さんまの名探偵

【さんまのめいたんてい】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 ナムコ
発売日 1987年4月2日
価格 4,900円
判定 良作
ポイント 意外にも堅実な推理もの
高難度のミニゲーム


概要

吉本興業の人気お笑い芸人たちをフィーチャーした、実在芸能人とのタイアップによるタレントゲーム。ジャンルはテキストアドベンチャーゲーム。
プレイヤーは桂文珍殺人事件の真相を解くため、自称「関西一の名探偵」明石家さんまの助手となり、一緒に事件を解決していく。


特徴

  • 同ジャンル先駆者の『ポートピア連続殺人事件』がテキスト中心で作られていたのに対し、本作では同社の『ドラゴンバスター』を思わせる全体マップの採用、捜査コマンドのアイコン表示、アイテムや人名のシンボル表示などといった、視覚的なわかりやすさを重視した仕様で構成されている。
    • 尚、全体マップには最初からナムコのビルが表示されているが、ただの飾りで実際に行く事は出来ない。
      • これに関してはちょっとしたネタがある(後述)。
  • 捜査を行うに当たり使用するコマンドも、この類のゲームではあまり見ないユニークなものも用意されている。下記はその一例。
    • 捜査
      • その名の通りこのゲームにおいて基本となる7種類のコマンド群。「調べる」「取る」といったオーソドックスなものもあれば、「飲む・食べる」といった風変わりなものも。
        基本的に捜査対象となる人物や物品は表示されたリストの中から選択することになるが、リストに無いものについては「カニカーソル」を動かして画面上の任意箇所を選択し、手がかりを探さなければならない状況もある。
    • さんま
      • 通常の捜査コマンドでは解決できないような状況に陥った際、さんまに考えてもらうコマンド。大抵の場面では一言二言当たり障りのないコメントを言うのみで使い所は少ないが、ここぞというポイントで情報を得られたり、状況を進展させられたりするため、狙いが当たった時のスッキリ感はなかなかのもの。
    • どつく
      • 会話をしている相手を殴りつける、このゲームでも特に異端とも言えるコマンド。行動が行動のため使用する機会は「さんま」コマンド以上に稀。通常はさんまに止められ実際に相手をどつくような事は起こらないが、相手次第では例外的に気軽にどつけてしまう。
      • またこのSEが「ボスッ、ガス、ガス」といった感じでなかなかリアル。
  • 吉本興業の当時の主要人物(主に当時フジテレビで放送されていたバラエティ番組「オレたちひょうきん族」*1の出演者多数)が実名で登場している。
    • さすがに吉本興業の社長までは実名で出せなかったが。
  • 要所要所でミニゲームが挿入される。いくつか例を上げると、2Dアクション視点になり大量の落下物を避けて画面端に向かう、ボタンを連打する、タイミングよくボタンを押す、隠れながら逃げる相手を捕まえる……などといった、まさしくミニゲームといった小粒なものばかりだが、元々軽妙なノリのゲームの中に、その場の雰囲気を崩さず自然に溶け込んでいる。
  • 『ポートピア連続殺人事件』と比べると難解な場面が比較的少ない反面、地雷選択肢やミニゲームの失敗でバッドエンド(全3種)というシビアな局面もわずかながら存在している。
    • そのバッドエンドも、真犯人を見つけられなかった、最後の最後で犯人に逃げられる、と言った結末以外にもコミカルなものもある。

