不運と、優しさと


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善法寺伊作は不運な男だった。
忍術学園内を歩いていては穴に落ち、運の悪いものが集うと言われている保健委員会に六年間在籍し、今ではその保健委員会の委員長を務めている。
「……だからって、殺し合い?私が?」
伊作の頭にあるのは、あまりにも理不尽としか言いようのない現実に対するやりきれない思いだった。
「…そ、そうだ!荷物を確認しなきゃ!」
慌ててデイパックを開ける。
あの主催者とみられるメガネの男が言っていた『運のいい子には3個、運の悪い子には1個、どちらでもない子には2個』入っていると言う支給品を、確認するために。
伊作の頭に『運』という単語が嫌な感じに響いた。
感じていた不安は、的中した。

「…こんなのでどうやって殺しあえって言うんだよ……」
出てきたのはカエル。
かなり大きいそのカエルは伊作と視線が合うとゲコゲコと鳴きながらどこかへ飛び跳ねて行ってしまった。
「……どうしよう…。」
持ち物は初期支給品の入ったデイパックのみ。
善法寺伊作は、言うなればスタートから出遅れていたのだ。
だがこの程度の不運なら学園で過ごしていた六年間でいやというほど体験している。

伊作は急いで地図を見ると今自分がいる位置がD-7の公園である事を確認した。
…そうだ、みんないるんだ。皆がこんな殺し合いに乗るなんて思えない。
だがもし襲われた場合は??
戦う事が大好きな留三郎や文次郎なら迎え撃つ可能性は高い。
もし万一彼らが怪我でもしたら……
それ以前に自分のように戦う意思のないものが怪我をしたら……


その時は、私が彼らを治療するんだ。
だって自分は……保健委員長だから。



伊作はまず、C-6の病院に行こうと思っていた。
そこに行けば何らかの医療道具があるかもしれないし、もしかしたら怪我を負った人が逃げ込んで来るかもしれない。
そう言う人を保護して治療してやろう。
伊作はそう考えていた――
公園のトイレに人の気配を感じるまでは。
(何故トイレに……もしかして怪我をして…!?)
伊作は病院に向かうより前に公園のトイレに向かっていた。

「誰かいますか?」
使われている雰囲気が一切しないトイレは、何か不気味な印象を放っていた。
確かに人の気配はしたんだが…
明かりもない公衆トイレというものは朝日が差し込んでいるとは言え不気味なものだ。
人の気配がしていなければ、一刻も早く出てしまいたいのだが。
「気のせいだったのかな?」
3つある個室も全部調べた。
だが、そこには誰もいない。
念のため女子トイレも調べるか……?
少々気が引けるが、やむを得ないか。
そう思い男子トイレを出ようとした瞬間だった。

「うおおおーっ!!」
ばん、と清掃用具入れの扉が大きな音を立てて開き、そこからどうやって入っていたのか少々疑問に思う巨体が伊作に襲いかかってきた。
手には黒い棒のようなものを持っている。
よけきれない、と判断した伊作はとっさに左腕でそれを受け止めた。
強烈な打撃に伊作の身体が悲鳴を上げる。
ぼきり、と言う嫌な音と共に左腕が熱を帯び出した。
「ちぇっ、一発で仕留めるつもりだったのに……」
目の前の太った男が、口元を醜くゆがめた。
「きっ…君はこの殺し合いに乗ったと言うのか!?」
「そうだよ。」
さらっと、まるで今日の天気について話すかのようにさらっと太った男は言った。
その眼には反吐が出そうになるような黒く濁った狂気がぎらぎらと光っていた。
「何を驚いているんだい?そりゃ僕もこういう風に見ず知らずの人間を殺すのは初めてだけどさあ…」
そう言いながら太った男は手に持った鉄パイプをもう一度振りかぶった。
伊作はとっさに避けたが、それにより出口からは遠くなってしまった。
袋小路に追い詰められてしまった。
「ま、運がなかったと思ってよ。」
そう言うと、太った男は鉄パイプを思いっきり振りかぶった。
その時だった。


「待ちな!!」


入口の方に、人が立っていた。
パッと見ただけでは詳細までは分からないが、なかなかの長身。
鼻筋の通った端正な顔立ち。
そして――その眼をひきつけるのは特徴的な髪形――大きなリーゼントヘアー。
伊作は見慣れぬその髪型に目を奪われてしまっていた。

