高速カードバトル カードヒーロー

【こうそくかーどばとる かーどひーろー】

ジャンル 高速カードバトル
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 2007年12月20日
定価 4,571円(税別)
判定 良作
カードヒーローシリーズ
トレード&バトル / 高速カードバトル / スピードバトルカスタム

概要

トレード&バトル カードヒーロー』から7年の時を経て発売された実質的な続編。
前作の不満点を解消しつつ、新カードや新システム、DSならではのタッチペン操作やWi-Fi対応といった様々な改良が色々と行われている。

特徴

  • 新ルール「スピードバトル」の追加
    今作で新たに導入されたバトル方式。他のバトルと違ってマスターはおらず、相手のモンスターを先に5体倒したほうが勝利というルール。
    • デッキはモンスター10枚にマジック・スーパーが計4枚で固定。マジック・スーパーの4枚は最初から手札にあり、モンスターカードは最初に3枚引き、以後1体やられる毎に1枚ドローする。
      • スーパーカードを出すと無条件で相手のモンスターを一掃でき、レベルアップ自体が勝利の決め手となる事も。
    • ストーン周りの仕様はまったくことなる。最初の手持ちストーンの最大数は1個で、1体倒れるたびにこの最大数が増えていく。消費しても次のターンが開始するときには回復するため、倒されれば倒されるほどに行動できる回数が増えて有利になるが、ストーンの最大数が6個に達する(=モンスターが5体倒される)と負け。
    • 設置できるモンスターは前衛・後衛の2体のみで、気合だめ、準備中などの概念は存在しない。
      • ゲーム開始時は、しばらくこのスピードバトルでゲームが進み、ゲーム中盤辺りで従来のカードヒーローのバトルルールが解禁される。
  • 前作はストーリーに沿ってゲームが進む形だったが、今回はオムニバス形式となっており、任意的にストーリーを進めることが出来る。
    • 前作ではクリア後に行けたセンターモールは今回はゲーム序盤から利用可能。好みのデッキを構築してからストーリーを進めることが出来るようになった。
  • プロルールにおける《メイクストーン》がHPを削ってカードを1枚引く《メイクカード》に変更された。
  • ブレンドくんで入手出来るカードが指定のカード3枚と引き換える形になった。ギャンブル性は減ったが狙ったカードを確実に引き換えることが出来る。

