本項ではPSV版『不思議の幻想郷 -THE TOWER OF DESIRE-』と、その完全版にあたるPS4/PSV/Switch版『不思議の幻想郷 TOD -RELOADED-』を併せて解説します。
判定はどちらも 良作 です。



不思議の幻想郷 -THE TOWER OF DESIRE-

【ふしぎのげんそうきょう ざ たわー おぶ でざいあ】

ジャンル ローグライクRPG
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
メディア ダウンロード専売
発売元 メディアスケープ
開発元 AQUA STYLE
発売日 2015年6月25日
※2016年12月22日に配信停止
定価 4,600円(税抜)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 良作
ポイント 同人ゲーム「東方Project」の二次創作ローグライクRPG
東方やローグライクに詳しくない初心者にも考慮された親切なシステム
色々と気になるキャラ選出の優遇差
東方Project・二次創作リンク

概要

同人サークル「上海アリス幻樂団」が手がけるシューティングゲーム作品群「東方Project」*1の二次創作ダンジョン探索RPG。
略称は「ふし幻TOD」、もしくは「TOD」。
元々は同人ゲーム制作サークル「AQUA STYLE」にてPC用同人作品として作られてきたシリーズだが、2015年にVITAでの新作として発売された。
本作はPC用の「不思議の幻想郷3」、及びその追加アップデートである「不思議の幻想郷3PLUS」に新要素を追加したものとなっている。

ファンゲームとして珍しくコンシューマーハードで発売されたことから原作のメディア展開と誤解されがちだが、「二次創作」とあるようにあくまで有志サークルによる非公式な作品であり、原作サークルおよび原作者であるZUN氏は一切関与していない。

PC版との大きな変更点

  • メインストーリーの大幅な難易度低下
    • かと言ってぬるくなったわけでもなく、ローグライク初心者にも優し目な難易度になったというべきか。
    • 特に第二部のラストで戦うボスは、PC版では鬼畜な強さでプレイヤーを苦しめトラウマを植え付けたのだが、本作では大分大人しくなっている。
      • しかしこれをクリアすると、細かい変更点はあれどPC版に近い難易度で挑めるようになる。
  • 一部装備の見た目・名称の変更
    • 流通が限定的な同人であるPC版ならあくまで「グレーゾーン」扱いで黙認されていたであろうネタに関して、商業流通にあたって権利問題に発展する事を防ぐ為と思われる。
      • デザインを大幅に変更したり著作権に抵触しそうな部分を修正している。中には色変えなどの小さい変更に収まっている物もある。*2
      • 一応性能に変化はないのでその点に関しては心配ない。

特徴・システム

  • 不思議のダンジョンシリーズに似たゲーム性
    • 基本的には不思議のダンジョンシリーズの影響を受けたローグライクRPG。
      • 装備の強化や合成、0になるとHPが減っていく「満腹度」。複数のアイテムを保管できる「スキマ」(壺)や、敵に投げつけられる「札」(ただし性能的には杖に近い)、部屋全体に効果を及ぼすような強力な効果を持つ「スペルカード」(巻物)など、不思議のダンジョンプレイヤーなら馴染み深い要素が多い。
    • シレン2』から登場している「iダッシュ」や、『シレン3』にのみ登場した「二刀流」など、不思議のダンジョンシリーズでは登場作品が少ない好評要素も本作には採用されており、シリーズのいいとこ取りをしていると言える。
    • 本家不思議のダンジョンシリーズで強力すぎた一部のアイテムは下方修正されているが、まったく使えない性能になったわけではなく、そのアイテム独自の強みは残している。
      • 例えば敵の位置が分かる「透視の腕輪」(気配察知の腕輪)は「天狗レーダー」に置き換えられ、ずっと装備していると印が壊れてしまう使い捨てアイテムに成り下がった。ただ、1ターン装備するだけでも「百鬼夜行」(モンスターハウス)の有無が確認できるので十分に役立つ。
      • 持っているだけで倒れた時に復活できる「復活の草」(世界樹の葉)にあたる道具は存在せず、代わりに装備中に倒れた時だけ復活できる「謹製・身代わり人形」という装備品が登場する。『アスカ見参』の「身代わりの腕輪」に近い性能のアイテムである。
    • 同じハードで発売されている『風来のシレン5plus』や、『トルネコの大冒険2』や『アスカ見参』といった名作と比べても遜色ないボリュームとクオリティ。
      • 本作は東方のキャラゲーであり、ある程度「萌え」を意識した作風なことから、それらの作品とは人によって好みが分かれるだろう。
      • とはいえ、東方と不思議のダンジョンシリーズが好きな人や、『オメガラビリンス』のような美少女ローグライクが好きな人には自信を持っておすすめできる作品である。
      • 東方は知らないけどローグライクは好きという人や、東方は知ってるけどローグライクはよく分からないという人までオススメでき、かつ長く遊ぶことが出来る一作といえる。
  • 二次創作として
    • 東方のファンゲームなのでプレイヤーキャラクターや雑魚敵は皆原作の登場人物。雑魚敵の多くは原作キャラクターの能力をローグライクに当てはめた特性を持ち、極一部を除いて*3ほとんどのキャラが登場している。
      • ローグライクゲームの常として「同じ敵キャラが1フロア内に複数登場する」のだが、雑魚として登場するキャラは本人ではなく複製体であることが冒頭で語られる。元になった本人たちは「妖怪の里」などでNPCとして登場し、会話できる。
      • プレイヤー(霊夢)やパートナーキャラの複製体も登場するが、キャラデザインが異なるため見分けはつきやすい。
    • キャラクター同士の掛け合いを描いたアドベンチャーゲームのようなフルボイス会話パートもあり、原作の過去の話や設定に触れられることもある。*4
      • 原作と異なった二次創作でよくあるお約束的な描写は散見されるが、一方で過去のPC版『不思議の幻想郷』シリーズを前提とした独自の設定や、本作発売時点で原作書籍版の単行本未収録だったエピソードを踏まえた描写などもあり、原作の存在も丁寧に意識している。
  • 装備強化
    • キャラクターの他に武器や防具にもレベルが設定されていて、同じ武器を使い続けるとレベルアップし、性能があがっていく。
      • 単純な強化だけでなく、装備によってはほぼ別物といっていいほど大きく性能が変わることもある。見た目も順当に強そうになっていくが、こちらも別物のような(というか別物)外見になるものもある。装備の種類は非常に多く、初見では見た目の変化も楽しめる。
    • 装備には「印」と呼ばれる特性があり、プレイヤーの能力を上げたり、特定の敵に与えるダメージを増やすなど様々な恩恵が得られる(一部にはデメリットもある。)
    • 各装備毎に決まっている固有印、同じ印同士の付いた装備を付ける事で発動する共鳴印、空きに好きな印を入れられる追加印がある。
      • 合成のスキマを利用して装備と装備を合成して能力をかけ合わせたり、複数の武器が持つ印をひとつにまとめることができるという点は不思議のダンジョンシリーズと同じ。
      • 本作独自の特徴として印をアイテムとして持ち運べるというものがある。特殊なスキマをアイテムに対して使うとその装備が持つ印だけをアイテムとして抽出し、その印を別の装備に対して使うことで自由に能力を付与することができる。
      • 印の合成や抽出にはいくつか制限がある。例えば装備の種類やレベルによって追加できる印の数は決められている。また、装備が持つ全ての印を他の装備に付け替えられるわけではなく、装備の持つ印一覧の中でピンク色のマークがついている追加印だけが合成・抽出可能。
      • 追加印には時折青い色をしたレアなものもある。性能も基本的にピンクの追加印より優秀なものが多い。
    • 後述の「装備転生」を利用してより強い装備を作っていくやりこみも可能。
  • にとフュージョン
    • 合成のスキマを用いない装備合成システム。
      • 敵を倒したりダンジョンに落ちているものを回収することで溜まる「にとポ」というポイントを消費して、行動メニューから好きな時に合成のスキマなしでも装備を合成できる。
      • いつでも使える、合成のスキマがいらないのでアイテム欄を圧迫しないなど、利点は大きいが、その代わりにコストは高めで適当に使うとすぐポイントが枯渇してしまう。
    • ゲームを進めると合成以外に、集めた素材を利用して新しいアイテムを作りだす「調合」や素材とアイテムを組み合わせる「錬成」機能も使えるようになる。
      • こちらはポイントの消費は控えめ。素材アイテムは通常のアイテムとは別扱いなので、上手く使えばアイテム欄を圧迫することなく、回復アイテムや食べ物などを必要なときに作れるようになる。
    • 一部のサブダンジョンでは用途によって消費にとポが上下したり、最初から使えないなどの制約が設けられている場合がある。
      • その場合は上記のスキマを使うか、特定のフロアにいる雑魚敵のモブ河童たちを利用することで合成や調合が可能。
    • 進めていく内に「稗田の書」と言うアイテムが手に入る。最大レベルまで育った装備にこれを使うと転生が可能になり、合成でその装備の固有印やステータスを別の装備に引き継ぐ事が出来る。
      • 転生を行った装備はレベル上限が上がり、更に能力が伸びるようになる他、一部のロストを防ぐ機能が付く。転生装備を沼に落とす等してロストしても、自動的に倉庫に戻るようになる。
      • 通常の武器は最大Lv99・最大攻撃力100程度だが、転生を繰り返すことで最大Lv999・最大攻撃力999,999,999まで上げることが可能。防具についても同様。カンストまで鍛えるのは容易ではない。
  • 弾幕
    • 原作ゲームのシューティング要素をローグライクRPGに取り入れたもの。
    • 不思議のダンジョンシリーズにおける「弓矢」のようなもので、弾幕用ポイント「P」を消費して行う特殊攻撃。特に武器やアイテムを持っていなくても使用できる。
      • Pは前述のにとポ同様、床落ちしているか敵を倒した際に落とすことがある。
    • 主人公の博麗霊夢なら、ポイント消費が小さくまっすぐ飛んでいく陰陽弾、正面3方向に攻撃する妖怪バスター、射程無限の弾が敵と壁を一直線に貫通して飛ぶ封魔針、自分の周囲8マスを必中する攻撃の二重結界の4種類があり、状況に合わせて使い分けることができる。
    • プレイヤーキャラクターを変えると弾幕の性能も変化するため、同じダンジョンでも違うキャラクターで挑戦すると二度三度と楽しめる。
  • パートナー
    • ダンジョン攻略には仲間キャラを一人連れていくことができ、攻撃や特殊能力で援護してくれる。
    • パートナーにもレベルや装備があり、プレイヤーと同じように装備変更することができる。プレイヤーと違い満腹度はないので食料の心配はない。
      • ただし、プレイヤーキャラが可能な「両手装備」及び「二刀流」はパートナーはできない。
    • パートナーのHPが0になると一時的に離脱してしまうがゲームオーバーにはならない。パートナー蘇生効果を持つスペルカードを使用すれば復活させることもできる。
    • 「プレイヤーに追従」「敵に応戦」「自由行動」「その場で待機」という4種類の指示を出すことができる。
    • 本作では『3+』の4人に加え2人追加され、計6人のパートナーから選べる。
      • 追加された2人を使用するにはストーリーを進めたうえで、特定のサブダンジョンを攻略する必要がある。
      • 強弱はあれどどのキャラも光った長所があり、その特徴を生かせればとても心強いパートナーとなる。
    • パートナーにはダンジョン内で話しかけることが可能。残り体力、不利な状態異常によって霊夢同様右上の顔アイコンが変わる他、話す内容も変化する。

