初対面の相手には、言葉遣いを気をつけよう

忍者のたまご、潮江文次郎は現状に対し困惑していた。
いかなる事態に遭おうとも冷静に状況を判断できてこそ忍者だと常々思っていた彼にも、現在立たされている異常さは理解できなかった。
改めて記憶を辿っても、なぜ自分がここにいるのかさえも分からなかった。
だがそれでも、文次郎は怒っていた。
理由は、先ほど女性が首輪を爆破されて殺された事。
殺し合いをしろ、と突然言われたあの時に真っ先にメガネの男に食ってかかったのがあの桃色の髪の女性だった。
その女性の首を、メガネの男はいともたやすく爆破して殺した。
その事に、文次郎は怒りを隠す事は出来なかった。
(…情で動くとは、俺もまだまだだな……)
そう自嘲しながらも、その拳は固く握りしめられていた。
(仙蔵、小平太、長次、伊作、留三郎…あいつらも来ているのか…ここはひとまず合流したいところだが…)
「嘘だろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
どう動こうか思案していたその頭を揺さぶるかのように住宅街に響く、男の悲鳴。
それはこの殺し合いの場では非常に危険なものだった。
その声につられてどんな人間がやってくるかわからない。
文次郎は小さくため息をつくと、絶叫のした方へと走った。



(…あれ?これってかなりヤバくね?)
一方その頃、絶叫の主坂田銀時は冷や汗をどっぷりかいていた。
先程は突然の事態で頭もよく回っていなかったのだが、絶叫した事によりスッキリした頭で考えると現状は…この上もなく悪い。
この場は認めたくもないが殺し合いの場だ。
殺し合いに乗った奴がいる可能性は非常に高い、というかいなきゃおかしい。
そんな中、先ほど自分は何をした?
――でかい犬のぬいぐるみを前に絶叫してました。
はーい銀時君アウトー、廊下に立ってなさいねぇー…
って言ってる場合じゃねえええぇぇ!!
冗談抜きにやばいぞ今のは!って言うかなんだよ廊下って、三途の川行き廊下ですかこのヤロー。
とにかくこのでかいぬいぐるみの他に何かがデイバックに入っているはずだ。
あのメガネヤローは普通の子には二個、運のいい子には三個入ってるって言っていた。
なら当然銀さんには三個入ってるはずだな、うん……
そう思いデイバックをひっくり返したが…
出ない。
何も出てこない。
いや正確には食料や名簿が出てきたのだが、これは基本支給品だから参加者全員に配られているものだ。
その時銀時は思い出した。
運の悪い子には一個しか入っていないと、あのメガネの男が言っていた事を。
…ハイ終わったああああああ!!
銀時の目の前が真っ暗になろうとした寸前、銀時の目の前にぴょこんと頭にアホ毛の生えた背の小さい女の子が現れた。
その少女が握っていたもの――イングラムM10サブマシンガンを見た銀時は、もう汗すら出なくなった。

本当に終わったァー!!!!



泉こなたは、絶叫していた男と接触するか否かを迷っていた。
この場は殺し合いの場だ。
出来る限りの危険は避けなくてはならない。
先程のような大声は、大抵のアニメや漫画じゃ死亡フラグだ、
戦争ものとかそういうものはあまり読まないこなたでもそれは分かる。
だが問題は、その絶叫が奇妙だったことだ。
その叫び方とか叫んだ「嘘だろ」というセリフから恐らく――現段階で判断するのは軽率かもしれないが――恐らく絶叫の主は自分と同じようにこの殺し合いに乗る気はないと思う。
そんな人間を放ってこの場を立ち去ってしまうのは、正直気分のいいものではない。
ゲームなんかでも助けられる人を助けないで自分だけ助かろうと動けば待っているのはバッドエンドか死亡エンドのゲームオーバーだ。
もし万一相手が襲って来たとしても、自分にはイングラムという強力な武器がある。
こなたは意を決し、声の主の方へ向かった。
そこにいたのは、デイバックの中身をぶちまけ、大きな犬のぬいぐるみをわきに抱え、絶望の表情を浮かべんとしている銀髪天然パーマの男だった。



潮江文次郎は物陰からこの奇妙な二人の遭遇を見ていた。
銀髪の男の方はまだしも、小さい女の子の方は手に銃…多分、をもっている。
文次郎の身体に緊張が走り、手に持っていた武器――ライバルである食満留三郎の得意武器である鉄双節棍を握りしめた。
と、その時目の前の少女は銃を下した。
どうやら二人とも殺し合いには乗っていないようだ。
それを確認すると、文次郎は二人と接触する事を決めた。



