ワンダと巨像

【わんだときょぞう】

ジャンル アクションアドベンチャー

対応機種 プレイステーション2
プレイステーション3
発売・開発元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
発売日 【PS2】2005年10月27日
【PS3】2011年9月22日
定価 【PS2】7,140円
【PS3】3,980円(共に税込)
廉価版 PlayStation2 the Best
2006年6月8日/2,800円
2010年2月4日/1,800円(共に税込)
分類 良作

概要

  • ICO』を製作したチームの作品。同作と同じく上田文人氏がディレクターを務めている。
  • 大まかに言うと「アクションRPGにおける巨大ボス戦のみ」というシンプルなゲーム。

ストーリー

青年ワンダは愛馬アグロと共に、命を失った少女を抱えてこの地へやってきた。魂を操る術を持つというドルミンを訪ね、彼女に命を吹き込んでくれるよう懇願するために。
ドルミンは告げた「少女を生き返らせたければ、この地に住まう16体の巨像を倒せ」と。

特徴

  • シームレスに繋がっている広大なフィールド。
    • フィールドのあちらこちらには鳥やトカゲなどが生息し、雄大な自然と数々の遺跡が待ち受けている。砂丘には砂埃が舞い、木々が生い茂る森にはところどころ陽光が差すなど映像表現も美麗で、PS2終盤からなるハードの底力が発揮されている。
    • かなり広大なため、愛馬アグロでの移動が基本となる。広大すぎて迷うことも多い。しかし寄り道してみるのも本作の面白い点である。
    • 地図も最初から所持しており、これまでに戦った巨像の跡や、いずれ戦う巨像のいる場所の地形をおおまかに把握することができる。
    • 次に戦う巨像のいる場所は、日のあたる場所で剣を掲げることで、剣の光が収束する方向によって示される。これを目印にしつつ、地図を見ながら手探りで進んでいくことが基本となる。
  • 数値が廃されたステータス。
    • 確認できるのは「ライフ」の残量を示すバーと「腕力」を示す円の2つだけである。
    • ライフは高い場所から落ちたり巨像の攻撃を食らうことで、腕力は崖や巨像に掴まったり水中に潜ることでそれぞれ減っていく。アイテムなどで瞬時に回復する手段は無く、どちらも時間の経過と共に回復する。
    • これらのステータスは、フィールドに落ちている特定の物を拾い食いすることでパワーアップできる。
      • 本作は周回プレイに対応しており、強化されたライフと腕力は引き継ぐ事が出来る。
      • だが表示的限界が無い為、腕力を示す円が限りなく大きくなり最終的には画面一杯に覆い尽くす。ある意味ハードになる。
    • ライフ・腕力ともに初期値でもクリアが出来るので、あると楽になる程度の要素である。
  • 巨像との戦いに特化したバトル。
    • 巨像の上に登って弱点を探し出すのが基本となる。巨像に取り付くためには地形を利用したり、巨像の習性を利用するといったパズル的な要素も多分に含まれる。
    • 巨像に取り付いた後は振り落とされないようにしがみつきながら弱点へと向かって行き、そこへ剣を突き立てて戦うこととなる。
    • 主人公ワンダは簡単に巨像を撃破できるような力を持たず、飛びつき、よじ登り、剣を突き立てる一つ一つの動作にはもどかしさすら覚える。爽快さや軽快さとは無縁であり、アクションゲームとしては異例の仕上がりだが、生身の人間が圧倒的な存在に挑み苦闘する姿は、いかんなく表現されている。
    • 戦闘中は、巨像の隙をうかがっている場合や、取り付いて攻撃している最中などでBGMが変化する。戦闘の高揚感を高めており、いずれも名曲揃い。
      • 特に決着目前で流れる「甦る力 ~巨像との戦い~」はそれまでの不穏な雰囲気を一気に吹き飛ばすカタルシスを得られる名曲として人気が高い。
      • そうしてトドメを刺す時、わずかにスローモーションになり、静かな断末魔と共に崩れ落ちていく巨像は言い様のない虚しさを残す。この時「最後の一撃は、せつない。」という本作のキャッチコピーを誰しも体感するだろう。
  • 愛馬アグロの存在。
    • ワンダと共に古の地を駆け巡り、時には協力して巨像と戦う。ゲームの孤独感を解消してくれる唯一の心の支えと言える存在であり、まさに愛すべき相棒である。アグロがいなかったらこのゲームの魅力は大きく減っていたと言っても過言ではないかもしれない。
    • ある意味では今作の「少女」を差し置いて、前作 『ICO』 のヨルダに近い位置付けのキャラクターと言える。操作体系の関係で尚の事そう思う者も多い。
    • 移動手段として見ても、その場の地形に合わせて向きを自動補正しながら走ってくれるので快適に移動できる。壁や障害物にぶつかっても、よほど真正面からぶつからない限りは止まらずに向きを補正して走り続けてくれる。
    • ちなみに最高速度の状態を維持しようとボタンを何度も押しがちだが、実は押しっぱなしにしていれば現在の移動速度を保ち続けてくれる。
  • 寡黙に語られるシナリオ。
    • 進行は次の巨像のいる場所のヒントを与えられるのが大半。
    • 巨像を倒した後にちょっとしたイベントが発生するが、何が起きているのかは語られない。そのため、ストーリーからちょっとした謎まで多くの考察がファンによって行なわれている。
  • クリア後もハードモードやタイムアタック、それに伴う特典などのやりこみ要素もある。
  • 前作『ICO』をプレイしていると分かるネタもある。

