ワイルドアームズ

【わいるどあーむず】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 メディア・ビジョン
発売日 1996年12月20日
定価 5,800円
廉価版 PlayStation the Best:1997年11月20日/2,800円
PS one Books:2001年10月12日/1,800円
配信 ゲームアーカイブス:2007年7月26日/600円
判定 良作
ワイルドアームズシリーズリンク
SIEワールドワイド・スタジオ作品


概要

  • 口笛と荒野のRPG第1弾。正統派が不足していた当時のPSのRPG群の中、王道の見下ろし型RPGということで年末の目玉の1つとなっていたソフト。
  • 直後に『ファイナルファンタジーVII』の発売が控えており、ややその影に隠れる形になるも口コミで評判となりハーフミリオン近いセールスを記録。
  • 今は亡きザ・プレイステーションの読者投稿ランクでは、常に50位圏内をキープしていた唯一のPSソフトとなり、根強い人気を誇った。
  • 『FFVII』発売のまさに直前、SFC時代に1つの円熟期を誇った2Dドット絵RPG群の集大成を目指したかのような内容となっている。

特徴

  • ダンジョンの特徴や名称、敵キャラの位置づけ、シナリオの運び方、システム、シナリオ展開、隠し要素、世界観、あらゆるところにFC~SFC時代に名作と呼ばれたRPGの影響がそこかしこにみられる。
  • 戦闘はオーソドックスなコマンド入力型。
    • 悪く言うなら陳腐なのだが、余計な要素が少ない分だけ王道の安定感があり遊びやすい。
    • UIは上を押せば攻撃、横を押せばアイテム、下を押せばフォースアビリティといった具合。この操作法によりカーソル移動の手間が軽減されており、なおかつきちんとアイコンで明示されるため直感的にもわかりやすい。
  • フォースポイントシステムは、本作の戦闘面における数少ない独特な要素。
    • 攻撃する、攻撃を受ける、防御するなど様々な要因でフォースポイント(FP)が増加し、FPを消費して特殊な攻撃が可能となる。
    • FPの初期値はゼロで、戦闘ごとにリセットされる。最大値は100。
      魔法や技に使用する「MP」とは別枠の扱い。MPの方は一般的なRPGと同様、宿屋に宿泊することなどで補充され、戦闘終了後も引き継ぐ。
    • FP50のフォースアビリティは3人とも共通。装備しているプレートに対応したガーディアン(神様のようなもの)の力を借りるというもの。
    • FPが上昇するのに伴い、各パラメータも少しずつだけ上昇する。
      また最大値の100まで溜まると、該当キャラクターの頭上に「CONDITION GREEN!」の表記が発生し、戦闘不能を除くほとんどの不利な状態異常が解消される。
      このため、増えたはしから消費していくばかりではなく、あえて溜め込むという戦略も存在している。
      • ただし基本的には、フォースアビリティに変えてしまった方が有利に働く場面が多い。
  • シリーズの特徴となるグッズを使ったダンジョンの謎解き
    • ゼルダシリーズに近く、爆弾で壁等を爆破したり、フックを伸ばして崖を超えたりといった事をして進めていく。
  • 特徴的なダッシュ移動。
    • ゼルダシリーズの「ペガサスの靴」に近い仕様。
    • 移動中にダッシュボタンを押すとしばらくその場で軽く足踏みし、押し続ける事により一気にタタタと走り始める。
      ダッシュ中は快速なのだが、慣性がついてしまうためとっさの方向転換や制止がきかない。曲がろうとすると大きくぐるっと回ってしまうし、止まろうとしても少し余分に走り続ける。
      • 序盤にタイムトライアルサーキットがあり、タイムを縮めるには巧みに曲がるテクニックが必要。なおタイムが計測されるだけで景品などはない。
    • ロディのグッズ「ローラーダッシュ」は実質的なダッシュLv2。こちらは更に早くてオマケに敵とも遭遇しない代わり、制止もカーブもほぼ不可能。直線上に穴でもあったら回避の余地なく落下する。
  • メッセージウィンドウやコマンドアイコンを、任意でまるきり違うデザインへ変更できる。
    • ただし自力でドットを打って「描く」必要があるため、使いこなせたプレイヤーは少数派だろう。
  • 村にいるニワトリに対し「バクダン」などで攻撃できる。『ゼルダの伝説シリーズ』とは違い、逆襲はされないので安心。
    • とある村の村長にワイヤーフックを使うと 「はウッ!」 というメッセージが返ってくるという遊び要素も。
  • 放置してるとアイコンが飛び交うスクリーンセーバーが表示される

