注意:このページでは、オリジナルの360版『ラスト レムナント』を「賛否両論」判定、調整移植されたWin版を「良作」判定として解説する。



ラスト レムナント

【らすと れむなんと】

ジャンル RPG
対応機種 Xbox 360
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2008年11月20日
定価 8,190円
廉価版 プラチナコレクション
2009年9月10日/2,940円
判定 賛否両論
ポイント 好き嫌いが分かれる作品
サガシリーズ・関連作品

概要

2008年に発売されたスクウェア・エニックスの完全新作タイトル。
当時比較的新しかった開発エンジン、「Unreal Engine 3」を使って製作された。
『サガ』スタッフが大きく関わっており、サガシリーズとの関連性も強い。
シリーズ特有のシステムのアク・難易度の高さを継承しているとも言える。
世界観は、剣と魔法(『サガ』シリーズ同様「術法」と呼ばれる)、モンスター、人知を超えた力を持つ遺物群「レムナント」等の要素で構成されたファンタジー路線。
いわゆる「中世風」ではなく、人物の衣装等は現代性の感じられるデザインになっている。


評価点

  • 音楽の評判はとても良く、特に戦闘曲はどれも高評価。
  • 仲間キャラが豊富。人間に相当する「ミトラ」・猫系の獣人で四本腕の「ソバニ」・カエルを思わせる顔立ちに長い耳を持つ小型種族「クシティ」・魚類がモチーフの大型種族「ヤーマ」と、仲間となる種族も個性的。
  • 『サガ』スタッフが関わっているだけあってサガシリーズお馴染みの「閃き」や「レベルではなくステータスそのものが上がる成長システム」等も継承している。
    • 「乱れ雪月花」「熱情の律動」「ヴァレリアハート」「アンバーマリーチ」などアーツやレムナントにも『サガ』シリーズ由来のものが多く存在しており、シリーズファンならニヤリとできる要素多数。

