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がんばれゴエモン ~東海道中 大江戸天狗り返しの巻~
【がんばれごえもん とうかいどうちゅう おおえどてんぐりがえしのまき】
ジャンル
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アクションアドベンチャー
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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512MbitDSカード
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発売元
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コナミ
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開発元
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コナミコンピュータエンタテインメントスタジオ→コナミ
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発売日
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2005年6月23日
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定価
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4,980円(税別)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:全年齢対象
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セーブデータ
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最大3ファイル保存可
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廉価版
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コナミ ザ・ベスト:2006年6月29日/2,800円(税別) コナミ殿堂セレクション:2009年10月29日/1,905円(税別)
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判定
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良作
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がんばれゴエモンシリーズリンク
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概要
プレイステーション版『大江戸大回転』から4年ぶりとなる新作で、本家開発チームの再結集により制作された。
ニンテンドーDSで発売された唯一のシリーズ作品かつシリーズ最終作である。
これ以前に本家チームが手がけた『でろでろ道中』の発売以降、外部開発によるPS版シリーズ作品の悪評が原因で長らくシリーズ自体が人気低迷の憂き目にあっていたこともあり、「ゴエモンシリーズ完全復活」を謳い文句に引っさげてリリースされた。
据置機の本編作品を踏襲した携帯機シリーズの作品としては、2000年にGBC向けに発売された『星空士ダイナマイッツあらわる!!』以来、5年ぶりの作品であり、携帯機シリーズ唯一のアクションADVとなっている。
物語
ある日の大江戸はぐれ町。
ゴエモンとエビス丸が長屋でのんびり過ごしていると、二人の似顔絵が書かれた手配書を持ったおみつが駆け込んできた。
潔白を証明すべく奉行所へ向かおうとするものの、ゴエモンたちは役人たちに捕らえられ問答無用で牢屋に放り込まれてしまう。
ヤエの手引きで脱獄した二人はほろほろ寺にて自分たちの名を騙る者達の存在を突き止めるものの逃げられてしまう。
「疑惑を完全に晴らしたければ休廷の間に真犯人を捕まえてこい」との町奉行・遠山金衛門の言葉を受け、
ゴエモンとエビス丸は事の真犯人である「Mr.五右衛門団」なる謎の窃盗団を追って、東海道中を渡る旅に出るのであった。
本作の作風
本作では、世界観及びキャラクター設定はN64時代以前に戻り、操作キャラもおなじみゴエモン、エビス丸、サスケ、ヤエの4人。
作風面においては、シリーズ初期の作風に回帰して「東海道の旅」がテーマとなっており、それに合わせて「和」の風情や地域性を色濃く取り入れている。
和を強調した墨絵調のグラフィックや実在の人物や時代劇、日本神話等をモチーフとしたキャラが多数登場するのが特徴で、旧作に比べるとSF要素は薄めである。
ゲーム内容
キャラ切り替えによるアクションアドベンチャー
『3』『ネオ桃山幕府のおどり』同様、アクションアドベンチャー色の強い内容になっており、セレクトボタンでキャラ交代し、各キャラ毎の専用アクションを使い分けながら攻略していく。
旧作と異なり、移動速度やジャンプ力に関しては性能差は設けられていない。
過去のアクションアドベンチャー系の作品では水上に入ることができたが、本作では地形ダメージ扱いとなり、水に落ちるとダメージを受ける。(人魚変化中のヤエを除く)
武器のパワーアップに関しては横スクロールアクション系列の作品を踏襲しており、招き猫の入手で3段階までレベルアップし、ダメージを受けるごとにパワーダウンする。
各キャラに固有の攻撃用の術が用意されており、道場でお金を払って習得した後、敵を倒して巻物を入手し画面左上の巻物メーターを満タンに貯めることで1回だけ術を使える。
キャラクターの能力
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ゴエモン
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武器:キセル→銀のキセル→黄金のキセル。パワーアップ毎にリーチと攻撃力が増加する。
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サブウェポン:小判。溜め撃ち:スーパー小判。