主要キャラ

  • ロディ
    • 「ARM」と呼ばれる様々な古代兵器を扱う。彼のみ特殊コマンドがMPではなく弾薬式で管理され、なおかつ全ての「ARM」が攻撃用の兵器であるという純アタッカー。
      • 「ARM」は技師にお金を払って威力・命中・最大弾数をそれぞれ強化改造できる。
      • 鈍足な代わりHPと守備力に優れ、仲間の中では最後まで立っていることが多い。
    • グッズは爆弾、アイテムレーダー、ダッシュ靴等。
      中盤まではバクダンによる破壊と、レーダーによる隠しアイテム探索のピンポイント起用になりがち。ローラーダッシュ獲得以降はダンジョンや街中での高速移動で活躍の場が増える。
      • ピンポイントで必要とされる場面のみ地味ながら着実な働きを見せる、というのが寡黙な彼のキャラクターにとてもマッチしている。
      • また、寡黙な事や、「ARM」が使える理由は物語の後半で明らかになり、そのシーンは多くのプレイヤーを唖然とさせた。
    • 固有のフォースは、ARMを命中率100%で使える消費FP25のロックオン、仲間をかばう消費FP75のディフェンサー、ARMを威力3倍・命中率100%で使える消費FP100のブーストアタック。
  • ザック
    • イベントなどでヒントを得ると、戦闘中に新たな剣技を閃くことが出来る。攻撃技がメインではあるが、盗みや治療といった小器用な技も覚える便利屋。
      • 技の消費MPはレアアイテムで減らしていくことができる。最終的に全て消費MP1にすることも可能。
    • グッズは離れたところの宝を回収できるカゼネズミや、ライター、ワイヤーフックといったいかにもな冒険者装備。ダンジョンの探索において幅広く活躍する。こと序盤は、彼を表示キャラとして踏破していく場面が多い。
      • 一人だけやや年長で遺跡荒らしに慣れたザックらしい役割。便利グッズの大半が冒険中に拾うアイテムであって初期装備じゃないとか、初期装備のカゼネズミは相棒であってザックが働いてるわけじゃないとかいったツッコミどころも含めて「彼らしい」。
    • 固有のフォースは、最速で行動できる消費FP25のアクセラレイター、能力が上昇してクリティカルやカウンターの発生率も高める消費FP75のソニックビジョン、2回コマンド選択できる消費FP100のダブルコマンド。
    • 余談だが、設定上は27歳となっているものの、 公式絵は最早40歳代じゃないかと思うほどに老け込んでいる。 リメイク版では年相応の絵柄になった。
  • セシリア
    • 攻撃から回復・補助効果まで幅広い魔法を使える。
      • 魔法は簡易魔法陣であるカード「クレストグラフ」へ書きこむことで習得し使い分ける。各地のマジックギルドでいつでも書き換えることが可能。持ち歩ける魔法の種類は所持カード枚数で限られる。(全16x白黒x2段階=64種で最終的には64枚入手可能)
      • 魔法の名前は、プレイヤーが任意に変更することができる。自分で効果を把握しやすい名前に変えたり、あえてネタに走るといった遊び方も。ただしモンスターが使う魔法の名前も一緒に変わってしまうため、あまりおかしな名前をつけると雰囲気がぶち壊しになる。
    • グッズはもっぱらイベントアイテム。物語上の要所要所で印象的に使われる。他にはパズル的な仕掛けをリセットし、今いるエリアへ入ってきたときの初期状態へと戻す懐中時計なんてユニークなものも。
      • 普段の移動や探索を後押しするようなグッズは持たず、パズルを解くため活躍するような機会も少ない。その代わりに大掛かりなギミックを動かすことが多く、物語の進行上でしばしば重要な働きを見せる。またリセット時計は地味に便利。
    • 固有のフォースは、消費アイテムの効果を全体化したり防具アイテムから魔法の効果を引き出せる消費FP25のミスティック、装備しているガーディアンプレートから消費FP50版より強力な技を引き出す消費FP75のハイ・マテリアル、2回魔法を選択できる消費FP100のデュアルキャスト。
  • カゼネズミのハンペン
    • ザックの相棒。システム上はパーティーキャラでないのだが、イベント中は独立した一キャラとして枠が確保されるためここに紹介しておく。
      戦闘にこそ参加しないものの、実質的な第四の主要メンバーとして存在感を発揮する。
    • ザックが覚える剣技の中には、ハンペンが敵からアイテムを盗む技もある。戦闘中における唯一の出番。
    • 当然ながらグッズは持たない。というか彼がザックのグッズ扱い。

