激走トマランナー

【げきそうとまらんなー】

ジャンル 人間レースゲーム
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
発売日 1999年7月22日
定価 6,800円
配信 ゲームアーカイブス:2006年12月21日/600円
判定 良作

概要

  • 人間であるキャラクターを走らせて相手よりも先にゴールすることが目的の一風変わったレースゲーム。
    • 商品概要には「激笑“人間レース”ここに復活!」とあるが、既存タイトルの続編だったりリメイク版だったりというわけではない。

特徴

  • とにかく相手より先にゴールすることが目的のなんでもありなシステム。
  • 通常のレースゲームではありえない様々なシステムが搭載されている。
    • LRボタンで左右の手を出すことができる。この手を使ったアクションが本作最大の特徴といえるだろう。
      • コースにあるカーブのほとんどは直角であり、ただ走っているだけではまず曲がりきれない。しかし、カーブに設置されたポールをつかんだり、マットをタイミングよく叩くことで加速しつつ安全に曲がることができる。
      • LR同時押しで両手を前に突き出す。これによりコースに設置された跳び箱を飛んだり、タイミングよくジャンプすることで鉄棒につかまることも可能になる。
      • 相手と並走しているときに相手側へ手を突き出すと相手をパンチする。パンチされた相手はひるんで減速する。また相手の背後を走っている状態で両手を突き出していると、相手と接触した際相手を突き飛ばすことができる。
    • キャラクターにはそれぞれパワーゲージがあり、これらを消費することでダッシュしたり後述の武器を使用することができる。
    • 舞台となるコースはホテルや寺、下町などこれまた通常のレースゲームではありえないコースが多数用意されている。
      • 多くのコースでは分岐ルートや隠しルートが存在する。必ずしも近道になるわけではないが、ホテルではカップルの個室に乱入できたり海のステージでは半漁人のすみかに入り込めたりとかなりカオス。
  • プレイアブルキャラは15人。キャラクターにはそれぞれパラメータのほかに相手を妨害するための武器や固有能力が設定されている。
    • コース中に配置されている「トマラナイト」という宝石の取得数に応じてレベルが上がり、パラメータの上昇や特殊能力を取得することができる。
    • 前述の通り人間レースゲームなのだが、ロボットや犬、カッパなど人間と言えないキャラもそれなりにいる。
  • 使用可能キャラクター
    + ...
  • JAM夫
    • 本作の主人公、バスケのユニフォームを着ている。なぜトマラン大会に出場しているかは詳しい説明がないためはっきりしない。
      • 初期は(低い方で)平均的なパラメータながら使いやすいミサイルが初期武器で、レベルを上げるとマットを叩いたときに加速できるようになる。
    • ナカジマ
      • 初期キャラクターの紅一点。トマラン部副部長で、悪友イソノが発明した強化グローブをひっさげて大会に出場。
        • 初期パラメータはバランスがとれているがポールターン時の加速能力が低い。最終的にすべての武器が使用可能になる。
    • カッパ
      • カッパの里に住んでいるカッパ。人間による里の開発を食い止めるためトマラン大会に出場した。
        • 初期キャラの中では最もスピードが出やすいが全キャラクターの中でも非常にバテやすい。スピードに関するパラメータが順当に上がっていく。
    • ギン
      • とある博士が開発したロボット。研究所を壊して脱走した弟分のブラックを探し、トマラン大会に出場した。
        • 初期パラメータはレベル1の時点でアクションによる攻撃能力がカンストしているが、通常速度が非常に遅い、全キャラ中唯一壁を登るためのマットが使えない*1という弱点がある。レベルを上げるとパワーゲージを消費してジェット噴射を行い、素早く壁を登れるようになる。
    • エースさん
      • 本作の顔ともいえるキャラクター。本作のパッケージ写っているのは彼である。覆面にスケートブーツという出で立ちで大会に参加。JAM夫の父とも宇宙人とも言われているが素性は不明(エンディングで正体が明らかになる)。
        • 走る能力についてはトップクラスで、最終的に全キャラ中最高クラスのスピードとダッシュ能力を得る。しかしダウンしてからの起き上がりが遅く、また加速までに要する時間も長い。
    • 源さん