賛否両論点

  • ストーリーが割とあっさりしている。
    • これぐらいで十分と言う者も居れば、もうちょっと好きなキャラの活躍の場を多くして欲しかったと言う者も居る等、様々である。
    • ちなみに、先を気にさせる展開を引っ張りつつ最終的に謎も程よく回収し、所々明言は避け想像の余地を残すなど、ストーリーの完成度自体は良好。
  • システムが若干理解しづらい。
    • 馴れればどうという事はないが、独自のシステムや用語がいくつもあるため、初見では分かりづらかったり、理解しきれない部分がある。
  • ある意味『サガ』シリーズ名物とも言える、「重要なのにノーヒント」という類の仕様もある。その難解さが魅力というファンもいるが。
    • 一例として、戦闘時の行動に応じて起こるクラスチェンジ(転職)システムがあるが、ゲーム中には一切のガイダンスがない。関連するパラメータも直接確認できないものが多く、さらにはクラスが持つ効果の説明すらゲーム中にはない。
    • 戦闘をこなすと上がってゆく「バトルランク (BR)」という数値にも、多少の落とし穴がある。これは敵にも設定されており、現在のランクより高い敵と戦うとステータスが成長しやすいため、積極的に強敵と戦いたくはなるが、実はランクが同等の敵と戦う方が総合的な成長回数では有利。同じランクまで上げるなら、強敵と5回戦うより、同等の敵と15回戦って上げた方が、ステータス成長のチャンスは多くなりやすい。
      • また、ランクが高くなるにつれて敵も(敵ごとに上限はあるが)強化される。ただし、よほど極端なランク上げでもしない限り、成長不足で詰むことはまずない。
      • 攻略情報があれば適正な狩り場も分かり、後半で加わるキャラの成長機会を残すための目安にもなるので、一概に不親切な仕様とも言えない。攻略情報があれば、だが。
  • その戦闘システムは非常に中毒性の高い物であるが、同時に非常に人を選ぶ。
    • 今作の戦闘システムは古典的なコマンド式ではあるが、操作するのは個々のキャラクターではなく1~5名のキャラクターで構成された「ユニオン(小隊)」で、プレイヤーはキャラ単位で「術法○○で攻撃」などといった指示を出す事は出来ず、実際に出来るのは「範囲術法で攻撃しろ」や「HPを回復しろ」などといった感じの大まかな指示のみで、指示に対応してどんなスキルを使うか、ユニオンの何人がそれに沿った行動を取るかはランダム(実行前に行動予定は確認可能)。
      仮に同じタイミングで同じ指示を出したとしても、同じ行動が返ってくる訳ではない。
    • プレイヤーが選べる指示自体も、ターンごとにランダムで変わる。戦力を温存したいが待機コマンドが出ない、回復したいが回復コマンドが出ないなど、プレイヤーにとってベストの行動を選べないことも多く、上記と合わせて本作最大のアクかつ魅力となっている。
    • 反面、AIがプレイヤーの思い通りに動いてくれた時にはなんともいえない達成感を感じることが出来る。
    • この「達成感」や「1ターンごとに予測不能な範囲で変わっていく戦況」「多人数対多人数で戦う事」に惚れることが出来ればそれこそ本当に下記に書かれている他の問題点なんかどうでもよくなって何十周でも周回プレイが出来るが、「明確な攻略法が存在しない」「AIが思い通りの行動をしてくれない」などにストレスばかりを感じるようだったら他の批判点や賛否両論点が余計にマイナスに働いて1周クリアすることすら大変な苦痛が伴う。
  • 主に上記のランダム性、さらに一戦ごとにコンディションが全快する仕様のため戦闘はキツめで、ゲームの難度はかなり高い。
    • ボス戦だけでなく雑魚との戦いすら「ちゃんと対策を練って行かないと死ぬ」「対策を練っていっても気を抜くと死ぬ」「戦略も準備も完璧でもたまに運が絡む(これについては後述)」などとかなりの難度を誇る。
    • ボス戦や大規模な戦闘で初見での全滅はよくあること。一試合につき数十分も掛かるような大規模な戦闘だと「死んだら数十分前からやり直し」なんて事にもなり、心が折れてしまったプレイヤーが続出。
    • 時には味方が一撃で殺され、しかも敵に操られて復活するサガシリーズおなじみのトラウマ技すらある。
    • 対策せずにダンジョンの奥深くまで進んでしまった場合は悲惨。強すぎる雑魚に泣かされながらちまちま戻るしかない。
    • どこでもセーブが可能なゲームであるため、後戻りできないダンジョンだと悲惨どころか詰む恐れも。
    • しかも、『サガ』シリーズと同じく「雑魚と戦うほど敵も強くなっていく」というおまけつき。そのため安易なステータス上げは自らの首を絞めるだけである。
    • これも戦闘システムにハマれるかそうでないかで大きく評価が変わる。ハマった人なら「どんなに周回して慣れても油断が出来ない絶妙なゲームバランス」「雑魚戦でも気合を入れてかかる必要があって一貫して緊張感を保てる」「雑魚にも対策が必要なためダンジョン攻略の楽しさが他のRPGとは桁違い」と好意的に見ることができるが、ハマれなかった人から見れば上記の長大な時間のこともあって「最凶のバランス崩壊ゲー&ストレスゲー」でしかない。
  • サブイベント等の寄り道できる余裕が多く、自由度が高い。
  • やり込み要素が多い。
    • 普通のゲームなら当然のごとく評価できる部分ではあるものの、今作においてはこれらの要素はこのゲームの戦闘システムと難易度を受け入れられるかどうかに懸かっている。
  • 武器グラフィックにクセの強いものが多い。
    • 特に強力なものほど顕著で、刀身に多数の枝を持ち全く斬れなそうな剣、刃が氷結していて鈍器にしか見えない大剣、先端に顔が付いたノコギリ刃の刀等、良く言えば奇抜、悪く言えばコケ脅しのようなデザインのものがかなり多い。店売りの低級品などは比較的シンプルなのだが。

