THE KING OF FIGHTERS XI

【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず いれぶん】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 アーケード(ATOMISWAVE)
販売元・開発元 SNKプレイモア
稼動開始日 2005年10月26日
判定 良作
ポイント 年号からナンバリングへ以降した本編初新基板『KOF』
悪夢の『KOF2003』から劇的な持ち直し
今までに無かったキャラ選出
スピーディーなマルチシフトバトルの完成型
新世界サウンド完全復活の良質BGM
史上最強のバッタゲーではある
今までにいなかったウザい1人弾幕STG状態のラスボス
KOFシリーズ関連作品リンク


概要

SNKのキャラクターが勢揃いするドリームマッチ対戦格闘ゲーム『KOF』シリーズの本編11作目。
前作『KOF2003』から始まった「アッシュ編」第二章。
これまでKOFは毎年リリースされていたが、開発期間が開いたことや、昨年の『KOF NEOWAVE』が番外編であったことから、
本作からタイトルの西暦年号表記を廃止し、これまでの『'94』~『2003』の本編を10作と数えてナンバリング表記に移行した*1

『KOF NEOWAVE』に引き続いてATOMISWAVE基板に移行したことで、既に旧式ハードと化していたMVS(ネオジオ)で様々な制約を受けながら作られた前作に比べ、あらゆる面において完成度が上昇。ネオジオ以外の新基板で造られたKOFとしては初の本編(ナンバリング)タイトルとなった。
リアルタイムでチームメンバーの交代を行う「マルチシフトシステム」の問題点は軒並み解消され、スピーディーで爽快感のある格闘ゲームへと進化を遂げた。

『2001』と同様、珍しくインターフェースがシンプルなデザインに統一されたうえで、本作のデザインは明るくオシャレにまとめられた雰囲気に。
さらに驚きのキャラクター選出もあり、演出面でも久々にドリームマッチらしい賑やかさが戻ってきた。

ストーリー

オロチの封印の解除に成功した、謎の組織の一員、「無界」。その混乱に乗じ、「八咫の鏡」の力を奪ったアッシュ・クリムゾン。
それらは大会主催者でもあった神楽ちづるの負傷という結果をもたらし、前回のキング・オブ・ファイターズ'03は混乱の中でその幕を下ろした……。

季節が巡り、時が流れ、今年もまたKOFの開催が宣言された。新たな顔触れを加えつつ、次々に明らかになってゆく参加者たち。
如月影二の復帰を筆頭に、初参加者ではB.ジェニー、ダック・キング、オズワルド、桃子、そしてエリザベート・ブラントルシュ。
鍛えぬかれた戦士たちは、かつてない秘密と脅威が渦巻く世界最高の格闘大会に何を求めて集うのか。
彼らを加えて、大会は例年以上に熱く盛り上がろうとしていた。

華やかな格闘大会という、KOFの表向きの顔。それとは別に、裏側では数々の思惑が交差する。

「遥けし彼の地より出る者」と名乗る謎の組織は、これからどう動くのか?封印を解かれたオロチの力の行末は?
一角を欠いた三種の神器は攻勢に転じることができるのか?そしてアッシュ・クリムゾンの真の目的とは……。

キング・オブ・ファイターズXI、いよいよ開催。今、闘いの扉が再び開く。

キャラクター

  • 11チーム+乱入キャラクター5名、ボスキャラ2名で計40キャラ。
  • 完全新キャラは太字及び + マーク、KOF初出場キャラは * マーク、再登場キャラには * をつけている。
    • 主人公チーム:アッシュ・クリムゾン シェン・ウー オズワルド +
    • ライバルチーム: エリザベート・ブラントルシュ + 二階堂紅丸 デュオロン
    • 餓狼伝説チーム:テリー・ボガード ダック・キング * キム・カッファン
    • 龍虎の拳チーム:リョウ・サカザキ ユリ・サカザキ キング
    • 怒チーム:ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル ウィップ
    • サイコソルジャーチーム:麻宮アテナ 椎拳崇 * 桃子 +
    • アンチ極限流チーム:まりん 如月影二 * 藤堂香澄 *
    • 餓狼MOWチーム: B・ジェニー * グリフォンマスク 牙刀
    • K'チーム:K' マキシマ クーラ・ダイアモンド *
    • エージェントチーム:ヴァネッサ * ラモン * ブルー・マリー
    • 京&庵チーム:草薙京 八神庵 矢吹真吾
    • 乱入キャラ(アーケードはタイムリリースで、家庭用は特定条件を満たすことでそれぞれ使用可):アーデルハイド・バーンシュタイン 天童凱 * 邪頭 * ズィルバー * ショー・疾風 *
    • ボス(家庭用のみ使用可):紫苑 + 禍忌 +

前作以上に既存シリーズキャラのラインナップが強化され、『餓狼伝説』シリーズからダック・キングとB・ジェニー、隠しキャラとして『風雲黙示録』からショー・疾風と邪頭、『武力~BURIKI ONE~』から天童凱とズィルバーが参戦した。また前作ではCPU専用のラスボスの1人であった、アーデルハイドが今作にて(隠しキャラとはいえ)晴れて使用可能に。

特徴・システム

  • 前作で削除されていた「吹っ飛ばし攻撃」が復活。専用のボタン(Eボタン)が割り振られ、1レバー+5ボタン制に。
  • システムは前作に引き続き、1ラウンド制の試合中にリアルタイムで交代が行われ、チーム3人全員がKOされるまでシームレスに続く「マルチシフトシステム」がベース。
    • 控えメンバーがいる時はACまたはBD同時押しで、攻撃を行わず任意にプレイヤーキャラの交代を行う。チームメンバーがKOされた場合も、その場で次のメンバーに交代する。
    • 3人のメンバーのうち、「リーダー」に設定した1人のみ、超必殺技よりも強力なパワーゲージ2本消費の「リーダー超必殺技」を使用できる。