評価点

以下、本作のカードの名前は《》でくくり、カッコ内に/で表記されているものは前作でのそのカードの名称としている。

  • 前作の問題点のいくつかが解消されている。
    • 『高速カードバトル』を題している通り、前作よりスムーズにゲームが進行する。CPUの思考能力もスムーズに行い、前作のような遅さが原因でストレスが溜まることは殆ど無い。
    • カードデザインも現代的にアレンジされている。
      • たとえば、へんてこな怪獣だった《ガブッチョ》が《灼牙竜アギト》と名前からして強そうなものになり、《ルージュ》は名前はそのままにふつうの女の子からアイドルに変化している。マジックは《ぷよシールド》が《鋼の盾》に、《あっかんべ》が《挑発》になるなどわかりやすさを維持しながら名前が変更された。
      • MTGなどのカードゲームのような背景世界は存在しないが、すべてのカードにそれらしい解説文や二つ名が存在している。
  • 前作のカードに調整やスーパーカード等の救済措置が与えられた
    • 後衛の基本モンスター《ビヨンド》は直後に完全上位互換の《ヤンバル》が登場するため、すぐリストラされていたが、今作では《ビョーグル》というスーパーカードが追加された。
      • 《ビョーグル》が攻撃すると相手のバトルフィールドが右回りにローテーションされるため荒らし性能が高く、《ビヨンド》時の短所、HP:2の苦労に見合う性能となった。
    • 他に《クレア》と《ラティーヌ》に共通のスーパーカードが与えられたり、今作でリストラされた《マッコイ》が似たデザインで《オヤコダケ/おやこだま》のスーパーカードになっている。
    • もちろん新カードも多数追加されている。実カード版オリジナルだった《シトラス》なども導入。
  • 「スピードバトル」の追加により新たな遊び方が生まれた。
    • 使用するカードは通常ルールと同じ(通常ルール限定のカードも多いが)にもかかわらず、カードの使い勝手は全くと言っていいほどに異なっている。
      一部のカードはそもそもスピードバトルでは使用できなくなっているが、それ以外を見てみると通常ルールで猛威を振るったカードが使いにくかったり、逆に微妙すぎる性能のカードが一発逆転を引き起こしたり、有用なコンボとなっていたりと新しい戦略性となっている。
      • 例えば《ボムゾウ》や《アサシン/シゴトにん》などの「攻撃と同時にダメージを受けるor撤退する」系の特技を持つモンスターは相手に倒される前に撤退してしまえばレベルアップの機会を与えないため、ジュニア以降では非常に使いやすい。一方スピードでは、いざ特技を使って自滅・撤退するとストーンが増えてしまうので負けが近づいてしまい、通常ルールほどの汎用性はない。特に《アサシン》の方は特技にストーンを使用するため、モンスターが何体か倒されないと使えないという制約まで付いてくる。
      • 他に、《ゲイラ/ゲッティ》《ディン/ラブレー》《ゼス/ヌンチャ》等も評価が急変するカードで、そのあたりの調整は見事。
      • 《墓荒らし》という4コストのマジックカードは例外的に効果が変化し、実質スピード専用と言ってもいい。ジュニア以降では「墓場からモンスター1体を山札に戻す」という効果なのだが「戻せるモンスターを選べない」「戻したところでもう一度引けるかわからない」「コストがストーン4個と妙に多い」とこれを入れるぐらいならモンスターを1枚余分に入れた方がマシという代物。
        しかしスピードでは「自分のストーンを1個減らす」と言う回復効果になる。確実な延命効果が見込め、逆転の一手にもなりかねない強力なカードである。その他にもほぼスピードでしか活きないカードもちらほらあるが、ほとんどが新カードであるため意図的な物と思われる。
    • 最初は従来と似た雰囲気を感じるが、プレイすればするほど別物と分かり、同じカードで遊ぶ違うゲームとしての完成度は見事。プロルールとは異なる奥深い戦略・戦術が楽しめる。
  • 数多くのDSゲームの中で特にタッチペン操作が有効活用されている。
    • 他のゲームのほとんどは、慣れたボタン操作のほうが扱いやすいということでタッチペン操作を敬遠したプレイヤーも多いが、このゲームはタッチペンならではの操作が存分に活かされている。
      • 基本操作はもちろんデッキ構築をはじめ、カードの選択や指示など、全ての操作をタッチペン1本だけで直感的に操作出来る。
      • ボタン操作を使う機会があるのは、カードの詳細を見るLRボタンと、降参等に使うSTARTボタンぐらい(テキストはAボタンでも読めるがタッチペン操作のほうが手間がかからない)。
  • 絵柄違い:パラレルカードの導入
    • 通常のカードとは別に特定の条件で入手出来る絵柄違いのカードが一部ある。ポケモンの色違いのように通常のカードとは違うレアリティを与えることになった。(入手は1枚限り)
    • 入手の条件はそれぞれ異なるが、大抵は特定のカードを一定数使い込むと入手出来る。ちなみに最後に入手出来る絵柄違いのカードは【全てのカードを一定数使い込む】のが条件。
      • 現在では配信されていないが、体験版ではパスワード経由でマナトットの絵柄違いを入手することが出来た。
  • Wi-Fiによる通信対戦が可能。ある意味では最大の改良点。ネットを介して全国のプレイヤーと対戦が可能。
    • 「フリープレイ」で全国のランダムなプレイヤーとマッチングすることも、「トモダチ」で友達コードを交換した相手とだけ対戦することも可能。
    • ゲームボーイと違い通信ケーブルでつなぐ必要はないし、互いが目の前にいる必要すらない。そのかわりWi-Fiの通信環境を用意する必要はあるが。
    • ただし、現在はWi-Fiコネクションのサービス終了に伴い利用不可能。
  • 対戦中のBGMはどれもクオリティが高い。
    • メインキャラには専用のBGMが用意されているほか、いにしえのバトラーとの戦いはGB風の曲が流れる。
  • お子様も安心な漢字、ひらがな両表記対応。
    • オプションからいつでも変更可能。ありがたい要素である。
    • ……大人のプレイヤーには無用? むしろ読みにくい? そう思っている方は、一度ひらがな表記にして各カードの解説文を読んでみるといい。きっと新たな発見があるだろう。