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特殊能力:パワーグローブ。フィールド状のインパクトブロックを押し引きして動かせる。敵への攻撃も可能だが腕を振りかぶる動作の硬直が長いため隙が大きい。
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術:戦国インパクトの術:インパクトの姿に変身し、背中の大砲から砲撃して画面全体に攻撃する。
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エビス丸
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武器:おでん→豪華なおでん→リッチなおでん。リーチと攻撃力が増加する。
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サブウェポン:手裏剣、おなら(後者は特定の仕掛けを動かすのに使う)
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特殊能力バレリーナドリル。バレリーナに変身して地面を掘れる他、地面に潜って障害物を回避できる
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術:天女の術。天女に変身して上空からハートを落とし、画面全体に攻撃する。
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サスケ
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くない→波動くない→くない二刀斬り。パワーアップ毎にリーチと攻撃力が増加し、最大で攻撃時にくない1発を前方に射出する。
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サブウェポン:花火爆弾、大花火爆弾。(両者ともフィールド上の特定の障害物を破壊できる)
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特殊能力:風船。ジャンプ中の滞空時間が延びる。
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術:大凧の術。大凧に乗って上空から爆弾を落とし、画面全体に攻撃する。
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本作ではちょんまげ攻撃は存在しない。
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ヤエ
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武器:ヤエの刀→くのいちの刀→竜巻の剣。パワーアップ毎にリーチと攻撃力が増加し、最大で攻撃時に小さな竜巻を前方に射出する。
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サブウェポン:ヤエバズーカ→ロックオンバズーカ(溜め中に最大三体まで敵をロックオンし、追尾する弾を放つ)
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ヤエ人魚。人魚変化で水上移動が可能になる。
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本作では変身時の外観が鯉のぼりを着ぐるみのように着込むという形に変更されており、地上で変身してからでないと水上に入れない。
また、地上でも移動可能だが、攻撃が不可・移動速度とジャンプ力の大幅な低下というハンデがつく。
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術:みだれサイコロの術:ちんちろりんを行ってサイコロを振り、画面全体に攻撃する。
アイテム・武器切り替えの仕様変更
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SFC時代の操作体系から変更が加わり、武器の切り替えはR/Lボタンではなく、R/Lボタンを押しっぱなしにして十字キーで選択する(この間、画面の動きが一時停止する)。鎧・兜類などの防御アイテムも同様に切り替えて装備する。
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回復アイテムは選択した後にXボタンで使用し、防御アイテムは従来通り、装備しているだけで効果を発揮する。
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この変更に伴い、回復アイテムのみ、全種類を所持することが可能になっている(所持数は1種類につき1つずつのみ)
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アイテムによってはキャラのグラフィックが変化(会話ウィンドウ内のキャラ立ち絵にも反映される)するものもある。
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本作では銀の招き猫を取ることでメイン武器がパワーアップし、ダメージを受けることでパワーダウンする。
章仕立てのシナリオ
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タイトルの通り本作の舞台は東海道。細く長い道で繋がれたマップをメインに、道中にある町で起きる事件を解決していくことになる。
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ストーリー自体は全9章からなるオムニバス形式となっており、章の開始時にサブタイトル画面が挿入される。
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大まかにマップとマップをつなぐ道中エリア・町エリア・敵の拠点となる城ステージの3つに分かれており、町で情報を収集して城ステージに乗り込み、ボスを倒してインパクト戦に勝利することで章クリアとなる。
従来と異なる画面構成