本作では主に以下のような変更が行われた。

  • スキルゲージの新設
    • 何らかの動作をキャンセルした行動のために必要となるゲージ。最大2本までストック可能。
      パワーゲージとは異なり、時間経過で少しずつ自動的に溜まっていき、能動的に溜める手段は無い。なお、2本目のゲージは1本目よりも溜まる速度が遅くなる。
    • クイック緊急回避(スキルゲージ1本消費)
      • こちらの地上技をヒットorガードさせた時に、スキルゲージ消費で硬直をキャンセルして自分が緊急回避できる。『2002』と違い、パワーゲージは使わない。
    • クイックシフト(スキルゲージ1本消費)
      • 超必殺技を含む地上技をヒットorガードさせている間にACかBDを同時押しした場合、次のメンバーに攻撃をさせつつそのまま素早く交代が出来る。
        前作の「交代攻撃」に2002までのクイックMAXの性質を組み合わせたようなアクション。発動できる機会は変わったが大幅に自由度が上がり、マルチシフトの主要なアクションとなっている。
    • セービングシフト・ガードキャンセルシフト(スキルゲージ2本消費)
      • 地上で相手の攻撃がヒットまたはガードしているときに、ACまたはBD同時押しで発動*2
        仰け反りやガード硬直をキャンセルし、素早くメンバー交代を行う。セービングシフトのみ次のメンバーが同時に反撃を行い、GCシフトは反撃を行わない。
        KOFにかつて存在した「援護攻撃」を、最近のギルティギアシリーズでお馴染みの「サイクバースト」などと組み合わせたような、相手の地上連続技から脱出できる非常に強力なアクションである。ただしその分コストは重い。
    • スーパーキャンセル・ドリームキャンセル(パワーゲージと同時にスキルゲージ1本消費)
      • 従来の必殺技をキャンセルして超必殺技を出す「スーパーキャンセル」は、今回はスキルゲージ1本を追加消費で可能。
      • リーダー限定・パワー2本消費のリーダー超必殺技も、同様にスキルゲージ1本を追加消費すると、対応する超必殺技から「ドリームキャンセル」が可能。非常に強力なコンボを成立させられる。
      • 投げ系や反撃専用の「当て身系」といったリーダー超必殺技などは、ドリームキャンセルで出した時にのみ始動モーションの攻撃判定が打撃属性になり、普通の超必殺技と同じ要領で連続技にできる。
    • ガードキャンセル吹っ飛ばし攻撃・ガードキャンセル緊急回避(それぞれパワーゲージ1本消費)
      • 相手の技をガード中にEorABで、硬直をキャンセルして繰り出す共通アクションも健在だが、これらは従来通りパワーゲージを使う。
  • パワーゲージの変更
    • 直近の『2003』や『NEOWAVE』と違い、試合開始時のパワーゲージ蓄積量は従来通りの0からスタートに戻った。
    • 1人倒される度にパワーゲージの上限が+1されるのは『'98』のADVANCEDモードや『2002』『2003』と同様だが、今作ではこの際にストック本数も同時に+1本分増加する。
  • ジャッジメントインジケーター
    • 画面中央上のタイムカウントの部分に表示されているメーター。どちらのチームが優勢に試合を進めているかを示すもので、今作におけるタイムアップ時の判定はこれによって決される。
      攻撃を当てる度に少しずつ、メンバーがダウンした瞬間に一気に回転する。引き分けている時は黄色で、1P優勢時は赤、2P優勢時は青に表示が変わる。
    • 一見すると体力総量の差を示すメーターだがそういうわけでもない。リーダーによる攻撃は他メンバーの攻撃よりも傾きがわずかに大きい他、メーターは上限を越えて傾くことはない(≒一方的に押されたとしても挽回の余地が常に残る)。

