探偵オペラ ミルキィホームズ

【たんていおぺら みるきぃほーむず】

ジャンル 探偵ロマンアドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 ブシロード
開発元 アートディンク
発売日 2010年12月16日
定価 通常版:5,229円/限定版:10,290円
判定 なし
ポイント 割とマジメ
一応「原作」


概要

ブシロードのメディアミックス企画『Project MILKY HOLMES』の「原作」という位置づけになっているタイトル。
特殊な能力『トイズ』を持つ探偵見習い「ミルキィホームズ」の指導役「小林オペラ」となって、彼女らを導き事件解決を目指す推理ADV。
開発時間の関係か、原作であるこのゲームよりも先に放映開始されてしまったアニメ版が良くも悪くもハチャメチャで話題になったため、
原作協力の小玉氏は「(アニメ終了と同じくらいに発売なのに)アニメと若干違うシリアスなテイストなので、大丈夫かなぁ? と思っていた」と若干不安げだったようだ。


特徴

  • 疑問点とファクター
    • 人物の発言を覚えるか覚えないかを選択する「疑問点」と捜査パートでミルキィホームズ四人の調査により取得する「ファクター」。この二要素の総合点により推理成功か失敗かが決まる。
    • 疑問点は正しい情報を覚えた数だけ「疑問点開示(推理ショー)」の内容が増える。ファクターも同じく、「暴露開始(暴露ショー)」での内容が増える。
      • 疑問点にはフェイクもあり、それを覚えてしまうと得点が減ってしまう。また、ファクターを最低でも一つ獲得しないとクリア条件となる得点に届かないので注意。
  • Quick Command Animation(QCA)
    • 所謂QTEであり、アニメパートの中に操作する部分が埋め込まれている。
    • 方向キーで進行方向を決めて怪盗を追いかけたり、誰のトイズを使えばいいのか選択したりする。
  • 難度設定
    • 推理ADVには珍しく、本作には難度設定がある。
    • QCAでの判定速度やコンティニュー回数、手がかりの入手などに影響する。
    • 難易度を最大まで上げるとQCAでは瞬間的な操作が求められるようになる*1

主な登場人物

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  • 小林オペラ(CV:森嶋秀太)
    • 主人公。過去の事件でトイズを失っているため探偵として扱われることを嫌がる事もあるが、事件に直面すると持ち前の頭脳を遺憾なく発揮する。
    • 生徒会長に直々にミルキィホームズの4人の指揮官に任命される。当初は上記の理由で嫌がっていたものの、その後4人と徐々に打ち解け、信頼していくようになる。
    • アニメ版ではすでに指導役としての任を解かれており、「ミルキィホームズ育ての親」として名前と写真だけが登場していた。
  • シャーロック・シェリンフォード(CV:三森すずこ)
    • 元気で明るく天然気味な性格で、ムードメーカーのような存在。ミルキィホームズの中心となるリーダー…のはずだが、リーダーシップが発揮される例はほとんどない。
    • 4人の中では最もコミュニケーション能力に長け、自ら聞き込みを行ったり警察組織の人間と友好関係を築こうとする。
    • 「サイコキネシス」のトイズを持っているが力が弱く、重いものは動かせない(最大でも1kg程度)。それがコンプレックスになっている。
  • 譲崎 ネロ(CV:徳井青空)
    • ショートカットのボクッ娘。いつもなにかお菓子を口にしている。アニメでは色々アレな扱いだったが、本作では活躍多数。
    • さらっと毒舌を吐いたり、写真を取ろうという時に冷蔵庫を漁るなどクールでマイペースだが、いたずら好きな一面も。4人の中では最も洞察力が高い。
    • 微弱な電流を感じ取る「ダイレクトハック」で、電子機器の操作や情報取得が可能。機械類の多い場所では八面六臂の活躍。
  • エルキュール・バートン(CV:佐々木未来)
    • 気弱で男性が苦手な女の子。読書家で知識も豊富だが、引っ込み思案の上に恥ずかしがり屋。また、周囲の意見に流されることが多い。
    • 人と話すことも苦手だが、こと本の話題となると熱く語りだしたりもする。
    • トイズは「トライアセンド」。「力」「硬度」「重量」の三つを同時に変化させ、途方もない怪力を生み出す。が。本人はそれがとても恥ずかしいらしく、人前では絶対に使おうとしない。
  • コーデリア・グラウカ(CV:橘田いずみ)
    • ツインテールで気が強く、典型的なツンデレキャラっぽいがそうでもないお姉さんポジション。アニメと違い、特に妄想癖はない様子。*2
    • 護身術が得意で、作中でも(相手が薬で狂化していたとはいえ)刀を持った大の大人を徒手空拳で圧倒するほどの腕前を見せている。
    • 五感すべてを強化するトイズ「ハイパーセンシティブ」を持ち、かすかな物音や違和感を鋭敏に感じ取る。が、それがリスクになることも…。

