百合の華は咲き乱れる

16話 百合の華は咲き乱れる

今は人間形態だが、実際は人魚の女性、アーデルハイトは、
森を抜け田圃地帯に足を踏み入れ畦道を歩いていた。

「! これは…」

そして一人の少女の屍を発見した。
腹を銃か何かで撃たれた上、首を絞められて殺されたようだった。

「…可哀想に」

開かれたままの目を閉じさせるアーデルハイト。
自分も先刻、襲い掛かってきた参加者を一人殺害してしまった。
正当防衛だったのかもしれないが、何にせよ一人殺してしまった事実に違い無く、
それがアーデルハイトに重い罪悪感をもたらしていた。

そしてアーデルハイトは近くにあった民家の門をくぐった。
農家のようで、倉庫や田植えに使うトラクター、軽トラック等が見受けられる。
母屋に近付くと、中から妙な声が聞こえ始めた。

「あう、う、あんっ…ギヒッ…イ……」
「え? 何この声…女の子の声みたいだけど…」

快感を感じているのか、苦しんでいるのか良く分からない声。
少し恐怖しながらも、アーデルハイトは玄関の戸を開け中に入った。

そして。

「oh…」
「アア、ア゛! ひっ…ぎぃ」

天井からぶら下がったロープで首を吊りながら自分の秘部をまさぐり喘ぐ、
黒青毛皮の雌竜の少女がいた。

「ぎいぃ、ぐるシい、でモ、気持ちイイのぉ!」
「ねぇ」
「!!」

ここに来てようやく竜少女、ツェツィーリアはアーデルハイトに気付いた。

……

「ごめんごめん、私最近、首吊りプレイにハマってて」
「首吊りプレイって何? 初めて聞いたそんな単語」
「まあ…えーと…私はツェツィーリア」
「私はアーデルハイトよ。ハイトって呼んで。長いから」
「分かった」

ツェツィーリアが首を吊っていた居間で二人は会話を始める。

「このロープは私の支給品の一つなの…もう一つはこれ」
「へぇ…」

そう言って、自分のデイパックから長い長剣を取り出した。
バスタードソードと言われる代物である。
その後、アーデルハイトも自分の支給品である十一年式軽機関銃、そして、
先刻殺害した参加者から回収した自動拳銃ロス・ステアー M1907と、ノートパソコンを見せる。

「ランダム支給品って二種類までじゃなかったっけ?」
「……」

アーデルハイトは事情を説明した。

「…そんな事が」
「……」
「…あんまり、言えないけれど、その、仕方無かったと思うよ…私は」
「…ありがとう、ちょっと気が楽になった」

他人から温かい言葉を貰い、アーデルハイトは少し気が安らいだ気がした。

「……(ジィッ)」
「? ど、どうしたの? ツェツィーリア」
「いや、あの…ハイトさん」
「ん?」

「良い身体してるなぁ、と思って」

「へ?」

いつしかツェツィーリアの顔は獲物を見付けた野獣のそれに変化していた。
欲望の炎が両目に灯り燃え盛っているように見える。
アーデルハイトは目の前の竜の少女が何を考えているのか易々と想像がついてしまった。

「ちょ、ツェツィーリア」
「うへへ…私、女ともイケる口なんだよぉ?」
「ま、待って、待って! ちょ、うあ、あ!?」

あっと言う間に押し倒されるアーデルハイト。
竜少女の力はかなり強くとても振り払う事は出来そうに無かった。

「さあ、楽園に行こう」

その後。

民家の中から悲鳴とも嬌声とも付かない女性の声が二人分響いた。


【早朝/F-6田圃杉浦家】
【アーデルハイト】
[状態]人間に近い身体に変身中、快感
[装備]十一年式軽機関銃(19/30)
[道具]基本支給品一式、6.5㎜×50SR装弾クリップ(5×6)、ロス・ステアー M1907(7/10)、
8㎜ロス・ステアー装弾クリップ(10×3)、ノートパソコン
[思考]
1:殺し合いに乗る気は無い。何とかして脱出したい。
2:らめええええええ!!
[備考]
※普通の人魚の身体と、人間に近い身体に変身し分ける事が出来ます。

【ツェツィーリア】
[状態]健康、首にロープの跡、快感
[装備]バスタードソード
[道具]基本支給品一式、ロープ
[思考]
1:殺し合いをする気は無い。生き残りたい。
2:ハイトさんを味わう。
[備考]
※小早川好信の姿はうろ覚えです。



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出鱈目な事ばかり在るのです アーデルハイト 答えて、誰かいませんか
磨り減る精神 ツェツィーリア 答えて、誰かいませんか

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最終更新:2011年05月28日 19:18
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