問題点

  • ロードが長い。さらにロード自体が頻繁に起こる。
    • 10秒越えのロードはざらであり、戦闘中にも微妙なロードが発生するためゲームのテンポを損ねている。
      • 現在は360本体がアップデートされインストールに対応するようになり、本作品も適用可能。ロード時間は半分未満(それでも長い方だが)になった。
  • 処理落ちも多い。
    • 開発陣がUnreal Engine 3を扱い切れていないのか、綺麗なエフェクトを作ったはいいがそのせいでひどい処理落ちが発生する、という事態になってしまっている。
    • そのためド派手な必殺技を使うと処理落ちのせいでテンポが悪くなり、ストレスが溜まる原因になっている。
    • そうでなくとも、戦闘中は常に微妙に処理落ちしており、微妙にスロー。
    • 本体設定で解像度を最低近くまで下げれば、細かい文字は見づらくなるが処理落ちが劇的に減少する。
      • 逆にテンポが早くなりすぎて、クリティカルトリガー(連携を成功させるための簡単なコマンド入力)に反応しづらくなったりする。そのくらいに変化が生ずるので、処理落ちにイライラする方には一度試して頂きたい。
  • 上記の通り開発陣がUnreal Engine 3を扱いかねているフシがある。
    • 風に揺れる布などの動作がやや奇妙な動作・グラフィックになってしまっている。
    • 長いロードが終わってもテクスチャの貼り遅れなどが発生しており、見栄えが悪い。
    • それとは関係無いかも知れないが、戦闘時に死亡すると糸の切れた発泡スチロール人形のように全ての関節からフニャリと倒れるため不自然で若干滑稽。酷い時にはそのままブリッジの体勢を取りながら死ぬ場合もある。
  • 仲間になるキャラは大勢いるが、ユニオンに組めるのは6人だけで、後はモブ兵しか使えない。
    • Win版では解消された。
  • 戦闘システムに練り込み不足の点が見られる。
    • 範囲攻撃や遠距離攻撃など、距離や位置関係の概念はあるのにもかかわらず、「移動する」というコマンドが無い*1
      • おかげで範囲攻撃を使う敵に対しても、戦力を分散させておくことが出来ない。敵の強力な範囲攻撃で一気に味方軍勢が壊滅することもしばしばある。
      • 範囲攻撃が強力なボス等への対策としては、身も蓋もないが接敵するユニオンを減らし、大規模巻き込みを避けて少しずつ攻めるという手がある。位置を調整できるわけではないので結局巻き込まれることもあり、根本的な対策にはならないが。
      • なお、サイドアタック(側面攻撃)やリアアサルト(背面攻撃)といった仕様もあるが、これらは単に敵の行動回数を上回って接敵すると発生するもので、接敵前の位置関係は反映されない。攻撃後も、側面や背面へ確実に配置されるわけではない。
    • また、敵の優秀な範囲攻撃の中に、威力の高すぎる技がある。逆に敵味方双方に弱すぎる技もあり、バランス調整不足な点も見られる。
    • 「Rethink (考え直し)」という、「AIがプレイヤーの指示を勝手に考え直し、状況に合わせた最適な行動をしてくれる」というシステムがあるのだが、これはむしろプレイヤーの思惑通りに動いてくれないことが多い。
      • 例えば「瀕死の際に回復術法を使うよう指示する→高位の術法を持っているのに勝手に節約して下位の回復術法を使う→回復量が足らず、その後の敵の攻撃で一撃死」という事が本当に頻繁に起こる。
      • 逆に、ヒーラーの術法で9割回復しているのに、戦士系までが攻撃を中止してショボイ回復を付け足すようなことも。
    • また、本作の戦闘システムの特徴として、誰か隊員が一人でも状態異常になれば隊全体が状態異常になってしまう、という仕組みがある*2
      • このシステム自体は別にいいのだが、「カーズ*3」だけは、このシステムと組み合わさる事によってどうしようもない運ゲーに持ち込まれてしまうため、不評である。
      • 物語が中盤~終盤に差し掛かるころになれば事前に対策しておく事が可能になるが、それでも稀にカーズに引っかかってしまう。
    • 本作のHPの仕様は特殊で、キャラ毎のHPとは別に隊全体のHPが設定されている。
      • これもまた仕様自体は別にいいのだが、回復の指示コマンドはこの隊全体のHPの量に応じて出現するようになっているため、例え隊員の一人が瀕死であろうが、隊全体のHPが満タンに近ければ回復指示が出現せず、回復してやれないまま瀕死の隊員があっさり死んでしまう、という事が良く起こる。また、一人倒れた程度では蘇生コマンドが出ないことも多い。
  • テンポが悪い。上記のロードや処理落ちの他にもテンポを悪くさせる要素がいくつかある。
    • アイテム採取の演出が長く、若干ストレスが溜まる。
    • 毒状態・カーズ状態になった際、毎ターンの被ダメージ時のよろけの演出が微妙に長く、戦闘の流れが一瞬止まってしまい、非常にテンポが悪い。
  • 膨大なアイテムがあるが大半は使い道の無いゴミである。
    • 武器製作用の素材となるアイテムがやたら多い。しかし装備をカスタマイズ出来るのは主人公だけで、他の仲間は勝手に装備をカスタマイズしていくため、仲間用に武器などを用意する必要が無いというか、したくても出来ない。
    • 武器自体も種類は多いが値段が高く、前述の通り主人公にしか自由に装備させてやれないので大半が使われることが無い。