評価点

  • 格闘ゲームの原点に立ち返れる攻めの楽しさ
    • 弱体化による調整が目立った前作に比べ、本作は全体的に技の性能が高く設定されており、格段に攻めやすくなった。
      ガードされて反撃を受けるような技が本作では少ないため、積極的に攻め込んだ側が有利になりやすく、めまぐるしく攻撃の主導権を奪い合うスピーディーなゲームとなっている。
    • また、ヒットストップやキャンセルポイントが長めに取られていることに加え、先行入力も効きやすくなっており、連続技の難度がシリーズの中でも低め。
      • 従来はシビアだった目押し連続技も概ね安定して繋がるため、KOFシリーズに不慣れだったプレイヤーでもとっつきやすい。
    • クイックシフトを活用した連続技は非常に強力かつ爽快。
      長い連続技になりがちなためさすがに手元は忙しくなるが、これも基本的には「それぞれのキャラのコンボをクイックシフトで繋げるだけ」なので、慣れてれば見た目よりも簡単。
      キャラクターが多いため組み合わせも膨大で、定番の基本コンボからその場の閃きによるアドリブコンボまで、様々な連続技を模索する面白さがある。
      • シフトコンボは最大3キャラを次々に切り替えて操作するという特性上、通常の格闘ゲームのループコンボのようなパターン感が無く、『KOF』特有のチームバトルというコンセプトもさらに上手く活かされている。
        リスキーだが、スーパーキャンセルやドリームキャンセルを交えれば威力も見栄えも抜群。
    • なにより操作していて純粋に楽しい。当たり前のようで、昨今の複雑化した格闘ゲームではしばしば置き去りになってしまう、格ゲー本来の面白さである。
  • シフトシステムの全面的な改善
    • 特にセービングシフトの導入が大きい。クイックシフトによって生み出された即死級の連続技こそ多数存在するものの、これにより実際の対戦中で即死コンボが決まる機会はかなり抑制されており、攻めが強いなりにバランスを保った。もしこれがなければ、本作のバランスもまた不安定なものになっていた可能性は大きい。
    • これに加え、スキルゲージの溜まり方を両者公平にしたという点も地味ながら妙策だったといえる。パワーゲージや『2000』のストライカーボムとは異なり、時間経過でしか貯まらず、能動的に貯める手段を設けなかったのも英断*3
      パワーゲージがシフト動作にも共有され、かつ初期値3本でスタートしていた*4前作のような一方的な展開は起こりにくくなり、理不尽感は大きく解消された。
      • スキルゲージとシフト動作(=入れ替える仲間)、どちらも攻撃と防御の両方に不可欠となるため、どのタイミングでスキルゲージを放出するか、時にはいかにダメージを肩代わりさせるかの配分を考える戦略性が生まれた。
    • 仕様上、残りメンバーが一人になるとクイックシフトもセービングシフトも使えなくなるため、判定とともにかなり不利な状況に追い込まれてしまうが、
      メンバーがダウンした瞬間にパワーゲージが残量・最大ストック量ともに一本ずつ上昇する(最大値は3本から5本まで増える)ため、超必殺技を惜しみなく撃ちやすくなる。
      加えて、シフト動作がなくなることからスキルゲージは1本溜まった段階でスーパーキャンセルやドリームキャンセル、クイック回避に集中的に使えることにもなるため、ワンチャンスからの大逆転も起こりやすくなっていく。
  • 質の高いサウンド
    • 極上のBGM群。個々の曲の出来の良さもさることながら、いずれもチームコンセプトやステージ背景とのマッチングが絶妙。
      曲数も多く、地味な各種デモ画面用の曲もしっかり数種類用意されている。にもかかわらずショー・疾風のテーマ曲「チャーチャーチャー」を除いて全て新曲であり既存曲のリミックスなどは基本的に皆無、なおかつシリーズの雰囲気を全く損ねていない。
      鋭いロックチューンから渋いアコースティック曲、洒落たジャズナンバー、ポップで可愛く楽しい曲、ドライなエレクトロサウンドなどなど、バラエティの豊富さにかけても文句の付け所が見当たらない。
      • 特に評価が高いのは主人公チームの「JOKER」や、ライバルチームの「Queen」に加え、K'チームの「KDD-0075」など。
      • 前作『2003』の楽曲は『2001』『2002』よりも評価は悪くなかったが、それでもMVS(ネオジオ)の古い音源と容量という限界はどうしても無視できるものではなくなっていた。
        しかしATOMISWAVE基板に移行しその軛から解き放たれた本作では音質も劇的に上昇。前作で復帰したTATE-NORIOこと山手安生氏に続いて本作では同じく旧SNKの「新世界楽曲雑技団」の中心的メンバーだったSHA-Vこと麻中秀樹氏が復帰したことで、KOFを彩る音楽が完全復活した。
      • 総じて、サウンド面においてシリーズ最高傑作とされていた『KOF'96』に匹敵する出来。サウンドトラックもプレミアが付いて高値で取引されている模様。
    • SEも酷評されていた2003やSVCから総差し替えとなり、正常に戻ったと言えばそれまでだが初期作のようにズガーン!と気持ちよく鳴ってくれるSEが用意。
