王様物語

【おうさまものがたり】

ジャンル 王国ワラワラRPG
対応機種 Wii
Windows XP・7・8.1
発売元 【Wii】マーベラスエンターテイメント
【Win】XSEED Games(Marvelous USA)
開発元 【Wii】CING、タウンファクトリー
【Win】マーベラス
発売日 【Wii】2009年9月3日
【Win】2016年8月6日
定価 【Wii】7,140円(税込)
【Win】2,480円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
バカゲー
ポイント ピクミンライクの箱庭ゲー
ほんわかコミカルながらゲーム性は骨太


概要

ピクミン』の亜種のような、団体操作型アクションRPG。
プレイヤーはとある王国の少年国王となり、国民を集めて「親衛隊」を結成し世界統一を目指すことになる。
moon』や『チュウリップ』など、いわゆるラブデリック系のゲームを開発してきた木村祥朗氏が中心に
関わっているためハナモゲラ語のボイスや、見た目とは裏腹に風刺のきいた黒いストーリーが共通している。

物語

僕は君よりエラくて 彼は僕より偉い?

お金持ちは 貧乏人より偉くて 
働き者は なまけものより偉い?

世界で一番偉いのは 一体誰なんだろう?

昔々のその昔
一人ぼっちの臆病な少年がおったそうな
少年の名はコロボ。

ある朝コロボは、いたずらネズミを追いかけているうちに、森に迷い込んでしまいました。
まっくらけの森の中で少年が見つけたのは光り輝く不思議な王冠!

不思議な王冠をかぶったその日から…少年は立派な王様になってしまったとさ

人間も動物も どいつもこいつも少年の家来になったとさ

そうゆうわけで どうゆうわけか 少年はひとりぼっちじゃなくなった…?

(公式サイト及びオープニングから引用)

システム

  • プレイヤーはアルポコ王国国王「コロボ(名前は変更可能)」になり、様々な職種の国民を集めて親衛隊を結成し冒険を進めることになる。
    • 最初の親衛隊メンバー数は5名と非常に少ない。シナリオ進行によりお金を払って連れて行ける人数を増やすことが可能になるが、それでも最大30人とかなり少なめである。その代わり一人一人の国民に体力が設定されており、ピクミンと比べるとそれなりに強い。
  • 戦闘システムもピクミンと同様の物を想像すればいい。敵の体力ゲージもピクミン同様の円グラフ型である。
    • ピクミンと違い「投げる」ことはできない。突撃命令を出すだけなので、間に障害物があれば当然遮られてしまうのでこの辺りも考慮する必要がある。
  • 敵を倒したり障害物を壊すと様々なお宝が手に入る。これを換金すれば資金になり、資金を消費して様々な施設を作ったりパワーアップを図ることができる。
    • 最初の国土は狭いが、各地を支配する「ヌシ」と呼ばれるボスを倒すと、そのヌシの支配地域が王国の国土になる。広がった地域にも様々な施設を建てることが出来る。
      • 各地の王を倒した際もその国の国土が領土になるが、こちらは特に施設などを建てることは出来ず敵キャラも消えない。