DLC関連

  • 追加ストーリー2種『物部布都と7つの試練』『ザ・バレットリポーター』と、追加操作キャラ『犬走椛』の1種で計3種類
    • 各DLC内では初回クリアまで本編以外の操作キャラとパートナーキャラで攻略していくことになる。
      • 操作キャラの変化で大きく異なるのは弾幕の仕様と専用のスペルカードが存在すること。特に高コストの弾幕は全くの別物で、それぞれ違った長所と短所を持つ。
      • 本編のアイテム、操作キャラとパートナーキャラはDLCを攻略すると共有できるようになる。最終的には操作キャラ4人、パートナーキャラ9人(内3人が両方を兼任)となる。
    • DLC単体だけでも値段の割にボリュームはかなりある。買って損はないだろう。

体験版

  • 無料の体験版が公開されていた。
    • メインストーリー第1部クリアまで遊ぶことができる。クリアデータは製品版に引き継ぎ可能。

評価点

  • ローグライク初心者への配慮
    • チュートリアルで「1対1の戦闘を心掛けること」や「アイテムを出し惜しみしないこと」といったローグライクの基本的な戦術について教えてくれる。
      • 内容やダンジョンの仕掛けや泥棒など、ローグライクの基本要素や本作独自の仕様を多岐にわたって説明してくれる。
    • 持ち込み可能ダンジョン攻略中に力尽きるとプレイヤーレベルは1に戻されてお金も失うが、持っていた装備やアイテムはそのまま持ち帰ることができる
      • 「死ぬと全てのアイテムを失う」システムのせいで不思議のダンジョンシリーズでは心が折れてしまうプレイヤーも多かったが、本作では持ち込み可能ダンジョンではアイテムロストのペナルティが無く、初心者でもとっつきやすい。
      • ストーリー本編のダンジョンは多くが持ち込み可能で、持ち込めるアイテム数の制限もないため、装備や道具を揃えれば十分クリア出来る難易度。
      • 倒れるとアイテムが失われるダンジョンもあるが、これは所謂持ち込み不可ダンジョンのみで起こる仕様なので、少なくとも倉庫から持ち出したアイテムをロストすることはない。
    • 本編のダンジョンではすべてのアイテムが「鑑定済」、つまり最初からアイテムの効果が分かっている状態になっている。
      • 鑑定しないとアイテムが分からないというルールのサブダンジョンもあり、初級、中級、上級と難度が上がっていくにつれて未鑑定アイテムの種類が増えていくという構成になっている。
    • 一度戦った敵は図鑑に登録され、いつでも情報を見ることができる。
      • 本作の敵キャラは同じキャラクターでも「(名前)ちゃん」「(名前)」「(名前)さん」というようにランクによって名前表記が変わるが、最下位の敵キャラを倒すだけでもランクが上がるとどうなるかという情報が得られる。
    • 中断せずにゲームを終了した場合、次に起動した時は「最後に階を下りた直後」の状態から再開される。
      • オートセーブ機能がない不思議のダンジョンシリーズでは、正規の手段をとらずにゲームを終了すると冒険失敗扱いになり、アイテムを全てロストしてしまう作品が多い。
      • 一方この作品では、「アプリケーションエラー等で意図せずゲームを終了してしまった際に、冒険失敗扱いになるのは気の毒」という開発スタッフの配慮により、このような仕様になっている。
      • これを悪用すると「冒険失敗になった瞬間にわざとゲームを強制終了して、その階の最初からやり直す」といったズルもできてしまうが、ローグライクの魅力を損ねる行為なので利用は自己責任。開発スタッフも「このようなズルの濫用はしないでほしい」という旨の発言をしている。
  • ローグライクにおいて重要視される、ゲームテンポやUI関連も優秀
    • 自動でアイテムや通路の出入り口に高速移動する「iダッシュ*5」や、向きを変更するとき敵にいる方向を教えてくれるガイドなど、プレイしやすい機能が多い。
    • アイテムメニュー、にとフュージョン、ステータスといった各種メニューは十字キーにそれぞれ割り当てられており、複雑な操作やメニュー配置を記憶する必要が薄いのもいいところ。
    • 不思議のダンジョンシリーズの装備の合成システムは初心者にはちょっとわかりづらいものだが、本作ではスキマ(いわゆる壺)による合成以外に、単純に印アイテムを使用して能力を付与したり、にとフュージョンを使っていつでも分かりやすいUIで合成後のアイテムを確認しながら合成できるので比較的馴染み易くなっている。
    • 所持アイテムを「スペルカードのみ」「札のみ」など、特定のカテゴリだけの表示に絞り込める。
      • 道具が入った「保存のスキマ」を大量に抱えていることが多いダンジョン後半でも、アイテムの整理や取捨選択が行いやすい。
    • プレイヤーの移動速度を3段階で変更可能、斜め移動とiダッシュの操作ボタンを入れ替え可能など、細かなオプション設定がある。
    • 倉庫には最大で2560種類のアイテムが入るため、よほどやりこまない限りはほぼ無制限にアイテムを入れられる。
      • 不思議のダンジョンシリーズではすぐに倉庫が満杯になってしまう作品がほとんどだったため、これだけ倉庫が大きいのは評価ポイントである。
  • 優れたゲームバランス
    • 敵キャラクターの特殊能力は単にウザい・鬱陶しいだけの物ばかりではなく、プレイヤーが有効活用できるものが多い。
      • 寅丸星は「装備品の印を奪ってワープする」能力を持つが、逆に不要な印を取り出すのに利用することもできる。また必要な印を奪われてしまった場合も、探し出して倒せば取り戻すことができる。
      • 八雲紫は「スキマに入っている道具を奪い、しばらくするとそれを投げつけてくる」能力を持つが、これを使えば保存のスキマ以外のスキマからもアイテムを取りだすことができるし、投げられる前に倒せばそのアイテムを無事に回収できる。
  • 豊富なやりこみ要素
    • ダンジョン数はメインとサブを合わせて50以上(DLCを除く)。『風来のシレン5plus』でさえ34個なので、ダンジョン数はかなりのものと言える。
      • ローグライクにはお馴染みの「持ち込み禁止」「道具が全て未鑑定」の所謂「もっと不思議のダンジョン」も、もちろん存在する。
      • 後半になると「持ち込み制限」や「にとフュージョンに制約がかけられる」を始め、「プレイヤーのレベルが上がらない*6」、「罠を駆使して進む」などといった一風変わったルールのサブダンジョンもあってその度に新鮮な気持ちで挑むことができる。
    • 装備転生により、極限まで装備品を鍛えることが可能。それに伴い、本作は強敵が出現する持ち込み可能ダンジョンも充実している。
      • もはや向かうところ敵なし、という程に装備を強化したプレイヤー向きのダンジョンも用意されている。
      • Lv999に達する敵が出現する持ち込み可能ダンジョン「松風水月」も存在する。もちろん、鍛え上げた転生装備がないとまともに太刀打ちできない。
    • サブダンジョン制覇、調合・錬成のリスト埋め、装備転生を繰り返して自分だけの最強装備を作るなど、楽しみ方は自由自在。
  • 多彩なグラフィックのバリエーション
    • プレイヤーキャラやパートナー、雑魚敵はすべて東方Projectのキャラクターであり*7、それぞれにマップ上でのSD、特殊能力使用時のカットイン一枚絵が用意されている。
    • もちろん会話シーンで出番があるキャラクターには会話パート用の立ち絵もある。
    • 武器、防具には原作の要素を取り入れたものやネタ装備のようなものがあるが、それらにも全て装備時用グラフィックや攻撃時のエフェクト、SEも用意されているという力の入りよう。
      • レベルが上がると外見も変化していくため育成要素もある。ただし成長すると外見がどんどん大きくなってキャラが見づらくなってしまう物もある。
    • グラフィックの質自体もパッケージ絵を忠実に再現しており非常に上質。キャラクターの仕草や表情も遺憾なく描ききっており、挙動自体も非常に滑らか。
  • 豪華な声優陣
    • 昨今では同人作品でもセミプロ~プロの声優を採用する作品が増えてきているが、本作はそれを込みにしても非常に豪華。主要メンバーだけ挙げても佐藤聡美氏・水橋かおり氏・うえだゆうじ氏…など、現在でも第一線で活躍している面々ばかりである。
    • ただし、原作の性質上、CVの採用そのものに対する批判の声もある(後述)。
  • 良質なBGM
    • 東方Projectは原作、二次創作共に名曲が多いことで知られるが、本作のBGMもアレンジ・オリジナル問わず出来がいいものが多い。
  • キャラ紹介も細かい
    • 本編の会話シーンで登場するキャラクターだけだがキャラ紹介はしっかりされている為、原作を知らずプレイした場合でも多少は知識を補うことが出来る。
      • 敵として出るキャラクターも多少はフォローされている。
    • ただし、あくまでファン向けの同人作品であるため世界観や東方独自の設定などの説明は皆無。詳しく知りたい人は原作をプレイするなり調べるなりしないといけない。