吉本リスペクト

探偵ものにはあるまじき面白い要素が幾つかある。今となっては倫理に引っかかりそうなものもあるが製作側の吉本に対するリスペクトが十分に伝わってくる。以下が該当する。

  • 「どつく」コマンド。
    • 前述のこのコマンドは大阪のお笑い要素である「どつき漫才」を取り入れたものだと思われる。ポートピア連続殺人事件北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆにおける「(なにか)たたけ」コマンドを踏襲してはいるのだが、本作では物品相手に拳を振るうことは稀でほとんどの場合人間対象に発揮されるコマンドであり、説明書においても「たたく」でも「なぐる」でもなくわざわざ「どつく」と紹介されている。
      • そもそも「たたく」コマンドが別に存在するのにわざわざ「どつく」を単独のコマンドとして入れている点が味わい深い。
    • ちなみに説明書には「もちろん普通の人たちに暴力をふるうのはよくありませんが、怪しい人物には……」とも書かれている。あくまでどつき漫才やねん、という意思表明が感じられる*2
  • サービスショット。
    • とある(少々性的な)入手不可能アイテムを発見したり、わざわざ全身絵で相手の身体を調べ回るシーンがあったり、温泉で覗きをしたり、更にはミニゲームのご褒美でモブキャラがレオタードを脱いだりと、結構なサービス展開が存在する。
    • また攻略上必須になるセクシーシーンでは到底直接的な描写ができない内容のため、わざわざ黒いバックスクリーンに「ファミ倫 7650 *3とだけ表示されているのも何気に笑いを誘う*4。ちなみにこの場面はスナックでハニートラップに引っかかったさんまが暴行を食らい監禁されるというマヌケな展開となる。
      • この時、あからさまに「バキッ ガスッ」と暴行されているのに何故か前述のSEはない。
  • キャラクターの個性、役回り。
    • サービスショットとなるとすぐに顔が緩んでしまうさんま。食べ物に釣られてしまう今くるよ。常に怒っている顔の横山やすし師匠。人の聞き込みとなるとことある毎に「殴ったろうか」と口走る太平シロー。真面目さが災いし被害者となり果てた桂文珍……とモデルの個性や印象を生かした展開が尽きない。また、よくよく見ると殺される姿は若干間の抜けたものであり何だか笑いを誘う。こうした配役どころは「新喜劇」を彷彿とさせる。
  • 一部のバッドエンド。
    + ネタバレ
    • とある人物から宝探しに誘われる場面があり、ここで「はい」と答えると本当に捜査を投げ捨てて南の島に宝探しに行くのだが…報われないというよりは欲に駆られたことで関係の無いあらぬ方向へ向かってしまい、散々な結末を迎えてしまう。吉本のネタになりそうな結末である。ちなみにここではさんまを誘った本人がボケつつも「もう げーむ どころやない! これで おわりや!!」とメタ発言を告げる始末。

評価点

  • プレイしやすい。
    • キャラクターが全体マップを直接移動するスタイルは、各調査場所の位置関係が明確。本作は太陽の塔など大阪の有名スポット以外にも新幹線で東京へ移動する局面があったり、事件現場周辺の位置関係が謎解きの重要ポイントになったりするため、この方式が上手く活かされている。
    • 怪しいオブジェクトや重要なオブジェクトはかなり目立つようになっていて、ポートピアほどの理不尽な画面内探索は必要ない(ただし、捜査と関係ない小ネタは全然目立たないところにある)。
    • 捜査に行き詰っても後述の「ギャラクシガニ」でヒントが貰えるので、どうしても先に進めないという事は少ないだろう。
  • 表現力・演出力が豊か。
    • 人物の立ち絵の出来が良い。本人の特徴をよく捉えている。
    • 人物がしゃべるときにアニメーションで口が動いてSEが流れる(しかも人物によって音が変わる)という当時のゲームとしては画期的な演出がある。
  • 明石家さんまが探偵というだけあり、そこかしこにちりばめられたギャグやさんまちゃんらしさが、重くなりがちな話をコミカルにしてくれる。
    • わざわざBGM付でプレイヤー自身をからかったり、コマンドの中に「飲む・食べる」があったり、レオタードをかけてエアロビクス勝負したり、ある人物をゴシップネタで脅したりなど芸が細かい。
    • 前述の通りFCでOKな範囲内でえっちな表現もあり、ある女性キャラクターの部屋では「その女性の全身を調べまわせるモード」や「(手には入れられないが)プライベートなアイテムを見つけてしまうイベント」などが、事件とは全く無関係ながら用意されている。
    • ミニゲームの一つの「ギャラクシガニ」という『ギャラクシアン』のナムコのセルフパロディはもちろんのこと、額縁のうしろにスイッチがあるというウソネタパロディなども存在する。
      • 「ギャラクシガニ」は単なるお遊び要素ではなく、クリアすると現在の捜査状況に応じたヒントが貰える便利なミニゲームである。
      • 「額縁の後ろにスイッチ」のくだりも、とある場所を調べるといきなりジングルが鳴ってからさんま自らがネタばらしをするという、ドッキリ仕掛けとなっている。
  • 二転三転するシナリオ展開、複雑な人間関係、事件の裏に隠された真相など、推理物の王道を踏まえた質の良いストーリーは評価されている。
    • 事件当時や事件後に不審な動きを見せる人物がかなり多く、調査の結果無実であったり本当に怪しかったりと、物語全体に大きな起伏がある。また、山場を盛り上げる「アリバイが磐石だった人物の意外な真相」といった王道展開もあり。
    • 絶対にウケるネタが書かれているという「ネタ本」が捜査上にあがる展開もあり、「登場人物がお笑い芸人である理由」も成立している。
    • ゲーム画面のコミカルさとは裏腹に、そのシナリオは『火曜サスペンス劇場』並みのシリアスさと言ってもいい。緊迫する最終局面、そしてその結末は、是非自らの手で一度は見て欲しい。