賛否両論点

  • フィールドの広大さの割にゲームとしてはやれることが少なく、一本道感もある。
    • 広大なフィールドを探索しても、やることは「巨像の発見と撃破」「見晴台(セーブポイント)の発見」「トカゲ(の光る尻尾)狩りや果実の収穫によるステータス強化」ぐらいしかない。
    • 動物の種類は少なく、生息数も限られている。魚や亀や鳥を発見しても、それが何かゲーム攻略の役に立つということはなく、魚や鳥に一時的に掴まることができるというお遊び要素があるくらい。
    • いかにも何かありそうな場所はあちこちにあるのだが、特に何も無かったりする。
      • これは「プレイヤーの想像をかき立てる」というICOから続くコンセプトであり、閉ざされた古の地という設定や本作の作風上、多種多様な動植物がいたり、あちこちでミニゲームやサブイベントなどの遊びができても、それはそれで問題ではある。
        とはいえ、先に進むための仕掛けがあったり風車やら水路やら墓所やらバリエーションに富んでいたICOに比べると、あまりにもフィールドに何も無さ過ぎ変化に乏しすぎて想像で補うにも限度がある。
  • 巨像を倒す順番が完全に固定されている。
    • クリアに必須ではない巨像や、隠し巨像などの類は存在しない。
    • もしも後の順番の巨像がいる場所に早い段階で辿り着いても巨像は出現しないので何もすることがないため、結局後になってその場所を再訪することになるという二度手間になってしまう。本作にはショートカットルートやワープポイントの開通といった要素も無いので、自由に探索は出来ても戻る事も考えてしまいがち。
    • 広大なフィールドを自由に探索することはできるのだが、次に戦う巨像までのルートと関係ない場所へ行く利点はあまりなく、実質的に一本道のようなゲームとなっている。
  • 操作性
    • ICOと同じくリアル重視であるためレスポンスは少々モッサリしている。
    • 掴む・ジャンプ・攻撃などのボタン配置は右手側に集中しているため、巨像に登って攻撃するなどボタンを押し続けるゆえに負担もそれなりにある。逆にこれが必死にしがみついて戦っている感じが出ているともとれる。
      • キーコンフィグで配置の変更は可能。ただし変えてもウィンドウに表示される時はデフォルトのままである。
    • また、下突きする際に前転が暴発してしまいがち((ジャンプ中に掴み/しゃがみボタンを押しながら攻撃ボタンで使える。通常攻撃より素早く出せて威力もかなりあるためタイムアタックには欠かせないのだが、巨像の上でうっかり掴まりながらジャンプボタンを押して前転してしまい、そのまま落っこちてしまうことも。ちなみに下突きでトドメを刺した場合、最後の一撃がスローモーションになる演出は無い)。
  • アクションゲームとしてはフレームレートが低め。
    • 基本30fps、巨像が激しく動く場面ではそこからさらに落ちる。しかし、それがかえって重みのある独特の視覚効果を生んでいる面もあり、ここは好みによるところでもある。
    • 『ICO』と共にPS3でも発売されたが「雰囲気がまったく変わってしまう」という理由から、両作品ともフレームレートは変更しなかったとのこと。
      • ハードのスペック向上のためか処理落ちはほとんどなくなったが、PS2版で好意的にとらえていた層からは違和感が指摘された。
        また、処理落ちがなくなった結果アクションシーンの難易度が上がった。PS2版からして難易度は高めだったため、雰囲気に惹かれた普段あまりゲームをしない層にとってはマイナス要因になるかもしれない。
  • BGMや、体力・腕力・装備アイコンの表示を消せない
    • 巨像戦で必ず流れるBGMは、映画的な効果を演出する重要な要素ではあるが、BGMが流れない静寂な空気感のまま巨像と戦いたいという人もいる。
    • 前作『ICO』と比べて、今作には体力や腕力のゲージといったいかにもゲーム然としたインターフェイスがあることを嫌う向きも少なくない。

