超鋼戦紀キカイオー

【ちょうこうせんき きかいおー】

ジャンル 【AC】対戦格闘
【DC】3D対戦アクション
対応機種 アーケード
ドリームキャスト
発売・開発元 カプコン
稼動開始日【AC】 1998年9月
発売日【DC】 通常版:2000年1月13日
Matching版:2001年1月18日
定価【DC】 通常版:5,800円
Matching版:3,800円(共に税別)
プレイ人数 1~2人
周辺機器【DC】 通常版:ぷるぷるぱっく,VGAボックス,アーケードスティック,ビジュアルメモリ対応
Matching版:アーケードスティックTM,VGA,ぷるぷるぱっくTM,ビジュアルメモリTM,
モデム,ドリームキャスト・キーボード,ネットワーク通信対応
備考 通信対戦(マッチングサービス)は2003年9月1日正午に終了
判定 なし
ポイント どこかで見たことありすぎる
本気のオマージュなロボットパロディ
大真面目に不真面目


概要

カプコンが一時期模索していた初心者向け格ゲー路線。その模索の1つがこの『超鋼戦紀キカイオー』と言えるだろう。
監修に『超時空要塞マクロス』の河森正治氏を起用して、 どこかで見たことがありすぎる ロボットたちがバトルを繰り広げるロボット格闘ゲームである。
そのあまりにもわかりやすい元ネタからのパロディっぷりと、とても「わかっている」演出でユーザーの目を引いた作品。

家庭用ではドリームキャストに移植され、その1年後にネット対戦が可能になった『For Matching Service』版も発売された。
ドリームキャスト版は、アーケード版から大幅にグラフィックが向上(PS基準→DC基準なので当然だが)、CPU戦難易度の低下により遊べる余裕が拡大、ストーリーモードのフルボイス化、一部新規ストーリー&機体の追加など、大幅な修正とゲーム性向上が行われている。
『For Matching Service』版では、対ゴルディバス(最終形態)戦のBGMが、宮内タカユキ氏が歌う挿入歌「Stand Up! Soldiers ~選ばれし者たち~」に変更された。 *1
その他、機体性能に微妙な調整が入っている。

特徴

基本システム

  • ボタンは「G(ガード)」「A(近接攻撃)」「B(中距離攻撃・飛び道具)」「J(ジャンプ)」の4ボタンで構成される。
    • ボタンの同時押しでガード崩しやアイテム攻撃、軸移動からの攻撃などが発生する。
    • 必殺技もあるが、いわゆる波動拳コマンドや昇竜拳コマンドといったものは一切無く、レバー前入れ、後ろ入れ、もしくはレバー後前や前後にボタン程度のため、出せないということはまずありえない。
    • 超必殺技も「レバー前後又は後前にA+B」、ファイナルアタックは「A+B+J+G」と統一されており、これもまず出せないということはない。

その他のシステム

  • 「スチールダッシュ」:ガード状態で突進して、攻撃を無効化しつつ体当たり。相手にヒットすればヨロケさせてどんな追撃でも思いのまま。ただし相手にガードされたら逆に好き放題やられる。
  • 「パワーブレイカー」:投げが無い代わりのガード不能打撃技。ヒットすれば少しの間ヨロケさせて追撃が可能。ただリーチがなく出が少し遅いため、無闇に出せる性能ではない。
  • 「グラップルアタック」:近接攻撃が相打ちになると演出が入り、組み合ってボタン連射+レバガチャと相性の勝負となる。ボタンは最後に押したボタンで判定され、ジャンケンの関係(B<A<J・G<B)になっていて、これが同じ場合はボタン連打+レバガチャの多い方が勝つ。勝った際はボタン連打+レバガチャの多さがダメージの多さとなり、負けたとしても少ないダメージで済む。
  • アイテム攻撃も多種多彩で、戦闘マップ内の建造物を破壊することでアイテムが出てくる。
    • 通常技の強化をするもの、ミサイル・火炎放射器などの追加武器、攻撃力やスピードを高めるパワーアップアイテムなどが存在する。
    • 追加武器は赤・青・黄色の3種があり、それぞれがどういう武器になるかは各機体によって決まっている。飛び道具が弱い機体が誘導兵器を持ったりするので、戦況が一変しうるアイテムである。
  • 各ロボットには装甲値があり、100%の数値で表示されている。
    • 敵の攻撃をガードするごとに削れていき、0%になると「アーマーブレイク」といって多大な隙を晒すことになる。
    • 飛び道具に分類される攻撃(エネルギー系)では体力は削られるが装甲値は削られないことが多い。それ以外の直接攻撃(物理系)はガードさせても削りダメージは無いが、代わりに装甲値が削られる。
      アーマーブレイク後はほぼ全ての攻撃で削りダメージが入るようになる。
  • プレイヤーの勝利が確定するラウンドで、なおかつ敵の体力を70%ほど削った時点で「ファイナルアタック」が解禁される。
    • いわゆるロボット物のお約束「とどめの一撃」であり、ヒットすれば敵の残り体力に関わらず即死させることが出来る。
      一度発動条件を満たせば、相手が体力回復しても自分側が負けてラウンドが変わっても、使用可能状態は継続する。
      • パロディの元ネタがわかりやすいゲームなので、その必殺技も勿論パロディ全開。原作を知ってる人はニヤリとすること間違い無しであろう。
  • 体力ゲージは、ヴァンパイアセイヴァーと同じ通しで使うタイプで、ラウンド制ではない。
    • このため押している側も最終の体力ゲージに持っていかれる展開が多くなり、ファイナルアタックの逆転性が発揮される展開も多くなる。

