大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-

【だいぎゃくてんさいばん なるほどうりゅうのすけのぼうけん】

ジャンル 大法廷バトル

対応機種 ニンテンドー3DS
発売・開発元 カプコン
発売日 2015年7月9日
定価 通常版:5,800円
特別装丁版:7,300円(共に税別)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし
ポイント 舞台は19世紀の日本と倫敦に
テキストやキャラクター、BGMは好評
しかしシナリオには批判点も多い
DLCの形態に対する疑問も
『大逆転裁判2』ありきのゲーム
逆転裁判シリーズリンク


概要

「法廷バトル」でおなじみ『逆転』シリーズの新プロジェクトとして発表された外伝的作品。
シナリオ・監督は、『逆転裁判』から『4』までと『レイトン教授VS逆転裁判』を手掛けた「巧舟」氏、イラストは、『蘇る逆転』『4』『レイトン教授VS逆転裁判』を手掛けた「塗和也」氏というシリーズにとっても馴染み深いコンビとなっている。

今作は19世紀末の「大日本帝國」と「倫敦(ロンドン)」を舞台とし、主人公である新米弁護士・成歩堂龍ノ介が、倫敦の大法廷と大探偵に翻弄されながらも、弁護士として成長していく物語を描く。


ゲーム内容

ゲームの構成は、「探偵パート」と「裁判パート」の二つから成り立っており、進め方としては従来の作品と同様である。
さらに、今作では新しく「共同推理」「最終弁論」といった要素が追加された。
なお、ペナルティに関しては『2』以降のゲージ制ではなく初代のポイント制に回帰している。

+ 主要キャラクター
  • 成歩堂龍ノ介(CV:下野紘)
    • 主人公。従来のシリーズの成歩堂龍一の先祖。作品冒頭で事件に巻き込まれたのを皮切りに、弁護士を志すこととなる。
    • 序盤は正式な弁護士ではないため法廷でも口ごもったり目が泳いだりとかなり挙動不審だが、ムジュンの追求はきっちりこなすなど才能の片鱗を窺わせる。
    • 寿沙都やホームズに支えられ、導かれながら弁護士として成長していく。
    • なお大学では英語学部所属だったこともあり、英語の読み書きについては最初から問題なくこなせた模様。
  • 美琴羽寿沙都(CV:花澤香菜)
    • ヒロインであり、法務助士を務める少女。成歩堂を優しく、時に厳しくサポートする。武術にも精通しており、よく成歩堂を「寿沙都投げ」で粛清する。
    • 頭の回転が非常に早く当初は成歩堂よりも弁が立つが、「シャーロック・ホームズ」シリーズの大ファンで本人を前にすると舞い上がるなどミーハーな面も。
  • 亜双義一真(CV:中村悠一)
    • 成歩堂の大学での同級生で親友。学生ながら弁護士の資格を持ち、大英帝国への司法留学生として選ばれるなど大学でも有名な秀才。成歩堂の弁護士としての資質を見抜き留学に誘う。
    • 常に伝家の日本刀「狩魔」を帯刀している。『逆裁』シリーズで狩魔と言えば…。
  • シャーロック・ホームズ(CV:川田伸司)
    • もはや説明不要、大英帝国が誇る名探偵。…なのだが、忘れっぽく飽きっぽく人を食ったような性格で常人にはやや理解しがたい言動が多い。
    • 作中では実在の人物で、「シャーロック・ホームズ」シリーズは彼が過去に解決した事件をモデルに執筆されたことになっている。
    • 当時の技術水準の軽く数(十)年先を行くような発明をいくつも行っているが、学会などには興味がなかったことから公には認められていない。
  • アイリス・ワトソン(CV:久野美咲)
    • ホームズの同居人。10歳ながら医学の博士号を持ち、ホームズばりの推理やガジェットの開発までこなす天才少女。
    • 作中の「シャーロック・ホームズ」シリーズの執筆者でもある。
  • バロック・バンジークス(CV:津田健次郎)
    • "中央刑事裁判所(オールドベイリー)の死神"の異名を持つ検事。彼が担当した裁判では無罪になった人間も謎の死を遂げていることから、犯罪者や弁護士にとっては畏怖の対象となっている。
    • 成歩堂とは倫敦到着直後の裁判を皮切りに幾度となく対決することになる。
  • トバイアス・グレグソン
    • 倫敦警視庁(スコットランドヤード)の刑事。よくフィッシュアンドチップスを食べている。
    • 生真面目かつ厳格な性格で、成歩堂やホームズが現場を捜査する事はあまりよく思っていないが、作中の「シャーロック・ホームズ」シリーズに実名で登場しているため著者のアイリスには頭が上がらない。
    • 名前の由来は現実の「シャーロック・ホームズ」シリーズ長編第1巻「緋色の研究」に登場する同名の刑事。