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画面は斜め見下ろし型のクォータービューで進行。『サガ フロンティア2』などと同じでマップは2Dの一枚絵だが、ゲーム的には3Dアクションとなっている。
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特定の章では2Dステージが登場し、従来のような横スクロールアクションも楽しめる。
DSのタッチスクリーンを活かした謎解きやボス戦
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フィールド中に存在する足場をタッチして下方向に引っ張って動かす、ボス本体に特定の仕方でタッチすると自キャラに有利な状況が発生する、アクションステージ中に左右に揺らしたり回転させることで動かす仕掛けなど、タッチ操作を使用するギミックが多く存在する。
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おなじみのインパクト戦も今回はリモコン(インパクトコントローラー)を使って遠隔操縦する設定になり、タッチペン操作になった。
タッチパネルをリモコンに見立て、移動及び各種技は全て画面下部の操作アイコンのタッチ入力で繰り出す。
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遠隔操作で戦うインパクトの手前側にて操縦するキャラ自身も操作するようになり、敵が妨害を仕掛けてくるようになった。敵を倒すとアイテムを落としていくが、敵や障害物にぶつかるとリモコンを落としてしまう。
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リモコンを落とすもしくは手前のキャラを移動させ過ぎて画面外にインパクトが出てしまうと電波圏外となってインパクトが動かなくなってしまうため、常にインパクトとの位置や周囲の状況に気をつけながら戦わなくてはならない。
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ロボットの操縦には付き物と言う事で自爆装置も搭載。当然、自爆すればゲームオーバーになるだけだが、解除は可能なのでうっかり押しても大丈夫。ちなみに作動中はわずかにインパクトの攻撃力が上昇する。
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戦闘中は頻繁にメールが届く。基本的にはその戦闘における助言だが、宣伝や間違いメールなどのどうでもいいネタメールも多い。開封は任意なので無視して戦闘に集中しても良い。
常時セーブ可能になった
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本作では携帯機らしくスタートメニューからいつでもセーブが可能になった。(城ステージ攻略中を除く)
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このメニューでは江戸から京までの地図を見ることも可能。タッチ操作にも対応している。
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また、通常の上画面には現在いる場所の2Dマップが表示されており、出口なども表示されている親切設計。
恒例のミニゲーム
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ミニゲームとして『クォース』のゴエモンバージョンが収録されている。
また、ダブルスロットを使用してGBA版『ゆき姫とマッギネス』と連動を行うとMSX2の名作STG『スペースマンボウ』のステージ1がプレイ可能。
評価点
淡い毛筆調で統一された美しいグラフィック
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パッケージ同様、ゲーム中のグラフィックは毛筆調で統一されており、より和風の雰囲気を強調した本作と実によくマッチしている。
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3Dで描かれたキャラクターは毛筆調ではないが、淡い色使いでグラデーションがかけられているため、背景から浮くことなくなじんでいる。
旅を彩るBGM
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BGMはタイトル画面を始め、過去作のアレンジが多い。DSの音源を活かした良アレンジは好評。
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各地で訪れる城のBGMもFC版から64版まで、人気の高い曲からチョイスされている。
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本作オリジナルの道中BGMはゲームが進んで季節が変わるとそれに合わせて曲調も変化する。
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のどかな春、渋く疾走感あふれる夏、疾走感はそのままにどこか哀愁漂う秋、物語の大詰めを感じさせる冬と、進行に合わせてどんどん格好良くなっていく様は必聴。
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1度全クリアするとサウンドテストモードが解禁され、ゲーム中に使用されたBGM全曲(未使用曲含む)を自由に聞けるようになる。
物語途中に挟まれる演出
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今作では落語家の桂歌丸師匠がナレーションを担当しており、軽快な語りと共に物語を盛り上げてくれる。
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歌丸師匠には専用の3Dモデルも用意されており、下画面右下で扇子片手に喋りに合わせたリアクションをとってくれる凝りよう。
DSの特徴を生かしたインパクトバトル
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従来とは毛色が異なるが、DSならではの熱い戦いを繰り広げることができる。
