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ピクシーガーデン
【ぴくしーがーでん】
ジャンル
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環境育成シミュレーション
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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エスコット
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開発元
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イメージワークス
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発売日
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1999年9月30日
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定価
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6,300円(税別)
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廉価版
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エスコット オリジナルベスト版:2000年8月3日/2,800円(税別)
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判定
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クソゲー
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概要
少女の姿をした生命体「妖精」を育成し、未開拓惑星のテラフォーミングを行うという設定のシミュレーションゲーム。
PC98用に発売された『ピクシーガーデン 妖精伝説』、及びWindows95用の『ピクシーガーデン アドバンスト Terre promise』をリメイクしたもので、グラフィックなどを一新している。
本PS版では漫画『イグナクロス零号駅』や『ゼノサーガ』シリーズなどのメカデザインを手掛けたCHOCO(麦谷興一)氏がキャラクターデザインを務めている。
「少女」「育成」といったキーワードからギャルゲーのようなものを想像しがちだが、実際にはアクアリウム系のゲームに近い。
システム
箱庭内で高い精霊力を持つ妖精を育成し、未開拓惑星に配置することで惑星の精霊力を上げることができる。
そうして定められた期限内に惑星の精霊力を一定以上にすることが目的となる。
惑星の数は6つ(全6ステージ)。
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精霊力
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妖精や惑星がもつ数値で、「土」「水」「風」「火」の4属性に分かれる。このうち「土」と「風」、「水」と「火」は対となっている。
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各最大値は999で、惑星の合計精霊力が3400以上になるように開発することになる。
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惑星
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6つ存在し、それぞれ特徴が異なる。
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全属性精霊力の高い星が1つ。精霊力の高い属性と低い属性がある星が4つ。全属性精霊力が著しく低い星が1つ。
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難しいものほど開発期間が長く用意されている。攻略順は自由で、すべてクリアするとエンディングとなる。
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妖精を配置できるエリアは4つあり、それぞれ各属性が上がりやすい。
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ガーデン
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妖精を育成する箱庭。ガーデン内に植物などのオブジェを配置することで、妖精の精霊力を伸ばすことができる。
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「トランスファ」というオブジェの精霊力を妖精に供給する物体が置いてあり、この効果範囲からはみ出た妖精を範囲内に戻すことが主な作業となる。
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「温度」「ミュージック」の設定によって伸ばしやすい精霊力の傾向が変わる。
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ガーデンは全5種。全属性に対応できる平均型と各属性に特化したものがある。
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妖精
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育成対象。最初は精霊力の低い「白き妖精」から育成することになる。どの惑星でも7体所有している。
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任意のタイミングで妖精をより高位の妖精に進化させることができる。進化先は精霊力の「土」「水」「風」「火」パラメータによって分岐する。
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育成はガーデンの環境を整えることで行われ、直接的に干渉したりコミュニケーションをとるような要素はない。
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デフォルトネームは付いているが名前の変更が可能。
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その他
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「恵み」「モドゥス作成」ガーデンで妖精が起こすアクション。前者は近くのオブジェのパラメータを上げ、後者は妖精の代わりに惑星に配置できるモドゥスを作る。
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「PixyTree」発見した妖精の進化樹および解説が確認できる。
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「Appendix」見たことのあるイベントが記録される。イベントは惑星に妖精を配置しているときに条件を満たしていると発生する。
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「ネレディ」プレイヤーをマスターと呼び、サポートとチュートリアル係を兼ねるキャラクター。見た目は普通の女性だが実際は乗っている宇宙船の人工知能。
評価点
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妖精のデザイン
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PSでのリメイクにあたって一新された妖精のデザインは評価が高い。ただ美少女として可愛いだけでなく、どこか神秘的な人外の魅力を備えたものが多い。
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解説文もそれぞれ学名が設定されているなど、フレーバーテキストとしてなかなか凝っている。
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グラフィック
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ゲーム全体を通して派手さは無いが、各種オブジェは書き込まれているし、妖精もイラストを可愛くまたは格好よくゲーム上に落とし込んでいる。
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妖精のしぐさ
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パターンは多くないが各妖精に固有のモーションが作られており、ガーデンでちょこまかと動く姿はなんとも愛らしい。(トランスファ範囲外に出るのはご愛敬)
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イベントは動きのない一枚絵で数も多くないが、遊んだり暴走したり知的生命体と交流したりと、生命としての妖精と世界観の構築に貢献している。
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BGM
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上記通りBGMが育成に影響するというシステムがあるが、どのBGMも聴き心地のよい楽曲が揃っている。