  • キャラクター選出
    • ドリームマッチと言いつつ、1年ごとに新作をリリースし続けてきた結果、完全新キャラを除いて半ばメンバーが固定化されつつ新鮮味が無くなっていたKOFシリーズ。
      しかし本作ではまさかの『風雲黙示録』、『風雲スーパータッグバトル』からのハヤテと邪頭に、『武力~BURIKI ONE~』からの凱*5、ズィルバーなど、あまりスポットが当たっていなかったSNK過去作品からキャラクターが選出され目新しいキャラが多数参戦。
      久々にSNKオールスターらしさと祭典感のある賑やかなメンツが出揃った。風雲黙示録シリーズや武力のキャラ参戦は想定外だっただけにそこを好意的に評価する人も。
    • 今作完全新規キャラのオズワルドとエリザベートも概ね好評。
      • 特にオズワルドは渋い外見に独特のクネクネした動き、なのになぜか格好良いという新鮮な印象を与え、老人キャラであるにもかかわらずその性能とあいまってかなりの人気を集めた。
      • エリザベートは正統派格ゲーヒロインに近いキャラだが、ストーリーの核心に関わっていることもあり、こちらもまずまずの人気。
      • テコ入れと思しきロリキャラの桃子は正直キャラ人気的には微妙。性能面でも微妙ではあるが、操作感はまずまず好評*6な為、弱キャラと言われながらもそれなりに対戦で使われる程度の人気は出た。
    • チームの構成なども中々面白い。
      • 名物キャラの多くがリストラされているが、故に長らく問題となっていたメンバーの固定化から脱却している。
        これにともなって女性格闘家チームや韓国チームは実質的に廃止されているが、代わりに新たなチームがいくつか生まれた。
        改めて再編成を経た餓狼チームはMOW版テリー/ダック・キング/キムと言う、懐かしくも全く新しい面子に。
      • ダック・キング*7とB・ジェニーの参戦や、影二と香澄などの復活も餓狼・龍虎ファンには嬉しい所。
    • エディット専用ながら風雲や武力のキャラに関してはそれぞれ上手く個性が出ており、順次解禁されるごとに各種ゲーセンを賑わせた。
      • 特に原作の操作感再現を目指した凱は初見お断りとも言えるコマンドだらけだが*8、その独特な操作感もあり、使っていて楽しいキャラの一人として評価されている。
      • また、風雲・武力勢同様にタイムリリースの隠しキャラ枠にいる、今回初めて使用可能になった、KOFの歴代ボスを代表するルガールの息子であるアーデルハイド・バーンシュタインも好評。
        父・ルガールを彷彿とさせる技の数々を持ちながらも、性能と戦い方はかなり異なっており、工夫が見られる。加えて父が因縁の相手であるハイデルンと初対面する公式ストーリーや、父とは正反対なまでの好青年ぶりな性格、そしてサブキャラクターでありながらキャラが確立されて目立っている、彼とは正反対な毒舌家で高飛車な性格の妹・ローズの存在と彼をリーダーにしている時のみ見られる次回への布石であるエンディングなど、ストーリーも凝った出来になっている。
        残念ながら現在の最新作『XV』に至るまで、彼が使用可能キャラとして登場しているのは本作のみであり、再登場を望むファンも多く、また彼を使いたいが為に本作をプレイし続けているファンも多い*9
  • 全体的にお洒落で大人っぽくまとめられた雰囲気、トランプをモチーフにした演出も評判が良い。
    • デモ画面やステージのCGも劇的に美麗になった。新基板による容量増加のおかげなので当たり前と言えば当たり前だが、CGの質そのものも良好。
    • 爽やかな印象でまとめられたキャラクターイラストも高評価。
      • 本作のイラストを手掛けたヒロアキ氏は旧SNK時代を代表するイラストレーターだった森気楼氏の弟子だけあって安定感ある画風で、キャラの特徴の描写も的確。
        『2001』『2002』のノナ氏、『2003』のFALCOON氏は画力こそ高いがいずれもクセの強すぎる独特の画風のためにかなりの物議を醸したが、本作では久々に諸手を挙げてファンに歓迎された*10
  • キャラクターバランスは割と良好
    • 弱キャラでも十分戦える性能は持っており、このあたりは格ゲーらしくプレイヤースキル次第でどうとでもなるバランスに収まっている。
    • とはいえキャラ数が多いうえ、かなり攻め重視のゲームデザインになっている影響もあってか、どうしても強キャラ弱キャラは存在する。
      • 強キャラ筆頭格は小ジャンプ攻撃の暴力級の強さとそこからの連続技の安定感を誇る牙刀とクーラ・ダイアモンドの二人。
        ここに優秀なリーダー超必殺技による爆発力が凄まじいオズワルドを加えた「ガトクラオズ」が最強チームとされ、各地のゲームセンターで非常に良く見かける組み合わせであった。
    • 逆に弱キャラとされるのは桃子の他に麻宮アテナ、ウィップ、ショー・疾風など。
    • なお、これらの評価は稼動後しばらく経った時点のもので、やり込み勢による研究・対策が進んだ現在は各キャラの評価が大きく見直され、上下の差が詰まっているとも言われている。

