろ」「指定したボタンを押せ」などの単純なものばかり。携帯アプリレベル。
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また、何人かの犯人は内容もおかしい。もはや原作を知らないとしか思えないレベルのものばかり。
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堀口明…弥子を操り、上から落ちてくる赤い箱を一定時間交わし続ける。
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赤い箱とは、全方向からその人間を観察する為にガラスの箱に殺害され粉々にされた人間が詰め込まれた禍々しいサイコな物品である。それがただの障害物扱いとは…。
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江崎志帆、朝永博斗、小柴達夫…HALの洗脳により襲い掛かって来る彼らをスライドパズルで撃退する。
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意味不明。なぜスライドパズルを解けば撃退したことになるのか……。ちなみにパズルの絵柄は彼ら自身の顔である。なお、パズルが苦手な人に配慮したのかスキップ可だが、犯人図鑑に登録されなくなる。
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スフィンクス…いくつかのマスが通路で繋がれたマップ上でネウロのコマを動かし、AIが動かすスフィンクスを追い詰める。
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遊べる部類のミニゲームだがシチュエーションがおかしい。本来スフィンクスは「電脳世界では無敵だが、現実世界ではただのコンピューターなので現実世界にあるスフィンクス本体を追い詰める」という設定なのに、なぜか現実世界で追い詰めた後に電脳世界でスフィンクスと戦うことになる。スタッフは本当に設定を理解していたのか?
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ちなみに、難易度がかなり高いにも拘らずスキップ不可。決まった解法があるスライドパズルよりこちらをスキップさせて欲しかった。
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X…ネウロとXの格ゲー風一騎打ち。□ボタンの弱攻撃、×ボタンの強攻撃、○ボタンの必殺技を使い分けXを倒す。
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見た目は一番凝っているが、内容はスカスカ。ガードや投げがないため駆け引きの要素が皆無。Xの突進に合わせてリーチが長く威力も高い必殺技を置いておけばあっさりクリアできる。弱攻撃を使う必要は全くない。
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失敗しても何度でも再挑戦でき、成功するまでは先に進めない。もっとも、スフィンクスなどの一部除き難易度は非常に低いため詰まることはまずないだろうが……。
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一応ミニゲームの成功率でエンディングは分岐するらしい。
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ボリューム極薄。
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一章辺り平均10分未満でクリア可能。そして全10章。途中で分岐があることを考慮しても、フルコンプには数時間もかからない。
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HAL編などはかなり長いが、他の章は「事件発生→犯人はお前だ!→ミニゲーム→解決」まで数分で終わってしまう。
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登場人物も徹底的にカット。基本的に犯人以外の容疑者は一人も出てこない。
キャラゲーとしての問題点
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一部登場人物の改悪。
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アニメ版からそうだったとはいえ、原作では屈指の人気キャラだった笛吹、一部からギャグ・ネタキャラとして扱われた筑紫の出番が全くと言っていいほどない。代わりに笹塚と石垣の出番が激増しているが、「弥子が事件を調べるため道を歩いていたらたまたま石垣と出会い、石垣が勝手に捜査情報をベラベラ喋って笹塚にお仕置きされる」というシチュエーションが複数の章で見られる。同じ展開ばかりで石垣の無能さが鼻に突く。
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竹田敬太郎は原作では弥子のトラウマになるほど重要な犯人なのだが、本作ではアヤ・エイジアのトイレを探るただの変態。そしてたまたま遭遇した吾代にぶちのめされる。アニメ設定を無視して出すなら原作準拠の出番にすればよかったのでは?
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大菅依は原作ではXの部下でネウロを苦戦させたのに対しこのゲームでは部下でもなんでもないただのXに憧れるいじめられっ子。殺人を犯した動機もいじめられたための復讐であり、更に堀口明の「Xにあこがれている」とキャラが被ってる事もあってか言動の子供っぽさもあって非常に安っぽい悪役。
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演出も貧相。
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アニメ版を元にしているのに、全く動かない。静止画ばかりでアニメーションする場面はほとんどない。
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オープニングはアニメオープニングに本作のサブタイトルをくっつけただけの手抜き。
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表情差分もほぼない。
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ミニゲームは大体の犯人で「静止画状態の犯人が小刻みに揺れており、ダメージを与えるか受けると表情が変わる」だけ。まともにアクションするのはXぐらいである。
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原作では非常に印象的だった「消え去る刹那に刹那と出会うHAL」なども文章でしか表現されていない。
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なぜか「ネウロに投げ飛ばされる弥子」のシーンが何度も何度も使いまわされる。他のDVは思いつかなかったのだろうか?DS版では、状況に応じて多種多様な暴力行為が楽しく描かれていたのだが…。いくら会社が違うとはいえ、原作で何度も描かれている定番の要素を何故こうも無視するのか。
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ボイスが付いているのはメインキャラのみ。犯人たちは重要キャラでもX以外はボイスなし。アヤや至郎田ぐらいはあっても良かっただろうに。
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また、初期状態でのボイスとBGMの音量設定がおかしく、そのままではBGMに被ってまともに台詞を聞き取ることはできない。BGM音量を下げればまともになるが、誰も気づかなかったのだろうか。
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物語全体の結末は完全な打ち切りエンド。Xの正体など重要なことには全く触れられずに終わる。
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原作とアニメではXに関する設定が大きく異なるので、「新しい血族」が登場しないのはともかくアニメ版独自の設定すら全く登場しない。その分だけ原作設定を取り入れるならともかく、原作ファンにとって全然ありがたくもないし、アニメから入った人なら言わずもがな。
評価点
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オリジナルシナリオ。
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HALに関わるオリジナルキャラが登場するシナリオがある。他の章に比べ設定もシリアスでここはそこそこ面白い。
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もっとも、章冒頭のマップ移動で無視することも可能だが。せっかくのオリジナルシナリオなのにそれはどうなのだろう……。
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またこの章も演出が貧相だったり謎解きがお粗末だったりする問題点は変わらない。「シナリオそのものは」悪くないというレベルである。
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バックログや高速スキップなどアドベンチャーとしての最低限は一応整っている。
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今時のゲームならあって当然の機能なので本来は褒めるほどのものではない。
総評
まずそもそも論としてアニメ版自体が設定改変や時系列無視が目立つため、原作ファンから黒歴史扱いされている。それを適当につぎはぎして、安っぽいミニゲームを付け加えただけの代物がどうなるかは誰もが容易く想像できるだろう。
アニメ版に好意的な人から支持される内容だったのならまだしも、その人らから見ても駄作なのだから救いようがない。
キャラゲーの「キャラ」の部分も「ゲー」の部分も非常に出来が悪い典型的な駄キャラゲーであるが、最大の問題は「ユーザーを楽しませよう」というスタッフの意思が感じられないことかもしれない。
最終更新:2021年07月01日 13:33