風の探索者 ~Grand Slam~

【かぜのたんさくしゃ ぐらんどすらむ】

ジャンル ローグライクゲーム
対応機種 Windows95~2000
発売・開発元 Gruppo One
発売日 2000年8月11日
定価 5,800円
判定 良作


概要

  • テーブルトークを強く意識し、キャラクターがすべてピンで描かれたローグタイプのRPG。開発メーカーGruppo One(有限会社グルッポワン)はイースやドラゴンスレイヤー4等に携わった富樫克美が独立した会社であり、その処女作として期待が高まった。
    • その実、攻撃が当たらない・キャラクターが即死ぬ・復活デメリットがでかい・ゲームバランスが悪い・全体的に古臭いと言う散々なRPGであった。
      • しかし攻撃命中率が悪いのは敵も同じであり、ゲームバランスも本作独特のシステム「満腹度」が強く関わっている事に気づくと、その評価が急変する。

キャラメイク

  • 主人公達となる4人の外見・名前・性別・年齢を設定可能。この設定で性能差は生じない。
    • 外見を決定するとデフォルトの名前・性別・年齢が自動設定される。
  • 体力・剣術・射術・錬金術・医療術・計測術・工作術に経験値を割り振る。経験値は全員共通。
    • 体力は文字通り敵の攻撃や罠に対する耐性。これが0になると死亡し、街の施設か医療術(後述)で復活させなければならない。
    • 剣術は剣に限らず「接近戦におけるテクニック総合」で、相手の接近戦を回避するのにも必要。攻撃力や命中率・攻撃発動時間(後述)にも関わってくる。
    • 射術は射撃武器を用いる際の攻撃・命中・攻撃発動時間に重要。
    • 錬金術は一般的なRPGにおける魔法と同じで魔法攻撃力・命中率・発動時間に関わる。それ以外にも、相手の錬金術への回避・耐性にも関わる。一定値たまると新たな錬金術を使えるようになる。
    • 医療術は回復魔法の威力・命中・発動時間に影響。一定値たまると死者を即死させる鎮魂を使えるようになる。
    • 計測術はダンジョン内での視界の広さや、隠し扉の発見率。地図作成範囲に関わる。
      • 本作はオートマッピングが採用されており、ダンジョン内で右クリックする事で地図を表示できる。
    • 工作術は鍵開けや罠解除に必要。それ以外にも道具使用時間・効果も変化する。
  • 体力以外のステータスは街で金を払う事で上昇させる事ができるが、基本的には敵を倒したりダンジョン内で物を破壊したり、地図を埋める事で経験値が貯まるので、ソレを振り分けていく事になる。

満腹度

  • 本作にはキャラクターに「満腹度」という物が設定されている。最大の特徴にして、このゲームの評価を真っ二つに分ける重要ステータスである。
    • 満腹値は食料を使用する事で回復するが、時間経過で減少していく。この時間経過というのは「攻撃・移動・罠解除・医療術等あらゆる行動に設定された発動時間」で減少するので、無駄な行動を取るとどんどん減少していく事になる。
    • 食料は敵から入手する事もできるが、その量は微々たる物なので、ダンジョンに入る前に食料を買い込んでおく必要がある。
    • 満腹度が半分を切ると、すべての行動の成功率が減少。攻撃も当らなくなり、罠解除も出来なくなる。
    • 0になると行動率が更に減少。戦闘行動はおろか、ダンジョンで上の階層に上がる事すらままならなくなる。
      • 本作の評価を著しく下げている要因はまさにココであり、「満腹値が0にならないようにする」のではなく、「満腹値を常に高めておく」必要がある。
  • これらにより、本作はシステム面では「余計な稼ぎが出来ず、効率を重視しなければ先へ進めない」。
    • 満腹度に大きく依存したゲーム設計で、コレを軽視すると身動き一つ取れない詰み状態になってしまう。
      • 「食べる為に戦う」という世界観を形作っている。

