グングニル -魔槍の軍神と英雄戦争-

【ぐんぐにる まそうのぐんしんとえいゆうせんそう】

ジャンル シミュレーションRPG

対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD/ダウンロードソフト
発売元 アトラス(インデックス)
開発元 スティング
発売日 2011年5月19日
定価 UMD版:6,279円(税別)
ダウンロード版:4,980円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 なし
ポイント 独自性の高いシステム・ユニット
不親切さの目立つUI
消化不良なエンディング
Dept.Heaven.Episodes.シリーズ・ユニオンシリーズリンク

概要

ゲーム開発会社スティングの看板シリーズ『Dept. Heaven Episodes』の4作目。 シリーズそのものの特徴として、「舞台となる地上世界は別々であるが、地上を挟むように存在する神界と冥府は同一」という点があり、一部のキャラクターやアイテムが共通している。 キャラクターデザインはユグドラ・ユニオンGA 芸術科アートデザインクラスのきゆづきさとこが担当。従来の画風よりやや頭身高め。


ストーリー(公式サイトより抜粋)

【魔槍は少年を英雄へと変え、英雄は歴史に革命を刻む――】

「今日から、君は僕らの“仲間”だ」レオニカの少年ジュリオは、帝国商人から“強奪”したダルタニア貴族の少女アリッサをレジスタンスの仲間に誘う。
民族の隔たりを越えたジュリオの言葉に、アリッサの心は揺れ動く。

遥か古の時代から、ガルガンディア帝国に根付く民族紛争。
支配民族「ダルタニア」が皇帝の庇護の下に大いなる繁栄を極める裏で、“呪われし民”「レオニカ」は永きに渡り迫害と抵抗の歴史を刻んできた。

戸惑いながらも頷くアリッサ。しかし少女の“血”は、その意思とは無関係にダルタニアの軍勢を引き寄せる。

貧民地区エスパーダに繰り広げられる、容赦のない虐殺。
抵抗のレジスタンス、圧倒的戦力差、次々に倒れる仲間たち。
絶望の淵でジュリオが死を覚悟したその時――突如、“それ”は、飛来する。
魔槍グングニル――太古の戦神・軍神を漆黒の刃に宿す、絶対にして壮絶な“力”。
「これが、グングニル。これが――軍神!?」血塗れのジュリオは魔槍を手に戦場を駆け、
降臨した軍神は荘厳な滅びを兵士へもたらした。
魔槍と軍神のあまりの猛威に、人々は畏怖の念すら抱いていた。

事件を機に反帝国の機運は急激に高まり、宿命の歯車がゆっくりと廻り出す。
魔槍のレオニカと、ダルタニアの少女。相容れぬ血を引く二人が進む未来とは――?

運命に躍る人々が歴史に刻む、革命の戦記ファンタジー。


戦闘解説

オーソドックスなタクティクスRPGを下地にしつつも、本作独自のシステムを複数採用しており、既存のソフトよりも自由度の高い戦略を練ることを可能としている。

出撃準備

  • まず戦闘開始前にエースとなるユニットを一人選択する。エースの候補となるユニットはマップごとに固定で、マップによってはエースが固定されているものも存在する。
    • エースとなったユニットの種類により、一部の汎用ユニットに対しディレイ減少効果が付くが、エースユニットが倒されるとゲームオーバーになってしまう。
  • エースを選んだあとは、エースと一緒に出撃するユニットを選択する。こちらもマップごとに出撃人数及び位置は固定となっている。この時に出撃するユニットの装備を敵に合わせて変更する事が可能。
  • 出撃枠を全て埋めてから、ユニットのいないマスを選んで○ボタンで戦闘開始となる。勝利条件は基本的に敵エースの撃破となるが、戦場からの離脱や特定地点への到達が条件になるマップもある。

アクトシーケンス

  • 戦闘画面下に表示され、Delay(ディレイ)の値が0になったユニットから行動していく。『タクティクスオウガ』のウェイト・ターンシステムに似ているが、一番の違いは自軍に行動順が回った際に好きなユニットを行動させられる点にあり、後述するWTというデメリットこそあれど特定のユニットだけを連続で行動させる事も出来る。
  • 敵を含むNPCユニット*1の場合は人員で優位に立っている分、行動するたびに味方に蓄積される時のおよそ数倍のディレイが蓄積される*2ので、行動順のバランスは保たれている。なお、蓄積される値はNPCの種類に左右されず一律。
    • ただし、敵ユニットを倒していくと蓄積ディレイにマイナス補正が掛かり、敵が少なくなればなるほどNPCの行動頻度は高くなっていく。

ディレイとウェイトタイム

  • 味方ユニットが行動した際は、ディレイとウェイトタイム(WT)という2つの数値が蓄積される。
  • ディレイは上記の通り、行動するごとに蓄積されて0になれば再び行動できるというものだが、NPCのそれとは違い蓄積される値の計算は細かい。
    • まず行動させる時点で3加算される*3が、汎用ユニットに限りどの固有ユニットをエース(リーダー)に選んだかにより-1~2の補正がかかる。
    • 次に移動させた時は基本的に1マス移動するごとにディレイが1ずつ加算される。ただしユニットのステータスである「Del」の値までしか加算されないので、Delの値が低いユニットほど遠くまで移動させてもディレイが蓄積しにくい。また、逆に言えば機動力に支障が出るほどの重装備を施したユニットならばDelの値がどれほど高くなっても影響は少ないという事でもある。
    • 最後に攻撃・回復をした場合、アクションごとに設定されたディレイが加算される。後述するスペシャリティによるマイナス補正も含め、これら3つの値を足したものがプレイヤーに蓄積されるディレイとなる。
  • 行動後にディレイと同時に蓄積されるウェイトタイムは、この値が0になる前に行動した味方ユニットに対して「%単位でのバイタリティ(最大HP)減少」というペナルティを与える役目を持つ。このペナルティは現在のマップでのみ機能し、クリアすれば減少分はリセットされる。
    • 蓄積されるWTの最大値は25までで、積載量限界まで武具やアイテムを装備するほどWTは増えていく。ただし、移動・待機だけで済ませた場合は本来の半分の値で済む。そのため、軽装のユニットに連続で移動だけさせる等の運用ならば蓄積WTは低くなっていく。
    • また、「操作不能となり勝手に行動する状態異常にかかる」「ノックバックで段差から突き落とされてダメージを負う」というケースでも加算され、場合によっては通常の蓄積値(25)を遥かに超えるペナルティを食らう事もある。

