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無残。
そこはたった一言で語りつくせる状況だった。
腹部に風穴を開けられ、紅い水溜りを広げる骸。
首と体が離反し、噴出す紅いシャワーで衣類が彩られている骸。
男はそっと手をかざし、『二人』のマブタをゆっくりと閉じる。

「で……こっちの子供が、お前の言っていた広瀬康一なんだな? 」

自分の後ろで立ちすくむ別の男に、男――空条承太郎は語りかける。
承太郎に質問に答えるように、もう1人の男は軽く頷いた。
今、彼らがいる場所は【E-5】。本来ならば駅に向かう為の通過点に過ぎない所だった。
だが到達して間もなく、全員が発見してしまったのだ。
この場にいるもう1人の男、ダイアーが第二放送前に仕留め損ねた少年の死体を。

承太郎に衝撃はなかった。そもそも放送で彼の名前は流れていたのだから。
ダイアーが仕留めようが損なおうが、どのみち彼が第二放送前に死んだという事実は変わらない。
康一が残した断末魔は、承太郎の頭にしっかりと残されている。ダイアーを除く全ての危険人物の把握も万全だ。
しかし……ここで一つの疑問が残されている。
広瀬康一の隣で死んでいるこの首なし死体は、一体何者なのか。

「空条承太郎よ……少なくとも俺私
はその男と会った事はない。本当だ」

承太郎が尋ねる前に、ダイアーは彼に全てを話した。
自分が広瀬康一と、どのように出会い、戦い、別かれたのか……。
彼のその言い分を一通り聞くと、承太郎は帽子を深く被りため息をつく。そして……ゆっくりと口を開いた。


「この死体は広瀬康一と同様にまだ暖かい。恐らく第二回放送直前で死んだ奴だな。
 お前から逃げ切った後……広瀬康一と合流して、一緒にいた所を狙われたと言った所か。
 支給品のディバッグも無くなっているしな。持ち物の数が合わなくなるから、お前が殺した線も薄い。
 身元がわかれば、もっといいんだが……」
「恐らくその男は岸部露伴じゃよ」

承太郎の推理に割って入るように、誰かの発言が飛び出す。
承太郎たちの視線に突然現れたもう1人別の男――――ウィル・A・ツェペリである。

「……今までどこにいたんだ? 急に姿を消しやがったと思ったら突然出てきやがって」

ツェペリは承太郎に反論をするかのように懐から一匹の『亀』を取り出す。
そして『亀』の背中に手を突っ込み……なんと一枚の紙を取り出したのだった。
驚く承太郎達をよそに、ツェペリは紙を彼らに渡す。そこには何か、落書きのような物が書かれていた。
そしてツェペリはそのまま落書きのある一部分を指差す。
そこに書かれていたものは、背景や絵でもなく立派な文字列――『岸辺露伴』と書かれたサインであった。

「彼らの死体から少し離れた所にこの『亀』がおった。こいつもスタンド使いなのかのう?
甲羅の中に……小洒落た部屋が入っておる。いや『繋がっている』と言うべきか。
 おそらく彼らを殺した奴は『亀』の『部屋』に気づかなかったんじゃろうな。
 ワシも最初は驚いたわい……その部屋の中に支給品のディバッグが二つとその紙が、
 手をつけられてない状態で置いてあったんじゃからな」

そして、承太郎とダイアーはツェペリに連れられるように亀の中に入った。
そこはまるで小さな楽園と言わんばかりの整った造りだった。
この時ダイアーは自分が波紋で調べても、亀の内部までは生命反応を探れなかったことを二人に話した。

「なるほど……不思議な生き物だ。こいつを使わない手は無いぜ」


『亀』を粗方語りつくした3人は、次に岸辺露伴の落書きについて議論した。
いくらサインが書かれた紙があったとはいえ、死体が露伴と断定するのは早合点という意見もあがったが、
ツェペリが持っていた『露伴の置手紙』から、サインの一致と自己顕示が強いと読み取れる文面。
そしてアジア圏系統の出で立ちと第二放送で呼ばれた男性人の詳細から、
彼は岸辺露伴であり、『亀』の『部屋』で書いた落書きにサインを残すことも打倒と結論が出た。