戦闘システム

  • 戦闘では「武器攻撃」・「錬金術」・「医療術」・「道具」・「逃走」を選択する。
  • 「武器攻撃」
    • 文字通り武器を使った攻撃。武器を装備していない場合は素手での攻撃になる。
    • 武器攻撃には剣・打撃・射の三属性があり、使ってみなければわからないが敵にはそれぞれ耐性がある。
  • 「錬金術」
    • 一般的なRPGで言うところの魔法に該当する。時間はかかるし命中は低いが威力が高く、ステータスに影響を与えたり全体攻撃が出来たりする。
    • 使用に関して消費するステータスは無いが、時間=満腹値なので満腹値を犠牲にして用いると考える事ができる。
  • 「医療術」
    • 体力を回復したり状態異常を解除したり、死者を即死させる魔法である。
    • 錬金術同様、時間はかかるが消費するステータスは無い。
  • 「道具」
    • キャラクターが装備している道具を使用できる。
    • 無尽蔵に医療術を使えるので回復道具は意味をなさないように思えるが、同レベルならば回復道具の方が早く効果も高い。
  • 「逃走」
    • 文字通り戦闘からの脱出。しかし、敵がいない方向にしか逃げられないので、袋小路や囲まれたりすると逃走できない。
  • 武器や防具には攻撃力・防御力の他に行動速度、即ち重量が設定されている。
    • この重量は剣術レベルが上がれば軽減する事が可能。
    • 防具も同様に防御力が高いと重量が高く設定されている。
    • 更に銀属性と魔法属性が登場。銀属性は一部敵に対して追加ダメージを与え、魔法属性は錬金術の追加ダメージを与える。
      • 銀防具で実を固めていると敵近接攻撃のカウンターで銀ダメージを与える。
      • 魔法属性の防具は相手の錬金術を軽減する効果がある。だが魔法武器よりも入手が難しい。
    • 優秀な武器・防具はダンジョン内で入手可能だが、その条件は厳しく容易ではない。
    • これら武器防具は大半が武器防具破壊効果を持つ敵によって破壊される危険性を帯びている。
  • 他に、四方向のいずれかに宝箱や扉があれば、戦闘中でも「鍵開け」・「開閉」・「破壊」ができる。階段がある場合は逃走可能。

街の施設

  • 「自室」、攻略ダンジョンを選択できる「酒場」、他に「武器屋」等がある。
    • 教会では無料で回復が可能。回復は医療術を使うよりも早く効果が大きい。
      • 死亡したキャラクターもここで復活できるが、復活の際どこかしらのステータスがデメリットとして減少する。

評価点

  • キャラクターイラスト担当は、『イース』関連作を手掛けた岩崎美奈子。全体的に埃っぽいデザイン・味のある世界観に仕上がっている。
    • 主人公達は一言も喋らないが、退廃的な街の人々が現在攻略中のダンジョンに関した台詞を話してくれるので印象深い。
  • ダンジョンの数はそれほど多くないが、一つ一つが王道的ながらも個性的で挑戦し甲斐のあるものになっている。
    • 各システムを理解し、意識して満腹度を回復するよう心がけると実に絶妙な難易度。
  • クリアに必要な平均時間は100時間とされており、十二分のボリュームがプレイヤーを魅惑する。
    • 更に続編『風の探索者2 ~Shadow Kingdom~』にデータの引継ぎが可能。2と銘打ってはいるが、実質後編的な設計になっている。
  • フルインストール式。CD起動では無いのでロード時間が皆無となっている。
    • ただし逆に言えばHDDに相応の空き容量が無いと起動ができないということで、この点には注意が必要。

