ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3105 ゲスとでいぶのあったか家族
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『ゲスとでいぶのあったか家族』 35KB
観察 ゲス 自然界 主要キャラは死にません
観察 ゲス 自然界 主要キャラは死にません
『ゲスとでいぶのあったか家族』
D.O
ここは、人はおろか人工物の姿さえ見えない、広い広い、とある森。
さほど危険も無く、小さなゆっくりの群れが無数に点在する、そんな森の中だ。
さほど危険も無く、小さなゆっくりの群れが無数に点在する、そんな森の中だ。
この森には、さほど賢くは無いが善良なぱちゅりーを長とした、
成体だけで100匹ほどがいる、そこそこの大きさの群れがあった。
成体だけで100匹ほどがいる、そこそこの大きさの群れがあった。
そして、まりさとれいむは、そんな普通の群れの、普通では無い夫婦であった。
********************************
「ゆふぅ~ん!おちびちゃん、れいむそっくりのびーなすさんみたいなねがおだよぉ~!
ゆっくりはやくうまれてね!ゆゆ?…でもゆっくりゆっくりうまれてね~!」
ゆっくりはやくうまれてね!ゆゆ?…でもゆっくりゆっくりうまれてね~!」
大きな樹の根元を掘った、ゆっくりにしては広めのおうちの中では、
一匹のれいむが、とてもゆっくりした顔で自分の額から伸びる茎を眺めていた。
いや、正確には茎にぶら下がる、4匹の可愛らしいおちびちゃん達を。
と、そこにつがいであるまりさが帰ってきた。
一匹のれいむが、とてもゆっくりした顔で自分の額から伸びる茎を眺めていた。
いや、正確には茎にぶら下がる、4匹の可愛らしいおちびちゃん達を。
と、そこにつがいであるまりさが帰ってきた。
「ゆぅ~。狩りから帰ったのぜ~」
「ねぇねぇ!まりさ!きょうもおちびちゃんが、とってもゆっくりしてるよ!!」
「ねぇねぇ!まりさ!きょうもおちびちゃんが、とってもゆっくりしてるよ!!」
狩りから帰ってきたまりさに、弾むような声で話しかけるれいむ。
だが、まりさの反応はつれないものだった。
だが、まりさの反応はつれないものだった。
「…どうでもいいから、そのでかい図体をとっととどかすのぜ。おうちに入れないのぜ」
「な、なにいっでるのぉぉおおお!でいぶは、かりすまもでるさんもしっとにくるう、
きせきのすれんだーぼでぃのもちぬしなんだよぉぉおお!」
「はいはい、ゆっくりゆっくりなのぜ」
「ゆぎぃいいいいい!!」
「な、なにいっでるのぉぉおおお!でいぶは、かりすまもでるさんもしっとにくるう、
きせきのすれんだーぼでぃのもちぬしなんだよぉぉおお!」
「はいはい、ゆっくりゆっくりなのぜ」
「ゆぎぃいいいいい!!」
と、ここまで会話を聞いているだけなら、冷たい態度のまりさが悪いように感じるだろうが、
実際のところ、そんなことはない。
実際のところ、そんなことはない。
「ゆ、ゆっぎぃぃいいいい!ばりざは、でいぶをもっどゆっぐぢざぜろぉぉおお!」
「…ふぅ。鬱陶しいのぜぇ」
「…ふぅ。鬱陶しいのぜぇ」
なぜなら、
「そのぶよぶよのお腹をさっさとどかすのぜ」
「ゆばぁぉあああああ!!」
「ゆばぁぉあああああ!!」
実際れいむの図体は無駄にでかく、まりさがおうちに入るのを邪魔していたからである。
れいむは、いわゆる『でいぶ』と呼ばれる、ゆっくり社会では忌み嫌われる駄ゆっくりであった。
その主な症状は、盲目的な自信過剰・ご都合主義・凶暴性、
そして自分と自分のおちびちゃんの幸せのためなら、他ゆっくりの命すらゴミ扱いする驚異の利己主義。
はっきり言って迷惑な存在である。
しかも外観がまた、暴食による肥満、知性を感じさせない表情、うるさい大声と、
まったくもって好感を持てない風貌ときては、好かれるはずもないであろう。
その主な症状は、盲目的な自信過剰・ご都合主義・凶暴性、
そして自分と自分のおちびちゃんの幸せのためなら、他ゆっくりの命すらゴミ扱いする驚異の利己主義。
はっきり言って迷惑な存在である。
しかも外観がまた、暴食による肥満、知性を感じさせない表情、うるさい大声と、
まったくもって好感を持てない風貌ときては、好かれるはずもないであろう。
当然ながら難ありゆっくりなれいむは、群れの厄介者扱いだったのだが、
この群れ、長ぱちゅりーが変な平等主義に目覚めたせいで独身を原則禁止されており、
こんなれいむにも、つがいが必ずあてがわれる残念な群れだった。
しかも離婚の際には、群れ幹部達の過半数の許可が必要と言う徹底ぶりである。
この群れ、長ぱちゅりーが変な平等主義に目覚めたせいで独身を原則禁止されており、
こんなれいむにも、つがいが必ずあてがわれる残念な群れだった。
しかも離婚の際には、群れ幹部達の過半数の許可が必要と言う徹底ぶりである。
だがその結果は、過去3度の離婚であった。
しかも3度目に至っては、れいむのつがいであったみょんが長ぱちゅりーに、
土下座を通り越して、額を地面に押し付けたまま逆立ちまでして、
しかも3度目に至っては、れいむのつがいであったみょんが長ぱちゅりーに、
土下座を通り越して、額を地面に押し付けたまま逆立ちまでして、
『ころせみょぉぉおおん!りこんさせないなら、みょんをころせみょぉぉおおん!』
と叫ばせるほどであったという。
みょんとつがいだった頃のれいむと言えば、
おうちの中で食っちゃ寝を繰り返して外にも出ず、
みょんの集めた食料はみょんが口に入れる前に全部食べつくし、
疲労困憊で眠ろうとするみょんに、そのだらしない図体で子作りを求め続けるという
地獄のような毒妻っぷりだったそうな。
みょんが発狂寸前になるのも当然である。
おうちの中で食っちゃ寝を繰り返して外にも出ず、
みょんの集めた食料はみょんが口に入れる前に全部食べつくし、
疲労困憊で眠ろうとするみょんに、そのだらしない図体で子作りを求め続けるという
地獄のような毒妻っぷりだったそうな。
みょんが発狂寸前になるのも当然である。
せめてもの救いは、れいむ自身が自分の狩りの下手さだけは自覚していたため、
つがいがいなければ自分は生きていけない、という程度の事を理解していたことだろうか。
だからこそ、群れのルールを破ったり、殺ゆっくり・盗みなどに手を出さずにすんだのだろう。
つがいがいなければ自分は生きていけない、という程度の事を理解していたことだろうか。
だからこそ、群れのルールを破ったり、殺ゆっくり・盗みなどに手を出さずにすんだのだろう。
で、そんなれいむのつがいとなったまりさなのだが、
こちらも当然ながら普通のゆっくりではなかったのだった。
こちらも当然ながら普通のゆっくりではなかったのだった。
「ゆがぁぁああ!あやばれ!どげざじであやばれぇぇええ!」
「…れいむ」
「ゆがぁぁあああぁぁぁ・ぁ・あ?」
「にんっしんしてるからって、何にもされないと思ってるのぜ?」
「ゆ・ゆ?ゆわ、や、やべで…」
「…れいむ」
「ゆがぁぁあああぁぁぁ・ぁ・あ?」
「にんっしんしてるからって、何にもされないと思ってるのぜ?」
「ゆ・ゆ?ゆわ、や、やべで…」
やれやれと言った表情をしていたまりさは、
眉ひとつ動かさずに手近に転がっていた木の枝を加えると、
眉ひとつ動かさずに手近に転がっていた木の枝を加えると、
ずぼっ!
