ラストリベリオン

【らすとりべりおん】

ジャンル RPG
日本国内版
輸入版北米
対応機種 プレイステーション3
発売元 日本 日本一ソフトウェア
北米 NIS America
欧州 Tecmo Koei
開発元 ヒットメーカー(旧ヒットピット)
発売日 日本 2010年1月28日
北米 2010年2月23日
欧州 2010年3月26日
定価 日本 7,140円(税込)
北米 5,319円*1
判定 クソゲー
ポイント 2010年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門大賞
レベルを上げて物理で殴ればいい
薄っぺらいシナリオとボリューム
荒涼としすぎな世界観
主題歌だけは高評価
備考 北米及び欧州版のタイトルは Last Rebellion
欧米版参考サイト1
欧米版参考サイト2
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧



二人の運命が交差するとき、世界への反逆がはじまる―



あらすじ

物語の舞台となる世界・ジュノヴァルドには、
死と破壊をつかさどる神「ミークテリア」と、
生をつかさどる神「フォーミバル」の力が渦巻いています。

(中略)

フォーミバルの力により再生し、不死者となったモンスター「バルノゼルト」は、
通常の手段で滅ぼすことがかなわず、物理的な破壊を担当するブレイドと、
スピリット面の破壊を担当するシールの2者の協力により、初めて打ち倒すことが可能になります。

ナインの故郷「ルオーヴィン」は数年前の戦乱により、バルノゼルトが横行する地となりました。
王国の魔道士たちは結界を張り、
災厄を最小限に封じ込めていますが抜本的な解決には至っていません。

この度、アーゼルライド王は一計を案じ、
諸国に名を轟かせているブレイドのナインを呼び戻し、
有能がゆえに忌避されてきた一人のシールを王宮へと招くのですが――

(公式サイトより抜粋)


概要

自称「王道RPG」。
それに加えて「1ターン中に何度でも行動できる(行動した分CPが減る)」「2人の主人公は戦闘中を含めて適宜交代可能」「敵の部位を正しい順番で攻撃して大ダメージ」「物理攻撃で刻印を刻み刻印魔法で攻撃」等々、一見奥深そうな戦闘システムを売りにしていた。
だが、その期待は見事に手に取ったプレイヤーからリベリオン(反逆)される事となった…。


