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ガンスタースーパーヒーローズ

【がんすたーすーぱーひーろーず】

ジャンル アクション
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 セガ
開発元 トレジャー
発売日 2005年10月16日
価格 5,040円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:全年齢対象
判定 劣化ゲー
シリーズファンから不評
ポイント 「完全新作」を謳いながら実質はリメイク、しかも元より劣化
ゾルゲが元会社のいう事を全く聞かなかったが故の出来
そしてさらなる絶望は『TFVI』へ……
ガンスターヒーローズシリーズ
ガンスターヒーローズ / ガンスタースーパーヒーローズ


概要

メガドライブで発売された名作アクションゲーム『ガンスターヒーローズ』の(一応)続編。通称『ガンスパ』。
ディレクターはセガのゾルゲール哲(以下ゾルゲ)、開発は前作に引き続きトレジャーが担当した。以前このコンビ?が手掛けた『ASTRO BOY・鉄腕アトム -アトムハートの秘密-』は良作と誉れ高く、期待する声も多かったのだが…。


問題点

  • 公式で完全新作を謳っておきながら、実質的には初代ガンスターの焼き直し。ゲーム構成から登場人物、大まかなストーリーラインまで大部分が一緒。
    • リメイクならリメイクで、最低限オリジナルのゲーム性が保たれていれば良かったのだが、以下にある様に様々な面で劣化してしまっている。
  • セガのゲームをモチーフにしたステージがあり、いくつかのステージの途中に入っているのだが、これが全く面白くない。完全にテンポを阻害している。
    • フリッキーステージは脈絡もなくいきなりひよこを集めさせられるため、かなりの違和感が。
    • アフターバーナーステージとギャラクシーフォースステージは、味方の飛行艇(宇宙船)に乗って手前・あるいは奥に向かって進みながら襲いかかってくる敵と戦うのだが、プレイヤーキャラは普段と同じ視点のため自機と同じラインに来たときしか攻撃が当たらない。「真横にしか攻撃できない縦スクロールシューティング」のようなもので、アフターバーナーともギャラクシーフォースとも根本的に違う何かよく分からないゲームになっている。また、画面を360度グルグル回転させるため、とても目が回る。
    • 特に問題なのがサンダーブレードステージ。自機が大きく動きが遅い、道が狭くて身動きが取りづらい、敵弾が速い、とプレイヤーに不利な要素のオンパレード。さらに、ダメージを受けたり壁にぶつかると動作不能のモーションに入るが、この時は無敵状態でないので連続で攻撃をくらい、身動きができなくなってしまうことがある。地上弾が当たりにくく、地上の敵を残してしまうことによってこのような状況になりやすい。イージーやノーマルならまだ良いが、ハードだと何も出来ずにそのまま即死することが多い。
      • はっきり言ってこのステージだけ難易度が異常に高い。満遍なく難しいならともかく、このステージだけが明らかに飛び抜けている。本当にテストプレイしたのだろうか。
    • そもそもセガのゲームをモチーフにしたステージを入れる必要があったのか…?
  • 武器システムがかなり簡略化されている。メガドラ版では拾った武器を組み合わせることにより、合計14種類ものショットが使えたが、今作では初期装備の3つの武器しか使えない。レッドとブルーそれぞれの固有武器が一つずつ、共通武器が二つで合計してわずか4種類。
  • 重要なアクションであった投げの削除。新たにソードとバズーカが追加されたがあまり使い勝手はよくない(特にソード)。
    • 旧作の投げは、敵の投げた爆弾を投げ返してぶつけるといった爽快なアクションも可能だったが、今作のソードで爆弾を攻撃するとその場で爆発するためほぼ回避不能となる。
  • ライフが0になった瞬間にほとんど演出も無しにゲームオーバー画面に飛ぶため、自分が何故死んだのかが分からない。上記のサンダーブレード面で特に顕著。
    • 加えてその場でコンティニューできず、ゲームオーバー画面→スコアランク→メーカーロゴ×2→OPデモ→タイトル画面→メニューと経由しなければならないため、再開するにも無駄に手間が掛かる。一応、ソフトリセットすればタイトル画面まで飛ばせるので多少マシになるが、それはそれで別の手間である。ちなみに旧作では普通にコンティニューが可能だった。
      • さらに、再開時は一つ前のエリアをクリアした時のライフが引き継がれるため、前エリア突破時にライフ残量が僅かしか残っていなかった場合は、一度やられてやり直した際もそのわずかなライフで再開する羽目になる。
  • 完全な必勝パターンが存在するので興ざめする一部のボスと中ボス。また、旧作から激しく劣化したボスも何体か居る。
    • ピンキーローダーは弾も撃たずアームも出さず左右に移動して時々ジャンプするだけ。弱点の横に乗ってしまえば相手は何も出来なくなる。旧作と名前こそ同じなものの実態は全くの別物。
    • ラスボスのゴールデンシルバーは、旧作では飛び回る4つの秘石との同時攻撃を仕掛けてきたが、今作では画面中央に陣取って微動だにしない。その代わり秘石の攻撃が非常に激しくなり、回避するのが困難になった。ただ、一部を除いてダメージは雀の涙(ノーダメージのものもある)のためさほど難易度は高くない。どう考えても難易度調整の仕方を間違っている。
  • 大型ボスのドットの解像度がなぜか低く、うっすらモザイクが掛かっているように見える。
  • シナリオは『アトムハート』の時と同様にゾルゲが手掛けているのだが、評価は今一つ。
    • 使用キャラクター(レッドかブルー)と難易度(イージー・ノーマル・ハード)の組み合わせによってストーリー展開が若干変わり、ハードでクリアする事で初めて物語の全容が分かる、という作りなのだが…。
      + ネタバレ注意
    • 作中に登場する「トレジャーストーン」が他のトレジャー作品のキャラクターの意志を持つ存在だったり、「この世界はゲームだ」と気づく人間が出てくる等、メタフィクションな展開になる。「ガンスターでやる必要性がない」「意味がよく分からない」と一部批判の声が上がった。
    • ただし、前作はそもそもストーリーが薄く、あってないようなものだったので、これはこれでという意見もある。
    • 主人公の一人であるレッド(前作とは別人)は設定上は少女となっているのだが、声や口調がやけに男らしい上にゲーム中ほとんど女扱いされないため言われないと分かりづらく、事前に知っていても違和感を覚えるレベル。女性主人公という設定を上手く活かせていない。
      • 一応、もう一人の主人公であるブルーだけはちゃんと女扱いしているのだが、エンディングにおけるブルーの「ちっ! 大好きだぜ、レッド!」という台詞に対するレッドの返答は「おうよ、行こうぜ! オレ達はガンスターズだ!!」。言葉遣いの問題以前に返答になっているかどうかすら怪しい。