「まさかこんな形で会う事になるとは非常に残念じゃ。またワシは……間に合わなかった」

ガックリと、うな垂れながらツェペリは荷物を持って『亀』に入ってゆく。
つられてダイアーとヨーヨーマッも追うように亀に入り、その場には承太郎と『亀』が残った。
そして……承太郎は『亀』を抱えて歩き出す。ツェペリ達には何も言わず、ただひたすら歩く。
わかっていたのだ。
承太郎がイギーという仲間を失ったように……これは誰もが何度も通る道だと言う事を。
自分が今更何を言ったとしても、ツェペリ自身が悲しみから乗り越えない限り無意味だという事を。
過ぎてしまった物を追い求めるのではなく、遺された物を先に生かす――それこそが一番大事なのだと。

*  *


「ツェペリさん……俺が口を挟む資格など毛頭ないのがわかっているが言わせてくれ。
ここでお前がしょげていては、亀を残してくれた……いやわざとやったわけではないと思うが……
 広瀬康一が浮かばれないぞ。今一度……私を改心させた時のように、『勇気』を持って奮い立つべきだ」

ダイアーはツェペリの両肩に手をおき、彼を励ます。
ツェペリはダイアーの呼びかけに応じるが、先ほどのような元気はない。
数奇なすれ違いである。もしダイアーがあの時……広瀬康一と初めて遭遇した時に岸辺露伴の存在に気づいていたとしたら。
ダイアーは間違いなく彼も殺していただろうか? それとも……スタンドを奪われた男は見逃していたのだろうか?
どちらにせよ……ダイアーの運命はまだまだ不安定なのは間違いない。

「ツェペリ様、ダイアー様……一通りの荷物はまとめておきました。余ったディバッグや不用な物は分けておきました。
 もし何かご要望がありましたら何なりとお申し付けください。
 そして……ツェペリ様、私もダイアー様と同意見です。今更しょげても手遅れですよ。
 今は広瀬康一様が死んだおかげで、この宝の山が手に入ったことを喜ぶべきです……」
「……貴様ッ! 言っていいことと悪いことがあるぞッ! ツェペリの気持ちも知らず……」
「? ダイアー様、何を仰られるのですか。あなたは仕留め損ねた相手を間接的に始末することが出来て……
 ツェペリ様はなんだかんだで岸辺露伴様と“合流”出来たのですよ?
 しかもこの『亀』の『部屋』……我々の戦力強化としても充分。いいこと尽くめじゃあありませんか? 」
「おいッ! いい加減に……」
『聞こえてるかヨーヨーマッ……そろそろもう一回放送を流すぞ。「亀」の中から出てきな』

ヨーヨーマッの『思いやり』にダイアーは癇癪を起こしかけたが、承太郎の呼びかけによってそれは遮られてしまう。
拡声器を片手にへこへこと亀から出ていくヨーヨーマッを、ダイアーはただ睨み付ける事しか出来ない。
そして承太郎の支給品である事も相まって、ダイアーはヨーヨーマッに手が出せない自分に苦虫を噛み潰すのであった。

*  *


「旦那様……次はどこで放送を流せば宜しいのですか? 」
「よし、ここから20メートル先だ。いいか、放送では決して紙に書いてある事以外は話すなよ。何があってもだ」
「かしこまりました」

承太郎に命令されヨーヨーマッは先へ進む。
そして20メートルばかり離れたところに着くとヨーヨーマッは拡声器を口にあて、喋り始めた。

「私は!!!承太郎の支給ひァガババババァァ!?? 」

……が、それは失敗に終わった。
ヨーヨーマッは大きく空を飛び、路地に投げ出され……今はのたうち廻っている。
隠れていた承太郎も驚きのあまり路地から顔を出した。
なぜならヨーヨーマッが吹っ飛んだのは猛スピードで走っていたバイクと衝突したからであり……。

「やっちまったッ! おいお前、大丈夫か……」

そのバイクに乗っていた人物が自分の旧友だったからである。

「ポルナレフ!」
「あ……お、承太郎……承太郎か!? 」

*  *


バキィッ!