問題点

シナリオ・世界観

  • 登場人物が(名無しのモブまで数えても)10人前後しかおらず、非常に小ぢんまりとしている。
    あえて登場人物や規模を狭め、その中の描写を徹底して突き詰める手法の作品は多いが、本作の壮大な世界観とはどうにも噛み合っていない。
    • 主人公はブレイドの「ナイン」とシールの「アイシャ」の2人。それぞれブレイドとシールの中でも秀でた実力を持っているらしいのだが、比較対象が作中にほとんどいないため、いまいちその凄さが伝わってこない。
      • いわゆる魔術師のポジションであるシールはともかく、ブレイドの「敵の肉体を破壊する」という能力に関しても特に印象的な描写はない。特に最強格のブレイドであるはずのナインが、ブレイドではないアイシャより一回り強い程度の描写しかないため「それってただの(ちょっと強い)剣士なのでは?」と思わざるを得ない。
    • 生の神と死の神がそれぞれ存在するのだが、何と死の神しか本編には登場しない。シナリオの根底にあるはずの存在なのに扱いが雑過ぎる。
      • 相反する属性の神々が登場する話と言うのはその他のクソゲーでもよく見かける設定ではあるが、片方の神しか本編に登場しない時点で作り込み度合いはそれらのシナリオにすら劣っている。
  • 国家存亡レベルの危機が発生しているようだが、これについてもそれを窺わせる演出がなく、プレイヤーにはさっぱり実感が湧かない。
    結界が全て破壊されても目に見える変化が起こらず、空の色が変わったり強い魔物が登場したり街の人たちが恐れおののいたりする描写もない。
  • 作中で出さないと話にならない最低限の国すら、名前が挙がるだけで作中で登場しない。「主人公の王国」「シールの修業をする魔法国家」「二つに分かれたという主人公の敵国」「獣娘の故郷」等々…。
    • 最初のマップである王宮からしてやたら荒廃している。過去の戦争やモンスターのせいのようだが、国が滅んでいるとしか思えないレベルで荒れている。そして住人は数人の幽霊と側近が一人だけ。
      • 兵士や他の臣下はマップ中にいないどころか、イベントで王の身に危険が迫ろうが一切現れる気配がない。見張りがいれば防げたような失態すら犯す始末*2。ここは本当に王宮なのか……?
    • 町らしきマップはひとつだけ。家はただの背景で当然入れない。見た目はどう見ても谷で、崖の上に家がぽつぽつあるだけ。加えてモンスターも徘徊している(勿論イベントとか関係なく)。
    • 重要人物数人以外は棒立ちの幽霊のNPCしかいない。買い物なんて概念は無いので店など当然存在しないし、勿論宿も(ry)
      • 店がないことは、説明書にも明記されている。
      • そもそもお金の概念すら無い。
    • 登場人物達の話の中では他の人間もたくさんいるらしいことは述べられているが、本編中にはそれら人間が一切出てこないのでかえって不自然な世界に見えてしまう。お前らが言ってる人達は一体どこにいるんだ。
  • 「王道」を謳うストーリーだが、その導入は「開始早々弟に殺された主人公が蘇り、報復のためにご近所を探し回る」というもの。どのへんが王道なのか…。
  • クリアしても判明しない、投げっぱなしの設定が多い。
    • なぜフォーミバル神の力が強まってモンスターが復活するようになったのか、なぜナインは類稀なブレイドの才能に加え魔法まで使えるのか、なぜナインから獣娘の父親の匂いがするのか…等々。
  • 固有名詞が数多く登場するが、ヴ・ミ・ル等の音がやたら多用されている。
    ゲーム開始10分で「フォーミバル」「ミークテリア」「ヴァミノーゼル」「ブレイドヴァミルス」といった名前が押し寄せてくるため、覚えづらいことこの上ない。
  • 挙句「さあ、俺達の冒険はこれからだ!」というところでいきなり終わる、いわゆる打ち切りエンド。
  • 全体的に、ファンタジー小説やバトル漫画等に影響された素人が上っ面だけの空想を思いつく限りノートに書きなぐり、それらを吟味したり整合性を持たせる事もせずそのまま『RPGツクール』で適当に形にしたものという内容。
    • 「展開が悉く場当たり的」「設定は壮大なのに描写が全く伴わず凄まじいハリボテ臭」「重要人物以外の存在が無視されたような閉塞的な世界」「読み手が居るという事を一切考慮していないやたら大量な造語・設定」「これらは殆ど活かせず、大体が単にその場を賑やかせてフェードアウト」「設定や展開同士の整合性も考慮されておらず、矛盾&超展開まみれ」「結局手が回らなくなった挙句、無理矢理締める」などなど、単に「厨二っぽい」というだけではすまない真正の厨二病シナリオである。言い換えると創作初心者がやりがちな失敗を全部詰め込んだ代物。
      • …そういう意味ではある意味「王道」である。

演出・音楽

  • イベントは動きの無い絵で展開される。例えると「英語音声付きの紙芝居*3」で、明らかに前世代機のクオリティ。
    • 結界が破壊されるといった重要なシーンでも爆発音すらなくフラッシュのみで処理。「ヌギャー」か。
    • 更に通常のグラフィック自体も完全にHD画質の無駄遣い。携帯機並みといっても過言ではない。
    • 物体の影は直接書き込まれているため*4、一部現物と比べてどう考えても不自然な影が存在する。
  • PS3時代の3Dゲームにも拘らず、気絶などの状態異常にかかってもプレイヤーのモーションは一切変わらない。
  • BGMも単調で、場面によって盛り上がるということも無い。
    • なぜか音量の初期設定値が非常に小さい(255段階中30。最大値の約12%)。「環境音かと思った」等と言われるほど。
    • ボス戦(ラスボスではなく終盤の)では影山ヒロノブ氏の歌うボーカル曲「戦絆*5」がかかるのだが、演出がショボ過ぎてミスマッチ。*6曲自体はかなりいいだけに、余りにもったいない。
      • 自称「王道RPG」なだけに主題歌はそれに合わせてあり、歌詞も本編のストーリーを意識したものとなっているが、温度が違いすぎる。影山氏は熱い歌声で有名*7であり歌も王道を突っ走る熱い歌だが、絵と合っていない(絵はどちらかといえばクールな印象を受ける)。
  • 日本語字幕+英語音声フルボイスなのだが、字幕がまともなのに対して英語音声は翻訳サイトを使ったのかと思う程の酷さで、「パパ→Oh Daddy!」「ククク、やあ兄さん→HAHAHA Hey Brother*8」等々違和感全開。しかも棒読みである。
    • クセがなく日本人には非常に聞き取りやすい英語なので、RPGで学ぶ英語教材としてなら使える…かもしれない。
    • いかにもJRPG然としたキャライラストと英語音声の相性が悪く、違和感がある。
      • 世界観を意識して英語で話している…のかどうかは不明。棒読みのため演技の迫力にも大きく欠けている。
    • 一部日本語字幕がおかしい場面もある。
      • 例としては、主君を「王」と呼ぶ臣下。普通は「陛下」と呼ぶのが正しい*9。英語音声では“My lord”と言っているが、“My lord”は爵位を持った貴族に対する呼びかけであって、主君に対する呼びかけとしては“Your Majesty”が正しい。