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タッチ操作なので複雑なコマンドを必要とせず、コマンド入力が苦手な人も手軽に楽しめる。
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また、クリア済みのステージの通常ボス戦、インパクトボス戦を自由に遊べるモードが追加されており、全てのボスと連続で戦う連戦モードも用意されている。
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これまで1度倒したボスとは2度と戦えないことが惜しまれていたので喜ばれた。
豊富なネタ要素
シリーズおなじみのネタ要素も非常に多い。
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序盤はゴエモンたちがお尋ね者になっているため、初期シリーズのように町中で役人たちが襲ってくるようになっている。
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攻撃方法も提灯を投げてきたり、槍を持っているなどファンならニヤリとさせられる事間違いなし。
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ヤエちゃんの姉が初登場したが、名前は「ヒトエ」。というわけで8人姉妹説が囁かれたが詳細は謎。
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コスチュームチェンジ
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隠しコスチュームが用意されており、各シナリオのマップ内に隠されている隠れキャラ「のすとらくん」を全て集めると解禁される。
コスチュームを変えると会話ウィンドウに表示されるキャラクターのバストアップ絵も連動して変化する。
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ゴエモンがコスチュームチェンジすると上述の新世代ゴエモンの姿でプレイすることも可能。ちなみにその姿になった時の名前表示は「新世代」。
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ゴエモン以外の隠しコスチュームは『でろでろ道中』のものが一つずつチョイスされている。
エビス丸はふんどし、ヤエはセーラー服、サスケはよりによってブルマ。
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GBA版『ゆき姫とマッギネス』との連動要素があり、ソフトをGBAスロットに差してプレイすると、マッギネスとマーブル五人衆、クロベエが登場する。
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また、なぜかファミ通から浜村通信とバカタール加藤も登場する。バカタールはインパクト戦でインパクトの代わりに操作する事が出来る。
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その他、過去シリーズのキャラも豊富に登場する。
賛否両論点
ボイス付きのイベントは冒頭のみ
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オープニングではナレーションと共にゴエモン、エビス丸、おみっちゃんの会話が音声付きで交わされるが、以降はそう言った演出が無い。
幕間は歌丸師匠の語りのみで進行し、イベントで音声が流れる事も無い。
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サスケやヤエちゃんとの会話も聞きたかったと言う人には少々残念。
「人魚変化の術」の仕様変更
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ヤエちゃんお馴染みの「人魚変化の術」の仕様が「潜水」から「水上移動」に変わったことに伴い、変身時の姿が『鯉のぼりを着ぐるみのように着込む』という、旧作で変身失敗した際の姿を髣髴とさせる形になってしまったため、ファンからは不評。習得時のヤエちゃんも思わず「こんなのイヤー!」と叫ぶほど。
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過去作においても水上を泳いでの移動だけならば変身しなくても普通に出来ていたのでなおのこと違和感は大きい。
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また、地上変身時のハンデが大きく隙だらけになるため、水上移動が必要な地点の周囲に敵が多く現れると無駄なダメージを食らい易くなる。
インパクト戦の仕様変更
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DSのタッチパネルをリモコンに見立てた戦いも、DSならではの面白さがあるのだが、従来の主観視点バトルができないことを惜しむユーザーの声も多い。
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GBC版『星空士ダイナマイッツあらわる!!』ではDSよりはるかに制約の大きいハードにもかかわらずしっかりと主観視点のインパクト戦を再現していただけに、この点はやはり惜しまれている。
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インパクト登場時の演出も無音の画面の中、ただ空を飛んでくるという淡白で寂しいもので、搭乗デモでお馴染みのBGMであった『おれはインパクト』は通信ダウンロードによるシェアプレイ時にしか聞くことができない。
『新世代』シリーズの扱い
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キャラデザ大幅変更で物議を醸した『ゴエモン 新世代襲名!』のゴエモンが、今作では偽者として登場。初登場時は「人の名前を勝手に使った」という理由で牢屋に入れられており、「もう二度とすねがら出すてくんろ」となまり丸出しの口調で謝っている上に、とある場所で新世代ゴエモンの姿を模したかかしが手裏剣の的にされるという、更に悲惨な扱いも受けている。