「ぶげぇあぁッ!」
「とりあえず、殴らせてもらったぜ……勘違いするなよ。俺はお前を完全に許しちゃぁいねーからなッ!
『反省してます』だぁ? ……あったり前だッ!
『俺の世界』で死んでるとしてもな……お前はイギーを殺したんだからなッ! これからは死ぬまで罪を償ってもらうぜ」

拳を握り締めて、ポルナレフはダイアーを睨み付ける。
手放しで喜ぶはずだった承太郎との再会。
放送でジョルノとイギーの死を悲しんでいたポルナレフにとってこれ以上の喜びはなかった。
だが承太郎がツェペリとダイアーを紹介したとき……ポルナレフは再び悲しみを掘り起こされる事となる。
承太郎もある程度覚悟して、二人をポルナレフに紹介したのだが……それは起こってしまった。
イギーを殺害してしまった、というダイアーからの謝罪。
気がつけばポルナレフは……腕を振り上げ腰を捻り体重を乗せてのストレートパンチ。
その打撃はダイアーの体を浮かせるほどの威力だった。

「ポルナレフ……その辺で許してやってくれんか。そろそろお主が手に入れた『コイツ』について話し合いたい」
「チッ、本当なら再起不能にしてやりたいんだが……承太郎とツェペリの爺さんに免じてこれで終いにしてやらぁ!」

だが……ポルナレフがツェペリ達と知り合い、荒木打倒の同盟を結ぶまでに時間はそうかからなかった。
お互いがお互いの有益な情報、これまで自分たちが遭遇した出来事は勿論のこと。
中でもポルナレフがジョルノ・ジョバーナから受け継いだ、
『首輪の盗聴の可能性』、『荒木の能力に関する謎のメモ』は、ツェペリ達にとって尋常でない衝撃を与えた。

(それでは筆談で話すとするかのう……それにしても、なんて恐ろしい能力なんじゃ。
 ジョジョよ、スタンドはこんな凶悪な力を操る事も可能なのか!? もしこれが本当なら……、
 いくら時を操る事が出来ない能力とはいえ、直接やりあったら万に一つも勝ち目がないぞ!? )

荒木が首輪から盗聴をしているという可能性は……既に全員が把握していた。
ポルナレフが4人に出会った時に、こっそりとメモに書いて伝えていたのだ。
この会話が盗聴されてしまったら、荒木は自分の能力が参加者全員にバレるのを恐れ口封じをしてくるかもしれない、と。

(ツェペリ……この世に最強のスタンドはあるかもしれねぇが、そいつが無敵のスタンドとは限らないんだぜ……?
 推測だが……俺は、スタンドには何らかのルールがあると思っている。
 今まで色んなスタンドと出会ってきたが、どいつもこいつも一つは短所や弱点はあった。
 だが、俺はこのジョルノという奴のメモに荒木の全てが書かれているとは思えん。
 放送や、最初に奴がやった俺達の教会からの転送……それだけでは解決しきれない謎もまだまだ残されているからな)


承太郎の論に4人はすっかり聞き入っている。
いつの間にか屈強な男たちのパーティのリーダーシップを取っていたようだ。
これぞ空条承太郎……ジョースターの血統の者が代々受け継ぐ『指導者としての手腕』。
降りかかるピンチをものともせず、常に最善を尽くす不屈のパワーである。

