SIMPLE2500シリーズ Portable!! Vol.10 THE IQ CUBE ~モヤっと頭をパズルでスッキリ!~

【しんぷるにせんごひゃくしりーず ぽーたぶる ぼりゅーむじゅう ざ あいきゅー きゅーぶ もやっとあたまをぱずるですっきり】

ジャンル パズル
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 D3パブリッシャー
開発元 Media Interactive
発売日 2007年7月19日
定価 2,500円(税別)
判定 なし
ポイント 立方体を動かすアクションパズル
ルールは単純だが強い立体感覚の必要性が特徴的
地味さはあるが工夫はしている
UIも悪くなく遊べる作品だが良作にはパンチ不足か
SIMPLE2500シリーズ Portable!!


概要

廉価ゲームシリーズ・SIMPLEシリーズのPSPブランド『SIMPLE2500シリーズ Portable!!』の1作。
タイトル通り、CUBE=立方体を使ったアクションパズルゲームである。
本作は海外メーカーのMedia Interactiveが製作している。

サブタイトルが露骨に当時のクイズ番組『脳内エステ IQサプリ』のパロディである*1
当時のSIMPLEシリーズにはしばしば見られる。

特徴

  • 自機となる青枠の立方体を操作して、制限時間内にゴールに向かうだけの単純明快な面クリア型アクションパズルゲームである。
    • 自機は転がって動き、立方体なので動けば当然下になっている面も変わる。名作『XI』をイメージすると分かりやすいか。
    • 時間制限オーバーのほか、一部の障害物に触れると失敗となりやり直し。
  • ステージも複数のキューブ(立方体)のまとまりで構成されており、自機はこれらキューブの表面上を伝うことのみで移動できる。
    • 重力の概念はなく、KulaQuestのように伝うことができればそれぞれのキューブ6面上どこにでも移動できることが特徴。
    • 逆に言えば、キューブ同士が接触していないと自機はその離れたキューブ上に行くことはできない。
      • ただし、自機の角が接していればそのキューブ上に移動することが可能。この場合は離れたキューブにも移動できる。
  • 面のクリアには「シルバー」と「ゴールド」の2段階がある。ゴールドは「制限時間」・「鍵」の2条件をクリアしないと達成できない。
    • 通常の制限時間とは別にゴールド達成に必要な制限時間が設定されており、こちらの制限時間はかなり厳しめになっている。
    • また、各ステージには「キーアイテム」と呼ばれる青い鍵が配置されており、ゴールドの達成にはこれを全部取っておかなければならない。
      • ステージ内の鍵の数は1個~10個以上までまちまち。当たり前だが、ある程度の寄り道をしなければ取れないものが多い。
    • ゴールド達成は、後述の隠しステージの追加条件となっている。
  • キューブ上には、様々なギミックや障害物が存在する。
+ 爆弾類
  • 爆弾……触れると死ぬ。固定されているものと、一方向に動き続けるものとの2種が存在する。他の爆弾や一部のキューブに当てると破壊できる。
  • AIエネミー……無秩序に動き回る爆弾。自機と直線状に並ぶと弾を撃ってくる。パワーボールで消せるが一定時間で復活する。
+ アイコン類
  • マルチアイコン……×型のアイコン。触れると隠れていたキューブが新たに出現して、動ける場所が増える。
  • エレベーターアイコン……十字の矢印アイコン。触れると停止していた特定のエレベーターキューブが作動する。
  • 回転アイコン……円を描く矢印アイコン。触れると一部のキューブ群が丸ごと動いてステージの形状が変化する。