タクティクスゲージ・タクティクスポイント

  • 自軍敵軍の双方に用意されたゲージで、ユニットが1マス移動する*4ごとにタクティクスポイント(TP)が1つずつ溜まり、それに伴いユニットの攻撃の威力も強化されていく。また、後述する追加アクションの他にも、ユニットの交代や装備変更にマップ上の兵器の利用、戦死した敵ユニットの追い剥ぎ装備回収まで様々な行動をするにあたりこのポイントが必要となる。
  • 戦闘開始時点でのゲージの最大値は10だが、マップ上に点在する拠点ポイントを制圧することで最大値が20まで増加していく。(拠点1つでの増加量は2)

スクランブルとオーバークロック

  • プレイヤー側のみが実行可能なTPを消費して行う「割り込み」で、自軍のディレイを強制的に0にして行動可能状態にする。単に敵の先手を取って攻めるだけではなく、本来なら間に合わないタイミングでの緊急回避・味方の救援や敵ユニットへの連続攻撃など、「割り込み」だからこその戦法も可能としている。
  • 一方で自軍にターンが回っている状態でも、ボタンひとつで周囲の時間を進める「オーバークロック」というシステムが存在する。これを用いて「敵ユニットをわざと引き付ける」「魔法使いの呪文詠唱とタイミングを合わせる」という戦術を組むことも出来る。なお、スクランブルとは違いTPは消費しない。

ビート

  • 自軍の攻撃に合わせて周囲の味方が追撃を仕掛ける連携攻撃。攻撃対象となるユニットを中心とした十字のライン上にいる味方が攻撃に参加してくれる。
  • 本作の戦闘において一撃で大ダメージを与える主な手段として重宝するが、以下のケースではビート自体を発生させられないのが難点。
    • 攻撃対象と追撃に参加するユニットの間にオブジェクトやほかの敵ユニットがいる。
    • 起点となる攻撃が「詠唱時間のある魔法攻撃」「複数のユニットを対象とする範囲攻撃」「ノックバックの特殊効果を持つ攻撃」のいずれかである。

ブースト

  • ビートと同じく自軍の攻撃に合わせて味方が支援してくれるが、こちらは追加攻撃ではなくユニットの攻撃に追加効果を与えるというもの。攻撃を仕掛けたユニットを中心とした十字のライン上にいる味方が支援してくれる。
  • ブースト効果は主に手装備に付与されており、「攻撃力を上げる」「投射攻撃の命中率を上げる」「敵のガード率を下げる」「魔法やアイテムによる回復の効果を高める」など様々な効果を味方ユニットに与えてくれる。
  • ただし、発動させる際には以下の注意点がある。
    • ビートと同じく、攻撃を仕掛けるユニットと支援するユニットの間にオブジェクトやほかの敵ユニットがいるとブーストに参加できない。
    • ブースト効果持ちのアイテムを複数装備していても、ユニットの装備一覧の中で一番上に並んだアイテムの効果しか発動しない。(つまりユニット1人が発動出来るブースト効果は1つのみ)

ガードとカウンター

  • 装備している武器や盾には種類ごとにガード率が設定されており、ガードに成功すれば近接攻撃*5でのダメージを0にすることが出来る。
    • ただし、側面から攻撃された場合のガード率は2/3に減少し、背後からの攻撃はガード不可能となるので立ち回りには注意が必要。また、レイピアでの攻撃は武器ガードを無視してダメージを与えてくる。
  • また、足装備を装備して一定の条件を満たしたうえで武器ガードに成功すれば、ガードの後にカウンターで反撃をする事が可能である。
    • 足装備には種類ごとに「カウンターナンバー」という番号があり、対応した番号のアクションを持つ武器で攻撃をガード出来れば自動でカウンターを仕掛ける。

軍神

  • 本作の題名やロゴを飾る魔槍を唯一装備可能なジュリオが使用できるアクションで、一回の戦闘で一度だけグングニルの力を開放し、圧倒的な力を誇る軍神を降臨させてマップ全体のユニットに対して全体攻撃or特殊効果をもたらす。
  • その効果は「ユニットのHPを半減させる」「ユニットのHPと状態異常が完全回復する」など強力なものが出揃っているが、その分発動に要求されるハードルや発動時のデメリットも多大という危険性も内包している。
  • まず発動させるのに必要になるのが「11ポイント以上のTP全て」。TPを回復するアイテムを使わなければすぐにはたまらない量の上、拠点を1つ以上制圧していなければ10までしかためる事が出来ないので、迅速な拠点の確保も求められる。ただ、移動とそれに伴うTP回復や拠点占拠はゲームの進行上ほぼ必須の行動なので、これらは特に意識せずとも達成可能ではある。
  • 次に、アクションを実行してから軍神が降臨するまでに「長時間の詠唱」が必要となる。詠唱が終了する前に敵からノックバック攻撃等を受けて中断されては目も当てられないので、ジュリオの立ち位置にも気を配る必要がある。
  • 最後に大きな関門として立ちはだかるのが、「効果を受けるユニットは敵味方関係ない」というランダム性。下手をすれば「味方の大半が大ダメージを受けた一方で敵軍はほぼ無傷」という笑えない結果を生むことも。
    • ただし、効果を受けるユニットは実行前に確認出来るほか、「オーバークロックでターンを進ませて選出対象を変える」「効果対象となった味方ユニットを交代させる」などの方法で被害を最小限に抑えることも可能ではある。
  • 以上の様に、上手くハマればゲームバランス崩壊級の戦果を叩き出すことも出来るが非常に扱いづらい、一言で表せば「ギャンブル要素の強いシステム」となっている。もっとも、この易々と使わせない性能でゲームバランスを保っているとも言えるのだが。