共同推理

  • 探偵パートにおける新要素。
    「ホームズ」が披露する突っ込み所満載の「超推理」を修正していくことによって、捜査の進展に関わる「推理の結果」を導き出せるようになっている。
    • ホームズは観察力は並外れているが、思考速度が速すぎるあまり僅かな情報不足や事実誤認、着眼点のズレがあるだけでとんでもない方向に推理を飛躍させてしまうため、彼の推理の要所要所で補足や事実誤認を訂正して推理を正しい方向へと導くことが龍ノ介の役割となる。
  • 修正する過程で、推理の対象となっている人物をまるで証拠品のように見回すことができ、3Dとなった利点を存分に活かしている。
    • 「サイコロック」と同様に間違った指摘をするとペナルティが与えられる。

最終弁論

  • 法廷パートにおける新要素。倫敦の法廷では「陪審員制度」が採用されており、参加している陪審員全員に「有罪」の評決を下されてしまうと、その時点で被告人の有罪が確定してしまう。このとき弁護側に与えられる権利が「最終弁論」である。
    • この「最終弁論」において、陪審員の過半数を「無罪」の評決へと説得できれば、再び審理は続行されるというルールになっている。
      • 具体的には、陪審員達の証言の中に潜む矛盾を見つけ、その矛盾を示す証拠品をつきつけたり他の陪審員の証言を「ぶつける」ことによって説得を行っていく。
      • 『レイトン教授VS逆転裁判』にあった「群衆尋問」に近いシステムといえる。また、実際の証人に対する尋問においても、「群衆尋問」方式が受け継がれている。

DLC(ランドストマガジン)

今作も『5』と同じく、有料のDLCが用意された。名前は、「ホームズ」の初稿が発表された英国の雑誌『THE STRAND MAGAZINE』が元。
無料の特別編を除くと全8パート用意されており、内容は以下のとおりである。

  • ショート・ショート
    • 本編の後日談的小話が収録。ただし、本編を補完するものではなくあくまでおまけである。
  • 図録
    • キャラクターの設定画とそれに対するキャラクターデザインを担当した「塗」氏のコメントを収録。
  • 楽曲
    • 作中で使われている楽曲とその没バージョンを収録。また、音楽を担当したスタッフのコメントもあわせて読める。
  • 音声
    • 作中で披露されたキャラクターボイスをモーションつきで収録。また、一部未使用となってしまった音声も収録されている。
  • 映像
    • 「巧」氏による本編エピソードに対する解説動画やその他のスタッフによる開発秘話などを収録。
  • テーマ
    • 3DSのHOME画面を着せ替えることができる作中キャラクターをモチーフにした「テーマ」をもらえる。何故か、「亜内検事」のものまで用意された。

評価点

キャラクター

  • 登場するキャラクターはいままでの逆転裁判に引けを取らないほど個性溢れるキャラクター達ばかりである。
    • さらに今作では、キャラクターのモーションがシリーズで初めてアクターの動きを元に作られている。その甲斐あってか、キャラクター達の動きもより滑らかでダイナミックになっており、キャラクターの魅力を引き立たせることに一役買っている。特に共同推理時のホームズと成歩堂の動きは無駄にスタイリッシュ。
    • さらに本作ではとある「実在の人物」が登場する。史実を基にキャラクター造形をした結果(『逆転裁判』らしいアレンジも加わっているが)本作屈指のネタキャラとなっている。
  • シリーズの名物でもあるキャラクター名での言葉遊びや「亜内検事」も健在である。
    • 一方で、作品を重ねるごとに増していたキャラクターの容姿や言動の”奇抜さ”は、概ね控えめに。今作のシリアスな雰囲気とマッチしている。
    • また、一見ネタのような名前の人物でも、実は「シャーロック・ホームズ」シリーズの登場人物が由来となっているケースもある。
  • また、発売前には心配する声も多かった「シャーロック・ホームズ」などの二次創作的なキャラクターもうまく逆転裁判風に昇華されており、物語の中に違和感なく溶け込んでいる。
  • 本作の主人公である成歩堂龍ノ介も、設定上は本家シリーズの主人公である「成歩堂龍一」の祖先ということになっているが、旧作とのストーリー上の関連は基本的になく、『逆転裁判シリーズ』を初めてプレイする人にも十分配慮されている。
    • 背景や証拠品を調べた時のセリフには過去作を意識したものもある。シリーズファンならニヤリとすること間違いなし。もちろんファンサービスの一種であって、過去作をプレイ必須ということではない。
    • 当然ながら『シャーロック・ホームズ』シリーズ関連のネタも背景や人名、セリフに至るまで随所に仕込まれている。全部わかった貴方は立派なシャーロキアン。