    • 消耗アイテムは回復用は頻繁に必用になるが、攻撃用のアイテムは単価が高い上にダメージが低く役に立たない。
  • よく分からない「士気」という要素。戦闘中常に士気バーが表示されているが、それが何の効果があるのか分かりにくい。
    • 一応士気が高いほど強力な命令が出やすいようではあるが、結局どのような命令が出るかは運次第である。
  • 集団戦が売りのはずなのに、ボス戦はほぼ単体戦。
    • 単体で強力なボスがザコユニオンを率いて登場することは多いものの、ザコは通常遭遇する程度のザコでしかなく、足をすくわれないように急いで片付けてからボスをじっくり料理、というのが基本的な流れ。集団戦の戦術的な面白さは皆無。
    • 自ユニオンと同程度の強さを持ち、それぞれ物理、術法、回復を得意とする敵ユニオンが複数出て……というようなボスバトルは、なんと一度もない。
    • 単体ボスには、最大3ユニオンまでのロックアップ*4に対して反撃する「マルチロックアップ」を持つものが多い。つまり単体でありながら包囲攻撃にも充分に対処してくるという仕様。
      • HPも飛び抜けて高く、狩りゲーで言うレイドボスのようなもの。本作の「ボス」はほぼこの類である。
    • ちなみにマルチロックアップに対しては、一度にロックアップするユニオンを1つに限定し、他のユニオンはロックアップしない遠隔攻撃や補助スキルによる援護、あるいは待機に徹して、交戦ユニオンが倒れたら即座に待機ユニオンが接敵する「ローテーション」という戦法がある。
      • が、結局これも集団戦とは何の関係もない。なお、出せる指示がランダムであるため、嫌でもロックアップしに行かされてしまうことも頻繁に起こる。
    • 加えてボスキャラはターン終了時にロックアップに関係なく全体攻撃を仕掛けてくることも多く、マルチロックアップも含めれば1ターン4回も攻撃するという反則的な仕様である。
      • こちらが20人ばかりの大軍で攻めかかるので一体で対応しようとすればそれくらいの調整がなければ一方的な展開になってしまうが、そんな調整よりなぜボスはほとんどが単体なのか、という話でもある。
    • 大量のザコが増援を含めて現れる大規模戦闘は何度かあるが、一部キャラの全体攻撃一発で消し飛んでしまい、やはり戦略を練る余地はあまりない。
    • 実際のところ、多数のキャラクターが入り乱れはするものの、システム的に集団戦とは言いがたい部分もある。
      • 例えば、ユニオンに対して「戦士は技で攻撃、術士は術法で攻撃」というような指示を出せないこともあって、ユニオンは例えば「技で攻撃」の場合に大ダメージを出せるように、戦士系なら戦士系で固める(せいぜい回復役を1人入れておく程度)ような構成にするのがセオリー。つまり「戦士系ユニオン」は技をダメージソースとする実質上の「戦士」として働く。よって、戦闘においては、1ユニオンが一般的なRPGの1キャラと考えてほぼ間違いない。
      • 能動的な移動ができないことに加えて、敵の行動指針がほぼ「最も近い味方ユニオンと交戦」のみであることも、さらに戦略性を下げている。敵を引き付けるいわゆるヘイトスキルもなく、結局どのユニオンもザコとの噛み合いに勝てる火力を確保することが第一になり、役割分担は無いに等しくなってしまう。サポート専門のユニオンなどは、ボス戦でもなければ作る意味が薄い。
  • 一度戦闘が始まったら逃げられない。とんでもなく強い敵とぶつかってしまって泣きをみることも。
  • ところどころ極端に小さい文字があって読みにくい。
  • メインストーリーに大きな破綻はなく、物語作りのツボは大筋では押さえられているが、微妙な突っ込みどころは割とある。
    • オープニングで妹イリーナを敵に拉致された主人公ラッシュだが、敵が飛び去った方向へ徒歩で追跡を続けるうち、地面に妹の好きな花が咲いている(落ちている、ではなく)のを発見し、突如として猛然と駆け出す。近くに妹がいると思ったのか……?
      • ちなみにその直後、偶然にも戦場に行き当たり、その中の妹とは全くの別人物を妹と錯覚して飛び込んでゆく*5
    • 離れて暮らすラッシュの両親は世界的なレムナント研究者だが、居所を追っていると、レムナント絡みの陰謀をもくろむ敵の手により、研究施設から怪物の徘徊する地下墓地の最奥へ移されたことが分かる。
      • 要人をそんな場所へ送るのも微妙だが、その場所へ行ってみるとごく普通の部屋で、父親だけが特に監視もなく研究生活を続けている。
    • さらに「母さんは敵を引き付けるために囮になってくれたんだ」と展開に合わないことを言い、母親は母親で、とある廃坑の最奥に隠れていることが分かる。
      • ちなみに母親の隠れ家は彼女の里らしいが、廃坑の奥ながら光と風の溢れる謎の住居である。
    • これらは限られたマップにできるだけ多くのイベント・クエストを詰め込んだ努力の結果でもあるだろうが、人探し系のクエストでは相手の居場所が明らかに変、一度訪れたダンジョンが別のクエストでは何の説明もなく拡張されている、といった例は散見される。
    • ムービーでは二度ほど、「どう考えても見付かってるだろというタイミングで隠れる。そしてセーフ」というシーンがある。どちらも緊張感のあるシーンだけにチグハグである。