戦闘システム

  • 戦闘システムは要素が多いため一見奥深そうに見えるが、実際はレベルを上げてゴリ押しするのが一番楽に進めるバランスであるため、システムは形骸化してしまっている。
    終いには「レベルを上げて物理で殴ればいい」と一蹴される始末で、無駄に複雑化したシステムは無意味な要素になってしまっている。
    • 低レベルだと物理も魔法もほとんど攻撃が当たらず、戦闘時間がとても長い。下記のシンボルエンカウントもあるので、うんざりするほど戦わされることになる。
    • 1レベルごとに1割という闇金融の貸付のような速度で成長するHP*10を始め、レベルアップによる能力値の上昇が異常に大きい。そのため、レベルが上がってくると物理だけで削れるようになり、攻撃魔法を使う必要性がない。
  • 刻印(攻撃)魔法は「予め物理攻撃を使っておかなければ効果がない」「むやみやたらに属性が多い」「(下記の)経験値ボーナスが加算されない」と何もいいところがない。
    • タイプ相性がポケモンを超えるくらいあるが、レベルを上げれば相性なんか気にする必要もない。
      • 攻撃魔法は「」「」「」「」「」といったよくあるものから、「」「」「」それぞれに「」「」「」「アダマン」「ミスリル」が複合するものまで20種類ある。
      • ポケモンシリーズでも、18タイプ分のバランスを取るのに大変苦労している*11のに、それを超えてしまって活かしきれると考えていたのだろうか?
    • 一応、刻印を刻んだ部位の全てに命中し、弱点属性を突けば更なる大ダメージを与えられるという利点はある。但し敵1種類につき有効な属性は1種類だけ。
      • 例えば「シルバーアックス」が効く敵に対して「シルバーアロウ」や「ミスリルアックス」等を撃っても効果は低い。
  • 刻印魔法とは別に強化魔法もあるが、こちらは逆に強力なものが多くバランスブレイカーとなっている。
    • 攻撃力を上昇させる魔法やCPを回復する魔法があり、これらを覚えるとバランスが破綻していく。強化魔法は非戦闘時でも使えるため、あらかじめCP回復魔法を使って戦闘に突入するだけで万事事足りるようになる。
  • 敵には攻撃の対象となる部位が6~10程度あり、正しい順番で攻撃するとダメージが大きくなり経験値ボーナスも増える。一度正解した部位は順番が表示される。
    • 正しい順番を当てるのは総当たりするしかない面倒な作業。そしてレベルが上がるとこんなことをしなくても十分ダメージを与えられる。それでも経験値ボーナスがある分、刻印魔法よりはマシであるが。
    • 経験値ボーナスが最大999(元の値の9.99倍)まで取得できることもインフレに拍車をかけており、一回の戦闘で4~5レベル上がることも珍しくない。
      • 一部の通常では見えない隠し敵はレベルが高く設定されており、戦っているだけでレベルがどんどん上がるのもインフ(ry)
    • 強くなり過ぎるとどこを狙っても一撃で倒せてしまうため順番を明かすのが困難になる。ダメージを与えず刻印だけを刻める装備品もあるが、ドロップ品で入手が面倒。
    • なお、刻印の順番は敵によって違っている。無駄な複雑化としか言いようがない。
  • シンボルエンカウントであるが、その意味が全くない。
    • 敵シンボルはプレイヤーキャラより遥かに速く移動するため、追われたらほぼ逃げられない。通路が狭く当たり判定が非常に大きいのですり抜けることもできない。その上、マップを切り替えないかぎりどこまでも追ってくる。
    • 敵シンボルが立ち入りできない領域も一応あるが、そこに入ったところで敵が追跡を諦めることもない。そのため立ち入りできない領域の前で待ち伏せし続ける。その執念はもはやホラー。
    • 戦闘終了後の無敵時間も一切ないため、囲まれたら連戦になる。戦闘中に逃亡することもできるが成功率は低く、逃亡したところでまたすぐ戦闘になる。
      • 序盤で姿や足音を消す魔法、中盤で一定時間早く走れる魔法が手に入るが、前者を使っても敵シンボルの配置次第では必ず当たって戦闘は避けられないし、後者を入手する頃には味方が既に敵よりも遥かに強いため使う必然性がないレベル。
      • なお、序盤で入手する二種類の魔法については、当初は両方使わないと効果がないと思われていたが、後年の研究で、敵の種類によって視覚と聴覚のどちらかに反応して追いかけてくることが決まっていると判明した……これまた無駄な複雑化なのは言うまでもない。
  • 同フィールド内で、普通のザコ敵・大きさが違うザコ敵・色の違うザコ敵とモデルの露骨な使い回しが行われる*12
  • 状態異常も多いが、名前が違うだけで実質「毒」と「行動不能」という項目のダブりがやたら多い。
    • 正確に書くと、攻撃や防御などの各種ステータス低下・沈黙・暗闇といった物もあるにはあるが、「毒」相当が4種、「行動不能」相当が5種という有様である。
    • しかも、一部の行動不能にかかっている場合でも、それを回復する魔法を使えてしまうため、実質1ターン足止めされるだけにしかなっていない。
      • とはいえ、状態異常魔法を複数使ってくるラスボスが強い。眠りと重力を同時にかけられると数ターン何も出来ないまま一方的にボコられてしまう。
  • 倒した敵は、一部ボスを除いて「封魂」という封印作業をしなくてはならない。これをしないと数ターン後にHP全快で復活する。
    • 封魂が出来るのはアイシャだけ。ナインは代わりに倒した敵から「魔吸」でMPを吸収出来るが、封印していないため敵復活のリスクが高まる。
    • 結局ただの作業にすぎないため、戦闘のテンポが非常に悪くなる。
  • 「レベルを上げて物理で殴ればいい」というフレーズだけが独り歩きしているせいで誤解されがちだが、本作のバランスは厳密には「レベルを上げて物理で殴るしかない」が正しい。
    • 高速で迫る敵シンボルからは逃げ切れないため、否が応にも全て倒しながら進まざるを得ず、魔法を使う前にはまず物理攻撃を当てなければならず、おまけに装備品の効果はごく微弱…
      従って「嫌でもレベルが上がり、嫌でも物理で殴らされてしまう」という表現の方がより正確。魔法主体・物理縛りというプレースタイルはそもそもやらせてもらえないのである。

