大切な息子を切り裂いた女

7話 大切な息子を切り裂いた女

椿に喉を刺されて殺されたと思ったら、今度は何?
アルベルト博士じゃなくてリリアとか言う女が開催する殺戮ゲーム?
うーん、状況がよく飲み込めないなぁ。

申し遅れました、あたしはミーウ。17歳のピチピチの狐っ娘よ。
まあホントは名前も違うし年齢はあくまで肉体年齢なんだけど、それは置いといて。
実は別の殺し合いであたし死んだはずなのよね。
だけど、どうやら蘇生させられて、今度は全く別の殺し合いに参加させられている。
当然首には爆発する絶対に外せない首輪。

まさか二回も殺し合いをする事になるなんて…。

今あたしが立っているのはすぐ近くに海が見える、海岸線沿いの道路。
海の反対側には森が広がる小高い山。遠くに街の明かりも見える。

「グルルル…」
「!?」

背後から獣の唸り声のようなものが聞こえ、振り向く。
そこには緑色の二足歩行のドラゴンがいた――嘘なんて言ってないわよ!
首輪がはめられてるから参加者の一人だと分かる。
唸り声を上げてるし、あたしを見る目付きはどう見ても友好的なそれではない。

「狐の獣人か。しかも若い雌…美味そうだ」
「はぁ?」

美味そうだって何? あたしを食べるつもり?
ああどうやらそうみたい、涎垂らして舌なめずりしてるし。

「殺し合いに乗るついでに腹ごしらえと行くか!」

そう言うなりドラゴンは鋭い爪の付いた右手を振り被って襲い掛かってきた。

「くっ!」

ドゴォン!

間一髪で避ける事に成功したけど、ドラゴンの右手が直撃したアスファルトが派手に砕けた。
見た目通りかなりの力を持っているみたい、ちょっとやばいかも…。
休む間もなく第二撃、今度は横への薙ぎ払い。
思い切り身を伏せてかわしたけど、代わりに背後に立っていた街灯が切断され倒壊した。

「ちょこまかと。まあいい、嬲ってくれる」

ドラゴンはいかにも余裕綽々といった上位目線で言い放つ。
かなり癪に障るけど、実際そうなのだから嫌。
そう言えば自分の支給品まだ確認してなかったな、何なんだろ?
攻撃を避けつつ私はデイパックの中を漁る。
そして出てきたのは投擲可能な斧、トマホーク。
あたしはそれをドラゴンの顔面向けて力の限り投げ付けた。

ドスッ

「ガアアアアアアアアアア!!!?」

トマホークの刃はドラゴンの左目に刺さり、悲鳴を上げてドラゴンが苦しむ。
畳み掛けるなら今しかないと思ったあたしはもう一本のトマホークを構えて、
一気にドラゴンの懐に飛び込み――。

ザシュッ

「――――――――!!!!???」

ドラゴンの股間に斬撃を食らわせてやった。
今まで目元を押さえていたドラゴンだったけど今度は股間を押さえて地面でのたうち回っている。
確か爬虫類の雄のアレって普段は体内に収納されているって聞いた事あるから、
ドラゴンも多分同じなんだろうね。

「ぎいいいいっ…お、俺の、息子がああああ」

残った右目から大粒の涙を流し苦鳴を上げている、さっきまでの威勢はどこへやら。
まあ大切なモノを切り裂かれたんなら無理もないか。
さて、あたしを食おうとした罪を償ってもらうとしよう。
トマホークを携えドラゴンに歩いて近付き、その喉元目掛けてトマホークを振り下ろした。
刃がドラゴンの喉元に深く刺さりごぼ、ごぼと口から傷口から鮮血を溢れさせ、
しばらくピクピクと痙攣した後、ドラゴンは動かなくなった。

「ふぅ…手強い相手だった…」

とりあえず危機を脱した事で一息つくあたし。
思えば殺し合いにおいて他参加者を殺すのはこれが初めてじゃないかしら?
ドラゴン(そう言えば名前聞いてない、まあいっか)の持っていたデイパックの中身を漁る。
するとH&K G3という、高威力の小銃弾を使うアサルトライフルと、
その予備マガジンが10個出てきた。
これはかなりの当たり武器ね。このドラゴン、これ使えば良かったのに…脳筋だったのかしら。
まあもう殺しちゃったし、関係ないと思うけど。
水と食糧も貰っていこう。あとドラゴンの顔に刺さったままのトマホークもまだ使えそうね。

さて、あたしはこれからどうしよう。
名簿を開いて見てみるけど、知っている名前はピタゴラスぐらいで、
後はみんな知らない名前ばかりだ。
「クリス・ミスティーズ」「レオン・ミスティーズ」という、主催者と同じ名字の参加者がいる事は少し気になるけど。
よく目にする名字でもないし、もしかしたら親戚なのかもしれない。

でも、椿やヴェーヌ、ジュリア、アルベルト博士もいないようだし、
ピタゴラスは名前と顔だけ知ってる程度で別に親しい仲でもない。
つまり、この殺し合いにおいて、私以外はほぼ全員赤の他人。
それなら…。

殺し合いに乗るのも、いいかもね。

あーそれと、どうせだから、可愛い子いたら悪戯しちゃおうっかな~。



【ニコライ@オリキャラ  死亡確認】
【残り44人】


【一日目深夜/C-1平野:幹線道路】

【ミーウ@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:H&K G3(20/20)
[持物]:基本支給品一式、H&K G3のリロードマガジン(20×10)、
トマホーク(3、内2本に血痕付着)、ニコライの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:これからどこへ行こうかな。
2:可愛い子(女の子優先)がいたら…フフフ。
※参戦時期は本編死亡後です。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。


※C-1平野:幹線道路上にニコライの死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品入り)が放置されています。


≪支給品紹介≫
【トマホーク】
ネイティブアメリカンの片手斧。
狩猟の他、樹木の伐採など日用品としても使われる。
武器として使われる事もあり投擲も有効。

【H&K G3】
1959年に西ドイツ軍制式となった突撃銃。
高威力の小銃弾を使用するが独自の機構により比較的反動は抑えられている。
非常に総合性能が高く現在でも多くの国で制式銃となっている。
使用弾薬:7.62mmx51NATO弾 装弾数:20発


≪オリキャラ紹介≫
【名前】ニコライ
【年齢】29
【性別】男
【職業】野生のドラゴン
【性格】粗野
【身体的特徴】緑色の身体と大きな翼、尻尾、角を持った二足歩行の竜。腹の部分は黄色
【服装】服を着る概念がない
【趣味】空中遊泳、狩り
【特技】翼を使って空を飛ぶ事
【経歴】何度か辺境の村を襲い人間を食べた事がある
【備考】RPGファンタジー風異世界出身


再会と死別 時系列順 逃げない、投げない、諦めない
再会と死別 投下順 逃げない、投げない、諦めない

GAME START ミーウ 声が届いた、届いた人はどう動く?
GAME START ニコライ 死亡

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最終更新:2010年04月17日 17:15
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