賛否両論点

  • 不気味なBGM
    • 重要な手がかりを発見した時などに専用のジングルが流れる。疑念、衝撃、喜び、落胆と言ったイメージで複数の種類が用意されている。
      • しかし、喜びの場面で流れるもの以外はどれも過剰なほどに不気味。しかも唐突に流れる事が多く、心臓に悪い。子供時代にプレイしてこれらのジングルがトラウマになったという声も少なくなく、今でもプレイ動画で流れると怖がるコメントが多数書き込まれるほど。
    • また、ジングルのみならずBGM自体が全体的に不気味である。例えば捜査中の曲はプレイ時間の大半で流れ、楽曲だけを切り出せば長調(明るい印象の音構成)ののんびりしたものであるにもかかわらず、人によっては気味が悪いと感じられる。
      • これは全ての楽曲が2音源のみで作曲されており、三角波のベース音が低く際立つせいというのがあるかもしれない。また、Bメロではジャズに用いられる少々凝ったコードが使われているため、当時プレイした(主に)子供たちには落ち着かない印象を与えた可能性がある。
      • 実はOPの文珍死体発見時に用いられるジングルも音の構成自体は長調である。ざっくり言えば、ある「明るいメロディ」と、その半音上の「明るいメロディ」を交互に鳴らして作られており、奇数回目もしくは偶数回目の音だけを鳴らせば普通の明るい曲になる。これらが混ざるせいで単純な暗さではない何ともぞわぞわする効果をもたらしているため、「不気味」という印象は気のせいではない。
    • そして終盤、緊迫した場面で流れる曲は「ダッダッダッダッダッダッダッダッ」といった重く低いベース音がノイズ音と共に細かく刻まれるもので、その場面と相まって言いようの無い恐怖を掻き立てる。夜中に1人でプレイするのは勇気がいるかも。
      • コミカルな演出は多いが、BGMの不気味さでそれをあまり感じられない事もある。
      • その一方でミニゲームでは愉快な曲も流れる。特に追跡ゲームのBGMは緊迫したシチュエーションに反して、バラエティ番組にも使えそうな楽しげな曲となっている。
  • 演出面でも同様で、タイトル画面でしばらく放置した後に始まるオープニングの桂文珍殺害シーンはかなり強いインパクトがある。
    • タイトルがスクロールして画面外に消えたのち、主観視点(犯人視点)で文珍にズームアップしていき、殺される直前の文珍のドアップの顔と「 ギャー 」という叫び声の書き文字が大写しにされ、ブラックアウトした後、文珍の死体の1枚絵(文珍のポーズそのものはコミカルだが)が上述のジングルと共に滴り落ちる血のように表示されるという、この上なく恐怖感を煽る演出になっている。
      • その後、ニュースでさんまが事件の捜査に乗り出した事が告知されさんまがプレイヤーに協力を依頼する画面の後にタイトルに戻るが、このシーンも無機質なドットとただ「ピンポーン」とだけ鳴るSEなど、ごくシンプルな演出が却って不気味。
      • 一連の流れがタイトル画面から続いてほぼ無音*5のまま淡々と映し出されていくので非常に恐ろしげであり、トラウマシーンとして挙げるプレイヤーも多い。僅かなSEも殺害時のジングルとニュースのピンポーンだけなのが余計に怖さを掻き立てている。
    • 不気味さでも極めつけと言えるのがバッドエンド時の演出。
      • 最初は捜査メモ入力時の明るいBGMが流れるのだが…そんな雰囲気をひっくり返すような鳥肌モノの演出も。文字とBGMのみの画面でありながらトラウマになりかねないほどに強烈。
  • このように本作は、気味の悪いBGMと怖い位に淡々とした演出が得も言われぬ不気味さを醸し出しており、人によっては「下手なホラーゲームよりも怖い」とも言われることも。
    • 但し、殺人事件の雰囲気はよく出ており、捜査の進展に合わせて緊張感や不安感を否応なしに煽るという演出としては秀逸である。

