ポケモンカードGB2 GR団参上!

【ぽけもんかーど じーびーつー ぐれーとろけっとだんさんじょう】

ジャンル 対戦型カードゲーム
対応機種 ゲームボーイカラー(専用)
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 ポケモン
開発元 ハドソン
発売日 2001年3月28日
定価 3,900円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 良作
ポイント ストーリーモードのボリュームが大幅アップ
収録カードと販売時期に恵まれなかった不遇の名作
ポケットモンスターシリーズ


概要

前作『ポケモンカードGB』から2年以上の時を経て、ゲームボーイカラー専用として発売された続編。
前作からの変更点として、主人公に女の子も選択可能になった*1
ストーリーは主人公の性別に関係なく共通で、女の子の場合も前作でグランドマスターを倒したことになっている。

収録カードの種類も前作のほぼ倍となり、前作に登場した全カードに加え『ロケット団』『拡張シート』『イントロパック』のカード、一部のプロモーションカード等を加えた445種類。
前作同様処理の難しいカードは省かれているが、代わりに「GR団」にちなんだ新たな「わるいポケモン」のオリジナルカードも増加している。


ストーリー

前作のエンディング後を直接引き継いだ話となっている。

グランドマスターを倒し、ついに伝説のポケモンカードを手に入れた主人公。
しかし、突如謎の組織「GR団(グレートロケットだん)」が現れ、島中を荒らし回り全てのカードを奪い去ってしまった。
主人公はGR団に奪われたカードを取り戻すため、彼らの本拠地に挑む。


評価点

前作の好評なシステムはほぼそのまま、バージョンアップがなされた作品。
ゲームボーイカラー専用となったため、カートリッジの赤外線ポートも廃止されている。 また、本作では男か女どちらかから主人公を選択できるようになった。
以下のような新要素がある。

ストーリーモードの強化

  • 本作では、前作のマップに加え「GR団のアジトに向かい、首領であるビルリッチを倒す」という目標が増えたため、マップが単純に前作のほぼ2倍のボリュームとなり、ストーリーも強化された。
  • 流れとしては、占領されたカードクラブをGR団員を倒して開放し、すべてのクラブを開放した後にGR団の本拠地に乗り込む、というもの。前作のクラブマスターやグランドマスター達はGR団に誘拐や監禁などされているため、救出してから対戦できるようになる。
    • ただしストーンクラブマスター、「ゲンゾウ」だけは、最初から戦える。彼は、GR団と勝負し勝っている。
    • その為GR団の一人は、ゲンゾウに勝ってからでないと、その後のGR団と戦う事が出来ない。

特別ルール

  • 本作には、実際のカードにあった「スタジアムカード」(場に出すと特殊ルールを発動するカード)が一切存在しないのだが、代わりに特定のバトルで「特別ルール」が発動し、そのプレイに限り特殊なルールが永続発動するようになっている。
  • 「デッキに特定のカードが入っていないとバトル自体を行えない」「特定のエネルギーカード以外デッキに投入禁止」などの対戦に使うデッキに条件をつけてくるものから「特定のタイプが強化・弱体化される」「場のポケモンがトラッシュ(捨て札)される場合つけていたエネルギーカードが手札に戻る」「控えポケモンが3体までしか出せない」「トラッシュに送られたカードがその対戦中使えなくなる(トラッシュが常に空の状態になる)」という対戦中にかなり特殊なルールが発生するものもあり、複数のデッキの使い分けが必要となる。
    • 当然対戦相手も特別ルールを利用したデッキを組んでくるため対策をしておく必要がある(逃げる時のコストが増加するルールの場合、相手を毒状態にできるポケモンを多用するなど)

ゲームセンター

  • ミニゲームでチップを賭け、その枚数によって特別な商品が手に入る。中には前作の幻のカードだったフシギバナとミュウもいる。
  • ブラックボックスで不要なカードを合成して新たなカードを手に入れたりなどもできる。
+ クリア後の隠し要素(ネタバレ)