賛否両論点

  • ジャンプ攻撃が強すぎる
    • ゲームスピード自体は2003よりも若干遅くなっているはずなのだが、小・中ジャンプが異常に低く速い
      これに対しジャンプ攻撃がヒットしたときの仰け反りがやたら長いため、キャラによっては小ジャンプ直後に出した技が当たると、着地後の地上技があっさり繋がる
      • その速さは人間が反応できるスピードを普通に超えているため、まず見えない。気付いたら食らっているというレベルである。
      • 特に強力なのはクーラ・ダイアモンドの小ジャンプC。発生が早い、判定が強い、仰け反りが長い、威力も高いという完璧な性能で、そこから始まる連続技でゴッソリと減る。
    • 元々KOFはジャンプ攻撃が強い傾向にあるシリーズであることからピョンピョン跳ねて攻撃するのが強い「バッタゲー」などと揶揄されていたが、本作はその中でも最強のバッタゲーであった。
    • ただしジャンプ攻撃が強いということは、それだけ意表をついた攻めを演出しやすく、強力な連続技の布石にもなることでもあり、本作特有の爽快感あるスピーディーな展開を後押ししている一面もある。
      これを本作の醍醐味と見るか、厄介なところと見るかは人によって異なってくるだろう。
  • レギュラーキャラの欠場
    • 前作『2003』でも、アンディ・ボガードやクーラ・ダイアモンドのようにそれまで皆勤or初出場以降欠場がなかったキャラが初めて欠場となった例が目立ったが、今作においても、滅多に外部出演の無いレアなキャラや復活キャラが登場している反面、お馴染みのキャラが出場していないことに対する不満も見られる。
      続投キャラや選出対象となる客演キャラが多いシリーズだけに人気キャラや新シリーズキャラの欠場が度々行われてきたシリーズではあるが…。
    • ジョー、ロバート、チャン、大門などの高い出場率を持つ面々が出場していないが、その中でも特に高い人気を持つ女性キャラの舞とレオナの欠場の不満は大きかった。
      • チームストーリーで説明はされている。舞は今作で出場していないアンディと共にバカンス、レオナは「前作で暴走してしまったため」。
      • なお、家庭用では舞とロバートが遅れて参戦を果たした。
  • スタンコンボ
    • シェン・ウーやまりんなど気絶値上昇の高い技を持っているキャラをあらかじめ入れておき、そこからクイックシフトで交替しながら気絶値が高い連続技を打ち込み続けられる。
      本作は気絶値がスタンゲージとして見えるようになっているので、上手くやるとスタンゲージ半分ぐらいを確認してスキルゲージ1本で成立する。気絶後の攻撃を含めると即死連続技になってしまうのも多々。
      • ただしスタンコンボがあるキャラ=強キャラという訳ではなく、決める機会自体がそう多くなく、何よりセービングシフトで脱出できるのもあり、あくまで状況限定のコンボとして割り切れる範疇。
  • ドリームキャンセルによるダメージ補正
    • ラルフのように極端に下方補正がかかるキャラもいれば、牙刀のように逆の上方補正がかかりダメージアップするキャラというようにその差は激しい。
      とはいえ、リーダー限定なのでキャラの強さ自体にはそこまで影響はなかったりする。
  • ジャッジメントインジケーター
    • いわゆる「待ち」「逃げ」を防止するためのアイデアだと思われるが、ただでさえ攻めがそれらをぶっ潰すレベルで強いゲームなので大して意味が無い。
      タイムアップ直前になると判定勝ちしている方は非リーダーで逃げればいいので、逃げ切りを防止する役にも立っていない。
      • 意欲的な試みではあったが、これなら普通に「合計残りライフの多い方が勝ち」という形の方が良かったという意見が多い。ただし、一方でタイムアップ直前のちょっとした独特の駆け引きと緊張感を評価する声もある。
  • ラスボスのキャラについて
    • 今作のラスボスの禍忌(マガキ)*11は「嫌な奴」をコンセプトとして作られたキャラ。性格も悪く、戦闘時の変身後の姿はピンク色の身体を持つ人外という気味の悪い外見である。
      • 言動は自分以外を見下しほとんどのキャラに対して勝利メッセージで癪に触るような皮肉を言う。加えて劇中で部下の紫苑(中ボス)を平気で裏切るなど、敵とはいえとことんなまでに外道な行為を働いている。前作のラスボスの無界が敵ながら人格者だっただけに余計に際立っている。
      • しかしこういったキャラの報いとしてEDではきちんとそれ相応の最期を迎える展開になっており、好き勝手やって罰も受けないといったようなことはない。
    • 開発の狙い通り「嫌な奴」としての出来は良く、それ故に嫌う人もいる一方で、『KOF』としては珍しい「悪役らしい悪役」であり、その最期も含めて悪役に徹したコンセプトは一定の評価を得ている。
    • しかし、一方で性能やCPUのアルゴリズムに関してはお世辞にも擁護できないものであった。詳しくは後述の「問題点」にて。