賛否両論点

  • 同人ゲーム的な雰囲気
    • もともとファンゲームなので原作の東方ネタがあるのは当然だが、いくつか東方に無関係なネット上で人気のネタのパロディもある。
    • ローグライクにパロディはつきもので、特に当シリーズの二次創作は他作品のパロネタが多い傾向にあるとはいえ、 良くも悪くも同人ノリな雰囲気のストーリーには、特に同人ゲームの類に疎い場合は好き嫌いがでるかもしれない。 元々は特定のファン向けの二次創作作品なので仕方ないと言えばそうなのだが。
    • 移植元も原作もそれなりに長年続いている同人作品シリーズなので、当たり前といえば当たり前のことではある。
  • ボイスの採用そのものに対する賛否
    • 本作に限らずCVを採用している二次創作作品も増えているのだが、原作は音声なしのため「キャラクターの個性を固定されてしまっている」「自分のイメージに合わない」「そもそも原作の東方(ZUN氏が作る東方)に声は当てられていないのだから、CVなど不要」等の理由でボイスつきの二次創作を好ましく思わない人もいる。*8
      • ただし、評価点でもあるように本職の声優を多数採用しておりその演技は秀逸。それゆえ本作のキャスティングが好き・イメージに合っているという人も多い。気に入らなければオプションでボイスをオフにすることも可能である。
  • パートナーの性能差
    • 空が非常に強力。通常状態では弾幕攻撃しかしないので頼りないのだが、多数の敵と対面すると核熱「ニュークリアエクスカーション」を発動して覚醒*9。自身のHPを全回復して再生&守護状態となって爆発も吸収するようになり、部屋全体を攻撃する「アビスノヴァ」と幅3マス&射程無限の爆符「ギガフレア」で瞬く間に敵を蹴散らしてくれる。また、地味ながら遮光「核熱バイザー」で一定ターンの間、自身と霊夢へ「遮光」状態を付与して射撃攻撃を防ぐサポートをしてくれるなど、特に百鬼夜行で小細工なしに敵を蹴散らしてほしい時は他の追随を許さない圧倒的殲滅力を誇る。元々高いHPに加えて再生状態も合わさって耐久力も非常に高い。
      • 未覚醒状態時は弾幕攻撃しかしないという短所も、見方によっては敵を利用した稼ぎ*10を邪魔することが少ないという長所と言える。
    • 他にも初期パートナーでありながら部屋全体攻撃の炎符「太乙真火」と射程3マスでランダムで状態異常を付与する「風水術」を使い分ける布都や、部屋全体攻撃に加えて1ターンだけ敵に見つからない光学迷彩状態となって体勢を立て直す余裕を与えてくれる心花「カメラシャイローズ」と射程3マスでランダムで状態異常を付与する想起「テリブルスーヴニール」を使い分けるさとりも心強い。
    • 逆にレイセンは部屋全体を攻撃する技がなく、広範囲を攻撃する「ルナライトキャノン」は攻撃に数ターン要する、位置を入れ替えると発射方向がズレるため使い勝手が悪い。また味方NPCを召喚する「玉兎召喚」は単純火力は増加するが行動を指示できない為、倒してほしくない敵を倒してしまう事もあるといった融通の利きづらい点があって運用が難しい。
      • レイセンと彼女が召喚した玉兎たちはとある隠しボスが使ってくる即死攻撃が効かないという特性があるため、その隠しボスに挑む際のパートナーとしてはとても有用である。
    • 華扇は近接戦闘重視のキャラ。攻撃力が高いため力押しができる反面、広範囲攻撃「ドラゴンズグロウル」は範囲が狭いため多人数との戦闘は苦手。状態異常を引き起こす「動物を導く能力」も範囲が部屋全体だが耳属性の敵限定。
      • 加入条件も少し面倒。華扇道場にある「華扇の修練場」をすべてクリアしないといけないが全50フロアのアイテム持ち込み不可のダンジョンが2つあるため、クリアに時間がかかる。
    • こころはプレイヤーをサポートする性能に特化しており、「お面投げ」で敵に状態異常を付与したり、「喜怒哀楽」によってランダムに良い状態変化を付与してもらえ、その中に確率は低いがHPが0になっても一度だけ復活できる再誕状態を永続で付与してくれる事もある。
      • 一方でHPの伸びはあまり良くなく、部屋全体を攻撃する技、憂面「杞人地を憂う」こそあるものの、さとりのように追加効果があるわけでも空のように攻撃力が高いわけでもないため攻撃は苦手。また、喜怒哀楽で希望のお面を引いたときに付与される憂鬱状態は敵だけでなく味方にも付与されるため、対策印は必須。そのため使い勝手が良いとは言えないだろう。
  • 一部敵キャラクターの性能やグラフィック
    • 特定の敵キャラにヘイトが溜まりやすい。
      • 代表的なのは、床落ちアイテムロストの天敵響子やフランドール、ランクが上がるとフロアのどこにいても攻撃してくるようになる萃香と天子、特殊能力を持たない代わりに最高ランクになると高い体力・攻撃力・状態異常耐性を持つ強敵キスメなどか。無論、他にも厄介な能力持ちの敵は多くいる。
      • それぞれ対処法さえあればそこまで苦戦する相手ではないのだが、対処に必要なアイテムの持ち合わせがなかった時、特に持ち込み不可ダンジョンの下層でこれらと遭遇した時の絶望感は凄まじい。ゲームの仕様上仕方ないこととはいえ、そのキャラが嫌いになってしまう人もいるだろう。
    • パチュリーはグラフィックが四つん這いで移動モーションは匍匐(ほふく)前進、さらにHPがある程度減ると自爆するという妙なキャラ付けがされている。
      • 他にもプレイヤーを状態異常にする魔法を使ったり、小悪魔を召喚したりするので、上記の連中ほどではないが中々厄介な敵キャラではある。
      • 小悪魔と融合すると「大魔法使いパチュリー」になり、立ち上がって凛々しい姿になり、より強力な魔法を使う……のだが、慣れると融合する前に倒せてしまうので、四つん這いの姿や自爆する能力ばかり印象に残ってしまいがちである。
      • 原作でも病弱で喘息持ちという設定はあるが、普通に歩けないほどではない。二次創作なのでキャラクターをある程度改変するのは悪くないが、ここまで情けない姿にする必要はあったのだろうか。
  • 非持ち込みダンジョンのバランスが大雑把
    • 他のローグライクゲームと比較した場合、多くの非持ち込みダンジョンでは敵の強くなる速度が遅くて攻撃力が低く、武器と防具がどんどん進化して簡単に進める一方、モンスターハウスに相当する百鬼夜行では恐ろしく多い数の敵と対峙することになる。
      • 大部屋に30体以上でぎゅうぎゅうになった敵を全体攻撃で清掃する手段がないと、勝てるとしても膨大な手間を強いられる。
    • 「西行妖の枝」というお守りは装備したまま10ターン経過すると死亡するという強烈な効果がある。ゲームバランスの関係上、マイナス効果の装備品を出すのは必然としても、死に直結するこの効果はやりすぎではないだろうか。
      • 装備するとプレイヤーの頭上に怪しげなカウントが表示されるし、10ターン経過する前に装備を外せば死なずに済むので、慣れたプレイヤーなら対処は十分に可能。しかし呪われていて外せなかったり、このアイテムの存在を知らない初見プレイヤーだとどうしようもない。
  • 状態異常を無効化するボスキャラクターが多い
