信長の野望 革新

【のぶながのやぼう かくしん】

ジャンル SLG
対応機種 Windows 98~XP、Vista
プレイステーション2
発売・開発元 コーエー
発売日 【Win】2005年6月22日
【PS2】2006年2月2日
定価 【PS2】8,800円
廉価版 PlayStation2 the Best
2008年11月13日/3,800円
2010年7月1日/1,980円
判定 良作
ポイント 全ての要素を完全リアルタイム化
全国一枚マップをフル3Dで復活
シリーズ屈指の骨太難易度
ツッコみ所も多いが中毒性も高い
信長の野望シリーズ

概要

シリーズ第12作目。
従来はシリーズの傾向として「奇数作で全体のシステムをがらりと変更、偶数作はその発展系」である事が多かったが、本作では前作の『天下創世』の要素は引き継がず、完全にシステムを刷新している。
また、副題もそれまでのシリーズでは見られなかった単語一文字で表されており、そういった点においても異端な作品である。

特徴

3D全国マップ

  • 本作はシリーズ7作目『将星録』8作目『烈風伝』と同じように全国を巨大な一枚マップで表現している。マップ上に施設を作って収入を得たり、同一マップ上で軍勢が進軍していく点でも似ている。
    • それら二作とは異なり、マップはフル3Dで表現されているため、視点の切り替えや拡大縮小も思いのまま。富士山などの名所も作り込まれている。

フルリアルタイム化

  • 9作目『嵐世記』以降、リアルタイムの要素が取り入れられ、「内政はターン制、合戦はリアルタイム制」といったシステムになっていたが、本作では完全にターン制を廃止し、全てがリアルタイムになった。
    • つまり、全ての国で内政、合戦、外交が同時に進行する。内政の最中に敵が侵攻してきたリ、合戦の最中に突如同盟の要請が行われる事もある。本作最大の特徴といってもいいだろう、
    • 内政画面と合戦画面という区切りは廃止され、同一マップ上ですべてが完結する。その為、軍勢に攻撃させる事で他勢力の町並みを壊して収入にダメージを与えるといった事がより明示化されるようになった。
      • 時間は「進行」コマンドを実行する事で進むが、いつでも好きなタイミングで停止する事が可能。
    • 武将への命令も時間単位となり、行動力などの概念はなく、命令を与えた後は完了するまでが「任務中」となり、完了次第に所属の城へと帰還する。敵が侵攻してきた場合などは即座に任務を中断させて帰還させる事も可能。

技術革新

  • 本作からの独自要素となる。副題に使われるように重要な要素であり、「足軽」「騎馬」「弓」「鉄砲」の各兵科、「兵器」「水軍」の装備、「内政」「築城」等の要素に「技術」が存在し、
    各要素の「学舎」と呼ばれる施設を一定数領内に作成したのち*1、「適性」の高い武将3人に研究させる事で技術を習得する事が可能となっている。
    • 例えば「騎馬」の技術には「蹄鉄(機動力増加、士気低下速度半減、適性C以上3名と学舎6個が必要)」「赤備(戦法威力増加、適性Sを3名と学舎40個が必要)」等が存在し、研究して技術を習得する事で兵科そのものを強化できるようになる。
    • 内政においては『二期作(水田からの収入が年に二回に増加)』『兵農分離(季節に関わらず募兵が可能)*2』等の効果が存在する。
  • これに伴い、『嵐世記』以降、廃止されていた武将の適性が復活。ただし、従来の作品と違い、兵科の適性によって合戦における部隊が弱く(強く)なるという事なく、研究の必要条件ないし合戦中の熟練度の溜り方の違いにとどまっている。
  • また、開発した技術は他家との交渉の条件に使われる事があり、技術を教える代わりに金銭を貰ったり、未開発の技術を教えてもらう代わりに同盟を結ぶといった使い方もある。

