本項では『リッジレーサー』『リッジレーサー2』を併せて紹介します。
判定はどちらも「良作」です。


リッジレーサー

【りっじれーさー】

ジャンル レース
対応機種 アーケード(SYSTEM 22基板)
発売・開発元 ナムコ
稼動開始日 1:1993年
2:1994年6月
プレイ人数 1:1人
2:1~8人
判定 良作
ポイント 元祖テクスチャマッピングゲーム
美麗で滑らかなグラフィック
爽快なドリフト走行
個性的で独創的なBGM群
リッジレーサーシリーズ


概要

記念すべき『リッジレーサー』シリーズの初代系列作品。
敢えてリアリティを無視したドリフト走行による爽快感をウリにしており、結果的に大ヒット作品となった。
1994年には続編の『2』が稼動し、その翌年には『レイブレーサー』が稼動した。


ゲームの流れ

『1』の場合

  • 1.まずコインを入れるとコース選択になり、そこでコースを選択する。ここからシフトレバーでBGMを選択する。何もしていない場合は1番の「RIDGE RACER」となる。
  • 2.最後にシフトタイプを「AT」か「MT」を選択し、レース開始。
  • 3.完走出来ればそのままリザルトになるが、1位でゴールすればウイニングランの映像に変わり、その後リザルトとなる。
  • 4.筐体内最速タイムを出す事が出来たらネームエントリーになる。出せなかった場合はそのままゲームオーバー。因みにコンティニューは出来ない。

『2』の場合

  • 1.まずコインを入れると「LINK(通信プレイ)」か「SOLO(一人プレイ)」が選べる。通信非対応の筐体や、通信が出来ない状況の場合はこのステップは無視され、次のステップに進む。
    • ここで「LINK」を選ぶと空いている台の画面に対戦者募集の表示が出る。最大8人まで対戦可能。
  • 2.次にコースを選択する。コース自体は前作と全く同じ。
  • 3.最後にシフトタイプを「AT」か「MT」を選択し、同時にレース中BGMを選択する。通常は(仮想の)DISC1が選択出来るが、ブレーキを踏むと(仮想の)DISC2を選択する事が可能になる。何もしていない場合は全曲からランダムでセレクトされる。
    • DISC2の6番はNO BGMとなっており、これを選択するとBGMが流れない状態でレースが始まる。
  • 4.完走出来ればそのままリザルトになるが、1位でゴールすればウイニングランの映像の後、エンディングとなり、リザルトとなる。
  • 5.筐体内最速タイムを出す事が出来たらネームエントリーになる。出せなかった場合はそのままゲームオーバー。因みにコンティニューは出来ない。

筐体の種類

SD筐体

  • 通常の1人用筐体。ハンドルとシフトレバーが採用されている。『2』以降は2台繋げて通信プレイが出来るようになった。

2人用筐体

  • 2から登場。上記のSD筐体を2台繋げたような筐体。基本はSD筐体と一緒。

DX筐体

  • 29型ブラウン官モニタ、大口径ハンドル、6速Hゲートシフトとクラッチ、可動式シートを採用した高級筐体。
    • 因みにクラッチを踏むとニュートラルとなり、踏んでない時にシフトチェンジすると何かを引き摺ったような効果音が鳴る。
    • 実車を再現したかのようなハンドル、ペダルの重さやシートも座り心地の良い綿入りの物を採用している等現在で見ても兎に角素晴らしい高級感。
      • 余談だが『R:RACING EVOLUTION』で紹介されていた筐体はこれである。

3画面筐体

  • 上記の筐体を3画面にした筐体。基板はモニター分の3枚が必要となる。

フルスケール筐体

  • 「マツダ・ユーノスロードスター」を使用した筐体。
    • 「ユーノスロードスター」に合わせてギアは5速となっており、グラフィックのもそれに合わせて一部変更されている。スピードメーターやブレーキランプ等がゲームの操作と連動して点滅する機能も。
      • 車体はよく見ると複数のグレードがあったようなので、中古車を改造したものだと推測される。また、エンジンなどは搭載されておらず、そこにゲーム機が収まっていたようだ。
    • ホールのような筐体で異常にスペースを取る上、プレイ料金が1プレイ300~500円とこれまた高額な為、稼働している店舗は極少数であった。