評価点

  • グラフィックの職人芸ぶりは健在。
    • 相変わらず多関節キャラがグリグリ動くので見ていて飽きない。他にもラスタースクロールや回転機能も随所で使われているため、演出面はかなり良い。
  • 操作性やキャラクターの挙動は快適。
  • 画面の明るさを3段階で変更ができる。
  • ヒロインのイエローのキャラが立っている。
    • 前作におけるイエローは中盤に敵に拐われるくらいでこれといった活躍が無いほぼ居るだけのキャラだったが、本作では出番が大幅に増えている。
    • Dr.ブラウン(に相当する人物)が居ない代わりにガンスターズのバックアップは彼女が担っており、ステージの説明や小型艇での送り迎えをしてくれるので共闘感がある。
    • 前作ではあまり意味のなかったグリーンとの兄妹設定も、本作では直接的な会話があるなどしっかり活かされている。

総評

一応アクションゲームとしてはそれなりに遊べる出来であり、ハイクオリティなグラフィックなど見所も無い訳ではない。実際、前作を知らないファンからはそれなりの評価である。
しかし、「スーパー」とは名ばかりな前作の焼き直しでしかない内容に加え、蛇足感漂う粗雑な追加・変更要素、サンダーブレード面や一部ボスに見られる明らかな調整不足など、前作と比べると作り込みが甘い点が目立つ。
その為、旧作ファンからは「期待外れ」「これまで心がけていた進歩という部分が全く感じられない、歴代ワーストの完成度」等、厳しい評価を受ける事となってしまった。
トレジャーも途中でタイトルを『ポケットガンスター』に変えようとしたそうだが*1、このスケールダウン加減ならそれも納得である。

それでも、当時は現行ハードで遊べる唯一のガンスターという代替品としての価値もあったのだが、翌年には前作が他のトレジャー作品とのカップリングでPS2に移植され、更にその後バーチャルコンソールやXbox Live Arcadeにも移植された為、今となっては代替品としても機能しない、正真正銘の劣化リメイクという位置に落ち着いてしまっている。
さらに現在ではニンテンドー3DSへの移植となる『3D ガンスターヒーローズ』が登場したことにより、「携帯機でプレイできる」という唯一のアドバンテージすらも失われてしまった。


余談

  • 本作の出来がこうなった最大の原因として、前述のとおりゾルゲール哲氏の関与が問題視されている。
    • 『アトムハート』ではまだ意見が言える環境だった様で、ゾルゲの書いた変な仕様書をトレジャーが一から作り直したりしているのだが、その時の事が気に入らなかったのか、あるいは「トレジャーの意見なんか聞かなくても面白く出来る」という自信でもあったのか…。
    • いずれにせよ、開発を統括する立場の人間の態度として大いに問題ありと言わざるを得ない。
  • 上記の通り劣化移植品ではあるものの、2023年現在では どういうわけか2万超えのプレミア品となっている。

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最終更新:2023年09月01日 01:04

*1 結局商標が取れなかった為に断念し、現在のタイトルに落ち着いている。