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『新世代』は外部開発によるものであり、本家シリーズから大きく様変わりした作風やそちらのスタッフの本家を軽視するような発言などの経緯から作品自体を批判する旧作ファンも少なくなかった。そうしたことから、こうした扱いを当然だとする声も存在していた。
一方で作品自体は十分に良作と言える出来であり、純粋に楽しんでいたというファンもいたため、こうした扱いに対して難色を示すファンもまた存在した。
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当該作にどのような感情を抱いているかでプレイヤーの受け取り方が変わるネタだが、そもそも
スタッフ同士の内輪もめをゲーム内に持ち込む
と言う事自体が、褒められた事とは言えないだろう。
問題点
操作性に起因する難易度の高さ
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クォータービュー構成特有の難しさ
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斜め見下ろし視点ゆえに足場や敵との距離感が掴みづらいため、攻撃を当て難い、ジャンプし損ねて敵や弾にぶつかる、足場から落ちてダメージ地形に接触するなど、クォータービュー特有のミスが起き易い。
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また、ダメージを受けた時のノックバックによる後方への弾かれ方が旧作よりも大ぶりな上、この際の硬直時間が地味に長いため、足場の悪い場所でダメージを食らうと落下してしまいやすい。
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DSには十字ボタンしかないため、斜め移動を多用する今作は操作性に若干の難があり、ゲームバランスと関係ないところで難易度を上げている。
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特に巨大化してしまったエビス丸を転がして細い通路を進むステージはクォータービューであることも手伝って非常に難易度が高く、ストレス要因になりやすい。
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ストーリー進行上必須なタッチ操作によるミニゲームも全体的に判定が厳しめでクリアし辛い。特に第6章の習字と第7章の福笑いが難しい。
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前者は「ほ」「て」「い」のお手本を壱文字ずつなぞるというものだが、一筆書きで書かれている「ほ」の字が難しめで、お手本通りに一筆書きしようとするとはみ出していなくてもミス判定になりやすいため、一画ずつ慎重に線を引いていく必要がある。
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後者は閉ざされた3つの通り道を開くために福笑いを1つずつ完成させていかなければならないのだが、ただお手本通りに並べただけではだめで、正確に所定の位置に配置しないと正解にならない。
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実はパーツを正解の位置に近づけると磁石のように引き寄せられるようになっているため、実際の難易度はそう難しいわけではない。
しかしこの点に気付きにくく、置きたい場所に置こうとしているのに思うように置けないと勘違いしてしまいがちで、この仕様に気づかないと延々と足止めを食わされてしまう。
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冒頭で挑むことになる壺造りゲームからして『制限時間内に自動回転するろくろの上のねんどをタッチで削ってお手本通りの形にする』という難度の高いもので、制限時間が絡むだけに焦り易い。
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両手がふさがる操作形態上、アクションシーンでタッチ操作が必須となる局面でプレイし辛い
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DSが発売されて間もない時期であった当時はDSの新機能をゲーム内で無理に使わせようとしている感が否めない作品が多く見受けられたが、これにもそうした傾向が表れてしまっている。
任意変更・使用になったアイテムとサブウェポン
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サブウェポンの切り替えがワンボタンでできないので、とっさに変えたい場合などに少々煩わしい。
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回復・防御アイテムも任意選択・使用制になったため、使用タイミングを図らなくてはならない。
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今作ではフィールドの移動時にダメージを受け易く、通常ボスにも強敵が多いので、回復アイテムや防具をここぞというタイミングまで温存できるのは長所ともいえる。
しかし、使用するためにいちいちボタンで切り替えて装備しないといけないため、やはり煩わしさはある。
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特に回復アイテムは選んだだけでは効果を発揮しないため、仕様変更に慣れないと今までの調子で回復アイテムを使い忘れてしまい易い。
アクションの劣化点
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横スクロールアクションパートにおける上攻撃と伏せ攻撃がなぜか削除されている。
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伏せ攻撃を出そうとしても立ち攻撃になってしまうため遠距離攻撃してくる敵に伏せで近づいて対処することができなくなっている他、上攻撃もできないので高所にいる敵への攻撃や敵弾をはじき返して攻撃するタイプのボスに対処し辛くなっている。
