鉄球 TRUE PINBALL

【てっきゅう とぅるーぴんぼーる】

ジャンル ピンボール

対応機種 セガサターン
プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
発売元 ギャガ・コミュニケーションズ
開発元 Digital Illusions CE
(現:EA DICE)
発売日 【SS】1996年4月5日
【PS】1996年5月31日
定価 5,800円
判定 なし
ポイント リアル路線のピンボールを4台収録
いくら頑張ろうが記録が残せない…


概要

  • 1996年に日本の映画配給/映画版権管理会社としても知られるギャガ・コミュニケーションズ(現:ギャガ株式会社)がセガサターンとプレイステーションにリリースしたピンボールソフト。元は海外でリリースされた『True Pinball』のローカライズ作品にあたる。
  • 元となったソフトは、後に大人気FPS「バトルフィールドシリーズ」を手掛けているスウェーデンのDigital Illusions CE(現:EA DICE)が製作したもの*1
  • ピンボールとしては完全にリアル路線を踏襲しており、ゲーム的な仕掛けは皆無な硬派仕様となっている。
  • SS版の後にPS版が発売されているが、ゲーム内容に関しては両者共に特に相違はない。
  • 全部で4種類のピンボール台が収録されている。

主な収録台

  • LAW & JUSTICE
    • 近未来の都市を舞台に、正義の警察隊が凶悪犯に戦いを挑むという設定。サイバーパンク味溢れる未来的な世界が背景に描かれたイメージ。
  • BABE WATCH
    • ギャルがいっぱいの浜辺スポットにて、かっこよく決めて彼女達を誘う男の活躍という設定。サーフィンやカジノが背景に描かれたイメージ。
  • EXTREME SPORTS
    • 過酷なスポーツの限界に向かう者が、様々な種目に挑戦するという設定。スケートボートやロッククライミングなどのアウトドアなスポーツが背景に描かれたイメージ。
  • VIKINGS THE TALES
    • 伝説の宮殿を手に入れようと、新天地に挑むバイキングの活躍という設定。ワイルド味溢れる海上の世界が背景に描かれたイメージ。

主なルール

  • 4台のピンボールのどれかを選び、所持ボールが全部なくなるまでスコアを競うエンドレスゲームとなる。
  • オプション項目で各台を「3D視線」と「平面視線」のどちらかに変更できる。3Dは台を傾けて映した視線となり、平面は完全に2Dの視線となる。
    • 各視線共に台が一画面では収まりきらない為、ボールの位置によってシームレスに画面がスクロールするようになっている。
  • BGM、ナレーションボイス、効果音の有無設定と、コントローラー配置の設定が可能。
  • プレイ人数は一人から最大八人までの交互プレイが可能。なお、交互時では一つのコントローラーを回してのプレイとなる(本作には複数のコントローラーには対応していない)。
  • 特定のスコアを満たしてゲームを終えるとネームエントリーが可能。
  • 一般的なピンボールのそれと同じ操作系統とルールに基づいている。
    • 主な操作は「ボール発射」「左右フリッパー操作」「台揺らし」がある。台揺らしに関しては「左揺らし」「右揺らし」「上揺らし」の3種類の揺らし方がある。
    • ボール発射後すぐにボールをロスしてしまうと救済処置として「フリーズ」が発生し、ロスカウントなしで自動的にボールが発射される。
    • 台揺らしを連続で行ってしまうとペナルティとして「ティルト」が発生し、そのボールは強制ロス(一切の操作が不能)となってしまう。
  • 両機種共に一切のセーブ機能は搭載されていない。
  • かつて本作は「鉄球の鉄人コンテスト」なる企画が行われていた(現在は終了)。
    • 説明書に付いている応募券と共に、各台のスコアを記録したVHSビデオなどをギャガ・コミュニケーションズ宛てに送付すると、各台の上位スコア25位(4台 × 25位 = 100名)までのプレイヤーに商品として1万円(総額100万円)が貰えた。

評価点

  • 純粋に各台のクオリティが高い。
    • リアル系ピンボールとしては申し分なき完成度であり、同期のピンボールゲームの中でも上々の完成度であろう。
    • フリッパーをボールに当てて様々なギミックを狙っていく戦略性はもちろん完備されており、スコアを目指す楽しみが多く詰まっている。
    • 各台には様々なギミックの差別化が図られており、それぞれの攻略パターンを発見するのがこれまた楽しい。
    • ボールの動きも割と自然で、現物のピンボールとほぼ同じ感覚でプレイできる。
  • グラフィック、BGMに関してもハイレベル。
    • SS、PSとしては台のグラフィックはかなり綺麗な方で、ギミックの配置もピンボーラー納得のセンスの良さを感じるであろう上質さとなっている。
    • BGMは台の雰囲気にマッチした良曲揃いであり、効果音もゲームを盛り上げるのに一役買っている。嬉しい事にオプション項目でサウンドテストが可能。
    • 現物のピンボール同様のランプによるスコア表示があり、特定ギミックを発動するとこのランプ内でアニメーション表示がされるが、これもかなり動きが細かく見ているのが楽しい。

問題点

  • セーブが一切できない為、いくらハイスコアを記録しようが本体の電源を消した時点で何もかもデータが残らなくなる。
    • おそらく本作における最大の問題点だろう。旧世代機のソフトならともかく、SS、PSといえば万能なセーブ機能が搭載されたハード*2であり、何故それを入れなかったのかが大きな疑問である。
    • 説明書に「このゲームにはセーブはできないのでご了承下さい」との注意書きがされている。
  • 視線のアングルが少々難ありで、ボールがどこにあるのかが分かり辛い。
    • これは特に平面視線でいえる事で、「ボールが移動する度にかなり強烈に画面が上下に揺れる」という事態に陥りやすく、ゲーム酔いする人には結構きついものがある。
      • 3D視線ではまだまともだが、こっちも完全には一画面に台が収まらないので、ボール位置によっては稀に把握が困難になる場合もある。
    • 特定ギミックを発動すると発生するボーナス「マルチボール」状態だとさらにとんでもない事になりやすい。
      • マルチボールとはボールが一度に大量に落ちてくるボーナスで大きなスコア獲得チャンスとなるが、複数のボールが無造作に落ちてくるので、(特に平面視線では)アングルが無茶苦茶になり、画面内がカオスな事態となってしまう。
      • マルチボールを搭載したピンボールゲームは他にも存在するが、その大半は本作と違って一画面にボールを全部表示できるアングルとなる配慮がされているのが通例である。残念ながら本作はその辺の事情を考えずに作られた可能性が高い様だ。

総評

ピンボールゲームとしてのクオリティは当時の基準でも優秀なのだが、スコアが一切記録に残せないというのは痛いところ。そういう意味ではかなり惜しい作品である。


余談

  • 残念ながら本作はゲームアーカイブスなどには今現在配信されていない。中古市場では安上がりで入手しやすいのが救いだが…。

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最終更新:2021年07月02日 14:11

*1 海外での発売元はOcean Software。尚、同社は1996年にフランスのゲーム会社であるInfogramesの傘下企業になった後、1998年に吸収合併された

*2 ましてやSSは本体に内蔵セーブ機能があるハードである。