(とはいえ……例え無敵の能力だったとしても……ジョルノが遺した、このメモの存在はありがたいぜ。
僅かながらでも、『能力』がわかっちまえば『対策』がうてるだろう?
 そもそも……俺は荒木の能力が完全なモノだとは最初っから思っちゃいねえ。
 最初に荒木がいた建物を覚えているか?……まるで教会のような造りだったろう?
 だがこの地図を見てみな、教会らしき建物はどこにも記されちゃいない。
 『カフェ・ドゥ・マゴ』のようにわざわざ名前付きで記載されている場所もあるのに、だ。
 つまり少なくともこの地図からは荒木がどこにいるかはわからないのさ。……この事実、こうは解釈出来ないだろうか?    
 『荒木は…俺達に自分のいる場所を教えたくない』とな……!)
(! なるほど……自分の能力に絶対な自信があれば……居場所を隠すなんて事はせず、堂々としてればいいはず!
 現に荒木は教会を発見して戦いを挑んだジョルノ君を……返り討ちにしているからのう。
 第二回放送でわざわざ報告する位じゃから……てっきり余裕な態度をワシら見せつけているんだと思っていたんじゃが)
(あの発言はむしろ『教会に攻め込まれては困る』という……奴の無意識の自己防衛だったと取るべきだぜ。
 荒木は少なくとも自覚してるのさ。自分の能力には何らかの穴がある、だから手放しで信頼出来ないってな……! )

こんな調子で荒木に対する議論は一つの仮定を導き出したのだった。
その後カフェ・ドゥ・マゴに着いた後の作戦も話合おうという意見も出たが、
これ以上はカフェ・ドゥ・マゴに到着してから話し合っても遅くはないという事になり、
一行は一旦『亀』とバイクでカフェ・ドゥ・マゴへ向かうことを決定。
ポルナレフが承太郎達が入った『亀』を持って、バイクで目的地へ向かう役を引き受けた。

そして一行は今、カフェ・ドゥ・マゴにいる。

「着いたぜ……じゃあ今から俺はヨーヨーマッと一緒にバイクで町中を周る。
 色々なところで放送を流させてこよう。ポルナレフ、お前がいっていた町の調査もついでに引き受けるぜ」
「ありがとよ。俺はツェペリさん達にもう少し詳しい話をしておくぜ。
 しっかし承太郎、お前バイクの運転ちゃんと出来るんだな……高校生ってOKなのか?」
「それぐらい普通だぜ。その、あれだ……りろんは知ってる。運転のやり方は乗りながら覚えるぜ」
「……はぁ? 今何って言ったんだ承た―――――――」

――ゴシャッ…………! ―――

「……今何か聞こえなかったか」
「……ああ、聞こえたな」
「何かがハジけるような音じゃったの」
「まさか、駅の方角からではないか?」
全員が聞こえたかすかな……それでいてはっきりとした音。
矛盾した表現だが、そう言える音だったと言わんばかりの表情をする承太郎達。
我先へと動いたダイアー、彼を制止しつつも一緒に歩くツェペリ、しょうがないと後を追う承太郎。
カフェに近い裏路地から駅を事細かに観察し、3人は様子を見る。

「どういう事だ……駅の入り口は封鎖されたのではなかったのか? 」

ダイアーは承太郎に顔を向けるが、承太郎自身も納得がいかない表情をしている為、困り果てている。
だがここでツェペリが声を立てず、ゆっくりと人差し指を駅の入り口に向ける。
2人がツェペリの示す方向を注視すると……なんと2名の人物が現れたのだ。

――しかしよぉ、俺は結局の所……――

何やら喋っているのだが、遠すぎて余り聞き取れない。
見たところは普通の人間。太陽の元に姿を出すのだからそれは間違いない。
しかし素性がわからない。彼らは敵なのか、味方なのか。スタンド使いなのか。
そのため承太郎も迂闊にスタンドを出して探りも入れる様子がない。
駅に屍生人のタルカスがいるという承太郎の話が本当ならば、何故あの二人は無事なのか。
タルカスは既に彼ら殺されてしまったのだろうか、それともタルカス達と手を組んだ人間なのか。
屍生人と人間が手を組むということなど彼らの常識では到底考えれないが、
『この世界が既に非常識である』という前提があるため、誰もその可能性を否定出来なかった。
当初はタルカスとそのもう1人の人物の退治の為に駅に近づいたのに……彼らは予想外の出来事に足止めされてしまったのだ。