問題点

  • 高難易度のミニゲーム
    • ゲーム内にはいくつかのミニゲームが入っているが、その中の一つ、住之江競艇場のボートレースの難易度がやたら高い。
      • 内容はシンプルなボタン連打によるレースゲーム。シンプルなだけに出来ない人にはどうしようもない
      • しかもこのミニゲーム、クリアに必須である。そのため、「ゲーム最大の難所」とまで言われる事も。
    • 追跡ゲームはターゲットが隠れた家を当てる必要があるのだが、これが運任せ。チャンスは何度かあるが、運が悪いと逃げられて失敗してしまう。
      • しかも最後の犯人を追うシーンでは失敗するとバッドエンドになってしまう。
      • 最後以外なら逃がしても同じ場所に戻ってこればまた相手がいるのだが、さんまに事実を暴かれてやばいと思って逃げたのに元の場所でノウノウとしているのはゲームとしては親切でもストーリーとしてはおかしなところではある。
    • ギャラクシガニは1000点獲得すると惑星か流れ星のどちらかがランダムで出現するが、惑星が出ないとボスと戦えず、またスコアを稼ぐ羽目になる。これも運が絡む上に、シューティングが苦手な人にはやや辛い難易度。
      • クリアしたとしてもヒント自体がわかりにくいものも多々ある。その中の「食べ物」に関しては紛らわしいフェイクがある。
    • 最序盤の捜査メモを入手するためのミニゲームはそこまで難易度が高いわけではないのだが、慣れないうちは何度か失敗しがち。
      • 何が問題かと言えば、これをクリアしないと捜査メモが手に入らない、つまりゲームを中断できないという点。
      • もちろんノーコンテニューでクリアまで突っ走るなら不要だが、ボリューミーな内容なのでクリア手順を知っていなければ厳しい。通常なら必然的にまずこのミニゲームをプレイさせられる。
      • 救済処置なのか、当たると失敗になる落下物の中で時計のみがアイテム扱いで、当たると時間が止まり、一定時間無敵になる。しかしノーヒント*6のため自力で気付く必要がある。
  • 「プレイヤー=さんまの助手」という設定がほとんど活かされていない。
    • ゲーム開始時に名前を入力し、さんまと二人で調査を進めている体なのだが、「設定上はプレイヤーが指示してさんまが行動する」という形とはいえプレイヤーがゲーム中で特に何かするわけではない。
      • 例えば、二人の力が必要そうな場面でも行動するのはさんまのみ。何者かに拘束されるシーンも、さんまが色仕掛けに引っ掛かっただけでプレイヤーは何の関与もしないままなすすべなく一緒に捕まる*7
    • 一応、プレイヤー自身の台詞が出る場面もたった一ヶ所あるので、そこでのインパクトを狙ったのかもしれないが、肝心のその台詞も見当はずれなことを言ってさんまに「わかってへんな」と突っ込まれるだけである。
    • 強いて言えば、相方が居なければ終始さんまが独り言を呟きながら捜査を進めるというシュールな絵になってしまうので、たとえ作中で存在感が無かろうとももう一人その場に誰かが必要だったのかもしれない。
  • 事件の真相について
    • 人間関係や事件の背景を紐解き、謎を解き明かしていく過程は面白いのだが、肝心のトリックや犯人、動機はひねりも少なくベタな展開と言わざるを得ない。
    • 特に殺人の手口はミステリー的なトリックを期待すると肩透かしを喰らうだろう。著名芸能人をフィーチャーしたキャラゲーということで、あくまで解決に至るまでのプロセスを楽しむものと言えようか。
      + 事件の真相(ネタバレ注意) 犯人が文珍を殺害した動機は、彼に宝石の密輸をしていることを知られ、止めるよう直談判されたため。殺害後、密輸宝石を隠しておくための隠し部屋を通って、別の部屋に遺体を動かした…というものだった。
      遺体が置かれる前の部屋に複数の人物がそれぞれの思惑で忍び込んでいたり、第一発見者が後に重要証拠となる文珍の遺品を盗んでいたり、死亡前の文珍の行方という核心となる事実を知りながら話さない人物がいたため、さんまとプレイヤーはあちこち振り回される事となったのである。捜査を進めるうちに紳助が死亡するが、これは殺害間もない現場を目撃し、それをネタに犯人を脅迫したため、文珍殺害の罪のなすりつけも兼ねて殺される事となったのである。
    • この通り、文珍が警察に通報さえしていれば、犠牲者が出ることもなくあっさり解決したであろう事件である。ただ、文珍としても自身と深い関わりのある犯人のことを思ってすぐに警察に通報しなかったのだろうが、犯罪者に対してあまりにも迂闊な対応である。
    • 殺害現場には文珍がダイイングメッセージを書き残しており、現場写真からその情報を得るという展開があるのだが、そもそも別の部屋ですでに殺害されているので、現場に書けるはずがないという矛盾がある。
    • そもそもミステリーにおいて「終盤で存在が判明する隠し部屋」は反則である。

総評

無機質になりがちなコマンド選択型アドベンチャーのシステム周りに視覚的なわかりやすさを加え、さらにキャラクター性を生かしたユーモアやギャグを織り交ぜ、手詰まりを起こしにくいほどほどの難易度に抑える…と、全体的にまとまりの良い仕上がりとなっている。
アドベンチャーとしてもキャラゲーとしても丁寧な仕事ぶりの光る、ファミコンにおける芸能人タイアップものとしては稀有な良作である。