「ゆ、ゆびゃぁあぁあああ!ごべんなざい!ごべんなざいぃぃいいい!」
「しばらく反省しとくのぜ」
「しばらく反省しとくのぜ」
その木の枝をためらいなくれいむの眼窩にねじ込んだのであった。
「ぬいぢぇ!でいぶはんぜいじでまず!ゆっぐぢじまずぅぅぅううう!」
「うるさいからちょっと黙るのぜ」
「……っ!」
「うるさいからちょっと黙るのぜ」
「……っ!」
まりさは、いわゆるゲスだったのである。
れいむの眼球を傷つけず、木の枝を眼窩にねじ込む。
虐待お兄さん顔負けのことを表情一つ変えずに行うまりさは、当然ながら普通のゆっくりではない。
いわゆる『ゲス』と呼ばれる、ゆっくり社会では恐れられ、敬遠されるゆっくりであった。
ずる賢く打算的で、『ゆっくり』を共有するのではなく独り占めすることを好み、
自分の利益と生命のためには他ゆっくりなど平気で打ち捨てる冷徹さをもつという、
ゆっくりしていないゆっくりの代表格のような存在であった。
虐待お兄さん顔負けのことを表情一つ変えずに行うまりさは、当然ながら普通のゆっくりではない。
いわゆる『ゲス』と呼ばれる、ゆっくり社会では恐れられ、敬遠されるゆっくりであった。
ずる賢く打算的で、『ゆっくり』を共有するのではなく独り占めすることを好み、
自分の利益と生命のためには他ゆっくりなど平気で打ち捨てる冷徹さをもつという、
ゆっくりしていないゆっくりの代表格のような存在であった。
そんなまりさだが、その計算高さゆえに群れで暮らす利点を理解していたため、
群れのルールを破ったり、殺ゆっくり・盗みなどに手を出さずにすんでいた。
ただし、危険な雰囲気漂うまりさを好き好んでつがいに選ぶゆっくりも少なく、
結局売れ残りとなってしまっていたわけである。
群れのルールを破ったり、殺ゆっくり・盗みなどに手を出さずにすんでいた。
ただし、危険な雰囲気漂うまりさを好き好んでつがいに選ぶゆっくりも少なく、
結局売れ残りとなってしまっていたわけである。
2匹は別に、相性が良かったからつがいになったわけではない。
群れのルールだからというのが表向きの理由だが実際は、
れいむは狩りの得意なつがいを必要としていたからであり、
まりさに至っては、れいむのまむまむの具合が極上だったというだけの理由であった。
群れのルールだからというのが表向きの理由だが実際は、
れいむは狩りの得意なつがいを必要としていたからであり、
まりさに至っては、れいむのまむまむの具合が極上だったというだけの理由であった。
そうは言っても、ゆっくりは一度すっきり―すればにんっしん、
その後は最低2~3カ月にわたって子育てに追われ、すっきりーはご無沙汰になる、
と言う事を考えると、まりさには不利な取引だったと言えるだろう。
その辺はしょせんまりさもゆっくりだったということであった。
その後は最低2~3カ月にわたって子育てに追われ、すっきりーはご無沙汰になる、
と言う事を考えると、まりさには不利な取引だったと言えるだろう。
その辺はしょせんまりさもゆっくりだったということであった。
「ごべんね…ごべんね、まりさ…」
「次騒いだら、こんな優しくは済まないのぜ」
「ゆ、ひ、ひぃぃぃ…」
「次騒いだら、こんな優しくは済まないのぜ」
「ゆ、ひ、ひぃぃぃ…」
ちなみに2匹の結婚初日は、れいむが華麗にまりさを奴隷呼ばわりしたと同時に、
まりさが渾身の体当たりでれいむの奥歯3本をへし折り、
そのまま悶絶するれいむの口をこじ開けると、奥歯が折れた歯茎部分に、
ささくれ立った木の枝をねじ込んで追い打ちをかけるという、
まりさにしては大変優しい『しつけ』で終わった。
まりさが渾身の体当たりでれいむの奥歯3本をへし折り、
そのまま悶絶するれいむの口をこじ開けると、奥歯が折れた歯茎部分に、
ささくれ立った木の枝をねじ込んで追い打ちをかけるという、
まりさにしては大変優しい『しつけ』で終わった。
そんな『しつけ』が一日最低5回は続けられた結果、
現在ではさすがのでいぶも、表向きは従順なゆっくりに調教されていたのである。
たまにボロが出るが、まりさは気にもしていない様子であった。
現在ではさすがのでいぶも、表向きは従順なゆっくりに調教されていたのである。
たまにボロが出るが、まりさは気にもしていない様子であった。
そんなあったか家族に、今新しい命が誕生しようとしていた。
********************************
れいむの頭上に実る4つの実ゆっくりが、
今母体から離れるため、ぷるぷると震える。
今母体から離れるため、ぷるぷると震える。
ぷるぷるぷるっ…ぷちっ
…ぽてんっ
「ゅぅ・・・ゆ・・・・ゆっ・・・」
そして、落下の衝撃に涙ぐみながらも、母の頭上にぶら下がりながら夢の中でずっと練習していた、
生まれて初めての両親とのご挨拶を、赤まりさは元気いっぱいに発したのだった。
生まれて初めての両親とのご挨拶を、赤まりさは元気いっぱいに発したのだった。
「ゆっきゅちちちぇっちぇにぇっ!!!!!」
新しい命、キラキラと希望に輝く瞳を両親に向ける一匹の赤まりさは、
この瞬間、厳しく、どこまでも広がる未知の世界へと羽ばたきはじめたのである。
この瞬間、厳しく、どこまでも広がる未知の世界へと羽ばたきはじめたのである。
そして、れいむとまりさはこの瞬間、母れいむと父まりさとなった。
だが…
だが…
「ゆっふぅぅうううん!れいむのおちびちゃぁあああん!ぺーろぺーろ、ゆっぐりぃぃいいい!」
「おきゃーしゃん、ゆっくちしちぇっちぇにぇ!」
「……」
「おとーしゃ…ゆぅ?」
「おきゃーしゃん、ゆっくちしちぇっちぇにぇ!」
「……」
「おとーしゃ…ゆぅ?」
父まりさは誕生のあいさつも交わさず、赤まりさの顔をまじまじと眺めていたが、
やがでボツリと最初の感想を述べた。
やがでボツリと最初の感想を述べた。
「れいむそっくりで、頭の悪そうな奴なのぜ。早死にするのぜ」
「ゆ、ゆっぴゃぁぁぁああああん!?」
「まりさぁぁああ!なにいっでるのぉぉおおお!?」
「ゆ、ゆっぴゃぁぁぁああああん!?」
「まりさぁぁああ!なにいっでるのぉぉおおお!?」
父まりさは嫌そうな表情でさらに続ける。
「こういう単純そうな顔した奴は、真っ先に死ぬのぜ。はぁ、育てるの大変そうなのぜ」
「どうしちぇしょんなこというのじぇぇぇえええ!」
「どうしちぇしょんなこというのじぇぇぇえええ!」
赤まりさは、生まれて早々父から浴びせられる暴言に、
光り輝いていたはずの未来がどんどん薄暗く陰っていくのを感じていた。
そしてその間も赤まりさの姉妹達は、次々と生まれていく。
光り輝いていたはずの未来がどんどん薄暗く陰っていくのを感じていた。
そしてその間も赤まりさの姉妹達は、次々と生まれていく。
ぷちっ!ぽとり。
「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!」
「ゆっくりしていってね!ゆわぁああ!れいむそっくりの、とってもゆっくりしたおちびちゃんだよぉぉお!」
「さっきのより頭悪そうなのぜ。もう絶望しか見えないのぜ。はぁ」
「ゆぴぃぃいいい!?」
「ゆっくりしていってね!ゆわぁああ!れいむそっくりの、とってもゆっくりしたおちびちゃんだよぉぉお!」
「さっきのより頭悪そうなのぜ。もう絶望しか見えないのぜ。はぁ」
「ゆぴぃぃいいい!?」
ぷちっ!ぽとり。
「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!」
「ゆっくりしていってね!ゆわぁああ!このこも、れいむそっくりだよ!」
「れいむそっくりの不細工なのぜ。性格だけでもマシなことを祈るのぜ」
「どうしちぇぇぇえ!?」
「ゆっくりしていってね!ゆわぁああ!このこも、れいむそっくりだよ!」
「れいむそっくりの不細工なのぜ。性格だけでもマシなことを祈るのぜ」
「どうしちぇぇぇえ!?」
ぷちっ!ぽとり。
「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!」
「ゆっくりしていってね!ゆわぁああ!このこは、まりさそっくりだね!かっこいいよぉぉお!」
「こんなのと一緒にされたくないのぜ。上の三人よりはマシだけど、性格悪そうなのぜ」
「しょんなぁぁあああ!?」
「ゆっくりしていってね!ゆわぁああ!このこは、まりさそっくりだね!かっこいいよぉぉお!」
「こんなのと一緒にされたくないのぜ。上の三人よりはマシだけど、性格悪そうなのぜ」
「しょんなぁぁあああ!?」
「ゆっぐ…ゆぴぃ…」
「ゆっくち、させちぇえ…」
「ゆっくち、させちぇえ…」
「めそめそすんななのぜ。生まれていきなり辛気臭えのぜ」
「まりさのせいでしょぉぉおおおお!!」
「まりさのせいでしょぉぉおおおお!!」
すっかり意気消沈した4匹のおちびちゃん達。
今回ばかりは極めて珍しいことに、母れいむの方が正しかった。
今回ばかりは極めて珍しいことに、母れいむの方が正しかった。
「まりさぁあああ!ゆぎぎ…もういいよ!はやくれいむのくきさんをぬいて、
おちびちゃんたちにたべさせてあげてね!」
「はいはいなのぜ」
「たべちゃだめだよ!」
「わかってるのぜ。まったく」
おちびちゃんたちにたべさせてあげてね!」
「はいはいなのぜ」
「たべちゃだめだよ!」
「わかってるのぜ。まったく」
ぷちっ!
