俺を☆守って

第三十四話≪俺を☆守って≫

さて、あのボウガン少女に襲われた時から結構時間が経ったんだが。
俺こと高原正封は、窮地を救ってくれた赤いワルキューレ……じゃない、
朱雀麗雅さんと一緒に岩室の中に身を潜めていた。
岩室の中は入口は狭かったが思ったよりも広く、直立しても大丈夫なぐらいだ。
ボウガン少女から逃れ、この岩室に逃げ込んだ後、
俺と朱雀さんは多少情報交換をし、互いの支給品と知り合いの有無を確認した。
俺の支給品は頼り無い千枚通しと、洗濯の時に使うらしい糊。
朱雀さんの支給品はバタフライナイフ。俺の友達が同じような物を持っていたっけ。
それで名簿を見て確認した結果、俺は一人も知り合いは呼ばれていなかったが、
朱雀さんは「四宮勝憲」「葛葉美琴」という二人の知り合いがいるらしい。
そして互いの身の上話をする。
朱雀さんは先祖代々続く剣道場の師範を務めているらしい。
う~ん、確かにそういう雰囲気だなぁ(どんな雰囲気だよw)。

「もうしばらくしたら、ここを出ましょう」
「ええっ!?」

朱雀さんの言葉に、俺は抗議の意が籠った声を上げる。
折角安全な場所にいるのに何でわざわざ危険な外に行かなきゃいけないんだよ!

「へ、下手に動くと危険なんじゃないっすか?」
「確かにそうだけど、いつまでも同じ所に留まっていても事態は何も進展しないわ。
それに……」

朱雀さんは一旦そこで言葉を切った。

「……さっきも言ったと思うけど、知り合いがいるのよ。大切な知り合いが二人。
早く見つけ出したいの……」

深刻そうな表情で朱雀さんが言う。
そうか、そりゃあ、いつ死ぬか分からない危険な状況だし、知人を早く探し出したいという気持ちは俺にだって分かる。
いや、分かるけどさ……!

「もし、どうしても動きたく無かったら、無理してついて来なくていいわ」

ちょ! ちょっと待ってくれ! それはつまり俺を見捨てるって事かよ!?
勘弁してくれ! こんな所で一人放っておかれでもしたら俺は瞬殺されちまうよ!

「いえっ! 俺も行きます! いや、ぜひ行かせて下さい! ぜひっ!!」

俺は自分でも驚くぐらいはきはきと言った。
俺は本当に何の戦闘能力も無いフリーターの一般的な狐獣人の男の子です。
普段自分の部屋に引き籠ってエロ本やAV見ながらオ○ニーするぐらいしか芸がありません。
マジで見捨てられたら死んでしまいます本当にありがとうございました。

「そ、そう? 分かったわ」

良かった、見捨てられずに済みそうだ(何だか意外そうな顔をしていたのは気になるが)。
マジで朱雀さんに守ってもらわねぇと、俺まだ死にたくねえよ……。
いつも小言ばかり言う親父と御袋にもう一度会いたい訳じゃねえけど、
俺、まだ19歳なんだぜ? 死ぬにはいくら何でも早過ぎるだろうが!
だから、朱雀さん結構強そうだし、マジで一緒にいないとやべえ。
絶対離れる訳にはいかねえよ!


どうしたのかしら、高原君、急に元気になっちゃったけど。
まさかさっき私が言った事?
自分が見捨てられるんじゃないかと思っちゃったのかな。
私はただ単に高原君の意思を尊重しようと思っただけなんだけど……。

それにしても、勝憲の奴と美琴ちゃんもこの殺し合いに呼ばれているなんて……。
まあ、勝憲は結構状況判断能力は高いし、中々しぶといし。
美琴ちゃんもそれなりに体力はあるし思慮深いから、
二人共簡単にはやられたりしないとは思う、けど。
でも必ず無事という保証はどこにも無い。早く見つけ出さないと。

だけど、そのために高原君を無駄に危険な目に遭わせるのは良く無い。
無理は禁物ね……。


【一日目/午前/E-4森 岩室内部】

【高原正封】
[状態]:健康、死への恐怖
[装備]:千枚通し
[所持品]:基本支給品一式、洗濯用の糊
[思考・行動]
基本:死にたくない。とにかく生き残る。
1:朱雀さんに守ってもらう。


【朱雀麗雅】
[状態]:健康
[装備]:バタフライナイフ
[所持品]:基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。
1:自分と同じくこの殺し合いに呼ばれた知り合い(四宮勝憲、葛葉美琴)を探す。
2:高原さんと行動する。
3:脱出手段も探さないと……。

※E-4森一帯には岩室が点在しているようです。




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最終更新:2009年10月04日 21:43
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