    • よって、殴るのと回復を繰り返すだけの単調で力押しのボス戦になりがち。『シレン3』でも同じ問題点が指摘されている。
    • 序盤のボス戦はお供として出てくる雑魚敵には状態異常が効く場合もあるのだが、ゲームが進むにつれて雑魚敵にすら効かなくなる事が多くなる。
    • 状態異常がなんでも効いてしまうと、それはそれで攻略難易度低下・ボスの威厳がなくなるという問題もあるのだが、「状態異常は効くけど雑魚と違ってすぐに回復する」などといった工夫があればボス戦の戦法が増えただろうに。
    • 泥棒時に大量発生する敵キャラクターも状態異常無効、さらには場所替えや吹き飛ばしなどの位置移動すら効かない。しかも3倍速行動で追いかけてくる。
      • 泥棒時に出てくる敵が強いのは不思議のダンジョンシリーズでは恒例だが、シレン・トルネコシリーズではそういった強敵にも状態異常は有効な事が多かった。しかし本作では小細工すら通用しないため、泥棒の方法がかなり限られてしまっている。
  • 敵キャラの名前にバリエーションが少ない
    • 本作の敵はシレンと同じランク制だが、その名前がごく一部の例外を除いて「(~(キャラ名)ちゃん」「~」「~さん」「~さま」「でかい~」で統一。ランク毎に名前も工夫する他作と比べ芸がなく、手抜きとも見て取れる。
    • ただし、どの敵のどのランクなのか初見のメッセージのみで直感的に理解できるという利点もあり、特にローグライク初心者にとっては無駄な覚えにくさがない明確なメリットである。
    • 基本的に各ランクに固有名を設けないのは以前のシリーズからの仕様であり、意図的な工夫なのは明白である。
      • 本作の敵キャラはその特性上「元ネタがあり大きくは崩せない」「全員が少女の姿で差別化に限界があり、原作を知らないと咄嗟に見分けづらい」というキャラゲー的な難点は避けられないため、その上ランクまで固有名でバラバラにしてしまうと収拾がつかなくなるのは容易に想像できる。
    • 例外的に固有のランク名がある敵には、種族名に合わせた駄洒落になっている小悪魔*11や、通常よりも多くの段階のランクを持つキスメ*12、藍しゃまなどがいる。どれも例から外れながらも強弱がわかりやすいよう工夫がされている。

問題点

  • イベントの密度
    • アドベンチャーゲームのような会話パートがあるのだが、イベントの発生頻度が偏っている。
    • 特に体験版でも遊べるメインストーリー第1部では、序盤に店や宿などの施設を集めた「妖怪の里」を訪れるのだが、最初に訪れたときは店に入る度に会話イベントが発生してテンポが悪い*13。逆にここを過ぎると第1部ダンジョン終盤まで会話イベントは散発的にしかない。
      • また、入店時の会話はパートナーキャラクターごとに固有のものが用意されている。新しいパートナーを連れていくと店に入るたびに新規の会話イベントが発生するため、連れてきたことがないパートナーだったのを忘れていると唐突に長い会話が始まり煩わしく感じる。
  • 実際とは異なる説明文が表記がされている物がある。
    • アイテムの活性丹は説明文では毎ターンHPが少し回復する再生状態になると書かれているが、実際はHPの自然回復量が2倍になる好調状態になる。
    • 妖魔図鑑のこいしは防御貫通攻撃をすると書いてあるが、実際は回避不可能の攻撃をしてくる。
  • ダンジョン『マジカルExボンバー』について
    • 後半で挑戦できるサブダンジョンの一つ。簡単に言えば爆発がメインの9Fダンジョンで、爆発関係の能力を持つ敵を大量に床落ちしている爆薬で突破していくのだが、爆発で敵を倒しても経験値が入らないためプレイヤーの強化が出来ず、進行が困難になる。
    • ならば普通に倒そうにも1Fの時点で敵が強いので、武器を拾わない限り殴り倒すのはまず不可能。
    • 食料もあまり落ちておらず、爆発により台無しになりやすいので、レベル上げも長く出来ない。
    • 敵の強化も早いので、レベルを上げても終盤は精々一発耐えるのがやっとで、倒すのはほぼ不可能。にとフュージョンもコストが非常に高く容易に使えない。
    • 最後の9Fでとどめを刺すかのように、爆発が無効の妹紅と空、爆薬を投げてくる響子、飛び道具反射持ちの雛、透明で高火力持ちのにとり、そして即死レベルの火力を部屋中に撒き散らすフランドール等非常に厄介な敵ばかり。
    • 以上の事からただの運ゲーで面白味が無いと酷評されている。全9Fと比較的短いダンジョンなので何度も挑戦しやすいのが幸いか。
  • 一部のトロフィー入手の難易度の高さ
    • やり込み要素に当たるので進行には全く問題は無いが、条件となっている調合や練成のレシピを全て埋めるとなると非常に手間が掛かる。
    • 対応の素材を持っていないとレシピに表示されず、何が埋まっていないのかが分からない。
      • それに加え、一部の素材は一定レベル且つ撃破数や強化値指定されている装備も必要になるので、自力で見つけ出して全て埋めるのは至難の業。
  • ストーリー登場キャラやパートナーの人選
    • パートナーに古明地さとりと霊烏路空が選ばれており、火焔猫燐もストーリーの会話イベントに登場するにもかかわらず、古明地こいしは敵キャラでのみの登場でストーリーに一切絡まない。下記のTOD-Rでも登場せず。
      • 別にこいしがストーリー上に存在しなくとも進行に影響が出る訳では無いが、彼女だけハブらずに何らかの形で出して欲しかった所である。
    • 因みにTOD-Rに於いてフランドール・スカーレットもパートナーとして登場しているのにもかかわらず、彼女の姉であるレミリア・スカーレットがストーリー上だと未登場だったりするので、それぞれのキャラによる優遇差がどうしても気になってしまう。
    • 大妖精は当初は敵キャラとしても登場しておらず非常に扱いが悪かった*14が、DLCの追加ダンジョンで敵として出現するようになり、TOD-RではDLCでプレイヤーキャラとして登場した。
      • 確かに原作ではセリフや立ち絵が存在しないモブキャラクターではあるが、同じような立場の小悪魔は当初から敵キャラとして出ている。
    • 他にも、原作では主人公を務めている霧雨魔理沙や東風谷早苗はストーリーに一切登場しなかったり、DLC『ザ・バレットリポーター』では天狗の中で姫海棠はたてだけ全く出番がない。後に魔理沙や早苗はTOD-Rで登場した。
      • 一方で、どちらかと言えばマイナーなキャラであるレイセンがパートナーに大抜擢されていたりと、ストーリーの登場キャラクターの人選に不満を持つプレイヤーもいる。レイセンはAQUA STYLE代表のお気に入りキャラらしい。
    • とはいえ、原作キャラ全員をCV・立ち絵付きでストーリーに登場させるのは無理がある。
      • ストーリーで活躍させられるキャラの人数が限られている以上、取捨選択しなければいけないのは仕方ないが、それでも優遇差を埋めるような工夫を凝らしてほしかったところである。
      • プレイヤーによってお気に入りのキャラは違うし、どのキャラにも少なからずファンはいるので誰を出すのが正解とも言えない。こればかりは難しい問題である。