「「「「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!!」」」」
母体と実ゆっくり達がつながっていた茎は、生まれた赤ゆっくりの最初のごはんになる。
適度に甘く苦く、シャキシャキとした食感のこの茎は、
赤ゆっくり達の味覚を野生生活に調整する、大切な食べ物である。
これを食べる事で、草花や虫など、自然界の食料を美味しく食べることが出来るようになるのだ。
しかもこの茎は、母体の持つカビや雑菌、虫等への免疫を赤ゆっくりに与える、大切な薬でもある。
この茎を食べなかった赤ゆっくりは、虫に襲われたり、カビが生えて数日で死んでしまう。
さすがの父まりさも邪魔出来ない、大切で神聖な儀式なのであった。
適度に甘く苦く、シャキシャキとした食感のこの茎は、
赤ゆっくり達の味覚を野生生活に調整する、大切な食べ物である。
これを食べる事で、草花や虫など、自然界の食料を美味しく食べることが出来るようになるのだ。
しかもこの茎は、母体の持つカビや雑菌、虫等への免疫を赤ゆっくりに与える、大切な薬でもある。
この茎を食べなかった赤ゆっくりは、虫に襲われたり、カビが生えて数日で死んでしまう。
さすがの父まりさも邪魔出来ない、大切で神聖な儀式なのであった。
…ただし、余計な事は言う。
「「「「ちあわちぇー!ちあわちぇー!」」」」
「泣いたと思ったらもう笑ってるのぜ。こんなのんきじゃ、長生きできないのぜ」
「「「「どうしちぇそんなこというにょぉぉおおお!」」」」
「まりさぁぁああああ!!」
「わ、悪かったのぜ。うるさいからもう怒るななのぜ」
「泣いたと思ったらもう笑ってるのぜ。こんなのんきじゃ、長生きできないのぜ」
「「「「どうしちぇそんなこというにょぉぉおおお!」」」」
「まりさぁぁああああ!!」
「わ、悪かったのぜ。うるさいからもう怒るななのぜ」
父まりさは平然としていたが、
赤ゆっくり達にとっては、まことに前途多難な出発であった。
赤ゆっくり達にとっては、まことに前途多難な出発であった。
********************************
おちびちゃん誕生から、数日が経った。
「じゃあ狩りに行ってくるのぜ」
「ゆっくりいってらっしゃい!」
「「「「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!!」」」」
「ゆっくりいってらっしゃい!」
「「「「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!!」」」」
まりさが狩りに出発すると、おうちの中は母れいむと、おちびちゃん達だけの世界となる。
なんと言ってもまだまだおちびちゃんは生まれたての赤ゆっくり。
不器用なれいむの代わりにまりさがちょいちょいと作った、
干草だけでなく鳥の羽や綿まで編み込まれたフカフカおちびちゃん用ベッドは、
4匹のおちびちゃん達を、体だけでなく心まで暖めてくれる素晴らしいものだった。
なんと言ってもまだまだおちびちゃんは生まれたての赤ゆっくり。
不器用なれいむの代わりにまりさがちょいちょいと作った、
干草だけでなく鳥の羽や綿まで編み込まれたフカフカおちびちゃん用ベッドは、
4匹のおちびちゃん達を、体だけでなく心まで暖めてくれる素晴らしいものだった。
父まりさは自分用のベッドのついでに作っただけなので、断固否定するところだが、
子供たちの方はこの快適なベッドこそが親の愛の証だと信じ、ゆっくりした気持ちを取り戻していた。
ただし…
子供たちの方はこの快適なベッドこそが親の愛の証だと信じ、ゆっくりした気持ちを取り戻していた。
ただし…
「そのべっどさんはね、おかーさんがおちびちゃんのために、いっしょうけんめいつくったんだよ!」
「「「「おきゃーしゃんは、ゆっくちできりゅにぇ!」」」」
「「「「おきゃーしゃんは、ゆっくちできりゅにぇ!」」」」
手柄は横取りされていたが。
母れいむには、父まりさに秘密の大きな企みがあった。
「おちびちゃん、これからは、おかーさんがせんせいだからね!」
「「「「ゆっ!!」」」」
「おちびちゃんたちが、ゆっくりしたゆっくりになれるように、いろいろおしえるからね!」
「「「「ゆっくちりかいしゅるよ!!」」」」
「「「「ゆっ!!」」」」
「おちびちゃんたちが、ゆっくりしたゆっくりになれるように、いろいろおしえるからね!」
「「「「ゆっくちりかいしゅるよ!!」」」」
それは、夫婦分業のゆっくり家庭に置いて、母役だけが持つ特権をフルに活用することであった。
すなわち、おちびちゃん達への教育権である。
すなわち、おちびちゃん達への教育権である。
「おちびちゃんたち!おとーさんはゆっくりできた?」
「ゆっくちできにゃいのじぇ!」
「そうだよね!おかーさんもゆっくりできないよ!」
「ゆっくちできにゃいのじぇ!」
「そうだよね!おかーさんもゆっくりできないよ!」
「でも、それならどうしちぇ…」
「おかーさんはね!おとーさんにだまされたんだよ!」
「ゆゆっ!?」
「うそついちゃの!?」
「おかーさんはね!おとーさんにだまされたんだよ!」
「ゆゆっ!?」
「うそついちゃの!?」
「そうなんだよ!おかーさんのびぼうをてにいれたくて、
おとーさんはおかーさんをゆっくりさせてくれる、っていってけっこんしたんだよ!でもね…」
「おとーしゃんは、ゆっくちしちぇにゃいよ!」
「しょーだにぇ!ゆっくちしちぇにゃいにぇ!」
「うしょつきおとーしゃんは、ゆっくちちね!」
おとーさんはおかーさんをゆっくりさせてくれる、っていってけっこんしたんだよ!でもね…」
「おとーしゃんは、ゆっくちしちぇにゃいよ!」
「しょーだにぇ!ゆっくちしちぇにゃいにぇ!」
「うしょつきおとーしゃんは、ゆっくちちね!」
父まりさ自体が実際ゆっくりしてないゆっくりなため、母れいむの誘導は実にうまくいく。
そう、母れいむはこうやっておちびちゃん達を自分の味方に引き入れ、
いずれは自分を養ってもらおうと甘い考えを持っていたのだった。
そう、母れいむはこうやっておちびちゃん達を自分の味方に引き入れ、
いずれは自分を養ってもらおうと甘い考えを持っていたのだった。
実際は、ゆっくりは核家族が基本なのでそうはいかないものなのだが、
母れいむとしては父まりさの亭主関白な家庭生活に、大いに不満なのである。
親としての権利を最大限主張し、子供の中で一番優秀そうな者に寄生して生きようという考えだった。
母れいむとしては父まりさの亭主関白な家庭生活に、大いに不満なのである。
親としての権利を最大限主張し、子供の中で一番優秀そうな者に寄生して生きようという考えだった。
「はい!おかーさんはゆっくりさせる!」
「「「「おきゃーしゃんは、ゆっくちさせりゅ!」」」」
「おとーさんは、ゆっくりしね!」
「「「「おとー…」」」」
「「「「おきゃーしゃんは、ゆっくちさせりゅ!」」」」
「おとーさんは、ゆっくりしね!」
「「「「おとー…」」」」
「ゆゆっ!?だめだよ、おかーさんのまねしないと!もういちど…」
「誰が死ぬのぜ?」
「誰が死ぬのぜ?」
母れいむの背後には、随分前から父まりさが立っていた。
わざわざ気づかれないように、そっとおうちの中に入って全ての内容を聞いていたのである。
わざわざ気づかれないように、そっとおうちの中に入って全ての内容を聞いていたのである。
なお、母れいむの教育内容は、その大声のおかげで群れ中に筒抜けであったので、
父まりさの勘が鈍かったとしても、どうせ隠しおおせるはずもなかったのだが。
父まりさの勘が鈍かったとしても、どうせ隠しおおせるはずもなかったのだが。
「ゆびゃぁぁあああああ!?ゆるじじぇぇぇええええ!」
「れいむは今日はご飯抜きなのぜ。おちび達はこのにがにがな草でも食っとくのぜ」
「「「「おとーしゃぁぁあん!ごめんにゃしゃいぃぃいい!」」」」
「まりさはイモムシさんをいただくのぜ。むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
「れいむは今日はご飯抜きなのぜ。おちび達はこのにがにがな草でも食っとくのぜ」
「「「「おとーしゃぁぁあん!ごめんにゃしゃいぃぃいい!」」」」
「まりさはイモムシさんをいただくのぜ。むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
「「「「「ごべんなさいぃぃいいいい!!」」」」」
「…おとーしゃんはゆっくちできにゃいよ!」
「ゆっくちのくじゅだよ!ゆっくちちにぇ!」
「ゆっくちのくじゅだよ!ゆっくちちにぇ!」
そんなわけで、結局母れいむの画策とは全く無関係に、父まりさはおちびちゃん達から嫌われまくり、
その関係は最悪の状態へとなったのであった。
その関係は最悪の状態へとなったのであった。
********************************
そしてそれからさらに2週間ほどが経った。
父まりさとおちびちゃん達との関係は相変わらず最悪だったが、
その分おちびちゃん達は母れいむから甘やかされまくる事で、
心のバランスを取ることに成功していた。
その分おちびちゃん達は母れいむから甘やかされまくる事で、
心のバランスを取ることに成功していた。
「きょうこそ、おとーしゃんをやっつけるのじぇ!ゆっくちちにぇぇぇえええ!」
ぽにゅんっ!
