バルディッシュ クロムフォードの住人たち

【ばるでぃっしゅ くろむふぉーどのじゅうにんたち】

ジャンル ダンジョンRPG
対応機種 プレイステーション
発売元 イマディオ(イマジニア)
開発元 インフィニティー
発売日 1999年7月22日
定価 5,800円(税別)
判定 なし
ポイント プリムヴェールとは何だったのか


概要

「イマジニア初のダンジョンRPG」と銘打たれて発売されたソフト。
キャラクターデザインは漫画家のSUEZEN氏が担当している。

特徴・評価点

  • 主人公は戦士型の「ガーグル族」、魔法型の「チップ族」、バランス型の「ブシドー族」の3種類から選択する。各種族共性別を選べる為、合計6タイプとなる。
    • 種族毎に成長率、装備できる武器系統が異なる(ダンジョン内で特定武器を装備出来るスキルを獲得しセットすれば、どの種族でも全ての武器が装備可能)。
    • 2周目以降には新しく「プリムヴェール」も追加される。魔法型のチップ族の長所と短所をさらに特化した感じである。この種族による問題点は後述。
  • 特殊能力である「スキル」が存在する。ダンジョン内の宝箱から入手し、セットすることで使用可能。ただしスキルのセットは街の施設でのみ可能で、ダンジョン内では行えない。装備枠は最大4つ。
    • 最大HPを増やしたり回避率上昇等のステータスに影響するもの。上記の異なる種族の武器を装備可能にするもの。SPを消費する魔法や特技や、特殊な技などがある。
    • 外す事の出来ない「種族固有スキル」も有るが、他の種族でもやはり宝箱から入手すれば身に付ける事ができる。
  • ダンジョンは自動生成であるが、あらかじめ形の決められたブロックをランダムで繋げているようである。
    • 階段、罠、アイテム、モンスターは、完全にランダム配置。
    • 自動生成では無いフロアもあるが、詳細は後述。
  • 基本的にアイテムは地面に落ちている他、宝箱も配置される。宝箱からはスキル、高値で売れるお宝、物置に飾れるコレクションアイテム、称号が入手可能。
    • 称号は「スーパー」「ダーク」「ファイナル」「セイヴァー」「ハンター」といった言葉を最大3つ繋げてステータス画面に表示することが出来る。それだけであるが。
    • 無駄に99個もあり、中には「とのさま」「しゃちょう」「コンニチハ」なんてものも。
    • ゲーム内の説明にも自己満足の楽しみでしかないとハッキリ言われている。
  • ダンジョンRPGにありがちな巻き物、満腹度や食べ物アイテム等は無い。またダンジョン内での買い物や施設等も無い。
    • 「フロア内のアイテムを自分の周りに集める」「フロア内を自由に見る」といった特殊なものは、スキルを装備して行うことが出来る。
  • ダンジョンの他にはザコモンスターや強力なライバルと戦える闘技場がある。
    • 闘技場では基本アクティブタイム式のオートバトルで戦闘が行われ、ゲージが溜まったときのみプレイヤーが行動や作戦を指示することが可能。
  • メモリーカードを持ち寄る事で、主人公同士の対戦を行う事もできる。この対戦は闘技場と同じアクティブタイム式のオートバトルで行われる。
  • 倒したモンスターが登録される図鑑機能がある。グラフィック、HP、SP、出現ダンジョン、説明文が見れる。登録されるのはラスボスを除いた全101体。
    • 「がんばって全部うめてね」と言われるが、コンプリートしても何も無かったりする。
  • 音楽は良い。とくに最終ダンジョンの最下層付近の曲は秀逸。
  • ロードが少ない。ダンジョンに入ったときと、ダンジョンの途中で見た目や音楽が変わるときのみ5~10秒ほどのロードが入るが、それ以外は基本的に快適である。

