本稿では元であるアーケード版と、その移植であるPSP版を中心とした紹介をしています。
【きどうせんしがんだむ がんだむばーさすがんだむ ねくすと】
ジャンル | チームバトルアクション | |
対応機種 | アーケード(SYSTEM246・256) | |
発売元 | バンダイナムコゲームス | |
販売・開発元 | カプコン | |
稼働開始日 | 2009年3月18日 | |
判定 | 良作 | |
ガンダムVS.シリーズリンク |
初代『連邦VSジオン』から始まったガンダムVSシリーズの8作目。前作『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム』(通称ガンガン)に続くガンダムオールスターゲームの続編。
前作は「全機主役」を旗印に掲げ、長期に渡るシリーズの作品が一堂に会するお祭りクロスオーバーとして大きな期待を集めた。
実際、お祭りゲー≒キャラゲーとしての評価は高かったが、一方でゲームバランスが致命的に悪いという大きな問題点を抱えており、以前のVSシリーズのファンから一部そっぽを向かれてしまうこともあるほどであった。
大いに批判を受け、以降のシリーズ展開が危ぶまれる中で制作されたNEXTは、前作の反省を基に(*1)ロケテストで吸い上げたユーザーの意見を頻繁に反映。
目玉扱いだった新機体がロケテ毎に調整を重ねられて弱くなっていったりと、正式稼働前から再調整を何度も加えるかなり入念なバランス調整が行われた。
結果、荒療治の新システム「NEXTダッシュ」によってゲーム性が一気に様変わりはしたが、その大きな変化とは裏腹にゲームバランスは良好になり、対戦ツールとして名高いシリーズの面目を保った作品。
「NEXTダッシュ」(以下ND)という新システムの導入
その他の変更点
非常に多い新機体の数々
+ | いくつか特徴的なものを紹介 |
荒削りだがゲームバランス・爽快感の向上
前作での評価点は引き継がれている
ゲームバランスがある程度良いと言われる今作にも、今までのVSシリーズ同様に何体か強機体は存在する。
最終的に「4強」と言われていたのは、
この4体である。「勝ちに行く大会での使用に耐えうる性能を持つ機体」という意味ではもう少し候補は多くなるが突き詰めるとこれらが明らかにとびぬけた性能を持っていると言える。
以下、元からポテンシャルが高かったり、研究が進むにつれて見いだされた「強い」と言える機体
+ | ... |
…と、機体間のバランスはアップデート調整無しという当時の事情を考えた場合、全体的に伯仲している。後出し調整が出来ない中でこのレベルでこれだけの機体数のバランスを取ったのは、今考えてもなかなか奇跡的なレベル。ガチ戦に投入できるコンビのバリエーションは、VSシリーズでも多い部類である。
結局何が一番強いの? と問われれば、評価は分かれやすいだろうが、扱いやすさと単純なスペックという面では「初代とウイングゼロと陸戦型ガンダム」、扱いづらいものの理論値は最強クラスという面で「ターンエー、ゲドラフ、シャアザク」などが本当の意味での強機体だろう。
弱い側の機体としては
などがある。これらは中堅機体相手もしくは強機体とコンビを組めばなんとか戦えるレベルではあるが、正直なところ真剣勝負で用いるには厳しいものがある。上記の「バランスがいい」というのはこれら下位機体をなかったことにした上での話という部分はある。
ただ固定大会においてキュベ2、ガンタンクがらみのコンビが最強の一角であるW0初代を倒してしまったりしているので、目安としては中堅機体であれば腕の差が多少あればどうにかなるレベルではある。流石に腕が同レベルの場合は厳しいだろうが…。
そして言うまでもない事だが、弱機体の場合は流石にかなりの技量と運がいる。上記の例はキュベ、タンク側が一流プレイヤーだったために出来た芸当で、そこら辺の一般プレイヤーが同じことをやろうとしてもまず返り討ちになる。
ちなみに人気のエピオンは中堅下位といったところ。格闘戦に持ち込めれば右に出るものはいないが、そこまでが辛い上、何よりも上位陣(ウィングゼロ、ターンエー、ゲドラフ辺り)にほぼ詰みという欠点がある。
新システムNDによるゲームセオリーの変化により、連ザ以前とは別ゲーと言われ、プレイヤーの間でもND肯定派、否定派が出る作品となった。