CPUの物資チート廃止とAIの強化

  • シリーズの特徴として、CPUのみ不自然に内政パラメーターが上昇したり、いつの間にか物資が増えているチートが存在し、難易度の設定が上がるほどチートの量が増えるといった特徴があったが
    本作ではCPUが一切の物資チートをしない事をウリにしている。このため、CPUもプレイヤーと平等に物資の消費が行われ、兵糧が無くなった時などは息詰まったり、家臣の俸禄で財政が圧迫されると能力の低い家臣を追放するといった行動が見られるようになった。
  • このため、難易度の設定によって「AIの強化が施される」ようになったのも大きな特徴である。「初級」の場合はCPUはあまりこちらの合戦に絡んでこないが、
    「中級」以降になると合戦の最中に積極的に漁夫の利を狙いに来たり、同盟国の援軍を巧みに使って防衛をする、計略を多用するといったAIの強化が行われ、一気に手ごわくなる。

シンプルにまとめられたルール

  • 本作のシステムは全体的にシンプルにまとめられており、敷居は低い。細かいパラメーターやシステムは極力省略されるか、明示化されている。
内政面の特徴
  • 領地毎の内政値のパラメーターはなく、設置できる「町並」の違いや町並の最大数で表現されている。また、町並は3x3のサイズで表現されており、中央部分以外の8マスに町並に応じた施設を建てる事が出来る。
    • 施設はどこの国で作っても同じ効果を持つ、例えば「市」を1つ作れば作れば金銭収入が一律500増える。
      • 内政能力の高い武将ほど短い時間で施設を建設することが出来る。逆に時間をかけてもいいのなら手の空いている凡将にやらせても問題はない。
      • 設置できる個所は自由だが、川や山が重なるとそのマスには施設を立てられなくなるので極力、全てのマスを使えるような配置を心掛けたい。
      • また、漁港や田畑等建てられる場所の制限がある施設もある事やリアルタイム化に伴い防御施設の概念も追加され、街並の中に「櫓」「鉄砲櫓」等を設置して迫りくる軍勢に被害を与える事が出来る様になったのでどこにどの町並を設置するかも重要になっている。
    • 「内政」が高い武将ほど施設の設置時間が短縮されるが、内政の低い武将でも時間はかかるものの施設を作ることは可能。
    • 金銭や兵糧などの物資は『天翔記』と同様に「軍団による一括管理」となっている為、一つ一つの城に気を配る必要はない。
戦闘面の特徴
  • 先述の通り、合戦中の戦闘マップの概念が廃止された為、大まかに軍勢が行える事は進行と攻撃のみである。「攻城戦」も簡略化され、城の防御度を0にして城兵を全滅させるか、包囲などで士気を0にさせるかで落城する。
    • 軍勢には指揮する武将を三人まで指定できる。参加する武将の能力で最も高い値が部隊の能力として採用され、使用出来る「戦法」も武将の数だけ選択できる。
      • この為、前田利益(慶次)等の極端に偏った能力の武将も大いに活躍の場が与えられ、また多くの戦法を使用する為には数合わせでも適当な武将を参加させる事が重要である。
      • 軍勢には目的地や行動方針や戦法の発動を命じる事が出来る。イメージとしては同社の『三國志IX』にやや近い感じとなる。
      • 合戦で戦法を発動すると「熟練値」を溜める事が出来、一定の値に達する事で新たな「戦法」を習得する事が出来る。武将によっては専用の強力な戦法を覚える事も。
      • 部隊は交戦状態に入ると闘志が高まり、一定の値に達した時に消費する事で戦法が発動出来る。消費量が高い戦法を発動した場合、指定している消費量の低い別の戦法が連鎖する事もある。
  • 部隊を壊滅させたときや拠点を落とした時の「捕虜の処遇」の概念がなくなり、捕縛された武将はそのまま「捕虜」として城の中に置かれる。その後、直に「登用」コマンドで自家に迎え入れたり、「処罰」コマンドで「処断」ないし「解放」する事で処遇を行う。
    • この辺りも『三国志IX』などと同じく、外交の条件にも使用する事も可能。忠誠心が高い武将も、捕虜の期間が長くなるとだんだんと忠誠心が落ちていくので登用できるチャンスも増えるが、脱走される事もある。
    • 敵勢力が健在のうちに解放すると名声が上昇するので、登用予定がない武将や登用出来る可能性がない敵の一門衆などはさっさと送り返すのも手であるし、脱走される前に一斉に処断して弱体化を図るのも戦法の一つでもある。
    • 「処罰」コマンドの「処断」は自家の武将も対象に出来るので、自家の武将を切腹させる事も可能となった。
      • 『覇王伝』でも「論功行賞」の際に切腹を命じることが出来たのでそれ以来となる。もちろん、命じられた武将は死ぬ上に名声も下がるのであまり使用価値はない。一部の歴史イベントで使用する場合もあるが趣味のコマンドに近い。
人材面の特徴
  • 一門衆(大名の親族)の武将は「俸禄なし」「絶対に裏切らない」「指揮兵力増加」という非常に強力な効果が得られるようになり、結びつきが強くなった。
    • この仕様により、婚姻の重要性が高まった。有能な武将を婿に迎える事で上記の特典を一気に得られるのである。
  • 嫌悪武将、親愛武将の効果も強調され、嫌悪武将は絶対に登用に応じず*3、親愛武将ならば登用確率が非常に高まる。
    • このため、捕虜に逃げられるなどで武将に嫌われた場合はまず登用できなくなる。(ゲーム中に恨みフラグが立ってしまった武将の場合は別勢力に仕える事で解除される)。
外交面の特徴
  • 同盟、停戦、捕虜返還、技術の交換が主な外交となり、条件として技術の提供や人質を取ることが出来るようになった。
    • 同盟の条件として人質を取られた場合、同盟期間中はその武将は使用できず、途中で破棄した場合は処断されるなどのリスクが出る。
    • 逆に他国の優秀な将を人質にとれる場合もあり、人質になった将から戦法を教えてもらえる等の利点が得られることもある。
    • 自家のみでは一度に一つの技術しか研究できない為、外交を駆使する事によって一度に二つ以上の技術の研究を行う事が出来る。