その他のシステム

  • 禁術によってナインとアイシャは命を共有している為、同時に存在することができない*13。戦闘では入れ替わって行動できるが、他に(戦闘に加わる)仲間はいないため本作は実質単独メンバーで進行する。そのため飽きが早い。
    • 入れ替わりは魔法陣を通って空中から出現するのだが、毎ターン挿入されるためテンポが悪い。しかも気絶状態などでも魔法陣を通って入れ替わる。意識あるじゃねぇか!
    • 片方が受けた状態異常は、キャラを入れ替えても受け継がれる。何のための入れ替わりシステムなのか。
  • 装備は「耳(イヤリング・ピアス)」「指(指輪)」「腕(腕輪・籠手)」。
    • 状態異常無効化能力のあるもの以外は能力が数%向上する装備ばかりであり、レベルが上がればあっさり強くなることもあって必要性に疑問符が浮かぶ。装備がキャラクターの外観に反映されるようなこともない。作る意味はあったのだろうか?
    • というか、ステータス画面自体が無いのでパラメータが参照出来ない。確認できるのはHP・MP・CPのみで、攻撃力UPと言われても元の攻撃力が分からず、状態異常や防御力上昇などに全てアイコンがあるがどこにも解説がない。
    • ナインとアイシャの武器はどちらも双剣だが、最初から最後までそれしか登場しない。鞘すら描かれていない。
  • 画面右上のエリアマップはすべて英語表記である上に文字も小さくて物凄く分かりづらい。段差や道の分岐がきっちり色分けされておらず高低差がある所でも平面で表示される。一応拡大することはできるが、透過率が低いため邪魔なだけ。
  • フィールドでは操作キャラがナインの場合ではMPが、アイシャではHPが自動回復するが、魔法でHPを簡単に回復できるためアイシャの存在意義がない。
    • 一見役割が逆のように思えるが、おそらく引っ込んでいる側が休憩しているからと思われる。
  • ロードも全体的に長く、タイトルで読み込みが入るのにエリア移動でも長く読み込む。開始するのに30秒以上かかり、マップ移動その他にも5秒程度かかる。
    • 日本一ソフトウェアの多くのゲームでは、ゲーム前に長いロードをしてゲーム中のロードを抑えるという手法を取っているが、この作品は外注開発のためそのようなシステムは存在しない。
  • ゲーム終盤で必要になるキーアイテムは何故か透明な宝箱に入っている、透明な宝箱の位置自体は一応目視でわかるが、全ダンジョンを回る上に具体的な場所はノーヒントなので総当りになる。
    • なお他の宝箱も含め、開けるには「ガノンの鍵」という消費アイテムが必要になる(箱の中味によって鍵の消費数が異なる)。鍵はキーアイテムが入っている宝箱を開けるのにも必要なため、足りない場合はザコ敵を倒して集めてこなくてはならない。
  • カメラの操作が左右反転であり、設定で変更することもできない。PS3はおろかそれ以前のソフトにも有って当たり前の機能なのだが。