備考

  • 当時はまだナムコキャラも少なかったせいか、さんまは年末に発売された『プロ野球ファミリースタジアム'87年度版』で「ナムコスターズ」の8番打者を務めている。
    • 打力は貧打著しいナムコスターズの中でも最低クラスだが『86年度版』限りで姿を消した「いんで」(7番)「らりいX」(8番)あたりに代わって入ったこともあってか、かなりの俊足になっている。
      • 1981年の『オールスター紅白大運動会』(フジテレビ)の「男女混合リレー」で、さんまは白組のアンカーとして当時大スターだった「トシちゃん」こと田原俊彦と競うことになり、同大会における芸人の本来の役目は「最後にはずっコケて勝ちを人気スターに譲る」という慣例に反して、そのまま本気の力走でグングン引き離しブッチギリでゴールインして勝ってMVPまでかっさらってしまったというエピソードから反映したものかも知れない。
      • 俊足といえば1番打者「ぴの」が強烈すぎてその陰に隠れているが「さんま」は「まつぴ」(代打)*8と並んでチームNo.2である。
    • また、同チームではさんまのみならず、本作の「カニカーソル」も「かにかに」という名で選手として抜擢され代打に入っている。打力は主人公であるさんまより高いが全体で見るとどんぐりの背比べなので、足の速さで圧倒的に優るさんまの方が使い勝手が良い。
      • 後に「カニカニパニック」*9という筐体型ゲームが1991年にアーケードで稼働を開始し、それをルーツとした選手も「カニカニ」として後のシリーズ作品『スーパーファミスタ2』で登場しているが、同じ名前でも事実上別人である。
  • 後年、同じ吉本芸人であるナインティナインをメインにすえた『ナイナイの迷探偵』が発売された。推理アドベンチャーとしての要素はほとんどなくなっており、「クソゲー」扱いを受けている。この『ナイナイ』には本作のBGM・ネタ(パッケージの取り込み画像まで登場する)が随所にさりげなく入っている。
    • 明石家さんまは登場しないが、西川のりお・太平サブローが引き続き出演。しかも、のりおはこっちでも「事件の鍵を握ってそうな怪しい人物」になっている。
  • 『さんまの名探偵』に登場した吉本芸人たちに出演料は支払われなかった
    しかし、桂文珍はゲーム内で殺されていることを知り、会社に出向き「わし、死んでるみたいやねんけど、御香典もらえまへんか?」と言い、出演料をもらったとのこと。
    さらに当時司会をしていた「はなきんデータランド」で自分が殺されることを、プレスリリース前にネタばらししている*10
    • この他にも文珍の登場するゲームがある。ファミコンの特別TV番組内で放映された「マイティボンジャック」の改造ゲーム『マイティ文珍ジャック』。番組参加者にプレゼントもされたが配布本数は30本未満とかなり貴重なソフト。詳しくはコチラコチラのページで紹介されています。
  • 因みにこのゲーム、肝心要の主人公であるさんま本人に無許可で出されている
    といっても、ナムコが許可を取らなかったわけではなく、きちんと「吉本興業には」許可を取っていた*11
    ところが、吉本の担当者がさんまに話を持っていかず、多忙なのをいいことに知らんぷりをして握りつぶしてしまったのである。これは吉本興業の悪癖であり、本人に許可も取らずにグッズを出してしまうことは、吉本社内ではごく当たり前のことらしい。
    • 一例として、このゲーム発売より遥か後に、吉本芸人がたくさん登場するパチンコ機が企画され発売されたのだが、その中に「ナインティナイン」が本人たちの知らないところで出演させられていた(顔写真を無断で使っていた)
