「ねぇ君。ブラックローズをどうしたの?」
勇者が問う。
それに格闘家と指揮官が相談する。
「あぁ。サコ。こいつは俺に任せてもう一人の方に謝りに行って来い」
「わかった。先生」
そして格闘家、サコは走りだした。
【サコ@クリミナルガールズ】
[状態]精神異常(中)
[ステータス]
LV:13 HP:69/252 SP:58/90
ATK:23 DEF:21 SPD:23
[装備]グローブ
[道具]支給品一式、
[所持金]780
[思考]
基本:生きる
1:さっきの死んだ目のメイド服の奴を探し、謝る。
◇
「それで、と」
「うん。悪いけどあなたは?」
「別に俺が名乗る必要なんてないだろう。強いて言うなら大先生とでも呼びやがれ」
「……じゃあ先生。あの子に用があったんだけど」
「あぁ分かってる。ブラックローズだっけ?その子を殺したのは確かにサコだよ」
「……なら僕と話し合うってのが筋じゃない?」
「まぁそうだろうな。けれどあの子は何かもう一人連れがいたんだろう?そっちの方に向かわせたよ」
「―――!いーさんが危ない!」
「そんなきばんなくても大丈夫だ。もうあいつは殺し合いなんかしないから」
「信じられないよ」
「信じなくてもいいよ。だって殺さないからそんなものは無用だ」
「―――分かりました。僕はあなたととりあえず話をします」
「ありがとう」
「で、何ですか。というかあなたは何者なんですか」
「俺?俺はあいつらの先生以外の何者でもないさ」
「でも、僕の記憶が確かならあなたは死んだはずですけど」
時間が、止まった。
「おいおい。俺は死んでいねぇよ。それこそここにいるってことが一番の証拠だろうが」
「…そうでしょうか」
カイトは知っている。
この世界を好きな風に弄り回せるような人を何人か知っている。
だからここに死人がいたって別に不思議とは思わない。
「―――まぁ、何はともあれだ」
ここで先生はカイトに向かって土下座の姿勢をとった。
「この通りだ。俺の生徒がやったことを許してくれないか」
「………」
何もカイトは鬼じゃない。というより善人である。お人よしとも言うべきか。
だからここまでしてもらって、許してあげないほど感情を持ち合わせていない訳ではない。
「わ、わかったから頭上げてよ」
「許してくれないか」
「許し上げるから」
「別に俺はお情けはいらない。本気で思ってくれなきゃ許してもらえたなんて思わない」
「いやホントに許してるから。顔を上げてよ」
そうか。といって先生は顔を上げる。
ちなみにカイトは
(何で僕が下手に立っているんだろう?)
と疑問に思うばかりであったが。
しかし流れとはいえ、先ほどまでと比べると、恨み自体は減っていったのも確かであった。
「ありがとう。えーと」
「カイトです」
「うん。カイト、ありがとう。人の死ってのは重い。
それは俺たちも、いや、俺たちだからこそよく知っている」
「――――?」
言葉の意味が分からないのも当たり前だろう。
まさか話している相手が死後の世界から訪れた来客とは思いもしないだろう。
「―――まぁ何はともあれ、それを許容してくれたんだ。ホントありがてぇよ」
「いえ、それは…」
許していいんだろうか…?
そんな思いがカイトの中に過る。
でもだ。
「いいんです。大体殺し合いをさせたあの人が悪いんですから」
その意識は変わらなかった。
だから、ブラックローズも、オルカも、無事に成仏できるよう僕は主催を潰さなければいけない。
…だから。
「それじゃあ、サコさんを追いましょう」
「ああ。追うか」
勇者は止まるわけにはいけないのだ!!
【カイト@.hack】
[状態]健康
[ステータス]
LV:20 HP:269/272 SP:60/70
ATK:27 DEF:30 SPD:28
[装備]双剣
[道具]支給品一式、薄明の腕輪
[所持金]0
[思考]
基本:主催者を倒す
1:先生と行動
[備考]
※浸食率30%です
◇
さて、先生が考えることは、
先ほどカイトが言った先生は死んだ発言。
それが心に引っかかる。
異様なまでに。
意外なまでに。
先生はAI。
本人ではない。
本人は既にゲームオーバーとなった。
所詮仮初。
本当の心などないのだけど。
それでも。
それでも、
それでも
…
それでも
…
…
それでも
…
…
…
それでも
譲れないものは確かにあったのだ。
生徒を守る。
ただそれだけは。
【先生@クリミナルガールズ】
スタンス:対主催
最終更新:2011年05月29日 23:41