星のカービィ 20周年スペシャルコレクション

【ほしのかーびぃ にじっしゅうねんすぺしゃるこれくしょん】

ジャンル アクション
対応機種 Wii
発売元 任天堂
開発元 ハル研究所
発売日 2012年7月19日
定価 3,800円(税別)
判定 良作
ポイント 新規もファンも大満足のオムニバスソフト
星のカービィシリーズリンク


概要

2012年に星のカービィシリーズが20周年を迎えたことを記念して行われた、「星のカービィ20周年キャンペーン」の中核として発売されたコレクションソフト。
ソフト単体ではなく、特典としてブックレットやシリーズのBGMを厳選収録した音楽CDも付属する。これは本シリーズにおいて初の試みである。
ゲーム自体の位置づけとしては『スーパーマリオコレクション スペシャルパック』に近いが、こちらは+αで新規収録のゲームが存在する(後述)。

内容

本ゲームでは以下の3つのコンテンツに分かれている。

  • 星のカービィコレクション
    • これまで発売された過去ソフトの中から厳選して、以下の6本をバーチャルコンソール収録している。いずれもカービィシリーズにおいて名作と評された「本編*1」作品である。
    • 基本的に内容は原作に忠実で、『星のカービィ64』以外はVC版と同じく中断機能もついている。
      • ただし、強いフラッシュ表現(いわゆるパカパカ)のある場面は、スローモーションをかけたりエフェクトの変更で軽減されている*2
    • また、全てのゲームでWiiリモコン単体でプレイ可能という最大の特徴がある*3。2人以上のプレイ時も、人数分あればOK。
    • テレビ画面がワイド表示(16:9)の場合、ゲーム画面の左右に専用フレームが表示される。こちらはコマンド入力で黒枠にすることも可能。
  • もっとチャレンジステージ
    • 前作『星のカービィ Wii』のサブゲーム「チャレンジステージ」の出張版。
    • 原典同様、ステージごとに特定のコピー能力でスコアを競う形式である。スコアによって評価がブロンズ、シルバー、ゴールドの順に良くなるが、前作にもあった更に上のプラチナ評価も存在する。
    • 今回は最大3つのレベルに大きく分けられており、各コースは全て一から新規に設計されている。
      • ステージ毎とは別に、全ステージ合計のトータルスコアも集計される。
    • また、各レベルにはコピー能力のおためし部屋があり、前作でもお世話(?)になった謎の練習用敵キャラ「サンドバッグさん*4」を相手にコピー能力の練習ができる。恐らく前作を未プレイのユーザーに対する配慮と思われる。
    • 前作には無かったジャンルとして、敵とひたすら戦い抜く「~デスマッチ」、レベルの最後にマホロアと競争するレース形式の「VS.マホロア」が登場。
      • このうち後者は、そのレベル内に登場する全てのコピー能力で挑戦可能*5。マホロアより先にゴールする傍ら、道中で敵を倒したりコインに触れてスコアを稼がないとならないので難易度は高め。
    • このモードではなんと『星のカービィ 鏡の大迷宮』の「スマブラ」能力が復活しており、ファンの間で話題になった。
  • 星のカービィヒストリー
    • これまでの星のカービィ20年の歴史を綴ったコンテンツ。博物館のような雰囲気の廊下にこれまでの作品が展示されており、それらを選択していく形となる。
    • 発売ソフト、テレビアニメ版はおろか、漫画版(ひかわ博一氏の『星のカービィ デデデでプププなものがたり』、さくま良子氏の『星のカービィ』、谷口あさみ氏の『星のカービィ! も~れつプププアワー!』)のコミックス、アニメ版から派生したメダルゲームや3D映像作品までキッチリ網羅している。
      • ソフトはパッケージ(の3Dモデル)を観賞したり、実際のプレイ映像を視聴できる。ゲームの場合、それが本作に収録された作品であればそのままプレイすることも可能。
      • テレビアニメ版はこれまた原作より厳選された第1、60、72話が収録されている*6
      • 漫画版は各コミックス1巻の初掲載分(第1話)を丸ごと閲覧可能。
    • ちなみに最後に展示されているのは本ソフトそれ自身。ここから全作品の資料を閲覧できる。