ユニットの成長

  • 味方ユニットは経験値を積むことによる「レベルアップ」の他に、武器の種類ごとに設定された熟練度「マスタリー」、特定のアクションに対する熟練度「スペシャリティ」という成長要素を持っている。
    • レベルアップは読んで字のごとく、敵を攻撃・味方を回復するなどして経験値を稼ぐことによりユニットのレベルが上昇する。格上のユニットに一回攻撃するだけでもすぐにレベルアップするが、成長するのは最大HP・装備の積載量(CAP)・状態異常耐性の3つのみ。また、どれほど多くの経験値を得ようと一回のアクションで上昇するレベルは1だけである。
    • マスタリーは装備した武器でアクションを1回実行するごとに1づつ上昇していき、該当する装備の攻撃力も1%ずつ上昇していくというもの。使い込めば最大で+50%の攻撃力上昇につながるほか、一定値まで到達すると新しいアクションを使えるようになる。種類さえ同じなら、同じ武器をもう1つ用意して装備させても効果が消える事はない。
      しかし、その武器を使い込んだユニットしかマスタリーの恩恵を受ける事は出来ず、ユニットAが装備していた武器をユニットBが装備しても攻撃力やアクションの幅に変化は起きないので注意。
    • スペシャリティは武器やアイテムを使用する際、ユニットごとに設定されたI~IVの「スペシャリティナンバー」に対応したアクションを実行すると得られるプラス補正であり、その効果は「攻撃力の上昇」「魔法詠唱時間の短縮」「状態異常発生率の上昇」「アクションで蓄積するディレイの減少」にわけられる。
      ナンバーさえ対応していればどの武器・アイテムのアクションにも適用されるほか、対応したアクションを使えば使うほどスペシャリティの補正も強化されていく。

特殊ポイント

  • マップ上に存在する特殊なマスで、マスの上に移動する事で様々な効果を発揮する。
    • 「拠点ポイント」は上記の様に占拠をする事でタクティクスゲージの最大値が増加していくが、それ以外にも「ビート・ブーストの有効範囲が1マスずつ延長される」「自軍拠点で待機すれば、TPを消費しての装備変更を行える」といった点がある。
    • マップ端のマスに存在する「離脱ポイント」に移動すれば、TPを2消費してまだ出撃していないユニットとの交代が行える。治療不可能な状態異常に陥った・軍神の攻撃対象になってしまった場合などに有用だが、敵軍側にも敵専用の離脱ポイントが存在し、瀕死の敵が別のユニットに入れ替わることがある。当然敵側の離脱ポイントは利用出来ないので、カーソルをポイントのあるマスに合わせてどちらの陣営用のポイントか確認する必要がある*6
    • 一部のマップに存在する「兵器ポイント」に移動すれば、その兵器を用いた攻撃を行う事が出来る。アルケミスト・レーベル・トリックスターなどの一部のユニットしか起動できない、TPを6も消費するといった欠点があるが、魔法と違いすぐに広範囲を攻撃できるのが魅力となる。

オブジェクト

  • マップ上にはタルやツボに騎士像といったオブジェクトが点在しており、多くのオブジェクトは足場として利用できるほかに、破壊すればアイテムを必ず落とす物もある。
  • マップによっては「クリスタル」が設置されている所もあり、攻撃を加えるごとに「ジェム」を周囲にばらまく*7。このジェムは、後述する武器の強化に必要となる。

ユニットの撤退・戦死

  • ダメージが蓄積してHPがゼロになったユニットは、その場に装備していたアイテムをランダムで1つ落として撤退してしまう。この時落としたアイテムは同じマスに止まれば回収する事が出来るが、当然敵に回収されることもあるので注意。
    • 撤退した味方ユニットは負傷状態となり、次のマップで出撃するときに最初からバイタリティ(最大HP)が減った状態で戦闘を行うことになる。ただし、特定のアイテム・魔法を戦闘中に使用すればバイタリティの回復は可能であり、これは上記のウェイトタイムによる減少にも有効である。
  • 一回の攻撃で現在のHPを大きく上回るダメージを受けた場合は戦死となり、その場に戦死したユニットの死体が残る。味方ユニットの死体と同じマスに止まれば、装備していた武具やアイテムを全て回収出来る。しかし敵ユニットの死体から装備を奪えるのは好きなもの1つだけで、回収の際にはTPも消費する。
  • HP0による撤退・戦死以外にも、ノックバック付きの攻撃を用いて残りHPに関係なく倒してしまう方法もある。マップの隅から外へ弾き出す強制排除(撤退扱い)、地面のない奈落・深い水辺に落とされての転落死・溺死がそれにあたる。
    • しかし水辺にいるユニットはランダムで1マス移動させられるので、この強制移動でマップ外や深い水辺に押し流される事もある。
  • なお、大ダメージを与えたり突き落としたりしても戦死するのは固有のキャラクター絵がない汎用ユニットのみで、主人公サイドの主要人物や敵軍の隊長・将軍といったキャラクターの生死は基本的にシナリオの進行でのみ左右される。
    • 例外的に戦闘開始時に選択する味方ユニットのエースは、場外へ弾き出されたり些細なダメージでHPが0になったりしても即刻戦死(ゲームオーバー)となる。

バトルリザルト

  • 見事戦闘に勝利すればバトルリザルトとなり、結果に応じた金貨や最後に倒した敵のアイテム1つを入手できる。
  • リザルトの報酬とは別に、クリアランクによる特別報酬(トレジャー)があり、一人の撤退・戦死者も出さずリトライも行わなかった上で規定時間よりも早くクリアすることで、最大3つの宝箱が次のマップに出現する。
  • 宝箱の中身は消費アイテムからレア装備まで様々で、ゲーム終盤に差し掛かるころの宝箱には最強クラスの武器が入っている場合もある。なお、「宝箱の出現位置」「出現位置ごとの宝箱の中身」は固定となる。

セットアップ解説

次のマップに備えて、ユニットの雇用・追放にアイテムの購入・装備や武器の強化等を行う事が出来る。もちろんセーブも出来るが、正確に言うとデータのセーブはここでしか出来ないので注意。