評価点

  • 「SYSTEM 22」によって出力されたグラフィック郡は稼動当時にしてはオーバースペックと断言出来る程破格の物で綺麗で細かく、それでいて60fpsで滑らかに動く優れもの。
    • ヘリコプターや飛行機が飛んでいる視覚的ギミックも良い方向に働いており、基板の底力を感じ取れる。
  • ウリであるドリフト走行も及第点で、難し過ぎず、簡単過ぎない挙動。ブレーキをちゃんと踏んでハンドルを切ればどんなに急なコーナーでも綺麗に曲がってくれる。
    • ドリフト挙動は、プログラマーの冬の北海道の初心者運転時代の経験からきている。*1
    • 但し『1』ではドリフト走行時の減速が以後のシリーズよりも激しく、グリップ走法で走らないといけない所はドリフトをすべきではない。この『1』でのドリフト時の減速が激しい仕様は現在の同社の主力RCG作品である『湾岸マキシ』にも受け継がれている。
    • 『2』ではドリフト中の制約がかなり緩和され、練習次第でコーナーとは逆方向へハンドルを切り、360度ターンでコーナーをクリアするという大道芸も可能に。
  • 車種も架空でありながらも非常に格好良いデザイン。自車の「F/A RACING」とライバルカーの「RT CYBER」*2はそれぞれ違った個性を出している。
  • レース中のボイスも張り切っており、レースを盛り上げる要素となっている。『2』では更にボイスの量が増えた。
    • 『初代』のレース中のアナウンサーはDJという設定のためか、ボイスはDJらしくシャレたものが多い。一方で『2』はカーレースらしく白熱したものが中心となった。*3*4
  • 収録されているテクノ系のBGM6曲はどれも個性的でカッコ良く、『リッジレーサー』と言う雰囲気に合う名曲に相応しい物ばかりである。
    • 企画からの当初の発注は「フュージョンっぽいもの」だったが、出来上がったのはバリバリドライブサウンドの「Speedster」(5曲目)だったそう。
    • 作曲者は「細江慎治(「sampling masters MEGA」「めがてん細江」)」「AYA(佐宗綾子)」「sanodg(佐野電磁)」であり、ここから一気に大ブレイクした事だろう。
    • 『2』ではBGMが一新され、更に新たに「J99(相原隆行)」が参加。此方の曲も勿論良曲である。
    • 当時ユーロビート系が流行していた為か、特に2ではユーロビート色が強い曲が多い。
    • その中でもmegaten氏の「ROTTERDAM NATION」を筆頭にした「ロッテルダムテクノ」系統の曲は、他に類を見ないぶっ飛んだ個性もさることながらリッジ全般の代名詞的な曲として語り継がれている程。
      • 『1』のナムコの重役相手へのお披露目の際、よりによってランダム選曲で最も異彩を放ってたこの曲が流れてしまい、ディレクターが頭を抱えるハメになったという逸話がある。
    • 2での「RARE HERO2」ではnamcoファンのハートを掴む超反則技(褒め言葉)が仕込まれている。*5
  • コースは1つだけだがそれがとても良く作りこまれているのではと言える位に兎に角凄い。因みに難易度で最高速度も変化する。
    • SHORT…初級と中級で走るコース。バックストレートのシケインとその後のヘアピンに要注意。左カーブのトンネル前にジャンプポイントある。
    • LONG…上級とT.T.で走るロングコース。初級の最終コーナー手前のストレートから左へ分岐し、道幅が狭く、めまぐるしい複合コーナーの続くコースになる。複合コーナー途中と最終コーナー手前直角コーナー前のジャンプポイントに要注意。
  • 「2」からは対戦が導入されたせいかバックミラーが採用され、後ろに居る車の確認が容易になった。
  • 高層ビル群やトンネルは、作者がゼネコンで働いていた時に作ったシミュレーションCGの経験が発揮されている。

問題点

『2』で改善された所

  • 『1』は完全1人用である。その為タイムを極める人でも無い限りは飽きが来るのが早くなる可能性が他のゲーム以上に大きかった。
    • 但し同じポリゴンを使用したゲームでも前年の『バーチャレーシング』や、翌年に出た競合作の『デイトナUSA』も稼働初期のバージョンでは1人用であったので、人によっては何とも言えないかもしれない。
    • ナムコは1作目でシングルプレイオンリー、2作目で対戦可能とするのが当時通例であった。*6
  • 上記の通り『1』のみはドリフト時の減速が激しいので、ドリフトの爽快感をより楽しむ事を考えたら微妙なポイントだろう。
    • 更に180°ドリフトした時点でドリフトが強制的にキャンセルされる。『2』でキャンセルされなくなった事により改善。
  • 全体的に2Dグラフィックが安っぽい上、メーターの針も細く、見辛い。
    • 『2』で「メーターの針が太くなった」等を筆頭にある程度改善された。

