FRAGILE ~さよなら月の廃墟~

【ふらじーる さよならつきのはいきょ】

ジャンル 廃墟探索RPG
対応機種 Wii
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ナムコ&トライクレッシェンド
発売日 2009年1月22日
定価 6,800円(税別)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
周辺機器 要ヌンチャク*1
判定 なし
ポイント 人類最後のボーイ・ミーツ・ガール
練り込み不足のゲームシステム


概要

  • 『7 ~モールモースの騎兵隊~』、『ヴィーナス&ブレイブス』に携わったナムコのスタッフと、『トラスティベル』を世に出したトライクレッシェンドの共同開発作品。
  • FRAGILEは「壊れやすい」という意味の英語。海外版のタイトルは『FRAGILE DREAM』となっている。
    • 本作はフルボイスなのだが、EU版はコンフィグでボイスを英語と日本語の2種類から選べる。
  • 「月の廃墟」とあるが舞台は地球の日本である。
  • 公式サイトの美しくも儚げなBGM、珍しい純日本風の廃墟を舞台にしたゲームということも相まって、『ICO』、『大神』に次ぐ雰囲気のあるゲームとして前評判は上々だったのだが…。

ストーリー

いまからほんの少しだけ先の未来――
人類は滅び
地球は、廃墟と、青い幽霊たちの星になっていた。
主を失った世界は、緩慢に、
しかし確実に赤茶けて酸化していった。
そしてすべてが、静かに緑の中にうずもれようとしていた。
生き延びたほんの一握りの人々は、
仲間を探し、朽ち果てた世界をさまよい旅を続けていた。
自分の声だけが空しくこだまする世界で。
それでも、かすかに感じる、誰かの気配を追いかけて。

(公式HPより)

システム

  • 懐中電灯
    • 本作は薄暗い廃墟を探索するために懐中電灯を使用する。wiiリモコンにより懐中電灯で照らしたい方向を示す必要がある。
      • 主人公は懐中電灯を向けた方向が正面になるように回転するため、戦闘中も懐中電灯の向きに注意を払う必要がある。
  • 魔法のない第三者視点のARPGである。
    • 幽霊や思念といった敵と物理で殴りあうアクションゲーム。
    • 経験値が貯まると主人公のHPと攻撃力が上る。
    • 見下ろし型ではないため、主人公に隠れて敵キャラが見えないことも多々ある。
  • 本拠地と呼べる場所がない
    • ゲームの開始地点には次ステージ以降は戻れない。
      • ゲームの進行には支障がないが、ストーリーを把握するにはちゃんと資料室の本を調べておく必要がある。
    • 基本的に「焚き火」というセーブポイントを渡り歩く。
      • 焚き火で休んでいるとランダムでアイテム屋が移動販売に来る。
      • 敵のドロップアイテムは拾った直後は「謎のアイテム」となり、「焚き火」中に鑑定することとなる。
      • カバンのアイテムと手持ちスロットのアイテムの入れ替えは「焚き火」中でしか行えない。
        壊れた武器を捨てることすら「焚き火」中でしか行えない。

評価点

  • 臨場感のある廃墟探索
    • 幾度もロケを繰り返したというだけあって、各廃墟はリアリティが突き詰められている。
    • 廃墟探索中はBGMはなく、マップの地点によって靴音の響き方までこだわったという努力は本物である。
  • 丹念な背景の描き込み
    • ゲーム発売前に廃墟の落書きを公募するキャンペーンが有ったが、それ以外にオフィシャルの落書きも多数あり、廃墟を彩っている。
      凝ったデザインの小物も多数、効果的に転がっており、廃墟感を増している。
  • 物悲しいサイドストーリー
    • 主人公は「おじいさん」から貰った「青い宝石」の効果によりアイテムの残留思念を読み取ることが出来る。この能力を使って、アイテムに秘められたサイドストーリーを読むことが出来る。
      • 特に「クロシェット」のサイドストーリーは複数で物語が完成する為、相応の苦労を有するが最後の展開は必聴の価値あり。
    • 本編は主人公の回想という形をとっており、要所要所で現在の主人公のセリフが挟まれるのだが、現在の主人公の最後のセリフは特にやるせない。
    • 落書きにもメッセージが込められたものがある。
      • 後半に手に入るアイテムで、さらに隠された落書きメッセージが読めるようになる。 (ただし、そのアイテムの説明文の通りプレイヤーにある程度の覚悟が必要である。)
  • 神風動画によるOPアニメーション
    • ブレスオブファイアV』、『ロックマンX8』に携わった神風動画がOPアニメを担当。ゲーム本編ではなかなかお目にかかれない屋外の廃墟や昼間の光景が見られ、後述の主題歌も相まって高評価。
  • BGM&主題歌
    • タイトルBGMであり、公式サイトでも流れている「すべての人へ」は特に評価が高く、予約特典のCDにも収録された(後に全曲入りサウンドトラックも発売)。
    • また『ゲド戦記』などで知られる手嶌葵氏による主題歌はOP・EDともに評価が高い。