難点

  • そのシステムの複雑さと難易度の高さが人を選ぶ。
    • 満腹値が0になり、食料を保管していないと装備を売る事になり、最終的には詰み状態になる。
  • 冒頭で紹介した通り攻撃がなかなか当たらず、戦闘が冗長になりがち。
    • アップデート版で多少緩和された。全体的に攻撃が当りやすくなっている。
  • 工作術が上昇すると、食料摂取時間と食料によって回復する満腹値も上昇するというわけのわからない仕様がある。
    • そのため、工作術はパーティー内でほぼ必須項目になっている。錬金術より重要度が大きい。
  • 射術を上げても剣術が低ければ相手の攻撃に対処できないため、射撃特化キャラの成長が遅くなる。
    • アップデート版で修正。射術にも剣術同様防御・回避補正が加わった。
      • 他にも医療術にも錬金術同様、対錬金術抵抗計算が適応された。
  • 医療術スキル「解毒」が死にスキル。
    • 解毒という名前ではあるが、実際には毒以外のステータス異常も治せるスキルである。が、使用者の医療術レベルが状態異常にした相手の関与レベル(医療術や錬金術)を超えていないと成功率がとても低い。
      • そもそも毒・麻痺はわざわざ解毒を使うよりも放置していた方が回復が早く、ダメージ量もごくわずか。
      • 石化・凍結といった「一定時間身動きが出来なくなり、敵の攻撃が必中になる」もっと厄介なステータス異常は解除できないというオマケつき。
  • マニュアルはHD内にインストールされる。
    • 冊子では無いので読みながらプレイする事ができない。更にスタートアップにマニュアルショートカットがあるわけでもない。
      • 風の探索者2 ~Shadow Kingdom~には風の探索者 ~Grand Slam~のマニュアルがついてくる。アップデート後の説明書なのでアップデート前の説明書冊子は存在しない事に変わりはない。
  • ウインドモードでプレイできない。強制フルスクリーン。
    • プレイ中F3を押す事でウインドモードに切り替え可能。だが説明は無い。

総評

「ストーリーを重視したRPG」が好きな人にはそれ程お奨めできないが、「ゲームバランスを尊重し、システム面での手ごたえがあるRPG」が好きな人にはたまらない良作である。



余談

  • 本作は入手困難。元々生産数が少なかったのだがGruppo Oneが下記の『風の探索者2 ~Shadow Kingdom~』発売直後に予告なく表舞台から姿を消した事が原因。既に倒産している。
    • 現在、Gruppo Oneのスタッフの一部はウィザードリィエクスシリーズなどを手がけたTeamMuramasaと何らかの係わり合いがあるようである。(TeamMuramasaコミュニティ・2008年7月8日の投稿)

続編

『風の探索者 ~大陸編~』

  • 全体的に難易度が低下した続編。Grand Slamとは別のパラレルワールド的な作品。
  • 武器や敵によって攻撃射程があり、隊列要素が追加。特殊な武器が多数入手できるようになり、選択できるキャラクターグラフィックも倍増している。
    • 更に武器のグラフィックがランク毎に変化し、倉庫で武器や防具に名前をつける事が出来るようになった。
  • 質の悪い武器が店で売られなくなった。
  • 道具を束ねて持ち歩く事が出来るようになった。これにより前作よりも食料を大量に携帯し、ダンジョンに篭って稼ぐ事ができる。
  • 軽量武器が工作術や計測術に応じて威力が上昇するようになり、射術と剣術どちらか高い方で相手の攻撃へ反応できるようになった。
  • 全体的なゲームスピード増加、命中率も若干上昇し、戦闘が冗長がちという重大な欠点が大幅に軽減された。

『風の探索者2 ~Shadow Kingdom~』

  • Grand Slamの「後編」であり引継ぎ可能。難易度は段階的に上昇している。
    • 基本は大陸編をそのまま継承。舞台は大陸編と同じであり、Grand Slamや大陸編のキャラクターが登場する。
    • 前作までは破壊される事の無かったEnergie武器が破壊されるようになり、一度攻略したダンジョンに再び訪れても、敵が宝箱を落しにくくなった。
  • 新規で始めてもGrand Slam終盤で手に入る剣一振りと資金、膨大な経験値を最初から所持しているので難なく始める事が出来る。
    • 更に風の探索者 ~Grand Slam~をShadow Kingdom仕様にするアップデートディスク・Grand SlamとShadow KingdomのサントラCDも同梱。
  • 隊列システムの影響でスキルの割り振りに無駄が無くなった分、体力の最大値を増やすのに必要な経験値の量が増加している。
  • 他にも満腹値が一定以下になると色が変化して一目で「性能が下がった」とわかるようになり、初心者にも親切な設計にもなっている。
    • アップデートする事でクリアに必要な時間は70時間に短縮される。ウィンドモードでプレイできるようにもなるが、BGMが強制的にMIDI音源風になるという重大な欠点を抱えている。