BGM

  • 今作のBGMは『レイトン教授VS逆転裁判』の音楽を担当していた「北川保昌」氏と『戦国BASARA4』や『モンスターハンター4G』の音楽を担当していた「前馬宏充」氏の2名での作曲体制となっている。
    • 両名とも、『逆転』シリーズとの関わりが深いとは言えないが、作中で流れる数々の楽曲は旧作に劣らず逆転裁判の世界を十二分に表現している。曲の雰囲気は管弦楽よりも小規模であり、弦楽器が前面に押し出される楽曲構成となっている。
  • 作品の時代感や空気感をうまく表現しており、各シーンやキャラクターの雰囲気を存分に引き立てている。特に、以下の楽曲の評判がよい。
    • 「大尋問~アレグロ」
      • 尋問が大詰めになると流れるBGM。終盤の曲が発展する部分は、事件解決を目前にしたプレイヤーの緊張を程よく煽ってくれる。
    • 「追求~大逆転のとき」
      • 曲調の盛り上がりはこれまでの作品の中でも随一。畳み掛けるように奏でられる旋律は、証人を追い詰めるシーンにとてもマッチしている。

世界観

  • ゲームの舞台が「19世紀末」なこともあり、「生活様式」や「世情」など現代社会とは全く異なる点がいくつも登場してくる。
    • 例えば、「科学的捜査の未成熟さ」「倫敦と日本における医学的知識の差」「当時の倫敦の大衆事情」などが作中で取り上げられている。
      • 当然ながら他のシリーズ作では当たり前となっている指紋検査や血液鑑定などは存在しない*1ので、今までとは全く異なる論理の組み立てを要求される。
    • そして、今作ではそうした「19世紀末」という時代でしか味わえないような歴史的特徴を、うまくキャラクターやシナリオに落とし込むことができている。
      これにより、物語をよりリアルなものにすると同時に、いままでのシリーズにはない独特の世界観を構築することに成功している。
    • 先述した「実在の人物」は依頼人として登場する。「実在の人物の弁護」は過去の時代を描いた本作ならではのシチュエーションとなっている。

「調べる」コマンドの復活

  • 『5』で一部の場面を除いて廃止されてしまった「調べる」コマンドが今作では、完全に復活した。
    • 基本的には、後に控える裁判パートで使うこととなる証拠品集めの場ではあるのだが、調べる対象によって多種多様に繰り広げられるキャラクター間の掛け合いを楽しみにしているファンも多く、『5』で制限されたことには特にシリーズファンから落胆の声が多く聞かれた。
    • それだけに、今作で完全に復活したことに対しては、評価する声も大きい。
    • 小ネタには『シャーロック・ホームズ』シリーズに関連したものも多く用意されている。原作既読者はより楽しめるだろう。