評価点

  • 世界観はうまくまとめられている。
    • 要素が多くともすれば散漫になってしまいがちな特徴を西部劇風の世界観と3人の主人公の背景を掘り下げることで1本芯の通ったRPGとしてまとめた手腕は見事。
    • 敵キャラも個性豊か。特に『ゼット』というキャラは、敵キャラでありながらも作中での様々な行動からプレイヤーの心をガッシリと掴んだ。
  • 世界観に彩りを添える「なるけみちこ」の音楽も好評価
    • 西部劇テイストをうまくRPGの音楽として掘り起こしており、後に続くシリーズでも人気の要素の一つ。
  • 戦闘で三者三様の役割がしっかり割り振られており、コマンド選択型の魅力を追求した戦闘システムとなっている。
    • とくにボス戦では各人の特徴をしっかり掴んだ上で戦略をたてないと撃破が難しいボスも多く、逆に雑魚戦はそれほど詰まることもなくサクサク進めるバランスになっている。
  • グッズを使った謎解きは程よいアクセントを生みプレイヤーに解く喜びを提供している。
    • グッズの配分も3人の性質を良くあらわしており、「協力して冒険している」気分を実感できる。
  • 隠し要素が非常に多く、やりこみがいがある。
    • 終盤になると様々なサブイベントが発生する為、本編そっちのけで隠し要素を攻略するプレイヤーが多発した。隠しダンジョン「ABYSS」もこの1作目から既に登場している。
  • 自由度の高さ
    • 本作は自由度が高く船を手に入れた後は行ける場所がかなり多くなるため世界の広がりを感じる事が出来る。
  • 当時のPSのゲームの中ではロードがかなり早く、テンポが良い。
    • 一度建物に入ってしまえば、戦闘突入時を除いて 移動中は一切ロードが無い
  • バトルのインターフェースが使いやすい。
    • 現代で言うところの、スマートフォンの「フリック入力」に近い仕様。直感的で分かりやすく、かつ入力の階層が少なく素早い入力ができるため、テンポも良い。
  • 口笛調のメロディを乗せたOPアニメが極めて美麗。
    • アニメの美しさだけに限って言うなら、シリーズ中でトップという声も多い。
      • ゲーム情報誌の付録CDやCM等でも使用されていたため、このアニメに惹かれ購入を決めたプレイヤーも多かっただろう。
    • ただし中盤に登場している少女については、誰だか理解できないプレイヤーが圧倒的に多数だったと思われる。セシリアと誤解した人も多かったろうが、実は花売りの少女マリエルであるとのこと。もっとも彼女の外見に関しては、このアニメを除くと作中のチビキャラのみしか情報源がない。識別できようはずがなかった。
+ OPムービー

http://www.youtube.com/watch?v=FNFcDHq6T4Q

  • セーブデータの管理システムが地味に優秀。
    • 必要十分な一通りの機能が揃っていてかつ動作も早い。メモリーカードの中身を操作するのにとても快適。
    • 本作以外のソフトのセーブデータも管理できる。PS本体の管理画面よりも使いやすいと好評だった。