「それは何なのぜ?体当たりのつもりなのぜ?」
「どうしちぇたおせないのじぇぇええ!まりしゃはさいっきょうなはずなのじぇ!!」
「その程度で最強とか、笑い死にさせる気なのぜ!?ゆっへっへぇ……」
「どうしちぇたおせないのじぇぇええ!まりしゃはさいっきょうなはずなのじぇ!!」
「その程度で最強とか、笑い死にさせる気なのぜ!?ゆっへっへぇ……」
と、
ニタニタと嫌な笑みを浮かべながら、我が子の反逆を叩き潰していた父まりさだったが、
急にひらめいた!といった表情になっておちびちゃん達に宣言した。
ニタニタと嫌な笑みを浮かべながら、我が子の反逆を叩き潰していた父まりさだったが、
急にひらめいた!といった表情になっておちびちゃん達に宣言した。
「そうなのぜ!今日は、おちびちゃん達も一緒に狩りに行くのぜ!」
「「「「ゆゆっ!?」」」」
「「「「ゆゆっ!?」」」」
母れいむは、面倒くさがって同行しなかったが、
おちびちゃん達は生まれて初めて、家族5匹での狩りに出る事になったのであった。
おちびちゃん達は生まれて初めて、家族5匹での狩りに出る事になったのであった。
だが、おちびちゃん達は生後20日も経過していない。
サイズで言えばキウイフルーツ程度であり、子ゆっくりと呼ばれるサイズに届くのはもう少し先である。
それは、あまりにも早い狩りデビューであった。
サイズで言えばキウイフルーツ程度であり、子ゆっくりと呼ばれるサイズに届くのはもう少し先である。
それは、あまりにも早い狩りデビューであった。
「まりしゃは、けんっきゃくをいかしちぇ、ばったしゃんをつかまえるのじぇ!」
「好きにするのぜ」
「ゆぅ~…れいみゅは、やわらかいくさしゃんをあつめるにぇ!」
「がんばるのぜ」
「れ、れいみゅはにぇ!おはなしゃんをあつめりゅよ!」
「せいぜい気を付けるのぜ」
「まりしゃにぇ!まりしゃ、みみずしゃんをつかまえりゅよ!」
「行ってこいなのぜ」
「好きにするのぜ」
「ゆぅ~…れいみゅは、やわらかいくさしゃんをあつめるにぇ!」
「がんばるのぜ」
「れ、れいみゅはにぇ!おはなしゃんをあつめりゅよ!」
「せいぜい気を付けるのぜ」
「まりしゃにぇ!まりしゃ、みみずしゃんをつかまえりゅよ!」
「行ってこいなのぜ」
4匹のおちびちゃんは、ほとんど初めて見る広大な草原の中を、
目標とする大好物の獲物を目指して、縦横無尽に駆け回った。
目標とする大好物の獲物を目指して、縦横無尽に駆け回った。
もちろん、おうちから遠く離れた、危険な未知の土地だと思っているのはおちびちゃん達だけであり、
ここは父まりさが普段から使っている狩り場の中でも、一番安全な場所である。
父まりさ他、数匹の成体ゆっくり達が、狩りの間ケガをしたりしないように、
小石や尖った木の枝を丹念にどかして作った、目隠ししていてもケガをしない、平らな草原なのである。
まあさすがに、赤ゆっくりが跳ねまわれば擦り傷くらいは作るだろうが。
ここは父まりさが普段から使っている狩り場の中でも、一番安全な場所である。
父まりさ他、数匹の成体ゆっくり達が、狩りの間ケガをしたりしないように、
小石や尖った木の枝を丹念にどかして作った、目隠ししていてもケガをしない、平らな草原なのである。
まあさすがに、赤ゆっくりが跳ねまわれば擦り傷くらいは作るだろうが。
「ばったしゃん!まりしゃにつかまえられちぇにぇ!」
ぴょーんっ!
「ゆっぴゃぁぁああん!どうしちぇにげりゅのぉぉおお!?」
長女まりさは、姉妹で一番の健脚を自慢としていたが、所詮は赤ゆっくり。
ジャンプ一回で数センチしか跳ねられない赤まりさが、バッタさんを捕まえられるはずもなかった。
ジャンプ一回で数センチしか跳ねられない赤まりさが、バッタさんを捕まえられるはずもなかった。
「まっちぇにぇ!」
ぽよんっ!…びょーんっ!
「まつのじぇぇええ!」
ぽよんっ!…びょーーんっ!
「ゆひぃ、ゆぴ…どうしちぇぇぇええ!」
びょーーーんっバクッ!!
「ゆぴっ!?」
「お父さんがいただいていくのぜ」
「ゆ?ゆゆ?」
「お父さんがいただいていくのぜ」
「ゆ?ゆゆ?」
だが、長女まりさが何度跳ねても届く事のなかったバッタさんが、
一瞬目を離した瞬間に、なぜか父まりさの口の中に収まっていた。
一瞬目を離した瞬間に、なぜか父まりさの口の中に収まっていた。
「ど、どうやっちゃの・・・?」
「さいっきょうのおちびちゃんが、ゲスでクズなお父さんに教わるのぜ?」
「ゆ、ゆぴ…」
「さいっきょうのおちびちゃんが、ゲスでクズなお父さんに教わるのぜ?」
「ゆ、ゆぴ…」
それは、足の遅いゆっくりが虫を捕まえる際に使う、基本的な戦術、
いわゆる待ち伏せであった。
なんのことはない。長女まりさが虫を追っているのを見て、
虫が追い立てられる方向に伏せて隠れていただけだ。
そして、ジャンプ一回で届く距離に近づいたところで、ぱくっ!ということである。
いわゆる待ち伏せであった。
なんのことはない。長女まりさが虫を追っているのを見て、
虫が追い立てられる方向に伏せて隠れていただけだ。
そして、ジャンプ一回で届く距離に近づいたところで、ぱくっ!ということである。
「むーしゃむーしゃ!ゆふふ!さいっきょうのおちびちゃんから奪ったバッタさんは、最強にに美味いのぜぇ!」
「ゆぴゃぁあぁああん!まりしゃのばったしゃんがぁぁああ!」
「ゆぴゃぁあぁああん!まりしゃのばったしゃんがぁぁああ!」
なお、そのバッタを長女まりさにあげるほど、父まりさは優しくなかった。
というより、最初からこれが目的で狩りに連れてきているのであるが。
というより、最初からこれが目的で狩りに連れてきているのであるが。
次女れいむの方は、やわらかそうでいい香りの草を、ブチブチと集めていた。
「ゆぁあん?何なのぜ?それ」
「ゆゆっ!?おとーしゃんはあっちにいっちぇにぇ!」
「やっぱりれいむの子はれいむなのぜ。そんな草さんしか集まらないのぜ?」
「いじわるいわにゃいでにぇ!」
「ゆゆっ!?おとーしゃんはあっちにいっちぇにぇ!」
「やっぱりれいむの子はれいむなのぜ。そんな草さんしか集まらないのぜ?」
「いじわるいわにゃいでにぇ!」
父まりさは、次女れいむの言うとおりに意地悪な表情をして言った。
「その草さん。むーしゃむーしゃできるのぜ?」
「できりゅよ!むーちゃむ…にぎゃいぃいいい!!」
「できりゅよ!むーちゃむ…にぎゃいぃいいい!!」
次女れいむは、少量の餡子と一緒に食べた草をまとめて吐き出した。
とても苦くて食えたものではなかったのだった。
とても苦くて食えたものではなかったのだった。
「ゆっふっふ。いつも食べてるご飯がどれかもわかんないのぜ?やっぱり母親そっくりなのぜ」
「ゆっぴゃぁぁああん!!」
「ゆっぴゃぁぁああん!!」
その後も、
三女れいむは花を手に入れようとしたが、赤ゆっくりのジャンプで届く高さの花が無く、
収獲ゼロで帰る羽目になった。
実際はその花が生えている茎の根元をかじり切ればいいだけなのだが、
赤ゆっくりの知力ではそこまで考えが及ばなかったようである。
収獲ゼロで帰る羽目になった。
実際はその花が生えている茎の根元をかじり切ればいいだけなのだが、
赤ゆっくりの知力ではそこまで考えが及ばなかったようである。
末っ子まりさに至っては、ミミズがどこにいるのか最後までわからず、
草原のど真ん中で泣き続けて一日が終わった。
草原のど真ん中で泣き続けて一日が終わった。
結局4姉妹の初めての狩りは、自分達の無力を全力で思い知らされる、苦い記憶となったのであった。
「さあ、楽しませてもらったし、そろそろ帰るのぜ!」
「「「「ゆ…ゆっくち…」」」」
「「「「ゆ…ゆっくち…」」」」
ちなみに、他の一般的なゆっくり一家の中にあって生後2週間と言うと、
おうちからお外に踏み出してもいいかな?ということをそろそろ両親が考える時期なのである。
おうちからお外に踏み出してもいいかな?ということをそろそろ両親が考える時期なのである。
赤まりさ達がどれほどの才能を秘めていたとしても、とても狩りなど行える段階では無い。
父まりさは100も承知で狩りに引っ張りだしたのであった。