賛否両論点

  • ストーリー
    • 後述の通り、最初から考えてなかったり回収されなかった伏線がある。特に主人公についてはかなり謎が多い。(度々話される過去話、遊園地での他キャラとの会話シーン等本当に「匂わせる」程度)
      • 一方で世界観上での事件や現象については終盤辺りで伏線が回収がされており、レンやシンについてはコミック等で補間がされている。
      • 尚コミック版については時系列の関係上主人公以外のキャラの存在自体がネタバレの為クリア前に読むことはお勧めしない。
    • パートナーの存在や行く先々で思念体が現れる展開が孤独感を薄れさせているとの指摘もある。
    • 野生動物の扱いの差
      • 犬やカラスなどが雑魚敵として登場する一方で、レンがセトを「 猫が甘えているから悪い人じゃない 」と判断する場面がある。野生動物への攻撃が求められるコンセプトでありながら猫だけが贔屓される設定に違和感や不快感を覚える人も。
    • 終盤に世界の真相に迫る超展開がある。オカルトチックな世界観ではあるが、わずかな登場人物だけでストーリーが展開するためプレイヤーによってはおいてけぼりを食うことも。
  • ホラー要素
    • 鏡面台から不意に出現するわらわらとうごめく無数の手。奇声を発しながら辺りを駆けずり回る下半身だけの女の霊…といった具合にホラー要素を含む敵が存在する。
    • 公式HPには敵キャラを紹介する項目はなく、純粋に廃墟を目当てにしていたプレイヤーは面食らった。
      + ネタバレを含むため注意
    • ゲームの終盤に廃病棟を訪れることになるが、見た目が完全にホラーゲームのノリ。
    • 壁一面「死にたくない」の文字で埋め尽くされた部屋も存在する。
+ ネタバレを含むため注意
  • オカルトさを好む人はBIOHAZARD終盤のような肩透かしを食うかもしれない。
  • 序盤の「青い石」の力で幽霊や思念が見えるようになったという説明などを通じて、本作がオカルトものであるかのようにミスリードしているフシはある。
  • 一応文明自体は昭和時代を連想させる一方で「P.F.」の存在、そして科学力が異常に発達している等、勘の鋭い人は本作の世界及び事の元凶がどういったものなのかある程度気付けるようにはなっている。
  • 説明書、雑誌等でも紹介されていた「シン」は終盤でやっと登場する。
  • シンは世界を崩壊に追いやったにもかかわらず、 サイの説得であっさり改心する 。つまり世界の崩壊は シンの独り相撲が原因 であり、肩透かし感が強い。
  • シンについてはコミック版を見る前と後とで印象が大分変わると思われる。
    + コミック版のネタバレを含む
  • コミック版にてシンが事を起こした原因の詳細が判明するが 割とえげつない 為人によっては嫌悪感を催すかもしれない。絵柄自体は終始ほんわかしているものの、 この時のシーンだけ異様な雰囲気で描かれている。
