探偵 神宮寺三郎 横浜港連続殺人事件
【たんてい じんぐうじさぶろう よこはまこうれんぞくさつじんじけん】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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2MbitROMカートリッジ
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発売元
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データイースト 【VC】アークシステムワークス
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開発元
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データイースト 酒田エス・エー・エス
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発売日
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1988年2月26日
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定価
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5,500円
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配信
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【Wii】バーチャルコンソール:2008年9月2日/500Wiiポイント
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) |
判定
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なし
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ポイント
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人気ADVシリーズの初期作品 今回の神宮寺はちゃんと強い
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探偵 神宮寺三郎シリーズリンク
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概要
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FCのゲームとしては珍しくハードボイルド路線を狙った、コマンド選択式の探偵ものアドベンチャーゲーム『神宮寺シリーズ』の第2作目。
ストーリー
横浜の警察署捜査課長である伊勢崎の元に、後輩から「婚約者が失踪した」との捜査依頼が舞い込んだ。
失踪したという女性「エバ・クリスティーナ」は領事館勤務。丁度その頃、同じ領事館に勤める別の女性の周辺で密輸に関する捜査をしていた伊勢崎は、事件の関連を疑う。しかし領事館は外交特権を持っているため、その進捗には限界が見え始めた。
立場上の板ばさみに苦しむ伊勢崎から相談を受けた熊野警部は、友人である私立探偵の神宮寺を彼に紹介することとなる。
伊勢崎のマークしていた女性がエバの失踪の二日前に水死体となって発見されている事からも、調査は一刻を争う状況であった。
特徴
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主な登場人物が大人ばかり、攻略に必須なコマンド「タバコすう」の存在、まったくもって子供向けではないストーリーなど、シリーズそのものが個性的な特徴を持っているが、本作ももちろん例外ではない。
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前作ではゲームオーバー展開のあれこれで情けないシーンも多々見られた神宮寺だが、今回はなかなかのタフガイ。より「ハードボイルド作品の主人公」らしくなった。なお、本作にはゲームオーバーは無い。
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謎解きはいわゆる総当り式。依頼人や参考人には何度も繰り返し聞き込みを行い、時にはタバコを吸って頭を冷やすといった搦め手も使ってきっちりと情報を集める必要がある。
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タバコ以外にもホテルでコーヒーを頼む、洋子に気付いた事を尋ねるなどで別のヒントが得られることがある。難易度の緩和と共に、洋子の直感で神宮寺が助けられるといったキャラの描写にもつながっている。
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そのため、推理ADVというよりは探偵小説といった趣の作品と言える。
評価点
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ちょっとした切っ掛けから始まった事件の裏に渦巻く陰謀が次第に明るみに出ていく王道のストーリー展開は、王道なだけあって安定した面白さがある。
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ゲーム中にはタバコを吸ったのち、それまでに判明した事をプレイヤーと共におさらいしつつ今後の捜査の方針を決めるというシーンがある為、プレイヤーも推理に参加しているという感じがよく出ている。
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事件解決に直接関係ない要素も結構多く、ちょっとした行動でセリフが変わる事が多いので寄り道を楽しむ事も出来る。ふざけた行動をとると助手の洋子に本気で怒られるなど。
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実際の横浜の風景を模した背景グラフィックのクオリティは高い(横浜スタジアム、マリンタワー、港が見える丘公園等、登場する場所の大半は実在する場所)。FCの弱点である色数の少なさもうまくごまかしている。
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そう思うと、モノトーンで色・質感ともブロンズ像のような神宮寺の顔グラも味わい深い。
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前作ではややデフォルメされた登場人物の描き込みだったが本作ではリアルになり、女性はよりきれいに、男性はより濃ゆい顔になっており非常に個性的である。
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シブい雰囲気で統一されたOPデモ。新曲BGMも大幅に増えたうえに格好良い。
OPデモの1シーン
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モノトーンの神宮寺。何気なく背景がすごい
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事件の山場を境に通常BGMが切り替わる演出により、高揚感と緊迫感が向上。
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要所で入るアイキャッチ、格闘シーンにおける演出も見事でハードボイルド路線を強調している。
賛否両論点
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シンプルなADVになった事
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前作にあった斬新な試みがことごとく整理されてしまい、システムとしてはかなり保守的になってしまった。特徴的なコマンドはタバコを吸うぐらいで、前作に存在し、以降の作品でも定番化した「おどす」コマンドも本作には存在しない。