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BGMごとに役割も異なるので、オブジェクトの配置と合わせることでガーデンの雰囲気も少し替えられる。
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世界観
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先述した妖精の解説文やイベントに加え、実はオブジェにもフレーバーテキストがある。OP/ED含め狭いながらも雰囲気をつくろうという気持ちが感じられる。
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ネレディの存在も大きい。ボイスがあるのは彼女だけで作中唯一の賑やかしである。宇宙船の人格で事務的な会話がほとんどだか、イベント(特にエンディング)では感情が表現されている。
賛否両論点
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いじわるなイベント発生条件の存在
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基本的に妖精をその属性に一致した惑星のエリアに配置するだけでいいが、あえて別属性のエリアに配置する必要もある。
なかには、「火の妖精」を対となる「水のエリア」に配置するという攻略のセオリーに反したものまである。
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探す楽しさや発見したときの意外性はあるものの、決してボリュームが大きくない本作で、下手すると9つほどイベントを見逃してしまうのは痛い。
問題点
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やることが少ない
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プレイ上で最大の問題点。プレイヤーのできることは、ガーデンの設定とオブジェの配置、ガーデン内での妖精の移動、惑星への配置管理のみ。
ランダム要素などもあまり無いため、ある程度攻略方針が固まったらあとは目標を達成するまでの時間の大半を、トランスファの効果範囲からはみ出た妖精を元の位置に戻すだけの単調な作業に費やすことになる。
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ある程度コツをつかむと数日を残してクリアが確定するため、ただ「待つ」ことになる。任意で開発を終えることもできない。
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バリエーションの少ないイベント
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惑星に妖精を配置していると種類ごとに固有のイベントが発生するが、内容は基本的に「妖精が自然と戯れる」か「妖精が未知の現象を引き起こす」の2種類。謎が提示されても解決されることはなく、続き物のイベントも無い。
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初めの頃は目新しさもあるが、惑星を2つ3つとクリアしていくと一度見たものが発生するようになり、時間経過を中断させられる要素になる。先述の気づきにくい条件も含め、後半のプレイがダレる一因になっている。
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進化の適切なタイミングがわからない
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先述したように妖精の進化は任意のタイミングで行うのだが、妖精が進化できる精霊力の指標は一度妖精を進化させて図鑑に登録しないと見られない。
しかも進化条件を満たしていないと逆に退化して精霊力が下がってしまうこともあるため、うかつに進化させることもできない。
進化に必要な数値は全属性共通なので、1体でも進化させれば他も分かるが、先に攻略本などを見て目標の値を確認してもいいだろう。
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一応退化に関しては、進化樹を埋めるために活用できる。
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拍子抜けな特殊進化
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妖精には通常の進化のほかに、条件を満たしたときに見られる特殊な進化がある。しかしこれらは惑星に配置したときのイベント扱いであり、特殊進化した妖精を育成することはできない。
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イベントの内容も「特殊進化後の立ち絵が出て、何もせずすぐに元の姿に戻る」という、本当に「見るだけ」の非常に簡素なもの。実装できなかった妖精をグラフィックだけ入れてみたのでは、と開発の都合を邪推してしまう。
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この特殊進化に分類される妖精の種類は全妖精29種のうち8種と、水増しにしても割合が高い。しかも公式サイトでは他の育成可能な妖精と区別なく並べられている。
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ガーデンのバランスが悪い
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どのガーデンでもクリアできるが、平均型が万能型といえるレベルで優秀で、属性特化していることを踏まえても攻略するうえで他のガーデンを選ぶ理由がない。
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「水場しか移動できない水の妖精のために適したものを選ぶ」「進化樹を埋めるために少しでもブーストする」「気分を変える」など局所的な使い道はあるが、魅力に乏しい。
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見つけてくるオブジェに使い道がない
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惑星に妖精を配置して「条件」を満たすと珍しいオブジェを見つけてくれることがある。特定の属性精霊力がとても高く、いかにも凄そうだが、条件のせいであまり活かせない。
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条件は「高位の妖精であること」「その属性の惑星精霊力が十分に高いこと」だが、
すでに妖精が高位に進化しており育成に使う必要がない可能性が高いこと。惑星の精霊力が高いということは順調に開発できておりその属性を必要としない段階にきていること。
つまり手に入るころには開発終盤で今更感が強く、使い道がないのである。
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クリアして次の惑星開発に移るときに引き継ぐこともできない。
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一部テンポの悪さ
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イベントの発生前後にそれぞれ、8~10秒ほどのロードを含めたブラックアウトの時間がある。単体ではあまり気にならないが、開発後半に一気に条件を満たしてイベントラッシュになり2,3回連続で発生すると目につく。
さらに、イベントのスキップもできないため、何度も見たイベントに待ち時間をさらに延ばされる。
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オブジェを撤去するとき、テキストウィンドウが開き「撤去します」と表示されるが、このウィンドウが開く動作が僅かにテンポを悪くしている。育成する属性を変えるために大量撤去するとき特に気になる。
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中途半端なAppendix(イベント記録)
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「オープニング」「エンディング」「オブジェ発見」「特殊進化」これらはAppendixに記録されない。特殊進化はどう見てもイベントなので何故記録されないのか疑問が残る。
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オプションの設定項目がバイブレーション機能のON/OFFのみ。
総評
退屈、という感想が出てしまうゲーム。
時間制限つきの目標があるのにシステムはアクアリウムという食い合わせの悪さを解消できておらず、少ないボリュームもあいまってシミュレーションとしても箱庭鑑賞ものとしても中途半端な出来になっている。
可愛らしくも神秘的な妖精たちのデザインや、美少女を未知の生命体として扱う世界観など魅力的な要素もあるものの、それらをゲームの面白さに活かせなかったのは残念というほかない。
余談
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通常版にはエキストラディスクが同梱。キャラクターデザインを担当したCHOCO氏のインタビュー映像、ヒロインを演じた片桐萌氏のインタビュー映像とプロモーションムービーを収録。
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発売に先駆けて、本作のラジオドラマがラジオ番組「宮村優子の直球で行こう!」内で放送され、のちにドラマCDとして発売された。妖精たちと会話するシーンがあるなどゲームとは少々趣きが異なる。
最終更新:2023年01月25日 13:24