シビアかつ骨太なバランス

  • 金銭や兵糧の収支がそれまでのシリーズに比べて非常にシビアになった。
    • 武将の俸禄(給料)は100単位で管理され、さらには時間が経つにつれて加増を要求される事がある。この時に加増せずに放置すると不満を抱くようになり、忠誠度がどんどん下がってしまう。
      その為、適当に武将を登用するとあっという間に財政が圧迫されて手詰まりとなりかねない。俸禄は年々増加していく為、長年領土を増やせずにいると次第に手詰まりへと近づいていく。
    • CPUは忠誠度が低い武将を次々に引き抜きにかかる為、不満を溜める事は得策ではない。
    • さらには能力が高い武将ほど要求する俸禄の額が高くなる為、より懐が厳しくなる、逆に能力が低い武将は活躍は見込めなくとも、低給なので物資の輸送などに役立てる事も出来る。
    • 登用したての武将などは忠誠心が低いが、俸禄を加増する事で「感謝」させ、徐々に忠誠度が上がる状態にする事が可能だが、もちろん加増によって収入が減少するのでやり過ぎには注意。
  • それまでのシリーズでは兵糧はあまり重要ではなく、どちらかと言えば換金用のパラメーターに近い存在だったが、本作では軍勢を動かした際の兵糧の消費量が非常に上がっており、
    しっかりとした対策を練って兵糧を確保しなければあっという間に兵糧が底をついてしまう。また終盤に差し掛かる頃でも、大軍を率いる事によって大量の兵糧が消費される為、内政技術を研究しておかなければ底をついてしまう事もありうる。
  • CPUの勢力拡大速度が上がっており、こちらが一大勢力を築き上げるまでに、こちらに対抗しうる程の巨大勢力にまで育っている事が多く、
    また、こちらがある程度の勢力にまで育つと包囲網を敷かれ、周辺の勢力から一斉に攻められるといった厳しい状況に陥る。その為、中盤以降の中だるみは感じづらくなっている。
    • 全国に二大勢力のみになった時は同盟を結んで連立政権としてその場でエンディングを迎えるか、あえて決戦に持ち込み武力統一を目指して雌雄を決するかを決めることが出来る。どちらも固有のエンディングとなる為、両方の選択肢に意味がある。
  • このように『天翔記』以来の強い勢力でも油断をすれば即滅亡させられるシビアかつ骨太なバランスが帰ってきた。

地方プレイ

  • 好きなシナリオの好きな地方(九州、中国四国、近畿等)のみでプレイする事が可能となった。
    選ばれた地方以外の勢力は一切登場せず、ゲームに関与しない。地方をすべて統一する事で専用のエンディングを迎える
    • 地方プレイでは全国プレイに比べ、一部の技術の研究条件が緩和されているといった違いがある

