NORTH&SOUTH わくわく南北戦争
【のーすあんどさうす わくわくなんぼくせんそう】
ジャンル
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SLG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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2Mbit+64kRAMROMカートリッジ
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発売・開発元
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ケムコ(コトブキシステム)
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発売日
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1990年9月21日
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価格
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6,200円
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判定
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クソゲー
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ポイント
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不謹慎すぎる そして肝心の中身の出来も酷すぎる
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概要
Infogrames社のPC(AMIGA、Commodore64、AtariSTなど)向けSLG『NORTH&SOUTH』の移植作品。
非常に珍しい、アメリカの南北戦争を扱ったウォーシミュレーション。
アメリカ史を題材としたベルギーのバンド・デシネ(漫画)『Les Tuniques Bleues』を原作としている。
プレイヤーの目的は南北アメリカの統一であり、敵対する南(北)軍を撃滅しながら州を制圧していく。
いわば日本語に訳したファミコン移植だが、海外NES版(もちろん英語)の移植もケムコ現地法人が行なっている。
問題点
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戦闘関連が最悪
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マップ上での戦闘は、大砲・騎兵・歩兵の各ユニットをリアルタイムで操作していくのだが、これらの使い勝手がすこぶる悪い。
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大砲は上下にしか動けないため、進行不可。ただ撃つだけ。騎兵は移動は早いがそれだけで、武器は剣。歩兵は銃で広範囲を攻撃できるがすぐに死ぬ。
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騎兵は完全に的扱いで、歩兵の前でバタバタ数を減らされてしまう。
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河川と岩場は見た目以外同じ扱い。どちらも橋か周囲の細い道を通っていかなければ移動できない。
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そしてCPUが非常に頭が悪い。自分の大砲で橋を落としておきながら騎兵を行かせて転落死させるなど日常茶飯事。そのせいで勝っても楽しくない。
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Bボタンで操作を切り替えてAボタンでアクション、という操作なのだが、操作していないユニットはそのまま進んでいく。騎兵は気がつけば落ちていたりする。
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また砦での戦いは、武器が素手かナイフ(投げると無くなる)に固定される。目的がゴールへの到達とはいえ、敵を無視していけるわけでもない。
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不謹慎な表現もチラホラある。
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ランダムイベントを起こす「災害」という要素があるのだが、その中に「インディアン」「メキシコ人」が入っている。彼らは人ではなく災害扱いである。
敵の援軍も同じ扱いではあるが、何も災害呼ばわりされるいわれはない。よくて「人災」というべきだろう。戦争や大災害は良くブラックジョークの題材にされるものとはいえ、こうした表現はさすがにまずいだろう。災害の件りは普通に差別表現と受け取られかねない。
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ただ本作は元々アメリカのゲームであり、本国では1980年代辺りまでマイノリティを小バカにすること自体をギャグとして捉える風潮が根強かった。当時のコメディ番組などでもネタとして扱われており、特にメキシコをバカにするのは定番だった。この辺りは当時のお国柄ゆえであり、ゲームでもこうした要素が含まれることが決して少なくはなかった。
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また、戦争を題材にとっているにもかかわらず、「わくわく南北戦争」という、不謹慎極まりないサブタイトルがつけられている。しかし、本作は原典のPC版からしてカートゥーン調のおバカなノリであるため、ある意味、原作の内容を捉えていると言えなくもない。
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原語の「Disaster」は「災害」と訳されがちだが「災難」の意味もある。邦訳時に微妙な訳を選んだとも言える。
評価点
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概要にも書いているが、南北戦争を扱った数少ないゲームであること。
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FC時代にリアルタイムウォーシミュレーションを出した、という事実。
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当時としてはかなり珍しい類であり、これでシステムがしっかりしていれば……。
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タイトルなどの画像は原作に忠実で、しっかりアーリーアメリカンらしい。
総評
題材もジャンルもかなり変わったところをついてはいるが、システムもダメで内容も不謹慎という散々なものに。
とはいえ、こうした評価は日本特有であり、海外では一定の評価を得てリメイクも作られている。
戦争という題材の捉え方に大きな隔たりがあることに加え「バカゲー専科」を始めとした偏りのあるレビューに踊らされすぎの感もある。
システム面はあまり褒められたものではないが、そもそも原典の作風からして真面目なウォーシミュレーションとして捉える事自体が誤りである。そのあたりも踏まえて一度プレイしてみるのもよいかもしれない。
余談
今作と直接関係はないが原作PC版のリメイクとしてMicroid社がPC、スマートフォンやSwitchに『the Bluecoats North & South』を2020年にリリースした。
最終更新:2024年03月01日 21:50