*  *


「全くよぉー……何も皆で行く必要はねーだろうに。
 確かにカフェに着いた後、駅に向かうつもりだったんだから、気になるのはわかるけどな」

カフェ・ドゥ・マゴに1人取り残されたポルナレフは椅子に座って器用に胡坐をかく。
皆がいなくなっては自分も移動できないので、彼は立ち往生をしていた。
なぜなら、今カフェに誰もいないと花京院達と入り違いになってしまうからである。
仮に移動したとしても、承太郎がやろうとしていたヨーヨーマッの放送が出来ない。
なぜなら持ち主はまだ承太郎にある為、20メートル以上離れられないのだ。
ポルナレフは、こんなことなら持ち主のチェンジを引き受けておくんだったと言わんばかりにため息をついた。
そして……そのため息を見ていたヨーヨーマッは、何かを決意したかのように彼に近づくのであった。

「どうした……ヨーヨーマッ……だっけ? お前承太郎に着いてったんじゃあなかったのか? 」
「旦那様は『お前はこうゆう時に限って足を引っ張るような気がするから引っ込んでろ』とおっしゃいました。
 まぁ……私は旦那様の命令が絶対でございますから。でも、そんな事はどうでもいいんです。
ポルナレフ様、あなた様にお願いがあるのです。聞いて頂けないでしょうか……?」

ヨーヨーマッの言葉にポルナレフは合意のうなづきをする。
だが、次ぎの瞬間……ポルナレフは顔を一気に引きつらせたのだった。

「これをごらんください……これは人の手首……正真正銘本物でございます。
 私、解剖学に詳しくありませんが……恐らくそれなりに時間はたっているかと。血も止まっていますし」
「そんなもの……いつどこで見つけたんだよ!? 」
「ついさっき……皆様の荷物を亀にお運びした時のことです。
 皆様の荷物の中身のチェックや確認をしていたところ……目立たないように奥底に隠してありました。
 かばんの持ち主は…………ウィル・A・ツェペリ様です」

ポルナレフの顔からどんどん脂汗が流れていく。
何も知らない第三者から見れば……彼が隠し持っているとしか考えられない。
だが、事実は小説より奇なりと言うように……全ては偶然の産物だった。

この手首の名は『美奈子』。殺人鬼、吉良吉影の支給品であり……大事な大事な『恋人』。
事の発端は、吉良吉影がギアッチョとの戦闘時に『美奈子さんの手首』をディバッグの奥底に隠した事実。
『美奈子さんが傷つかないように』ちゃんとしまった為……バッグの中を見ても中々気づかれなくなっていたのだ。
今から遡ること6時間前……ツェペリはD-3で行われた吉良とギアッチョの戦闘跡で吉良のディバッグを見つける。
この時彼は……第一放送でジョナサンの死を知った為に動揺していたのかはわからないが……
あろうことか吉良のディバッグに他のディバッグの荷物を詰めて……
『およそバッグ3つ分の荷物を2つのディバッグにまとめたのであった』
当然隠されていた『美奈子さん』はそのままバッグに残ったままツェペリと旅を続け……今に至るのである。
ツェペリはおろか、ダイアーも承太郎もシュトロハイムリサリサも……持ち主だった吉良すらも知らない事実。
誰も知らない奇妙な事実。