自分に敵意を向ける生意気な子供達に、自分の力を見せつけるだけのために。
父まりさは100も承知で狩りに引っ張りだしたのであった。
自分に敵意を向ける生意気な子供達に、自分の力を見せつけるだけのために。
おちびちゃん達は、結局それから数週間にわたって狩りに同行したが、
結局父まりさ以上の収穫を集めるどころか、毎日体力を使い果たして食事をモリモリ食べる分、
父まりさの負担を増やしただけに終わったのであった。
結局父まりさ以上の収穫を集めるどころか、毎日体力を使い果たして食事をモリモリ食べる分、
父まりさの負担を増やしただけに終わったのであった。
「「「「むーちゃむーちゃ!ち、あ、わ、ちぇー!」」」」
「た、食べ過ぎなのぜぇぇぇええ!!」
「れいむももっと、むーしゃむーしゃするよ!」
「お前は動いてないのに食い過ぎなのぜぇぇええ!」
「た、食べ過ぎなのぜぇぇぇええ!!」
「れいむももっと、むーしゃむーしゃするよ!」
「お前は動いてないのに食い過ぎなのぜぇぇええ!」
このあたり、父まりさも詰めが甘いところである。
ちなみに、調子に乗っておちびちゃん達並に暴食を繰り返していた母れいむは、
木の枝をあにゃるに捻じ込み、うんうんが出せず腹痛に苦しむという
『うんうん地獄』なる『しつけ』を父まりさから与えられたのであった。
木の枝をあにゃるに捻じ込み、うんうんが出せず腹痛に苦しむという
『うんうん地獄』なる『しつけ』を父まりさから与えられたのであった。
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その後も、主に父まりさの態度が(心底ゲスなのでしょうがないが)原因で、
親子関係は悪い状態のまま数週間が経過した。
親子関係は悪い状態のまま数週間が経過した。
この時期になると、おちびちゃん達ももう赤ゆっくりを完全に抜け出し、
野球の硬球並の大きさにまで成長して、いわゆる子ゆっくりと呼ばれる頃合いになっていた。
おちびちゃん達の同世代達も狩りデビューを果たし、
家族以外のゆっくり達、特に自分の同世代の子ゆっくり達と頻繁に会うようになっていく。
お友達グループを作って一緒に遊ぶようになるのもこの時期だ。
野球の硬球並の大きさにまで成長して、いわゆる子ゆっくりと呼ばれる頃合いになっていた。
おちびちゃん達の同世代達も狩りデビューを果たし、
家族以外のゆっくり達、特に自分の同世代の子ゆっくり達と頻繁に会うようになっていく。
お友達グループを作って一緒に遊ぶようになるのもこの時期だ。
それは、次世代の群れの環境を形作る、非常に大事なコミュニケーションの時期でもあった。
「ゆぁ~ん、わからにゃいよぉ~!ばったしゃん、ちぇんにつかまっちぇよ~!」
「ゆっ!」
「ゆっ!」
パクッ!
「わ、わきゃるよー!まりしゃはかりがじょうずだにぇー!」
「ゆぅ、そ、それほどでもあるのじぇ~」
「ゆぅ、そ、それほどでもあるのじぇ~」
そんな若いというよりはまだ幼い子ゆっくり中で、次世代の群れの主力を担うであろう輝きを放っていたのは、
意外にも、ゲスまりさとでいぶの子供たちである、あの4姉妹であった。
意外にも、ゲスまりさとでいぶの子供たちである、あの4姉妹であった。
「どれがときゃいはなくさしゃんか、わきゃらないわ~」
「ゆゆっ!れいみゅにまかせてにぇ!」
「と、ときゃいはね!れいみゅ、ありがとう!」
「ゆゆっ!れいみゅにまかせてにぇ!」
「と、ときゃいはね!れいみゅ、ありがとう!」
4姉妹は、子ゆっくり達の集団にあって類まれな早熟さを示し、
食べられる草花の知識や狩りの方法、おうちの作り方や安全な場所の選定など、
成体顔負けの幅広い技能を習得していたのである。
食べられる草花の知識や狩りの方法、おうちの作り方や安全な場所の選定など、
成体顔負けの幅広い技能を習得していたのである。
原因は、当然と言えば当然だが、赤ゆっくりの時期に父まりさの嫌がらせで行わされた狩りである。
あの一件以降、父まりさと4姉妹の不仲は過去最悪のものになっていたが、
それとは別に、4姉妹の反逆精神と自立心がプラスの方向にも働いたのであった。
あの一件以降、父まりさと4姉妹の不仲は過去最悪のものになっていたが、
それとは別に、4姉妹の反逆精神と自立心がプラスの方向にも働いたのであった。
長女まりさは、父まりさをこっそり尾行して、狩りの仕方をしっかり見学するようになった。
次女れいむ達も自分達が食べている草花やキノコの種類を、食べながら必死に憶えるようになった。
これらはいずれも、4姉妹のプライドをズタズタにする父親に対して、雪辱を果たすために行っていた努力であり、
なおかつ、4姉妹がゲスな親から一刻も早く離れたいと思っての努力でもあった。
次女れいむ達も自分達が食べている草花やキノコの種類を、食べながら必死に憶えるようになった。
これらはいずれも、4姉妹のプライドをズタズタにする父親に対して、雪辱を果たすために行っていた努力であり、
なおかつ、4姉妹がゲスな親から一刻も早く離れたいと思っての努力でもあった。
父まりさ自信は特に教育熱心なわけでもないはずなのだが、
子育てという意味では良い影響が出たわけである。
子育てという意味では良い影響が出たわけである。
しかも、ゆっくりに限っては人間と異なり、早熟=有能、有能=早熟、と断定してよい。
ゆっくりの最も記憶力が高い、それゆえに能力が向上しやすい時期は、
普通の家族だとひたすら甘やかされているであろう、赤ゆっくり期~子ゆっくり初期なのである。
大抵のおちびちゃんが『怠惰にゆっくり過ごす事=至高のゆっくり』と言う事をみっちり学んでいる間に、
4姉妹は一生懸命、一流の生活力を持つゆっくりから指導を受けてきたのであった。
ゆっくりの最も記憶力が高い、それゆえに能力が向上しやすい時期は、
普通の家族だとひたすら甘やかされているであろう、赤ゆっくり期~子ゆっくり初期なのである。
大抵のおちびちゃんが『怠惰にゆっくり過ごす事=至高のゆっくり』と言う事をみっちり学んでいる間に、
4姉妹は一生懸命、一流の生活力を持つゆっくりから指導を受けてきたのであった。
その生涯のしょっぱなでついた能力差は、順調に生きれば一生縮まることはない。
ゲスまりさ流英才教育が、ここに完成を見たわけである。
ゲスまりさ流英才教育が、ここに完成を見たわけである。
「むきゅーん!あのれいむとまりさのおちびちゃん達、凄いわ!」
長ぱちゅりーとしても大喜びである。
あの何を考えているかわからないまりさと、厄介者そのもののれいむから、
次世代の群れをしょって立つかもしれない有望な子供達が育っているのだから。
なので長ぱちゅりーは、自分が考えた掟『群れ全員明るい家族化計画』が上手くいったと本気で思っていた。
まあ、結果は良い方向に向かっている以上、間違いだったとも言えないのだが。
あの何を考えているかわからないまりさと、厄介者そのもののれいむから、
次世代の群れをしょって立つかもしれない有望な子供達が育っているのだから。
なので長ぱちゅりーは、自分が考えた掟『群れ全員明るい家族化計画』が上手くいったと本気で思っていた。
まあ、結果は良い方向に向かっている以上、間違いだったとも言えないのだが。
そして、4姉妹を見る周囲の目が変わったのと時を同じくして、
4姉妹が父まりさを見る目も変わりつつあった。
4姉妹が父まりさを見る目も変わりつつあった。
「まりしゃって、とってもゆっくちしたかりじょうずにぇ!」
「ゆ!?あ、ありがとうなのじぇ!」
「ゆ!?あ、ありがとうなのじぇ!」
「れいみゅって、ものしりさんだにぇー」
「ゆ、ゆっくちそんなこと…」
「ゆ、ゆっくちそんなこと…」
「れいみゅ!いっしょにおはなしゃん、むーしゃむーしゃしましょう!」
「ゆ、ゆっくちしちぇっちぇにぇ!」
「ゆ、ゆっくちしちぇっちぇにぇ!」
「まりしゃー!みみずしゃんのつかまえかた、みょんにもおしえてみょーん!」
「ゆっくちおしえりゅよ!」
「ゆっくちおしえりゅよ!」
……。
「ゆぅ…まりしゃ、おとーさんのまねしてるだけなのじぇ…」
「みんな、しゅっごいほめてくれるにぇ…」
