悠久幻想曲 2nd Album
【ゆうきゅうげんそうきょくせかんどあるばむ】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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セガサターン プレイステーション
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発売元
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メディアワークス
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開発元
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スターライトマリー
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発売日
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【SS】1998年2月26日 【PS】1998年3月26日
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展開
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5,800円
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判定
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良作
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悠久幻想曲シリーズリンク
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概要
悠久幻想曲シリーズの第二弾。さらに遊びやすくなっている。
ストーリー
自警団の第三部隊は住民の苦情処理を請け負う部隊である。しかし人望のある前隊長の死や任務の有料化により住民からの感情は悪化し、さらに無料で同じ仕事を引き受ける公安維持局ができてしまい依頼は激減。やる気をなくした仲間は辞めたり他の部隊に移っていく。そんな中でもただ一人残り奮闘していた主人公は部隊の継続を団長に直訴した。有料になったからこそ、無料の公安維持局の評判が良くないからこそ自分達にできることがあるはずだと。結果として存続は認められた。ただし一年間の猶予という形で。その間の様子を見て必要と判断されれば部隊は存続、認められなければ解散。さらに団員は自分で探さなければならず、収入の一部は自警団に納めなければならないという条件付きだった。
厳しいが他に道はない。主人公は条件をのむことにした。まずは仲間集めからだ。
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舞台となるのは同じくエンフィールド。魔法ありきのファンタジーな世界観は健在。
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今作は自警団という半民間組織が中心となる。実質的には前作と同じ何でも屋であるが。
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今作もメインキャラは10人いる。
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うち5人が前作でサブキャラクターとして登場しており、5人が新キャラクターとなる。
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前作のメインキャラ10人はサブキャラとなって登場する。ただしシーラは留学している為オープニングととあるエンディングにしか出てこない。
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時系列は曖昧である。
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メインストーリーでは何者かが禁忌の実験に手を染めていた形跡がみつかったりエンフィールドに隠れていた裏の組織が顔をのぞかせるなど血なまぐさい話が絡んでくる。
システム
基本は仲間を選んで仕事に就かせその成果を見ていき日時によって発生するイベントをこなすことになる。
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まず仲の良い友人10人から3人を選び第三部隊の仕事を手伝ってもらうよう頼みに行く。以後はこの3人と一年間を共に過ごすことになる。
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友人の半分は司書や保母といった何らかの社会的役割を担っていたり学生だったりするためその場合は掛け持ちをしてもらうことになる。
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ちなみに他半分は
社会的地位がないか12~13歳の少年少女
である。
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何故か主人公の性別は
不明
となっている。もっとも女の「お兄ちゃん」はいないだろうが。
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選択できる依頼がいくつか提示されているので一人ないし複数をその仕事に割り振ると各キャラは一週間その仕事に就くことになる(仕事に就かせず休ませることも可能)。一日ごとの仕事の成果(=達成度)が累積されていき週末になった時点の値で仕事に対する評価が決まり報酬も増減する。この際報酬の数割は自警団に納めることになる。
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成果は能力による得手不得手により左右されるがランダム要素もある為ロードしてやり直してもよい。
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苦手な仕事に就かせたり仲が悪いキャラだけで組ませた場合は失敗しやすく能力も伸びず仲も悪化しやすい。そこで自信をつけさせたり能力を伸ばせるよう適切な仕事に就かせ成長させる必要が出てくる。
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仲間が仕事をしない日もある。やる気の低い状態で発生しやすく攻略本でははっきりとサボリと書かれている。ちなみに本業が理由で休むことはない。
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体力や感情といった仲間のパラメータがひどく悪化したら休日にフォローする必要も出てくる。
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祝祭日による休日は存在しない。
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月末には給与の支払いが発生する。デフォルトでは成果により自動で算出される額が表示されているが、これに色を付けることで仲間のやる気がアップする。逆に減らすことも可能だがその場合は仲間の感情が悪くなる。また、資金繰りを誤った場合は当然払える額も妥当な額より減るため仲間は怒る。