  • 矢印……太い矢印のアイコン。動く型の爆弾が触れると矢印の方向に誘導される。自機が触れると矢印の方向が変わる。
+ キューブ類
  • クラックキューブ……道を塞いでいるキューブ。爆弾を当てないと破壊できない。
  • エレベーターキューブ……直線状に往復するキューブ。エレベーターとして利用できるが、自機が挟まれると死ぬので要注意。
  • ブロークキューブ……乗ると数秒で壊れてしまうキューブ。壊れる時に自機が乗っていると死ぬ。壊れた後は何もない空間になる。
  • ミラージュキューブ……実体化したり消えたりを繰り返すキューブ。消えているときに乗ると、キューブ内の爆弾に触れて死ぬ。
  • ローターキューブ……一定時間ごとにその場で回転するキューブ。自機などが乗っていると一緒に回転する。
  • プッシュキューブ……押して動かせるキューブ。ただし、「他のキューブの上で、そのキューブと平行に動かす」を守らないと動かせない。
  • クローンキューブ……自機のクローンを作りだして操作できる。○ボタンを押すとその位置でクローンはキューブに変化し、操作は自機に戻る。
  • ホロキューブ……触れると一定時間無敵になり、一切の障害物の影響を受けなくなる。
  • タイマーキューブ……触れている間、制限時間のカウントダウンが止まる。
+ 設置物類
  • シューター……一定周期で直線状に弾を撃つ砲台。弾に当たると死ぬ。
  • ファン……風を吹きだして強制的に自機を風に流してしまう。特定の青いスイッチを踏むと止まる。
  • バリア……壁。自機や爆弾の進行を妨害する。黄色いスイッチで開閉できるものや、一定時間ごとに消えたり現れたりするものもある。
  • パワーボール……触れると自機が発光する。この状態で○ボタンを押すと、一度だけ周囲の爆弾を破壊できる。
+ 配置物類
  • シンカー……キューブ表面が沼のようになっており、乗ると死ぬ。
  • フォース……乗ると、それまで進んでいた方向に勝手に進んでしまう。いわゆる「滑る床」。
  • ホルダー……乗ると、一定時間動けなくなってしまう。爆弾の通り道などに設置してあって厄介。
  • リストリクター……乗ると、自機が一定時間乗った面を下にして動くことができなくなってしまう。一回乗ると消滅する。
  • ダイレクトブロック……一方通行で、乗ると印の方角に勝手に流されてしまう。
  • 矢印シート……キューブ上に張られた矢印のシート。矢印アイコン同様、爆弾が触れると誘導される。自機が触れるとその面に張り付き、持ち運べる。
  • 海外メーカー製故か、失敗時のメッセージが「爆発!」「狙撃!」「沈没!」などと妙に直球。
    • 他の箇所の日本語にはそこまで気になる点はない。
  • 1人用の、チュートリアルを除いた本編ステージは初級・中級・上級に分かれており、さらにそれぞれ3コースが存在する。
    • 中級と上級は初めは遊べず、ひとつ下の級の2コース全面クリアで1コースが、3コース全面クリアで3コース全てが解禁される。
    • ゴールド評価を貰ったステージが一定数に達する毎に、隠しステージの「ボーナス」が追加される。
      • ボーナス面をクリアすると、後述の自作ステージで使用できるBGMを増やすことが可能。
    • コースの選択画面はステージと同様の構成になっており、自機を動かして該当するコースに連れていくことで選択する。
  • 通常の1人プレイ以外にもモードが存在する。
    • エディット機能が付いており、自作ステージを保存することができる。
      • 容量制限があるものの、中規模程度までのステージなら作ることが可能。
    • マルチプレイモードもあり、同じステージを2人の協力または対戦で解くことができる。
      • ゲームモードが4つあり豊富。また、ゲームシェアリングに対応しているためソフト1本で遊べる。

