探偵 神宮寺三郎 時の過ぎゆくままに…
【たんてい じんぐうじさぶろう ときのすぎゆくままに】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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1MbitROMカートリッジ
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発売元
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データイースト 【VC】アークシステムワークス
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開発元
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データイースト
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発売日
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1990年9月28日
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定価
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4,900円
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配信
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【Wii】バーチャルコンソール:2009年6月30日/500Wiiポイント
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) |
判定
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良作
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探偵 神宮寺三郎シリーズリンク
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ストーリー
ある夏の日、新宿中央公園を散歩していた神宮寺の目に一匹の犬の姿が留まった。
そんな些細なきっかけから、1年前の事件の記憶が蘇える。
そこに友人である熊野警部が通りかかり、神宮寺はなりゆきで当時の思い出話をする事になった。
複雑な人間関係に彩られた、ある印象深い事件の物語である。
概要
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コマンド選択式の探偵物アドベンチャーゲーム『神宮寺シリーズ』の第4作目。FCでリリースされた旧シリーズ最後の作品にあたる。
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2作目『横浜港連続殺人事件』同様、ROMで発売された。何故か旧神宮寺シリーズはFCディスクシステムとROMで交互に出た事になる。
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サブタイトルは、前作『危険な二人』と同様に、沢田研二のシングルレコードを意識して名づけられたもの。
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イラストレーター寺田克也がキャラクターデザイン、野島一成がシナリオを担当。
特徴
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神宮寺と熊野が新宿中央公園で会っているシーンはカラーだが、実際に調査を行うゲームパートは回想中という設定であり、グラフィックはセピア調で統一されている。
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プレイヤーキャラクターは、ストーリー進行に応じて神宮寺と洋子の2人を操作し、それぞれの視点で異なる2つの事件を追っていく。
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バックアップ機能はないが、パスワード方式で途中からゲームを開始できる。
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パスワードはゲーム終了時にいつでも聞けるが、再開位置は節ごとの頭から。その代わりパスワードは数字4文字と短い。
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今回は「タバコすう」コマンド以外に、初対面の相手に名刺を渡す事も重要。主人公の立ち居振る舞いはよりダンディに、より紳士的になった。
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自己紹介をしない場合は相手にされない事が多く、例えばゲーム序盤に依頼を受けた先の暴力団事務所にいきなり入ろうとした場合、入り口のヤクザに殴り倒されるという1作目のゲームオーバーのオマージュと呼べるシーンも存在する。
評価点
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複雑だが印象的なストーリー。
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今回は殺人事件のようなショッキングな出来事が起こらないにもかかわらず、微妙な人間関係と、登場人物一人一人の心情・心理を丁寧に描く事で、物語に奥行きを持たせている。
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事件の当事者は家族同士であり、それぞれ思うところがあって、犯人ではない人間が証言を偽る事も多い。自己の保身が理由ではないだけに却って厄介な状況の中で、一介の探偵にすぎない神宮寺がいかにして真相にたどり着くか、という探偵物語ならではの面白さがある。
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無関係と思われた2つの事件が1つの真実に収束するクライマックスは大いに盛り上がる。また、「現在の人物が過去の事件を語る」という設定を使い、異なる視点の異なる出来事を違和感なく1つのシナリオにまとめている。
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前作同様、グラフィックの書き込みは背景・人物とも高水準。今回は色数が抑えられているものの、それ自体が「過去の出来事」の演出として効果的に働いている。
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人物の描き分けは前作よりもハッキリしてきて、誰が誰だか把握しやすくなった。リアル路線の絵柄を保ちつつ、という点がすごい。
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シリーズを通してネタにされ続けている洋子の顔の七変化も
ついに「時々顔が変わるな」というメタ発言で言及されてしまった。
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とりあえず、子供と犬が可愛い。
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落ち着いたBGMも作品の雰囲気に合っていて、『神宮寺シリーズ』のブランドにファンが期待する品質を見事にクリアしている。
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神宮寺パート、洋子パートでそれぞれの人物のテーマに変わるのも特徴的。神宮寺はハードボイルドで渋いBGMだが洋子は爽やかなBGMとなっており対照的である。
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物語のクライマックスでは、過去作『新宿中央公園殺人事件』のOPBGMのアレンジ版がかかる。緊迫したシーンにぴったりの良アレンジ+ファンサービスという粋なはからいである。
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BGMのいくつかは同社開発のFC用ソフト『超人狼戦記WARWOLF』のNES版にも使用されている。
問題点
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前述の通り、今回の事件では大組織が絡んだり人が殺されたりといったインパクトや判りやすさのない話であり、地味といえば地味。
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セーブがセクション単位なので、一度詰まってしまうと同じシーンを繰り返しプレイするはめになる。
総評
FCにおけるコマンド選択式ADVのゲームシステムは早い段階である程度完成しており、グラフィックやBGMがいいだけでは他となかなか差別化できない状況であった。
本作は回想形式を用いる事で、ハードの制約の範囲内で大きく表現の幅を広げ、「いつもの神宮寺シリーズ+α」の個性付けに成功した。複数の視点を活用したザッピングシステムの原型のようなものも見られ、シナリオに上手く溶け込んでいる。
事件に絡む複雑な人間模様を冷静に見つめる第三者、そんなハードボイルド作品の主人公としての神宮寺のアイデンティティを「タバコすう」コマンドに頼りきる事なく確立し、神宮寺旧シリーズの最終作に相応しい貫禄を見せ付けた。
余談
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'90年9月にROMカセットで発売されたが、その後ディスクシステムで前後編に分けて移植される予定があった。ファミマガの'91年5月10日号の発売予定表にその名前が、6月7日号には「前編・後編の2枚組でディスクとして発売」という紹介記事が確認されている。
最終更新:2022年10月13日 22:58