「つまりよぉー……ツェペリのおっさんは俺たちに内緒で……それを隠し持っていたってことか?」
「はい。このカバンです……ご覧ください。どういう経緯なのかはわかりませんが……よく見ると
 『カバンの内部』に固まった血がわずかながらに付着しております。
 指紋が取る手段がこの場で出来ないのが残念ですが、これは間違いなくツェペリ様のバッグです」
「で、でも承太郎達はずっと一緒だったんだろ?」
「そもそも旦那様もダイアー様も昼過ぎに初めてツェペリ様と合流なされました。
 つまりそれまでどこで何をしていたのかは彼自身の話でしか聞いていないのです……」
「で、でもよ。お前達は……確かツェペリのおっさんの居場所を教えてもらったから合流できたんだろ? 」
「そこです……私達にツェペリ様を紹介してくださったリサリサ様。全ては彼女の紹介です。
 ですが彼女も……ずっとツェペリ様と一緒にいたわけではありません。それにひょっとしたら……共犯の可能性も」
「ふざけるな! 第一わざわざ自分が殺人をした証拠を残す奴がどこにいるッ!」
「まさか先ほど『亀』の中でダイアー様が話した事をお忘れではありませんよね?
あの方は土下座をしてまで旦那様……いいえあなた様の仲間でもあるイギー様の殺害を謝罪なされましたよ?
 最初から黙っていれば、証拠も無いし、気づかれなかったのに……つまりその逆も在るとは言い切れませんか? 」
「ダイアーと違ってツェペリのおっさんやそのリサリサって人はジョースターの血統なんだろーがッ!
 誇り高きジョースター一族のご先祖様がそんなこ……と…………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……………

「そうなんです。私もずっと気になっておりました……皆様の情報を纏めると、
 ここにいる者たちは時代を越えて集められた、という事がわかっています。
 でも、私達は……同時代のお知り合い以外の人物の素性はまるでわからないのではありませんか?
 ポルナレフ様は……ツェペリ様の具体的な本性をどなたかから聞いたことはありますか? 」
「てめー……何が言いたい……! 」
「聞きの悪い過去の歴史ほど、中々明るみには出ないものでございます。
 そうですね……例えば……『ウィル・A・ツェペリ』は……
 人を殺さずにはいられない性格だった……あるいは死体収集家だったとかアバァッ! 」

ポルナレフの『銀の戦車』がヨーヨーマッを針串刺しにしてゆく。黙れと言わんばかりに貫きつづける。
しかし……この杜王町に来て初めて剣を振るった相手は、何事もなかったように話続ける。

「アガガ……ボルナレブ様……私は……あなた様に……この『手首があった』という事実を伝えたかっただけ。
 この手首は私が丁重に処分させておきます。
万が一の時の為に……ウィル・A・ツェペリ様を警戒して頂きたかったのです。
 何故なら……彼は旦那様のご先祖の師匠。。ツェペリ様が黒なら、とぼけられてオシマイです。
 白だとしても旦那様がこの事を話せば……きっと迷いが生じるはずです。もしかしたら……と。
 ひょっとしたら……自分でツェペリ様に手をかける可能性もございます。さすればきっとダイアー様も巻き込まれます。
 いや…その前に……旦那様は私言うことなんて信じてくれないかもしれません。
 でも……私は旦那様を守りたい……助けたい……あの方の為に役に立ちたいのです。
 ポルナレフ様……もしもの時の為に……ツェペリ様の行動を監視して頂けないでしょうか……? 」
「……………………ヨーヨーマッ、その手首ちょっと貸せ」

ヨーヨーマッが『はい』受け答える前にポルナレフは『美奈子さんの手首』を奪う。
そしてそれを投げ上げると――――

「『銀の戦車』ッ! 」

居合いの達人も目に見張る剣技の乱舞に手首はなんども跳ねあがり……粉微塵と化した。
そして残った残骸を店にあった掃除用具で纏めると、ポルナレフはごみ箱にそのまま捨てた。

