PANDORA MAX SERIES Vol.5 ごちゃちる
【ぱんどらまっくすしりーずぼりゅーむふぁいぶ ごちゃちる】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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パンドラボックス
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発売日
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2000年10月19日
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定価
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通常版:1,980円 限定版:2,980円(共に税別)
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配信
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ゲームアーカイブス 2009年10月28日/600円
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象) |
判定
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なし
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PANDORA MAXシリーズリンク
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概要
PANDORA MAXシリーズの第五弾。
同シリーズにオマケとして収録されていたショートストーリーの世界を基に一本の作品として世に出された。
シナリオは『ドラゴンナイツグロリアス』に続いて飯島健男(現・飯島多紀哉)氏が手掛けている。
初回限定版には前4作の攻略本である『連動の書』が同梱されている。
特徴
世界観
オマケ要素の頃からそうだが、非現実と現実的な毒が融合した様がメルヘンタッチで描かれている。日本の俗世で言うシュールである。
無邪気さと自由奔放さからエグイ展開もおきる。現実世界に対する容赦ないツッコミがファンタジーの住人の日常トークに込められていることもあるし、無毒そうなタッチで実のところスプラッターな展開がおきていたりもする。
話が横にそれていってずれた着地をしたり、相手が固定された性格(立場)なのをいいことに都合のよい展開にもっていったりしてもなんとなく許されるという形で話が進行する。
ストーリー
ちるちゃんによりそんな奇怪な世界へ召喚された主人公(=プレイヤー)。彼女が言うには村が危機に陥っており、それを救うためには勇者を召喚し伝説の7つの楽器を集めてもらう必要があったのだという。
しかしストーリーが進むとちるちゃんが召喚したのは異世界の馬鹿だとか村のみんなの楽器をちるちゃんが売り払っただとかときな臭い話が聞ける。
システム
オーソドックスなアドベンチャー。マップを移動して会話をしたりアイテムを入手したり時にミニゲームをこなしてストーリーを進行させていく。
プレイヤーとちるちゃんが一緒に冒険しているという建前だが、トークにおいてはプレイヤーである主人公にキャラ(特徴)はない。
ちるちゃんが話を引っ張ったり面倒ごとを押し付けたりしてたまに主人公が相槌を打つという形をとっている。
尚、主人公の名前はプレイヤーが設定するが、ちるちゃんには勝手に変な名前で呼ばれてしまう。
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漫画喫茶にてゲーム内貨幣と引き替えに前四作までのセーブデータの補完ができる。可能なのはアイテムの入手やオマケ要素のフラグ回収など。
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前四作はユーザビリティがひどく、周回でフラグを回収するのがひどい手間であったりプレイすること自体が困難な場合すらあった。そのためオマケ要素を見るにはこのシステムを利用するのが一番である。
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ちなみにこの機能でデータを補完した後にごちゃちるのデータが自動でセーブされるようなことはない。つまりデータ購入後にロードしなおすことで資金を減らさずに利用できる。
評価点
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トランプやシューティングをはじめオリジナリティの高いミニゲームが随所に用意されている。
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成績がゲーム内貨幣に直結する物もいくつか存在する為、やりこむ価値はある。
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その場で軽くプレイするものもあれば、ストーリー仕立てのステージ制になっているものもあり、バリエーションに富む。
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コンバートすると、そのゲームの世界観をモチーフにしたバージョンのミニゲームを遊ぶ事ができる。ミニゲームによってはキャラがごちゃちる風に書き直されていたりして、非常にシュール。
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ちるちゃんに惚れている瓜坊のブッチを操作して仕事(クイズ)に挑戦するモードもある。ジャンルは幅広く、歯ごたえがある。
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こちらもコンバートによって過去作関連のクイズにも挑戦できる。出題者もその作品のキャラがごちゃちるタッチになって登場する。