  • エンディング
    + ネタバレ
    • レンとの別れが示唆されている。苦労した末に会えたキャラクターでありながらわずかなやり取りのみを残して別れが示唆されるので報われない印象もある。
    • また、主人公が「ヒロインの名前を初めて知る」というシーンがあるのだが、そのヒロインの名前は 説明書どころか公式サイトにも堂々と載っている 。(故に当ページでも構わず『レン』と表記している。)そのためプレイヤー視点では「最後の最後で今更な情報を教えられる」というなんとも微妙なシーンとなってしまい、演出が台無しに…。道中、ヒロインの名前がわからなくて困ることもないので、ここは伏せておくべきだったのではないだろうか?
  • 手荷物の所持数制限
    • アイテムがブロック状になっており、9マスの手持ちスロットに組み込んで持ち歩くシステムになっている。パズル要素を取り入れたものだが、後述の武器が壊れるシステムと合わせアイテムの入れ替えが面倒との意見もある。
    • ゲーム中にかばんを拡張するアイテムが手に入るが、後半はアイテムも大きくなるため持ち運べる数が増えた気がしない。
  • ダムステージの水増しぶり
    • ステージの中でも最大級の規模を誇るが、内部では 暗く代わり映えのしない通路を延々移動させられる羽目になる 。リアルと言えばリアルなのだが…
    • 調圧水槽ではホーミング弾で主人公を執拗に狙ってくる敵が大量に出現し、回避しにくいうえ処理落ちを発生させる。
  • 小物のデザインの使い回し
    • ポスターや自販機、看板などの小物には使い回しが目立つ。
  • 戦闘がある
    • 発売前には既に問題視されていたシステムであり一応世界観上でちゃんとした理由はあるにはあるものの、その懸念を晴らせたとは言い難い。
      • アクションゲームとしてはさほど難易度は高くないものの、回避行動もなく物理で殴るだけの単純なシステムのため単調になりがち。
    • 無駄にカッコいいモーションで棒系武器を振り回し(しかもボタンを押すタイミングでモーションが変わる徹底ぶり) チャージ攻撃可能な武器で力を溜めると 主人公が光る …などゲーム的な演出が少々ある。
      • 武器は大抵オモチャかそこらで拾えるものだが、カテゴリ毎の最強武器は一転して「らしい」ものとなることが更に拍車を掛けている。
    • これらの要素を気にするかしないかで評価は変わってくるだろう。
    • 発売前の店頭体験会で戦闘が単調だと指摘されたため、製品版ではボタン連打にならないよう改善を試みられたが、結果的に、武器を振るモーションとボタンを押すタイミングが合わなくなってしまい、かえってタイミングがとりづらくなってしまった。
    • 戦闘に敗北すれば当然ゲームオーバーになるが、セーブポイントである『たき火』が多数設置されているなどの配慮はしてある。