「ゆっくち…お、おとーしゃんのおかげなのかにゃ?」
「ゆん……」
「みんな、しゅっごいほめてくれるにぇ…」
「ゆっくち…お、おとーしゃんのおかげなのかにゃ?」
「ゆん……」
何せ4姉妹は父まりさからバカにされて育ってきており、
しかも未だに、父まりさとの差が縮まっているような実感はまるでない。
どうやら自分達の親が(性格はともかく)非常に優れたゆっくりであることを、
4姉妹も薄々感じざるをえなくなってきていたのである。
しかも未だに、父まりさとの差が縮まっているような実感はまるでない。
どうやら自分達の親が(性格はともかく)非常に優れたゆっくりであることを、
4姉妹も薄々感じざるをえなくなってきていたのである。
そして、もうひとつの事にも…
「おちびちゃん、おかーさんはね。おとーさんにだまされたんだよ」
「ゆぅ…」
「おとーさんはゆっくりできないでしょ?」
「……」
「ゆっくりきいてる?おちびちゃん」
「ゆん…」
「ゆぅ…」
「おとーさんはゆっくりできないでしょ?」
「……」
「ゆっくりきいてる?おちびちゃん」
「ゆん…」
それは、母れいむの方はどうやら相当な駄ゆっくりであるという事である。
母れいむは、自分の仕事は子育てとおうちを守ることと言っているが、
新しいベッドを作ったり、食糧庫の整頓をしたり、
おトイレの掃除をしたり、おうちの入り口の閉じまりをしたり、
子供達の水浴びや、日光浴まで含め、
何のかんのと言いつつも全部父まりさがやってくれているのだ。
母れいむは、自分の仕事は子育てとおうちを守ることと言っているが、
新しいベッドを作ったり、食糧庫の整頓をしたり、
おトイレの掃除をしたり、おうちの入り口の閉じまりをしたり、
子供達の水浴びや、日光浴まで含め、
何のかんのと言いつつも全部父まりさがやってくれているのだ。
それは皮肉な事に、父まりさを越えようと執念深く観察していた長女まりさが特にひしひしと理解していた。
父まりさはその上狩りまでやっているのだから、
ハッキリ言って母れいむの仕事は
子供たちに念仏のように父まりさを貶める台詞を聞かせ続けることくらいである。
ハッキリ言って母れいむの仕事は
子供たちに念仏のように父まりさを貶める台詞を聞かせ続けることくらいである。
母への折檻の激しさや吐き捨てる言葉の辛辣さは未だにゆっくりできるものではないが、
少なくともやる事をやって、群れの掟は守りつつの振る舞いである以上、
十分評価に値するものであった。
少なくともやる事をやって、群れの掟は守りつつの振る舞いである以上、
十分評価に値するものであった。
なにより、こんなことに気づくことが出来たという時点で、
4姉妹は群れでも群を抜いて賢いゆっくりに育ちつつあったのである。
4姉妹は群れでも群を抜いて賢いゆっくりに育ちつつあったのである。
********************************
パタ…パタパタ…パタパタ…
「「「「ゆ?」」」」
「しねー」
そんな恨みと尊敬の気持ちの間の葛藤で、4姉妹がゆっくりできない思いを抱き続けていた時、
群れに突然巨大な厄災が降りかかってきたのであった。
群れに突然巨大な厄災が降りかかってきたのであった。
「ふ、ふふ、ふらんだぁぁああああああ!!」
それは、群れのゆっくりプレイスに突然舞い降りた捕食種、ゆっくりふらんであった。
「うっうー!しね!しね!」
「ゆびゃぁぁああああ!!」
「ゆびゃぁぁああああ!!」
「うー!」
「ゆぴぴぴぴ…ありすのかすたーどさん…すわない、で…」
「ゆぴぴぴぴ…ありすのかすたーどさん…すわない、で…」
胴付きではない。
胴無しのふらんが一匹、それもようやく成体になったかという若い個体であった。
本来夜行性のふらんが真昼間のゆっくりぷれいすの、しかもど真ん中に現れるなど、
そうそう起こりえる事では無い。
まさに事故、という他ない不幸であった。
胴無しのふらんが一匹、それもようやく成体になったかという若い個体であった。
本来夜行性のふらんが真昼間のゆっくりぷれいすの、しかもど真ん中に現れるなど、
そうそう起こりえる事では無い。
まさに事故、という他ない不幸であった。
「「「みょーん!みょんたちがあいてだみょん!」」」
「うー!しね!しねー!!」
「みょぉぉおおおん!やべでぇぇええええ!!」
「あ、ありすのみょんに、ひどいことしない『べしんっ!』ゆびぇっ!?」
「うーうー!!しね!しねー!!」
「うー!しね!しねー!!」
「みょぉぉおおおん!やべでぇぇええええ!!」
「あ、ありすのみょんに、ひどいことしない『べしんっ!』ゆびぇっ!?」
「うーうー!!しね!しねー!!」
群れは大騒動になった。
群れと長ぱちゅりーの防衛を任されている近衛ゆっくり達が、各々木の棒を口に咥え、
10数匹掛かりでふらんを迎撃しているが、一匹づつ軽々と葬りさられていく。
さらにはその近衛ゆっくり達のつがい達も、伴侶に対して行われる処刑をおうちの前で見せつけられて、
我慢できずおうちから飛び出したところを捕まえられては、夫婦そろって餡子を吸われていった。
そうして夫婦そろって食い散らかされていった一家には、さらに総仕上げが待つ。
群れと長ぱちゅりーの防衛を任されている近衛ゆっくり達が、各々木の棒を口に咥え、
10数匹掛かりでふらんを迎撃しているが、一匹づつ軽々と葬りさられていく。
さらにはその近衛ゆっくり達のつがい達も、伴侶に対して行われる処刑をおうちの前で見せつけられて、
我慢できずおうちから飛び出したところを捕まえられては、夫婦そろって餡子を吸われていった。
そうして夫婦そろって食い散らかされていった一家には、さらに総仕上げが待つ。
「「「ゆぁ~ん!みゃみゃ~、たちゅけちぇぇぇえ!」」」
「うー!!あまあまー!!」
「ふらんしゃん、ゆっくちしちぇにぇ!ゆっくちは、ゆっくちしにゃいとちんじゃうのよ!」
「うー!しね!しねー!!」
「「ゆっぴゃぁぁああん!ゆっくちさせちぇぇぇええ!!」」
「うー!!あまあまー!!」
「ふらんしゃん、ゆっくちしちぇにぇ!ゆっくちは、ゆっくちしにゃいとちんじゃうのよ!」
「うー!しね!しねー!!」
「「ゆっぴゃぁぁああん!ゆっくちさせちぇぇぇええ!!」」
むーしゃむーしゃ…げろまずー
ぽいっ!べちゃ…
「ぴぇ……」
近衛隊の父ゆっくりが死に、母ゆっくりがおうちを飛び出したまま帰らないなら、
そのおうちの中は無防備と言う事だ。
これはすなわち、おちびちゃんまでふらんに捧げることに他ならなかった。
そのおうちの中は無防備と言う事だ。
これはすなわち、おちびちゃんまでふらんに捧げることに他ならなかった。
このふらんは、若くて力も経験も不足しているなりに頭を働かせて、
大好物である群れのおちびちゃん達を、根こそぎ食いつくそうとしていた。
大好物である群れのおちびちゃん達を、根こそぎ食いつくそうとしていた。
群れは今、存亡の危機に立たされたのである。
ところでその頃。
群れのゆっくりが、成体も、生まれたてのおちびちゃん達ももれなく遊び尽くされ、
食いつくされていこうとしている中、あのゲスまりさとでいぶの一家はと言うと……
群れのゆっくりが、成体も、生まれたてのおちびちゃん達ももれなく遊び尽くされ、
食いつくされていこうとしている中、あのゲスまりさとでいぶの一家はと言うと……
「「「「ゆっぴゃぁぁあああん!おともだちのみょんも、ちぇんもたべられちゃぁぁぁあ!!」」」」
「ゆひぃ、ゆひぃぃいいい!ふらんごわいぃぃいいい!お、おぢびぢゃんだち!」
「「「「お、おきゃあしゃん!?」」」」
「みんな、おとりになってね!そのあいだにでいぶはにげるがらね!」
「「「「なにいっちぇるのぉぉおおおお!?」」」」
「ゆひぃ、ゆひぃぃいいい!ふらんごわいぃぃいいい!お、おぢびぢゃんだち!」
「「「「お、おきゃあしゃん!?」」」」
「みんな、おとりになってね!そのあいだにでいぶはにげるがらね!」
「「「「なにいっちぇるのぉぉおおおお!?」」」」
一匹を除いて、おうちの中で大混乱に陥っていた。
その騒ぎの中で一匹平然としているのは、例によって父まりさである。
その騒ぎの中で一匹平然としているのは、例によって父まりさである。