戦力確認

  • ユニットのステータス確認や装備の変更を行う。武器は2つまで、各種防具は各部位につき1つずつ、道具やアクセサリは何個でも装備出来る。装備品の種類は以下の通り。
    種類 解説
    武器 敵の攻撃や味方の支援に用いるほか、味方のビートに参加するには武器を必ず1つ装備していなければならない。
    武器そのもので敵の近接攻撃をガードする事が出来るが、その確率は盾より低めでレイピアによる攻撃は防げない。
    なお、番号に応じたアクションの攻撃範囲やノックバックの有無は、基本的に武器カテゴリごとに統一されている。
    例:ソードのナンバーIのアクションはオーソドックスな隣接1マスへの近接攻撃、ナンバーIIのアクションは正面3マスを薙ぎ払う攻撃。
    盾装備 一部のユニットのみが装備可能で、武器よりも高いガード率を誇りレイピアの攻撃も防ぐ。しかし両手武器と一緒には装備できず、
    盾でガードした場合はカウンターが出来ないデメリットもある。なお、盾専用のブースト効果を備えている盾も一部存在する。
    体装備 ダメージの軽減率である「def(防御力)」「mdef(魔法防御力)」が大きく上昇する。
    頭装備 状態異常のなりにくさを決める「res」が大きく上昇する。また、このresとは別に他の装備と比べて一部の状態異常を無効化する物が多い。
    手装備 投射武器の命中率「hit」や魔法の詠唱時間の短縮率「cas」を上昇させる。また、ブースト効果を持つ物が多く存在する。
    足装備 移動力の強化やユニットのDelを減少させるなど、機動力の向上につながる物が多い。システム上、カウンターを仕掛けるにはこの装備が必須となる。
    アクセサリ 上記のいずれにも当てはまらない装備品。状態異常無効化や特有のブースト効果・装備効果を持つものが多い。
    道具 HP・状態異常回復アイテム、装備しているだけで効果を発揮する消耗品などが含まれる。当然ながら使用回数に限りがあり、使い切ると消滅する。

ユニットの雇用・追放

  • ユニットの雇用には、シナリオの進行に合わせて現れる義勇兵を引き抜く「キャンプ」と、報酬を用意して傭兵を雇う「ギルド」の2通りが存在する。
    • キャンプは無料で戦力を増強できるというメリットを持つが、複数のユニットのうちランダムで選ばれた3人しか選択出来ないために、自分の欲しいクラスのユニットがいない場合もある。
    • ギルドは報酬となる金貨の額を指定してユニットを募集する。この時に任意で武器を1つ報酬として加えれば、その武器を装備できるユニットだけを募集することも出来る。
    • キャンプよりも自由に自分の欲しいクラスのユニットを確保出来る点に加えて、金貨とランクの高い武器さえあればゲーム序盤からレベルの高いユニットを雇う事も出来る。しかし逆に言えば報酬が十分でなければあまりレベルの高いユニットを雇えないという欠点がある。
      • また、報酬に武器を追加してユニットを雇用しても報酬にした武器は返ってこない点にも注意。
    • なお、ギルドではキャンプ・ギルドで採用したユニットの追放も可能なので、不要なユニットの整理が出来る。追放したユニットの装備は自動で外されるので持ち逃げされる心配はない。

ショップ

  • 装備アイテムの購入・不要な道具の売却を行う。ショップの品揃え(そして店主)はシナリオの進行(マップ)によって変化し、とあるマップでは貧しい身なりの少女が薬草2本だけを売っているなんて事もある。
    • 購入の際に注意したいのが、品物は全て一品ものとして扱われており、表示されている分のアイテムしか買えないという点。例えば武器の項目に同じ種類の剣が3本あるなら、購入できるのはその3本分だけとなる。

錬金術

  • ジェムという素材を使って武器のクオリティ(攻撃力)を強化していく『武器強化』と、防具やアイテムを素材にする『ジェム還元』の2つからなる。
    • クオリティは+9まで強化可能で、武器攻撃力の上昇量は最大で+50%となる。前述したマスタリーでの攻撃力上昇も併せれば、武器の攻撃力は+100%(2倍)にまで上昇する事となる。
    • 強化に必要なジェムの種類と個数は武器の属性・武器自体のランク・クオリティの高さで違いがあり、ランクとクオリティが高ければ高いほど必要なジェムの個数・強化成功率も厳しくなっていく。
    • なお、強化に失敗しても武器がレベルダウンしたり壊れたりはしないものの、ジェムはきっちり消費する。
    • ジェム還元では、武器以外の装備品・アイテムを消費することで、還元前の品物に応じたジェムを入手できる。換金専用と説明されていたり、味方には使い道がない敵専用のものだったりしたアイテムを大量のジェムに変えることも可能である。
      • ちなみに、戦闘中にマップ上にあるクリスタルを攻撃する事でもジェムを稼げるが、その効率はあまりよくない。

ユニットクラス解説

+ 固有ユニット

フェンサー(使用武器:ソード、魔槍)

  • 主人公のジュリオ専用のユニットクラス。主人公らしく前衛としてそつなくこなせる性能を持ち、ギャリソン程ではないが物理防御力の非常に高い重装備で戦いに臨むことも可能。
  • ただし、後述するが専用装備である魔槍の使い勝手は色々な面で悪い。勿論強力な武器ではあるがこれ一本で戦い抜くには少々厳しいので、戦闘中の装備変更などを駆使して臨機応変に立ち回る必要があるといえる。

ワルキューレ(使用武器:ボウ、レイピア)

  • グングニルと共に現れた少女エリーゼ専用のユニットクラス。遠距離専用武器のボウと近接武器のレイピアを使いこなせる万能タイプだが、HPは平均より下なので主に扱うのはボウとなる。
  • しかし、レイピアは「武器によるガードが出来ない代わりに武器のガードを無力化してダメージを与える」というソードよりも更に攻撃寄りの特性を持ち、ランクの高いレイピアならば強力なノックバック攻撃を備えているので、装備やレベルが整った後半以降ならば前衛としての活躍も見込める。

グラディエーター(使用武器:ソード、アクス)

  • ジュリオの義兄ラグナス専用のユニットクラス。前衛としての素質はジュリオ以上で、ブレイカーに似たHPや攻撃力とフェンサー並みの重装備による防御力を併せ持つ。
  • ただしストーリー前半で永久離脱してしまうために、その活躍機会は限られがちなのが残念な所。

アルケミスト(使用武器:ロッド、グリモア)

  • エスペランサの参謀パウロ専用のユニットクラス。範囲魔法攻撃を行うロッドと、回復アクションを多数備えたグリモアを同時に装備できる唯一のユニット。装備重量の制限があるので二種類同時装備をすることこそ厳しいが、ユニットの編成に応じて攻撃と回復のどちらにでも回れるという柔軟さを持つ。
  • しかし術師系ユニットの宿命か、最大HP・装備可能防具ともに心もとない。戦闘の際は敵射撃ユニットの動向に注意したい。