シナリオ

  • 史実シナリオは1555年の「尾張統一」から1582年の「夢幻の如く」までとシリーズの中では標準的なシナリオ数だが、PC版では初めてデフォルトで架空シナリオである「群雄集結」が収録された*4。本作に登場する全武将が一堂に会し、寿命が無効化されるので年代を超えたプレイが可能。
    また、年代的に登場しない一世代前の武将(尼子経久、織田信秀等)や、さらに遡った太田道灌、北条早雲等の名将も群雄集結シナリオ限定で登場する。

チャレンジシナリオ

  • 特定の条件を満たす事を目的としたショートプレイのシナリオ、例えば「海が見たくて」では武田家を操作して期限内に海に面する領地を手に入れるのが目的となる。
  • モードの制限としてセーブロードは不可能でやりきりとなる。
    • また、ネット接続対応であり、達成結果を送信する事が出来た。

評価点

  • 『烈風伝』の良点である全国一枚マップの箱庭内政の復活により自由な街並みをつくる楽しさが復活、加えて拠点を城塞化する等の戦略性も増した。
    • せっかく作った町並が戦争によってダイレクトに破壊されるという『天下創世』の要素も引き継がれている。
  • 大名家によっては研究しやすい技術に差があるので、プレイは千差万別になりやすい、研究する技術次第でプレイ感覚は大きく変わる。
  • 他家が積極的に自家の戦に横やりを入れて来るようになった為、時間をかけると漁夫の利をさらわれたり、今まで以上に手薄になった城が狙われやすくなるなどプレイの緊迫感が増した。
  • 戦争画面の概念が廃止された事から、一ヵ月の時間制限や部隊数の制限なども撤廃され、武将や兵力が続く限りの総力戦が起こりやすくなった。
  • 全ての要素が一斉に進むためにプレイのテンポが早まり、一度のプレイにかかる時間が減少、繰り返しプレイをしやすくなった。
  • 先述の通り、CPUがプレイヤーのライバルになりえる程の巨大勢力を築き上げたり、包囲網による集中砲火などを仕掛けてくるため
    シリーズ通しての問題点となる中だるみが起きにくくなっている。
    また、地方プレイもテンポがよく手短に遊びたいときや、全国プレイに向けての練習など使用用途は多い。
  • グラフィックが美しい
    • 発売当時の基準となるが、3D一枚マップで表された日本列島など全体的なグラフィックは美しいと評判だった。
    • 武将の顔CGに関しても好評である。有名武将は特徴をとらえつつ美化しすぎずに威厳を醸し出しており、今川義元、細川忠興が人気である。

賛否両論点

  • 自家も他家も積極的に兵を集める為、中盤から終盤にかけて日本全国の総兵力が300万を突破する事が多い
    • 総兵力が300万を超えると募兵できる数が減る為、増加に歯止めがかかるが、戦国シミュレーションとしては明らかに妙な仕様。
    • そして出陣の仕様から、終盤になると数十万対数十万の特大規模の合戦がそこかしこに発生する。ちなみに史実での十万規模の戦いは関ヶ原の戦いや大坂の陣クラス(しかも諸説あり正しい数値かどうかは不明)。
      • この為、本作を評価するユーザーでも「兵数300万はおかしい*5」「日本どころか世界を征服できる」とツッコみが入ることが多い。
      • 一応、公式では兵力≠兵士数と言われており、大まかな戦力の目安として見てほしいとアナウンスされている。
      • 史実に忠実であるかゲームの面白さをとるかは信長の野望だけでなく歴史を扱うゲームにおいて付き纏う問題であり、「あえて史実に忠実にするよりもゲームとしての面白さを取った」と言えなくもない。
  • 技術の中の一部には明らかにオーパーツなものが含まれており、軍港を攻めたら水雷を食らって船が撃沈したという妙な事も起こる。
  • 領内に門前町を作ると一定の確率で僧侶が家宝を売りに来訪する。僧侶が来訪した季節は他家との停戦及び捕虜返還に僧侶を同伴させる事が出来、この場合、無条件で外交が成功するという強力な効果が得られる。
    大勢力に攻められて風前の灯火であろうと、坊さんの一声であっさり停戦が成立するので弱小大名の希望の光となると同時に、敵に使用されると鬱陶しいことこの上ない要素でもある。
    僧侶が同伴すると、たとえ征夷大将軍であろうと拒否権は一切存在せず、坊さんに屈する事になる。この光景は坊主停戦として革新を象徴するテクニック(?)となっている。
  • 1555年の「尾張統一」の信長シナリオの難易度が高い
    • 自勢力はまともに戦う戦力が少なく、戦争してもすぐに負けてしまう。また今川がすぐに攻めてくる。主人公の信長の最初のシナリオとして行うとあえなく撃沈するユーザーが多かった。
    • ある程度は史実通りとはいえ難易度表のような物をつければ良かったのでは…