「ああ……なんて事を……せっかくの証拠を処分なさるなんてッ! 」
「俺や承太郎をナメてんじゃねーぜ……殺人犯? 上等だぜ。俺らを騙せ通せるもんならやってみろってんだ。
 いいかヨーヨーマッ……こんな事な、俺たちにとっちゃどうでもいい事なんだよ。
 本当に性根の腐った野郎なら……その内自分からボロを出すさ。俺にはわかる。悪党ってのは昔からそうゆうもんだ」
「そんなッ! 無責任すぎますッ! 旦那様にもしもの事があったら……」
「少なくとも承太郎はお前を恨むような事はしねーだろーよ。恨むなら自分自身だ。
 まあツェペリが悪党なのかどうかはこれから俺がじ~~っくりと観察してやっからよ。お前は指でもしゃぶって見てな。
 悪党じゃあなければOK。もし悪党なら俺たちが駄目押ししてやればいだけだッ! 簡単なことだろう? 」

……あっけに取られるヨーヨーマッをよそに、ポルナレフは店の外に出る。
そこには今しがた駅の近くから戻ってきた承太郎達の姿があった。
三人は何も知らない。待っていたポルナレフに何があったのかを。

「駅は謎だらけで不気味じゃのう……潜入はジョジョの仲間の更なる合流を考えて5時まで待つべきじゃろうか? 」
「しかし6時になれば日没だ……奴らの時間になったらそれはそれでマズイ」
「俺が付き添わないとヨーヨーマッを使って放送が流せないからな……ルートや回数を決めとくべきか? 」
「ヨーヨーマッはお主の一存で主人を変えられるんじゃろう? 何もお前さんだけがやる必要はあるまいて」
「なぁお前ら、そんな事よりもう午後3時だ。おやつの時間だぜ? 」

だが、ポルナレフの表情は相変わらずのお気楽なJ・P・ポルナレフの顔だった。
彼に後悔はない。疑心もない。それは彼には必要のないものだ。
バカで結構、無知で上等……ただ、真っ直ぐに、思った通りに行動する。
それこそが、彼のポリシー……J・P・ポルナレフのポリシー。
何事もなく……自分は暇を持て余していたと言わんばかりに、ポルナレフは彼らを出迎えた。





「ガムかむかい?」




【波紋の達人と幽波紋の達人】
【カフェ・ドゥ・マゴ(E-4)/1日目/午後(3時)】

【J・P・ポルナレフ】
[スタンド]:シルバー・チャリオッツ
[時間軸]:ヴァニラ・アイスを倒した後。DIOに出会う前
[状態]:服はほとんど乾いてる。
[装備]:支給品はまさかの『コーヒーガム(イギーの大好物)』でした。
[道具]:詳細な杜王町の地図、荒木の放送での発言をまとめたメモ 、
    ジョルノが遺した荒木の能力(?)に関するメモ。露伴のバイク
    亀の『ココ・ジャンボ』

[思考・状況]:
1)荒木の打倒。ジョルノの敵を必ず討つ!!! その為に仲間を探す。
2)荒木の事、駅へ襲撃すること、色々話し合おう。
3)仲間の犠牲者は出さない(一応ツェペリは監視する)
4)DIOとディアボロに対する警戒感。(何があっても共闘など真っ平)

[補足1]:承太郎たちと情報交換はしました。
[補足2]:首輪の盗聴の可能性に気付いています。

【ウィル・A・ツェペリ】
[能力]:波紋法
[時間軸]:双首竜の間で天地来蛇殺の鎖に捕らえられた瞬間。胴体を両断される直前
[状態]:軽傷(打ち身と額の傷)、処置済み。
[装備]:ショットグラス×2。水入りペットボトル(共通支給品だが、波紋カッターや波紋センサーに利用可能)
[道具]:無し
[思考・状況]:
1)承太郎、ダイアーと共に駅にいるタルカス達を倒す。(だがいつ突入するかは決めてない)
2)承太郎とダイアーの事を懸念。
3)病院襲撃の為の仲間(リサリサの仲間、承太郎の仲間)を捜す。
4)参加者の中に居る吸血鬼、屍生人を斃す。
5)皆で荒木の能力について自分なりの見解の説明や、御互いの情報の交換(タルカスとの優先順位は微妙)。
[補足1]:ポルナレフたちと情報交換はしました。
[補足2]:首輪の盗聴の可能性に気付いています。