問題点

  • セービングシフトとガードキャンセルシフト
    • セービングシフトは「地上仰け反り中でなければ発動できない」という仕様のせいで、浮かされて空中連続技に入られると脱出手段がなくなるため、必然的に強力な対空中コンボが可能なキャラが強い傾向にある。
      スキルゲージ2本とコストはそれなりに高い上に「控えが一人でも残っている」という条件があるせいで安易に使えるものでもないため、素直に空中でも発動できるようにした方が良かったのではないかと思われる部分。
    • ガードキャンセルシフトはスキルゲージ2本という大きな消費を強いられる割に交代時の反撃がないため、かえって劣勢に立たされることも多い。
      同じガードキャンセルでもパワーゲージ1本で使える吹っ飛ばし攻撃or緊急回避の方が信頼性が高いため、はっきり言ってGCシフトは死に技同然である。
  • 1人弾幕シューティング状態のラスボス、禍忌のCPUとしての仕様
    • 今作のラスボスの禍忌(マガキ)だが、KOF恒例の脅威の性能と超反応ぶりで強いのは勿論、その中身もかつてないほどに「ウザい」「1人だけゲームジャンルが違う」といった批判を浴びるほどのものを有している。
    • 彼はファントムスフィア(巨大な水色半透明の霧)やディメンションスフィア(ワープ後に背後から斜め上から出現するピンク色の球体)などといった豊富な飛び道具を駆使して戦うボスなのだが、その飛び道具の多くが「発生保障あり*12」「超必殺技級以上を含めて、こちらの殆どの飛び道具を貫通してしまう」「画面内に複数の飛び道具を一度に幾つも出せて弾幕を張れる」といった特権を有しており、それらを組み合わせてフル活用、さらに『KOF』のボスの伝統ともいうべき超反応まで加わっているのでかなり手強い。
      しかも長い無敵時間を誇る上にスタン値が異常に高いピンク色の爆風を起こす飛び道具(エクスプローディングスフィア)や、こちらがやっと近づけたと思ったら簡単にワープして逃げてしまう隙の少ない移動技(サムウェアホール)、極めつきなんでも判定仕様の全画面攻撃(ユニバースディストーション)まで持つという凶悪ぶりである。
    • 実際に戦ってみると近づくのも一苦労なくらい例の飛び道具で弾幕を張り、かと言って待っているとその飛び道具で削り続けられる上にいずれガードクラッシュまでさせられ、一方で飛び道具の合間や隙を見計らって前転と歩きの併用でなんとか近づけたと思ったら今度はサムウェアホールで逃げられたり、それだけならまだいいものの、スタン値が異常に高い無敵技のエクスプローディングスフィアの洗礼を受けてスタンさせられそこに全画面攻撃のユニバースディストーションまで入れられて終了、「可能性などなかった。所詮人間だな」と禍忌に煽られる....なんてことも日常茶飯事である。
      稼働当初の初見プレイヤー達はこの一方的な展開で葬られることも多く、しかも幾らCPU専用のボスとはいえ弾幕上等という1人シューティング状態の場違いな性能ということもあり、はっきりいってプレイヤーとしてはたまったものではないものであった。強い・ウザいを通り越してもはや格闘ゲームですらないシューティングゲーム状態な性能と戦いぶりから「シューティングゲームに行け」「出るゲームを間違えたのでは?」という意見もしばしば聞かれた(後にKOFのスピンオフで本当にシューティングゲーム*13が出るわけだが…※ただし禍忌はいません)。
      • また、追記しておくと本シリーズ通してのプレイアブルキャラにも、飛び道具のバリエーション数が3、4個以上と他より明らかに多く、その飛び道具の使い分けが立ち回りの要となるキャラも数人だけとはいえ、いるにはいる。ただしそれらはプレイアブルということもあって、この禍忌みたいに一度に複数発射や発生保障に相手のあらゆる飛び道具貫通(超必殺技は例外)といった特権があるわけではないことを補足しておく*14
    • 一応凶悪な性能や超反応と同様にこれまでの例にも漏れず、攻略パターンはあるにはある。
      • まずは飛び道具による弾幕は確かに避けるのは簡単ではないものの、前転と歩きや危ないと思ったら一旦止まってのガードを併用し慌てさえしなければ全く避けられない訳でもないので、上手く隙を見計らってそれらを活用して潜り込んでいき禍忌への接近を図る。なんとかある程度近づけた後は、彼は近距離に接近したり起き上がり時のリバーサルに高確率で無敵技のエクスプローディングスフィアを出す傾向にあるのだが、それを利用して「上手く当たらない距離から前転で潜り込んでエクスプローディングスフィアを避けつつ接近し、それを空振りさせた隙にコンボを入れてダウンを奪い、そしてまた近い間合いだが当たらない距離で待ってまたもやエクスプローディングスフィアを誘い、こちらは前転でかわして空振りさせた隙にまたコンボでダウンを奪い、起き上がりを待って....」の繰り返しで勝てる可能性を一気に上げることができる。偶に起き上がり後にサムウェアホールで距離を離されることもあるがそうされたらまた仕切り直しということで先程の飛び道具を掻い潜って接近する流れに戻ってやり直せばよい。
      • また、エクスプローディングスフィアは打撃に対しては無敵であるものの、投げに対しての無敵はないという弱点があるので、クラークやラモンやグリフォンマスクなどのコマンド投げを持っているキャラクターなら、前述の弾幕を掻い潜って近づく手段はそのままに、近づいたらコマンド投げを決めてダウンを奪い、また近づいて起き上がり後のリバーサルにタイミングを合わせてまたコマンド投げを入れてダウンを奪い……の流れで簡単に勝ててしまう*15
        他にもキャラ限定になるが、禍忌並みに飛び道具自体は多くの種類を持つ邪頭なら、相手の頭上をサーチして氷柱を落とす「邪氷魔」を活用する手段、
        紅丸ならめくりが強くジャンプが高いジャンプDでファントムスフィアやエクスプローディングスフィアを飛び越えてフルコンボを決めたり*16するのも有効。それ以外にもデュオロンの捨己従竜×3→飛毛脚の繰り返しもハマりやすい。
    • 家庭用では条件を満たせば隠しキャラとして使用可能になるのだが、これを人間が使うと先述までの凶悪な強さを武器にできるかと思うと.....実際は通常技の性能が低く、移動速度も遅く、飛び道具も何も考えず単純に出すだけでは隙が大きいことが判明。超必殺技も「バニッシュ」が死に技で全画面攻撃「ユニバース・ディストーション」は強力だがゲージが2本も必要だったりと、決してお手軽でないことが判明した。更にCPU専用時のような攻撃・防御力補正も一切かかっていない。以上により、CPU特有の超反応や攻撃・防御力補正を無くすと簡単には勝てないキャラという絶妙な調整がされていたことがわかり、驚かれた*17
  • ドット絵の粗さ
    • 『KOF』のキャラのドット絵そのものが『'96』をベースに新規モーションの追加、既存キャラに合わせた新キャラの追加、という形で行われ続けてきたが、流石にキャラクターグラフィックそのものがもはや時代遅れに等しい物に。
      • 一応、前作で異様にカクカクな動きだったシェン等は中割のドット絵がある程度書き込まれて非常に良く動くようにはなったが、解像度の低さは如何ともし難い。
      • 背景は毎作一新される為にこういった問題は起きていないのだが、背景とUIだけが進化しているだけになおさらキャラのドットの粗さが目立ってしまっている。
    • 一方でベースの問題はあるものの、1作間を空けて新規ドットで帰ってきたケンスウや『KOF』初登場のダック等、新たに書き下ろされたドットの評価は比較的高い。また、本作の新キャラのオズワルドや中ボスの紫苑(「余談」の項目にも後述)は動きのパターンが豊富でヌルヌル動くほど描き込まれている。
    • ただ、キャラの動き、特に超必殺技の演出はレベルが高いとは言えず、全体的に技が軽く感じられやすい。推測するに、演出をあえて簡素にすることで全体のテンポアップを狙ったものだと思われるが……。
      • これについては、ドット絵を含むグラフィック演出の評価が非常に高かった『餓狼 MARK OF THE WOLVES』準拠のテリー・ボガードなどが特に顕著で、彼らのグラフィックはKOFに落とし込んだ結果MOWより劣化したと評されることも。
  • 対戦前のロード時間が長い
    • ATOMISWAVEの仕様なので仕方ないが、ロムカセットなのにディスクメディア並の読み込み時間が入る。
    • 対戦はもちろんCPU戦でも対戦前に待たされるので少々テンポが悪い。
      ちなみに対戦前のロード時間は、メディアにDVD-ROM、つまりディスクを採用しているPS2版の方が僅かながら短い。
  • 隠しキャラ解禁仕様の問題
    • 隠しキャラ解禁の正確な条件は「通電時間が何時間か」であり、普通に稼働している分には一定日数が経つと自動で解禁されていく。
      • ただこの仕様は問題も抱えており、何かしらの事情でロムカセットを外してしまうと稼働時間がリセットされて最初からカウントしなおしとなってしまう。最終解禁には1440時間以上が必要であり、リセットされてしまった場合、一般のゲームセンターだと3ヶ月ほどかかる計算に。しかも、本作は前作『NEOWAVE』とも異なり、タイムリリース制を採用しているゲームの多くに救済措置として搭載されているオペレーターコマンドも搭載されていない*18