問題点

  • 前作でユーザー側から最も問題提起されていた部分が改善されていない。
    • 先攻側の大幅な優位性が改善されていない。
      • 先にモンスターを展開した側は攻撃する先が存在しないため気合をためて待機する他なく、後手側は気合だめ分のアドバンテージと引き換えに先に攻撃権を得られるというシステムである以上、デッキタイプによるものの一概に先手後手の優劣はつけにくいものとなっている。
      • しかし、先攻側の1ターン目であってもドロー及びストーンの入手に全く制限がないため、先攻側はカードを配置せずターンを回してしまう事で、実質的にストーンと手札を多く得た状態で後手に回る権利も得られてしまう
      • これは前作からプレイヤーの間でかなり問題視されており、本作発売前までの期間に有志が独自の先攻ルールを開発・提起を行ったりもしていたほど。
      • 実カード版では「先攻ドローなし」と改善されていたため、尚更この仕様に納得のいかなかったユーザーは多い。ただし、対人戦しかほぼ起こりえない実カードに対し、DS版の場合にはCPU戦があるためその事も考慮し、あえてそうしているという見方もある。
  • GB版においてバランスブレイカーであり禁止するべきとも言われていた《ヤミー》にまったく調整が入っていない。
    • 「ストーン1個で相手のストーンを2個自分のものにする」というコストアドバンテージの観点からするとぶっ壊れた特殊能力を持っているカードなのだが、レアリティの低さや平均的な戦闘力も含めて何の変更もない。
    • 《ヤミー》が相手の場にいるとストーンを貯めないプレイにならざるを得なく、駆け引きが面白みのないものと化してしまう。マスターに大ダメージを与えたりモンスターを複数倒したあとに使えば反撃の機会すら与えずにプレイを進められるのも大きい。双方場にいない限り、引いた側だけがその凶悪な効果を押し付けることができるのが問題とされている。
      これに対し、ストーンを大量に溜め込む戦術が有利になり過ぎないよう、意図的に組まれた調整とする説もある。時間をかけて大量のストーンを蓄え、大技の連打で蹂躙するのがCPU戦で有効な勝ちパターンのため、これを制限されることへのストレスから不満を抱かれがちなのだが。
      • それどころか、《ロストーン》というマジックは前作の《キエルストーン》の名前変更版……と思いきや、ストーン消費がたったの1個相手のストーンを半分にしてしまうように強化された。効果の大きさの割にコストがあまりにも軽く、《ヤミー》同様対人戦禁止にすべきではとの声も上がった。
      • スピードバトルが良ゲームバランスだと言われる理由の一つに、ヤミーの特技が活かされないためだからとも言われている。
  • カード間の露骨な格差。
    • 《ビヨンド》などが改善されている一方で、《ルージュ》に対する《ノワール》、《マーベリック》(前作の《ヴァルテル)に相当)に対する本作の《ヴァルテル》など、コスト面で元のカードを上回っているリメイクカードが登場。《ヴァルテル》は★8なので使用が制限されることが多いが、《ノワール》はそれがないので《ルージュ》を採用する価値がほとんどなくなっている。
    • 新登場のカードにはやけに高スペックのカードが多い。入手自体は前作より楽。
      • 特に問題になったのは平均以上の高いステータスに加えて、目の前のカードの特技をノーコストで封じる前衛《デスシープ》。能力も基礎スペックも高く、しかも能力が活きる状況が極めて多いため良くも悪くも環境を左右しすぎている。狙うのは難しいが《ヤミー》を無力化できるのも強み。スピードバトルだと実質効果がないのもデッキに入れなければ関係ない話で、デメリットらしいデメリットは後列にいると自分の前衛の能力も封じる(=後列に置いてきあいだめ状態にするのが難しい)くらい。
      • Spdルールでは《フェニックス》が際立っている。ノーコストで相手の前衛と後衛に同時攻撃するもので、気合溜めがなく盾も使いにくいので能力が活き過ぎている(逆にそれ以外のルールでは玄人向けではあるが)。また、HPも4と後衛モンスターにしては多くかなり倒しづらい。「カスタム」ではレベル1の時は特技にストーンを消費するという弱体化を受けているが、それでもなお強力なためレア度が★6→★8に引き上げられている。
        こちらのカードがあまり揃っていないストーリー攻略中にもこれを2積みした相手と戦うことになる。SpdのCPUはそれなりに頭がいいので運任せな戦いになることは否めない。
    • カードの投入制限が本作ではゆるいことも拍車をかけている。一般的なTCGでは個別に枚数制限が掛けられるが、本ゲームにおいては通信対戦で「レアリティ★8カードすべて使用不可」と極端な設定ができるだけである。