ゲームの流れ

  • ゲームは、まず3階からなる練習用のダンジョンからスタートする。このダンジョンのみマップ構成は固定で、クリア後は(その周では)2度と入れなくなる。
    • 次に5種類のダンジョンを順に攻略する事になる。この5つは、フロア数は決まっているが内部は自動生成式で、各最終フロアにボスが待ち構えている。ボスを倒せば次のダンジョンに挑める。クリア済みのダンジョンへの再挑戦も可能。
    • ダンジョンを出てもレベルや能力は下がらない。
    • 体力が尽きた時点でゲームオーバー。そのままタイトルに戻る。
  • 町には6人の「依頼人」と呼ばれる女性キャラがおり、主人公に頼み事をしてくる。基本的には「ダンジョンのどこそこにある○○を持って来て」というもの。
    • 基本は「○○のダンジョンから取ってきて」だが、「○階にある」と階層が指定されていることもある。また「どこかはわからないけど」と、何の情報も無い難易度の高い依頼もわずかにある。依頼の進行状況からどのダンジョンなのかはある程度推測可能ではあるが。
    • 他に闘技場のボスを撃破、指定された額のお金を払う、等でストーリーが進む特殊な依頼も。
  • 誰かの依頼を受けている間は他の人間の依頼を受ける事はできず、キャンセルも不可。今現在受けてる依頼内容は酒場の掲示板で再確認可能。
  • パッケージ裏には「ねえ、私達の頼みを聞いてくれる?」というコピーがあるが、恋愛関係には発展しない。主人公の性別を選べる時点でお察し下さい。
  • ラスボスを倒してエンディングが終わると、転生じじいと名乗る謎の老人から転生を行うか聞かれる。転生すると答えると、種族を変更して周回プレイを行える。転生しないと答えた場合は種族はそのままで2周目が始まる。つまり2周目をするにあたって転職するかどうかだけ。あまり意味の無い問答である。
    • 2周目は転職してもしなくても、レベル、スキル、所持金が引き継がれる。アイテムは引き継がれないが、モンスター図鑑と物置に展示される貴重品(部屋に飾られてあるのを見るだけのコレクションアイテム)、闘技場のザコモンスターの強さ、店売り武器防具の種類とレベルは引き継がれる。
    • 名前は変更不可。ゲーム開始時のボーナスポイントも2周目以降付かない。
    • 2周目以降のみ挑める隠しダンジョンも存在する。
    • 一部キャラクターの台詞が変わる。