レーベル(使用武器:ボウガン、クロー)

  • 帝国に追われる女性ヴァレリィ専用のユニットクラス。近~中距離向けの射撃武器ボウガンが主な武器となるが、クローを用いた接近戦も可能なので機動力を高めて敵陣のかく乱も行える。
  • また、一部のクローには一定確率で敵のアクセサリー・アイテムを盗むアクションもあり、敵の弱体化以外にも撃破後のドロップアイテム調整に役立てることも出来る。

デュエリスト(使用武器:ソード、レイピア)

  • 帝国の在り方に疑問を抱く騎士ナタリア専用のユニットクラス。ジュリオ程の重装備は出来ないものの、低くないHPに加えて武器ガード無視のレイピアを扱えるので、守りの際には盾で攻撃をしのぎつつレイピアで確実に敵を突くという粘り強い戦い方が出来る。
  • また、固有の前衛系ユニットでは唯一移動によるディレイの蓄積が2という少ない値なので、機動力を高めて回復アイテムを持たせ単騎で陽動を仕掛けるという戦法も取れる。

ロワイアル(使用武器:ステッキ、ランス)

  • 帝国の商人からジュリオ達の手によって助け出された少女アリッサ専用のユニットクラス。ゲーム中盤でランスを手にジュリオ達と共に戦う事となる。
  • ステッキは攻撃範囲を狭めて近距離向けに調整された魔法武器で、ロッドとブランド(魔法剣)の中間といった立ち位置となる。しかし攻撃力も控えめになっているので、メインで使っていくのは難しいところ。
  • それに引き替え、ランスは初期装備を除く上位武器の入手機会がごく限られているものの、その攻撃力は同ランク帯の近接武器よりも頭一つ高く、使用出来るアクションも現在HPに対する割合ダメージだったり防御率無視の大ダメージ攻撃だったりと極めて凶悪。全体的に攻撃後のディレイがたまりやすい欠点こそあるものの、しっかりと使い込みつつ武器強化も欠かさなければ、エスペランサ随一のアタッカーにもなりうる性能を持つ。
+ 汎用ユニット

ギャリソン(使用武器:ソード、(一部の)大盾)

  • 使用できる武器は基本的にソードのみと少ないが、驚異のガード率を誇る大盾を含めた、全ユニット中随一の重装備を可能とする前衛ユニット。装備を固めて前線に繰り出せば、敵の攻撃を食い止める「盾」として大いに貢献出来る。
  • また、一部の大盾はガード率が低めな代わりに攻撃に転用可能で、さらに条件こそ限られるがビートでの追撃に参加した時にノックバックを発生させられるようになる。

パラディン(使用武器:ソード、ブランド)

  • ソードの他に、近接攻撃に特化した魔法武器「ブランド(魔法剣)」を装備出来る唯一のユニット。敵の防御力・魔法防御力に合わせて二種類の武器を使い分ければ、敵を選ばず安定したダメージを与える事が出来る。
  • ギャリソンの様な重装備こそ出来ずHPの伸びもそれなりだが、ソードを使っている時ならば盾も一緒に装備出来るので、敵の攻撃にも耐えてくれる。

ブレイカー(使用武器:アクス、ハンマー)

  • 全ユニット中随一のHPを誇る前衛ユニット。多少の攻撃をものともしないタフさを武器に前線へと繰り出し、攻撃力の高いアクスとハンマーで敵を薙ぎ払う典型的なアタッカー。
  • 装備破壊やオブジェクト破壊にも長けており、敵の防具を破壊して防御力を下げる・戦場のオブジェクトを手早く破壊してアイテムを回収するなど、攻撃力の高さ以外の長所も光る。

アサシン(使用武器:ダガー、クロー)

  • 機動力を最大の売りとするユニット。使用武器の一つであるダガーでのアクションは全体的に蓄積ディレイが少なく、装備可能なDelのステータス値を下げたり移動力・ジャンプ力を強化する防具が他のユニットよりも多いので、手数の多さと長距離移動を軸にした攻め・拠点確保で活躍する。
  • ただし、身軽さの代償か近接攻撃しか出来ない割に打たれ弱さが目立つので、ヒット&アウェイや回復アイテム持参といったカバーは欠かせない。

トリックスター(使用武器:ツール、ダガー)

  • 独特の専用武器であるツールを用いた攻撃が特徴的なユニット。周囲8マスの内1マスへの大ダメージランダム攻撃に、足元に仕掛けたのち踏んだユニットに特大ダメージ+高確率での状態異常を叩きこむ「ピット(落とし穴)」といったクセの強い技が並ぶほか、戦場にある兵器の扱いにも長けている。
  • その反面、その独自性を生かせなければ十分な働きを見せてくれない、上級者向けのユニットでもある。

ヴェネリー(使用武器:ウィップ、カタナ)

  • 範囲攻撃と状態異常付加に優れたウィップと、カウンター専用装備のカタナという2つの専用武器で戦うユニット。ウィップによる攻撃は複数の敵を同時に巻き込みやすいほか、一部のウィップが持つ攻撃「キャプチャー」は自身と敵の動きを封じてしまう強力なもの。
  • カタナは自分から攻撃できない代わりに足装備なしでカウンターを可能とする武器で、使用感としては「反撃出来る盾」に近い。装備する状況を間違えなければ、非常に高い火力のカウンターで敵に致命傷を与えることが出来る。

アーチャー(使用武器:ボウ)

  • 投射武器のボウで遠方の敵を狙撃する、遠距離攻撃専用ユニット。アーチを描く軌道で放たれる矢は地形や障害物の影響を受けにくく、アクションの適正射程も中~遠距離をカバーしており、どんな位置からでも攻撃を当てやすい。
  • その反面接近を許した敵への攻撃手段はほぼ無いに等しく、敵前衛ユニットの侵攻を防ぐ壁役との連携や簡単に隣へ経たせない為の位置取りは欠かせない。

ガンナー(使用武器:ボウガン)

  • 中~近距離用の投射武器ボウガンで敵を射抜くユニット。適正射程こそ短いが、逆に考えれば近距離で必中を狙える攻撃が仕掛けられるという事であり、アーチャーに負けず劣らずビートの起点として優秀。複数の敵を貫通して放つ投射攻撃も備えており、その火力はアーチャーを凌ぐ。
  • しかし、発射する矢は全て直線軌道であり、乱戦では味方を巻き込む・誤射してしまうケースもある。多少の段差の上に乗った位では解消されにくく、敵味方入り乱れる乱戦では活躍しにくい。