      • そのことを会社の木村部長(当時)に指摘すると「バレたか」と開き直りの一言で済まされ、結局ギャラも「そのうち払う」との口約束のまま払われることなく、木村部長が吉本興業を退社して話が有耶無耶になってしまったという実話がある。
    • さんまはこの事を未だ許しておらず、会社の俺への裏切り行為とまで発言している。そのため、これだけ出来がよく売れたソフトであるにもかかわらず、自分からは話題に出したがらない*12
      • さらに、『ゲームセンターCX』で挑戦ソフトとして「使いたい」旨を、有野課長が直接頼んだ際にも使用許可を出しておらず、問題の根が相当深いことを窺わせている。
      • ただし、本人は決して高圧的な態度等はとっておらず、申し訳無さそうに断っていた。有野を恨んでいたというわけでも、「さんまの名探偵」というソフトを作ったナムコに対して怒り心頭というわけでもない。しかし心情的にも吉本のやり方は赦せず、けじめの一種として許可できないのだろう。
        ちなみに、テレビ放映されていたCMには肝心のさんまの姿は一切出てこない。恐らくこれらのゴタゴタが影響していた可能性が高いだろう。
  • 後半、しんすけ(島田紳助)との会話である事をすると、さんまがしんすけに対し「しんすけ ゆうたら やくざ や。」と言うシーンがあるが、発売から24年経った2011年、島田紳助は暴力団がらみのごたごたで本当に芸能界を去ることになってしまった。
    • ゲーム中に登場する人物のほとんどがしんすけに対して金(ギャラ)関係の話を明かしており、守銭奴じみたキャラとして描かれている。後の羞恥心などのプロデュース業や飲食店などの多角経営を見るとそれを暗示しているとも言えなくも無い。
    • 2013年、ロンドンブーツ1号2号の田村淳がニコニコ生放送で本作をゲーム実況者としてプレイしてる時にこのシーンが流れ、なんとも言えない顔をしていた。
    • ちなみに本作のCMは芸人たちと社長が集まって「さんまの名探偵」発売について議論するといった内容になっているが、紳助は「こんなもん売れるか!」と一喝する社長(西川のりお)に対し、本作のソフトのパッケージをずいと見せながら「でも社長! 明石家さんまですよ!」とプッシュするという、妙な役どころで出演していた。
  • とある場所に立ち寄り、特定の箇所をカニカーソルで調べると某大物タレントの写真が落ちているのを発見できる。
    • ただし、見つけた途端さんまが怒ってビリビリに破いてしまうので入手することはできず、文章のみでグラフィック等も表示されない。
  • スタジオカメダのギャル「ラン」「スー」は言わずと知れた70年代のアイドルトリオの「キャンディーズ」が元ネタ。
    • 9年前の1978年4月を最後に解散して一時は引退していたが、ゲームで使われている2人、伊藤蘭(ラン)、田中好子(スー)は当時女優として復帰していた。
    • 残る藤村美樹(ミキ)は1983年限り完全に引退していたため上記の二人が起用されたと思われる。それに配慮したとしたら意外と細かい所を気にしている。これなら元々2人のピンクレディーの名前を起用した方が…
  • クラブポピーのバニーガールのエミ・エミコは、当時吉本興業に所属していたアイドルグループ、ポピンズの金子恵実・芳賀絵巳子という実在した人物。活動時期が短く今となってはマイナーなうえ、顔は似せた作りになってはいないが。