問題点

  • 会話やメッセージを表示するウインドウは基本半透明で変更不可。背景によっては非常に見づらい。
  • 性別が女でも「男」と言われてしまう場面がある。
  • イベントCGの1枚絵が存在するが、閲覧モードは無い。
    • イベントCGは全画面で表示されるが、ウインドウとメッセージも常に表示され一部が隠れている。閲覧モードで完全なものをじっくり見たかったところである。
    • イベントCG表示中は台詞ウインドウ横の顔グラフィックは表示されないのだが、アンナのイベントCGにだけ顔グラフィックが表示されている。しかも台詞は通常顔グラフィックが表示されないナレーションのみ。設定ミスだろうか。
    • ミズホのとあるイベントCGにのみ、ウインドウも文字も無い。じっくりイラストを拝めると思いきや、5秒ほどで消えてしまう。
    • ミズホの最後のイベントは夕日の場面だが、イベントCGは青空になっているミスがある。
  • 会話ウインドウ横に表示されるキャラクターの顔グラフィックはそれなりのパターンがあり、どれも表情豊かであるが、ミズホとセリエは表情によってメガネが有ったり無かったりする。
    • 喜怒哀楽のグラフィックのうち喜楽にはメガネが有り、怒哀にはメガネが無いといった具合いなので、イベントによっては感情が変わるたびにメガネをかけたり外したりせわしない。
  • ダンジョンへは街の施設内から入れるが、一つの部屋の中に全てのダンジョンの扉のみが整然と並んでいるだけで、どの扉がどのダンジョンに繋がっているのかの説明が無い。なので後から依頼で「○○のダンジョンからアイテムを取ってきて」と言われても、覚えていないとわかりづらい。せめて扉を特徴的なものにするなり、ダンジョンに入ったときに名前を表示して欲しかった。
    • 一応説明書にはダンジョン名が順番に掲載されており、門番のランダムメッセージでもクリア順でダンジョン名を説明して貰える。しかし扉が開く順は左から13245である。クリアした順番は自力で覚えておく必要がある。
      • この門番の説明は何故か1周目限定で、2周目以降は関係の無い一つに固定されて聞けなくなってしまう。2周目以降で台詞が変わるのはこの門番と隠しダンジョンの案内人のみ。わりと重要なものなのに何故。
  • フロアを移動すると必ず今降りた(登った)階段の下の位置から始まるため(設定ミスなのか一部固定フロアで例外あり)、二階層内なら簡単に登り降りが出来る。そのため登り降りを繰り返すことで降りた先のフロアの開始地点周りを吟味することが可能。
  • 実は依頼アイテムのある階は全て決まっており、依頼を受けると該当フロアは自動生成ではなく、依頼ごとに用意された固定マップになる。一部アイテムと罠も固定。
    • 依頼を終了しないかぎりは入り直しても固定フロアは消滅せず、地面に落ちているアイテムは取っても上り下りで復活するため、依頼によっては落ちている強力なアイテムを手軽に何度でも入手出来る。依頼を終了すると固定フロアは消滅し、通常の自動生成フロアに戻る。消滅するとその周回では二度と入ることは出来ない。
  • 本作は一応マルチエンド式なのだが、それは「どの依頼人の『最後の依頼』を受けた上でクリアしたか」で変化する。誰の「最後の依頼」も受けずにクリアするとCGもテキストも何も無く、ただ主人公の種族変更画面に移行するだけ
  • 最終ダンジョンは一定時間自分への攻撃を無効化(無敵化)するザコ敵が多数登場。通路で挟み撃ちされると最悪である。この「攻撃無効化」ばかりを頻繁に使う為こちらの攻撃はなかなか受け付けず、かといって通常攻撃は殆どせずしかも攻撃力は低いものだからこちらが死ぬ事もできない
  • 依頼人でメインキャラのトモのみ不遇。
    • 何故かパッケージ裏で一人だけ省かれており、説明書のキャラ紹介はメインのはずなのに何故か小さい扱いで、紹介文も一人だけ簡素な一文のみ。さらに条件を満たさないと現れず、唯一登場させないままクリア可能*1。また攻略条件の闘技場制覇もかなり厳しく、街の住人の中にハッキリとトモを嫌いと言っている人物がいたりと、何故か悪いことだらけ。極めつけは闘技場の最終戦に負けると突然態度が急変、主人公に辛辣な言葉を吐き捨てたあげく絶縁宣言をし二度と現れなくなりクリア不可能になる。依頼失敗や以降攻略不可能は他の依頼人でもあるが、ここまで酷いことにはならない。スタッフは彼女に何か恨みでもあったのだろうか?

様々な謎

本作は攻略本やサウンドトラックCDなどの関連商品は一切出ておらず、ソフトの存在自体もマイナーな為攻略情報や解析情報も皆無に等しい。
故にいまもって幾つもの謎が残されている。