シューター(使用武器:ジャベリン)

  • 専用の投射武器ジャベリン(投げ槍)を用いるユニット。アーチャーと同じく放物線を描く軌道で攻撃を仕掛けるので乱戦時でも命中させやすく、他の射撃系ユニットにはない近接攻撃アクションも扱えるなど、状況に合わせた対応がしやすい。
  • また、射撃系ユニットでありながらノックバック付きの投射攻撃を可能とし、近接攻撃とは違いガードされずにノックバックさせられるのも大きな長所。

ソーサレス(使用武器:ロッド、メイス)

  • ロッドでの魔法攻撃を得意とするユニット。どの攻撃にも詠唱時間があるためタイミングを計る必要があるが、範囲内の敵を一網打尽に出来るのでダメージ量で見た場合の火力の高さは随一。物理防御の高い防具で固めたギャリソンなどには特に効果的。
  • しかし、もう一つの使用武器であるメイスで応戦可能とはいえ非常に打たれ弱い。アーチャーとは違い「距離を取って即攻撃」という自衛手段も取れないので、防衛線の維持は必須となる。

プリエステス(使用武器:グリモア、メイス)

  • 回復アクションに特化した魔法武器グリモアで味方を支援するユニット。一人いるだけでも味方の耐久性の向上が見込めるので、アルケミストかこちらは常に出撃枠に入れておくとグッと戦闘が楽になる。
  • グリモア唯一の攻撃アクションも地味に優秀で、魔法攻撃でありながら投射攻撃と同じ性質を持ち、ボウガンと同じように近距離の敵に必中を狙える性能を持つ。魔法系ユニットの中でもHPが高めなこともあり、前線での戦闘でもほかの前衛と連携しての活躍が見込める。

ウィッチ(使用武器:ブルーム)

  • ブルーム(魔法の箒)に乗って飛行しての移動を可能とする唯一のユニット*8。段差をほぼ無視しての移動が可能なので、通常ならば進軍に時間がかかる・落下ダメージを受ける高低差間の移動を難なくこなす。
  • ブルームでの攻撃も近接攻撃から遠距離範囲攻撃、さらにはトリックスターと同じ性能を持つ設置魔法トラップ「グラム(魔法陣)」と多岐に渡り、活躍の場は幅広い。だが、ソーサレスに負けず劣らずHPは最低クラスの上、便利な近接攻撃を多用する場合においては接敵しやすくなりがちとなる点には注意が必要。

評価点

多彩かつ斬新なシステム群

  • システム解説でも述べたとおり、「ブースト付与のために味方にどんな装備をさせて出撃させるか」「スクランブルで攻撃を回避するか先制を仕掛けるか、または一度攻撃を耐えてから一斉攻撃を仕掛けるか」「交代させる前提で無理な運用をするか」など、プレイヤー戦略の幅を広げる要素が多く用意されている。
  • ユニットの性能や防具・アイテムなどを吟味すれば、「防具破壊やアイテムスティールを駆使して敵の装備を武器だけにしてしまう」「広範囲魔法で敵を薙ぎ払いつつ、属性吸収付きの味方前衛を回復させる」「長距離かつ高頻度の移動を可能とするアサシンを先行させ、迅速に拠点を増やしていく」などといった戦術も可能である。

個性豊かな性能のユニット

  • 本作では専用の武器を扱う汎用ユニットが多く、それ故に汎用ユニットだからこそ出来る事も多々ある。そのため、後述する問題こそあれど『固有ユニットだけ出撃させていればOK』という事態にはなりにくい。

キャラクターデザイン

  • 本作のキャラデザは、同シリーズの「ユグドラ・ユニオン」と同じくきゆづきさとこ氏によるもの。ほのぼの学園コメディ「GA 芸術科アートデザインクラス」のイメージが先行しがちではあるが、ダークファンタジーの要素を持つ「棺担ぎのクロ。~懐中旅話~」も手掛けているので違和感は少なめ。
    • ゲーム中のキャラクター絵には、パッケージ表の絵とは違い影の部分に射線を追加されストーリーに準じた暗めの雰囲気を醸し出している。

BGM

  • 本作でもスティングのサウンドコンポーザーである林茂樹氏が作曲を手掛けているが、今までのDHEシリーズとは違い楽曲は全てオーケストラ調で統一されている。しかし本作の雰囲気にはピッタリ合致しており、なおかつ戦闘を十分に盛り立ててくれる物がそろっており評価は高い。

賛否両論点

便利すぎるノックバック

  • 一部のアクションに付与されている効果で、攻撃を当てたユニットを1マス後方へと移動させるものなのだが、その性能があまりにも高い。
  • 高低差のある段差から叩き落とすことで進軍を妨害しつつ防御率無視のダメージを与えたり、ユニットの魔法詠唱をリセットさせられる点ならばまだ許せる範囲内ではあるが、戦死・撤退の項でも述べたとおり、どれほど強力なユニットだろうがマップ外や深い水辺・奈落の底に押し込んでしまえば簡単に撃退できてしまう。
  • 極めつけに『凹』の様な地形の中に隙間なくユニットが存在している所にノックバックでさらに一人放り込むと、ユニット同士が何度も激突しあって放り込まれたユニットもろとも全滅するという超火力を叩きだす。そうそう狙える状況ではないとはいえあまりにも強力過ぎる。
  • そのため、ユニットに装備させる武器を選ぶ際には「ノックバック付きの攻撃と、通常の単体攻撃双方を持つ武器がオススメ」とも言われている。(単体攻撃も持っている事が推奨される理由は後述。)
  • ただし、これらの利点は初心者救済とも取れる面があるほか、それほどダメージを与えずに強制退場させた場合は結果的に獲得経験値が少なくなるというデメリットも存在している。

ユニット間の格差

  • この手のゲームでの宿命か、やはりユニットごとの性能差……というよりは扱い易さの差が存在する。正確に言えば、固有の特徴が強力過ぎるユニットや、他のユニットよりも明らかに扱いづらいユニットがいる。
+ 主な強ユニット・弱ユニット

