テトリス・デカリス

【てとりす でかりす】

ジャンル パズル
対応機種 アーケード
発売・開発元 セガ
稼働開始日 2009年
判定 ゲームバランスが不安定
怪作
ポイント 見た目のインパクトは強烈
だがデカさが面白さと繋がらず
電波なコンセプト
フィールド狭すぎて難易度激増
完全に出落ちの代物
テトリスシリーズリンク


概要

本作は題名の通り、 デカ いテト リス である。ゲーム内のテトリミノはおろか、モニターからレバーに至るまでとにかくデカいという、一発ネタ的な仕様が特徴となっている。

ゲーム内容

  • 70インチの巨大モニターを前に、これまた一抱えほどもある「デカレバー」を操作してプレイする。
    • モニターはコスト面などを考慮し、投影式プロジェクターを利用した物になっている。画面後部のスクリーン部を取り外し、離れた場所に投影すればさらにプレイ画面が大きくなる。
      • イベントでは正式稼働版より大きな画面でプレイ出来た。圧巻である。
    • 「デカレバー」の左右でブロック移動、下で一気に落とすという操作は一般的なテトリスと共通。ブロックの回転は、レバー上部の左右にそれぞれ付いている左回転、右回転のボタンを押すことによって行う。
    • ゲーム性は近年のテトリスシリーズにしてはとてもシンプルであり、Tスピン判定はあるがHOLDとハードドロップは使用不可能。
  • 画面構成はセガのアーケード版テトリスである「セガテトリス」をモチーフとしている。
    • 背景は風景画がメインであり、レベルを上げると切り替わっていく。
    • 画面横にはランキングがリアルタイム表示され、スコアが上がる毎に塔のように上にスクロールする。
    • 無論、セガテトリスではおなじみの「サル」も登場します。
  • 1人プレイ用として、「ラインアタック」モードと、「スコアアタック」モードがある。
    • 「ラインアタック」は制限時間内になるべく多くのラインを消すことを目指す。ブロックを消すごとに、ライン数によって制限時間が回復。ブロックが上まで積み上がってしまっても、制限時間内ならブロックが消えてやり直すことができる、初心者向けモード。
    • 「スコアアタック」は、徐々にブロックの落下スピードが上がる中、どこまで得点を伸ばせるかという上級者向けの本格的なゲームモード。
  • 2人プレイ用として、「2人ラインアタックモード」「2人スコアアタックモード」、「2人対戦モード」がある。
    • 前2者は協力モードで基本ルールは1人用と同じ。ただし、フィールドが横方向に2倍に広くなっているので、上手に消すには一定回数使えるブロック交換を駆使するなどの双方の連携が必要である。
    • 対戦モードは、もう1方のプレイヤーのブロックを上まで積み上げさせてゲームオーバーに追い込むのが目的。2ライン以上一度に消すと、相手のブロック落下スピードが速くなる、相手のデカレバーが振動するといった妨害を行える。
  • 店舗側の設定を行う事により、ブロックの種類が通常の7種類から5種類に減るキッズモードも存在する。

変な点

  • 名前通り、操作レバーもブロックもとにかく大きい。何も知らずに初めて見た時のインパクトは絶大。
  • ゲーム内容以上にある意味印象に残るのが、ゲーム中常に流れるBGM。ボーカル入りのアイドルソング風で電波ソング一歩手前の曲である。別に曲の出来が悪いというわけではないが電波である。
    • 歌はおそらくこのゲームの為だけに結成された声優4人組ユニット「チームDEKARIS」。
    • 「恋の無敵コマンド」「運命は“I”Love You」「友情Try again!」「恋色パズル」「sweets×sweets」の5曲が存在し、特に「♪回り回って落ちる~」という出だしで始まる「運命は“I”Love You」は妙な中毒性がある。
    • また、結果表示及びネームエントリー時で使用されている「♪デカリ~ス デカリ~ス」という出だしで始まる「難しいけど愛してる ~デカリス~」という曲も印象に残る。
    • どの曲も、忙しいゲーム展開のせいでじっくり聴く暇がないかも知れないが、聴けば妙に印象に残ること必至である。サントラも発売されているので、気に入ったらじっくり聞くこともできる。