賛否両論点

  • ザックのFP75消費のフォースアビリティである「ソニックビジョン」が強すぎる。
    • 習得が早めで中盤から猛威を振るう。
    • ソニックビジョンの効果は使用したターンのみザックのSTR・VIT・RESを3倍にし、回避率・反撃率・クリティカル率を100%にした上で通常攻撃を行うというものだが、攻撃が必ずクリティカルになるため実際のダメージは通常攻撃の3倍以上であり習得時点のロディのARM攻撃と比べても2倍以上のダメージ。また攻撃を受ければ必ず反撃を行うため、その場合も同じだけダメージを加算する事ができるためバランスブレイカースレスレの強さである。
    • これだけ強力なアビリティであるためFPを75も消費するのだが、反撃によりある程度FPを回復する事が出来るため運が良ければ短い間隔で再使用が可能である。
    • ただし後半になってくると、他の攻撃手段でもわりと容易に9999ダメージを叩き出せるバランスで、ザックのFP100消費は2回行動選択可能なダブルコマンドなので、これだけが突出した性能でもない。
      • 戦闘で強過ぎる要素が他にも多いとも言える。
  • それに対してロディのフォースコマンドは、「ブーストアタック」以外は微妙。
    • 後半になるまで、FPの使い道が他にないから「ロックオン」経由でARMを撃っておく、程度の使用感になることが多い。
      • そもそも仲間二人の魔法や技は、ダメージを与えるタイプのものならデフォルトで命中率が100%。「ロックオン」か「ブーストアタック」しないと外れることがある、という時点でARMコマンド自体にも不遇な印象が漂う。その代わり弾数制なので、冒険を進め所持ARMの種類が増えてくると、他の二人より気軽にばら撒けるようになるのではあるが。
    • ロディは魔力が極端に低いため、唯一の共通フォース「マテリアル(FP50)」も使い勝手が悪い。足が遅いことも重なって、これを有効に使える場面がほとんどない。
  • セシリアのクレストグラフ管理が悩ましい。
    • 序盤から大量の魔法が好きに選べる都合上、取捨選択がかなり難しい。手持ちのクレストグラフが少ない序盤は特に、どの魔法を選択したかが難易度へ直結してくる。
    • 本作では多くの属性の攻撃魔法を覚えられるが、これから行く場所でどんな魔物が出てくるのかは、推測できる要素がほとんどない。
      • またそもそも、どんな魔物にどんな魔法が有効なのかも、明確なヒントには欠ける。一応、白魔法「アナライズ」で弱点の判別はできるが、個々に確認の手間がかかるうえ、ボスには実質的に無効化される*1
        町に戻るまでクレストを書き換えられないこともあり、利便性はさほど高くない。また「アナライズ」そのものが習得枠を圧迫する。
      • 属性が多い割には冷気属性が存在せず、そのくせ「フリーズ」という冷却タイプの攻撃魔法は存在する。これが「水属性」に分類されているせいで、「植物を冷却したら回復された」という、まったく直感的ではない相性も発生している。なお、水属性が存在するのに、水そのもので攻撃する魔法は存在しない。
    • このため、どの属性の攻撃魔法を覚えさせるかが、ほとんど運試しに近い。非力なセシリアは雑魚戦でも積極的に魔法でダメージを稼ぐ必要があり、攻撃魔法は必携に近いのだが。
      • 実は初期習得している「フレイム」の有効な敵が序盤は非常に多く、無効化されるようなことも少ないのだが、これを分解し別の魔法に変えてしまうと苦労しがち。
    • 「ヒール」の有用性が非常に高く、初期から最後までほぼ必須級。初期習得なので縛りプレイでもない限りまずやらないだろうが、こちらは分解すると確実に苦労する。
      セシリアはヒールが使える前提でゲーム設計されている節があり、これを失うと戦闘が辛くなることに加え、冒険の快適性も大きく下がる。
    • 補助魔法の選択肢も非常に広いが、どの魔法がどのような効果を持つのか、簡単にしか説明されていない。実際に作って、そのうえで何度も使い試していかないと、効果のほどを把握しづらい魔法が多い。
      • 役立つ場面がわかりにくいが特定の局面でのみ異様に有効な魔法だとか、一見すると有用そうな説明なのに大して役に立たない魔法などもあるため、外部の情報を参照しないと取捨選択が困難。面倒くさいから補助魔法は捨てる、という判断をしたプレイヤーも多いだろう。
      • 補助魔法に関しては持続時間にもばらつきがあり、数ターンで消えてしまうものから、戦闘不能または戦闘終了まで続くものまであるというのも厄介。
        この持続時間についてゲーム内には何の情報もなく、本作では発生している補助効果を示すような目印や、効果が切れたというアナウンスすらない。
    • これらを悩み、試行錯誤すること自体が楽しい、という考え方もできなくはないが。
      • とりあえず「ヒール」と、いくつかの攻撃魔法を覚えてさえいれば、最低限の働きはしてくれる。裏を返せば、この組み合わせを外してしまうと活躍しづらい。戦闘メンバーが三人しかいない都合上、セシリアが役目を持てないとゲーム自体の難易度も上がってしまう。
  • 運を上げることで性能が上がりまくる連続攻撃技。
    • ロディの「ツインデバイス」とザックの「スラッシュレイヴ」が該当。
    • 最大で10回攻撃(ダメージは一括なので最大9999ダメージ)するというもので、運が高いと回数が増えやすい。
      • ただし確率の問題なので不確実。
    • 運は宿に泊まったりレベルアップした際、数段階の中でランダムに変動する。しかし運を高める消費アイテムは序盤は2ギャラで売られているので99個まで買い溜めておけるし後半になるとタダで何個でも貰えるので、運を常に最大にしておける。
  • ダッシュの仕様が特徴的で楽しい一方、移動手段としては不便で使いにくい。
    • 最初に溜めが発生するせいで短い距離の移動では逆に遅くなったり、直進しかできないため障害物の多い場所ではほとんど使えなかったりする。
  • 最序盤で3人の仲間が合流してからは、新たな仲間と出会うことが無い
    • 仲間が少ない分、3人の仲間はそれぞれシステム面の作り込みもストーリー面の背景描写も細かく、それぞれに強い個性と魅力を感じるのだが、仲間が3人だけというのは当時のRPGとしてもかなり少なく、やや寂しさを感じる。