ストーリーモード

  • 各機体のストーリーもパロディ満載で、さらにそれぞれの機体で世界観や設定が全く違うものに変わる(各ストーリーは完全なパラレルワールド)。
    • 例えば本人のストーリーでは典型的熱血主人公なキカイオーのパイロット・轟ジュンペイは、ポリンちゃんのストーリーでは巻き込まれ体質のギャグキャラになっている、等。
    • また特定条件を満たすとストーリーが分岐して別の展開になり、ほとんどのキャラクターは2通りのエンディング(キカイオーは3種類)が用意されている。
      ストーリーによっては出ないキャラクターも結構居る。リアル系機体(ディクセン(ナカト)・ワイズダックなど)でのボロンや、ボロン以外でのハルマ等。

  • どこかで見たようなキャラクターでやっぱり見たことがある演出が多用されているが、ストーリー自体はオリジナルでパクリはない。しかしやはりネタ元のテイストがプンプン臭うあたり、制作スタッフのネタ元への理解と愛情が伺える。
    • なお、ストーリーモードの台詞はドリームキャスト版では新たにフルボイスで収録され、轟雷のストーリーも追加されている。
      ただし、インカムの関係でテンポの速いアーケード版の台詞速度に合わせたせいか、やや早口なのは仕方ないか。
  • なおステージ間のデモが無い代わりにノーマル全機体と戦える、いわゆる普通の総当り型のCPU戦である「ヒーローチャレンジモード」もある。
    • ドリームキャスト版ではこのモードをクリアするとプレイランクに応じた資金を稼ぐことができ、この資金を使って隠しキャラやオマケ要素などを「開発」することができる。

参戦ロボット&キャラクター

+  長くなるので見たい人はどうぞ

評価点

  • 徹底したオマージュ路線
    • かなり本気でパロディをやっている。原作ファンがニヤニヤしてしまう演出を随所に用意しており、飽きさせない。
    • 前述の通り、どこかで見たことありすぎるがパクリではない、スタッフの熱意が見える辺りも良い。
  • 簡単な操作とド派手な演出
    • とにかく操作は簡単で、CPU戦も少しやり込めばクリアするのも容易。いかに勝つかではなく、いかに「格好良く勝つか」を追求したくなってしまう。
      どこからどう見たってお笑い路線のゲームなのだ。 このゲームを前にしてガチで戦おうとする方が逆に空気を読めてないのである。
    • その点でもDC版はかなり優良。ガチに勝ちに行くと引かれ、いかに魅せるかを競うパーティーゲームとしても楽しめる。