「いやー、正直もうダメかと思ったぞ、つーか三途の川チラ見したぞ。」
「ごめんごめん、突然の事だったからちょっと警戒しちゃったよ。」
泉こなたも坂田銀時も、どちらも人見知りしない気さくな性格であったため、互いに殺し合いに乗る気が無いと分かるとすぐに打ち解けた。
現在では二人は食料を食べつつ今後どうするかを考えていた。
「まずしなきゃいけねーのは知り合いの保護だな。」
「皆…無事だと良いんだけど…」
こなたの脳裏に、先ほど浮かんだ嫌な想像が蘇りそうになる。
それを忘れようとこなたはもっているおにぎりを頬張った。
「俺の知り合いはまあしぶといから大丈夫だろうけど、こなたの友達は心配だな。」
「うん…あれ?銀さんどうしたの?」
「静かにしろこなた、誰かいるぞ。」
「え?」
こなたは咄嗟にイングラムを銀時の向いている方向に構えた。
「なかなかいい勘だな。」
だが声のした方向はこなたたちの向いている方とは逆の方だった。
二人が急いで振り返ると、そこには鉄のヌンチャクをもった忍者が立っていた。

「オイ誰だアンタ。」
「俺は怪しいものではない。」
「いや怪しいよアンタ。」
「…まあいい、俺もこの殺し合いには乗っていない。」
「え―本当かよ。」
「ああ、あなたたちも乗ってはいないんだろう?良かったら協力しないか?」
突然の忍者の申し出に銀時もこなたも唖然とした。
(…ねー銀さん、ああいってるけど大丈夫なのかな?)
(どうだかな。)
(ステルスマーダーだったら大変だよ?ほら汚いなさすが忍者汚いってネットでもよく言われるし。)
(とはいえあんなおっさんにそんな高度な真似ができんのか?)
「誰がおっさんだと?」
ヒソヒソ話をしていた銀時とこなたが振り向くと、そこに立っていた文次郎は額に二、三個青筋を浮かべていた。
「あらら、聞こえてた?」
「ばっちり聞こえてたぞバカタレ。」
「いや俺は思った事をそのまま言っただけだぞおっさん。」
「おっさん言うな!俺はまだ15だ!」
「じゅ、15!?」
潮江文次郎の自己申告に、さっき以上に銀時とこなたは驚いた。
「いやいやいやおっさん、嘘は良くないぜ。いくらこの不況の世の中若い子が優遇されるのは分かるけどさあ。」
「ま、また言ったな!」
「わ、私より年下だったなんて……」
「年下ぁ!?」
こなたの何げないつぶやきに、今度は銀時と文次郎が驚愕した。
「おいこなた…お前いくつなんだ?」
「むー、こう見えても18だよ私は。」
「じゅ、18!?そんなバカな!」
「…よく言われるよ。ちびでつるぺただし…」
「いやてっきり俺はうちの神楽と同い年かそれ以下かと。」
「神楽?誰だそれは?」
「うちの従業員、設定では14歳ぐらいって年だけど。」
「銀さん、何気にひどいよ……」

紆余曲折あったものの坂田銀時、泉こなた、潮江文次郎の三人は行動を共にする事になった。
…二人の十代の若者の心に小さな傷を残して。





【D-3住宅街/1日目朝】
【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:健康、ちょっと心に傷
[装備]:イングラムM10サブマシンガン@BATTLE ROYALE
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:かがみ、つかさ、みゆきと早く合流したい
   2:銀時、文次郎の仲間とも合流したい
   3:…どーせわたしはつるぺただよ。

【坂田銀時@銀魂】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、亜米利加的犬@まほらば
[思考]1:主催者をボコボコにする。
   2:新八、神楽、長谷川、こなたの友人、文次郎の仲間と合流したい
   3:…言い過ぎたかな。

【潮江文次郎@忍たま乱太郎】
[状態]:健康、心にほんの少しの傷
[装備]:鉄双節棍@忍たま乱太郎
[道具]:基本支給品一式
[思考]1:主催者を倒す。
   2:銀時、こなたの友人と早いうちに合流したい
   3:六年生の仲間とも合流したい
   4:おっさんって…おっさんって…

【支給品情報】

【鉄双節棍@忍たま乱太郎】
潮江文次郎に支給。
元々は忍術学園六年は組の生徒、食満留三郎の得意武器。
分かりやすく言えば鉄のヌンチャク。
二本の六角形の鍛鉄でできており、刀の攻撃も受け止める事が出来る。



027:会談レストラン 投下順 029:壊れた心、壊れぬ心
027:会談レストラン 時系列順 029:壊れた心、壊れぬ心
GAME START 潮江文次郎 [[]]
002:静寂を斬り裂く悲鳴 泉こなた [[]]
002:静寂を斬り裂く悲鳴 坂田銀時 [[]]

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最終更新:2011年07月04日 05:56
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