問題点

  • 戦闘シーンは見下ろし型RPGとしては初のフルポリゴンを実現している。これがこのゲームが発売当時、最も売りにしていた点だったが、皮肉なことに過渡期のカクカクしたポリゴンのため当時でも結構雑に見えた。まだドット絵で表現した方がよかったのでは?と言う印象を残す。
    • 一方で戦闘突入時のアクセスの速さや光と影を効果的につかった(PSならではの)演出などは評価できる。
    • プレイヤーキャラの戦闘グラフィックは低頭身だがドット絵のキャラクターをそのまま立体的に起こしたものとして解釈するとさほど違和感を覚えなくもなる(?)。
  • 戦闘がオーソドックスなコマンド選択型で目新しい要素がなく、キャラの育成要素もドーピングとレベルアップのみで少々物足りない。
  • 戦闘のCGアニメーションが長く、テンポがやや悪い。
    • ただし、本作がRPG初の3D戦闘を取り入れた作品である事を考えると仕方が無いとも言える。
    • また前述の通り、快適なUIのお陰で入力のテンポはとても良い。
  • 終盤、特にラストダンジョン突入時が少々さびしい。
    • サブキャラとの絡みが終盤に差し掛かるとほとんどなくなり、主人公たち3人だけがひっそりとラストダンジョンへ突入したかのような印象を受ける*2
      • ライバルキャラ的な敵との戦闘およびここは任せて先に行け展開はある。
      • サブキャラたちの協力で飛行機を製造、その過程で船が沈没してしまい、終盤は主人公たちは世界唯一の飛行機で世界を高速で飛び回っているのに対してサブキャラたちの使える乗り物は小型ボートという状況ではある*3
  • 初期生産版ではロディのワイルドバンチというARMを使うと高確率でフリーズする(ベスト版では解消されている)。
    • この不具合はARMの命中率を100%にするフォースアビリティ「ロックオン」か命中率100%に加えてダメージを3倍にする「ブーストアタック」を併用すれば回避可能である。
    • 入手が遅く命中率が低いので「ロックオン」「ブーストアタック」と併用でないとあまり使う気になれない、これより低威力のARM「バニシングレイ」でも3倍なら9999ダメージに到達するなど、素のまま使用する機会や改造する必要性が低い技なのが不幸中の幸いだろうか?
  • 一部の状態異常攻撃が凶悪でハマリ要素を含む。
    • 治療そのものは安価な回復アイテムで容易にできるが、戦闘メンバーが三人しかいない都合上、治療のために一人の手を割くだけでも負担は大きい。
      • こと「行動不能になる」タイプの状態異常を誰か一人でも受けると、治療役と合わせて二人の行動が縛られるため、動けるのは一人きりになってしまう。しかも、これが複数人にかかるケースすらある。
    • 例えば本作の「睡眠」はかなり凶悪で、ターン経過によってしか自然治癒せず、治るまでずっと行動不能。しかも起きるかどうかがランダム判定の運次第なため、運が悪いと延々ずっと眠り続ける。(※一応、時間が経過するほど起きやすくはなる)
    • ステータス異常はモーニングコールやステータスロックといった魔法で予防できるが、魔法にはクレストグラフの枚数という制限があるので、必要な時に所持しているとは限らない。
      • モーニングコールは治療も兼ねているうえ永続するが、対策できるのは睡眠のみという超ピンポイント。ステータスロックは上位魔法なので後半まで解禁されず、持続時間が非常に短いという難点も持つ。
