ANOTHER STORY

「ぁあ!?お前に友達だってーー!!」
「何で友達できたぐらいでそんな驚かれなきゃいけないんすかねぇ!?」

俺は帰ってきた。
今は夜。『いつも通り』に春原の部屋でくつろいでいる。
あの狂気に満ちた殺し合いから……。
夢の様で夢であってほしかったあの、殺し合いから。
いやまぁ杏と付き合えたのは良い事ではあるんだが……。
あと、この今まで俺がバイトで貯めた金とは比べ物にならないほどの金。
……。
まぁ、いいのか?生きている訳なんだし。
現に俺は今幸せなんだし。
良いのか?本当に?

「…なぁ春原。お前は昨日の出来事どう思うんだ」
「別にどうも思わないよ。僕的にはお金がもらえてラッキーって感じだけどね」
「そうか」

そんなもんか。やっぱり。
いいんだろうな。そういう風で。
いいんだ。それで――――。
まぁそれでこの話題は切ろう。
話してて盛り上がる話ではない。

「んで、誰だよその友達って」
「阿良々木暦っていうんだ。今度の土曜は阿良々木がこっちにきてくるらしいよ」
「ふぅん」

まぁこいつの友達っていうぐらいだから

 ◇

以下は朋也の妄想です。

阿「ぐきゃきゃきゃきゃ」
春「くけーーーーーーー!」
阿「ぐきゃーーーーーー」
春「くけくけくうけえーーーーーーー」

以上までが朋也の妄想でした。

 ◇

って感じなんだろうな。きっと。
変態だ。
うん。きっと小学生とか狙ってそうな感じだ。
だって春原の友達だぜ?
まともなわけないだろう?
だから俺は。

「ぐきゃーーーーーーーーーー!!」
「うおっ!何ふぁ岡崎」

ふぉって何だ。

「いや、お前の友達はこんな風に話すんだろ?」
「あなたとても失礼ですねぇ!?」
「いやいや、当たり前のことを言っただけだろ?」
「ちげぇよっ!!」
「じゃあどんなやつだよ」
「気になるんだったら、土曜日ついてきたら?」

と。にやけ面が気に入らなかったので殴っておくとして。
――――まぁ気になるっちゃあ、気にはなるな。
と。
まぁそんな時だった。
勢いよくドアが開かれて、

「岡崎いるぅ?」

美佐枝さんがやってきた。

「ちーす。何か用すか?」
「なんか彼女って名乗る人があんたに用事があるらしいわよ」
「ふーん。じゃあ変わります」

まぁ杏だろうな。というか杏しかありえん。
そして立ち上がったその時。

「え――――」

と。呆然となっていた奴が俺のズボンを引っ張ってきた。

「キモいから離せ」
「酷いっすね!?――――え?で?は?」
「何が言いたいんだお前は」
「――――彼女って何だーーーーーーーーーーーーーーー?」
「――――お前も知ってる奴だよ」
「何?渚ちゃん?委員長?あのちっちぁいの?それとも智代?」
「どいつでもねぇよ」
「―――――え?じゃあ、まさか――――――藤林杏?」
「そうだ」
「―――――ふぅん」

と。なんか意味深な顔をしていたので蹴飛ばして、俺は電話の方へ向かった。

 ◇

「デート?」
『そう。あんたのとこにもお金届いたんじゃない?あのイベントの報酬で』
「まぁ、そうだな」
『というわけで、あんたも奢れるだけの甲斐性は得たんだから、デートに行きましょうって話』
「おう、わかった。じゃあ―――今度の土…じゃなくて日曜に行くか」
『分かったわ。じゃあそれだけよ。おやすみ』
「あぁそうだ。杏」
『ん?何よ』
「萌え台詞言ってくれ」

時が止まった気がする。
けどな、俺はこんなところで満足はできない。
高みを目指さなければ。

「ん?どうした?」
『本気で言ってる?』
「ああ」
『………あなたの事、愛してるよ?』
「萌えッ!!」

やべー。
俺の彼女ちょー可愛い。
俺の彼女がこんなに可愛い訳がない。いや、そんなことありません。

『もう、切るわよ?』
「あぁ、おやすみ」
『おやすみ』

ガチャ

うん、彼女っていいね!殺し合いが何だってんだ。
……まぁ、最後が気に食わないけどな。いーさんは確かに死なないとはいったけど、何も殺すことねぇだろ。
そういや、何か主催者と何か関係があったっぽいが……。考えても仕方ないか。

「あら、終わった?」

後ろから美佐枝さんの声がした。
というかいた。

「もう帰るのかしら」
「……まぁ、そうだな。帰ります」
「そう、じゃあまた明日……っていうのも変なんだけどねぇ」
「変ですね」

何せ俺はここの寮生じゃねぇし。

「あ、そうだ。最近日本では『ダブル長谷川』ていう強姦魔がいるらしいわよ。気をつけなさいね」
「男の俺に言うことか」
「それもそうね。…まぁ気をつけることにこしたことは無いわよ」
「へーい」
「んじゃね」
「はい」

それを最後の会話にして、俺は寮を出る。
風が吹いた。
とても清々しい。
あの、ゲームの世界ではなかったものだ。
改めて感じる。
すばらしい、このせかいのことを。
……。家には帰りたくねぇけどな。
――――はぁ。
と俺はため息をつき、家路につく。
そこで、俺の通う学校が目に着いた。
……。
何故だが無性に学校に行きたくなった。
あの殺し合いのせいで、恋しくでもなったのだろうか?
気が付いたら、俺はこの長い坂道の前にいた。
普段だったらサボっても行きたくない学校。
だけど、今日は日曜日。しかも夜だというのに何故俺はここにいるのだろう。
その時だった。
俺の目の前に、光が現れた。
俺はそれを、いつの間にか、自然に、手に取っていた。
しかし、手の中を見ると何もなかった。
……。気のせいだったのか。
しかし、俺は歩みを進める。何故だか勝手に。
学校の方へと。何かに吸い込まれるようだった。
この先にはいつもと変わらない学校があると思う。
それを分かっていながら、俺は止まらない。
……それでもいい気がした。
俺は心の中でさっきから何回も言ってるが何故だかそう思う。
そして、俺は歩く。


この長い長い、坂道を――――――


【CLANNAD:終了】

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最終更新:2011年09月03日 14:34
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