評価点

  • テトリス ザ・グランドマスター』シリーズの登場以降硬派なものが主流になっていった中、万人に楽しめるようにポップなデザインと、一度見たら忘れられないインパクトで攻めた点。
  • デカいレバーで操作するテトリスは斬新な感覚を与え、テトリスをあまりやらないファミリーや若者でもアトラクション感覚で楽しめる。テトリスを良い意味でここまでバカバカしくした思い切りの良さは「セガ」らしさを強く感じる。

問題点

  • ブロックがデカいせいでフィールドが非常に狭くなっている。
    • 1人プレイ用だとフィールドの広さは''「縦7ブロック×横6ブロック=42ブロック分」しかない。ちょっとしたミスがゲームオーバーにつながるのはもちろん、テトリス(4ライン消し)を決めることすらリスキー。
    • 確かにシンプルかつポップにまとめた作風故に万人を惹き付けやすいゲームではあるが、実際はかえって難易度が上がっている。
  • 「デカい」ことが特にゲーム内容の新規性に結び付いていない。
    • デカいブロックを活かした新しい遊びは皆無で、見た目のインパクト以外の新鮮さはほぼないに等しい。
      • 一般的なテトリスを下敷きとしているものの、せっかく「デカい」という新要素を持ち込んだのだから、新しい遊び方も工夫すれば、アトラクションスタイルのゲームとしてもっと楽しめただろう。
  • プロジェクター型モニター故の問題がいくつかあり、設置場所によってプレイしづらい。
    • ゲームセンターのビデオゲームコーナーのような薄暗い場所では鮮明だが、デパートなどのゲームコーナー周りなど、明るい環境下では、ややモニターがぼんやりしてしまう。
    • また直接表示する液晶モニターと比べ投影させる都合上照明パーツも多くなっており、故障しやすい。
      • LCDディスプレイが主流となった現在では、別売の液晶テレビ等を取り付けてゲーム画面を写すようにしている。
  • デカレバーの球体の直径が30cmほどで、しかも若干高い位置にあり、小さい子供は踏み台がないと操作もままならない。
    • 小さな子どもが1人でプレイするのは困難なので、親子で同じレバーを一緒に操作することになる。

総評

発売された当時はテトリスのイメージチェンジを意識させる新作がアーケード・コンシューマ共に続々と発売され、「古くさく、硬派で難しい」イメージを取り除こうと工夫が施されていた。
そのうちの一つであった本作はアトラクション調のインパクトを重視し「デカさ」を前面に押し出したゲームデザインとなったが、面白い試みではあったものの、成功したとは言い難い結果に終わってしまった。
確かにレバーとブロックのデカさは初見ではかなりのインパクトがあるが、モニター周りの環境や操作デバイスのデカさ、ブロックのデカさに反したフィールドの狭さからくる遊び難さといった欠点にも繋がってしまっており、そのデカさが必ずしもゲームとしての面白さに直結してはいないという印象が強い。
ゲームルールもほぼ従来通りで「デカさ」をゲーム性に結び付けた独自の工夫もなく、結局インパクト重視の出オチ感漂う作品となってしまった。
インカムが薄い割りに筐体がでかく邪魔だったようで、ゲーセンから次々と撤去されていってしまい、現在では殆ど残っていない。

もし運よく見かけたら、ネタとして一度プレイしてみるのも悪くはないかもしれない。

余談

  • 国内アーケード市場向けにリリースされたテトリス作品は、現時点では本作が最後となっている。
  • 筐体のあまりのインパクト故か、少数ではあるがこの筐体に他のゲームを入れて稼働するロケも見られた。
    • 本作のデカレバーは本来4方向仕様だが、シャフトストッパーと呼ばれる部品*1を付属のものに交換する事で8方向仕様への切り替えが可能。
      • 本作の評判次第では本筐体のデバイスを流用した新作が作られる予定だったのかもしれない。それを見越して最初からゲーム入れ替えの用途を想定していた可能性がある。

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最終更新:2023年06月27日 14:53
添付ファイル

*1 一般的なレバーにおけるガイドに当たる部品