    • いわゆるアクセサリー枠の「左手装備」でも対策はできるが、これまたピンポイントなうえ入手しづらいものも多い。
  • 移動中の地形に視認し辛い部分がある。
    • いわゆる『倉庫番』タイプのパズルがあるのに、奥行きが分かりにくいため、一部の謎解きが必要以上に難解になっている。
  • 序盤~中盤にかけてワールドマップの移動が少々不便。
    • 大抵のRPGでは序盤で使えるようになる「好きな街・村に転移出来るようになる魔法」が作成可能になるのが本作では中盤以降と遅めである。
  • 一部ダンジョンでの移動が不自由。
    • ザックの「ワイヤーフック」を杭などに当てて移動する場面が多く見られるのだが、これを斜め方向の目標へ当てるのが非常に難しい。
      • そもそもPSの十字キーが斜め入力に向いていないことに加えて、本作ではボタンをちょい押ししても、キャラがぬるっと歩いてしまう。このため向きの微調整がとても困難。
        上下左右と違い、斜め先の目標へ軸を合わせる行為は元々難しいというのに、操作の不自由さまでが難易度を底上げしている。
      • その場で向きだけを変える操作は一応、存在してはいるのだが。ただしこの操作は分かりにくいため忘却されがちなうえ、使い勝手もあまりよくない。これを併用しても結局は操作ミスのリスクが残る。
      • にもかかわらず、「ワイヤーフック」の斜め移動が要求される場面は、決まって崖やら床の端っこ。移動ミスすると高確率で足を踏み外し、奈落の底へ真っ逆さま。
      • 幸いにして落ちても物理的なペナルティはほぼないのだが、エリアの入り口まで戻されて移動がやり直しになってしまう。
        ワイヤー移動は連続して要求される場面が多く、何度も最初からやり直しになるとストレスがたまる。大半の使用シーンでは、モンスターとのエンカウントも普通に存在するため、なおのこと。
        また極度に不器用なプレイヤーの場合、ワイヤー移動ができないという一点だけで、攻略を諦めることにすらなりかねない。
      • 「カゼネズミ」も挙動は「ワイヤーフック」とほぼ同じなのだが、こちらは失敗しても、奈落へ落ちたりしない場所での使用が大半。このため、すぐにその場でやり直せることが多い。斜めへ飛ばす機会も少ないので、「ワイヤーフック」のようなストレスにつながることはほとんどない。
    • 2種類のグッズを交互に使用するような場面がよく見られるが、本作ではグッズが1つずつしかセットできず、ゼルダの伝説シリーズの様に複数のグッズをセットすることができないため、いちいち持ち変えるのが面倒。
      • 本作ではL2・R2ボタンを使用する場面がないので、せっかくならこうしたボタンにもグッズをセットできるようにしてほしかったところ。
  • 隠しダンジョン『ABYSS』に入ってからのとあるギミックがノーヒント。
    • 暗闇の中、複数あるスイッチをオンオフして、正解にしないといけないのだが、ゲーム中にはなんらヒントがない。
    • 実は、とあるグッズを使う事で正解が判明するのだが、そのグッズはこれまでの冒険ではクリアに必須なものではなかった為、気づけないプレイヤーも多かった。
    • 攻略本のスタッフインタビューでも、それについて触れている。