総評

やや複雑な不思議のダンジョン系ローグライクRPGのシステムを単に簡略化するのではなく、丁寧なチュートリアルで初心者にもローグライクの魅力を知ってもらおうという構成は良くできている。ローグライク単体としての出来も非常によい。
シナリオ面では会話イベント連発の序盤と、黙々とダンジョン攻略が進んでいく中盤以降とでチグハグな印象があるが、ローグライクRPGとしては完成度が高い。

同人ゲームの二次創作作品という事で抵抗がある方も居るかもしれないが、単体のゲームとしてもかなりの完成度を誇り、それほどコアなファン向けな作風という訳ではない為、原作を知らない人やローグライク初心者にもおすすめ出来る逸品である。
ただし、冒頭でも述べたように本作はあくまで非公式の二次創作なので、本作から東方に触れた人は公式設定と二次設定を混同しないように気を付けよう。

余談

  • ファミ通レビューでは8・8・8・7のシルバーであった。
  • 後にPC版の「不思議の幻想郷-THE TOWER OF DESIRE for PC-」がコミックマーケット90にて頒布。
    • PC版は同人流通作品扱いの為、本項では取り扱わない。
    • それに伴いPSVita版は3,000+税に恒久的な値下げとなったが、TOD-Rの発売に伴い2016年12月22日に配信停止になった。
  • PC版はDLsiteなどでダウンロード販売もされていたが、こちらも2023年10月頃に配信停止になった。
    • 現在では入手困難になっている。今から遊びたいなら、完全版のTOD-Rを買った方がいいだろう。


不思議の幻想郷 TOD -RELOADED-

【ふしぎのげんそうきょう てぃーおーでぃー りろーでっど】

ジャンル ローグライクRPG


対応機種 プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
Nintendo Switch
メディア 【PS4】DVD-ROM1枚
【PSV】ゲームカード1枚
【Switch】ゲームカード1枚
開発元 AQUA STYLE
発売元 【PS4/PSV】Mediascape
【Switch】ソニー・ミュージックエンタテインメント
発売日 【PS4/PSV】2016年12月22日
【Switch DL】2017年12月28日
【Switch PKG】2018年7月19日
定価 【PS4】
通常版:6,400円
限定版:9,800円
DL版:5,800円
【PSV】
通常版:5,800円
限定版:9,200円
DL版:5,200円
【Switch】
通常版:4,600円
限定版:8,800円
DL版:4,500円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 良作
ポイント 前作のDLCを収録し、追加要素を含めた完全版

概要(TOD-R)

TODの全てとDLCである『物部布都の7つの試練』『ザ・バレットリポーター』を収録し、更に多くの追加要素を加えたTODの完全版とでもいうべき作品である。

TODはダウンロード版オンリーであったが、本作ではパッケージ版としても発売されており、また限定版も存在する。そしてPS4版も発売されており、PSV版とはクロスセーブが可能となっている。クロスセーブ機能を用いることで、PC版を含むTODからのセーブデータの引き継ぎが可能。

PSV/PS4版発売から約1年後、2017年12月21日にNintendo Switch版の発売も決定した。その後延期が入り、12月28日に配信開始。さらに、PCに返り咲く形で2018年10月26日からSteamでも配信されている*15

TODの要素は(一部調整されているものもあるが)全て収録されており、そこに追加要素が加わっておりボリュームは更に増えているが、元々が同人ゲームということを考えるとかなり高値の作品となっている。

追加要素(TOD-R)

  • サブストーリーとして『ミラクル★アンビションズ』が追加された。また、それに続く形のメインストーリー最終章である『エンド・オブ・ザ・デザイア』が追加。
  • サブストーリーとして『フェアリーキングダム』が追加された。
  • 敵キャラクターとして、本作発売時点での原作最新作『東方紺珠伝』のキャラクターが実装された。
    • TODではサブストーリーでしか登場しなかった大妖精は登場するダンジョンが増えた。
    • ただし『東方深秘録』の宇佐見菫子はTOD同様オリジナルがサブストーリーで登場するのみで、複製体の通常エネミーは登場しない。
      『東方鈴奈庵』の本居小鈴もドッペル小鈴以外にオリジナルがNPCとして登場するようになったが、こちらもエネミーはなし。
  • プレイヤーキャラ、パートナーキャラが共に最大で19人と大幅に増えた。
    • TODではDLCを購入しないとプレイヤーキャラが霊夢で固定されていたが、今作では各サブストーリーをクリアすればDLCなしでプレイヤーキャラを変えられる。
      • 標準で使用可能なプレイヤーは霊夢、布都、文、椛のTODからの続投組に早苗、魔理沙を加えた6人。残りの13人はDLCが必要。
    • デフォルトではパートナーとしてのみ使用可能なキャラも、有料DLCを導入すれば全員プレイアブル化できる。
    • また、同じく有料DLCの外伝ストーリーであるクロックリメインズを導入すれば霊夢をパートナーとして利用可能になる。
    • どちらかと言えば脇役キャラの活躍が多かったTODに比べて、魔理沙・早苗・アリス・フランドール・咲夜・チルノなど、人気や知名度が高いキャラクターがおおむねストーリーに登場するようになった。もちろん、TOD時代からいるプレイヤーやパートナーも引き続き使える。
    • ダンジョン侵入前にプレイヤーとパートナーを選択できるが、そのキャラの多さはまるで格闘ゲームのよう。
  • 装備品の種類が大幅に増えた。一度入手したものなら、後述のアイテム図鑑でいつでもグラフィックを確認できる。
  • 印の種類が増えた。
  • にとフュージョンに「鑑定」「分解」「融合」の機能が追加された。
    • 「鑑定」はにとポを消費してアイテムを1つ識別する効果を持つ。消費にとポは最初はそれ程多くはないが、利用回数に応じて増えていくため効果的な運用が求められる。
      • 必要量はダンジョンによって決まっている。使う度に必要にとポが倍々で増えていくダンジョンもある。
    • 「分解」はアイテムを分解(消費)することでにとポを得ることが出来る。また確率によっては素材が得られることもある。
    • 「融合」はTODにおける転生に代わるシステムである。これについては後述する。
  • 素材入手のシステムとして「アキュンガチャ」が追加された。
    • ガチャ、という名前がある通り、ランダムで素材を入手出来るシステム。もちろん(?)ここでしか手に入らない素材もある。
    • なお、リアルマネーは一切必要ないが、必要なゲームマネーは多いのでやり込んだ人向けコンテンツである。
  • アップデートで『松風水月』を超えるエンドコンテンツダンジョンや、金策、にとポ集め向けのダンジョンも追加されている。
  • 装備の見た目、SEを変えられる施設の追加。
    • 「性能はいいけど、見た目は前の方がよかった」「攻撃時のSEがちょっとうるさい」などといった人のためのもの。装備の性能はそのままに、ある程度装備をカスタマイズできる。

変更点(TOD-R)

