DEATHGAME OF HELEN

3話 DEATHGAME OF HELEN


夜の森の中、懐中電灯で足元を照らしながら久保遼平は歩いていた。

「有り得ないだろ、殺し合いなんて…何なんだあのリリアとか言う奴」

大学生である彼は昨晩、同級生と飲み会に行き、
ほろ酔い気分で帰宅し就寝したはずだった。
しかし気が付けばそこは大勢の見知らぬ人々がいる暗闇のホール。
リリア・ミスティーズと名乗るドレス姿の女性が殺し合いを宣言した。
首にはめられた首輪は無理に外そうとしたり逃げようとしたりすれば爆発する。
その威力はあの暗闇のホールでまざまざと見せつけられた。

「この首輪がそんな危険な物なのかよ」

首にはめられた首輪に手を触れる。
指先から冷たく硬い感触が伝わってきた。

「はぁ……馬鹿げてるぜ全く…」

デイパックの中身は既に確認した。
名簿には知らない名前ばかりで知人友人の名前は一人も見当たらない。
不定支給品は、今ベルトに差し込んでいる鞘付きの大型ナイフと、
デイパックの中に入っているトランジスタラジオ。
ナイフは武器として十分期待できそうだがラジオはどのように使えばいいのだろう。
試しに電源を入れたが入ってくるのは意味不明な放送ばかりだった。

「それにしてもこれからどうするかな…っていうかここどこd」

ダァン!!

「へっ?」

銃声と共に遼平の左頬近くを何かが掠めた。
それが銃弾であり、明らかに自分を狙ったものである事に気付くのに僅か数秒。

ガチャリ。

どこかから微かに聞こえたボルトを引く音。つまりはボルトアクションライフル。
銃に疎い遼平でもそのくらいの事は知っていた。
そして次の瞬間、遼平は脇目も振らず駈け出していた。
銃で威嚇しようにも敵がどこにいるのか分からない。

ダァン!! ダァン!!

「うわっ!!」

逃げるのと同時に銃声及び着弾地点が遼平を追い掛けてきた。
やはり狙われているのは自分だと確信した遼平はひたすらに逃げた。



銀色の毛皮の狼獣人の男、ピタゴラスは真っ暗な森の道を歩いていた。
そして今自分が置かれている状況を不可思議に思う。

「俺は死んだはずなんだが…」

彼、ピタゴラスは別の殺し合いにおいて、チェーンソーで首を切断され死亡したはずだった。
だが現に今こうして生きて歩き、呼吸もしている。頬を抓って痛いのだから夢ではない。
しかし、首には冷たい爆薬内蔵の首輪。また殺し合いをさせられている。状況は好転していない。
名簿には前回の殺し合いでもあったミーウという名前以外は、全く知らない名前ばかりであった。
そして不定支給品はコルトM1911A1。旧式ではあるが大口径で威力がある大型自動拳銃。
前回支給されたデリンジャーに比べるとかなりマシな武器である。

「まあいい。再び与えられた命。俺がこの殺し合いでするべきこt」

そこまで言い掛けた瞬間、何者かが物凄い勢いでピタゴラスの背中に激突した。

「ぐほっ!!」
「ぐあ!」

両者とも悲鳴を上げ、地面に倒れ込む。

「ぐ……だ、誰だ?」
「いっ…てぇぇ……す、すいません……」

痛みを我慢してピタゴラスが自分に激突してきた人物の方を向く。
それは、ヘレンの狙撃から逃れてきた青年、久保遼平だった。
遼平は必死に逃げる余り、また、夜道の暗さも相まって、
前方に立っていたピタゴラスに直前まで気付かず、思い切り激突してしまったのだ。

「すいません、あの、大丈夫っすか?」
「あ、ああ…何とかな。何かあったのか?」
「え、えーと、森ん中歩いてたら、どこかから狙撃されて、逃げてきたんです」

そう言えば、先程そう遠くない所から銃声が数発聞こえた。恐らくそれだろう。

「そうか、それは災難だったな…とりあえずその懐中電灯を一旦消したらどうだ?
わざわざ自分の居場所を教えているようなものだぞ」
「え? ああ、確かに…」

ピタゴラスに指摘され、遼平はすぐに懐中電灯のスイッチを切りデイパックの中に戻した。

「その様子だとお前は殺し合いには乗っていないのか?」
「まあ、そうですね…えーと…」
「俺はピタゴラスだ。名前を聞かせてくれるか?」
「久保遼平です」
「クボ、リョウヘイ…分かった。遼平、俺も殺し合いをする気は無い。
どうだ、俺と一緒に行動しないか」

