【注意】本稿では『テニスの王子様 学園祭の王子様』(良作判定)と、DSリメイク版『テニスの王子様 もっと学園祭の王子様』(判定なし)の2本を紹介する。


テニスの王子様 学園祭の王子様

【てにすのおうじさま がくえんさいのおうじさま】

ジャンル 恋愛アドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
発売元 コナミ
発売日 2005年12月22日
定価 6,980円(税別)
廉価版 コナミ・ザ・ベスト:2006年11月16日/2,940円(税込)
判定 良作
ポイント シリーズ最高糖度の乙女ゲー
遊べるオマケ要素
テニスの王子様シリーズ

俺様の概要に酔いな!

通称「学プリ(がくプリ)」。PS2ソフト『テニスの王子様 RUSH&DREAM!』に次ぐ、テニプリ恋愛ゲーム。
攻略可能キャラも大幅に増え、内容も「テニス<恋愛」に大きくシフトチェンジした。

舞台は跡部&榊グループ主催の「関東地区合同学園祭」。
学園祭とは言うものの、東京都を巻き込むような規模で行われる。最早万博規模である。その割にはテニス部しか見当たらないとか言わない。
学園祭実行委員に選ばれた主人公は準備期間から本番最終日までの約2週間を過ごす。

油断せずに言おう、特徴。

  • 主人公は本作オリジナルキャラクターの女子生徒。
    • 苗字と名前と所属の学校を決める。
      • 所属学校により交流キャラが限定され、他校生との交流は不可能。
      • 学年は2年生で固定。その為、下級生と同級生にはくだけた口調で、上級生には敬語になる。
  • 攻略キャラは34人+隠しキャラ1人。
    • 隠しキャラは立海大のキャラを全員攻略した後に登場する幸村。
    • 青学が9人。氷帝と立海が7人。ルドルフ、不動峰、山吹、六角からそれぞれ3人。学校ごとに人数差はあるものの人気キャラは概ね網羅している。
  • 主にキャラクターとの会話で好感度を上げていく仕様である。
    • 初日などイベントのみの日もあるが、基本は平日は会場でキャラと交流、休日はデートという流れ。
    • 会場マップ内の各所に所属学校のキャラクターが登場し、会話を繰り返していく。
      • 朝、昼、夕の3つの時間帯があり、同じキャラに何度会いに行っても良い。ただし登場キャラは日付と時間帯で固定されており、目当てのキャラが居ない場合もある。
    • 会話の際も話題の内容をこちら側で選択する必要があり、適当にやっていればいいと言うものでもない。
      • 勉強が苦手なキャラに宿題の話をしたり、真面目なキャラにゲームの話をすると好感度はマイナスになる。
    • イベントなどで新たな話題を入手することもあり、適切なキャラに使用すると好感度が大幅に上がる。
    • その他、朝の挨拶や下校イベントなどもランダムで発生する。
  • コンプリートでスペシャルボイスが解禁になる「人形」の要素。
    • ストーリー中の探索やミニゲームの景品として各キャラのデフォルメ人形を集める事ができる。

