るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 十勇士陰謀編
【るろうにけんしん めいじけんかくろまんたん じゅうゆうしいんぼうへん】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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パンドラボックス
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発売日
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1997年12月18日
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定価
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5,800円(税抜)
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メモリーカード
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1ブロック使用
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廉価版
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PlayStation the Best 1998年11月5日/2,800円(税抜)
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判定
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良作
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るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- シリーズリンク
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概要
週刊少年ジャンプで連載された『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』のゲーム化。ジャンルはRPG。
ストーリーは完全オリジナルで、記憶喪失の主人公と神谷道場の面々が真田十勇士を名乗る謎の集団の陰謀に立ち向かっていくというもの。
主人公はオリジナルキャラで、性別や名前を自分で決めることができる。性別により若干イベントの展開が違う。
弥彦、薫、左之助、剣心の順で仲間になる他、一時加入キャラとして男主人公では斎藤一、女主人公では四乃森青紫がいる。
特徴
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勝負は常に1対1。
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本作最大の特徴は、攻撃の判定がジャンケンの法則で決まるという点である。
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1ターンに6回行動し、通常技の上、中、下と必殺技から選んで行動を決める(六連撃システム)。
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上段技は中段技に強く、中段技は下段技に強く、下段技は上段技に強い。同じ技同士がぶつかった場合は引き分けであり、両者ともダメージを受けない。
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武器によって上段、中段、下段の技が使える回数が決まっている。
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敵の技を読むことができるが、こちらが素早いほど多くの技を読むことができ、逆に敵が素早いほど読めない。基本的に、ひたすら相手より素早ければほぼ負けない。
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必殺技にも同様に○○技に強く××技に弱いといった判定がある(必殺技には「気力」が必要)。基本的に通常技の上位互換で、相手が弱点攻撃でなければ相殺されない他、「乱打技」「返し技」「飛び道具技」などもありそれぞれ弱点が細かく違う。
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最上位には究極必殺技というものもあるが、気力マンタンでしか使えないうえ発動すると気力が0になる。にもかかわらず、敵は一度に究極+別の技を発動することがある。
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主人公、薫、弥彦はあまり技が揃っておらず道場の訓練やイベント等で技を習得するが、佐ノ助、剣心、斎藤、蒼紫は究極以外始めから全て習得している、と本来の能力に合わせた差別化が図られている。なお、弥彦は条件を満たすと剣心や敵の技を習得できるという細かいネタもある。
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イベント戦闘は総当たり戦と勝ち抜き戦がある。
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総当たり戦は1回戦う毎に敵も味方も入れ替わり、勝ち星の数で勝敗が決まる。全勝すると経験値ボーナスがある。敵も味方も同じ数で奇数で、かつ複数いる敵の強さがほぼ同等でないと起こらないため回数は少ない。
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勝ち抜き戦は1回の勝負がつくと負けた側だけが交代し勝った側は連戦、そして人がいなくなった方の負けである。3人抜き以上すると経験値ボーナスがある。1対1の勝ち抜き戦のケースがあり、その場合1回負けた時点でゲームオーバーになるので注意。
評価点
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戦闘システムのオリジナリティ。
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相手の行動の先の先を読んで戦う原作の雰囲気をうまくゲーム化することに成功している。
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慣れれば反撃を許さずに勝つこともできるため剣心たちの強さを堪能できるようになる。
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必殺技で相手を倒すと流れる新規描きおこしのアニメムービーは必見。
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シリアスなものからコミカルなものまでかなり出来がよい。(しかし何故かキャラごとにやたらと出にくいものがある。)
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作画は悪くないのだが、なぜか女主人公だけ妙にパッケージ絵と似ておらず濃い顔にされている。
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戦闘のバランスも破綻なくまとまっている。
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原作では天と地ほども差があったキャラの強さもゲーム向けに調整されており、薫や弥彦もきちんと戦力になるためファンも安心。
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体力や攻撃防御素早さなどもきちんとキャラのイメージを損ねず個性付けされている。(遅いがタフな左之助、攻撃力が低いが素早い蒼紫など)
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敵組織の真田十勇士のメンバーは悪党ながらそれぞれ個性が強くなかなか魅力的。
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それぞれの思惑が微妙に違っている組織という点が原作の十本刀を彷彿とさせる。
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サブイベントが多く、ボリュームは相当のもの。
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特に主人公のデートイベントはファン必見。隠しパラメータとして「好感度」があり、それが十分高い状態でとある宿屋に泊るとデートが可能である。既婚でなければ明らかに想い人がいる人でも誘える。
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既婚者である斎藤一を女主人公で登場させない、男主人公と女主人公で使い道の違う「花」など、パズルのピースを埋めるような工夫には脱帽するしかない。