  • 一部のダンジョンの難易度調整。
    • 色々調整はあるが、一例として、TODで不評だった「マジカルExボンバー」はパートナーを連れて行けるようになり難易度が(若干)低下。
    • 大体は低難易度に調整されているが、「ジャンクガーデン」や「不思議な亜空間」のように『紺珠伝』のキャラクターがモンスターテーブルに追加された結果難易度が上がっているものもある。
  • 転生は廃止されて、代わりに融合となった。
    • この廃止に伴って稗田之書の用途も変更されている。
  • 一部のモンスターの性能が調整
    • 例えばTODで猛威を振るっていた早苗は能力を使う回数、頻度が抑えられて弱体した。星については印を盗む数が減り、低ランクではワープもしなくなったので事故が減った。
    • 一方TODでは無能力だった九十九姉妹は能力が与えられ純粋に強化、高位の椛は透明化を打ち消してくるといった強化を受けているなど一部の敵の能力が強化されている。
  • 一部キャラクターの声優の変更
    • TODで射命丸文を担当していた声優が体調不良ということで、声優が変更されている。
      • 鈴仙・優曇華院・イナバも同じ声優が担当していたが、こちらはボイスの新録がないため変更なし。
  • TODでの説明文の実際の効果との不一致は、アップデートで文章やアイテム効果自体が変更されほぼ解消している。
  • キャラクターセレクト方法の変更
    • メニュー画面にキャラクターセレクト機能が追加され、ダンジョン挑戦前の好きなタイミングでプレイヤー及びパートナーキャラを自由に変更できるようになった。
    • 従来の博麗神社境内のNPCとの会話にはキャラ変更の選択肢がなくなり、サブストーリー開始と通常会話のみとなった。また境内に登場するキャラの顔ぶれも変更されている。

Nintendo Switch版での変更点

  • ゲームエンジン刷新による安定性の向上。
  • 「博霊戦記」機能の復活。
    • Switch版にはハード機能の都合上トロフィーはないが、代わりにPC版「不思議の幻想郷」シリーズにあった達成リスト「博麗戦記」がゲーム内の幻想郷縁起の機能として復活し、PSV/PS4版のトロフィーと同等の達成内容が記録される。
  • フラグ開放モード「稗田の合言葉」
    • 合言葉を入力することで、セーブデータのアイテムや資金などの状態はそのままに、ゲームの進行度やダンジョン解禁などのフラグを変更できる機能。
    • 対応する合言葉さえ知っていれば、PSV/PS4版で進めた部分までストーリーを開放したり、最初から全ダンジョン開放も可能。
  • セーブスロットが2つ存在する。
  • 発売元がメディアスケープからソニー・ミュージックエンタテインメントが手がけるインディーズブランド「UNTIES」に変更。価格が下がったのもこのためか。

DLC関連(TOD-R)

  • TODのDLC内容を全て収録した上で、TODR独自のDLCが配信されている。
    • 霊夢の別衣装
      • 性能は据え置きで、霊夢のフィールドグラフィックや立ち絵を変更できる。カットインや台詞も専用のものに変化する。
    • 追加サブストーリー『クロックリメインズ』
      • クリアで十六夜咲夜が新規プレイヤーキャラとして本編でも使用可能になる他、これまでプレイヤー専用キャラだった霊夢をパートナーとして使えるようになる。
    • パートナー限定キャラのプレイヤーキャラ化
      • 無料DLCでフランドールがプレイヤーキャラとして使えるようになり、その後その他のパートナー限定キャラもプレイヤーキャラ化され順次有料配信されている。
      • 各々がパートナー時にはなかった新規ボイスと専用スペルカードや独自性能の弾幕を持つ他、「常時浮遊状態」、「水路を移動でき、水際では常時倍速+怪力+再生状態」、「自分以外のキャラの専用スペルカードを全て使用できる*16」といった個性豊かな独自性能を有している。また各キャラをイメージした装備が同時に実装される(専用装備ではない)。
    • さらに新キャラクターとしてチルノ、大妖精、比那名居天子が実装。こちらもプレイヤー、パートナーどちらとしても使用可能。
    • 最終的には前述の霊夢も合わせて、本編15人とDLC専用4人の合計19人のプレイアブルキャラ全員がプレイヤーとパートナーどちらとしても使用可能となった。
  • Switch版では、発売までにPSV/PS4版で登場したDLC内容をひとまとめにした専用のDLCが配信されている。PSV/PS4版と違い、個別の購入はできない。
  • 比那名居天子はSwitch版発売に合わせ、先行実装された。3ヶ月ほどしてPSV/PS4版でも実装。
    • 天子は元々PSV/PS4版当初は製作予定がなく、Switch版の開発ありきで製作されている。

体験版(TOD-R)

  • 本作も無料の体験版が公開されているが、プレイ可能な範囲はメインストーリー第2部の中盤、旧都の手前までと少し広くなっている。

評価点(TOD-R)

転生システムを簡略化した融合システム

  • TODにおける転生システムを簡略化した融合システムは概ね好評である。
    • 転生システムと同様に、装備品をレベル上限まで上げる必要があるのは同様であるが、そこに別の装備を融合していく形となっている。
    • 転生と比べたメリットとしては以下のものが挙げられる。
      • 転生の場合、行うとレベルは(大体の場合は)一時的に下がってしまうが、融合の場合レベルはそのままであるため、一時的に装備品が弱くなる心配がない。
      • 転生は「合成」機能を使うため、間違った合成をしてしまい転生装備を喪失するといった事故があったが、融合の場合「融合」という独立した機能で行う為、誤操作をし辛い。そもそも、融合装備は合成の素材として使えなくなるため誤って素材にしてしまう、というミスは起き得ない。
      • 転生では場合によって固有印を失うことがあったが、融合の場合(消費するにとポが増えるが)基本的に固有印は最大量までなら全て引継ぎ出来る。
      • 転生には稗田之書が必要であったが、融合の場合はにとポで可能となっている。
    • デメリットとしては融合を重ねるとにとポの消費量がどんどん増えていってしまう点が挙げられるが、TODにおける稗田之書よりは入手しやすいし、にとポを大量に入手出来るダンジョンも登場している。

全体的な難易度低下

  • 変更点でも述べた通り、全体的にTODと比べ難易度は易しく調整されている。
    • メインストーリーの進行に必要な『緊急事態発生!』はTODより敵が弱化しクリアしやすくなっている。
      • また、『緊急事態発生!』の出現に必要なクリアダンジョンの数も減っている。
      • これによりメインストーリークリアだけを目指すなら持ち込み不可のダンジョンは1つのみのクリアで良くなった。
    • 融合装備を前提とするダンジョンである『松風水月』についても出現条件が緩和された。
      • 難易度の高い『博麗の試練』(持ち込み不可)をクリアしなくていいのはだいぶ楽になったといえる。
  • 未識別ダンジョンでは、にとフュージョンの鑑定機能があるおかげでだいぶ鑑定が楽になっている。
    • 特に、識別が難しいお守りや一部のスキマは有効価値がかなり高い。
    • 余ったアイテムを素材やにとポに変換できる分解もかなり強力。
    • 無論、にとフュージョンが制限・禁止された高難度未識別ダンジョン(不思議の亜空間等)では鑑定や分解は使えないため、そちらの難度は据え置き。
  • 前述のDLCキャラには強力な固有能力を持つものもおり、それらを購入して使うことでも難易度を下げられる。
    • 常時浮遊状態の屠自古や、LvUP時のHP増加が他のキャラの2倍でレベルが上がるほど圧倒的な耐久力になるプレイヤー華扇、中消費の弾幕が「パートナー復活+自身とパートナーに再誕付与+良性状態変化を最大3つ付与」の効果を持ち、弾幕Pを切らさなければ半不死身の大妖精など。
    • 無論彼女らを使わずともクリアは十分可能だが、こういった強みを生かせば他とは全く異なる無茶な立ち回り等もできるため、単に強いキャラを有料で出すのではなく「遊びの幅を広げる」というDLC本来の意義を達成していると言える。

更なるやり込みダンジョンの追加

  • 持ち込み可能な高難易度ダンジョンがさらに追加。
    • TODで「松風水月」をクリアして既に敵なしだったプレイヤーに対しても、更なるハイレベルなダンジョンが登場したので更なるやり込みが可能となっている。
    • 松風水月を難しくしたような『挑戦と鍛錬』が追加された。敵のレベルが最終的には5桁になる超インフレダンジョンとなっており、松風水月をクリア出来る装備であっても苦戦するような難易度になっている。もちろん融合装備前提。
    • 金策ダンジョンも追加された。こちらも難易度は高いが、文字通り桁違いのお金を入手出来るダンジョンになっている。
  • そしてにとポが稼げるダンジョンも追加されている。こちらは難易度はそれ程でもないが持ち込み不可である。ただし、こちらもやはり桁違いのにとポが稼げる。