ボリューム

  • 普通に遊んだ上でクリアにかかる時間は半日程度。2000年代以降に発売されたフルプライスのRPGとして考えるとかなり短い。
    • 順調に進めば普通に10時間以内でもクリア可能だが、上記は迷子になる時間(分かりづらいマップのせいで3~4時間ほど)を加味しての話だが。
    • 日本一作品には「2周目(以降)のやり込み要素」がつきものだが、本作はそもそも2周目自体がない。つまり一度クリアしたらそれっきり。
      • 一度明かした敵の攻撃順序はオプションから確認できる。すべての敵の攻撃順序を解明するのがやり込みと言えばやり込み要素。ただしすべて解明しても特典は一切なし。
      • 隠しボスは居るのだが、事前にニュースや広告媒体で公開されていたせいで驚きはあまり無い。
    • 因みに現在確認されている最速記録は1時間49分。評価されるかどうかは置いておいて、RTAには向いているかも知れない。

評価点

  • トロフィーの獲得が非常に簡単。クリア時間と同じ時間で全て取得可能。
    • もっとも、これも本編のボリュームの薄さと劣悪なゲームバランスが原因であり、むしろ獲得の際には精神的な苦痛との戦いになるとも言える。
  • キャラクターデザイン自体はそれほど悪くなく、女主人公であるアイシャのデザインは好評。
    • なお、キャラクターデザインを行ったのは所謂セミプロのイラストレーターである。
  • 影山ヒロノブ氏のOP曲「EVER LAST」と霜月はるか氏のED曲「最後の道標」は大変好評*14
    • 特に「EVER LAST」は(絵とのミスマッチはともかく)影山氏の熱唱と相まって、楽曲としての完成度は非常に高い。こんなゲームに使われているのが惜しいくらい。
  • ローディング画面で表示されるイラストは美樹本晴彦氏や末弥純氏、小林智美氏といった大御所の手によるもので豪華。
    • このイラストに関しても影山氏の主題歌と同様に「こんな所で大御所起用なんてもったいない」と言われてしまっている。
  • 戦闘に関しては、初期はバランスが取れているためそこそこ楽しめる。プレイ時間にして30分ぐらいまでは。
    • その後も「ボス戦の前に、そのボスの弱点である魔法を入手できることが多い」など、一応は王道RPGらしくバランスに配慮していることは窺える。
  • 部位攻撃順序を敵ごとに記憶できるため、入力の手間が省ける。
  • カメラ視点の制約が厳しくないので、立ち位置を調整すればアイシャのパンツが見放題になる。
  • 最終盤のイベントは、過程はともかく王道を往く熱くも切ない雰囲気を醸しだしており、ここだけは評価する声が多い。この部分のクオリティを全編で満遍なく発揮できていれば……。
  • オプションに用語説明がある。上述の通りややこしい固有名詞が多く登場することに対する配慮であろうか。