評価点

  • 本作の特徴は、重力なく全方向に動けるがゆえの空間認識の必要性だろう。
    • スイッチ切り替えや矢印誘導などのシステム自体はよくあるもので新規性は低いが、立体なのでより複雑な思考が必要。
      • 爆弾の動きはキューブの周囲をグルグル回っているため、誘導する際は裏回りしたらどうなるかも計算に入れなければならない。
    • 慣れないうちは割と迷う。気が付いたら後戻りしていたということもそこまで珍しくはない。
      • しかし、結果的に「立体的に場所を覚える」ということが求められるため、特有の頭の使い方を形成している。
      • RPGのダンジョンなどでよく迷ってしまいがち、という人にはほどよい訓練になるかもしれない。
    • 制限時間のおかげで、スピーディーな状況認識を否応なく求められる。
  • バランス調整は良好。
    • ゴールド評価はいずれも「頑張ればなんとかできる」程度の難易度となっており、簡単過ぎる・理不尽なものは少ない。
    • クリア自体の制限時間はある程度長めにとってあるので、アクション・パズルのどちらかが苦手でもとりあえずクリアは可能なはず。
    • 1ステージは長くても5~6分程度、多くは2~3分でスピーディーに進む。
  • インターフェースも比較的快適。
    • ギミックは多いが、それを実際に体験できるチュートリアルが10問付属しているため、戸惑いにくい。
    • クリアできない問題は、メニューからコマンドを選ぶことで飛ばせる。詰みやすいパズルゲーとしてはありがたい機能。
    • オートセーブも完備。これも、セーブを忘れやすい面クリア型のゲームにあってほしい機能である。
    • ステージのクリア率や鍵の取得状況など、必要な情報が必要な時にのみ見られる。

賛否両論点

  • ゲーム全体の無機質的な雰囲気に加え、そのゲーム内容もあってどうしても印象が地味。
    • このようなゲームを売るための方策として、このような狙ったサブタイトルを付けてしまうのはある種分からないではない。
    • 他のPSPのSIMPLEシリーズと比較してもひときわ地味で、購入数が少なかったのかネットでも感想を探しづらい。
  • アクション・パズルのどちらかが苦手でもクリアは可能と述べたが、逆に言えばゴールド評価はどちらともある程度できないと厳しい。
    • また、どちらかが苦手だと、ゲームの性質上かなり間延びしたプレイになる可能性も高く、つまらないと感じてしまう可能性は拭えない。
    • ある程度この手のパズルには慣れておいた方がよく、そういう意味でもやや人は選ぶ。
  • 視点を自由に動かすことができないため、見づらい視点で動かさなければならない場面が頻発する。
    • 移動は方向キーのみで行う関係上、移動しながら視点を動かすことはシステム上にできなくなっている。
    • 視点変更はLRボタンでの90度変更、及びアナログスティックでの自由観察がある。
      • しかし、前者は真上や真下に死角があるなどしばしば不十分で、後者は視点を元に戻さないと移動ができないため時間制限の中使う余裕はない。
    • 上述の「立体の中でマップの構成を覚える」という独自性に繋がっている部分もあるとは言えるが、純粋にカメラワークとして見た場合難点ではある。

問題点

  • 即死トラップの多い面がそれなりの頻度で来るため、ちょっとしたミスですぐやり直しになり面倒。
    • 上記のギミックを見てもらえばわかるが、そもそもギミック自体に「ミスしたら即失敗」という性質のものが割と多い。
    • ステージの長さ自体はすでに触れた通り長くても5分程度だが、それでも「またやり直しかよ……」と思わされる事態は度々起こる。
    • 面クリア型のゲームである関係上、「失敗したら最初から」自体はある程度どうしようもない部分ではあるのだが。

総評

ローカライズなど、SIMPLEシリーズの海外メーカー物は比較的無難によく出来ていることが多いのだが、本作もその例に漏れない。
値段としては及第点程度のボリュームで、UI周りのイライラも少なく、バランス調整も割としっかりしている。
不得意なプレイヤーは面白さを感じにくい点とやり直しが面倒な点は難点だが、これらはジャンル上の問題というところも大きい。

面クリア型、しかもゴール到達が目的のパズルという関係上やや地味さは拭えないが、ギミックは豊富で欠点を埋める努力は十分感じられる。
強く勧められるようなインパクトには大きく欠けるものの、安手のパズルとして買う分にはそこそこ満足できる作品だろう。

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最終更新:2022年12月22日 19:48

*1 「モヤっと」「スッキリ」は、どちらも同番組のキーワード。