問題点

  • ガチ対戦ツールとしては使えないバランス
    • 一部の機体、技の調整が少々アンバランスで、ガチ対戦での研究が成熟していない。というのも、このゲームではコマンド技が簡単で、かつキャラクターの通常技が基本的に少ない。見た目のインパクトもあり、ガチ対戦のシーンがあまり沸かなかったのである。
      • 一応、概ね隠し機体(中ボス機)で遠近強力な攻撃力と固め技・性能の高い固有武器アイテムを持つ轟雷、3WAYや機雷を布石にガンポッドクラッシュをガードさせ確定で各種必殺技を叩き込めるラファーガが強キャラとされている。
      • しかし、主人公機らしくバランス良く高い攻撃力を持つキカイオーや、良好な牽制技と固め・浮かせと強力なカウンターに優れ二段ジャンプによる機動性も高いディクセン、浮いたまま降りてこないで対地攻撃をしまくるディアナ17、隙の無い格闘連携で固め続けるパルシオンなど、他機体も悪くはない。
      • ただ、ワイズダックやツインザムはそれぞれ突出した能力こそ持つもののデメリットも膨大で使い難い。
      • ワイズダックは敵の起き上がりに地雷重ね→ガード崩し確定ブルブレイカー→必殺技等でダウンさせる→地雷設置のコンボがお手軽。他にもコマンドコンボ技、密着対空フォトンキャノンなど非常に強力な破壊力こそ持つものの、ジャンプ不可・低機動性という代償があまりに大きく、熟練しなければまともに戦う事もできない。特に高機動&射撃牽制タイプを相手にすると目も当てられない。
      • ツインザムは敵の飛び道具に合わせた確定コンボやトリッキーな突撃技などを持つが、攻撃力の割に隙が大きく牽制技に乏しい。2種類の形態を切り替えられるとはいえ変型にゲージが必要で、かつそれぞれの性能もやや中途半端。スチールダッシュからの連携以外に有効打が無いのも致命的で、対戦での立場は非常に苦しい。
    • ヒーローモードのバランスも悪い。
      • 主人公であるキカイオーのヒーローモードは「効果時間中は常時飛行していられる」というものなのだが、上下キー操作が高度調整になり軸移動ができなくなる・着地できずガードができなくなるなどどう考えても弱体化している。相手にヒーローモードを渡さない為に、あえて使って効果時間を逃げ続けるくらいしかやる事が無い *19 。あまりにメリットが無さすぎるため、DC版ではゲージが自動的に溜まる効果が追加されているものの、焼け石に水。
      • 対して轟雷のヒーローモードは効果時間中はダメージ完全無効と他の機体を完全に食っている(中ボス機体なので強力な事自体は間違いではないが…)。
    • 戦闘スタイルも「ひたすら逃げ撃ち」か「(ほぼ)ハメの固め」かしかなく、システムもシンプルすぎて展開が少ない。ワイワイ攻めていく分には楽しいが、極めようとすると底が浅い。
  • CPU戦の難易度がやたらと高い(アーケード版のみ)
    • 機体の見た目で気楽に入った人が、CPUにボコボコにされて遊んだり演出を見る暇もなく去ってしまったのは一度や二度ではない。
    • 中級者以上ならばそこまで勝てなくはないが、その戦術は反撃されないような牽制・削りをしつつ「ひたすら相手が隙のある行動をするまで待つ」という非常に地味なもの(ワイズダックみたいに一度持ち込めばハメ殺せる機体はあるが)。やっぱり演出を楽しんだりはしにくい。
    • 特に酷いのが多くのシナリオでラスボスとして登場するゴルディバス戦で、超反応かつ出の早い攻撃を乱発する上に攻撃力も高く、基本的にハメや確定の避け攻撃でしか硬直を狙えない。さらに一度倒した後にパワーアップして復活するというベタな展開があり、こちらの残りライフ・負け数はそのまま引き継がれた状態で連続して戦わなければならない(実質的に通常の2倍のラウンド勝利が必要)。一応アーマー耐久値だけは回復するが…。
    • 流石に酷すぎたためかDC版では大幅に難易度低下。慣れれば演出を楽しみ、勝ち方を求める余裕もできた。ただゴルディバスの連戦展開は据え置きなため、機体によっては調整されてもなおハメやCPUのクセを突く戦法に頼らざるを得ない。
  • グラフィックが粗い(アーケード版のみ)
    • PS互換基板のポリゴンであり、当時のレベルとしてもかなり粗く見づらい。(DC版では大幅に修正されている)

総評

カプコンのかなり本気のオマージュ、ネタ路線に特化したゲームである。気になる人は一度遊んでみて欲しい。
ただし、2012年現在ではDCとACでしか遊ぶことが出来ず、年々プレイ条件は厳しくなる一方である。

このゲームに限らないが、DCのローンチタイトルや、本作のようにDCにしか移植されなかったタイトルのアーカイブス化を求める声は多い。
これほどのネタゲーム、DCと基板持ちのACユーザーだけで楽しむというのはあまりにも勿体無いというものだ。