問題点

  • AIは賢くなったものの、『三國志IX』と同様に「兵1」部隊に全力で釣られる穴が存在する。
    • 兵1が領内に入ると内政をやめる為に発展を遅らせたり、迎撃部隊を出させて兵糧を浪費させる等の手段が非常に有効であり、バランスブレイカーになりうる。
  • 上杉謙信(長尾景虎)が強すぎる
    • シリーズを通して最強の名を欲しいがままにする上杉謙信だが、本作では「統率力が120と家宝なしでは最高値*6」「車懸りの固有戦法(騎馬系で最強威力)」「上杉家の専用技術の軍神(闘志の上昇速度UP)」「関東管領で動員兵数+11000」と、これでもかというぐらいにチートな能力の目白押しとなっており、敵に回すと容赦がない。
    • 特に上杉家は騎馬技術を優先的に研究する為、「赤備(騎馬戦法の威力+50%)」まで研究されてしまった場合、上杉謙信隊が戦法発動する度に目の前の部隊が問答無用で消滅しかねない。
      一度に10000を超える兵力が蒸発させられる訳で…もはや上杉謙信そのものがオーパーツ
  • 一部の尖ったバランス
    • 兵科間のバランスが悪い。とにかく騎馬隊が最強であり、弓隊は鉄砲隊の下位互換でしかない。
    • 計略系の戦法が異様に強く、周辺の部隊に効果が及ぶ為に成功すると一気に戦況をひっくり返せる。また他の兵科と違い戦法に対抗できる技術がないため、知略が高く計略の熟練がある将が部隊にいない限りはかかってしまう。特に「混乱」「同士討」「火牛計」が猛威を振るった。
      • また、「鼓舞」や「治療」も失敗しない上に効果が高く、「治療」を使えば負傷兵が回復する為、ゾンビアタックが可能となる。
    • 鉄砲技術を高めた上での鉄砲櫓が異常に強く、突き詰めれば数十万の部隊でも撃退可能。
  • 同じ勢力が強くなりやすい
    • 大名のCPUの強さは武将毎のマスクデータである「格付け」によるところが大きく、武田信玄や織田信長等の武将には最高のSが設定されており、勢力を拡大しやすい。
      その為、格付け「A」以下の大名は「S」の大名の餌にしかならず、毎回同じような大名家が巨大勢力を築く展開になりがち
    • シナリオ1では武田家か上杉(長尾)家が巨大勢力になり、そして太田家が真っ先に滅ぼされるまでが風物詩となっている。
    • また、武田家が巨大化した場合、「信玄が途中で寿命死を迎える→格が落ちる義信が後を継いで弱体化し、以後、ライバルが不在になる」といった展開も多々見られる。
  • マップが狭い
    • 全国一枚マップになった影響か城の数が大幅に減少、特に中国、四国地方は悲惨な事になりそれぞれ本城が5個しかないという秘境と化している。
  • リアルタイムの問題点
    • 特に勢力が大きくなると、包囲網などで多方面から一度に攻められる事が多くなり、大勢の軍勢を一度に操らなければならない。
      大勢力との戦いとなった場合は何十隊もの軍勢を平気で繰り出してくるので守り切れなくなることも多い。
      また、部隊の数が多くなると戦法アニメーションによりテンポが著しく阻害される事が多い。アニメーションを簡略化した状態でも発動数が多いため、絶えずエフェクトが出まくってしまう。
      エフェクトの出る様や戦法の効果などから、RPGにおける魔法のようだと揶揄され、戦国魔法大戦と皮肉られる事も。
    • CPUの計略や引き抜きもリアルタイムになった為、浪人や捕虜を登用すると帰還してほどなく引き抜かれてしまう事が多い。
      • ひどい場合は登用した実行武将と共に帰ってきた瞬間にいなくなることがある。しかも裏切られると嫌悪武将に指定されるため、すぐに引き抜き返す事も出来ない。
      • 相性によっては一度加増した状態では間に合わない事が多く、「加増で感謝させた後に計略が飛んでこない僻地に飛ばす」といったテクニックが生まれた。
  • 徴兵の意義の薄さ
    • 本作では徴兵で兵を増やすより、他国の兵を奪ったほうが効率が良い。
      • 敵の軍勢を全滅させたり城を占領するとその軍勢(城)に所属する負傷兵をそっくり吸収する事が出来る。特に城攻めに成功して占領すると兵数が倍以上も増えることもある。
    • 多少は降伏兵もあり、増えることは分かるが、徴兵よりも効率が良いのではリアリティが薄い。
  • クリック数が多い
    • 施設建設、捕虜の登用、引抜、激励(自部隊を強化させるコマンド)など。とりわけ、防衛時に大軍の敵が押し寄せる場面では偽報・流言・奇襲コマンドを強いられることになる。そこに前述の激励コマンドも相まって自然と手数が多くなってしまう。