  • 『ファミリーコンピュータmagazine』1987年10号の裏技コーナー『超ウルトラ技50+1』の名物「ウソテク(嘘の裏技)」に「ギャラクシガニで50,000点を超えてクリアするとナムコのビルに行ける」というものがあった。これにはナムコの社員も騙されたという逸話がある。
    • ギャクシガニは特別なボーナスもなくただ1体撃破して100点を繰り返すだけなのでこれで50,000点を稼ぐには相当な忍耐が必要だったことは言うまでもない。
      • 単純に50,000点以上稼ぐだけならボスのUFO撃破で1万点超が加算されるので、ザコのカニで稼ぐのは40,000点ほどでいいのだが画面写真ではボス前に50,000点を突破していた(クリア時は60,000点超)ので「ザコだけで50,000点を突破してクリアしなければならない」と思った人もいたようだ。
    • 発売から1年以上経過した1988年12号(6月17日号)でも「30秒Q速解答」のコーナーでこれについて質問した人もいたほどで、これに対して担当者は「去年ウルテクに載せたけど、あれはウソテクで絶対行けないんだ。ゴメンね。」と詫びている。
    • 水晶の龍』の「シンシアと野球拳」ほどではないものの、それに次ぐレベルで現在でも有名なウソテクネタの1つである。
  • ファミ通クロスレビューは34点。
    • 現在の視点*13から見ると大したことないように思えてもおかしくなく、これだけ聞くとピンとこないかもしれないがレビュー当時のファミコン作品に対するファミ通の評価指針を考えると傑作扱いレベルのベタ褒めと言うべき評価であった。
    • 実際当時の最高点は『ドラゴンクエストII 悪霊の神々(エニックス)』の38点、2位が『リンクの冒険(任天堂)』の36点で、それに次ぐ3位タイの記録だった(同点で前年発売の『悪魔城ドラキュラ(コナミ)』)。
  • 2012年に発売されたエロゲー『はるまで、くるる。』の初回特典として『あきおの名探偵』という本作のパロディゲーが存在する。
    • タイトルだけでなく、パッケージやシステムも本作を真似て作られている。
  • 個人が本作のデータを改造してネット上に公開していた『はまだの名探偵』がある。
    • 登場人物はダウンタウンを中心としたものに全て置き換わっており、グラフィックや台詞の再現度は妙に高く、改造ゲームの中でも知名度は高い。
    • ちなみに上記にある本作の紳助の予言のようなものが、こちらの登場人物にもあったりする。
  • 2020年6月にはテレビ番組『さんまのまんま35周年SP』にて、マヂカルラブリーの野田クリスタルが作成した野田ゲー『さんまの大冒険』が紹介された。
    • ゲーム内容はさんまの非常に長い前歯で同番組のマスコットキャラクター「まんま」を倒していくアクションゲームで、本作とは全くの別物だが、タイトルロゴが本作のタイトルロゴのパロディとなっている。
  • 2023年にはPhoenixxからNintendo Switch用ソフト『クイズ☆正解は一年後 presents あつしの名探偵』が発売。*14
    • ロンドンブーツ1号2号の田村淳が主人公、レイザーラモンRGが被害者として登場。枡田絵理奈アナや有吉弘行といった主に同番組に縁のある豪華芸能人が出演しゲームシステムもファミコンゲームを意識しているなどこちらも本作のパロディである。
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最終更新:2024年04月09日 04:09