「ゆっふっふ~ん。ふふ~ん」
というか、鼻歌交じりでおうちの倉庫内をゴソゴソと漁っていた。
「「「「おとーしゃぁぁああん!!」」」」
「何なのぜ~。うるさいのぜ」
「ばりざぁぁあああ!でいぶをだずげでね!でいぶのだんなざんでぢょぉぉおお!!」
「狩りの準備してるんだから、ゆーゆー泣くななのぜ。まったく」
「ゆわぁぁあああ!?ばりざが、ふらんがごわずぎで、おがじくなっじゃっだぁぁああああ!!」
「何なのぜ~。うるさいのぜ」
「ばりざぁぁあああ!でいぶをだずげでね!でいぶのだんなざんでぢょぉぉおお!!」
「狩りの準備してるんだから、ゆーゆー泣くななのぜ。まったく」
「ゆわぁぁあああ!?ばりざが、ふらんがごわずぎで、おがじくなっじゃっだぁぁああああ!!」
あいかわらず鼻歌交じりの父まりさを、突き飛ばさんばかりの勢いでおうちの一番奥に飛び込んだれいむは、
おちびちゃん達が寄り添って泣いているところよりもさらに奥、貯蔵食糧の山に全身を押し込めると、
がたがたと震えるだけのデブ饅頭と化してしまった。
おちびちゃん達が寄り添って泣いているところよりもさらに奥、貯蔵食糧の山に全身を押し込めると、
がたがたと震えるだけのデブ饅頭と化してしまった。
「ゆぁ~。まったく。ご飯の管理してるの、誰だと思ってるのぜ。後片付けが大変なのぜ」
「「「「おとーしゃぁん…ゆっくちしっかりしちぇぇ…」」」」
「……」
「「「「おとーしゃぁん…ゆっくちしっかりしちぇぇ…」」」」
「……」
父まりさはため息を一つつくと、もう家族にいちいち構うのをやめて、一本の木の棒を取りだした。
それは、普段まりさが持ち歩いているオール兼武器の棒より、一回り長い。
そして父まりさは、悠々とおうちの入り口に向かうと、
母れいむが不器用なりに木の枝やらなんやらで固めたバリケード、いわゆるけっかいをどかしていった。
まるで今から本当に、いつも通りの狩りに出ると言った雰囲気で。
それは、普段まりさが持ち歩いているオール兼武器の棒より、一回り長い。
そして父まりさは、悠々とおうちの入り口に向かうと、
母れいむが不器用なりに木の枝やらなんやらで固めたバリケード、いわゆるけっかいをどかしていった。
まるで今から本当に、いつも通りの狩りに出ると言った雰囲気で。
「お、おとーしゃん!」
「ゆあん?なんなのぜ?」
「おうちのそとにでちぇ、ふらんとたたかうのじぇ?」
「ゆあん?なんなのぜ?」
「おうちのそとにでちぇ、ふらんとたたかうのじぇ?」
長女まりさは、英雄を見るのに近い視線を父まりさに向けていた。
だがしかし、父まりさの返事は斜め上を行くものであった。
だがしかし、父まりさの返事は斜め上を行くものであった。
「なにいってるのぜ?狩りだって言ってるのぜ」
「ゆ…ゆぅ?」
「ゆ…ゆぅ?」
そう言うと父まりさは、おうちのけっかいを完全に外して入り口を丸見えな状態にし、
そのままおうちの奥まで戻って来てしまった。
そのままおうちの奥まで戻って来てしまった。
「ゆ…ゆ?おとーしゃん!」
「ゆん?何なのぜぇ、もう。まりさは忙しいのぜ」
「だ、だっちぇ、けっかいしゃん、どかしちぇ…」
「ゆん?何なのぜぇ、もう。まりさは忙しいのぜ」
「だ、だっちぇ、けっかいしゃん、どかしちぇ…」
「ああ。これからここにふらんが来るから、おちびちゃん達みんな食べられちゃうのぜ」
……。
「「「「な、なにいっちぇるのぉぉおおおおお!!」」」」
その叫び声は、ゆっくりプレイスのど真ん中で殺戮を繰り広げているふらんまで、はっきりと届いた。
「「「「(ゆあーん!たべられちゃくにゃいぃぃいいい!!たしゅけちぇぇぇえええ!)」」」」
それは、ふらんが最も好物としている子ゆっくり達の声。
赤ゆっくりのようにフレッシュだが酸味がある餡子でもなく、
成体ゆっくりのようにパサパサした餡子でもない。
程よい風味が舌をとろけさせる、好物中の大好物であった。
赤ゆっくりのようにフレッシュだが酸味がある餡子でもなく、
成体ゆっくりのようにパサパサした餡子でもない。
程よい風味が舌をとろけさせる、好物中の大好物であった。
「うっうー!しね!しねー!!」
ふらんはその声に誘われるまま空に飛び上がると、けっかいすらされていないガラ空きのおうちを見つけ、
そこから子ゆっくり達の叫び声が発せられている事を確認した。
そこから子ゆっくり達の叫び声が発せられている事を確認した。
「う~、じゅるり」
もはやふらんに躊躇や我慢の必要などない。
おうちに飛び込み、大好物を思うままに食い荒らすのだ。
おうちに飛び込み、大好物を思うままに食い荒らすのだ。
そしてふらんははるか上空から一気におうちの入り口に降下し、体当たりするかのようにおうちへと飛び込んでいった。
中に見えるのは子ゆっくり、赤リボンと黒ぼうしが2匹づつ。そして…
中に見えるのは子ゆっくり、赤リボンと黒ぼうしが2匹づつ。そして…
それが、ふらんの見た最後の光景だった。
太く長い木の棒で眉間を、そして中枢餡を貫かれたふらんは、
よだれを垂らした満面の笑みのまま絶命していた。
よだれを垂らした満面の笑みのまま絶命していた。
この木の棒、ただの一突きでふらんを『狩った』のは、もちろんあの父まりさである。
恐怖と、それからの解放の連続で茫然としている4姉妹の前で、
父まりさはまた理解不能な事をしゃべっていた。
父まりさはまた理解不能な事をしゃべっていた。
「ちょうどいい所に獲物が来てくれたのぜ。これでしばらくゆっくり暮らせるのぜ~」
「お、おとうしゃん?」
「ゆっゆ~ん!…ゆん?何なのぜ、まりさは献立を考えるのに忙しいのぜ」
「…たべりゅの?」
「当たり前なのぜ。ふらんは大好物なのぜ」
「……ほかにもたべたことありゅの?」
「ゆっゆ~ん!…ゆん?何なのぜ、まりさは献立を考えるのに忙しいのぜ」
「…たべりゅの?」
「当たり前なのぜ。ふらんは大好物なのぜ」
「……ほかにもたべたことありゅの?」
父まりさは特に自慢するでもなくうなずく。
「れみりゃも美味しいけど、やっぱりふらんの方が口に合うのぜ。
でも、家族ができちゃったからふらんを狩りに行けなくなったのぜ。
まったく。ふらんをさがすのは大変なのぜ。
太陽さんがたくさん出て沈むまでかかっても、見つからない時もあるのぜ」
でも、家族ができちゃったからふらんを狩りに行けなくなったのぜ。
まったく。ふらんをさがすのは大変なのぜ。
太陽さんがたくさん出て沈むまでかかっても、見つからない時もあるのぜ」
この話を聞いていたゆっくり達は、群れの全員、長ぱちゅりーも含めて全員が口をポカンと開けたまま、
しばらく一言も発することができなかった。
しばらく一言も発することができなかった。
と、そんな話を父まりさ達がおうちの入り口でしていると、
そこに子ゆっくりが飛び出してきた。
そこに子ゆっくりが飛び出してきた。
それは先ほどのふらんとの戦いで両親と姉妹全員を失った、
4姉妹達とも友達である、子みょんであった。
子みょんは父まりさの横を抜け、ふらんの死体までたどり着くと、
その死体の上でジャンプし、思い切り踏みつけ始めた。
4姉妹達とも友達である、子みょんであった。
子みょんは父まりさの横を抜け、ふらんの死体までたどり着くと、
その死体の上でジャンプし、思い切り踏みつけ始めた。
「みょぉぉおおん!おとーしゃんを!おきゃーしゃんをぉぉおお!かえしぇ!かえしぇぇぇぇええ!!」
「おぢびぢゃん…」
「かわいそうだねー…わからないよー…」
「かわいそうだねー…わからないよー…」
その悲痛な叫びに、長ぱちゅりーを始め周囲の全員が涙を流し、ともに嗚咽を漏らした。
ただし一匹を除いて。
例によって父まりさである。
例によって父まりさである。
「なあにやってるのぜぇぇえええ!!」
べちんっ!!
「みょっ!!?」
父まりさの本気の体当たりが子みょんに炸裂した。
周囲の群れのゆっくり達が茫然としているなか、父まりさによる子みょんへの折檻は続く。
周囲の群れのゆっくり達が茫然としているなか、父まりさによる子みょんへの折檻は続く。
「ひとさまのごはんを踏みつけて台無しにしようとするなんて、とんだゲスなのぜ!