      • 日本の心を伝えるために獅子舞姿で大会に参加する大工。
        • 獅子舞なので手のアクションについては獅子舞の口で行う。初期は特にポールターン時の加速に優れるが、腕のリーチが短い。
    • モーターマン
      • 元バイク乗りの女性が改造された姿。スパイとしてトマラン大会に潜入する。
        • 初期パラメータがかなり高く、ダッシュ速度はレベル1の時点でカンストしている。
    • てんし
      • 年頃の女の子の心にいる存在。対になる存在であるあくまちゃんがいる。
      • 能力は全体的に低めだが、どんなに高いところから落ちてもダメージをうけないという特徴がある。
    • イソノ
      • トマラン部部長で各種パワーアップアイテムの開発者。ナカジマで大会をクリアするとEDで大会に参加しようとする彼女のムービーが流れる。
        • 上級モードである「大人のトマラン大会」をナカジマでクリアすると出現。後述にもあるように、いずれの能力も高水準にまとまっているバランスタイプ。また最初から5種類すべての武器が使用可能で、特に百発百中のサンダーは強力。
    • S-JAM夫
      • 大会に優勝したJAM夫の前に立ちはだかる、JAM夫のそっくりさん。
        • 名前のSは「ショボい」のSかと思えるほどに初期能力は低い。しかしレベルが上がるとすべての能力がめきめきと成長。LVMAXでは他ランナーを圧倒する高能力に成長する。トマラン大会では初期能力の低さとバテやすさが相まってかなり苦労するかもしれない。
    • あくまちゃん
      • トマラン大会中盤に登場するトマラン軍団の一角。てんしの対になる存在。なぜかちゃん付け。
        • ほぼてんしの上位互換。トマラン軍団の中ではコーナリングに優れ、またてんしと同じく落下ダメージを受けない特性があるので登場ステージである「ホテル2」とは相性抜群。
    • ブラック
      • ギンの弟分にあたるロボット。研究所を脱走後トマラン軍団の一角となる。
        • トマラン軍団の中ではバランスタイプにあたる。ジャンプ力が地味に高く、速度さえ出ていれば鉄棒が必要な段差もジャンプで飛び越えてタイム短縮を狙える。ギンと異なり壁を登るマットも使用可能だがややバテやすい。
        • その高い能力と対戦ステージである「ジャマー遺跡」の高難度とがあいまって、トマラン大会ではジャマーキングと並ぶ最大の難所となっている。
    • 凶犬ガルル
      • トマラン軍団の一角で名前の通り。唯一最後までラスボスと行動を共にしている。ラスボスの飼い犬かもしれない。
        • トマラン軍団の中ではスピードタイプにあたる。全キャラ中最も加速能力に優れ、走るボタンを押してすぐに最高速度に達することができる。源さんと同じく口でアクションするためリーチが短いこと、武器がやや弱いこと、壁のぼりの速度が全キャラ中最低クラスなどの弱点がある。
    • ジャマーキング
      • マップに登場するお邪魔キャラ、ジャマーの王様。ラスボスの傀儡。
        • 能力そのものはギンと同程度。キャラ固有の能力として、ジャマーが邪魔をしてこない、「ジャマー砦」のステージではジャマーキングに有利なしかけが発生するようになっている。
        • トマラン大会ではブラックと並んで詰まりやすい対戦相手だが、レース中に隠し通路へ進むとイベントが発生し弱体化する。
    • ピヨタンク(&ピヨ軍曹)
      • トマラン大会中に一定数経験値を溜めると乱入してくる謎のヒヨコ。ピヨ軍曹がPSコンで操作するピヨタンクにのってレースする。
        • 大人のトマラン大会にて二回乱入を発生させた上で両方に勝利すると使用可能。能力は初期のS-JAM夫並みに低く、ダウンからの復帰こそ速いものの走ることに関しては間違いなく最低クラスのキャラ。
        • しかし、後述にも記載があるように、あるアクションを行うことで常時最高速度で走ることが可能となる。大会後半で対戦する「トマランサーキット」のようにカーブの少ないコースでは無類の強さを発揮する。
  • 育成要素もあるストーリーモード「トマラン大会」やCPU、2Pとレースできる対戦モード、様々なアクションでコンボを稼ぐコンボアタックなどがある。
    • 特筆すべきはコンボアタック。コースに設置された加速マットを連続で叩いていくものや、大部屋に設置されたポールや鉄棒、空を飛べるマットを叩いて地面に着くまでのコンボ数を競うものなどアクションゲームとして楽しむことができる。