      • たしかに★8カードはゲームバランスを左右する強力なものがそろっているので制限するのは妥当だが、上記の《ヤミー》《ロストーン》《デスシープ》《フェニックス》らは素通りで、ローカルルールで調節するしかない。この部分は「使用制限設定の不便さ」よりも「カードのレアリティ設定が問題」という見解もある。例えば前作から問題視されていた《ヤミー》を★8にするなどの方法もあったはずである。
    • 一応前作の強カード(ワンダーマスターなど)には弱体化を受けたものもあるのだが、スピードルールに力を入れすぎたのか従来ルールバトル側の調整が少し雑。
      • 例えば、相手モンスターを確実に消す《呪縛/かげぬい》+《ダークホール/ジアーゲン》コンボは合計コストが増加し(2→5)実用性がなくなっていたりしている。元のコストのままだとスピードバトルで非常に有用だったのと、前作では強力なコンボだったのでこうなったと考えられるが、活用法がほとんどなくなってしまった。
  • 新たに追加されたマスター、《グレートマスター》の仕様が不便。
    • ワンダーマスター同様、使用する特技は任意で選択できるのだが、一度選んだら二度と変更できない(一応選択前に警告はあるが)。
      • グレートマスターは強力な特技を持ってはいるものの、同時にクセがとにかく強いマスターなので余計に選び直せない痛手が大きい。ワンダーマスターは変更できるようになったのになぜ…。
  • CPUが賢くない。
    • 前作に比べCPUの思考時間は大幅に短縮されているが、無意味な、または場当たり的な手を打つなどAIの粗末さが目立つ。ジュニア以降ではスピードバトルのAIを流用していると思しき動作が多い。
      • やたらとストーンを消費したがる。消費の重いマスターアタックや《大地の怒り》も迷わず使い、ターン終了時にはストーンが0なんてことは珍しくない。
      • 《二重の盾》+《誘惑》のグレートマスターと戦うと顕著。《誘惑》で自分のモンスターをどんどん消してしまうため、マスターにLv1で攻撃できるカードがないPro上級トーナメントのマコトは完封勝利すら可能である。
    • そのためか、作中最強キャラであるキリヲのイメージを崩さない手段として、初手に必ずプラストーン(石を1~3個手にするマジックカード)を使ってくるが、カードヒーロー王者が堂々とイカサマを使ってるようにも捉えられるので人によっては印象悪い。
    • このため、CPUとの対戦が前作よりもはるかに歯応えのないものとなってしまっているが、今作ではWi-Fi対戦で歯応えのある対人戦が楽しめたので、この点はある程度カバーされているかもしれない。
      • だが現在ではWi-Fiサービスも終了し、歯応えのある対戦はオフ会などの実際にプレイヤー同士出会って対戦するしかない。
    • ちなみにバトル中のメニューでCPUに自分の行動を任せることができるが、お世辞にも判断が優れてるとは言いがたいため、結局自分で考えることが多くなる。
  • ストーリーが微妙。
    • 本作は「カードヒーローが日本一大ブームとなっているから流行に便乗してカードヒーロー部を設立して全国大会で優勝する」というもの。
      • これだけならまだマシなのだが、カードヒーロー部設立のきっかけが、「ヒロインがTVに出たいから流行のカードヒーローを始めた」もので主人公は成り行きで付き合ってるだけ。
        全国優勝者であるライバルのキリヲも出てくるが、主人公との勝負でカードヒーローをやめてほしくないためにわざと手を抜いたプレイをしたことで主人公の怒りを買ってしまい、ライバルを倒すため主人公が優勝を目指すことで目標らしい目標を持つことにはなった。しかしそれでも全体的に淡々としている印象は否めず、前作の終盤と比べてしまうと盛り上がりの欠けるストーリーになってしまった。
    • 更に全体的に見てストーリーは薄く、全10章のうち、4章までがチュートリアル。全体の半分だと言うのに5章でようやくカードヒーロー部設立。9章と10章はおまけ同然(前作もここは似たような仕様だが)。
    • これらの点に関しては本作ディレクター・百瀬裕志氏から「イヤなやつには負けたくないものですので、悪い人は1人も出さないでほしい」「ストーリーが壮大すぎるとエンディングを迎えた感が出てしまうので、ストーリーには大きな起伏はつけないでほしい」という注文があったとのこと。
      • だがそれを考慮しても余りに起伏がなさ過ぎる為、カードが揃い本番となるクリア後までモチベーションを継続させるのが難しく「この注文が裏目に出た」と考えるユーザーは少なからず存在する。
    • 前作ではTVの影響でTCGを一緒に友達と始める展開から仲間が増え、悪の組織が登場してから友情決裂、和解、最終決戦では主人公の元へ駆けつけて協力するという王道感溢れる熱い内容だった。
  • キャラクターのキャラ付けに難がある