シューター

  • ジャベリンを用いての投射攻撃を得意とするユニット。ガンナー・アーチャーなど他にも投射攻撃が可能なユニットがいる中で強力と言われる所以は、アクションナンバーIIIのノックバック付きの投射攻撃にある。
  • 投射攻撃はターゲットのガード率に左右されず、ターゲットとの距離により命中率が変動する。逆に言えば距離さえ合っていればガードも回避もさせずにノックバックさせられるという明確な長所を持っている。装備により命中率を高めれば、多少距離が遠かったり近かったりしても必中させられるためより強力に。

ウィッチ

  • 専用武器のブルームに乗って飛行移動を行う唯一のユニット。どんな高い段差だろうと無視して進軍が可能*9であることに加え、高低差を無視した近接魔法攻撃や射程無制限のノックバック付き魔法攻撃など何かと強力な攻撃を備えている。

トリックスター

  • ダガーと専用武器のツール、そして戦場の兵器を用いて戦うユニット。しかし、ツールを用いた攻撃は「威力が低い近接攻撃」「自身の周囲8マスのうちランダムで1つを攻撃」「威力がそれなりの投射攻撃」「足元に仕掛けたのち、仕掛けられたマスに止まったユニットに大ダメージを与えるトラップ」と、3つ目を除き軒並みクセが強く、マップに設置された兵器も局地的でどうにも使い勝手が悪い。
  • もう一つの装備武器であるダガーでも十分戦えるのだが、そうなると「ダガーを使うならアサシンでOK」という事になってしまう悲しい立場にある。
  • しかし、トラップの威力は非常に高いので、「敵が止まりやすいマス(拠点ポイントやアイテム袋の落ちているマス)に仕掛ける」「ノックバックで押し込む」などして積極的に踏ませる事が出来れば、敵を翻弄する強力なからめ手となる。

ヴェネリー

  • ウィップとカタナという、2つの専用武器を扱う前衛ユニット。カタナはカウンター専用武器という特異な立ち位置ではあるが、足装備なしに超強力なカウンターを叩きこめるのは魅力的であり、背後を取られづらい地形でならば強力。
  • 一方で、主な攻撃手段となるウィップは貫通攻撃や薙ぎ払い攻撃を備えたものが多く、ビートの起点として扱いづらい。単体近接攻撃はあるのだが、それに付与された特殊効果「対獣用」のせいで、亜人系ユニット以外(人間やオブジェクト)へのダメージが1で固定されるという酷すぎる性能となってしまっている。
  • もう一つのウィップのセールスポイントに、自身と敵ユニットの行動を完全に封じる「キャプチャー」がある。しかしそのアクションを実行できるウィップが、一番弱いウィップ(というかロープ)と終盤のショップで買える店売り最強クラスのウィップ、そしてラスボスが装備している最強のウィップの3種類しかない。つまり、(引き継ぎを利用せず)ヴェネリーにキャプチャーを活用させたいならば、終盤になるまでロープで戦わなければならないという苦行を強いられることとなる。

問題点

エンディング

  • どう見ても打ち切りエンドにしか見えない終わり方
    • ストーリー自体は人種差別やそれに伴う隔離・虐殺などを扱っていて重苦しく、時折鬱展開ともいえる要素があるものの、決して出来の悪い物ではない。しかし、エンディングに関しては伏線を放置したり新たな謎を残したりしている為、打ち切りエンドにしか見えないと低評価を下す人が圧倒的に多い。
      • 続編を前提としたバッド(ビター)エンドなのでは?と取る意見もあるが、そういった意見の人でもあくまで「これを乗り越えた先のグッドエンドがあれば納得できる」という話で、これで終わりという事を評価する声は聞かれない。
+ エンディングについての解説 ※中度のネタバレ注意!※
  • エンディングは複数あるが、帝国のボスキャラが半ば漁夫の利の様な流れで英雄として祭り上げられる流れはどれも変わらない。
    • グッドエンドとバッドエンド、そしてグッドの終わりの方に1シーンが追加される隠しグッドエンドがあるが、それで分岐するのは主人公(とエスペランサ)の行く末のみである。
  • 終盤の展開で説明不足な展開が続く
    • ラスボスの直前に戦ったボスは死なずに立ち去ったが、一体どこへ行ったのか語られない。
    • エンディングの冒頭でとあるキャラクターが殺されていたが、殺したのが上記のボスなのか、それとも現場にいた別のボスキャラなのかは謎のまま。

不親切なUI

  • 上記の様に様々な独自要素を取り入れているのだが、残念ながら所々不便さが目立つ。
    • スクランブルを行う場合、「プレイヤーのディレイが0になる前にLボタンを押して時間の経過を止める→○ボタンを押してスクランブル発動」という流れになるのだが、スクランブル実行前にどの敵ユニットのディレイがどれだけ溜まっているかを確認出来ない
      • より正確に言うならば、「敵軍に同一クラスのユニットが複数いる場合」という前置きが付く。アクトシーケンス上にはユニットの顔アイコンの上か下に、蓄積されたディレイが表示されているのだが、例えば敵軍に多数のアーチャーが存在している場合はどのアーチャーのディレイがどれだけ溜まっているかを、スクランブル発動前に確かめる事が出来ない。
      • 自軍のディレイが0の時に敵ユニットにカーソルを合わせれば、そのユニットのディレイを確認する事が出来るが、時間停止中にカーソルを合わせても地形情報しか見せてくれない。
    • ショップで買い物をする時も、ショップ画面から離れずにユニットのスペシャリティナンバーを確認出来なかったり、回復アイテムの詳細を見る事が出来なかったり*10と、痒いところに手が届かない。
    • ユニットの現在の装備一覧表示画面や、ユニットに装備させる武器を選ぶ時には、装備中・選択中の武器のマスタリーがゲージや数値で表示されるのだが、「ユニットを選択して、そのユニットが装備可能な全ての武器のマスタリーを一括表示させる」といったことは出来ない。