ふういんのトリデ

  • クリア後の隠し要素。凶悪デッキの使い手達が集う場所。中には前作で猛威を振るった「伝説のサンダー」デッキの使い手などもいる。
  • このトリデへはクリアするだけでは行けず、今作のラスボスを2回倒す必要がある。
    • 少しネタバレになるが今作のラスボスは4つデッキを持っており、先に2回勝ったほうが勝ち(3本勝負の中では、勝敗を問わず1回使ったデッキは使ってこない)というルールで勝負してくる。その為、ふういんのトリデの封印を解く前にラスボスのデッキ4つに勝ってから行くという人が多いと思われる。
  • プレイヤーが使えば強いデッキが多いが、やはりCPUであるため一部扱いきれていないデッキも見られる。プクリンやカメックスは動かし方が単純なため流石に扱いきれているが。
  • また、本作ではゲーム中の対戦キャラに表情が用意されており、通常、勝ち(優勢)、負け(劣勢)の3つでは有るが、このゲームの対戦に華を添えている。
    • 尚、女性の対戦キャラの表情はとても可愛らしいので全て見てみることをお勧めする。
    • 余談だが、アカバネは他のキャラに比べ、勝ちの表情を見るのがやや難しい。
  • 前作で登場したイマクニ?と、こちらでも勝負する事が出来る。
    • こちらでは前作のデッキが強化されており、GR団の島だとなんと赤タイツ?にした奴も登場。彼ではないが、マスターでこのカードを使ったコンボデッキを使ってくるキャラも登場している。
    • イマクニ?も当然デッキに入っており、彼のデッキにはこのカードを使ったコンボが無いのも前作と同じ。
      • かなり序盤でイマクニ?(黒)とカードポンも出来る。こっちに来るカードは「イマクニ?」で固定。
      • 赤タイツの方は対戦を断り続けるとごく稀にカードポン可能だが、こちらは何回やっても最初に来たカードと同じカードしか出ない。しかもカードポン出来るかどうかは完全に運まかせ。何回も断って出来ないようであれば素直に諦めるのが賢明か。

問題点

収録カード

  • 発売時期と収録カードに差がありすぎる。
    • 本作は『ポケットモンスター 金・銀』(1999年11月)とそれに準拠した『ポケモンカードneo』(2000年2月)の発売から1年以上経っているにも拘らず、neoからは「リサイクルエネルギー」と「わるいライチュウ」のみ収録(ただしどちらもGBオリジナル扱い)となり、ほとんどが赤緑世代のカードとなっている。金銀の新ポケモンは旧シリーズのプロモーションカードだった「トゲピー」「マリル」「ルギア」だけしか登場しない。
    • 『拡張シート』で特徴的だった専用マーカーを使うポケモンも、再現が難しいのかプロモの「くいしんぼカビゴン」以外は全て未登場。「スタジアムカード」も特別ルールに吸収される形で消滅した。『ジムシリーズ』からのカードは「ロケット団のワナ」1枚のみ。
    • 発売日が次世代機であるゲームボーイアドバンスが発売された1週間後というのも非常にタイミングが悪い。アドバンスでもプレイは出来るが、赤外線ポートが無いので一部の通信は行えない。
  • 前作から相変わらずの問題だが、全体的にゲームバランスを壊しかねないぶっ飛んだカードが多い。
    • 追加カードにも、連打すれば相手のトレーナーを完封できるこわがらせる持ちの「ゴース」、特殊能力でお互いのトレーナーを完封してしまう「わるいラフレシア」、タイプ相性をすべて消してしまうニュートラルダメージ持ちの「バリヤード」等、後に殿堂入りランクで制限されるカードが平気で4枚使用可能となっている。
      • ジムリーダーシリーズからはよりによって、相手の手札を簡単に空にできてしまう「ロケット団のワナ」が選ばれているのもマズイ*2
    • ただしこれらはすべて実在カード由来であるため、前作の《サンダーLv.68》のようなゲームオリジナルでぶっ壊れカードを実装してしまったのに比べればマシと言えなくもない。
    • 「たたきつけろ! 挑戦状」というカードは、相手に挑戦状をたたきつけ、お互いのデッキのたねポケモンをベンチに可能な限り呼ぶかそれとも使った側のプレイヤーがカードを2枚ドローするかを選択させるカードなのだが、CPUに挑戦を受けるか判断させるのは無理だったらしく、必ず2枚ドローを選択してくるので、通信対戦以外では実質5枚目以降の「マサキ」(2枚ドロー)と化している。

前作との通信は一切不可能

  • 前作との通信プレイやカード交換、カードポンなどは一切できない。つまり前作で集めたカードなどは一切引き継げず、本作で再び集め直しとなる。
    • 一応、本作のみで(通信なしで)前作に登場したすべてのカードを収集することは可能(当時カードポン限定だった2枚も含む)。