総評

このゲームはまず「戦闘システムと難易度の高さを受け入れることが出来るか」そして、とにかく「処理落ちとロード時間を許容できるかどうか」で賛否がバッサリ分かれる。
この2つを受け入れることが出来たら本当にどっぷりハマれるが、そうでもないと途中で鬼の難易度に心を折られるか、ロード時間を倦厭しクソゲー評価を下すかのどちらかになってしまう。

いかんせん開発元が有名なスクエニであり、注目していたRPGファンも多かった。そのためかなりの大勢がバッサリ分かれた賛否のどちらかに付く事になり「今世紀最大の賛否両論ゲー」と呼ばれた事もあった。


ラスト レムナント(Win版)

【らすと れむなんと】 ※360版と共通の内容は省略

対応機種 Windows XP/Vista
推奨環境はVista
最低環境はXP・SP2
発売日 2009年4月9日
定価 パッケージ:7,800円(税別)
Steam:1,080円(税込)
判定 良作
ポイント 大方の問題点を改善
良作と言える良い出来に

概要(Win)

オリジナルから4ヶ月半後に発売されたWin版。
以下の大幅なシステムとバランスの見直しが行われており、いくつかの要素も追加されている。また、360版のDLCを全て収録している。
パッケージ版の他、Steamでのダウンロード販売版が存在するが、Steam版は2018年9月4日に販売停止される事が告知された*6


バランス調整とシステムの変化(Win)

