SIMPLE2000シリーズ Vol.72 THE 任侠

【しんぷるにせんしりーず ぼりゅーむななじゅうに ざにんきょう】

ジャンル 任侠アクションゲーム
対応機種 プレイステーション2
発売元 D3パブリッシャー
開発元 ヴァンテアンシステムズ
発売日 2005年2月17日
定価 2,000円(税別)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント とりあえず金
次に男気
回復? 知らん
SIMPLEシリーズリンク


概要

D3パブリッシャーによる廉価版ゲームシリーズ『SIMPLE2000』の1作。
とある事からヤ○ザの組員となった青年が主人公。勃発した組同士の抗争を終結させるべく戦う。
本作はあの『龍が如く』1作目より10ヶ月ほど早くリリースされており、題材選びには先見の明があった。

特徴

  • 物語は10の章(ステージ)からなる。但し1周で10章全てをプレイする事はできない。各章クリア後に、隠しパラメータである「男気」によって次の章が決定されるという分岐式である*1
    • 各ステージはベルトスクロールアクション式で、出現するザコ全てを倒すと次の場所へと進む事ができる。ステージの最後にはボスが待ち受けている。
    • 各章クリア後には町内を歩く事ができ、セーブや買い物もこの町内パートで行う。特定の人物と話した上で次ステージの開始場所へ進むと次章が始まる。
      • RPGとベルトスクロールアクションを融合させたかのような独特の雰囲気があったりなかったり。
  • 本作の主人公にはレベル・経験値・能力値という概念は存在せず、いくら戦おうと章が進もうと「成長」はしない。その代わり頭・顔(サングラス等)・上着・ズボン・靴・武器という6個所の「装備品」の概念がある。
    • 装備品にはそれぞれ異なった特殊能力が付いており、身に付ける事で主人公の「性能」が変化する。装備品は敵の落とす金によって、店で買う事で入手する。
      • 主人公にはライフゲージの他、「器量ゲージ」というものが設定されている。これを消費する事で必殺技を使用できるが、回復する為には武器を収めて素手で敵を攻撃し続ける必要がある。

問題点

ゲームバランス面

  • 主人公が自前で行えるアクションは、通常攻撃のパンチと、必殺技(周囲の敵を吹っ飛ばす「威嚇」)程度。
    • ガード・回避行動・ターゲットロックといった他のゲームでは基本であろうアクションすら、特定の装備を身に付けないと使用できない
    • それ以前に初期状態の主人公は単純に性能が低すぎる。ダウンからの起き上がりも異常に遅く、威嚇で周囲を吹っ飛ばさない限り「ダウン→起き上がる→ダウン」の無限ループに陥る。器量ゲージが0だったら死を覚悟する事になる。
      • 威嚇を使っても、吹っ飛ばされたザコはすぐに全員同時に起き上がって再び迫ってくるため、威嚇で止めを刺せない限りはあまり状況が変わらない。
    • 店では各装備品の解説は一応出るが、抽象的な文章ばかりで、特有のアクションに付いても具体的な威力説明などは無い。
      • 「複数の装備品の効果を併せ持ったスペシャル装備」などという物も存在しない。
      • 因みに装備の変更は町内でしかできない。
  • 章の間の町内パートでもザコ敵はお構いなしに襲って来る。店の中以外はどこへ行っても現れ、一般人と会話している最中にもリアルタイムで殴りかかって来る為、店内しか気の休まる場所が無い。あまりもマッポーめいてる。
    • 戦っている間でも画面外から次から次へと現れ、キリが無い。ダッシュして逃げても相手の方が速いので、画面の切り替え場所まで逃げ切るしかない。
    • この町内のザコも、倒せば金は落とす。しかし稼ぎに使うには向いていない。なぜなら本作には宿屋の様な回復スポットは存在せず、店でも回復アイテムは売られていないのだ。
      • ライフは各章をクリアすれば全快するが、それ以外で回復したければ特定のオブジェクトを破壊すると現れる「回復アイテム(その場で即時消費)」を取るしかない。町内にも回復アイテムは一応あるが、1度取ると次の章をクリアするまでは復活しない。画面を切り替えようが無駄。つまり町内パートにおける回復は有限なのである。
      • 従って下手をすると町内のザコからのダメージを残したまま次の章へ挑む事になり、いきなり不利になってしまう。
      • 一応「必殺技を自己回復技に変える」という装備品もあるのだが、最初からは売られていない上に高い。しかも使うにしても今度は器量ゲージを回復する為にまたザコを殴りに行かねばならず、下手をすればかえってダメージを受けるという悪循環にも陥り得る。
  • ステージ中で死ぬと、そのステージの最初とセーブ地点のどちらからやり直すかを選択させられる。ステージ中で入手した金は失われる。従って下手に買い物をしてからセーブすると章をクリアできずに行き詰る危険性がある。
    • 故に章クリア後は買い物をする前に店内でセーブをし、買い物後はセーブしないまま次の章に突入、負けたら違う装備を試す…という事になるだろう。
  • ステージ中に登場するザコはすぐにこちらの攻撃が届かない画面外に逃げ込み、そこから手足や武器だけ出して攻撃してくる
    • また画面の端でザコを倒すと、金がこちらの侵入できない所まで飛び散ってしまい、回収できなくなる。
  • 装備できる武器は、角材やドスなどの近接武器と、飛び道具である銃の2系統がある…のだが、前者は攻撃の出が信じられないほど遅く、確実に先に殴られる。一方後者は強力ではあるが弾数が決まっており、しかも特定の装備が無いとターゲットロックもできない為スカスカ外してしまう。その上酷い事に武器を使うほどバッドエンドに行きやすくなるのである。
    • 何故なら「男気」は、その章内でダメージを受けたり、丸腰の相手に武器で攻撃したり、必殺技を何度も使ったりすると下がって行く。クリア時の男気が低すぎると、早くて3章目(=ステージ3)をクリアした時点でバッドエンド行きが確定する。
      • これほど重要な要素である男気はなんと隠しパラメータであり、特定の靴を身に付けていないと現在値は確認できない。更にその靴は他に特殊効果を持っていないので、身に付けている以上は他の靴の特殊能力を使えないという事でもある。
      • 説明書では「武器は必要な時だけ使って、男気ある戦い方をしろ」と一言触れられているだけで、パラメータの存在自体には言及されていない。
      • それどころか「必殺技は積極的に使え」ととんでもない事が書かれている。早くこのゲームを終えよということでよろしいか?
      • 真のエンディングに行く為には、男気を相当高く保ったままクリアする必要がある。こちらは1人しかいないのに終盤では銃を持ったザコが4人も5人も一斉に現れ、僅かなダメージを受ける事も、必殺技を使う事も許されない…まさに地獄である
  • 難易度変更機能は無い。当然イージーモードも無し。
    • 主人公の性能が上がる隠しコマンド等の裏技も皆無である。