『2』で残留した所

  • SHORTコースにT.T.が無い。そのため初級のコースは敵を避けながらタイムアタックするしかない。
  • 残念ながらプレイヤーが使える車種は「F/A RACING」のみ。
    • 『2』ではようやく他の車も使えるようになった。因みに性能はどれも一緒。但し店舗設定でしか変更出来ないのでやはり問題ではあるが。
  • 視点切替が無い。これは『2』も同様。これは当時競合していたセガが筐体に視点変更ボタンを実装するデザインを実用新案として申請中だったためと推測される。
  • ステアリングの反力機構が無い。こちらも『2』で残留。これに関してもおそらく、競合会社のセガがレースゲーム筐体にステアリングの反力機構を搭載しており、前述の視点変更ボタンの特許申請の件もありセガ側に配慮したためと思われる。
  • 当時の例に漏れず全体的に制限時間が短い。上記のリカバリの難しさを考えたら尚更だろう。
  • 壁にヒットした時の減速が非常に激しく、最高速度付近でも90km/hまで減速してしまう為、リカバリが難しい。
  • 走行系の効果音のみは地味で耳に残り難い。

何とも言えない点

  • クラッチがほぼ死に機能で踏まなくてもシフトチェンジ可能。『1』のみコーナーを攻略する時に減速を抑える用途で使用される事があったが、非常にハイリスクな技である。
    • 『2』以降はドリフト時の減速自体が抑えられた上、上記の効果音も鳴らなくなった為、完全な死に機能と化した。
  • 『2』ではバックミラー等の新要素が導入されたせいで一つ一つの処理を軽減させる為か、全体的にリソースが削減されている。
    • グラフィック面で言えば、タイヤの跡が無くなってしまっている所が一番大きいだろう。これに関しては家庭用の『RIDGE RACER V』まで続く事となってしまう。
    • バックミラーを見た時のグラフィックがやや崩れかけている。直接見ても微妙だが粗が見える。
    • レース中のボイスを増やす為にBGM用の音ネタを減らしてメモリを空けるよう上層部から指示が出て、最終的には作曲者間でサンプリングメモリの奪い合いになった逸話も。

総評

ドリフト走行と超美麗かつ滑らかなグラフィックをウリにしたこのゲームは見事にユーザーの興味を引かせる事に成功し、大ヒットした。
本作が当時のアーケードゲーム業界に与えた衝撃は計り知れず、これ以降は後に本作の影響を受け対抗馬として開発されたと言われるセガの『デイトナUSA』*7を始め、90年代半ば以降のACレースゲームにおいてほぼ同様のコンセプトを模倣した作品が競合他社から多数生み出されるようになり、結果としてACレースゲームにおける挙動設定などの基本を確立した立役者的作品となった。
個性的なBGM群やコース等、他にも評価出来る所は数多く、やり応えは抜群。ゲーム史に新たな1ページを刻んだと言っても過言では無い。
だが全体的に残存数が少なく、特に『2』に関しては『レイブレーサー』にコンバージョンされた筐体が多数となった上*8、さらには『1』『2』共に稼働から既に20年以上が経過しており筐体そのものの老朽化も著しい為、現在では残存している筐体のタマ数が極めて少ないレアなゲームと化している。*9
その為見掛けたら是非ともプレイして頂きたい。


余談

  • 1994年12月3日にプレイステーションに移植された。良移植であり評価は高い。
  • BGMの1つである「GRIP」を「GRID」と表記ミスしたver.もあった。修正されたver.もある。
  • ゲーム中のエンジン音は登場車種からスポーツカーと思いきや、スターレットである。*10
  • 『2』では最初のトンネルの内側に置かれていたカラーコーンが無くなった。コースレコードの表示もコース序盤と終盤のみとなった。看板のオネーちゃんも居なくなった。
  • 『ポップンミュージック13 カーニバル』のゲームミュージック風楽曲に今作を強く意識したロッテルダムテクノ「violently car」という曲が収録された。作曲者は勿論細江慎治氏で、ジャンル名も「レーシング」。
    • …が、当時は『頭文字D』の台頭で、「レースゲームのBGMといえばユーロビート」という風潮が出来上がっていたことに加え、細江氏が同時に実装された楽曲のアーティスト2名と違い音ゲー初参戦でなかったことから、今作を意識した楽曲と気付く若い音ゲーマーは少なかった模様。
  • リッジレーサーの特筆すべき事で、タイヤの接地面と車体下部、影をワザと黒くし、タイヤ接地面を見せないことによって「デイトナUSA」や「サイドバイサイド」で見られる「車が浮いている様に見える」を見事に克服している。先駆者でありながら、後の競合する作品でおざなりにされた箇所にしっかりと手を入れているのは流石である。