評価点

  • 価格以上のボリューム
    • Wiiリモコンだけで全ての収録作品がプレイ可能なので、VC版と違いクラシックコントローラ等が必須になることはない。
    • 収録作品は既にVCで配信されたものばかりだが、すべてダウンロード購入する場合と本作の値段を比較すると後者が100~200円ほど安い。加えてクラシックコントローラの購入費用も含めると、本作を購入した方が金銭的にもお得なのである。
      • すでにコントローラを持っていればそれも使用可能。
      • また、GBの作品はWiiおよびWiiU向けのVCとしては配信されておらず、テレビで遊ぶには本作かSGBかGBPを使用したオリジナルで遊ぶしかなかった。
    • 前作『カービィWii』のシステムを元にした「もっとチャレンジステージ」もコントローラが使用できる。(前作はリモコンのみ)
    • ボタン配置も基本操作は全作品が統一されている。
  • もっとチャレンジステージの完成度の高さ。
    • 全て新規コースであることに加え、各コピー能力の特徴を最大限に発揮できるような設計が組まれており、クリアするだけのプレイでも十分楽しめる。
    • もちろん、ハイスコアを狙うとなれば結構な難易度になり、歯応えがある。特に最高評価のプラチナを得るためには相当な努力を要する。
      • 隠し部屋を探すのにもやや苦労する。
    • 前作にもあった隠し部屋は健在。ハイスコアにも直接繋がるので、これを探してみるのもまた楽しみの一つか。
  • あつめて!カービィ』『カービィWii』に引き続き、本作でもファンサービスは健在。
    • そもそも本作自体が(ゲームのコンセプト上)ファンサービスの塊のようなものだが、更に盤石とするかのように良質なサービスに遊び心がちりばめられている。
    • もっとチャレンジステージでは、レベルエントランスなど様々な所に懐かしいBGMが使われており、知る人はニヤリとする事だろう。
      • エンディングの音楽は初代EDのアレンジ。最後の演出と相まって、往年のファンには感涙モノである。
      • また、一部のステージでは最早おなじみの「HAL部屋」も隠し部屋として登場する。
    • 星のカービィヒストリーのデフォルトで流れるBGMは、初代で流れた「キャッスルロロロ」のアレンジである。
  • 同梱の音楽CDや、未公開資料を掲載したブックレットもマニアの心をくすぐる素敵な一品と言える。

賛否両論点

  • アクションゲームの本編だけでなく、『カービィのピンボール』『カービィのエアライド』等の番外作品も少しは収録して欲しかったという不満の声もある。
    • もっとも、新作(もっとチャレンジステージ)にアニメ3話分+αと、 Wiiのソフトとしては容量的にかなり無理をしている面 があるので仕方ない側面はある。
      • スマブラX』のような2層式ディスクであれば更に入る可能性はあるが、3800円と言う本作の価格を考えるとコスト面で釣り合わない可能性も出てくるので、どちらにせよ難しかったのだろう。
  • 星のカービィヒストリーは玩具(ウォーターゲーム)やタイアップ食品(ふりかけなど)までは紹介されていない。
    • 初代から20周年キャンペーン以前の間でも大量にグッズが存在するのでこれも無理があったかもしれないが、コアなカービィファンが物足りなく思うのも然りである。
  • 本作の数少ない新作要素やスマブラ復活という事もあり、スコアアタック形式でない普通の『星のカービィ』として、もっとチャレンジステージを遊びたかったというプレイヤーは少なくない。
    • 逆に「あくまでおまけと考えれば、妥当な内容」だと納得する意見もある。
  • アニメ版の収録エピソードに関して、他にも(色々な意味で)人気のエピソードが多いだけに、それらが無いことを悔やむ声も無くはない。
    • ただ、そういったエピソードは総じて風刺・パロディネタ等がメインで盛り込まれたカオスな内容となっており、仮に収録されていたとしても、アニメ版初視聴のプレイヤーに雰囲気や世界観が伝わるかどうかとは別問題である。
      • また、容量を考えるととても収録は無理があったと思われる。ただし、その場合は値上げしたり、本作やCDとは個別にDVDを付ける事は出来たかもしれないが…
    • ちなみに収録されているエピソードは、60話は物語の本筋に関わるストーリーとバトルがメインのシリアス回。72話がギャグ、風刺、パロディがメインの所謂カオス回であり、それぞれ近年メインキャラを張っていたメタナイトとワドルディの主役回でもある(カービィとデデデはレギュラー)。また、72話はアニメのOP・EDが変更された最初の回でもある。
      • この事から、アニメ版の魅力を正しく且つバランス良く伝える上では適切なチョイスと考えることもできる。