とはいえ意欲的な機体数増加、もろもろの演出面も強化でキャラゲーとして完成度の高い作品となっている。
突き詰めると「ウイングゼロ、ターンエー、初代ガンダム、陸戦ガンダムの4択。他はいらない」とは言われるが、それでも当時のVSシリーズとしてはゲームバランスが良く、対戦ツールとしての人気も高かった。
PSP版発売でアーケードプレイヤーが減り、次回作の稼働等でおおよそ撤去されてしまったものの、今でも一部店舗では稼働を続けている。
VSシリーズはガンダム対戦ゲーとして屈指の地位を持っている事実があり、当然ながらそれぞれの作品に固有のファンが付いている。
今作はNDという斬新かつ荒療治なシステムが搭載されたが、それによるゲーム性の変化を、あまり深くやりこんでいない(すぐ触ってやめた、など)旧作ファンに誤解されやすい面が多々ある。以下にいくつか挙げると…
総じて、旧作からの視点でゲーム性を評価すると誤った見解になってしまうことが多く旧作ファンから誤解されることが多いゲーム性である。特に直接の続編としてガンガン、それ以前の作品の連ザと過剰なバイアスを持って比べたがるファンが多く、VSシリーズファンの間でもこれらは毛嫌いされている。今でこそある程度確立した評価がされているNEXTであるが、出た当初は連ザ以前のプレイヤーからの評価は惨憺たるもので、非常にアンチも多かった事を付記しておく。
【きどうせんしがんだむ がんだむばーさすがんだむ ねくすとぷらす】
PSPへの移植作。前作同様携帯機への移植ではあるが、移植面はほぼ完璧でかつ追加要素も豊富である。
ハード性能の都合上、一部カットされた要素はあれど、アーケードゲームの携帯機移植としては十分良くできた移植。
それでいて新たなプレイアブル機体や新ボス、新ステージなど本作ならではの追加要素も充実している。
一人用のミッションモードもそれなりに作りこまれており、一人でも存分に楽しめる作品となっている。
*1 前作でも当然ロケテは行われたのだが、少し触れば、即座にゲームバランスをぶち壊すと分かる「フリーダムガンダム」がほぼ手つかずで本稼働に投入されるなど、ぶっちゃけ形だけのものと言っていいレベルだった
*2 フリーダムガンダムの登場作品が「種運命」から「種」へと変更されたため。前作のカットインはパイロットスーツを変更されたうえでストライクフリーダムガンダムに使用された
*3 俗に言う「350補正」。一部武装を除き、強制ダウンまでに350を超えるダメージを受けた際、350以降のダメージに80%の軽減補正が掛かるという仕様。
*4 一応、高跳びしている相手を真下から撃つなどの方法もあるが。
*5 次回作からは、全機体が手動盾が可能となりこの問題は解消された
*6 ザンネックやクィン・マンサといったMSも混ざっているが、ゲーム上はあまり差が無いのでまとめてMA扱いされる。
*7 エピオンは最高コストということもあり機動性がすこぶる良好でアシストの射撃バリアがあり、中堅クラスの万能機程度は腕と読みで対抗可能(TXなど例外もいるが)。2号機は核・ザメル(アシスト)・前サブなど接近を補助する現実的な手段を多く持っている。
*8 特射の「SEED」発動中に射撃CSで撃てるのだが、長時間足を止める上にSEEDの持続時間が数秒しかなくSEEDそのもののリロード時間も長いと、狙いどころが限られる。この仕様上、腰部レールガンと腹部ビーム砲もほとんど使われない。
*9 自機を回転させながら照射ビームを撃つのだが、射角を弄ることで「発射と同時に200ダメ」という超ハイリターンな攻めができる。
*10 超弾速超火力の狙撃ビームで、発射音がそのまま名前の由来となっている
*11 主に格闘機としては近距離の択が少なく、全体的に高低差に弱いことによる
*12 メインが単発ダウン+連射可能のビームになり、CSが段階チャージの照射ビームになる等。
*13 あくまでCPU専用なのは、機体毎の製作の手間を抑えるためにモーションがほぼ過去作からの流用であるからだろう。例えばサンドロック改は、格闘モーションは連ザ2のストライクノワール、射撃モーションはNEXTのヘビーアームズ改や連ザ2のソードインパルスなどから使い回されている。
*14 例外的に、『X』はガンダムDX対ガンダムヴァサーゴの形で最終決戦を再現している。