評価点は嘘をつかないよ。

  • 主人公の性格がとっつきやすく、攻略キャラも非常に魅力的。
    • 恋愛面でちょっと鈍いところがある程度で、真面目で少々おっちょこちょいという主人公の性格は予々好評。
    • 攻略キャラも原作の性格を反映しているため、キャラ崩壊は無い。
      • 学園祭の出し物やイベントなどでお遊び的な扱いはあるが、ファンサービスの域を出ない程度。
  • ゲーム初心者にも優しい難易度。
    • 恋愛アドベンチャーにありがちな「この時期にこのイベントをこなさなければ攻略不可」や「好感度の調整」が殆ど不要であり、目当てのキャラにひたすら会いに行っているだけで自然とフラグが立つようになっている。
    • イベントがあるときはマップ画面でビジュアル的にわかるようになっており、故意に避けない限り取り逃す事はまず無い。
  • 恋愛ゲームとしての完成度。
    • 2週間と聞くと短く感じるかもしれないが、ストーリーでの日数の使い方が非常に上手く、無駄の無い濃密な時間を過ごす事ができる。
      • 短期間で恋愛関係に持ち込む事にはなる…が、仲良くなる過程はどのキャラも丁寧に描かれており、尚且スムーズで十分納得できるものになっている。
    • 最初はまともに話をしてくれないキャラと親しくなり、原作では絶対に聞くことができない甘いセリフを聞けるのは達成感あり。
    • 学園祭という舞台が良いスパイスになっており、トラブルを乗り越えて仲良くなったり、共同作業をする過程が青春・恋愛に上手く作用している。
      • 最終日に攻略キャラとフォークダンスを踊って告白を受けるというエンディングはベタながらストーリーの締めとしてまとまっている。
  • システム面の親切さ。
    • アドベンチャーゲームに必須とも言える既読スキップは勿論完備。
    • 読み返し機能もあり、バックログから選んでボイス付きで何度でも楽しむ事が可能。
    • 前述の通りイベントがある場合にはマップ画面でわかるようになっている。
  • クリア後のお楽しみ、ミニドラマモードが非常にぶっ飛んでいる。
    • エンディングを見たキャラの立ち絵、セリフ(ボイス有り)などを自由に組み合わせてオリジナルのショートストーリーが作れる。
      • 奇しくも同じジャンプ繋がりでこんなゲームもあったが、まさにコレと同じシステムのものがオマケと考えて良い。
    • かなりぶっ飛んだ爆笑ストーリーを作ることももちろん可能。コマ数は少なめだが遊びの幅は広い。
    • ココで使いたいが為にキャラを攻略するという何が目的かわからない事態も発生する。

こりゃ大変、な問題点。

  • 本番直前にトラブルや学園祭当日のイベントがあるが、学校毎の固定イベントとなっている。
    • 攻略キャラによる変更はほぼ無く、周回を繰り返すと何度も同じイベントを見ることになる。
      • 既読スキップがあるので苦になるわけではないが、新鮮味はなくなっていく。
  • スチル・立ち絵のクオリティ。
    • 原作から考えると線も細く乙女ゲー仕様の絵柄にはなっているが、少々不自然な作画ではある。
      • この点はその後のテニプリゲーでは向上している。
  • 嫉妬システムが生かされていない。
    • 本命キャラがマップに居ない時に、時間経過のために話しかけたキャラの好感度がいつの間にか上がってる事がある。その際に本命キャラに話しかけると嫉妬で好感度が下がるシステム。
      • そもそも本命キャラの好感度だけを上げればいいだけなので、他キャラの好感度が下がっても問題は何もない。
  • スペシャルバージョンの告白があるのが…
    • 好感度がMAXになった時のみ、エンディングの告白シーンのセリフが変化するスペシャルバージョンがあるが、それが適用されるのはたったの3人。
    • 通常の告白では「好き」という言葉を言わない。だが普通に攻略していれば大体好感度はMAXになるので、通常告白の方がレアとの意見も。
      • ちなみにその3人とは、リョーマ、手塚、亜久津である。確かに簡単に「好き」とか言わなそうではある。
  • ミニゲームの必要性。
    • 5種類のミニゲームがあるがどれも簡単で、申し訳程度に入れられたテニス要素という印象。
    • ゲーム中に失敗しても好感度の変動はない。その代わりノルマを達成すると人形がもらえる。
      • 人形をゲットするための作業、と考える程度に面白みはない。強制的にやらされるものではないのが救いか。
  • 人形を探す作業。
    • 入手場所は固定されておりランダム要素はないが、所属校によって取れるものが決まっていたり、期間限定のものがほとんど。取り逃すと面倒なことに。
      • 更にマップ上では何の表示も無く、カーソルを合わせて初めてそこに何かがあるというのが分かる。攻略を見ない場合、毎日マップ上をしらみつぶしにウロウロすることに…。

お前は総評の柱になれ!