総評

大味な部分やツッコミどころはあるものの、それまでの作品の良点をうまく拾いつつ、フルリアルタイム制や技術革新という独自の要素が加わった一作。
適度にまとめられたシステムも相まって、ゲームとしての面白さはシリーズでも最高峰。近年の信長の野望シリーズの中では一番の人気*7を誇っている。

また本作では後述のようにPKで追加される要素が比較的少なく、本体のみである程度完成されており、PK必須ではない点も評価に値するだろう。


余談

  • 本作は「本能寺の変」が発生してもプレイヤーの操作次第で信長を生き延びさせる事が出来るようになった。三作目の『戦国群雄伝』以来の要素である。
  • シリーズにおいて、特定の武将が死亡した際に専用の台詞が用意されている事*8があるが、本作ではその要素が非常に充実しており、様々な武将に専用の死亡台詞が存在する。
    • 実際に辞世の句が伝わっている武将ならばかなりマイナーな武将まで網羅していたり、その武将の特徴的なエピソードを意識した台詞を喋る(前田利家等)等、非常に充実している。
    • 加えて処断時と病死時でそれぞれ台詞が用意されていたり、片方のみ台詞が変わるといった事もある。

信長の野望 革新 パワーアップキット

【のぶながのやぼう かくしん ぱわーあっぷきっと】

ジャンル SLG

対応機種 Windows 98~XP、Vista
Wii
プレイステーション2
発売・開発元 コーエー
発売日 【Win】2007年9月14日
【Wii/PS2】2008年3月6日
廉価版 コーエーテクモ the Best
【PS2】2010年7月29日
【Wii】2010年11月18日
判定 良作
ポイント 諸勢力と南蛮技術の導入
譜代家臣が追加
バランス調整あり
パッチで国替え機能が追加
OMIKATAが城内に突入しました!

概要(PK)

『革新』(以下「無印」)のパワーアップキット。
各種パラメーターの編集機能、バランス調整、シナリオ・チャレンジシナリオの追加、諸勢力、南蛮技術の導入などの追加要素が存在する。

無印からの変更点

特産品の概念の追加

  • 国ごとに特産品(魚介・醤油・金等)が産出されるようになり、奉行所を作って奉行を任命する事で収集する事が可能になった。
    • 特産品は後述の諸勢力や外国との交渉や、外交における条件提示に使用する事が出来る。