問題点

不完全感の強いシナリオ構成

  • 今作の大きな不満点は、そのシナリオ構成にあると言えよう。特に、続編を前提とした物語の展開は多くのプレイヤーの不興を買った。
    • 主人公・成歩堂龍ノ介の親友である亜双義一真を始め、主要な登場キャラクターに纏わる謎がゲームを進めるごとに提示されていくのだが、今作ではそれらの謎の真相が明らかにされることなく終わってしまうどころか、最後の最後でさらに大きな謎が提示されるという、あからさまに続編を匂わせるラストとなっている。
    • また、4話のとある人物や5話のある陪審員など、意味ありげに登場しながら、その実大して触れられることもないキャラクターがいるなど、最終話が終わった後に、これで本当に終わりなのかと戸惑ったプレイヤーも少なくない。
    • 「亜双義一真が成堂龍ノ介を弁護士の道に誘った理由」「敵役の検事であるバンジークスが日本人を恨んでいる理由」など、「このキャラクターの根底の行動動機は何なのか」という謎でさえ再三触れられるにも拘らず本作の中で明らかにされないため、見せ場に繋がるシーンを作れず、消化不良感の強い終わり方になってしまっている。
    • 確かにシリーズ作品間におけるストーリーの繋がりは物語の深みを増す上で重要ではあるが、だからと言ってストーリーを完結させなくても良い訳ではない。今までの作品もシリーズ間の繋がりはあったが、それはあくまで「謎のままでも物語として問題がなかったもの」を次作以降の伏線として消化しているだけであり、本作のように、ストーリーの核心とも言うべき主要な謎を投げっぱなしにしている訳ではない。
  • また、そうした内容が事前の情報では一切出てこなかったという点も、大きな問題点といえるだろう。
    • 続編にあたる『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』の発売決定が告知されたのは2016年9月に入ってからであり、それまでは続編を作るつもりがあるともないとも公式には一切発言がなかった。*2
      • さらに翌年には『逆転裁判6』が間に挟まれて発売されたため、殊更シリーズファンを困惑させることになった。
    • 一応、副題の『成歩堂龍ノ介の冒險』という言葉がコナン・ドイル著シャーロック・ホームズシリーズの短編集第一巻である『シャーロック・ホームズの冒険』を意識したタイトルで、次回作の存在を示唆していたと受け止められなくはないが、ホームズシリーズ未読者には伝わらないだけでなく、「続編がある」のと「続編まで謎が解けない」のは全くの別問題である。
  • また、今作は第1話で従来の裁判パートのチュートリアルを行うのに加え、第2話では探偵パートのみ、第3話も殆ど裁判パートのみと新要素のチュートリアル的な話が2つも入り、本格的なゲームスタートは4話からと遅く冗長になっている面もある。
  • 有料DLCとして事件解決後の後日談が描かれるが、本編のシナリオを補完するような内容ではなかったため、落胆の声も見られた。
    • さらに、当該DLCの特別号で成歩堂の口から出た「未完成のものに、わざわざお金を払うのは、どうかと思うんだ。」という発言*3は、本作が前述した通りの状況だった為に、不快に思うユーザーもいた。

一部のキャラクター描写

  • 前述のシナリオ構成の弊害によるものも含まれるが、一部メインキャラの偏った描写を疑問視する声は見られた。
    • ヒロインである寿沙都は「大和撫子」と称されており、実際全体的に見ればそれは間違っていないのだが、ホームズフリークが高じて成歩堂を差し置いてホームズに熱を向けるなど、ミーハーで主人公を軽んじているように見える一面が自分勝手で、ヒロインらしくないという批判が散見された。
      • ただし、ワトソンの名を関するアイリスや作品に出演しているグレグソン刑事と対面した時も食いついていた。ホームズの奇行に突っ込みを入れる事も多く盲信している訳ではない。
    • 特に、主人公である成歩堂龍ノ介を、「寿沙都投げ」と称して(何も悪いことをしていないのに)背負い投げするというお決まりのシーンは批判がやや目立った。
      • 『逆転』シリーズにおける「理不尽な暴力」描写は、『逆転裁判2』以降に登場する綾里春美や検事の狩魔冥でお馴染みのものであり、本作にもそのノリで入れられたということは想像できる。
      • しかし、彼女達には「幼い子供故の勘違い」「傍若無人なキャラ付け」という理由があったのに対し、寿沙都の場合は唐突かつ普段とのギャップがある上、決め台詞によってそれを正当化するような流れが理不尽な暴力ヒロインとして映りやすかった。
    • 敵役となる検事のバンジークスも、「生命を吸い込まれそうな“闇”の冷気をまとっている」と大物感漂う印象付けをされておきながら、本作の時点ではいまいち単なる「やられ役」から抜け出せておらず、被告人に手玉に取られてしまうようなシーンも存在する。
    • いずれの描写も続編『2』では明確にフォローが入れられており、シリーズを通して見ればあまり気にならないようにはなっている。