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サスケのちょんまげ攻撃も完全に削除されており横スクロールパートでも出せない。
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ジャンプ力の低さ
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本作ではキャラのジャンプ力そのものに差は設けられていないがジャンプ力そのものが低めになっており、足場を渡る際に注意しないと落下してしまいやすい。
キャラクターの性能差
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本作では各キャラ毎のジャンプ力・移動速度は差別化されていないが、武器の性能に大きな差がある。
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ゴエモンのキセルとエビス丸のおでんは連打が効き、強化するとリーチと当たり判定が前方に大きく伸びて隙が減り使い易くなる。
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一方、サスケとヤエは武器を横に振るため上記の二人に比べてリーチと攻撃範囲が狭く隙が大きい。これ自体は旧作でも言えることではあったが、クォータービュー視点で敵との間合いが図りづらい本作では地味に響く。
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特にヤエは刀の振りが遅く硬直時間も長いため他の三人に比べて連打が効かず、攻撃範囲の狭さもあいまって隙がもっとも大きい。
強化すれば攻撃範囲は広がるものの、隙の大きさは相変わらずなだめ、多数の敵が群がる状況下では使い難い。
金策面の不便さ
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本作では所持金の上限は『でろでろ道中』同様、最大で「999両」まで。敵1体から入手するお金の額も最大で10両(銅貨=1両、小判=5両、千両箱=10両)とやはり少ない。
お金をくれる通行人は本作では存在しない代わりに、人からの依頼やクイズなどのミニイベントをこなすことでお金がもらえるようになっているものの、一度こなせばそれっきりである。
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イベント上で挿入されるミニゲーム「福禄寿叩き」は1度クリアするとお金を払っていつでも遊べるようになり、結果に応じてお金をもらえるようになる。が、挑めるようになるのは終盤になってからで、ゲーム内で遊べるミニゲームはこれだけである。
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また、999両を持てるのは所持金上限を上げるためのサブイベントを全てこなした場合の話で、サブイベントを全く消化していない場合は200両しか持てない。
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このイベントは順を追って段階的にこなしていく必要があり、きちんと手順を踏まえておかないと次のイベントのフラグが立たないようになっている。
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5面ボスの「ハニハリュウ」はヤエバズーカのため攻撃を使わないとボス本体にダメージを与え難いのだが、消費金額が5両と大きいため、上限をきっちりあげておかないとすぐに弾切れとなってしまう。
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一応無限に湧いてくるザコを倒すことでお金を補給できるが、一律1両しか落とさないので焼け石に水であり、ザコが湧いてくる分、ホーミング弾が思うようにボスに届きにくいこともあって、長期戦になり易い。
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アイテムそのものは物価が比較的抑え目で、1段階上限を上げておけば全てのアイテムを賄える範疇に収まっているので、その面では不便さは少ない。
術が使い辛い
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「画面上の敵全体に攻撃する」「発動中に無敵になる」という効果があり、敵に囲まれてピンチの時や、アイテムを効率よく集めたい時などに有効だが、覚えるのに500両もかかるため、金策面のめんどうくささもあって覚えないままで終わりがち。
謎解きのヒントが少ない
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おなじみの占い屋があるが、教えてくれるのは攻略のヒントではなく、隠れキャラ「のすとらくん」の隠し場所のヒント。
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一部謎解きが難しいこともあって、旧作通り占い屋でヒントを貰えた方が良かった言う声が多い。
一応、町人からヒントを貰えるようにはなっているのだが、人数が多いため見落とし易く、内容がさりげなさ過ぎてヒントだと気づきにくいものも多い。
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ちなみに占いをするのは『でろでろ道中』以来おなじみのプラズマだが、のすとらくんをコンプリートすると店じまいしてしまう。
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タッチ操作による謎解きがメインに押し出されていることを念頭に置いておかないと進行に行き詰ってしまう場面が多い。
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画面が小さく何があるのかわかりづらいせいでタッチが必要な謎解きの場面だと分かりにくい箇所もある。
ボリューム不足感
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従来のステージクリア型に比べると1つ1つのステージ構成やシナリオ共に全体的にやや短め。