*1 1981年から1989年までフジテレビで放送。最高視聴率29.1%(1985年末のスペシャル)と人気番組だったが、この頃はTBSの「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」に人気を奪われていた上に、MCを務めていたビートたけしが軍団を連れて自ら起こした「フライデー襲撃事件」の影響で出演しなくなるなど低迷期に入る頃で落ち目だった。

*2 なお、SEは「ゴォーン、バキッバキッ」とかなり重々しい音が鳴る…本当にどつく程度ですませてるのだろうか

*3 言うまでもなく「映倫」のパロディ。また7650はナムコの語呂合わせである。

*4 前述の「温泉覗き」も同様の表現となる。

*5 ナムコのファミコンゲームは基本的にタイトル画面が無音(タイトルBGM自体がない)のものが多い。

*6 ミニゲームに入る前には「上から降ってくるものにあたってはいけませんよ」としか言われない。時計も上から降ってくるものには違いない。

*7 この時は「バキッ・ガスッ」と殴られているのに何故か「どつく」のSEがない。

*8 '86年度版では1番打者。

*9 1988年2月に稼働開始して一躍大ヒットになった「もぐら叩きワニ版」のような筐体型ゲーム「ワニワニパニック」のスピンオフ。

*10 もっとも、オープニングの段階で殺されるため、バラしても問題は無かったというのはあるかもしれない。多分に意趣返しもあっただろうが…

*11 前述の「出演料は支払われなかった」の桂文珍のエピソードからもわかるように、出演者は基本的に無許可で、事後承諾すらしていない

*12 よゐこ有野がさんまに「ゲームが趣味」と言ったところ、「ゲームなんか時間のムダやろ」と斬り捨てられたと語っており、テレビゲームそのものに対してあまり理解が無いと思われる。ただし自身が本作で主人公を務めたこと自体は、テレビ等で幾度か自慢したことがある。

*13 1991年11月発売の『ゼルダの伝説 神々のトライフォース(任天堂・SFC)』が39点で更新したことで採点基準が甘くなり、1998年11月『ゼルダの伝説 時のオカリナ(任天堂・N64)』が初の40点満点を記録してからはまるでバーゲンセールのように満点が頻出するようになった。

*14 開発はファミコン風のアドベンチャーゲーム『ミステリー案内シリーズ』を手掛けるハッピーミールが担当。