    • 主人公のサトルは周りの流れに合わせているだけの無個性キャラ。
      • 前作の主人公、ひろしも普段から無口で周りに流されてしまう無個性キャラだが、カードヒーローに対する情熱だけは誰にも負けないものがあっただけに比較すると見劣りがち。
      • 公式サイトにも「なんでもそれなりに楽しめればよいと思っているお気楽体質」と書いてあるが、例えばゲーム開始時のハルカとの会話では本当に相槌を打つだけ。間違ってはいないが、もう少しなんとかならなかったのだろうか。
    • ヒロインのハルカも萌えに走りすぎてない万人向けキャラだが、上記のカードヒーローを始めた理由から好みが分かれる。
      • 本来カードはポイントでしか購入出来ないのに現金で購入させるよう店長に頼んだり、あくまでレンタル品であるカードを返さずに持ち帰るといった乱暴な行動も少なくはない。
    • この他に、人物キャラクターが40~50人程登場するのだが、それはストーリーに直接関わらないバトルで登場する人物であり、ストーリーに関わるのは多く見ても20人程ぐらいしかいない。
      • とはいえ、こちらは個性の面で言えば前作に負けず劣らず豊か。それだけに多くがストーリーに絡まないのが惜しい。
    • 前作の7年後が舞台となっていることで、前作の登場キャラが成長した姿で再登場し、中でも杉山や駒井は性格も見た目も大きく変わり、主人公のサトルに昔の思い出を語ってカードヒーローの楽しさを伝える良い兄貴分に仕上がってる。
      • ……だがタクミの場合は残念キャラになった。前作では怪しい風貌ながらも頼り甲斐のある性格でデッキのバランス診断や練習バトル、更には「とあるカード」の入手にも関わる重要ポジションだった……のだが、何を間違えたのか今作では典型的なヲタクになっており、しかも使用カードも美少女で統一されている。一応美少女カードについては、実は前作の時点でそういった設定があったのだが……。
  • 上画面の存在意義が薄い。
    • 上画面では現在のバトルの模様が3Dで表示されるも、演出にしてはグラフィックが良いとは言えず、キャラクターの動きもどうにも不自然な感がある。
      • 例えば、《グリフォン》は翼をはためかせて悠々と飛び立ち、敵に一撃を加えた後一瞬で自陣に戻ってくる。不自然すぎて逆に笑えるレベル。
      • 《ジャレット》や《シトラス》などの人型カードは2Dと3Dの絵柄に差がありすぎて幻滅したプレイヤーも多い。《真勇者ダイン》や《シトラス》の剣はぺらぺら、《神切丸》は立ち状態だと鞘しか持っておらず、攻撃時にやっと刀が出現する有様。
        付け加えておくと、《ヤンバル》や《ラッフィー》などの動物系や、《ナッツロックル》などの無機物系のカードはデザインが簡素なためか、それほど悪くない出来である。
      • マスターは首から下はタイツを着ていて、キャラクターの体型は全く活かされていない。そして手足も適当なつくりで顔も適当。
        いにしえのバトラーなどが顔無しなのも仕方ないが、リナやお母さんはエンディングまでに登場しないせいか同様の扱いである。GB版では各キャラ固有のドット絵を用意されていたのだが…
      • 確かに2Dアニメーションよりは3Dの方が制作側としては負担は少ないのだが……それでも流石に残念すぎる。グラフィック表現力ではPSPなどには劣るDSの能力を考えれば健闘していると言えなくもない。
    • 特定のカードが持つ強力な技を使った際にも演出はあるが、キャラが一瞬光ってから攻撃するだけとお粗末な仕上がりであるのも残念。
      • 『高速カードバトル』であることを活かすために演出を削ってゲーム性を重視した、と考えれば仕方ないと思えない訳ではないが……
  • 前作からの続投キャラの少なさ
    • 時系列的にはGB版(2000年)から7年後が舞台となっており、上記の杉山や駒井に主催人のクラマさんといった一部の人物が登場している。
    • 一方で主人公のひろしやヒロイン(?)のクミやジョーカーズのとしお一行を始めとする人物は影も形も無い。*1
    • 他に、TVアニメ化もされた主人公のマサルや宿敵のデロデーロといったキャラクターも今作では影も形もない。カードヒーローが再流行したのはキリヲを始めとするゲームプレイヤーの影響と思われるが、それにしても人気沸騰のきっかけとなったアニメと無関係なのは流行の違いなのだろうか………
    • また、マルヒゲ店長やエリカといった人物が前作と殆ど変わらなかったり、年齢がおかしなことになる人物が登場する。パラレルワールドの可能性も否定出来ないが、明確な情報が判明してないため推測の域に留まってる。
    • 一部イベントにて、いにしえのバトラーという形式で前作のキャラの再現デッキと戦える。上記の杉山達の当時のデッキとももちろんバトル可能。