南蛮技術の追加

  • ポルトガル・イギリス・イスパニア・オランダ・明の外国の商人との貿易が可能となった。
    貿易を行うにはそれぞれの国が欲する特定の特産品を指定量支払う事で「契約」を結び、その後は定期的に好きな特産品で貿易を行う事で友好度を高める。
    そして、一定量の友好度に達するとそれぞれの国の「南蛮技術」の伝授と共に契約が満了する。
    • 南蛮技術は強力なものが多く、特に明から最初に教わる「苗刀」は序盤から足軽隊の攻撃力と防御力を底上げ出来るのでほぼ必須となっている。
    • 外国が欲する特産品は契約する事に変化する。しかし入手できる特産品は一国につき一つと限られている為、単純に奉行所からの取得では契約を結ぶ事が難しくなっている。
      • この為、外交で他国から特産品を頂いたり、後述する諸勢力の商人衆と協定を結んで交換してもらうといった手段で条件となる特産品を集める必要が出てくる。

諸勢力の追加

  • 『嵐世紀』『蒼天録』に登場した国人、寺社、忍者衆等の諸勢力が復活した。特産品や金銭を送る事で協定を結び、協力を得る事が出来る。
  • それぞれの諸勢力は影響する地方をもっており、協定を結ぶ事で以下の効果が得られる。
国人衆
敵の軍勢、輸送部隊への襲撃、一揆の発生を抑える
水軍衆
海上の敵の軍勢、輸送部隊への襲撃
忍者衆
輸送中の部隊からの物資強奪、偽報などの計略の成功率UP、捕縛率のUP
寺社衆
畑、水田からの収入UP、登用の成功率UP、技術の研究機関の短縮
商人衆
市、商館の収入UP、手持の特産品を別の特産品と交換出来る
  • 序盤から兵糧の収入を底上げできる寺社衆や金銭の収入の上昇に加え、好きな特産品への交換が出来る商人衆が強力であり、協定を結ぶ事で弱小勢力プレイでも大いに助けを得る事が出来る。
  • しかし、諸勢力間には相性があり、例えば忍者衆と国人衆は相性が悪く、国人衆と協定を結べば同地方の忍者衆と協定を結ぶ事は出来なくなる*9
    その為、どの諸勢力と協定を結ぶかが攻略のカギとなる。
    • さらには軍勢でその諸勢力の拠点を攻撃して制圧する事で強引に協定を結ぶことが可能。この場合は諸勢力間の相性に関係なく結ぶ事が出来、さらには通常の協定に比べて協定期間が長い。兵力に余裕がある場合は積極的に狙っていく手もある。

譜代家臣の追加

  • 領内の支城を与える事で特定の武将を譜代家臣にする事が出来るようになった。
    • 譜代家臣になると「年数に応じて能力の増加」「俸禄なし」「絶対に裏切らない」「指揮兵力増加」「80以上の能力がある場合、特殊効果発動」といった強力な効果をお手軽に得る事が出来る。
    • これによって積極的に支城を作る意義が増えたが、与えた支城を失った場合は忠誠度が大幅に下がってしまうという欠点も存在する。

バランス調整

  • 戦法の威力や技術の内容が見直された。特に騎馬系の戦法の威力の低下が大きく、兵科間のバランスは改善された。
    • 無印では最高の騎馬技術だった「赤備」も開発順序が入れ替わり、早く研究できるようになったものの、戦法威力の上昇効果は20%に落とされている。
    • この変更により、無印では強すぎた上杉謙信が多少はマシになった
  • 足軽隊、弓隊は南蛮技術による恩恵が大きく、序盤の爆発力が増したという形で調整された為、騎馬、鉄砲の下位互換ではなくなり、使用価値が大いに高まった。

評価点(PK)

  • バランスが改善された事により、弱小勢力でも巨大勢力に対する対抗手段が増えた。
    • 諸勢力や南蛮技術の導入によって兵糧の支出を抑えたり、収入を増やせるようになったので若干難易度が下がり、色々な勢力でプレイしやすくなった。
    • 交易品のやりくりも楽しく、いかに他勢力より早く外国と契約して、強力な南蛮技術を手に入れるか?という駆け引きが生まれるようになった。貿易により金銭が得られるので序盤は大いに助かる。
  • パッチにより「国替え機能」がついた。シナリオを始める際に全勢力の所有拠点をランダムに入れ替えるものであり、これにより、同じシナリオでも条件下が全く変わってくるため、飽きの来ないプレイが可能に

問題点(PK)