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仕事の中には双六も存在し、公安維持局と、場合によっては金に汚い行商人も交えて競争になりこれに勝利することが任務の成功になる。このイベントでは双六の勝敗のみが成果を左右する。
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ルーレットは直前の盤を引き継いでパワーメーターを加減して回す。明確な基準点はないが慣れれば感覚に頼った目押しが可能になる。
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チームが重なると戦闘になる。負けた方は一回休みになり手持ちのゴールドもいくらか盗られる。
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メインイベントは決まった日に発生する。
仲間キャラのイベントは決まった日時に発生するテーマイベントとトラブルイベントと誕生日、決まった月の休日に遊びにいくと発生する休日イベント、決まった日に仕事に就かせると発生する任務イベントがある。
重複により発生しないということはない。
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仲間となるキャラはそれぞれある種の問題を抱えており、3段階のテーマイベントを通じて彼らを理解していく。最初のテーマイベントではその人となりに触れ、二段階目では特有の問題が事件と共に示され、三段階目では二段階目を踏まえた事件が起きる。三段階目のイベントは2つ用意されており二段階目の選択肢によりどちらに行くかが決まる。三段階目が終了した時点ではひとまず落ち着くものの根本的な解決にまではいたらない。
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休日は休んだり仲間の所に遊びに行ったり有料で訓練をして能力を伸ばしたりできる。ただし仲間の感情パラメータの悪化が大きくなりすぎるとそちらを解決するための会話が最優先となりイベントも発生しなくなる。
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仲間の特徴的な情報もコンプリート対象でありテキストパートでそれが確認されると埋まっていく。
例) 納豆が嫌い、怪力である、血が苦手。
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仲間との信頼度は俗に言う好感度である。会話の選択肢や仕事を組むことで上昇していく。絆とは積み重ねた日々に信頼度がいくつあったかという総合ポイントである。絆が高いキャラがいるとそのうち一番高いキャラとのEDになる。
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キャラEDの対象となる仲間がいた場合、
そのキャラの抱える問題を解決するイベントが起こる→メインシナリオのラスト→EDムービー→キャラEDを迎えない仲間の後日談→EDを迎えたキャラとの後日談
となる。
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サブキャラクターであるクレアとのEDもある。なお今作ではライバルキャラクターのEDはない。
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仲間全員との絆が低いとヘキサとのキャラEDになる。
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キャラEDを迎えない仲間の後日談は3種類ありその時のステータスによって変わる。そのうちの一つには専用のCGがある。
評価点
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前作に続き友情をテーマにした作風
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全体的にゆったりとした雰囲気で各キャラや町の住民が抱えた問題を解決していく、ある種王道的なシナリオの雰囲気はそのまま引き継がれている。
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ギャルゲーとして分類されることも多いが、恋愛要素よりも友情要素重視なのも相変わらず。それもあり男主人公で攻略キャラに男性キャラもいるが、BL的要素はない。
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豊富なテキスト量。
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選択肢の多さと合わせて変化が広い。
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仲間にしたキャラ次第で台詞が追加される。
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ほぼシームレスな読み込みとスキップ。
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テキストに限らず仕事、移動、戦闘時の音声やアニメといったあらゆる演出がスキップできる。
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セーブデータのロードもセーブも速い。
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多くのテキストゲームではスキップする際にもそこに挿入されるべきキャラの絵が逐一表示されるが、このゲームでスキップするとテキストだけが流れていくため非常に速い。
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このシステムを持っているゲームは今でも少ない。他にも『メモリーズオフ』が似たようなスキップ機能を持っている。
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やり込み要素を持ったキャラメイキング。
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普通に進めていけば仲間は戦闘では主人公をサポートする二軍にしかなれない。有料の訓練で補ってやっても基礎能力に欠けるためたいして伸びない。しかし成長に係わるシステムを理解し適切な属性に導いてやることで強みを持った万能選手という一級品に育てることができる。
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音楽。
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各キャラごとにテーマ曲が作られており、キャラの雰囲気作りに一役買っている。
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繰り返しプレイに向いた作り
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仲間キャラを変えたり、育成を変えたり、各種選択肢をどう選ぶか等、繰り返し遊んでも楽しめる要素が多い。
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一周にかかる時間も短めで、色々試行錯誤もしやすい。