総評

ゲームシステムは7年の月日が経っているだけに正統進化と言ってもいい進化、改良が加わっている。
見落とせない粗はあるものの、全体的に見ればゲームバランスも上手く保てており、良作と言って差し支えない出来栄え。
特にスピードバトルの登場はカードヒーローらしさを損なうことなく、シリーズの新たな可能性を切り開いた。
しかし、前作に引き続いて出荷しすぎたのか、それとも公式サイトはスピードバトルをプッシュしていて、パッケージにも通常ルールの存在が描かれておらず、今までのルールがないと思ってしまった前作のファンが警戒して購入しなかったのか、一時期は新品が500円で購入可能なほどまで値崩れを起こしていた。
それを差し引いても、やはり粗があることには変わりなく、ストーリーの薄さやクセの強いキャラ付けがネックとなっている。
総じて、前作と同様「隠れた名作」という評価に良くも悪くも落ち着いている。


余談

  • 主人公「サトル」は当時の任天堂社長である「岩田聡」氏から名前を取られている。前作と名前の付け方は共通。
  • 本作の発売から8年経った2015年、開発元であるインテリジェントシステムズから、『ファイアーエムブレムサイファ』というファイアーエムブレムシリーズをテーマにしたTCGが発売された。このゲームは「前衛・後衛および射程」「マスター(サイファでは主人公)」といった本作の要素を一部踏襲しており、本作の精神的な続編と呼ぶ声もある。
  • 大乱闘スマッシュブラザーズSPにて本作の主人公のサトルとマルヒゲ店長がスピリッツとして登場している。

カードヒーロー スピードバトルカスタム

【かーどひーろー すぴーどばとるかすたむ】

ジャンル サクサクカードゲーム
対応機種 ニンテンドーDS(DSiウェア)
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
配信日 2009年7月29日
定価 800DSiポイント
判定 良作
カードヒーローシリーズ
トレード&バトル / 高速カードバトル / スピードバトルカスタム

概要(スピードバトルカスタム)

  • DS版の機能をスピードバトルのみに制限(というよりも特化、後述)した上でDSiウェアとして配信された作品。
    • 本作は単純に制限しただけでなく一つの作品として十分に評価できるものになっている。

評価点(スピードバトルカスタム)