総評

2Dテイストの古き良きRPGの集大成のような作風で、王道ながらもオリジナリティあふれる魅力的な内容。
多くのファンが生まれ、現在まで続くシリーズの原点となった。


その後の展開

  • 次回作である『ワイルドアームズ 2nd IGNITION』はこの作品から大幅に雰囲気が変わってしまったことやモッサリなテンポ、大味なゲームバランスなどから当初は賛否があった。
  • 後にPS2でリメイクである『ワイルドアームズ アルターコード:F』が発売された。
    • ストーリーの補完、豊富な隠し要素、強化された演出、膨大なやり込み要素に加え相変わらず評価の高いなるけみちこ氏の音楽と全体的に良好なリメイクなのだが、少々粗いグラフィックがイベントでドアップにされてしまったり、片面2層方式の読み込み不具合等の問題も発生してしまっている。

余談

  • ファイナルファンタジーVII』の発売延期に、もっとも救われたソフトとも言われる。
    • あちらが当初の予定通り同じ12月に発売されていたら、こちらは外見的な見劣りが著しいため、実際よりも売り上げが大きく落ち込んでいたと思われる。
    • 逆に同月のはずの『FFVII』が延期されたからこそ、RPG熱の高まっていたユーザーを好条件で呼び込む結果となったという、それこそ『ファイナルファンタジー(初代)』のような結果となった。
  • 本作をPS2でプレイすると通常の場面でも稀にフリーズすることがあるため、こまめなセーブが必要。
  • メイン製作スタッフはPCE『天使の詩』『天使の詩2 ~堕天使の選択~』SFC『天使の詩 ~白き翼の祈り~』を手がけた人達であり、「魔剣ルシエド」「仙草アルニム」「1ギミルコイン」といったキーワードにその名残を見出すことができる。
  • 攻略本の開発者コメントでは、スタッフが一部メインキャラの人格面について、かなり辛辣な表現でこき下ろしている。また悪役や小物キャラについてばかり、やけに称賛されている。
    • 屈折した愛ゆえの表現と取れないこともないのだが、ファンとしてはかなりショックを受ける記述だろう。
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最終更新:2024年03月29日 22:44

*1 表示はされるが「??」で隠されていて何も分からない。

*2 リメイク版の『アルターコード:F』では、解消されている

*3 後に船の新造もされるが、プレイヤーが街の復興資金を寄付していく上で発生するためメインシナリオ上の出来事ではない。