お仕置きしてやるから覚悟するのぜぇぇええ!」
「みょ、みょん…?」
お仕置きしてやるから覚悟するのぜぇぇええ!」
「みょ、みょん…?」
「む、むきゅ、待って、まり」
「邪魔すんななのぜ」
「むきゅぅん…」
「邪魔すんななのぜ」
「むきゅぅん…」
長ぱちゅりーは、もはや何も言えなかった。
その後、子みょんは父まりさによって、下半身(下膨れ)を地面に埋められたあげく、
延々半日にわたってお下げで顔をくすぐられ続けるという拷問まがいの折檻を受けた。
子みょんはそのせいで精神を病んでしまい、
この後2カ月以上もの間、介護無しではご飯も食べられない状態になったのであった。
延々半日にわたってお下げで顔をくすぐられ続けるという拷問まがいの折檻を受けた。
子みょんはそのせいで精神を病んでしまい、
この後2カ月以上もの間、介護無しではご飯も食べられない状態になったのであった。
もちろん、世話をさせられたのは長ぱちゅりーである。
ちなみに母れいむはと言うと…
「れいむもふらんをたべていいよね!ぐるめでごめんね!」
「…やるわけないのぜ。おちびちゃん達はいい餌になってくれたから、羽だけ食べさせてやるのぜ」
「「「「ゆわーい!ゆっくちー!!」」」」
「…やるわけないのぜ。おちびちゃん達はいい餌になってくれたから、羽だけ食べさせてやるのぜ」
「「「「ゆわーい!ゆっくちー!!」」」」
ちなみにふらんの体は、あんまんである。
自分達を襲う心配さえなければ、大好物なのだ。
自分達を襲う心配さえなければ、大好物なのだ。
「どうぢででいぶはたべぢゃだめなのぉぉおおお!?」
「役に立ってない奴にあまあまはやらないのぜ」
「そ、それじゃあ、でいぶだってけんりあるでしょぉぉおおお!」
「……何言ってるのぜ?」
「だ、だって、だって、でいぶがおぢびぢゃんをうんだんだよぉぉおお!」
「役に立ってない奴にあまあまはやらないのぜ」
「そ、それじゃあ、でいぶだってけんりあるでしょぉぉおおお!」
「……何言ってるのぜ?」
「だ、だって、だって、でいぶがおぢびぢゃんをうんだんだよぉぉおお!」
……。
結局、母れいむには、ふらんの胃(正確には胃っぽい体内の空洞部分)の内容物を与えられた。
チョコやら生クリームやらカスタードやらが混ざった液体だったので、母れいむも大喜びだったようである。
チョコやら生クリームやらカスタードやらが混ざった液体だったので、母れいむも大喜びだったようである。
ちなみに父まりさは、この日の夜にこんな事を4姉妹に教えている。
「ふらんが来たからお外に出て戦うなんて、馬鹿もいい所なのぜ。
あのみょん達もしょうがない奴らなのぜ」
「でも、でも、むれのみんなをたしゅけないといけないのじぇ!」
「ゆぁ~ん?なぁに言ってるのぜ。自分も助けられない奴らが、誰を守るのぜ?」
「ゆ、ゆぅ…」
あのみょん達もしょうがない奴らなのぜ」
「でも、でも、むれのみんなをたしゅけないといけないのじぇ!」
「ゆぁ~ん?なぁに言ってるのぜ。自分も助けられない奴らが、誰を守るのぜ?」
「ゆ、ゆぅ…」
長女まりさも他の3姉妹も、怯えきって叫んでいただけだったので、何も言えない。
父まりさは長女まりさが黙ったのを満足げに見て、話を続けた。
父まりさは長女まりさが黙ったのを満足げに見て、話を続けた。
「だいたい、ふらんがきたらおうちに隠れて剣構えて、ガタガタ震えてりゃいいのぜ」
「「「「ゆゆっ!?」」」」
「おうちに飛び込んできたら、ふらんなんて目の前からしかこれないのぜ。
剣で一突きなのぜ。なんのためにおうちがあるのか、誰もわかっちゃいないのぜ」
「「「「ゆ、ゆっくち…」」」」
「「「「ゆゆっ!?」」」」
「おうちに飛び込んできたら、ふらんなんて目の前からしかこれないのぜ。
剣で一突きなのぜ。なんのためにおうちがあるのか、誰もわかっちゃいないのぜ」
「「「「ゆ、ゆっくち…」」」」
「それに、このおうちは裏側にも出口を作ってるのぜ。
剣で相手出来ないくらい強いふらんなら、中に誘いこんでまりさ達だけ外に出て、
群れのみんなで生き埋めにしてやる事も出来るのぜ」
「「「「ゆ、ゆひぇ~」」」」
剣で相手出来ないくらい強いふらんなら、中に誘いこんでまりさ達だけ外に出て、
群れのみんなで生き埋めにしてやる事も出来るのぜ」
「「「「ゆ、ゆひぇ~」」」」
「…だから、そんなこともわからないゆっくりなんて、どうなっても知ったこっちゃないのぜ」
「「「「・・・・・・」」」」
「「「「・・・・・・」」」」
つくづく、一言余計であった。
ただし、その暴言がもはや4姉妹の、父まりさへの見方に影響を与える事はなかった。
ただし、その暴言がもはや4姉妹の、父まりさへの見方に影響を与える事はなかった。
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そして時は流れ、ついにあのまりさとれいむのおちびちゃん達も、独立の時を迎えた。
もはやおちびちゃんとは呼べないだろう。
その体格は今では父まりさと同じくらい、母れいむの6割程度にまで育っている。
それはもう、立派な成体ゆっくりであり、子供達もまた、父や母になってよい時期であることを示していた。
その体格は今では父まりさと同じくらい、母れいむの6割程度にまで育っている。
それはもう、立派な成体ゆっくりであり、子供達もまた、父や母になってよい時期であることを示していた。
「そろそろいくのぜ…」
「れいむもじゅんびできたよ」
「ゆっくりしゅっぱつだね」
「ゆぅ…さびしいよ…」
「れいむもじゅんびできたよ」
「ゆっくりしゅっぱつだね」
「ゆぅ…さびしいよ…」
「おぢびぢゃっ!おぢびぢゃぁぁあああん!おがあざんをずでるのぉおおお!ゆっぐぢいが、いぎぎっ!」
「ようやく出ていくのぜ~。ついでにれいむも連れて行って欲しいのぜ」
「ようやく出ていくのぜ~。ついでにれいむも連れて行って欲しいのぜ」
さすがに巣立ちの時はしんみりきそうなものだったが、
母れいむはともかく父まりさは相変わらずである。
これでツンデレ親父なのなら可愛げもあるのだが、何気に本心から出ている発言なのは残念なことであった。
母れいむはともかく父まりさは相変わらずである。
これでツンデレ親父なのなら可愛げもあるのだが、何気に本心から出ている発言なのは残念なことであった。
「おぢびぢゃ…ぎぎぎ…ぶべぇ」
「泣きすぎて餡子吐いてるのぜ。まあ、ちょっとは痩せた方がいいのぜ」
「泣きすぎて餡子吐いてるのぜ。まあ、ちょっとは痩せた方がいいのぜ」
「「「「おとうさん…」」」」
「ああ、もういいからさっさと行くのぜ。どうせ群れの中なのぜ?また毎日会うのぜ」
「ああ、もういいからさっさと行くのぜ。どうせ群れの中なのぜ?また毎日会うのぜ」
それは事実である。
どうせ明日以降も毎日どこかで顔を合わせるだろう。
新しいつがいができたら、その数分後には群れ全体に情報が伝わるほどの狭い世界である。
だが、それはそれ、これはこれなのだ。
少なくとも、真っ当でない両親から生まれ、育てられながら、
これ以上なく真っ当に育ってしまった子供たちにとっては。
どうせ明日以降も毎日どこかで顔を合わせるだろう。
新しいつがいができたら、その数分後には群れ全体に情報が伝わるほどの狭い世界である。
だが、それはそれ、これはこれなのだ。
少なくとも、真っ当でない両親から生まれ、育てられながら、
これ以上なく真っ当に育ってしまった子供たちにとっては。
「「「「おとうさん……いままでありがとう!!」」」」
「ふぅん。お礼じゃ腹は膨れないのぜ」
「ゆぅ~。おとうさんはあいかわらずだよ~」
「わかってるんなら、今度来るときはお土産でも持ってくるのぜ。あまあまでいいのぜ」
「ゆんっ!ゆっくりりかいしたよ!」
「ふぅん。お礼じゃ腹は膨れないのぜ」
「ゆぅ~。おとうさんはあいかわらずだよ~」
「わかってるんなら、今度来るときはお土産でも持ってくるのぜ。あまあまでいいのぜ」
「ゆんっ!ゆっくりりかいしたよ!」
最後の別れは、ゆっくりらしく元気いっぱいに、いつもの挨拶。
「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」
「ゆぶぇっ!…っぐぢぃ……」
母れいむ以外で。
……。
子供達は、自分達のためのおうちと、家族だけの小さな小さなゆっくりプレイスを求めて去っていった。
どうせ明日以降も、狩り場やら群れの集会やらでいくらでも出会うだろう。
それは間違いないが、今日と言う日はやはり、長い間手塩にかけて育てたおちびちゃん達が、
一人前に育って旅だった記念の日なのだ。
そんな事を考えていると、餡子の奥にじんわりと熱いものを感じ、
母れいむは、深い達成感に包まれたのであった。
どうせ明日以降も、狩り場やら群れの集会やらでいくらでも出会うだろう。
それは間違いないが、今日と言う日はやはり、長い間手塩にかけて育てたおちびちゃん達が、
一人前に育って旅だった記念の日なのだ。
そんな事を考えていると、餡子の奥にじんわりと熱いものを感じ、
母れいむは、深い達成感に包まれたのであった。
一方、父まりさは、子供たちのお土産にちょっとだけ期待しつつ、
これで久しぶりに母れいむの極上まむまむを使えるかと思い、にんまりしたのであった。
これで久しぶりに母れいむの極上まむまむを使えるかと思い、にんまりしたのであった。
挿絵:D.O