  • 周回プレイを行った時のみ、新たに「プリムヴェール」という種族を選択できる様になる。性別は女性のみで、同じ魔法型のチップ族と比べ精神力はずば抜けて高いものの、それ以外の能力は同列かやたらと低い。とくにHPはあり得ないくらいに低く、最初のダンジョンですらレベルを引き継いだにもかかわらず小ダメージの罠で瀕死になるほどである。
    • 種族選択時の説明文や町の住人によると「ある秘密を持った伝説の種族」との事だが、その秘密が何なのかは不明。
    • プリムヴェールのみ専用技が5つもあり、その技の名称はかつて島を救った英雄と同じ名前である。下記の謎のムービーやキリコの「新しいダンジョンを見つけた」といったものと統合して考えると、プリムヴェールが新しいダンジョンへのカギになっていると思われるのだが・・・詳細は今もって不明である。
  • あるイベントで「なんと真犯人は○○の奴だったんだ!」と、それまで名前すら登場していない人物の事が当たり前のように語られる。シナリオが削られたのだろうか?
  • 依頼人の中で1番主人公に近しい存在である「キリコ」のみ、最後の依頼を受ける条件が不明である。故に彼女のエンディングは存在するのかどうかも分かっていない。
    • 彼女は行方不明になった父親を探しているという設定があり、その父の「隠しダンジョンを見付けた」というメッセージは見付かるのだが、そのダンジョンがどこを指しているのかも不明である。
  • ラスボス撃破後に意味深なムービーが流れるが、何も説明が無く、終わるとエンドロールが流れ依頼人の固有エンディングの後ゲーム終了である。
    • 内容は「砕けるラスボス。ラスボスの中から光が落ち、主人公がダンジョンを抜ける?。影を落とした謎の人物の出で立ちが何やら変わる。本を広げたあるページの写真からどこかのダンジョンの深くへ場面が変わり、再深部と思わしき場所で落ちた光がラスボスのようなものに変わる」というもの。
    • どこかのダンジョンにボスが復活した旨を示唆しているように思えるが、ムービー後に継続プレイが出来るわけでもなく、2周目以降に挑める隠しダンジョンにそれらしいボスもおらず、それ以外の隠しダンジョンも見つからない。既存のダンジョンにも変化は見られないし、2周目以降のラスボスも何ら変わりはない。ムービーは映像のみで文字による説明が無いため、そもそもが何を暗示しているのかすら不明である。
  • タイトルの「バルディッシュ」とは実在する斧の様な武器の名前で、ゲーム中にも「隠しダンジョンの最深部で入手できる最強の武器」として登場するのだが、ただ落ちているのを拾うだけで、イベントも何も無い。
    • そして隠しダンジョンだけではなく、最終ダンジョンの固定フロアにも落ちている。ミズホの依頼で行ける固定フロアでは通路上に落ちているので依頼のついでに普通に拾える。この時のバルディッシュは依頼を達成しないかぎり入り直すことで何度でも取れるので、大量に入手も可能。
      • ただ最終ダンジョンで拾えるバルディッシュはレベルが低く、他の最強武器と比べて攻撃力が大差無かったりする。斧は両手持ちなため、攻撃力が多少落ちても片手剣と盾の方がバランスが良い。さらに盾を捨ててでも攻撃力に拘るのなら、二刀流スキルで剣や刀を二本装備した方が強い。
      • 隠しダンジョンで拾えるバルディッシュは最高のレベル9の状態で、本当に本作最強の攻撃力を誇る。しかしバルディッシュと同時に最強の片手剣と最強の盾も手に入り、この盾は攻撃力を大きく上げるため、二つを装備するとバルディッシュの攻撃力を簡単に上回ってしまう。もちろん攻撃力だけでなく防御力も大きく上がるので、こちらの方が良いのは明らか。バルディッシュを使う意味も使えるタイミングも無いため、もはや最強の斧(笑)である。
  • タイトルになっているので特別な武器なのかと思いきや普通に売却できる。というか周回を重ねると普通に武器屋に並ぶ
    • 武器屋のラインナップが変わる条件は不明だが、バルディッシュが武器屋に並ぶ頃には他の店売りの武器のレベルは高くなっているのに、バルディッシュは何故かレベル0のまま売られる。そのためレベルの高い他の武器に攻撃力が劣っている。売る意味がわからない。

その他

マイナーな本作だが、実は98年に発売したPCゲームの移植である。PC版はネットに繋げて最大8人のプレイヤーと協力プレイをしながらダンジョン探索を行えたり、アイテムを掛けて対戦したり出来たようだ。こちらはさらにマイナーなため詳細は不明だが、ネットの当時の紹介記事を見ると、街の構造や街内での画面レイアウトは変わらないようだが、ダンジョン内は大幅に違っており、多人数によるリアルタイムアクションで遊べたようである。上記のキリコやプリムヴェールの問題点がこの頃からあったのかは不明。

総評

本作は依頼を受けて進めていくゲームでダンジョン要素は付随要素であり、その依頼もダンジョン内のアイテム入手がほとんどであるため、作業感が強めのゲームになってしまっている。
更に本作には、様々な謎があるため、消化不良感も漂う。

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最終更新:2023年10月04日 18:16

*1 一度でも闘技場で戦い勝ち、入り直さないと出ない。闘技場は攻略には無関係で無視してクリア可能。なおゲーム開始時に未登場なのはミズホも同様だが、こちらは進行上必ず出現。