評価点

  • システムの完成度が非常に高い。
    • レース部分もアクション部分も非常に洗練されている。水中にいるときLRボタン連打で水かきをして加速する、などといった細かい表現部分もよく作り込んでいる。
    • 操作そのものも非常に単純でやった分だけ実力に反映される点も非常にわかりやすい。
    • マップの中には複雑かつ広いものも存在するがあまり読み込みに時間もかからず、レース中処理落ちするようなこともまずない。バグの類も普通にレースしている分には見当たらない。
    • コースも多岐にわたる。同じ場所を舞台としたマップでも単にコースが長くなっているだけにとどまらず季節が異なっていたり演出が大きく違っていたりと内容が重複するような場所がほとんどなく、似たり寄ったりのコースだらけになることをうまく避けている。
    • コース上には色んなアイテムが点在している。「ラッキーアイテム」は相手にサンダー攻撃をしたりパワーゲージを満タンにしたりと、レースを有利に運ぶ事が出来る。
      • 「装備アイテム」はレース後に手に入る。レース前に装備することでスピードアップや壁登りが早くなるなどの恩恵が受けられる。
  • チュートリアルも親切。個々のアクション解説だけでなく、それらを連続して行う実践練習も完備。
  • 前述のとおり変わった場所がステージになっている独特の世界観も見どころの1つ。
    • 下町ステージでは主婦や学生を弾き飛ばし、銭湯に突入する。寺ステージでは読経を上げている坊さん達を避けて進み、幽霊に遭遇する・・・。とにかく奇妙なステージが多い。
    • BGMもこれまたステージ合わせて多種多様。テクノ系をメインとした色々な音楽があり、それらはオプションで自由に聞ける。