問題点

  • カメラワーク
    • 雰囲気重視で見栄えは良いものの、透過処理などは無いため地形では極端に寄ったりして非常に見難くなる場面がある。巨像に掴まっている時もカメラが回り込んでしまって進みたい方向と違う方へ行ってしまうことも。
    • ただし透過処理があっても雰囲気を損なってしまう面も否めず、巨像のカメラアングルも操作しやすいような大人しい物になったら本作の魅力を削いでしまうところもあるだろう。
  • 遠景の貼り遅れ
    • シームレスに繋がっているが、地形のテクスチャの貼り遅れが目立つ。プロローグのイベントシーン明けの段階でも少々目についてしまう。とても美しい景観ゆえに惜しまれる所でもあり、PS3版でも改善はされていない。
  • 人によっては巨像戦でストレスが溜まる
    • アクションパズルの性だが、倒し方が分からない人は何時間掛かっても分からないし、倒し方が分かったとしてもアクション性が要求されるため、実行に移すのは必ずしも容易ではない。パズルと3Dアクションを両方こなせなければならず、その両方とも前作より色々と分かりにくい仕様のため、初心者にはややハードルが高い。
    • 巨像の体の上を移動する際にのぼれる場所・ジャンプで越えられる場所・しがみ付ける場所・立てる場所などが分かりにくい上、先に進みたいのに巨像の挙動に振り回されて身動きが取れないことが多い。これらは巨像の体を登るという独特なプレイ感覚を生み出している重要な要素ではあるが、結果として、せっかく巨像の体に取り付いたのに振り落とされてしまって振り出しに戻るハメに陥りやすく、そうなった時はストレスが溜まりやすい。特にアクションゲームやゲーム攻略の「学習」が苦手な人はそれが顕著であり、いつまで経っても巨像が倒せずにプレイ時間とストレスだけが蓄積されていきやすい。
      • 一応は時間経過でドルミンからヒントが貰えるが、これも微々たる物。
  • しかしながら巨像戦の圧倒的な雰囲気により、たとえゲームは苦手でも何時間だろうと戦っていられるという人もいる。
    • 一部を除く巨像の動きが全体的に緩慢で、こちらがして欲しい行動をなかなかしてくれないこともあり、人によってはじれったく感じられる。特に巨像から振り落とされてしまいまた巨像に取り付かなければならない時などは、巨像の行動を利用して巨像の体に取り付くまでに時間が掛かり、ストレスになりやすい。
    • 苦労の末に倒したからといって、それまでに鬱積されたストレスや多大なプレイ時間に見合うほどの達成感が得られるかと言えば、それもまた人によるため一概には言えることではない。
    • 巨像を倒したのに、すぐにワンダが黒い触手のようなものに取り付かれて倒れてしまうのは、巨像撃破の達成感を殺す一因となっている。またこのせいで、崩れ落ちた巨像の体の上を散策したり眺め回したりといった感慨に浸ることが、すぐには出来ない。
      +  以下ネタバレ
  • 行けそうで行けない場所が多い
    • 世界を散策すればするほど感じることである。崩れた橋の向こう側、崖の遥か下に見える地形、山の向こう側、山の頂上、崖を挟んだ向こう側の地形、古の祠の上部など、「あの場所に行ってみたい」と思わせる場所は随所にあるが、どうやっても行けない場所が多い。
      • アイテムを使用したり、巨像の動きを利用した反動ジャンプなどをすれば行けるところもあるが、そのほとんどが地面に接触した瞬間に死亡判定、もしくは地面をすり抜けて落下するかである。
    • 古の祠は、ワンダの能力を上げればある程度まではよじ登ることができるものの、それでも全体の半分程度までしか登ることができない。上の方はもっと面白そうな形をしている。
    • もっとも、開発上の事情によりそういう場所まで作り込んでいないことは明白であり、3Dアクションゲームにはよくあることでもある。既に十分すぎるほどに広大な世界で、魅力的な場所も数多く存在するため、これは嬉しい悲鳴と言えるものかもしれない。
    • (正規ではないが)ある方法で行けない所へ行った動画がある。祠の頂上などの光景が見られるが、ここでは割愛する。

総評

神秘的な世界観と恐怖を与えてくる巨像との戦いは、さながら映画のようである。
プレイした人の中には 「記憶を消して最初からやりたい」 という人もいるほど。巨像と戦う際は、自力で攻略法を探すことをオススメする。

『ICO』と並んで、特に海外での評価が極めて高く、IGN主宰の「ベストPS2ゲーム」では国内外の各有名作品を抑えて 堂々第一位 に選ばれている。

余談

  • TBSにて放送されていた「リンカーン」にて、ダウンダウン松本人志のハマったゲームとして紹介されていた。
    • 松本は本作を自身のベスト3に入るゲームと言い、本作の魅力を的確に押さえたトークをした...が、残念ながら他の出演者が本作のことを知らなかった *1 ために、いまいち伝わりきらないままトークは終了した。