総評

ゲームとして駄目な要素をほぼ全て押さえ、そのどれもがプレイヤーに苦痛や苛立ちしかもたらさなかった結果、全方位的にクソとしか断じようのない、所謂ストロングスタイルのクソゲーになってしまった。
売りとしていたシステムは悉く足を引っ張るだけのストレス要素にしかならず、基本的な作り込みにおいても乱雑な上プレイヤーに不利な部分、ゲーム的にどうでもよかったり余計な部分は無駄に作りこんでいるが、プレイヤーが求めていたであろう肝心な部分は悉く手抜き…等、開発陣側とプレイヤー側の感覚の乖離が激しい事も、批判の見方を強めている。


余談

  • クソゲーオブザイヤー2010では大賞を受賞。
  • 海外レビュー(2ページ目:THE VERDICT/総評)では「Last Rebellion simply doesn't need to exist.(ラストリベリオンはまるで存在する必要がない)」とまで言われてしまった。
  • 後に発売された『魔界戦記ディスガイア4』では、「ラストリべリオン」の名を冠した高性能の拳武器(=物理で殴る)が登場。説明文は「好評発売中」。
  • 「レベルを上げて物理で殴ればいい」という有名なフレーズで評された本作だが、物理攻撃(特に通常攻撃)に極端に偏重しているゲームは、本作以前に発売された作品も含め、本作程の酷さでなくてもこの言葉が使われるようになった。

その後の展開

  • 2013年、電撃オンラインが「ラストリベリオンは本当にごめんなさい」というタイトルのインタビュー記事を掲載した。
    • このインタビューにおける日本一ソフトウェア・新川社長の発言内容を簡潔にまとめると、「当時はほとんどのソフト製作を外部委託に頼っており、委託会社と品質のボーダーラインの認識にズレが生じていた」「ほとんどのタイトルで赤字」「業績も相当ダウン」「品質や内容が目安に達せず開発中止になったタイトルもいくつかあった」とのこと。
  • NIS Americaは2013年に『時と永遠~トキトワ~』の欧米版を発売している。
    • この『トキトワ』は、「物理が役立たずで魔法の性能がぶっ飛んでいる」と本作と正反対の方向でゲームバランスが崩壊していた為、例のフレーズを改変して「装備を変えて魔法で殴ればいい」と言われる羽目になった。
    • システムこそ違うが、こちらも入れ替わりシステムを導入しているという奇妙な共通点もある。
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  • 2010年

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最終更新:2023年12月05日 20:12

*1 ※情報を初出した2013年7月19日時点のamazon.co.jpでの価格。

*2 「死人はゾンビのように蘇ってしまう」という世界で、側近は当然そのことを承知でいながらも王を安易に火葬にするわけにはいかないと王の遺体を安置していたら、王の遺体が行方不明になってしまう。

*3 アニメーションではない点に注意。

*4 テクスチャに前もって影を描き込む技法自体はPS3世代の大型タイトルであっても常用されるが、当然工夫はされている。

*5 本作のOP曲である「EVER LAST」のシングルCDの所謂「B面」として収録されている、本作の挿入歌。

*6 なによりそのボスそのものがショボイ。気になる人は調べてみよう。

*7 ドラゴンボールZの主題歌や、スパロボ主題歌等を歌うJAM PROJECTでセンターボーカルをやっている歌手といえばアニソンに疎い人でも分かる筈。

*8 英語圏では、兄や姉であっても下の名前で呼ぶのが通常で、「Brother」を呼び掛けに使うことはあり得ない。そもそも、名詞に代名詞(この場合「my」)が付いていない時点で文法的にもおかしいのだが。

*9 階段の下という意味。相手に直接呼びかけるのを忌むことで敬意を示す。

*10 比喩ではなく、本当にレベルアップごとに1.1倍になるという単純極まりない増加法。最大HPが高くなるに従い増加量も爆発的に増える(Lv1でHP500→Lv30台でHP10000以上)。

*11 初代と比較して不遇タイプを救済するために更に3タイプ増やしたり、とくしゅのパラメータを分割、技ごとの能力偏重を廃止などの処置を採っている。

*12 ドラクエで例えるなら、1つの地域に「スライム」「メタルスライム」「ダークスライム」「キングスライム」「クイーンスライム」が出てくるような光景である。

*13 他の作品で例えるなら、「ウルトラマンとハヤタ隊員」や「遊戯王の武藤遊戯と闇遊戯」をイメージしてほしい。

*14 ちなみにOPの作編曲は上松範康氏、挿入歌は藤田淳平氏、EDは菊田大介氏と、Elements Garden所属スタッフが手掛けている。