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アイテムの数も多く、それを元に更なるアイテムの入手が可能となっていてコンプリート要素の楽しみもある。
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釣りや料理店で作れるメニューなどが該当。集めたアイテムに対してのコメントが笑いを誘う。
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いつものおまけに収録されているショートストーリーの『ごちゃちる』は5本も収録されている。もちろん、全て新作。
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映画館ではシリーズの他作品の宣伝や『ドラゴンナイツグロリアスVSラビッシュブレイズン』というお祭り作品が見れる。
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後者は本編とは別のおまけ要素でありながら今作の目玉の一つでもある。タイトル通り『ドラゴンナイツグロリアス』と『ラビッシュブレイズン』のキャラが共演するADVとなっている。シナリオは主人公を選択するオムニバス形式で、シナリオを進めると新たなキャラでプレイできるようになる。
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舞台となる「ごちゃ村」の住人達は個性豊かで、彼らとのやりとりも楽しい。
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ちるちゃん達の邪魔を(しようとしていつも失敗)する小悪党、プレイヤーには全く理解できない鳴き声で話す動物系キャラ達、ちるちゃんの傍若無人な振る舞いを優しくたしなめたり力ずくで止めたりする教育者的な存在、自らの発言の意味すらわからない程のおバカ…等色々。
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一度ストーリー上でのEDを迎えてもゲームの再開は可能。エンドレスでプレイを続けられる。
問題点
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シリーズの宿命だがロードが遅め。
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それでも前4作に比べると1周で終えられる事、ストーリーよりミニゲームがメインのためそれほど気にならない。ただし同じミニゲームを何度もやりたい時は説明をその都度見なければならない事も。
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セーブしてからゲームに戻りたい場合、「セーブしました」のメッセージが出て次の画面に進む為の○ボタンを押す→再びメモリーカードを読み込み「セーブしますか?」の質問が出る→「いいえ」を選ぶ事でようやく戻れる、という謎の手順が必要。
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『ドラゴンナイツグロリアスVSラビッシュブレイズン』の内容が、ある意味「同人臭漂う」内容のため、人によっては受け入れられない可能性も。
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シナリオ担当は『ラビッシュブレイズン』の和田慶子氏が担当。その為、『ドラグロ』部分に関しては特にその印象が強い。『ラビッシュブレイズン』部分に関しても本編に比べると違和感が無い訳ではない。
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原作の設定を変更していたり、独自の設定も少なくなく、なおさら同人っぽさが出てしまっている。これはこれで有りと受け入れられれば問題は無いのだが。
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『ラビッシュブレイズン』は本編終了後だが、『ドラグロ』はどのエンディングでもないパラレルな設定になっている点も一因か。『ドラグロ』の設定上、トゥルーエンドの続きではお祭り作品にし辛いという事情もあるのだろうが。
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システム上仕方ない事だが、料理図鑑のコンプリート特典を貰った後はレストランへ行く意味がほぼ無くなってしまう。
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繁華街にはディスコがあるが、ここに入っても中が荒れ果てており、特にイベントは無い。
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ショートストーリーの一つにこのディスコを舞台としたものがあり、そのラストでディスコが破壊されてしまう。荒れ果てているのはその所為なのだろうが、わざわざ立ち寄れるスポットとして用意する意味が感じられない。
総評
ミニゲーム集兼データフルコンプ用のソフトと言った趣だが、ユーザビリティは悪くない。値段を考えれば頑張っている方である。
相変わらず遅めのロードはひっかかるとはいえ、同シリーズの他の作品に欠陥が多いことを考えると、次回作『ONI零 ~復活~』を除けば最も完成度が高いとも言える。
余談
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この通り、決して完成度は低くなく、データ補間機能の便利さからシリーズユーザーは買って損の無い作品だが、ゆる過ぎるイメージの所為か導入会での評価は散々だった。ゲームがつまらないという話ではなく、見た目から「こんなもの売れるの?」という意見が多かったとか。
最終更新:2021年02月04日 01:34