奈落の城 一柳和、2度目の受難

【ならくのしろ いちやなぎなごむ、にどめのじゅなん】

ジャンル 本格推理アドベンチャー

対応機種 プレイステーション2
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 フォグ
発売日 2008年3月6日
価格 7,140円(税込)
廉価版 The Best Price:2009年3月19日/2,940円(税込)
判定 なし
ポイント 2008年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門次点
解読困難な暗号
3D酔いしやすい迷路
一部のシステムが前作から難化
テキストがまだない
評価点もそこそこある
驚愕のオチ
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
一柳和の受難シリーズ
雨格子の館 (Portable) / 奈落の城 一柳和、2度目の受難 / 氷の墓標 一柳和、3度目の受難


概要

  • 『雨格子の館 一柳和、最初の受難』の続編。
  • 通称『奈落』。クソゲー飢饉であったがために注目を集めてしまったソフト。2008年KOTY七英雄の一つだが、最終的には七英雄の中では最底辺と言われた(つまりゲームとしてはマシな出来)。
  • ドラマCDが付属しているが、ゲーム中にボイスは入っていない。

ストーリー

一柳和は以前起こったある事件(前作)で知り合った俳優・高遠日織の誘いで、ヨーロッパの山中にある彼の友人の城へ旅行することになる。
高貴な貴族たちと、その関係者との会話による緊張と、孤立した城という過去の事件を思い出してしまう場所、さらに城にまつわる因縁と呪いの伝承、その全てに困惑する和。
晩餐が終わり、皆が談話室に集まったところで突然の停電が城を見舞った。その闇の中でしわがれた奇妙な声が響く。
――怨念が強くなってきておるのう……

基本システム

  • 登場人物と会話し、キーワードをどんどん出現させて真相に近づいていく作り。基本フラグゲー。フラグが立ってないと即死、なんてことも。
    • 会話からヒントを得て、自由行動で登場人物の殺害を阻止するのがこのシリーズの特徴。
    • しかしフラグ管理が甘い箇所が散見され、人の生死についての会話などの整合性が取れなくなっている箇所が散見される(前作からの問題点)。

問題点

テキストがまだない」ばかりネタにされるが、一番の問題は捜査のしづらさにある。
また、基本的に動きが遅く操作性も悪い。
3D迷路

  • 地図に表示されない迷路探索が必要なのだが、迷路以外で可能なショートカットが不可能。
    • シナリオ上何度も往復させられるのに、一度到達した地点にすらショートカット出来ない。
      • 抜ける先が複数ある為だと思われるが、それでも一度抜けた先へのショートカット機能は欲しかった。
    • また隠し通路である為、画面が暗く見づらいので人によっては3D酔いする。しかも結構長い。
    • ちなみに前作は一度行きさえすれば、マップからショートカット可能であった。難易度上げの一環だろうか。

困難な聞き込み

  • 聞き込みしたいキャラが自由時間内に数回移動する。
    • ただ的外れな場所にはいないため、そのうちどこにいるのかは見当がつくようにはなる。
      • しかし見当がつくようになるまで空振りを繰り返してストレスが溜まることも。総当たりになってしまう事態も多々ある。

細かすぎるアリバイ表作成

  • とあるルートでクリアに必須なのが1分刻みのアリバイ表作成。しかも証言が非常に曖昧で、手動入力する必要がある。
    • 前作は5分刻みである程度自動で埋まった。
      • 続編という事でさらに難しくしたのだろうが、細かすぎる上に解けない人への救済がない。
      • 実際には聞き込んだ条件で埋めていくと、一つの形にはなるように作られているうえ、そのルートに行く前の必須ルートで大まかな答え合わせとヒントをくれるイベントがあるが、確かに解釈の仕方次第では詰む可能性はある。

暗号の難解さ

  • 暗号を解く箇所が複数あるのに、暗号が異常に難解。ヒントはゲーム中にあるとは言え、解読は非常に困難。結果総当りになりがち。攻略無しではほとんど無理。
    • しかも移動に必須なある暗号はルートによって違うのではなく、3種類の中からランダム。ゲーム開始時に勝手に決定される。
    • さらにだだっ広い城の部屋の中から、キーとなるあるアイテムを似たようなものの中から1個見つけなくてはならないのだが、このヒントが暗号。
    • その暗号自体は易しいけど暗号。しかも例によって暗号も答えも6種類の中からランダム決定。アイテムは4つまで持ち運べるけど暗号。フォローになっていない。
    • 理不尽なまでの難しさに「推理ゲーじゃねえ! 暗号ゲーだ!」と切れるプレイヤーも。
    • PS2版の暗号の中には、ヒントから導き出される答えと実際の答えが明らかに間違っている暗号もある。(PSP版は未確認)