  • 習得したアーツの使用可否を細かく設定できるようになった。
    • これにより大きな不満点の一つだった「仲間が要らん技使って全滅」といった事態を防げるように。
    • 有効な、あるいは鍛えたい技・術に的を絞って使わせることも可能になった。
    • 攻略情報さえあれば、クラスチェンジの制御もかなり容易になった。
  • 全体的なステータスやパラメータの調整。
    • バトルランクの仕様から、キャラ毎の装備可能武器や装備品のパラメータ、技の効果などもほぼ再調整されており、全体的なバランスも良くなっている。ユニークリーダー登用枠も撤廃された(下記)ため、プレイヤー側の戦力は大幅にアップし、死にゲーとは呼べないバランスに。
    • モラルの効果も明確に。高ければ与ダメージ・被ダメージが有利になり、低ければ不利になる。また、キャラの固有技を使うには一定以上のモラルが必要になった。
  • カーズになった味方小隊を一度殴り殺して復活させるという荒療治を行う「カーズ強制解除」の指示も追加されたため、能動的なカーズの解除も可能に。
  • テンポの大幅改善。
    • ゲームテンポの妨げになっていた冗長なモーションはあらかた改善。戦闘時の毒状態のテンポや、フィールド上のドリルでの発掘作業もかなりスピーディに。
    • 処理落ち・ロード時間・テクスチャの貼り遅れ等々の問題点は推奨スペック以上のパソコンであれば全く気にならないレベルに。
    • バトル時の倍速切り替え機能も追加。テンポが大幅アップ。
  • 戦闘に出せるユニークリーダー数の制限の撤廃。
    • 360版だと6人までしか戦列に組み込めなかったが、Win版は無制限となり、お気に入りのキャラを心置きなく使えるようになった。
    • パーティメンバー上限18人全員をユニークリーダーで固める事も可能。アスラム兵も360版と変わらず雇用できるので、お好みで。
    • ただし、その代わりユニークアーツやスペシャルアーツ、レムナント召喚アーツは該当キャラをリーダーに設定しておかないと使用不可能に。ウェポンアーツはリーダー以外も使用可能。
  • メニュー画面から装備スタイルの変更が可能に(例:エマの1刀流と2刀流等)。
    • 360版では戦闘中に該当アーツを使うことで切り替わっていたが、PC版だと予め設定しておけるようになった。
  • 仲間の所持アイテム欄が詳細に見られるようになり、仲間が今欲しがっているアイテムなども確認可能に。
    • また、アイテムも種類ごとに細かく色分けされている。
  • 2周目にお金や一部のアイテムの引継ぎが可能に。
  • 英語ボイスと日本語ボイスが切り替え可能に。お好みでどうぞ。
  • 武器防具のプレビュー機能が付いた。

追加要素(Win)

  • 360版で人気だった敵キャラクター、「七人衆」の7人が仲間キャラとして雇用可能になった。
    • それに伴って七人衆専用陣形も追加。
    • ただし、雇用可能になる時期が相当終盤なので普通にプレイしていると使う機会が少なくなりがちなのが難点。
    • また、「七人衆」は元々敵陣営のキャラであり、主人公側に付く事も設定上絶対に無いため、彼らの雇用はストーリー的には有り得ない事柄である。そのためか、他のユニークリーダーのように掛け合いの台詞等は少なめ。
  • ソバニ専用クラス「セイント」「サイレント」の追加。
  • ユニークリーダーの1人「キルネア」にユニークアーツが追加。
  • 超高難度の「乱殺マニアクス」モードが追加。1周クリアした後に解禁される。
    • 以下は簡単に分かる乱殺マニアクスの特徴(Win版のwikiから引用)。冗談のような文言が並ぶが、ちゃんとクリア出来るようには作られている。
      ・序盤どころか導入の雑魚ボス「レムナント活動家」に負けた
      ・序盤のダンジョン「ブラックデール」がもう鬼門
      ・鍛えに行ったら普通に全滅した
      ・雑魚モンスター2リンクだけなら大丈夫だろうと思っていたら心が折れるぐらいボコられた
      ・鬼門中の鬼門、気合入れて行くか!と挑んだら1ターンどころか1行動で全滅した
      ・サブクエストの強敵「神とよばれし者」が本当に神に見えてくる
      ・チートで7ユニオン35人パーティにしても「ロストレムナント」に勝てる気がしない
      

総評(Win)

上記の調整により360版の不満点はほとんど解消されており、残っているのは「移動コマンドが無い」と「瀕死の隊員を回復してやれない」ぐらいである。
特に最大の問題であった長時間ロード・処理落ちはPCのスペックさえ良ければ全く無くなる。
そのため、賛否両論が多く見られた360版と違いWin版はほぼ好評である。

しかし、賛否が分かれていた難易度の高さは相変わらずどころか、さらに高難易度の「乱殺マニアクス」モードが追加され、むしろ強化されている始末である。
そこは、さすが『サガ』スタッフと言ったところか。