総評

マルチシフトシステムがしっかりと練り込まれ、KOFの新たなチームバトルの形を完成させた良作。
比較対象が悪夢のような出来だった『KOF2003』だったことを考慮せずとも、単体のゲームとして評価できる点は随所にある。

対戦バランスに関してはかなり尖った面もあり、バッタゲーであることには違いないが、格ゲーの原点と言える純粋にキャラを動かしていて面白いという感覚が、確かに味わえるゲームである。
BGMを始めとする演出の出来も、概ね相変わらず素晴らしい。

なお後続作のチームシステムが従来通りのものに回帰した関係もあり、『KOF』シリーズ、ひいては流行り廃りの激しい格ゲーでも本作の息はかなり長い。
未だに「XI勢」と呼ばれる根強いプレイヤーも散見されることがその証左であろう。


余談

  • 稼働最盛期だった2006年には闘劇種目に選出、アルカディア大賞読者人気部門でも6位に入っており、ジャンル内でも上位に食い込む人気を得た。
  • 武力から2人目の参戦キャラのズィルバーは、ジョーカーとカズウ*19、ゲーマント*20と言ったかなりアレな候補の中から選出されたが、通常技構成すらままならない程の技の少なさで製作者を悩ませていた模様。
+ 参考動画
  • 中ボス「紫苑」について
    • 本作の中ボスである「遥けし彼の地より出づるもの」の一員でラスボス禍忌の部下を務める、人外ながら人間の外見を持つ紫苑だが、その外見は睨むような目つきをしていながらも一見、細身で長身端麗な「女性」にしか見えず、台詞も荒々しく攻撃的ながらも女性の声*21にしか聞こえないのだが、
      実はこのキャラは男性なのである。
    • 元々稼働当初から先程の荒い口調と目付きの所謂「ツンツン」要素と端麗な外見や細かく描き込まれたドット絵で表現されたアグレッシブな中国武術などが相まって、CPU専用ながらこのキャラに惚れたプレイヤーもそこそこ多くいたのだが、公式で「男性」と発表されて以来、ある者は 「死にたい…」 と頭を抱えて絶望し、一方ある者はそこにむしろますます惚れたなど、賛否が分かれながらもなにかと話題を呼んだキャラの一人となった。一部では「KOF歴代最高の中ボス出身キャラ」という声も*22
    • 性能や技については、CPU専用ということもあり、バランスを度外視した技が揃っているものの、
      これがまたアグレッシブで芸が細かい中国武術が揃っており、まず「槍モード」と「素手(拳法)モード」の二つに分かれている、過去作のメイ・リー以来2人目モードチェンジ型となっているのが珍しい。
      しかも各モード毎に技も性能・性質を極端に大きく分けたような特性となっており(これだけでキャラ2人分*23を1人に詰め込んだと言っても過言ではない)、モーションも凝った物になっている。豪快ながらも槍や暗器を振り回したり器用に扱う様や連携が豊富な拳法は必見。
      • なおCPUとして登場した場合だが、瓦礫を上空から落とすガード不能技を使うこともあるなど簡単というわけではないものの、「問題点」で述べたラスボスとは異なり極めて超反応で理不尽なアルゴリズムを有しているわけではなく、全体的に隙の大きい槍モードなど、付け入る隙もしっかりと残されているので決して意地悪な難しさではない。
        一方で家庭用でプレイヤーが使用した場合は、前述で記したように技がかなり多く使いこなすのは難しいものの、一つ一つの技がかなり強く、なんといっても技が多いお陰で選択肢が非常に多い*24。この辺は問題点で述べた禍忌とは対照的。
    • 残念ながら本編での再登場は行われておらず、禍忌に裏切られたゲーム中の描写を見るに絶望的に思われていたものの、アッシュ編完結篇『XⅢ』の家庭用ストーリーモードにて生存していたことが判明。その後の『XⅤ』ではアッシュを始めアッシュ編のキャラも数人再登場してもいるので、ファンなら今後に期待したいところである。

その後の展開

いい加減グラフィック全体を新たに作り直して欲しいという声に応え、次回作『THE KING OF FIGHTERS XII』では早くも使用基板を「Taito Type X2」に移行させ、グラフィックも全面的にリニューアルされた。
・・・のはいいのだが、グラフィックに力を入れ過ぎた結果「それ以外の部分が極めてお粗末」という本末転倒な事態となり、低評価を受けてしまった。
時代に合わせた描き直し自体は好評を持って受け入れられており、『KOF XIII』にも引き継がれた。


PS2版

対応機種 プレイステーション2
発売元・開発元 SNKプレイモア
発売日 2006年6月22日
価格 7,140円
備考 SNKベストセレクション:2007年6月28日/2,940円
配信 ゲームアーカイブス:2014年12月17日/1,000円(税5%込)
ポイント 完全移植に加えてアレンジシステムも搭載
さらなる追加キャラクター
ロード時間も改善された良移植
オンラインのラグが残念な点(サービス終了済)
判定 良作

PS2移植版の主な特徴

  • 移植度が極めて高い。またバランス再調整を施したアレンジシステムや、従来作準拠でマルチシフトなしの3on3モードも搭載。
    • アレンジシステム最大の変更点はジャンプ攻撃の弱体化
      アーケード版のように昇り小ジャンプ攻撃から地上技が繋がるようなことはなくなり、バッタの恐怖が大幅に緩和されている。
      また、個々人キャラの技の性能まで細かな調整が行われていた。
      • しかし家庭用格闘ゲームの主戦場であるオンライン対戦は、当時の同ジャンル他社の状況を考えてもラグが凄まじく*25、オフラインの感覚ではコンボを決めることすら困難。相手への対応もまず不可能で、立ち回りを無視して暴れるほうが遥かに勝率が良い為、すぐに過疎化した。
      • ゲーム性への影響も大きい。ジャンプ攻撃からのコンボが繋がりにくくなってしまった事はそのまま爽快感の減少に繋がっており、オンライン対戦にはアレンジモード用ロビーも存在したが、そちらをメインに遊んでいたプレイヤーは殆ど居なかった。その為に研究は殆どされておらず、変更点はプレイヤーに殆ど周知されていない。
      • アーケードで家庭用準拠のバージョンアップなどが行われていれば、また違った受け取られ方をしていたのだろうが…折角のバランス調整だったのに結果として蛇足となってしまったモードである。
    • チャレンジモードがある他、上記のネットワーク対戦機能(現在はサービス終了)、さらにイラストやアレンジBGM、カラーエディットモードも収録。
      • 特定のエディットチームでクリアすると出現する新規描き下ろしエンディングイラストが多数用意されており、ギャラリーモードで閲覧可能。
  • 家庭用限定の追加隠しキャラクターとして、『ネオジオバトルコロシアム』からの参戦という扱いで、7人のキャラが使用可能になっている。
    • その面子は本作未出場だった舞、ロバート(姿もNBC仕様)、衣装と性能違いのEX京(99~2002のネスツ服)、再参戦のMr.BIG、ギース、そしてKOFでは初登場となる双葉ほたる、タン・フー・ルー*26
      • 単なるコピペ……ではなく本作向けにきちんと調整されており、ネオコロのシステムにはない緊急回避や、特定の技の喰らいモーションなどが新規に作られており、そしてアレンジシステム対応も抜かりなし。手間と時間がかけられている。
    • 隠しキャラクターはチャレンジモードの進行状況に応じて解禁。残念ながら全員エディット専用のためストーリーは特にないが、大ボリュームである。
      • 代わりに、ストーリーこそないものの、何人かが先程で記した、クリアすると家庭用追加のエンディングイラストが見られる特定エディットチームの対象メンバーに選ばれ、含まれてはいる。
  • さらに追加BGMと追加ステージまで存在する。
    • 追加BGMは一部の追加隠しキャラBGMや旧作BGMの復活がメイン。
    • 追加ステージもスペースシャトル発射台、アテナのコンサート会場、観覧車、江坂と4つもあり、それぞれ2パターンずつあるという豪華仕様。
      • 江坂ステージ(昼)にストーリーの関係上KOFから遠ざけられたはずのレオナが居る、江坂ステージ(夜)には正史では既に退場していたはず(偶然にも家庭用『XII』での復活参戦の伏線になっているが)のマチュアが何故か居るなど作りがやや粗い点もあるが、ステージが増えたのは純粋にプラス。
  • これだけ盛り沢山でありながらロード時間がアーケード版より短い。これといったバグも無く、旧SNKを含むSNK歴代作品の中でも最高の良移植と言われている。
    • 強いて言えば、前述のオンラインがラグだらけの他、アレンジBGMよりも概ね原曲の方が評価が高い傾向にある程度か。
    • 後に「シフト外し」と呼ばれるバグ技が発見されてしまったが、普通の対戦ではまず起こらない実用性皆無のものであるため影響はほぼ無し。
      しかしこのバグを極めると、ネスツ編3作で採用されていた悪名高い「ストライカー」を彷彿とさせるカオスな連続技が出来上がるため、ネタコンボ研究勢には好評(?)だった。
  • 後にPS3のゲームアーカイブスでも配信。ただしオンラインには非対応。
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最終更新:2023年11月28日 20:34
添付ファイル