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2Dステージも4つと少なく、そのステージ自体もあまり長くない。また、旧作の城ステージと同様、クリアしたらもう入ることができない。
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携帯機でのリリースであるためボリューム的にコンパクトなのは仕方なく、それがまた携帯機ならではのお手軽さであるのも確かではあるが、やはり物足りなさは感じられる。
ギャグやコメディ要素が希薄
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今回のシナリオは『でろでろ道中』のシナリオを担当した山内円氏が手がけているが、ネタ要素そのものは多いものの、世界観やシナリオ上におけるギャグやコメディ要素が極めて少ない。
ファミコン初期あたりの頃の純和風のイメージを全面的に推している一方で、それ以降に確立されてきた現代文明要素やSF要素もほとんど出てこないため、旧作に比べるとゴエモンらしいハチャメチャ振りや奇想天外さは薄味で地味さが否めない。(この点はでろでろ道中でも同様だった)
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終盤にどんでん返しが待っていたり、黒幕が事件を起こした動機がやや生々しかったりするなど、いつものゴエモンとは一味違ったテイストが盛り込まれてはいるものの、奇天烈かつ荒唐無稽なストーリーがシリーズに一貫していた要素だっただけに、これまで通りの作風を期待していたユーザーにとっては肩すかし感も否めない内容である。
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また、旧作よりも世界観やデザインワークに写実的な雰囲気が強いことに加え、「飢饉にあえぐ村」「実力主義に基づく階級社会を敷く忍びの村」「血まみれの拷問部屋」など、マップのロケーションにも旧作と比べて現実的かつ生々しいものが多い。
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個性的なキャラが多い一方で、シナリオがオムニバス形式でかつ短いため、ゴエモン一行との絡みが薄いのも残念なところ。
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クリア済みの章におけるNPCや主要NPCとの会話内容がゲーム進行に応じて変化するといったこともなく、クリア済みのデータから再開してもセリフに一切変化がないので味気ない。
ボス戦モードの不便さ
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ボス戦終了後はタイトル画面に戻ってしまうので、続けてボス戦モードを遊びたい場合に不便。
総評
クォータービューという従来と異なる視点構成や、DSの機能を取り入れたゲーム性に少なからずストレス要因となりうる箇所が目立ち、ギャグ要素の薄さやゲーム全体のボリュームの少なさも含め、シリーズファンからの評価は分かれている。
その一方で過去シリーズを踏襲したシステムや作品全体の雰囲気、豊富なネタ要素など、シリーズ作品の根幹はきっちりと引き継いでいる。
何よりも、迷走・低迷を続けていたシリーズが正統な形で復活したことは、ファンにとっては大きいことであった。
しかしながら、DS本体の発売からわずか半年あまりしか経っていない時期の発売であったため、正統派なアクションゲームとして作られた本作は、DSが当時から重要視していたライト層向けのカジュアルな作風のゲームが持てはやされる風潮の影に隠れがちであった。
そうした時期的な事情に加え、発売時点で既にシリーズの評判が地に落ちて久しく過去の名作的な扱いをされていたことも手伝って、売り上げそのものもあまり芳しいものではなく、残念なことにシリーズの完全復活には至らなかった。
この作品を最後に開発チームもKONAMIを去ったため、事実上のシリーズ最終作となってしまった。
余談
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序盤に登場する女剣士・鈴は本来であればヤエの代わりにプレイヤーキャラとなる予定であったが、「ゴエモン復活なのにヤエちゃんがプレイヤーじゃないのはマズイだろう」という事で脇役に降格となった。
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本作で久々に復活したゴエモン制作委員会だが、シリーズ制作の中心人物であった山内氏と蛭子氏の他は、ほぼ新規に集められたメンバーであり、当時のメンバー構成とはほとんど異なる。既に他部署で要職についていて呼び戻せなかったメンバーも多かったためであるという。
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『ゆき姫救出絵巻』からゲスト出演したボス、提灯魔人との戦闘前会話では、本作が『ゆき姫』本編から10年近く経過した後の出来事であることが明らかになる。
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公式サイト(アーカイブ)では本ソフトの仕様を「バッテリバックアップカートリッジ(原文ママ)」と表記していたが、ニンテンドーDSソフトのセーブ方式はリチウム電池ではなく全てフラッシュメモリであるため、明らかな間違いである。
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2020年10月ファミ通のインタビューにて、グッドフィールが「和風のアクションゲーム」を開発中と明かし、ファンの間で「ゴエモンの精神的続編か?」と話題になった。
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当初は2021年中の発売を目指すとしていが、実際は21年どころか22年を過ぎても音沙汰が無いままとなっていた。
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そして2023年6月21日のNintendo Directにて『御伽活劇 豆狸のバケル~オラクル祭太郎の祭難!!~』が発表された。日本全国を舞台にした和風テイストのデザインに加えて巨大ロボ戦もあるなど、ゴエモンシリーズの作風を受け継いだ作品として注目されている。
最終更新:2024年01月07日 11:22