幻のPS3版

  • PS3版の発売も予定されていたが、360版にてスペック上の問題点が非常に多い事が露見したためか、その後の続報が途絶えてしまった。
    • 当時のスクエニ公式サイトのPS3発売ソフトリストには、長らく本作の名が記載されていたのだが、「発売日:未定」のままであった。
    • 開発中止されたものだろうと言われることが多かったが、この当時の実状は不明であり、とりあえず公式には発売予定から消されていないという状況だった。
    • 2014年に行われた『FFXIV』のインタビューにて、本作のディレクターの高井浩氏がPS3版『ラストレムナント』の発売の動向について訊かれた際、本作に対して「前向きです」と回答していた。
+ 上記のインタビュー動画

1:15:30~ 辺りから

  • なお、ファミ通では2018年4月より「期待の新作ランキング」コーナーからPS3版本作のタイトルがついに消滅した。
    • 発売スケジュール表からPS3の項目が消えた影響もあると思われる。一方でスクエニ公式サイトのリストではこの時点でも残ったままだった。

余談

  • 2013年8月に本作と同じスタッフが手掛けるスマホ用アクションRPG『ブラッドマスク』が配信開始。
    • 『Infinity Blade』というゲームのフォロワーとして企画され同じくUnreal Engineで開発する前提となり、社内でUnreal Engine開発経験のある本作開発チームにバージョンが上がったUnreal Engine 3を触ってもらいながら一石二鳥で開発するという流れになった。
      • なお、この『ブラッドマスク』は2014年12月24日をもって配信終了している。

その後の展開

  • 2014年12月11日よりクラウドゲームサービス「Gクラスタ」を使用したブロードメディアとGクラスタ・グローバルのクラウドゲーム機「G-cluster」及び「Gクラスタ」が搭載されたテレビや、NTTぷららの「ひかりTVゲーム」でも配信された。
    • なお、2023年9月30日をもって、「ひかりTVゲーム」はサービス終了している。
  • 2015年12月14日よりiOS/Android(スマートフォン)版が配信開始。Win版をベースにした移植になっている。クラウド型配信技術“Gクラスタ技術”より提供されるため、プレイ中は常時通信が発生する。
    • 余談だがスマートフォン移植版をファミ通が取り上げた際、当初「本作は、2008年にXbox 360とプレイステーション3向けで発売された『ラスト レムナント』の移植作品。」と間違った記述が行われていた。
    • 後に「本作のオリジナル版は2008年にXbox 360で発売され、その後、2009年に追加機能を搭載した完全版をPCでリリース。本作はこのPC版の移植作品となる。」に文章修正されている。
      • なお、このスマートフォン版は2018年9月13日をもって配信終了しているが、代わりに現在は下記のリマスター版が配信されている。
  • PS4で『THE LAST REMNANT Remastered』が2018年12月6日からダウンロード配信された。移植を担当したのは元シリコンスタジオのスタッフが設立したギルドスタジオ。
    • Win版の要素に加え、エンジンが「Unreal Engine 4」に変更されグラフィックが強化された他、高速移動の追加・ラッシュの歩行モーションの変更など、一部追加要素がある。
    • なお、PS4版が既に発売されたにもかかわらず、PS3の発売リストには依然「未定」のまま残っていたのだが、2019年4月のサイトリニューアルに伴いようやく消滅となった。実に10年以上の放置プレイとなっていた。
      • さらに2019年6月11日にはSwitch版が、同年12月12日にはiOS/Android版がそれぞれダウンロード販売された。

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最終更新:2023年09月10日 00:01

*1 遠すぎて攻撃できない敵に対して「距離を詰める」コマンドは存在するが、いったん詰めたら離れることはできない。

*2 しかし、治す時は全員いっぺんに治せるので楽ちんではある。

*3 「毎ターン一定確率で即死判定が発生する」という状態異常。この状態異常のみ治す手段がほぼ存在しない。

*4 接敵して直接交戦すること。互いに攻撃し合う状態になる。通常は1回限りで、2ユニオン以上から攻撃されると最初以外は反撃できない。遠距離攻撃等、ロックアップせず一方的に実行できるスキルもある。

*5 これに関しては一応「(ネタバレ)であるがゆえに人物の判別が極端に苦手なのではないか」という考察もある。どちらにしろこの時点では謎の見間違いでしかなく、またもし仮に考察が当たっていたとしても妙なシーンではある。

*6 Steam版を購入済みのユーザーは販売停止後もダウンロード可能。