アップデートによる遊びやすさ向上

  • 本作は、発売から1年5か月後まで総計29回ものアップデートが行われており、バグや誤字脱字の解消のみならず様々な機能・アイテムの追加やバランス調整、各種クオリティアップが図られている。前述の「装備の見た目、SEを変えられる施設」も該当する他、拠点間のファストトラベル実装、パートナー選択画面で直接パートナーの装備を変更可能になる、追加ダンジョン実装、倉庫の利便性向上、各種図鑑機能の順次追加など。特に妖魔・人物・罠・地形・状態変化・アイテム・印・弾幕の各種図鑑は、ゲーム中で参照できるものにしては情報が詳細で非常に有用。
    • 罠図鑑は、各種罠の効果が詳しく記されているだけでなく、それらへの対策となる印やアイテムまで解説されている。印だけで130種類ある本作で、初心者には非常にありがたい配慮である。
    • 印図鑑は、その印が関係する敵の能力、罠、地形、アイテム効果にどのように作用するか詳細に(効果量の計算式など)書かれていて攻略に大いに役立つ他、防げそうで防げない紛らわしい効果や、例外的な条件なども記載されている。(例:「重石」印はアイテムおよび装備キャラが吹き飛ばなくなる効果を持つが、飛ばす側が「怪力」状態または飛ばされる側が「小人」状態のときのみその効果が発揮されない。)
      • 本作は「敵の特殊能力←→その特殊能力を無効化する印」などを筆頭に、敵の能力、罠効果、地形効果、フロア効果、状態変化、アイテム効果、印効果…と互いに影響を及ぼしあう要素が多い。それらに特定条件でのみ効果を発揮する・しない、相反する効果の優先順位などが合わさり、一つの現象に対し三重、四重とフラグが絡むこともあるため、それらが(全てではないが)細かく解説されているのは親切設計。
    • 弾幕図鑑は、各弾幕の威力補正値、効果範囲の図解、「砲撃」印による強化内容に加え、ランダム効果の確率分布など、一般にゲーム中ではあまり説明されない仕様まで書かれている。
  • 一方で、現在では関係ないが、アップデートに深刻な不具合が内包されていたこともある(後述)。

賛否両論点(TOD-R)

アキュンガチャというガチャ方式の素材入手システム

  • 本編をクリア後に利用出来るシステムであり、ランダムで素材を1つ入手することが出来る。
    • このシステムでしか入手出来ない素材もあるため、極めるのであれば避けては通れない。
  • このアキュンガチャはゲームのプレイ時間1時間につき1回無料で引くことが出来る(1時間を超えてもその分回数が増えるわけではない)が、それ以上に引く場合には稗田之書が必要。
    • 稗田之書はTODと同様に一部のダンジョンのクリア報酬として入手出来る他、1冊50万円(ゲーム内通貨、以下本項の「50万円」は全てゲーム内通貨を指す)で購入可能となっている。
      • ただ、大量にガチャを引こうとすればクリア報酬として入手出来るものでは足りなくなりがちなので、結果的に50万円で購入することになってくる。
    • 出現する素材は当然ほとんどがハズレであり、普通にダンジョンに落ちているものが出ることも多く、50万円に見合うものであることはまずない。
  • もっとも、アキュンガチャはやり込みユーザー向けのコンテンツであり、最強装備を作る、という段階に至るまではやる必要はないといっていい。
    • 出現するのは素材なので、無理に50万円を捻出してレア素材をゲットしてもその時点では使えない、レシピが解放されていないことさえザラ。
  • この仕様のためか、TODで入手難度の非常に高いトロフィーであった調合・錬成のリスト埋めのトロフィーは今作ではない。あったら前作以上の難易度になったのは間違いないだろうが。
  • ガチャというシステムではあるが、全てゲーム内通貨で完結しており、リアルマネーを使うことは一切ないので安心されたい。
    • そもそも、この方式自体が、ソーシャルゲーム文化を皮肉ったパロディという側面もある。
      • 一応、ガチャを引かずとも最高レアリティの素材を交換できるアイテムも存在している。いわゆるスペチケである。
      • アップデートで不具合が発生した場合、次回アップデート時に相当量の稗田之書が無償で貰えた。いわゆる詫び石である。

問題点(TOD-R)

TODプレイヤーからすると値段に見合わない内容

  • 本作は事実上はTODの完全版となっているが、TODプレイヤーに対しての値引き等は一切ない。
  • 既にDLC『物部布都と7つの試練』『ザ・バレットリポーター』を導入済だったプレイヤーにとっては追加要素だけにフルプライスの金額を出すことになるが、これはやや高いと言わざるを得ないだろう。
  • もっとも、本作は度々PSStoreのセール等で割引されているので、安く買うこともできなくはない。

データが引き継げない不具合があった(現在は解消)

  • 発売当時、PC版のTODから本作へデータ引継ぎが出来ない不具合があった。
    • 当たり前だが、本作を既に始めてしまった場合、途中からのデータ引継ぎは出来ないため、PC版TODからデータを引き継ぎたい場合には2017年2月のアップデートまで待つ必要があった。

バグが多い(現在は致命的なバグはほぼ解消)

  • 初期の頃は装備消失や特定の行動でエラー落ち等不具合が多かった。
    • アップデートを度々重ね大半が修正されたが、また新たな不具合が確認される事もあった。
      • 数回プレイすれば気づくバグもあれば、過去のアップデートで修正されたはずのバグが後のアップデートで再発したりしているバグもあった。また、バグとは違うが、DLC用に制作中、つまり未完成のダンジョンがアップデートに内包され、潜ってしまうとデータに不具合が起きうるという深刻なものも。対応自体は迅速になされたし、少人数で製作しているため仕方ないとはいえ、さすがにチェックが甘すぎると言わざるを得ない。

プレイヤー・パートナーの能力説明が無い

  • プレイヤーキャラの弾幕の内容がかなり詳細に説明されていることは前述の通りだが、一方でDLC関連の項で述べた、キャラクターの持つ固有能力に関する説明がどこにも無い。
    • 前述の屠自古や華扇など、使えばすぐ気付くものや比較的気付きやすいものはまだしも、他キャラの専用スペルカードを使えるさとりの能力は、原作を知らなければ、たまたま間違えて使用しない限り気付きにくい。キャラを最大限活用したければ、攻略サイトで調べるなどの準備が必要な場合も。
    • パートナーキャラに関しては選択画面で固有能力の一覧が見られるためマシだが、一部情報不足。華扇の「動物の知識」、咲夜の「切り裂きジャック」、フランドールの「狂った吸血鬼」などはどんな効果なのか分かっていない。これらは『特性』に分類されているので、同じく『特性』である諏訪子の「水上活動」のような具体的な効果があると思われるが…

Nintendo Switch版、Steam版は他機種版とのデータ引き継ぎ・クロスセーブに非対応

  • クロスセーブ機能はPS系ハード間のみの機能であるため、PSV/PC版「TOD」からSwitch版/Steam版「TODR」へのデータ引き継ぎや、「TODR」同士でのSwitch版/Steam版とのセーブデータの共有はできない。
    • Nintendo Switchはハードの特性上、据置機と携帯機の間でのデータ移行がいらないため、Switchのみで遊ぶ場合はクロスセーブ機能自体が必要ない。
  • ハードを跨ぐグローバルセーブ機能の開発自体はされていたものの、メーカーの違いによる( 特に政治的な面での )問題が難しく、残念ながら実現しなかったようである。
    • Switch版の「稗田の合言葉」機能はこの代替として用意された。

その他問題点

  • 空が爆符「ギガフレア」を発する際のボイスが劣化した。
    • 無印では力強く迫力あるボイスだったが、今作では棒読み感が強いボイスになってしまった。他はそもそも変更自体がなく、なぜこれだけ差し替えられあろうことか劣化したのかは不明。

総評(TOD-R)

TODの内容についても初心者向けに更に難易度をブラッシュアップした上で、エンドコンテンツダンジョン追加なども行われている、完全版に相応しい出来となっている。
前作を既にプレイした人にとっては追加要素のボリュームをどのように見るかということになるが、プレイヤーキャラ・パートナーキャラ・アイテム・ダンジョンのいずれも大幅に増加しているため、更に楽しむことが出来るだろう。
同人の二次創作作品とは思えないフルプライスゲームということもあって、気軽に手を出して良いものか悩ましいと思われるかもしれないが、値段に見合う、というよりそれ以上のボリュームを持っているのは間違いない作品である。