シナリオ上のオチ

  • 推理物ではタブーとされるオチ(ネタバレになる為詳細は伏せるが)であった。あまりの超展開ぶりに見た者は唖然。
    • オチがオチだけに「本格推理」は明らかに誤りである。

バグ

  • テキストがまだない
    • システムに書いたように、細かいフラグで会話が変更される為、一部整合性が取れていない。
    • その結果出来上がってしまったのが、死人に当人の死について質問した際に表示される伝説の「テキストがまだない」である。
      • ただし、条件を整えれば確実に表示されるバグとはいえ、普通にプレイしているとこの現象に遭遇する事はない。
      • また、あくまでデバッグ用のメッセージが表示されるだけで進行に影響はない。ネタにされる際に言われる「死人が歩きまわる」は嘘。

その他

  • おまけ要素としてフローチャートがあるが、大雑把で目安程度にしかならない。
    • しかもプレイ中に見ることは不可。出現させるためには一度エンディングを見なければならない。
  • 一回クリアすると現れるスチル閲覧モードに一枚開かないバグがある。ただしアルバムモードで見られないだけで、ゲーム中では見ることができる。

賛否両論点

  • 主人公のキャラクター性。
    • 20代の立派な成人男性(前作で免許が取れない年齢と勘違いされたくらいの童顔ではある。もっとも、それを踏まえても高校生未満にも見えないが)なのだが、「ちょっとしたことで気絶するほどの極度の臆病・怖がり」という設定で、状況次第で年齢にも外見にもそぐわないような幼児退行描写まである。
      • 前作から引き続きではあるが、このキャラクター性が駄目な人にはとことん合わず、主人公だけに終始見る事になる為、これだけで辛い人も。
      • ただし、このキャラクターが好き、もしくは、このキャラクターありきの他キャラクターとの会話が面白い、という人も多い。

評価点

キャラゲーとしては良好

  • 主人公含めキャラクターが個性豊かで会話をしていて楽しい。ある意味キャラゲーとも言われる所以である。
    • ボリュームもかなりあり、分岐が多いにもかかわらず、全てのルートで変化をつけた内容になっている。
  • 自問自答や登場人物との会話などで選択肢を選び推理していく方式。自分が推理していく実感が味わえる。
    • 好感度というパラメータが存在し、それが低すぎると警戒されて多くの情報を得られなくなるところが妙にリアル。
    • また、一緒に推理する相手を選ぶパートナーシステムが導入されており、クリアするごとに真相に近づいていける作りとなっている。
    • 膨大なキーワードは多種多様で「あやしいカップ麺」などくだらないものが入り交じり、ついつい明らかに事件と関係のない会話をしてみたくなってしまう魅力を持っている。
    • 結果、個性が強いがために「この人は絶対に助けたい、守りたい」と殺害を回避したくなる作りに成功している。
  • 妙に男率が高く華がない。流行の萌え絵でもなく妙に媚びていない点は評価に値する。
    • イラストが豊富でキャラクターも表情豊か。殺害現場のイラストなども結構凝っている。えぐい。
    • ただし、いわゆる腐女性向けゲーム雑誌に紹介されるなどそちら向けの絵と言えなくも無い絵柄ではある。
  • 推理モノとしてはタブーオチではあったが、一つの物語としての完成度は低くない。
    • オリジナルの推理ものということで評価され、09年2月の「週刊SPA!」で本作が「ゲーム直木賞」のひとつに選定されている。
  • 全クリアすると、前作に引き続き、劇中に登場する探偵小説の小説シナリオがプレイできる(こっちの方がいいというファンすらいるほど)。

総評

暗号と迷路、システムの難化はいかんともしがたいが、致命的バグもバランス崩壊もない。
キャラクター性は前作譲りで安定しており、推理物として首をかしげる要素はあれどシナリオの出来自体は良い。
前作ファンであれば、シナリオ目当てに手にとって見るのも悪くないだろう。
その場合、難易度が上がっているので詰まったら素直に攻略サイトなどを見た方が良いかもしれないが。


廉価版・移植

  • 後に出たベスト版では「テキストがまだない」やアルバムを含め、整合の合わない箇所などバグはほとんど解消された。これから買うならこちらをお勧めする。
    • ちなみに七英雄の中では唯一ベスト版が発売されたソフトでもある。
  • シリーズのプラットフォーム変更に伴い、さらにその後にPSP版も発売されている。

余談

  • KOTYにおいては、クソゲー日照りだったが故に「テキストがまだない」のインパクトのみで担ぎ出され、そのまま次点に選出された感は否めない。
    • まさにタイトル通りの「受難」というべきか。