  • スピードバトルのみに特化させるため、一部カードの能力の見直し及び新カードの追加が行われている。
    • DS版では完全な上位、下位の関係になっていたカードが能力の調整により一概にそうともいえなくなっている。
    • 追加されたカードには、レベルの数だけ行動できるため器用な立ち回りができる《シャドウゲイラ》、これがかけられたモンスターが特技を使うとフィールドから消えてしまう《ヒットアウェイ》など一風変わったものも多い。
      • その中の一枚である、攻撃を受けると自分に《竜の盾》を張る特殊能力を持つ《ハリマル》は強力で「《シフトチェンジ》や《再生》と組み合わせると(バランスブレイカーと言うほどではないが)最強クラスのコンボ」との呼び声もある。
    • 既存カードも後衛カードの《クレア》が前衛としても運用出来る性能(アタックに相手のマジック打消しの追加効果)になったり《ノワール》の下位互換だった《ルージュ》が《ノワール》と共にレベルアップのステータス変更の調整を受け、明確な差別化ができるようになった。
  • CPUが賢くなった
    • 完璧とまでは行かないが、DS版に比べてCPUの思考が相当改善されている。
    • ただし「オーパス」の扱いのみ攻守ともにかなり下手であり、特技が使えない前半でも後衛に鎮座させ、逆にこちら側がオーパスを使って前衛と後衛を入れ替えると陣形を立て直すことばかり優先するため全く攻撃してこなくなったりする。
  • 新機能の追加。
    • 残念ながらストーリーモードの薄さはDS版以上だが、その代わり毎日異なるデッキと戦える「日替わりバトルルーム」や通信での戦歴が記録される「バトラーリスト」、相手と1枚ずつカードを取り合ってデッキを作り対戦する「ドラフトバトル」などバトルを面白くする機能が多い。
    • 「マイアイコン」を設定する事ができるようになり、設定すると対戦前の画面やバトラーカードで相手に見せつける事ができる。アイコンは、プレイ時間が一定量を超えた時やカードの使い込み度を上げるなど条件で解禁されていくので、やり込み要素の一つにもなっている。
    • カードはパックからではなく、ビックリマンのようにウエハースのオマケでついてくる。ちなみに絵柄もビックリマン調でGBの登場人物がパッケージとなっている。

問題点(スピードバトルカスタム)

  • 強いて挙げるならDS版が1,000円以内で買えることも多い中、800ポイントでスピードバトルしか遊べない本作を買うべきかどうか……
    • もちろん上で述べたように本作でしかできないことも多いので、両方持っていても損することはないだろう。
  • 制限版とはいえ全体的にスケールダウンしている
    • 主人公はサトルでは無くプレイヤー自身。悪く言えば名無しキャラである。
    • 登場人物も削られており、通常の対戦相手は全10名しかいない。あとは「日がわりバトルルーム」「ドラフトバトルルーム」を担当するキャラが1人ずついるだけ。
      • その登場人物も人気枠の「あゆみ」や個性キャラの「ワリオロス」といった特徴的な人物は少なく、大半が地味なキャラしか選ばれていない。
      • Aランクに登場するとある人物もヒロインのハルカが関わらないため正統派のカッコいいキャラになってるが、悪く言えば個性が乏しくなった。
    • カードも150ptで3枚貰えるカードが、100ptでウエハースとカード1枚しか貰えない。ウエハースはプレイヤーには(物理的に)味わえないためせめてカードをもう1枚くれと思った人も多いだろう。
      • なお、金色のウエハースを引くと日替わりでプレゼントが貰えるが、プレゼント内容の中にはウエハースだけ大量に貰えるというものがある。実質ハズレ。
  • Wi-Fiコネクションサービスの終了が痛手
    • 本作は、ストーリーが薄くCPUキャラも少なめであるため、評価の声の多くは通信対戦を中心とした物であった。しかし、オンライン対戦が不可能となってしまった事でその長所が失われ、ゲームの薄さがより一層浮き彫りになってしまった感が否めない。

総評(スピードバトルカスタム)

単なる機能制限版かと思いきや、むしろそれ以外の要素を排した調整によってスピードバトルに特化させた良作。
DS版をやりつくした人にも、DS版キャラの親類や疑似ダブルスロットなどといった楽しめる要素もあるので、興味があればやってみてはどうだろうか。

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  • カードヒーロー

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最終更新:2023年10月20日 17:48

*1 一説では前作主人公がマスターXの中の人の噂もあるのだが、公式発表はされていない。