問題点

  • ボリューム不足
    • 普通にプレイしても10時間程度でクリアできてしまう。
    • やりこみ要素が少ない。
      • 今世紀のゲームとしては珍しく クリア特典が存在しない 。当然、引き継ぎや2周目と言った要素もない。
      • アイテムをコンプリートしても何も起こらない 。そのため、純粋な意味での収集以外のやり込み甲斐がない。
      • 野良猫に餌を与えるとマップにアイコンがつくという要素があるが、根気よく全て埋めてもやはり特に意味は無い。
  • 煩雑な諸システム
    • 戦闘システムの不自由さ
      • 上述の通り、カメラワークとリモコン操作が一体のため、視点の切り替えが煩わしい。
      • リモコンのポインタを適度に画面外へ出したほうが、誤動作を防げてかえって操作しやすいという本末転倒な事態も。
      • ロックオンシステムがない。
      • ボウガンを使うときは懐中電灯を持てないため、暗い場所では使いにくい。
    • 雑魚が厄介
      • マップのある地点を通過した時に規定数の雑魚敵が同時に発生するシステムなのだが、主人公を囲むように出現するため背後を突かれやすい。
      • 雑魚の攻撃力が高いため、囲まれた場合は一方的に殴られて死ぬことも。
      • 雑魚はセーブポイント(たき火)へ行くと再湧きする。 このため、せっかくの廃墟探索ゲームなのに、雑魚を倒した後でゆっくり廃墟を見て回るという事が出来ないことにも批判が多い。
    • 武器が壊れる
      • ランダムで武器が壊れる。運が悪いと雑魚1匹倒しただけで壊れることも。タイトルの「FRAGILE(壊れやすい)」とは武器のことだったのか…?
      • 武器が壊れた場合、手持ちスロットに予備の武器を入れておかないと他の武器に持ち替えられない。しかし、手持ちスロットの制限が厳しいため、予備の武器を常備するとアイテムが拾えなくなるというジレンマがある。
      • 壊れた武器は自分でいちいち捨てないといけない。装備中の武器は捨てられない仕様なので、いちいち装備変更しなくてはならないのも二度手間である。
      • フラッシュライトという武器に至っては一度も使わずに壊れることも。またこの武器は貯め時間が異様に長いのも使いづらい。
    • アイテム屋の登場がランダム
      • アイテム屋は3回に1回の頻度でしか現れず、任意のタイミングでアイテムが買えない。さらに登場時のムービーはスキップ出来ないため逆に休みたいだけのときに現れる煩わしさもある。
    • ミニゲームの難易度が高い。
      • 特にクロウとの追いかけっこは判定が厳しく、クリアするのにかなり骨が折れる。
  • 廃墟の再探索が出来ない
    • いわゆる「一本道」であり、ストーリーを進めると後戻りができない。ステージの再探索をしたい場合はセーブデータを複数作るか、一からやり直す必要がある。記憶アイテムを取り逃がしたまま先へ進めてしまうと、後でコンプしようとした場合、当然最初からやり直す必要がある。
  • 前述の通り、本作のアイテムは拾った直後は「謎のアイテム」となっており、焚き火で鑑定する必要がある。
    • これは作中で「暗くて正体が分からないから、焚き火で照らす必要がある」と説明されているのだが、あろうことか日中の屋外や、電灯で隅々まで照らされた室内ですら「謎のアイテム」としての入手になる。当然これらも焚き火で鑑定すると正体が判明……と、豪快な矛盾を起こしている。
      • そもそも懐中電灯で照らしても分からず、焚き火なら分かるという時点で少々無理がある設定である。ゲームの都合としても「安全な場所じゃないと落ち着いてアイテムを観察できない」など、もう少し良い言い訳はあったのではないだろうか?

総評

本筋のストーリーは王道のボーイ・ミーツ・ガールなのだが、サイドストーリーは概ね鬱展開である。
惜しみない描き込みで表現される廃墟の臨場感は申し分ないものの、
必然性の薄い戦闘要素と不自由なシステムが足を引っ張っているのが悔やまれる。
ヴィーナス&ブレイブスの評判がかなり良かったために、そのスタッフが関わったゲームということで
期待していたファンもそれなりに多かったが、やや肩透かしをくらってしまった感は否めない。


余談

  • ヒロインの服装の露出度が高く、さらに「はいてない」疑惑もある。
    • 主人公がしゃがむとヒロインもしゃがみ込んでしまい服の中身を見させないようになっている。
  • ゲーム中で語られなかった幾つかの事柄について、その部分の設定は最初から考えられていないことが後の開発者へのインタビューから判り、ファンをがっかりさせた。
  • 電撃マ王とのコラボレーション企画としてコミックが連載された。内容は本作の後日談であり、セトとレンの関係を補完するものとなっている。
  • 発売から約二ヶ月後にユーザーからの質問にディレクターが答える記事が公開されたが、「たまたまです」、「わかりません」、「そうかもしれません」、「不明です」といった具合にユーザーを煙に巻いたような文言が散見されたため、消化不良のプレイヤーの多くを落胆させた。
  • 開発者ブログやメルマガは発売されるまで頻繁に更新されていたが、発売されてからは段階的に滞るようになり、前者にいたっては約一年半後に何のアナウンスもなくリンク切れとなった。
  • 取り扱い説明書に記載されているクロスワードの答えを公式HPに入力するとかなりはっちゃけた裏PVを見ることができる。
    • こんなおふざけに力を入れるなら肝心の本編をもっと注力べきだったのでは? との疑問の声も。
  • ラスボスの動機が発売時期の近かった某国民的RPGと被っていたため局所的に話題となった(発売日は本作のほうが先)。