明らかに説明不足な要素

  • 本作ではなぜか、「そこは取説やチュートリアルに載せておけよ」と言いたくなるような説明されてない部分が多い。
    • ノックバック付きの攻撃、薙ぎ払う・貫通するなどの範囲攻撃はビートの起点にはならない
      • 本作で最もお世話になるであろう攻撃手段であるにもかかわらず、重要な部分がどこにも載っていない。プレイ中に「何故発動しない?」と思った人も多いだろう。賛否両論点で述べた、単体攻撃も推奨する理由がこれである。
    • ゲームオーバー時にリトライを選択すると敵が弱体化するが、「勝利条件画面の背景右上に、大きくうっすらと表示された数字」が敵の強さを決める指標となる。
      • 戦場にいる敵ユニット一人一人に設定された「最大HP」「味方に与えるダメージ」にこの数字を乗算したものが敵ユニットの実際の強さとなる*11のだが、こちらもゲーム中一切触れる事もなければ説明書にも載っていない。
    • ブーストで強化出来る攻撃力には「基本攻撃力」「戦略攻撃力」「武器攻撃力」があるのだが、それらの違いも一切説明なし。武器攻撃力は名前からしてわかるが、残りの二つは何が基本で何が戦略なのか全くもって訳が分からない。
      • 戦闘中、発動させるユニットのアクションを選択する時に、アクションにカーソルを合わせてセレクトボタンを押すとそのアクションの詳細を見る事が出来る。そこまで見て初めて基本攻撃力と戦略攻撃力が「アクションごとに設定された攻撃力」だと分かるのだが、それはプレイヤーにほぼノーヒントで探させるものではないだろう*12

噛み合っていないリザルト報酬

  • 前述のように、戦闘の結果に応じて最大で3つの宝箱が次のマップに配置されるというものなのだが、報酬を得る条件とその獲得方法が噛み合っていない。
  • まず戦場の特定の位置に配置される宝箱なのだが、主戦場から離れた場所に置かれる場合もあるうえに「宝箱を破壊→中身のアイテム袋の真上に移動して回収」と無駄に手間がかかる。付け加えれば宝箱も2~3回の攻撃が必要な程度に硬い。
  • そして繰り返しになるが、リザルト報酬の出現条件の一つが「規定時間よりも早くクリアする」事である。つまり、「宝箱の回収を優先した結果、次のマップで獲得出来るリザルト報酬が減る(あるいは無くなる)」というケースが発生しやすい。

不遇すぎる魔槍グングニル

  • 本作ストーリーの象徴とも言うべきグングニルだが、前述の軍神の使いにくさを差し引いても異常に運用のハードルが高い
    • 軍神降臨アクション「終焉のラグナレク」の他に使えるアクションは、正面3マスを薙ぎ払う攻撃のみ。与えたダメージの1/3分HPが回復したり、瀕死時には与えるダメージが1.5倍になるなど強力な攻撃ではあるのだが、前述の様に単体攻撃でなければビートの起点とはなりえない。
    • 一番のネックになるのが76という超重量。店売り最強クラスのソードの重量が40前後であると踏まえると恐ろしい値である。特に序盤でこれを装備するには防具にかなりの妥協を強いられるため、HP吸収攻撃があるとはいえ防御面での不安は大きい。
    • ガード率が9%しかないのも地味に痛い所。両手装備では盾との同時装備も出来ないので、敵の攻撃をロクに防げず食らってしまう事が多い。
  • 以上の要素から実用に耐えうるものとは言い難く、大抵の場合は倉庫番、良くても降臨係としての運用が主になってしまう。

クリア後の引き継ぎ

  • 本作ではゲームクリア後に、所持したアイテムや金貨、ユニットのマスタリーとスペシャリティなどを引き継いで最初からゲームを始める事が出来る*13のだが、ユニットのレベルと汎用ユニットの雇用状況は引き継がれない。
  • つまり、終盤まで使い込んだ汎用ユニットを活躍させたいならば、また一から雇用し直さなければならないために非常に面倒。
    • また、終盤で雇えるレベルの高いユニットは2周目以降も終盤でしか雇えず、その活躍の機会はごくわずかとなってしまう。そのうえ、周回プレイ前提で汎用ユニットを使っていくなら序盤から同じキャラクターを使い続けた方が効果的となるために、余計に終盤雇用可能ユニットの出番がない。
  • さらに、ギルドではなくキャンプでユニットを雇用した場合、キャンプで雇えるユニットの選定がランダムである点が足を引っ張り、せっかく育てたユニットが2周目では雇う事が出来ないという笑えない結果をもたらすことも。
  • レベル自体は割と簡単に上がるので「リセットされてもあまり気にならない」という意見はあるものの、やはりこちらも一から育てるのは面倒。

総評

スティングらしさ溢れる独特なシステムやユニット、重苦しさに満ちたシナリオなど、評価に値する要素は多々ある。
しかし、消化不良なエンディングに加えて説明不足・不便さが目立つシステムの存在が足を引っ張り、手放しで称賛できる内容ではない非常に惜しい作品。
根元のシステムが高評価を受けているからかエンディングが続編を匂わせる内容なためか、上記の不満点を解消した続編あるいは本作のリメイク・完全版を望む声は多い。


その後の展開

  • Dept.Heaven.Episodes.シリーズの新作は本作を最後に音沙汰がなくなっている。
    • ただしシリーズに全く動きがないというわけではなく、以降もスマホやSwitchを中心にシリーズ過去作の移植やリマスターは行われている。
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最終更新:2024年04月02日 16:44

*1 友軍・状態異常で勝手に行動する味方ユニットも含む。

*2 移動や待機のみで行動終了した時の蓄積ディレイは半分。

*3 移動もさせず待機を選んでも同じ。

*4 ただし一回の移動で加算されるポイントは、ユニットのステータスである「tac」の値まで。

*5 魔法の近接攻撃もあるが、それもガード可能

*6 青文字表示が味方側、赤文字表示が敵側のものとなる

*7 攻撃の属性によって落とすジェムの種類も変わる

*8 ただし静止時は着地しているので、他のユニットと同じくノックバックで奈落や水中に落とされれば死亡してしまう

*9 ただし、ふちに柵などの障害物がある場合は、そこからの乗り降りは不可能。

*10 回復アイテムの説明文には中程度や少量といった単語はある。

*11 最小値は0.50で、この時は1.00の時の半分になる。

*12 一応、説明書には「キャラやアイテムにカーソルを合わせてセレクトボタンで詳細表示」「(ヒントコーナーに質問の内容こそ違えど)アクションにカーソルを合わせてセレクトボタンを押せ」という記述がある。

*13 もっとも難しい難易度であるnightmareへの引き継ぎは不可能。