通信必須の要素

  • クリア後に10回の通信対戦を行い、10勝することで開催されるグランドマスター杯の存在。さらにこのゲームには、コインのコレクション要素が有るのだが、その内2枚は通信対戦の勝利数が関係する特別なコインである。これらを入手(開催)するには通信環境が必要なため、人によってはそれを行うのは不可能となる。
    • さらに中には「通信対戦で勝利50回&100回」、「グランドマスター杯優勝」、「はじまりの島とGR団の島で、毎回ランダム? で開催される大会に、それぞれ10回優勝しなければいけない」等々かなり厳しい条件のものがある。
    • さらにカードコンプリートもあわせると、さらに厳しくなるので……
  • 前作同様、ライバル(ランド)に負けてプロモカードを入手できないままセーブしてしまった場合、通信を利用するかクリア後の大会イベントでしか手に入らなくなる。
  • 今作でもカードポン!でしか入手出来ない幻のカードがある。「ルギア」と、「ロケット団参上!」がそれにあたる。
    • オートデッキマシンの「てんくうのルギアデッキ」と、「きょうあくトレーナーデッキ」にはこのカードが数枚入っているので、この2種類のデッキを使うのは今となっては厳しい。下記の通り、現在ではプレミア化しているので……

ブラックボックスの存在

  • 上の「伝説のポケモンカード」にも関連するのだが、ブラックボックスは5枚までのカードを合成し、新しいカードを作ることが出来る。
    • 組み合わせ次第ではプロモーションカードや、挙句の果てには「伝説のカード」を作ることすら可能である。無論組み合わせを探す必要があるが、解れば大幅にゲームバランスを崩壊させてしまう要素となっている。
    • ただし流石に上記カードポン限定の幻のカード2枚は作れない。

一部のCPUのルール無視

  • 基本的にデッキ内容に条件を付けてくるCPUは自らもその条件をきちんと守っているのだが、「闘以外のエネルギーはデッキに入れるな」と指示してくるCPUがデッキに闘以外のエネルギーを入れている。
    • 単色デッキであってもサポートとして入れることが多い無色二個エネルギーが入っているという、プレイヤーもやりがちのミス。単なる製作側のミスである可能性が高い。
      • 「伝説のカード4種類投入」を指定してくる相手も自身は1枚も投入していないのだが、敵の幹部である彼が伝説のカードを持っているとストーリー上おかしく意図的な物と思われるためデッキも弱い事もあってあまり問題にされていない。
  • 前述の「ふういんのトリデ」に登場するボスの1人が、「夜の廃品回収*3」というトレーナーカードの効果で、回収出来ないはずのトレーナーカードを堂々と回収してくるバグがある。つまり、「夜の廃品回収」で「夜の廃品回収」を回収されてしまう。
    当然だがプレイヤー側はこのカードを使っても同じことはできない。
    • このボスのデッキには「夜の廃品回収」が4枚入っている為、何らかの方法で「夜の廃品回収」を4枚全てトラッシュに送らない限り無限に廃品回収を行ってくる。
      この為、超耐久型のデッキであるにも拘らず山札が無くなったことによる負けを誘うのがかなり難しい。
    • その動画がこちら(ニコニコ動画)。
    • ファイヤーを使い、上手く4枚の夜の廃品回収を落とせれば山札切れ勝ちも出来る可能性があるが、可能性は低い。
  • 「わるいギャラドス」の特殊能力「ファイナルビーム」は本来まひ、ねむり、こんらん状態のままきぜつした場合は発動できないにもかかわらず、何故かこれらの状態異常を無視して発動する不具合が存在する。

総評

内容的には前作の要素をほぼそのままボリュームアップしたものであり、ゲーム自体は前作以上の出来と言って過言ではない。
ただし発売時期が遅く、収録カードが当時の実状と比べ古すぎたのが一番の問題点である。


余談

  • 前作が値崩れしたこともあり本作は出回りが非常に悪く、売上もかなり低いものになってしまった。
    そのため値崩れした前作とは対照的に、ポケモンシリーズとしてはかなり希少なソフトになり、GBCソフトにしてはやや中古相場は高めである。

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最終更新:2024年01月18日 13:17

*1 設定上のデフォルト名として男の子は前作と同じく「パーク」、女の子は「ミント」という名前はあるが、ゲーム中には登場せず空欄のため好きに名付けることが可能。

*2 「きょうふのかなしばりデッキ」なる、前述の手札破壊をコンセプトとしたデッキがオートデッキマシンに登録されている限り、確信犯である。デッキ説明も「あいてが なにも できなくなる きょうふの デッキが これだ!」と書いてあるあたり……

*3 トラッシュにあるエネルギーかポケモンを最大3枚まで山札に戻す効果。