  • 諸勢力のON/OFFが出来ない。初出の『嵐世記』でも諸勢力は強力だったが、本作でもかなりの影響を及ぼす。
    • 国人衆は協定を結ばない状態で軍勢を近づけると8000人近くの軍勢が何度でも襲ってくるため、序盤の侵攻を大いに妨げられる。また、協定を結んだ場合も敵部隊がいなくなると手当たり次第に町並を壊し始めるという困った動きをする。
      • こちらが意図的に攻撃を仕掛けるのならば当然だが、まったく関係のない所へ進軍している時でも、少しでも近づこうものならば即座に大軍をけしかけられるため、非常に邪魔になる。
      • 当然、拠点の近くに街並みを作っていると合戦に巻き込まれてすぐに施設が破壊されてしまう為、拠点の近くの土地を安易に使えなくなってしまう。
    • 忍者衆の計略成功率UPが異常に強く、毛利元就クラスのまず計略にかからないであろう名将だろうが平気で偽報や撹乱にかかったりする。加えて、輸送部隊を出すとすさまじい勢いで略奪していく*10
      • …と、このように協定を結ばないと非常に鬱陶しいという点も『嵐世記』に似ている。
  • 弓技術が強化され過ぎてバランスを壊している
    • というのも、イギリスの南蛮技術「長弓」により射程が+3され、加えて弓技術の「遠矢」を研究すればさらに+1され、結果的に鉄砲を超える驚異の射程を誇るようになる。
    • 加えて、イギリスの最初の南蛮技術は「大弩弓」であり、「弓隊の攻撃力+8 & 戦法威力+100%」 という序盤に得られる技術しては異様に高性能である為、火力も底上げされる。
    • こうして弓技術が完成されると、城をアウトレンジ戦法で一方的に攻撃できるようになり、弓矢の攻撃により防御度が0になると、誰も接近していないのに、伝令により「お味方が城内に突入しました!」と報じられ、凄まじい勢いで守備兵がなぎ倒されていく。
      • このあまりの光景に、「アレは矢ではなく弾道ミサイル」と揶揄され、弾道ミサイルOMIKATAが城内に飛び込んだと大いにネタにされるようになった。なんせ、坂本城から琵琶湖の対岸まで飛ばすという驚異的な飛距離を誇るのである。
  • 一部のチャレンジモードが鬼畜
    • 特に黒田官兵衛による「九州席巻」長宗我部元親による「海賊王」が槍玉に挙げられる。
      • 九州席巻は1年で九州の本城をすべて支配、海賊王は3年で全国すべての港を支配下に置くという無茶なものであり、セーブロードが出来ない仕様も相まって難易度は相当なもの、PC版ではリセット数が3桁に達する運ゲーとして悪名高く、
        クリアするだけでもやり込みプレイと言えるレベルに…

総評(PK)

無印の大味な部分に若干の修正が入り、遊びやすくなった。ただ、弓が強くなりすぎたり鉄砲櫓の城塞化等の粗も残っている。
また、おまけモードの追加がないなど、シリーズのパワーアップキットの基準としてはかなり控えめ。どちらかと言えば既存の要素の強化に徹した造りとなっている。

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最終更新:2023年11月13日 00:41

*1 各学舎の建設には技術研究が必要であり、適性「A」の武将が3名いなければそもそも研究すらできない。 ただし大名家によっては最初から学舎建設の技術を所持している場合もある。

*2 本作では農繁期(春、秋)には募兵が出来ない仕様となっている

*3 嫌悪武将が所属する大名家を「勧告」で降伏させる事で臣下にする事は可能。しかし、嫌悪武将の設定が消えるわけではないので裏切りやすい。

*4 CS版では『蒼天録』等に収録

*5 ただし既に初代信長の野望では兵力1=1000人とはっきり表示され、1領地だけで兵力4000=400万人の兵を駐留、養う事も出来たので今更感があるが…

*6 次点は同じくチート武将である武田信玄の110だが、それ以外の名将でも高くて100前後である

*7 そういう時期も過去にはあった

*8 古くは『戦国群雄伝』や『武将風雲録』などで信長等の有名武将を処断した際に辞世の句を喋るといった要素があった。

*9 結んだ場合は国人衆との協定が無効になる。地方が違う忍者衆ならば問題なく結べる。

*10 十分な兵力を護衛を付ければ回避できるが、結構な量の兵糧を消費してしまうので・・・。