評価点

  • コミカルでユニークな世界観。
    • 基本的な世界観は童話風で、2頭身のキャラクターがちょこまか動き回る大変愛らしいものになっている。グラフィックレベルもWiiとしては上質で、光の表現などがかなり巧み。
      • 随所で流れるムービーはパステル風の独特な絵柄になる。
    • 各キャラクターの台詞回しもすっとぼけた感があって世界観に良く合っている。
    • ヒロインとなるお姫様は全部で7人もいる。さらに隠しでもう一人…?
      • その内訳も普通の美少女から不思議ちゃん、大人のお姉さんや子供、元人妻のデブ非常にふくよかなお方などバラエティに富んでおりよりどりみどり。
    • 国民は単なる使い捨ての兵隊ではなく、一人ずつに名前がある個人になっているのも印象的。仲良くなった国民同士を教会に突撃させると結婚して子供も生まれる。また国民の残り体力が1になるとヨボヨボの老人になってしまう(回復させれば戻る)。
      • 一人の国民を何度も体力ゼロにすると、その国民は死亡してしまう。そうなるとお葬式が開かれることになる。町中を喪服の国民が歩く様は見ていて非常にいたたまれない(何せ殺したのは自分なので)。
      • ちなみに国王の体力がゼロになった場合もお葬式である。表記は普通のゲームのような「GAME OVER」ではなく「LIFE OVER」。
  • 世界統一のために倒すことになる7人の王様がいずれも非常に独創的。最初に倒すオニーキング(オニーという全編通して出現する雑魚敵の王様)はまだまともだが、
    • よいどれの国のドブローク王…花見で宴会ばかりしているオッサン。酒を飲んで火を噴くという見た目に反してやたら危険な人物。
    • たべごろの国のシシカバブウ王…お菓子の食べ過ぎでまん丸の体型になった王。体重はなんと1,500㎏。ピンボールを模した特殊な戦場で戦うことになる。シシカバブウの体重を釘に当てて減らし、一番上のフォークにシシカバブウを突き刺せばクリア。
    • テレビの国のTVランチ…テレビの国の王にして一番人気のニュースキャスター。頭がテレビになっている。世界地図を模したフィールドの地下を縦横無尽に動き回り、画面下のヒントを頼りにTVランチが隠れている国を当てて戦う。
      • ちなみに主人公と戦う理由は主人公がテレビの受信料を滞納しているから(TVランチ本人が言っているだけなので真偽は不明だが)。地味にブラックである。ついでにこの国で放映されている番組では日本人っぽい侍が間抜けな顔でひたすら「戦争反対」を叫んでいる。…何かの皮肉だろうか。なお、番組内で戦争反対を訴えている割にTVランチ本人は軍用機で爆撃したり兵隊を召喚する攻撃を使ってくる。
    • 悩める国のオムレット王…巨大卵の中のトイレに閉じこもってひたすら悩んでばかりいる国王。直接戦闘はせず、彼が出してくるクイズに答えることが戦いになる。
    • 背伸びの国のロングソバージュ王…「物理的に高い人が偉い」という独自の考え方により、世界一高いソバマンジャロの山頂にいる国王。オムレットと同じく本人と戦うことはなく、各種妨害をかいくぐりソバマンジャロ山頂にたどり着くのが勝負になる。
    • できかけ島のジャンボチャンプルン…常に工事中の島にいる巨大な王。「子供が適当に身の回りの品を組み合わせて作った巨人」のような外見をしており。体力が減ると頭を付け替えて行動パターンを変えてくる。
    …とどいつもユニークな攻略方法を要求されるボスばかりである。それでいながら難易度調整は絶妙で、初見ではほとんど手も足も出ないボスでもキチンと戦略を練れば勝てるようになっている。
  • シンプルながら奥深い戦闘とゲームシステム。
    • 基本的に戦闘でできる行動は「突撃」と「撤退」の2種類だけなのだが、撤退タイミングの見極めが戦闘の要になる。大抵の敵は自分の周囲をなぎ払う攻撃を持っているため、そのような攻撃のモーションを見切って回避する必要があり、読み合いが熱い。
      • 「たたかう」「よける」「まもる」の3種の隊列の使い分けも必要になってくる。いずれも一長一短なので、それぞれの特徴を把握しなければいけない。
      • 割と序盤から即死攻撃持ちの敵が平然と出現するため、油断は一切できない。雑魚でも即死持ちは結構いる。
    • 国の発展にどのように資金を振り分けるかのバランスも重要。国民の転職にもお金がかかるので、需要と供給のバランスは意外とシビアである。
    • 難しいと感じたら難易度EASYにできる。作成済みセーブデータでも変更可能。
      • 一度クリアすると難易度HELLが解禁される。王様含めた全ての味方キャラの体力が1という超高齢化社会の強制オワタ式モード(ただし国民の体力は補強する手段がある)。もちろん、クリアは可能である。
  • やりこみ要素が非常に豊富。
    • 各お姫様には個別に趣味があり、救出するとその趣味の物を集める依頼をされることになる。
      • 各地の名所巡りや敵キャラの情報収集、食品系お宝を集めたり…と各地を巡る要素が多い。
    • 全100枚の絵画収集もある。イラストは一般公募されたもので、作者の名前もゲーム中で確認できる。
      • 絵画や写真は城の中に飾ることも出来る。
  • BGMはクラシックの名曲をアレンジした物で、いずれも使用場面も適切で雰囲気が非常にいい。
    • 聞けば誰もが知っている名曲ばかり。それでいながらゲームのBGMとしてうるさくなく、背景の音楽に徹している。