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パズルや紙相撲、丁半博打といったミニゲームまである。そして、これらは上記のデートイベントの鍵になっていたりする場合も。
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佐々木先生や朱羅などアニメ版のオリジナルキャラが登場する場面もあり視聴済みだとより楽しめるようになっている。
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原作にあった弥彦、薫、佐之助の漫才や目が回った剣心などギャグシーンも健在。
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隠しダンジョンまである。その超絶難易度もまた絶妙。
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最後のボス戦ではサブキャラ2人も駆けつけてくれる。
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勝つと主人公の最強武器が手に入る。
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他にも途中の宝箱から剣心の防具「白外套」がもらえる。原作で実現しなかった『白外套を着た剣心』が出来上がる。
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但しグラには影響しない。
影響させるとむしろヒンシュクを買うだけだろう
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これだけのボリュームがありながら、バグやフリーズはほとんどない。ゲームバランスも取れている。
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音楽は雰囲気が出ていて優秀。
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フィールド内の移動も二段階のダッシュができ、ストレスを感じにくい。
賛否両論点
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戦闘に関して。
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じゃんけん六連撃のシステム上、技の上下関係を覚える必要がある。
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戦略性がある一方で、○ボタン連打で戦闘をしたい人にとっては少し面倒。たとえどんなに能力値が高くても、相性が弱い攻撃では相手にダメージを与えることができない。
問題点
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戦闘面の問題
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エンカウント率が高め
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下げる方法がない上に後述の問題があるので一度行った場所でのアイテム回収などは非常に面倒になる。
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また、戦闘開始時の前置きが長いキャラがいるためエンカウント率の高さが気になりやすい。
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女主人公、剣心、薫などはかなり短いが男主人公、弥彦、左之助などは長いため彼らを先頭にしていると敵が出る度に数秒待たされる。
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特に弥彦はダントツで長い。
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誰が相手でもしゃべる内容が同じなのがシュール。野生動物相手に自己紹介するな!弥彦!
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戦闘のテンポが若干悪い。
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コマンド選択はサクサクできるのだがモーションが遅いキャラだとどうしても六連撃が長くなる。
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キャラによってモーションのテンポが全然違うのも特徴。しかも一番早いのが男主人公で一番遅いのが女主人公ときている。説明書には女主人公が、「素早い動きで相手を惑わす」とあるのに…。
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ただしモーション自体はなかなか凝っており演出の一部として見ればイライラするほどの要素ではない。レベル上げなど何度も連続で戦う時は気になるが…
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但し、エンカウント率も、戦闘テンポの悪さも、時間制限ダンジョンがあるわけでもないので問題点としてそこまで大きくはない。しかも、「逃」を選ぶと必ず逃げられる。
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経験値は敵にトドメを刺したキャラにしか入らないためパーティ内でレベル差がつきやすい。
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特定キャラのみで戦う場面や総当たり戦を想定してレベル上げをしておかないとこのレベル差の問題で急に攻略の足止めをくらうことがある(ただし詰みはない)。
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レベル差は体力や技ゲージが回復するアイテムを大量につぎこめばなんとかなることも多いが。
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敵の必殺技の種類がわかりにくい。飛び上がったのに中段必殺だったり、銃を撃った技が究極など。
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一部のサブイベントは情報が少ない又は全くない、或いは起せる期間が短すぎるなどシビア。全てのイベントを見るのは攻略サイトでもない限り不可能。
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前述のデートイベントの一部条件やイベント必殺技など、あまりにもわかりづらい。さらに、一部条件がバッティングしている。
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隠しダンジョンは男主人公、女主人公両方でクリアしないと入れず、それぞれの主人公で期間限定イベントをクリアしなければならない。ヒントもなく、後から始めた主人公でしか行けないので計画性まで必要である。初見ではまずわからない。
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ただし周回プレイでは前周に獲得した全てのアイテムが削除されるにもかかわらず、不自然にイベントアイテムだけがアイテム欄に残るため、勘が良い人やRPGに慣れた人ならノーヒントで辿り着ける人も少なくないだろう。
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作中の表現で原作の世界観から少しずれている箇所がある。
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幻覚を見せたり人を操ったり若返ったり分身したりと所謂オカルト要素が強い。
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但し原作も現実世界から比べれば色々破綻している部分はある。
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最終ボスで戦うのは主人公と剣心のみ
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しかもそれより少し前の戦いも勝ち抜き戦ばかりのため、最悪この二人を育てるだけでクリアできてしまう。
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因みにラスボス戦直前に生き残っている敵の幹部が駆けつける。その数が、
戦闘に参加しない味方メンツと同数
(味方:左之助、薫、弥彦 敵:根津、穴山、海野)。総当たり戦の好機なのに、互いに見てるだけ。全員で戦ったら盛り上がっただろうに…
総評
六連撃という独自のシステムで表現された読み合い重視の戦闘とキャラや世界の魅力が存分に伝わる豊富なサブイベントが
「るろ剣らしさ」を表現する上でうまく組み込まれており、原作ファンならば是非触れておきたい良キャラゲーである。
原作通りの差別化を図りながら、それをプレイ次第でいくらでも埋められるため原作を知らなくても楽しめる、理想的なキャラゲーといえる。
最終更新:2022年09月18日 11:03