その他の問題点

  • 店で買うものを選ぶ際、カーソルを動かすたびにロードが発生する為キーレスポンスは悪い。
  • 登場人物は主人公を含めてフルボイス…なのだが、題材が題材だというのに妙に軽い声の声優が多い。
    • 所謂「棒読み」ではないのだが、声の質自体が役柄に合っていない、ミスキャストの声優が殆ど。
      • 出演しているのは「株式会社キャラ」の所属声優で、代表である島よしのり氏の名前もクレジットされている。同社声優は旧SNKファンには馴染み深いだろう。

評価点

  • 表情は硬めだが、3Dモデルのクオリティは高い。街並みもなかなか綺麗に作られている。
    • ストーリーでは3Dモデルを使った静止画だけでなくデモも登場し、SIMPLE2000シリーズ内でもストーリー描写はかなり手が込んでいるほう。
  • 武器を使い過ぎると男気が減りバッドエンドになってしまうので、いつ使うかの見極めが肝心。ジレンマもあり、独特な焦燥感と世界観を作ることには成功している。
  • 西野尚利氏が全曲を手掛けている。○クザ映画さながらの大げさなジングルやBGMも多く、雰囲気が出ている。
  • 1度クリアする事で、主人公や中ボスなどを使ってベルトスクロールバトルを行える「二人仁義」というモードが追加される。
    • その名の通り2人プレイが可能。これといってストーリー性は存在しない。
    • このモードでは男気も関係無いので、武器を使って好きなだけ暴れる事ができる。また条件を満たすと使用可能キャラが増えていく。
      • 問題はその「条件を満たす」のがやたらと難しいという事なのだが…。
      • というか、このモードを最初から遊べるようにしていれば、もう少し本作の印象も変わったのではないだろうか。

総評

とにかく辛いゲームである。主人公の性能、敵の行動、男気…辛くない所を探す方が難しい。

しかし考えてみれば、これは「ヤク○゛の世界」をある意味忠実に再現しているとも言える。○クザの世界とは己の力と金こそが全てであり、他の誰も信用する事はできず、気の休まる場所も無い。
ゲーム中で組長が主人公に語る「ワシらはどこまで行っても極道なんよ」という言葉が全てを表わしている。1度プレイを始めたからには、ひたすら茨の道を歩むしかないのだ。

もしあなたの身の回りに、ワルに憧れている厨二びょ友人がいたら、ぜひこのゲームをプレイさせ、ワルになるとはどういう事かを見せ付けてあげて欲しい。

きっと「こんなのをプレイさせて、お前なんか友達じゃねえ!」とますますグレる事だろう



その後の展開

  • 本作の主人公は『THE ALL★STAR格闘』にも出演している。
    • しかしやはり声には問題があったのか、別の低い声の声優に変更されている。
    • 同作の出演キャラの中では最新作という事で優遇されたのか、本作を意識した「任侠」という名の和室のステージも登場する。