問題点

  • 一応各キャラごとに設定(出自、トマラン大会に出場した理由など)はあるのだがそれらがきちんと説明されていることが少ない。
    • 他のレースゲームでも特にバックストーリーが存在しないものもありはするが、自機が人間というユニークな設定や個性的なキャラクターを特徴としているだけに、キャラクター性を活せていないのはやはりもったいないところ。
  • トマラン大会における達成率(極め度)の仕組みが明確に説明されない。
    + 一応ちゃんとした基準はある。ネタバレ注意
  • トマラン大会をクリア(10%)
  • ノーコンティニューでトマラン大会をクリア(10%)
  • ノーコンティニューでトマラナイト以外のアイテムを使わずにトマラン大会をクリア(10%)
  • トマラン大会をクリア時のキャラレベルが8(10%)
  • 大人のトマラン大会をクリア(10%)
  • ノーコンティニューで大人のトマラン大会をクリア(10%)
  • ノーコンティニューでトマラナイト以外のアイテムを使わずに大人のトマラン大会をクリア(10%)
  • ジャマーコントローラーを使わずジャマーキングに勝利(10%)
  • 青トマラナイトを入手(10%)
  • ピヨタンク乱入戦(爆弾鬼ごっこ)に2回とも勝利(10%) で100%となる。ノーコンティニューでトマラナイト以外のアイテムを使わずにトマラン大会をクリアすると自動的に通常クリアとノーコンティニュークリアも達成されたことになるので30%上がる計算になる。 ピヨタンク乱入が無いS-JAM夫とイソノは大会クリアで20%上がる
  • トマラン大会では最大レベル8まで上げることができるが、対戦ではレベル5までしか選択できない。
  • 一部バランスに難がある。
    • 隠しキャラクターであるイソノは基本速度、ダッシュ速度、ポールターン時の加速、ダウンからの復帰とこのゲームにおける重要パラメータがいずれも高い。また全ての武器が使用可能であり、後述のサンダーももちろん使用可能とスキがない。
    • 同じく隠しキャラであるピヨタンクは基本能力が最低クラスだが、あるアクションを行うことで常時ダッシュ状態で「走行」することが可能になる(バグなどではなく仕様のようである)。他キャラでも似たようなことは可能だがパワーゲージやポール・マットなどの用いての加速が必要なのに対し、ピヨタンクには一切制約がない。ただし常時ダッシュ状態の維持はやや運に左右され、特に起伏やカーブに富んだステージではダッシュ状態が解除されやすい。
    • 武器の一つであるサンダーは相手の位置に関わらず発動後必中という効果を持つ。パワーゲージ最大値の半分近くを使うもののゲージを回復するのはそれほど難しくないためこの武器を持っているキャラはそれだけで有利になる。
  • マップ上にあるアイテムやパワーゲージ回復アイテムなどは一か所につき一つしかなく、周回することでしか復活しないためとにかく先行が有利。

総評

バカゲーの類だが、「人間を操作するレースゲーム」というコンセプトを多彩なアクションを取り入れることでうまく表現している。
一作目ながらレースゲームとしてもアクションゲームとしてもほぼ完成されており、対戦プレイでも盛り上がれる良作である。


余談

  • 当時コロコロコミックなどに広告が掲載されていた。

激突トマラルク TOMARUNNER VS L'Arc~en~Ciel

【げきとつとまらるく とまらんなー ばーさす らるくあんしえる】

ジャンル 人間レースゲーム
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
発売日 2000年7月19日
定価 5,040円
廉価版 PS one Books:2001年12月6日/1,890円
判定 良作

概要(トマラルク)

後に、人気バンド「L'Arc~en~Ciel(ラルク アン シエル)」とコラボした『激突トマラルク』も発売された。
きっかけはボーカルのhydeがこのゲームを気に入ったことにより実現した*2コラボレーション。ゲーム内には“お手本”としてhydeによる「しらかべ城2」の最速プレイが収められた。
基本的なルールは前作と同様だが、ラルクのメンバーがメインのプレイヤーキャラクターとして参戦。また、ステージの雰囲気が全ておどろおどろしい物にアレンジされている。

BGMにもラルクの楽曲が数曲アレンジされて使用されている。
EDも取得したトマラナイトが多ければラルクのキャラクターたちが「虹」のコンサートを披露してくれる。
本編はラルクのメンバーがメインのため、トマランナーのキャラたちは対戦相手になっている。
「チームバトル」と「たいせん」のみ、トマランナーのキャラクターも使用できる。

トマランナーのマイナーチェンジ版に相当するものの、全ての要素が引き継がれているわけではなく、大会キャラ別EDが無い、トマランナーのみのキャラとステージが一部オミットされている、一部特殊能力の仕様変更などがされているなどの違いがある。前作にしかない要素もいくつかあるため注意。
ちなみに既にトマランナーのセーブデータがあると、トマラルクで特定のフラグを初めから立てることが出来たり、トマランダー先生が使用可能になったりなどの特典がある。

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最終更新:2021年07月02日 17:11

*1 微妙に飛距離が足りないため2つ目か3つ目で落ちてしまう

*2 hydeはこの他にもバグフィックスやロケテストなども担当するほど、本作に異様なまでの力を入れている。