余談

  • 結局アーケード版は、ガチ対戦ツールとしては使えずCPU戦は遊ばせてくれないため、殆どの店舗で早々に片隅へ追いやられた末に撤去された。コンセプトと難易度の融和を図らなかったのが悔やまれる。
    • それだけにDC版が出たのは当時奇跡的であった。それも単なる移植に全く留まっていないボリュームで欠点が改善している。最初からこれなら…
  • アーケードゲーム専門誌ゲーメストは誤植 *20 でも有名だが、このゲームも例外ではない。
    • その名は 『長江仙鬼奇怪王』 。…なんとなくこれはこれでと思える辺りもゲーメストらしい。これではロボットものではなくホラーものにしか見えない。
    • 有名な3大誤植(の内の2つ)と違い、「汚い手書き文字」ではなく「ワープロの誤変換」が原因の様だが。
  • ドラマCDが発売されている。元々は連続ラジオドラマとしてオンエアされたものをCD化したもので、キカイオー編の内容をベースにディアナ17編やポリン編の設定が混ざった独自のストーリーになっている。
    • ゲーム版でプレイヤーになっているパイロットはそのままオリジナルのキャストになっているが、一部のサブキャラクターは声優が変更されている。
  • ほぼ同じコンセプトのゲームとして『'70年代風ロボットアニメ ゲッP-X』が存在。
    • こちらもこちらで「真面目に不真面目」「超豪華なスタッフ&声優陣」「宿敵ポジションは真紅の機体を駆る仮面の男(CV:池田秀一)」と、妙な共通点がある。
  • オープニング
    • このアーケード版オープニングの(午後の)6:00と言うのも、かつて子供向けアニメが多かった時間帯である *21
      +  アーケード版オープニング
      +  DC版超必殺技・ファイナルアタック+わくわくボロン劇場


*1 挿入歌が流れるのは、キカイオーを除く全てのキャラクターで、キカイオーは変更なし。

*2 相手を溶かすのではなく吹き飛ばすのでグレートタイフーンの方が近いが。

*3 一応「グレートマジンガー」の漫画版には「サンダーブレード」というサンダーブレークとマジンガーブレードの合わせ技が登場している。

*4 アムリッタが黒人なのもフォッカーの恋人のクローディアが元ネタなため。

*5 マクロスシリーズはシナリオに必ず「恋と歌とアイドル」が絡むのでノリは真逆である(『ゼロ』のみアイドルは存在しない。またアイドルと言っても時代によりポップス歌手だったりロック歌手だったりと変化している)。

*6 なお一戦目直後の選択肢でバッドエンドになるかどうかが決定する。また、DC版ではレーティング規制のためかAC版(血まみれ)とは違う画像へ差し替えられている

*7 現実世界でもマニピュレーターの遠隔操作用として、ある程度は実用化されている。

*8 ある意味『マイトガイン』的とも言える。

*9 尤もエヴァンゲリオン自体ウルトラマンをモチーフにしている部分があると明言されている。

*10 ウルトラマン達は地球上では周りへの被害を考慮して力を抑えて戦っている=宇宙空間ならば本気を出せると言う設定である

*11 アニメ『ミンキーモモ』でミンキナーサ(元ネタは『戦国魔神ゴーショーグン』)と言うロボットが出たり『マジカルエミ』に『忍者戦士飛影』が登場したことはあった。どちらも一話限りのネタだが。

*12 なお、DC版ではレーティング規制のためか一部エロいシーンの画像がカットされてしまっている。残念。

*13 ただし"赤い人"と同じ「大佐」

*14 なお頭部を4種類用意する案もあったが容量や納期の都合でやめたとか。

*15 ただし復讐の理由は妻を殺害されたことである

*16 ただし、ラファーガ編のイエールは量産型という設定があり、彼女と同型のアンドロイドが複数存在する。

*17 要は『新世紀エヴァンゲリオン』の寡黙な綾波と『学園エヴァ』の明るい綾波の差。

*18 ノルマを達成できない部下はオヤツ抜きと言う恐ろしい罰を与えると言う。

*19 軸移動ができないので、相手によっては逃げる事もできない。

*20 正確には「誤字・誤変換」だが、ゲーメストでは伝統的に「誤植」と呼ぶ

*21 今は日曜朝のスーパー戦隊も、かつては土曜の午後6:00放送だった