評価点

  • QCAの作画
    • 前述のQCA内のムービーや、その他イベントムービー等の出来は素晴らしい。アクションも見応えがある仕上がりになっており、これを見るだけでも購入する価値はある。
      • あまりに出来が良いため、ムービーに見惚れてコマンド入力ができなくなってしまう初見プレイヤーは多い。
      • 特に、怪盗アルセーヌと直接対決する5話のQCAはかなり力が入っており、アニメでの4人の活躍と比較して「ミルキィホームズの全盛期」とまで言われている。*3
    • あまり多くは無いが、QCA中に失敗した際、どこで失敗したかによって失敗ムービーが変化したりもする。
  • 最終話のストーリー
    • 全体的なストーリーは可もなく不可もなくといった形だが、最終話にて大きく話が動き、黒幕の正体に関して大半のプレイヤーが予想もできなかった大どんでん返しがある。
      • そこに至るまでの流れも絶妙に組まれており、後になって様々な伏線が張られていたことに気づく。

賛否両論点

  • どこまで行っても「指導役」
    • 小林オペラの役割上、ADVパートでのプレイヤーの仕事は「推理のとっかかりを見つけること」がメインになる。実際にプレイヤーが推理する場面はない。
      • まあ、手がかりを探していく過程で自然と推理はしていくだろうが…。
    • 重要な情報がプレイヤー側に隠されていることも多く、「これは重要なファクターだ」と言われても、さっぱり分からなかったりもする。
  • アニメや派生作品との相違
    • はっちゃけたアニメ版などと違い、本作は結構マジメに推理モノとして作られている*4。なので、アニメや漫画から入ったミルキアンからは「なんか違う」という感想が出ている。
      • 逆にゲームから入った者からすると、アニメでのミルキィホームズ達のキャラ崩壊ぶりにこれはこれで「なんか違う」と言われている。
    • ゲームが「原作」ではあるのだが、アニメの話題性が非常に高かったので。

問題点

  • ボリュームの少なさ
    • 全六話で個別分岐もなく、少々あっさりめ。
      • 厳密に言うと、4人のうちだれの好感度が高かったかで個別のキャラルートがあるにはある。ただし、いずれも「どのキャラがクローズアップされるか」という程度に収まっており、ストーリーの変化などは一切無い。
    • クリア後は自由に章、ルートを選択してプレイすることができるという点も、ボリュームの少なさに一役買っている。
  • 推理難易度の不安定さ
    • 一部のファクター発見時に、あまりにも簡単すぎるもの、逆にどこから手を付けていいのかわからないようなものまで、難易度差のあるものが混在している。
      • 例えば、画面内から矛盾・不自然な点がある部分を指摘するのだが、反応するのが一部分しかないという簡単すぎるものがある。
      • かと思えば、4枚の写真から不自然な点を見つけ出すと言われてもどこが不自然なのかすらわからず、総当たりで正解を探してみれば「矛盾は写真ではなく、その写真の説明文(再読できず)の方にあった」という理不尽なものも。

総評

「話題になったアニメのゲーム版」といわれがちだが、こちらが原作。少々物足りなさはあるが、作りがしっかりしていて遊びやすい。 単純なキャラゲーに終わっておらず、ミルキィホームズの成り立ちを見事に描写した一作。 推理ADVにもかかわらずプレイヤー自身が推理する場面が無いため、推理に期待しているプレイヤーはその点でも物足りないだろうが、 ストーリーやムービーのためだけでもプレイする価値はあるだろう。



その後

演出やシナリオを強化したDL専売版『探偵オペラ ミルキィホームズ 1.5』もリリースされたが、こちらは各章バラ売り。UMD版は続編の同梱特典のみとなっている。
『1.5』は2~5話でシナリオに各キャラクターごとの追加エピソードが加筆されたが、その事による設定の無視やキャラクターの豹変など*5が賛否両論となっているので、『1』の完全上位互換にはなっていない。

余談

第1章のQCAの中にどこかで見たような絵が使われている。

2012年に、前述のはっちゃけたアニメ版とは別に「探偵オペラ ミルキィホームズ Alternative ONE & TWO」が放送された。今作の流れを汲むシリアスな作風。

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最終更新:2020年03月03日 12:23

*1 方向キーを押すべき方向に星が流れるが速度が早く判定速度がかなりシビア。また、トイズ選択時の時間は約2秒しか無い。

*2 もっとも、小林初対面時の暴走ぶりや、「ハネムーン」との言葉に小林との二人きりを連想して慌てたり、デートイベントでメリーゴーランドに乗った時のはしゃぎっぷり等、その片鱗を見せてはいる。

*3 逆に言えば、それほどまで4人の能力を使いこなすことに成功している小林オペラの采配が見事であるとも言える。この点は、続編である「探偵オペラ ミルキィホームズ2」でも描写されている。

*4 発売前の販促用フラッシュでは、QCAで間違った選択をするとミルキィホームズ全員が昇天してしまう結果があったりした。描写はさすがにマイルドなものの、「選択を誤れば死ぬ」というシビアさが存在している。

*5 たとえばシャーロックに急に写真属性が追加されたり、ネロが動物好きなあまり剥製の博物館で暴走したり、コーデリアが一度会っているはずの小林に対する態度など。小説を読んでいなければわからない流れも多い。