過去作品で中途半端に匂わせてきた乙女ゲー要素を、初めて本格的に大きく打ち出した作品である。その結果はファンが思っていた以上の完成度であり今後のテニプリゲームの方向性の指針を示したと言っても良い。
乙女ゲームと言えばストーリー性が重視されシリアスな展開を望むユーザーが多いが、当作品はどちらかと言うとイチャラブ路線の甘ったるさがある。公式でも最高糖度と謳われているほど。
故に、濃密なシリアスストーリーに疲れた乙女ゲーマーからもライト感覚で楽しめると好評であった。


テニスの王子様 もっと学園祭の王子様 ~More Sweet Edition~

【てにすのおうじさま もっとがくえんさいのおうじさま】

ジャンル 恋愛アドベンチャー
対応機種 NintendoDS
発売元 コナミ
発売日 2010年2月11日
定価 5,250円(税別)
判定 なし
ポイント 追加要素有りのリメイク版
だが、なぜDSにした
テニスの王子様シリーズ

ドンドンドドドン概要!

約4年の歳月を経て待望のリメイクとなった、通称『モアプリ』
人気キャラの多い四天宝寺のメンバーを新たに加え、追加要素も増えた完全版と思われたが…問題は後述。

ワシの変更点は百八式まであるぞ

  • 追加キャラクターは四天宝寺から白石蔵ノ介、遠山金太郎、千歳千里の3人。
    • それぞれスペシャルゲストとして1人ずつ他校に配属されることになる。
      • メンツに関しては賛否両論ではある。
  • 新規スチルやイベントの追加。
    • 一部人気キャラが優遇された形ではありキャラに差はあるものの、新たなイベントや条件次第で私服でのデートも可能になった。追加されたスチルは概ね好評な出来。
  • 嬉しいフルボイス化しかし……
    • 後述のオマケ要素削除によってクリア後に好きなセリフを存分に堪能という事ができなくなっている為、余り恩恵を受けることができない。

ワシの問題点は百八式まであるぞ

  • DSの性能上仕方がないのだが昨今の乙女ゲーのクリアな音声からはランクダウンしている印象があり、「PSPで出せばよかったのに」という意見が多くなっている。
    • 設定した苗字や名前を呼んでくれるシステムも追加となったが選択できる数はそれほど多くなく、シーンによっては違和感のある口調になってしまったりと裏目に出てしまってる部分もある。
      • 例えば真面目な口調で告白しているのに、名前の部分だけ「○○ちゃん♪」と砕けた口調になっているなど。
  • まさかのオマケ削除。
    • 前作でプレイヤーが熱狂したオマケ要素であるオリジナル紙芝居が削除。容量の関係上致し方がなかったのかもしれないが、せっかくのフルボイスを生かせていない大きな要因となってしまった。
      • 余談ではあるが、この件に関しては余り事前に告知されておらず、購入後に気付き落胆するプレイヤーも多かったようだ。
  • DSならではのタッチ要素。
    • 本作はDS本体を縦持ちでタッチのみでプレイするスタイルになっている。
    • キャラ同士のアイコンが近かった場合、話しかける前の確認画面などが無いためタッチ事故で隣のキャラに話しかけてしまったりする危険性がある。
      • 本命キャラが嫉妬魔だった際は大事故に成りかねない為、ある意味嫉妬システムが生かされ緊張感が生まれた…と言えなくもない。
    • キャラにタッチするイベントも追加にはなったが、触った箇所によって3、4つ会話が変化するのみである。本当に申し訳程度のタッチ要素である。
      • そもそもこのイベントがランダムである下校イベント中にのみ発生するので、狙って起こせるものではない。

総評のスピードスターやっ!

良作であった前作に追加要素、ということは神作品になるとファンが余りにも期待しすぎた結果のガッカリゲーの類になるのかもしれない。
タッチによる操作性の悪さやこもり気味のボイス、オマケの削除などどうしても悪い点が目につくが、元のストーリーや相変わらず丁寧に作られている新規イベントは評価点として十分である。
だが今作の発売時は良作の乙女ゲームも多く出回っており、それらと比較すると平均的な出来と言わざるを得ない。
現在ではプレミアがつき、定価を上回る高額で取り扱う店舗がほとんどである。

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最終更新:2021年03月02日 19:52