*1 過去にもネスツ編で「EPISODE ○」というナンバリング表記がゲーム内にあったが、そちらはドリームマッチである『'98』を抜かしたものとなっていた。

*2 当然、控えメンバーがいないときは使用できない。

*3 ストライカーシステムを採用していた過去作、『2000』と『2001』はそれぞれストライカーを召喚する際のコストとなるストライカーボムやパワーゲージを能動的に貯める手段があったものの、そのせいもあり永久機関が成立したりなどバランス面において問題が生じていた。

*4 開始早々に大技込のフルコンボをブチ込まれることさえあった。

*5 過去にドリームキャスト版『'99 EVOLUTION』や『2000』において、ストライカー専用キャラとしての登場はあった。

*6 ネスツ編キャラのアンヘルに近い特殊連携技と、非常にルートが多い順押し(デッドリーレイブ系)必殺技、背の小ささを活かした突進技等の小柄キャラらしさを持っている。ただしゲージなしでの崩し能力や体力・攻撃力には劣る。

*7 過去に『2000』においてジョー・ヒガシのアナザーストライカーとしての登場はあった。

*8 『武力~BURIKI ONE~』はコンパネの左側に配置されたボタンで移動を行い、右側に配置されたレバーで技を出すという特殊な筐体が使用されていたが、本作の凱も一人だけ基本操作が異なり、ボタンで移動・レバーで技を出すという独自仕様が採用されている。

*9 登場は前作からであるものの、前作ではCPU専用のボスの1人であり、家庭用を除いて使用不可能だった。

*10 余談の余談だが本作に登場する凱やズィルバーの出典である『武力~BURIKI ONE~』ではSNK入社1年目のヒロアキ氏が開発初期からメインデザインやモーションキャプチャーのアクターなどを務めている。

*11 前作の無界に続き、アッシュ編を通して登場する敵の組織・一族である「遥けし彼の地より出づる者」の1人。

*12 発射後に攻撃を受けても消えず、しかもロックする技や投げ技でもない限り簡単にこちらの技を中断させてしまう。

*13 『KOF SKY STAGE』のこと。2009年稼働開始で、ゲーム内容はKOFのキャラクターを操作する縦スクロールのオーソドックスな弾幕シューティングゲームとなっている。

*14 過去作にいた飛び道具を多数持つキャラだと『‘94』『’98』にいたラッキー・グローバー、ネスツ編にいた包が該当。また本作にいる邪頭も多くの種類の飛び道具を持っている。

*15 サムウェアホールを出されない限りループ可能。

*16 しかも開幕でガード方向にキーを入れていると高確率でファントムスフィアを出してくるため、初期位置からめくり大ジャンプD始動のコンボが決まる。

*17 似たような例として、『'96』のゲーニッツが挙げられる。

*18 基板の設定画面から店員が入力することで、タイムリリースによって解禁される要素を一度に全て解禁できるコマンドのこと。主に入荷のズレや営業時間などによって生じる、店舗間の通電時間の格差を解消するための救済措置として搭載、出荷開始から一定期間後にメーカーが発表・店舗側に通達する場合が多い。

*19 2人とも、本作にもいるショー・疾風と邪頭の出典でもある『風雲シリーズ』が出典。ただしカズウはストーリー上では故人な為(2人の兄・ゴズウとメズウがその弟カズウの敵を取るというストーリーになっている)、どのような設定や性能などを反映させたキャラにするのだったかは不明。

*20 ネオジオ初期のイメージキャラクター。「凄いゲームを連れて帰ろう!」のキャッチフレーズと同様、当時の広告では大々的に頻出していた。その他、看板キャラということもあってか複数のネオジオのゲーム内でも背景に度々カメオ出演しており、KOFでも過去に『2000』において、リョウ・サカザキのマニアックストライカーとして登場したことがある。

*21 声優は女性声優の小川時代女史が担当

*22 元々KOFにおける中ボス出身キャラは、神楽ちづる、暴走庵、裏オロチチームの3人、オリジナルゼロ、そして今となってはプレイアブル専門に出世を遂げたクーラ・ダイアモンドなど、一定の人気を得たキャラが多く揃っていた。

*23 モードチェンジはメイ・リー譲り、槍モードの異常なリーチは三節棍を使うビリー・カーンに匹敵といったところか。

*24 しかも槍モード時は簡単な永久コンボまである。ただしCPUは使わないのでご安心を。またプレイヤー使用時も本作の仕様として、セービングシフトでは簡単に脱出される。

*25 KDDIのMMBB(サービス終了)を使用していたが、これに限らずSNKプレイモア製のゲームは他社タイトルに比べて余りにも遅延が大きかった。

*26 タン・フー・ルーは後に『KOF XIV』にて最初から正式に参戦を果たした。