同行を申し出たピタゴラスに遼平は一瞬どうするか迷ったが、
この先一人では不安なので承諾する事にした。

「マジすか…そりゃ嬉しいですね、一人だと不安なんで」
「決まりだ。よろしくな、遼平」
「え、ええこちらこそ、ピタゴラスさん」

こうしてピタゴラスと久保遼平は共に行動する事となった。



「逃がしたみたいね…」

舌打ちをしながら、構えていた三八式歩兵銃を下ろす金髪のエルフ娘、ヘレン。
空になった弾倉に一発ずつ弾薬を装填して行く。
そして5発全弾装填し終えると、ボルトを引きすぐに一発目が発射できる状態にした。
暗闇に紛れ、遠くから近付いてくる懐中電灯の明かりを目印に狙撃したのだが、
やはり暗闇の上、銃に関してはズブの素人である自分の狙撃の命中率などたかが知れていたようだ。

「……」

三八式歩兵銃を携え、ヘレンはため息をつく。

ヘレンは元々、VIPRPGもしもの世界において、
清楚可憐な姿を持つRTPきっての萌えキャラだったが徐々に汚され、
エロゲ、AV出演、スカトロ等、散々なヨゴレ展開の果てにぶっ壊れた。
チェーンソーを振り回したりksgを連発するなど、最近の崩壊ぶりは深刻になっていた。
(VIPRPGwikiヘレンの欄から一部抜粋)

もはやかつての純粋な性格などなりを潜めてしまったヘレン。
そして突如参加させられた殺人ゲーム――殺し合い。
昔似たような内容の黒くて分厚い小説を読んだような気もするが、
そんな事はどうでもいい。

「殺し合い…いいわよ、乗ってやるわよ。アレックスもブライアンもゴメスも、
魔王軍の連中もその他の人達もみんなぶち殺してやろうじゃないの…!」

同じく殺し合いに呼ばれている知人の名前を呟きながら、
ヘレンはその瞳にドス黒い決意の炎を燃やしていた。


【一日目深夜:F-4森】

【久保遼平@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:ハンティングナイフ
[持物]:基本支給品一式、トランジスタラジオ
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:ピタゴラスと行動する。

【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:コルトM1911A1(7/7)
[持物]:基本支給品一式、コルト ガバメントのリロードマガジン(7×5)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:仲間を集める。
2:久保遼平と行動する。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。

【ヘレン@VIPRPG】
[状態]:健康
[装備]:三八式歩兵銃(5/5)
[持物]:基本支給品一式、6.5㎜×50R弾(25)
[思考]:
0:殺し合いに乗り、優勝を目指す。
1:他参加者を捜す。
2:元の世界の仲間が相手でも容赦しない。




※F-4一帯に銃声が響きました。


≪支給品紹介≫
【ハンティングナイフ】
狩猟において仕留めた獲物を解体するのに使われる鋭利で頑丈なナイフ。

【トランジスタラジオ】
当初真空管などを使用していたラジオ放送の受信機を、
半導体素子であるトランジスタを使用して小型・軽量・低消費電力化した物。
要するに電池式の小型ラジオ。
ただ壊れているのか様々な放送局の電波が入り乱れ意味不明な放送ばかり流している。

【コルトM1911A1】
1911年に米軍制式となった大型軍用自動拳銃。通称ガバメント。
登場から一世紀近く経った現在でもその洗練された外観や、シンプルで信頼性が高く、
バランスの取れた完成度の高い銃として多くの愛好家が存在する。
使用弾薬:.45ACP弾 装弾数:7発

【三八式歩兵銃】
1905年(明治38年)に旧日本陸軍制式となったボルトアクション小銃。
口径が小さく長い銃身を持つため反動が小さく扱いやすい。
使用弾薬:6.5㎜×50R弾 装弾数:5発


≪オリキャラ紹介≫
【名前】久保遼平(くぼ・りょうへい)
【年齢】20
【性別】男
【職業】大学生
【性格】人当たりは良いが怠惰な面がある
【身体的特徴】黒髪、中肉中背
【服装】白いジャケットにジーンズ
【趣味】ゲーセン通い
【特技】これと言ってなし
【経歴】高校時代にバスケ部に所属していた
【備考】日本風異世界国家出身



兄の苦悩 時系列順 天秤は動く
兄の苦悩 投下順 天秤は動く

GAME START 久保遼平 二度目の生で成すべき事
GAME START ピタゴラス 二度目の生で成すべき事
GAME START ヘレン It is a nightmare inside even if awaking.

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年05月03日 03:05
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。