余談(TOD-R)

  • ファミ通クロスレビューではオール8の32点で、ゴールド殿堂入りとなった。
    • それを記念し、現在のバージョンではとある場所で「殿堂入りシャンパン」という両手武器が購入可能。
  • 2017年12月にはプレイステーションアワードにて「インディーズ&デベロッパー賞」を受賞。
    • 記念として本編半額、シーズンパス2割引のセールが実施されたほか、武器として「PS Awardsトロフィー」が両手武器としてゲーム中で購入可能となった。
      • 受賞時にTwitterにて、トロフィーを両手で持ち、笑顔でこちらに向ける霊夢のイラストが公開された。それを見た一部ユーザーから「両手武器かな?」などとコメントが返されたが、直後の公式生放送にて本当に両手武器として実装することが発表された。グラフィック、エフェクトの色味に関してソニー側に確認を取るなど無駄に凝った作りだが、記念トロフィーを鈍器としてゲームに実装したのは本作くらいであろう。殿堂入りシャンパンも同様だが。
  • 追加DLCの配信に先立ち、2017年5月7日に開催された東方シリーズ同人イベント「博麗神社例大祭」にて「AQUA STYLE」が本作のアートブックをDLCのシーズンパス付で頒布した。
    • 同書籍付属のシーズンパスのコードはSwitch版では使用できないため注意。
  • 本作のNintendo Switch版は割と早い時期に実現しており、2017年4月の博麗神社例大祭にて実機プレイすることができた。当時はあくまで技術検証の移植であり発売予定はなかった。
    • 元々AQUA STYLE内でゲームエンジンが2種類あり老朽化もしていたので、次回作で新エンジンに一本化するための技術的なノウハウ蓄積のためSwitch版を制作したとされている*17
  • 2019年7月18日に続編としてPS4/Switchで『不思議の幻想郷 -ロータスラビリンス-』が発売。
    • 主人公と内容を一新したゲームだったが、前作よりボリューム減少やPV詐欺、バグ多数とほぼ未完成品*18と言っても可笑しくない完成度で炎上。しかもこの内容の状況でDLC発表、所謂DLC商法で追い撃ちするかの如く、火に油を注ぐ事態となってしまう。
    • 不評を受け止めたのか、AQUA STYLEはTwitterとYoutubeの生放送で謝罪*19、ソーシャルゲームの開発にメインスタッフが参加したため、スタッフ名義だけ貸して新人に作らせていたと弁明した。「ロータスラビリンスのスタッフを解散し*20、一から開発し直した」とするリメイク版『不思議の幻想郷 -ロータスラビリンスR-』が配信されることになった。
      まずSteam版『R』が2021年5月25日に配信され、その後PS4/Switchでは旧版からの無料アップデートとして夏頃と予定されていたが、難航続きだったのか遅れて同年9月30日に配信された。
      • PS4/Switchで旧版を既に持っていた場合は無料アップデート適用で『R』になる他、単品版『R』のダウンロード版そのものも改めて配信開始。これに伴い旧DL版は同年9月29日をもって配信終了となった。
        旧版を既に持っていた人へのお詫びなのか、旧版からのアップデートの場合はDLC追加パートナー「鬼形獣 Friends」が無料で追加される。なお、アップデート適用後の旧版と単品版『R』はそれぞれ全くの同内容となるが別のゲーム扱いとなっているため、DLCに互換性がないというややこしい事になっているので誤購入に注意。
  • 2022年11月24日にNintendo Switchで、追加コンテンツを全て収録した新価格パッケージ版『不思議の幻想郷 TOD -RELOADED- 超特盛ミラクルプライス』が発売。
    • なお、すでに販売されているダウンロード版TOD-Rは、本作の価格と合わせる形で本編&追加コンテンツ共に値引きされた。
  • ミラクルプライス版の発売と同時に、不思議の幻想郷の完全新作が開発中であることが明かされた。
    • 仮タイトルは『不思議の幻想郷2023』で、TOD-Rの続編とのこと。*21
      • 霊夢の予想(?)では2023年内発売予定とのことだが、発売時期は実際どうなるか分からないようだ。
    • 2023年10月時点でこれといった音沙汰がなかったが2024年3月2日の生放送で最新作「不思議の幻想郷 -FORESIGHT-」が5月15日にSteamで発売予定。
      • 当時「-ロータスラビリンス-」と同時進行で開発していたが炎上とリメイク版の緊急製作の紆余曲折、関与作品「東方ダンマクガグラ」*22の開発優先で製作の中断や遅延が続いた事で発表が間に合わなかったと話している。
+ タグ編集
  • タグ:
  • RPG
  • ローグライク
  • 東方Project
  • 東方二次創作

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月03日 22:27

*1 「東方Project」であり、「東方シリーズ」等とは呼ばない。シリーズと銘打たないのは原作者ZUN氏の意向であり、「シリーズ等と呼んだら新しい人がプレイしづらくなる」「作品自体何度も設定や世界観のリセットを行っておりこれからもそれはあり得る為シリーズと呼ぶのもどうか」という考えによるもの。

*2 武器『パタ』は「機動戦士ガンダムOO」の武器に似ていたため大幅にデザインが変更されている。防具『アンチスパイラル』は「天元突破グレンラガン」の同名キャラがモデルのため『スパイラルインキュベーター』に変更されたが今度は「魔法少女まどか☆マギカ」のインキュベーターを連想させる。防具『インパクト』も「がんばれゴエモン」のゴエモンインパクトそのままだったので「サムーレ・インパクト」になったがこれは『AQUA STYLE』が制作し、発売中止になった事もある同人作品『マリグナントバリエーションシリーズ』のキャラが元ネタ。

*3 書籍『東方鈴奈庵』の本居小鈴はマミゾウの子分が小鈴に化けたドッペル小鈴が、当時の公式最新作『東方深秘録』の宇佐見菫子はDLCのダンジョンの一つでのみオリジナルが出演。

*4 ただし、これもあくまで原作から語られているもの以外は「本作独自の解釈によるもの」なので、公式設定と混同しないように注意が必要。

*5 インスタントダッシュの略称

*6 同行させたパートナーと装備品は通常通り成長する。

*7 ただし隠しNPC及びレアエネミーとして、本編とは関係ない部分でAQUA STYLEのオリジナルキャラクターが登場することがある

*8 原作ではゲーム中でのキャラクター個人の性格や設定描写も希薄で、裏設定でしか語られない・そもそも言及すらされない要素が非常に多く、二次創作等でのキャラづくりやイメージに於いてはプレイヤー個人の思い入れや解釈等が大きく反映されやすい

*9 ターン経過で通常の状態に戻るものの、解除されるまでのターンが非常に長く、条件さえ満たせば何度でも発動できる。

*10 敵に憑りついてランクを上げる妖夢の半霊、所持品をおはぎに変える穣子など

*11 小悪魔→中悪魔→大悪魔と強弱がわかりやすい名前で成長する。

*12 でかいキスメ以降もキスメ大帝、天王創魔心キスメと成長し、グラフィックが更に巨大になっていく

*13 入店時の会話イベントはスキップ可能で、内容も本編のストーリーとは基本的に関係のないサブイベントではあるが。

*14 但し、原作での大妖精の初手となる『東方紅魔郷』では小悪魔と同様中ボスとしての登場であり、セリフは愚か、立ち絵さえも存在しない。書籍の『東方三妖精』では明確な姿で登場するが、彼女はセリフでさえも与えられていないモブキャラとして扱われている。

*15 企業パブリッシングではないため、詳細の記述は本Wikiでは禁止である

*16 一見大した意味が無いが、専用スペカは材料の面から、簡単に作れるものとそうでないものの差が大きいため、調合が使用可能なダンジョンでは攻撃の選択肢が大幅に増えることになる。

*17 他にも「任天堂での配信の形態に慣れるため」「サークル新人の習熟のため」などの事情も語られている。

*18 発売前の生放送で公式が仄めかすコメントをする始末。

*19 生放送での謝罪は発売から一年以上後である

*20 ご機嫌なアップデート称したスケジュールテーブルに、旧チーム解散を表記する程

*21 https://twitter.com/_AQUASTYLE/status/1655013345114849280

*22 開発はxeenで関わったのは企画原案。