「…なんだい?君は?」
「テメーはこの殺し合いに乗ってるのか?」
「…質問を質問で返されるのは好きじゃないんだけどなあ……」
太った男は伊作の方をちらっと見たが、伊作がすぐには動けないのを見届けるとリーゼントの男に向き直った。
「答えろ、テメーはこの殺し合いに乗ってるのか?」
「ああ、乗ってるよ。今からこの人を殺すんだ。」
さらりと言うその言葉には、彼が今まで何人もの命を奪って来た事を感じさせる何かが伝わってきた。
その様に、伊作の背に悪寒が走る。
「……テメーは許せねえ、今からボコボコにしてやるから覚悟しろ。」
「ふん、どうやってやるっていうんだい?」
小馬鹿にするように、太った男は余裕を持ってリーゼントの男に話す。
「大体さぁ……君みたいな人間は気にくわないんだよね。偉そうにしてるし、そもそもそんな髪形、ダサいんだよ。」
「……あ?」
伊作はただならぬ気配を察知した。
それは殺気だとか、そう言ったものなんかじゃない。
純粋な怒り。
あまりにも純粋すぎる感情だった。
その純粋な感情に、戦闘経験豊富なはずの伊作は戦慄を覚えた

「…テメー、今なんつった。」
「ん?」
「誰の髪形がサザエさんみてーだとォ!?」
「そんな事言ってな…!」
「確かに聞いたぞコラァー!!」

伊作の目の前に、もう一人の影が現れた。
筋骨隆々な肉体、体のあちこちにあしらわれたハートマーク、人間離れした、と言うか人間には見えないその身体。

「ドララララララララララララーッ!!」

そのもう一人の影が、太った男を軽々と殴り飛ばした。




「おい、あんた無事か!?」
「あ、あばばばばばば……」
伊作は目の前で起きた事に混乱していた。
どうやら助かったと一瞬思ったが、そう思ったためか左腕の痛みが急激に増していく。
「…どうやら折れちまってるようだな。」
「うう……」
保健委員長なのに不甲斐ない、と思った次の瞬間だった。
先程太った男を殴り飛ばした影が現れたのは。
「もう大丈夫だぜ、あんた。」
「なっ……」

伊作は直感した。
この男は、自分も殺すつもりだと。
もう伊作に逃れる術も道具もない。
影の拳が伊作に迫る瞬間、伊作の意識はブラックアウトした。



「―――?!」
「どうしたんだよ?」

おかしい
何故自分は生きている?
と言うかいったい何がどうなっているんだ?

「おっかしーなー……一発で治るはずなのに……」
「え?」
伊作は、左腕の痛みが引いているのに気がついた。
それにもうあの影は出ていない。
「あの…君は一体?」
「話は後だ、いつまでもここにいたら危険だ。とりあえず病院へ向かうぞ、立てるか?」
「あ、うん!」
逃げるように二人はトイレから飛び出し、病院へと歩き出した。

「そうそう、自己紹介が遅れちまったな。俺は東方仗助だ。」
「あ、私は善法寺伊作……ありがとう、治してくれて。」

この二人は、よく似ている。
二人とも、心の奥に誰にも負けない優しさを、持っていた。

その優しさはこの殺し合いの場でどう動くか
それは誰にもわからない。



【D-7公園/1日目朝】
【善法寺伊作@忍たま乱太郎】
[状態]:左腕にヒビ(軽度)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:保健委員長として、怪我人を治療する
   2:仗助とともに病院へ行く

【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み、武器だと判断できたものはありませんでした)
[思考]1:伊作とともに病院へ行く
   2:おっかしーなー?

【細田友晴@学校であった怖い話】
[状態]:ダメージ(大)、全身打撲、気絶中
[装備]:鉄パイプ@現実
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:気絶中
   2:殺し合いに乗る

【備考】
伊作の初期支給品はカエル@ブシドーブレード弐でした。
スタンドの力が制限されています。



009:おっさん2人 投下順 011:Where is daughter?
009:おっさん2人 時系列順 011:Where is daughter?
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GAME START 東方仗助 038:トラブル・イン・ホスピタル
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