難点

  • 『マリオコレクション』と違い、ゲーム選択画面に戻るにはその都度中断機能を使う必要があり、少々煩わしい。
  • 『星のカービィ2』はオリジナル版はスーパーゲームボーイに対応しており、カラー画面と専用ピクチャーフレームで遊べたのだが、本作は白黒画面となっている。
    • 他にもゲームボーイタイトルは上記のSGBやGBカラーのように画面パレットを変更するとは出来ず、薄緑色で固定になる。
    • また3DSのバーチャルコンソール版のようにドットをくっきり表示させるような画面設定もない。そのためフィルタのぼかしにより表示範囲が伸びてしまい上下左右が1ドットほど見切れている。

総評

星のカービィという一大シリーズの人気を支えてきた名作達の収録、やり応えのあるスコアアタック、20年の歴史を振り返る資料、そして忘れてはならないテレビアニメ版の厳選収録…と、どこまでもファン心をくすぐる要素が凝縮されている。
ヘビーなファンにはちょっと物足りない所もあるが、コレクションソフトとしては間違いなく合格点。
長年カービィと共に歩んできた人にも、これから星のカービィに触れる人にも是非オススメの一作である。

その後の展開

  • 本作の発売後しばらくして、星のカービィシリーズのメモリアルブック「プププ大全」が刊行された。
    • こちらも負けじと濃密な内容。ほぼ全ての店頭広告ポスターや公式イラスト、更には未公開の開発資料を掲載しており、テレビアニメ版も厳選した設定画を紹介しながら全100話のあらすじをダイジェストで振り返っている。
    • 漫画版は前述のひかわ・さくま・谷口版がしっかり紹介されており、作者らによる20周年お祝いメッセージも書き下ろしイラスト付きで載っている*7
  • 概要で述べたとおり「星のカービィ20周年キャンペーン」の一環として発売された本作だが、キャンペーン中は公式・外部を問わずカービィグッズが多く発売されていた。その後も勢いは留まる事を知らず、2014年には『星のカービィ トリプルデラックス』の影響もあってか年中通して大量にグッズが登場した。
+ タグ編集
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  • 星のカービィ
  • 2012年

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最終更新:2023年04月06日 19:48

*1 星のカービィ作品では横スクロールACTのものがおおむね本編と呼ばれ、ACTでなかったりカービィの定義に当てはまらないものは番外編に分けられる。

*2 そのせいかスーパーデラックスだけは、他のゲームと比較して画面の明度が若干暗めになっている。とはいっても実際のプレイではあまり気にならない程度だが。

*3 クラシックコントローラとゲームキューブ用コントローラも使用可。これは後述のもっとチャレンジステージでも共通。

*4 見た目は『星のカービィ 鏡の大迷宮』の敵キャラであるガレブと似た容姿だが、一切動かないし反撃もしないただの的。恐らくスマブラシリーズのサブゲームに登場する「サンドバッグくん」のセルフパロディに近い。

*5 例外としてレベル3のみ、そのレベルにはないコピー能力もすべて選択できる。

*6 OP、EDもまるまる収録済み。

*7 ひかわ博一氏だけは発売当時は絶筆していた関係で、過去の単行本表紙を使いまわしたものになっている。