カタルシスの欠如

  • 後味の悪い結末などといったエピソードが多く、善悪のはっきりした勧善懲悪的な話が少ない。
    • 逆転シリーズの醍醐味として、同情の余地のないいかにも悪党な真犯人に対し、言い逃れしようのない証拠品をつきつけて引導を渡すという爽快感とカタルシス溢れるシナリオ展開があげられる。
    • しかし、今作の場合、「過失(事故)だった」「(犯人に)やむにやまれぬ事情があった」「解決しても謎が残る」といった類のエピソードが最後まで続く、真実に辿り着いたときのカタルシスが感じられ難くなっている。
      • また、過去の同様のエピソードと比べてそれらを感動に昇華できている訳でもなく、単に「誤解と偶然が生んだ事件だった」という尻すぼみの結論に至ってしまうことが多いのもマイナスに働いている。
    • そのようなエピソード自体のモヤモヤ感に加えて、犯人や相手検事のブレイクモーションがいまひとつインパクトに欠けていることもあり、そうしたプレイヤーの心理状況に拍車をかけてしまっている。
  • 「共同推理」や「最終弁論」などの演出が、若干くどいものとなってしまっており、ゲームのテンポを悪くしてしまっている。
    • 「共同推理」は、キャラクターがアクションするたびに演出が挟まるため、プレイヤーが動かせるようになるまで時間がかかることに加えて、間違っていることが分かりきっている場合でも、推理を一通り最後まで見ることになる。
      • 尋問と違い、プレイヤーが動かせない間に推理できる材料がほぼないため、演出を楽しめないプレイヤーにとってはひたすら退屈でしかない。
    • 「最終弁論」については、そのあり方についても、疑問視されている面がある。
      • 前述のとおり陪審員の評決が有罪で統一されたときに始まるのだが、最終というわりに一回の裁判中でそうした状況が4話と5話では二度発生する。
      • これは、陪審員が審理中に何度でも評決を変更できることに起因しており、コメディ要素が強い作品とはいえ節操なくコロコロと意見を変え、「ピンチを表現するための材料」に成り果てている陪審員達にはご都合主義感がある。
      • ただ、陪審員のキャラクター性は、良い意味でアクの強いものとなっているので、彼らの発言や掛け合いそのものは楽しめる。
    • 最終弁論についてバンジークスは「衆愚の気紛れで真実がコロコロ変わる悪しき風習(要約)」と吐き捨てており、作中での有様はまさしくその制度としての問題を表現しているのだが、2まで含めてもここが掘り下げられることはない。

総評

キャラクターやBGM、世界観、UIといった多くの要素で旧作に劣らない品質を持っているにもかかわらず、問題点で述べた要素によって、「1作品としての完成度」を著しく損ねてしまっている。
現在は続編『2』が発売されており、本作の伏線をそちらで解消しているため、
今から新規でプレイするなら本作と『2』のセット、もしくは現行機へのカップリング移植となる『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』を購入する事を推奨する。


余談

  • 愛知県犬山市の屋外型博物館『明治村』にて本作とのコラボイベントが開催された。明治村はその名の通り明治時代の建築物を当時のまま移設した博物館であり、本作の舞台も明治時代であることからの縁だろう。
    • 明治村がゲーム作品とコラボするのは初めてであり、それなりの話題を呼んだ。
  • 2015年6月26日から全国32都市にて本作を題材としたリアル脱出ゲームイベント「倫敦大法廷殺人事件」が開催された。
  • 共同推理の中で、ある生物に関するホームズの盛大な勘違いを指摘するシーンがあるが、これは本作オリジナルではなく原作のシャーロック・ホームズ自身*4が勘違いしている描写を逆手に取ったもの。
  • 『逆転裁判』と類似したシステムを先取りしていた『御神楽少女探偵団』という作品があり、本作は時代設定も近くなったため同作を想起したファンもいたが、奇しくも続編に関する問題点まで共通することになってしまった。
+ タグ編集
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  • 逆転裁判

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最終更新:2024年04月20日 03:09

*1 指紋検査については数年内に捜査に取り入れる旨が作中で語られている。

*2 なお、続編が作れるかどうかはかなり危うい状況であったことが後に語られている。

*3 あくまでDLCに収録されたキャラクターの設定画や作成途中の楽曲に対しての発言なのだが。

*4 つまりは原作者のアーサー・コナン・ドイル。