賛否両論点

  • 本作のストーリーについて。
+ 以下ネタバレ
  • 簡単に言うと本作の結末は夢オチである。しかし単純な夢オチではなく、ある種逃避行動とも言えるどこか切ない雰囲気の物語になっている。
    • 頼りになる腹心の老人は死んでしまったおじいちゃん、各地を支配する王様は周辺の大人。そういった目線で見ると本作のメタファーは非常にわかりやすいものになっている。
      • 悩める国では人生について悩み続けるある一人の人間の物語が読める。本編中では「なんにでも悩み続ける悩める国を構成する一要素」に過ぎないが、その意味は非常に深い。
    • 純粋に物語としてみれば完成度は高いが、それまでの本編とかなり雰囲気を異にする部分があるので、賛否は分かれるところだろう。
    • 直前でラスボスに食われたヒロイン始め、王国国民全てをスルーしてのエンディングなのも違和感がある。夢オチということを考えれば仕方ないのかもしれないが…。

問題点

  • 説明されない操作が結構多い。
    • 説明書の操作説明がかなり簡潔な上、ゲーム中でもあまり詳しくは解説されないため、「プレイして覚えろ」と言わんばかりの突き放した部分が多少ある。
      • 例えば民家に親衛隊を突撃させると税金を徴収できることや、国民の友好度の具体的な効果などは説明してくれない。
  • 操作の融通が利きにくい。
    • 国民はまっすぐ突撃した先に目標物がないとそのまま隊列に戻ってしまう。微妙にズレただけでも目的を達成できないことがあるので、スティックでの微少な方向転換を要する。
      • ピクミンで言う「フリー化」に当たる操作がないため、すぐ隣にある目標物を破壊するために少し離れた所から突撃させたり結構面倒。
    • 国民の職業が全20とかなり多い。下位互換や無能力もいるので実際に20種全部隊列に入れる事は無いが、突撃させる国民の変更が一種ずつ順繰りしかないので、何種類も入れていると戦闘中の切り替えが難しくなる。うっかり行きすぎたらまた選び直しである。
      • 突撃させた国民を手元に戻すと完全に戻るまで隊列がめちゃくちゃなので切り替え機能が正常に機能しない。「大技を見て退避させる」→「逃げている間に次の国民選択」というのは難しい。
    • 国民が地形にひっかかりやすい。ある程度距離を置くと勝手に戻ってくるが、逆に言うと至近距離では絶対に戻らないので全ての親衛隊を連れ歩くのは意外と難しい。数が増えれば増えるほどこの傾向は強くなる。
    • ポインター操作がないにもかかわらず、クラコン非対応なのも謎なところ。操作スタイルは強制的にリモコン+ヌンチャクである。
  • 国民の体力は成長させる手段があるのだが、王様の体力は3固定。終盤は敵の猛攻に対して、かなりこころもとなくなってくる。
  • ムービーが長い上に飛ばせない。王ボス戦で敗北した際はムービー無しで再挑戦できるが、親衛隊を組み直したりしたい場合は、再度同じムービーを見せられることになる。
  • セーブには必ず城に戻る必要があり手間がかかる。

総評

コミカルほんわかなキャラクター性ながらハードなゲーム性というのは、ピクミンと同様。
全体的な完成度の高さもピクミン同様で、やりこみ度が高くオリジナリティも十分発揮された内容になっている。
この手の集団操作型ゲームが好きな人にオススメできる一本である。

余談

  • 本作は海外先行タイトルであり、日本に先駆け欧州圏及び北米圏にて『Little King's Story』のタイトルでリリースされプレイヤーからは概ね高い評価を得ていたが、日本版は新型PS3等と発売日が重なったこともあって初週セールスは5900本と奮わない結果となった。また日本版発売前、本作を担当したマーベラスの広報担当者が自身のブログにおいて本作の予約数が芳しくないことから「まだ死にたくないからこのゲームを買って下さい(意訳)」と泣き落としのような書き込みを行い、ちょっとした物議を醸した。
  • 開発元のCINGも本作リリース後程なくして倒産し、続編は絶望的と見られていたがPS Vitaでまさかのリメイクが発表。『王と魔王と7人の姫君たち ~新・王様物語~』のタイトルで2012年3月29日にリリースされた。パブリッシャーはコナミデジタルエンタテインメントに変更となりキャラクターデザインは一新、ストーリーも新規のものとなっている。
    • なお、Wii版スタッフの木村祥朗氏は関わっていないようで、Twitter上の一般ユーザーへの返信にて「嬉しいような悲しいような…温かい目で見守っていきます」という旨の複雑な心境を発言していた。
  • 2016年8月5日には、オリジナルのWii版を元にHD化したSteam版がリリースされた。日本語にも対応している。