【ダイアー】
[能力]:波紋法
[時間軸]:ジョナサンと会い、ディオの所へ行く直前
[状態]:ツェペリとの闘いによるダメージ、処置済み。
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]:
1)ツェペリ、承太郎と共に駅へ向かい、タルカス達を斃す。(いつ突入するかは決めてない)
2)波紋戦士としての使命を果たす(吸血鬼の殲滅)。
3)自らの過ちにより2名の命を奪ってしまった事への贖罪。
4)1)~3)の為に、此の身を盾にする事に躊躇いが無い。
[補足1]:ポルナレフたちと情報交換はしました。
[補足2]:首輪の盗聴の可能性に気付いています。


【空条承太郎】
[スタンド]:『スタープラチナ』
[時間軸]:ロードローラーが出て来る直前
[状態]:ほぼ無傷(左腕は動かす事に支障は無い)。ダイアーへの怒り(プッツン寸前)
[装備]:無し
[道具]:拡声器(ツェペリから譲り受けました)
[思考・状況]:
1)ダイアーへ怒り心頭だが、抑えている(殺意ではない)。
2)ツェペリ、ダイアーと共に駅に向かい、タルカス達を斃す。(いつ功めるかは決めてない)
3)ヨーヨーマッと拡声器を用いて仲間へ呼び掛ける(場所、回数などの詳細は決めてない)。
4)その為のヨーヨーマッの主人代えも検討中。
5)打倒荒木、DIO。
[補足1]:承太郎の言う『ババァ』とは、リサリサの事です。
[補足2]:ポルナレフたちと情報交換はしました。
[補足3]:首輪の盗聴の可能性に気付いています。

【ヨーヨーマッ(支給品)】
[現在の主人]:空条承太郎
[装備]:マスク
[持ち物]:無し
[任務]:
1)承太郎を“助ける”
[補足]
1)ヨーヨーマッは攻撃出来ない。能力も完全に封じられている(主人がヨーヨーマッ自体を利用して攻撃というのは可能かも知れない)。
2)主人の命令には絶対服従、しかし命令を曲解して受け取る事もあるかも知れない(ヨーヨーマッを殺すような命令には従えない)。
3)ヨーヨーマッは常に主人の半径20m以内に居なければならない。
4)ヨーヨーマッの主人が死んだ時、又はヨーヨーマッが規則を破ったならヨーヨーマッは消滅。
5)主人変更の命令があれば主人は変わる。但し変更対称人物の同意が必要。
6)主人変更の命令をされた時、次の主人がヨーヨーマッの視界に入っていなければ命令は無効化される。

※【現在ココ・ジャンボの中に入ってる物の一覧】
黒騎士ブラフォードの首輪、大型スレッジ・ハンマー、
ポルナレフの支給品一式×2(バッグは自分とジョルノ)、缶詰等の追加の食料品、
ツェペリの支給品一式×2(バッグは吉良とツェペリの)。薬草少々(リサリサと分けました)。岸辺露伴の手紙
ダイアーの支給品一式×2(但し、水は無し)(バッグは自分と億泰の)
承太郎の支給品一式
露伴の支給品一式、露伴の書いた落書き
康一の支給品一式、シャボン液

投下順で読む


時系列順で読む


キャラを追って読む

90:師の教え(前編)~兄弟弟子の再会~ ダイアー 109:支給品VS支給品
90:師の教え(前編)~兄弟弟子の再会~ ウィル・A・ツェペリ 109:支給品VS支給品
90:師の教え(前編)~兄弟弟子の再会~ 空条承太郎 98:因果
72:神への挑戦(前編)~早過ぎた対峙~ J・P・ポルナレフ 109:支給品VS支給品