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容量を食わないセーブデータ
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PS版では1ブロックに3つセーブできる。さらに1ブロックを食うシステムデータの空きにも1つセーブできる。
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ギャラリーモードにはCGやイベントのコンプリート履歴、BGMの鑑賞、ボイスメッセージもある。
賛否両論点
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テキストが少しおとなしくなった
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前作のテキストパートはかなり"はっちゃけている"場面が多かったのだが、今作では全くない。
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相変わらずだがmoo氏の絵は人を選ぶ。
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下手と感じる人も多いが、この絵柄だからこそ悠久に合っていると感じるファンも多い。
問題点
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グラフィック面の問題点
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前作メインキャラは立ち絵が一種類しか無い。
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本作ではサブキャラなので仕方ないとも言えるが、やはり少々寂しい。
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CG(1枚絵)の枚数が少なめ。
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各キャラ終盤にならないと1枚絵のあるイベントがない。
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モブの絵が雑
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メインイベントのベストエンド条件がかなり難しい。
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各種メインイベントでかなりの数の選択肢を間違えずに選ばないといけない。
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キャラクター個別EDには影響しないが、方々で張られた伏線や謎の解き明かしが行われる為、一度も見る事が出来ないと謎が放置されて不完全燃焼のままになってしまう。
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メディアワークス発行の公式攻略本の記載も間違っていた為、こういう終わり方なのだと勘違いしてしまったプレイヤーも多い。
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キャラエンドの条件となる絆の累積やそれによるフラグ成立が目で確認できず、ゲーム中にこれらを調整するのが困難になっている。
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サブキャラクターであるクレアとのEDを迎える為には、特定の仲間の絆の累積が一定値以上一定値以下という特定の範囲内が条件となっており調整が難しい。
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前作は絆の累積に加え特定のイベントの成否も条件に入っていたため全キャラの絆を累積してプレイしてもイベントで調整できたので同時攻略も容易だったが、今作のキャラEDは絆の累積のみで判定されるので同時攻略が困難になった。
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このため特定のキャラEDを見たい時は必然的にゲーム開始時から特定キャラだけ集中的に絆を累積するプレイになってしまう。
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オープニングの絵の動きがカクカクしている。
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初見ではハードの不調を疑った人間も多い事だろう。走るシーンで特に目立つ。
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戦闘に関するパラメータが多いにもかかわらず、進め方によっては一度も戦闘せずにクリアできてしまう。
総評
ユーザーライクなシステム、それと融和したやり込み要素もあるアドベンチャーパート、萌えに傾倒しすぎない友情寄りでコミカルなテキストを併せ持っているゲーム。
前作の良さはそのままに遊びやすくした理想的な続編と言える。
その後の展開
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シリーズはファンディスクも含め本作以降も続いていった。
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ファンディスクで本作の舞台の外伝的な話が展開された。
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ナンバリングの続編である『3』は舞台を移し、関係性はほぼなくなった。
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各キャラのテーマ曲に担当声優による歌を付けたCDが発売された。
余談
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SS版とPS版ではOPとEDと一部シナリオがまるごと異なっている。
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片方の機種でしか発生しないイベントもあるがシステムデータのコンプリートには影響しないようになっている。
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CDドラマでは前作メインキャラも登場しちゃんと声がついている。
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セリーヌは間延びした話し方をするため声の収録には通常の2倍かかったそうである。
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PS版OPテーマの「永遠の親友」は後に人気声優となる田中理恵氏のデビュー作でもある。
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更なる余談だが、田中氏は当時青二塾生であり、「声優としてのデビュー作」は本作CDドラマのモブキャラであった。
最終更新:2024年04月15日 14:54