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ただ、このおかげでおかげで人気要素であったハードボイルド要素に集中できる。
問題点
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「タバコすう」コマンドは活躍する局面がまだ少なく、総当りADVの謎解きを難しくするための変り種コマンドの域を出ていない。
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一緒に操作を行う相棒を2名から選択するシーンがあるのだが、その内の片方が完全な役立たず。キャラ設定を考えると「らしい」と言えなくもないが、「あんまり」と言えばあんまりである。
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特定のシーンでハマリポイントが存在する。
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とある情報を得る前に移動してしまうと二度と戻れなくなり、情報もないため詰みとなる。こうなった場合はパスワードでやり直すしかないのだが…
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パスワードが長い
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中断、再開はパスワード形式なのだが文字数が56文字もあるため、かなり大変である。、パスワードはアルファベットと一部の記号で表現されている為、間違えやすい文字が少ないのがせめてもの救いである。(ψやΩといった見慣れない記号も多いが…)
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また、中断時に表示される際は「10文字区切り」であるのに対し、入力画面では何故か「4文字区切り」となっており噛み合っていない。同じ文字が連続する事も多いため、より注意深く見なければ間違えやすくなっている。
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もちろん文字数が多い分、精度は非常に高く、ゲーム中のほぼすべての場面で中断再開が可能である事は記しておく。
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文章のミスが多い
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「きづいたこと」を「きずいたこと」と「とおり」を「とうり」といった誤字がかなり目立つ。
聡明な設定である神宮寺や洋子がこういった誤字台詞を連発する為、馬鹿っぽく見えてしまう。
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「台湾」の密輸捜査官を「香港」の密輸捜査官と言ってしまったり、加賀山署の伊勢崎を「ああ、いせざきしょの…」と言ってしまうなど文章そのものの意味が間違っている部分も散見される。
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ネタバレ
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クリアに必須だが特に伏線のないボタン等、やや投げっぱなしな展開が目立つ。
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神宮寺と洋子は名前しか聞いていなくとも状況的な判断で、あった事のない登場人物を言い当てたり、そのまま話が通ってしまう為、写真を見たり人に見せる必要が全くない。とある人物の写真に至っては破られるか没収される以外に使い道がない。
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とある人物を張り込む際も、一人の男がアパートに帰ってきただけでその人物であると判断して張り込みを行う。事前に貰った写真を調べて顔を覚えるといった手順があればもう少し説得力が出た。
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写真を調べると神宮寺による人物評が聞けるので世界観に深みを持たせるための物なのかもしれない。
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ストーリーの面においても、神宮寺達の裏で捜査を進めていた「リョウ・ケイコク」が事件の大部分でおいしい所を持っていく(事件の核となる犯人達の重要な情報を流す、ヤクザに絡まれた神宮寺達を助ける、逃走寸前の真犯人の一人を倒して反撃の機会を作る)
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当の神宮寺は、リョウのおこぼれを拾うか、尾行がばれてヤケ酒をかっ食らうといったあまりカッコよくないシーンが目に付くようになっている。
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もちろんタバコを吸った際のひらめきで様々な方向性から事件を切り込んでいくといった見せ場はあるのだが…
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総評
探偵もののシナリオは警察組織が何故か全く役に立たない事をよく突っ込まれるが、本作の設定はそこを上手く説明している。もっとも、低年齢向けではないストーリーである上ジャンルがハードボイルドなだけあって、テキストは終始淡々としているため、盛り上がりどころを見落とさないよう注意が必要。
システムはしごくベーシックであり、「足と口と耳をフル稼働して事件を解決する探偵ものADVが好きか嫌いか」が全てである。そういう意味では、コマンド選択式ADVの標準といったポジションに当たる。
今からやるとなると、さすがに古さが目につくと思われるので、「神宮寺シリーズの第2作目」としての存在価値がメインになるだろう。
その後の展開
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次回作の『危険な二人』は、再びディスクシステムでの発売(前後編の別売り構成)となった。また、本作の登場人物の一人である「リョウ・ケイコク」が、キーパーソンとして登場する。
移植・リメイク
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『Early Collection』(PS,SS)にオリジナル版が、『いにしえの記憶』(DS)に携帯アプリ(リメイク)版が収録されている。また『GHOST OF THE DUSK』(3DS)の初回封入特典として、FCアレンジ版のダウンロードコードが封入されている。
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『EarlyCollection』では攻略のヒントがソフト内に同時収録されており、パスワードのセーブも可能。また神宮寺による回想によって事件の細かい伏線の補完がなされる。
一見、ベタ移植であるが、本作の問題点である誤字、文章の間違いやハマり要素が修正されており、VC版よりは今から始める人に優しい仕様かもしれない。
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携帯アプリ版(リメイク)は前作のリメイクと同様に、概ねの筋と登場人物を使って新たに再構築したものとなっている。その為、事件の展開や人物の立場が大きく異なっており、
登場人物が大幅に整理された都合上、表題こそ連続殺人事件ではあるが、事件中に殺害される登場人物は一人だけとなっている。
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『GHOST OF THE DUSK』付属版はほぼオリジナル版と同様だが、オールバックだった神宮寺が近年の前髪を逆立てた髪型になっている等、主に人物のグラフィックがリファインされており、こちらも誤字とハマりの修正が行われている。
最終更新:2022年07月26日 13:45