どうあがいても深淵の闇

40:どうあがいても深淵の闇

森を抜け、廃工場を訪れた谷口誠、久村ユイ、広橋晴那の三人。
草木や蔦に覆われた朽ちた建物が三人を出迎える。

「…入るぞ」

誠が先頭になって、内部へと足を踏み入れた。
それに、晴那を伴ったユイが後から続く。
それぞれ、武器を持ち警戒しながら先に進んでいた。
廃工場の中は、妙に静かで、そして冷気が漂っている。荒廃した風景と相まって、
さながら死後の世界を思わせる。

「……!? うわっ!」
「…! 何、何? ……っ!」
「……!!」

そして、三人は喉を食い破られ殺された狼獣人の青年の死体を発見した。
服装から察するに中高生のようだ。

「…酷ぇ…喉を食い破られてやがる」
「この人…犬神彰浩…だっけ?」

ユイが名簿で見た顔写真と名前の記憶を頼りに言う。

「あ、ああ…そうだな……さっきの放送じゃ呼ばれて無かった」
「…って事は」

つまり、この犬神彰浩は第一回放送後――午前8時以降に殺害された、
と言う事になる。要するにまだ殺されて間も無いと言う事。
誠が死体に触れると、まだ微かに体温が残っており、血も固まりきっていない。

「……ねぇ、谷口さん、ユイおねーちゃん」
「…ん」
「どしたの、晴那ちゃん」
「その人…死んで間も無いん、だよね?」
「……ああ、そう見える」
「そ、それじゃあ、さ……もしかしたら……その人殺した犯人が…、
まだ近くにいたりするんじゃ……」


ダァン!


一発の爆ぜたような音が廃工場の中に反響した。
誠の前で、ユイと晴那が何かに吹き飛ばされたかのように倒れた。
身体中に小さな穴が空き、血が噴き出していた。

「!? おい――――」

二人に駆け寄った誠だったが、

ダァン! ダァン!

「うぐぁ――――!?」

全身に灼熱を感じ、後ろに吹き飛ばされる。
床に倒れた誠は全身が焼かれるような苦痛を感じた。
また、右目がとても痛い。手で押さえると、生温かい液で手の平が濡れたのを感じた。
余りの苦痛に呼吸もままならない。

「ハァ、ハァ、ハァ、ヒッ、ウ、ハァ、ハァ……!」

痛い。いたい。イタイ。
ただ全身を支配する激痛に、誠は耐えるしか無かった。
ユイと晴那の呻き声が聞こえる。そして、カツ、カツ、と、何かが近付いてくる足音も。
チャキ、チャキ、と銃か何かに装填している音も聞こえた。
片目が潰れもう片方の目も身体中の激痛の余り固く閉じていた誠の耳は鋭敏になっていた。
足音が、近くで止まった。

「い、嫌、嫌、嫌あああああぁぁぁあああ」

ダァン!!

ユイの声はその銃声以降聞こえなくなった。

「おい…おい! 誰だよテメェ! オイ!! 止めろよ!! 止めろ!!」

視界が利かない状態で、襲撃者に対し誠が叫ぶ。
だが、襲撃者はそれに耳を貸す事などしない。
頭部に散弾を受け見るも無残に頭部が弾け飛んだユイの傍で、
誠と同じように全身に散弾を受けて苦しむ幼女に、半自動散弾銃ブローニングオート5の銃口を向ける。

「やめろっつってんのが聞こえねぇのかよコラァ!! やめろおぉぉおおお!!!」
「あ、あぁあ、やだ、やだああああ!! お父さん、お母さ」

ダァン!! ダァン!!

二発の銃声の後、晴那の泣き声は止んだ。
それが何を意味するか、誠は嫌でも分かっていた。分かってしまい、絶望した。

「……う、あああぁあぁあああ!!!」
「……」

絶叫をあげる誠の元に、襲撃者はゆっくりと歩み寄る。
そして、誠は激痛に耐えながら残っていた左目を開け、その光景を見た。
人狼――いや、後ろ脚で立って歩いている四足歩行の、恐らく妖狼か魔狼の類。
青と白の毛皮は返り血のようなもので汚れている。
その手――否、前脚には、半自動散弾銃が持たれていた。
参加者名簿で見た記憶がある。男性参加者の一番目――確か――名前は――。

「お前…アインリア、か」
「…ん、そう言うお前さんは谷口誠だろう? それで、久村ユイと、広橋晴那……。
名簿の写真より、やっぱり実物の方が可愛いかったな」
「てめ、ぇ……がはっ! ゼェ、ゼェ……」

起き上がって殴ってやりたかったが身体中が痛くそれは出来なかった。
いや、もはや今は最初の時に感じた熱より、寒気さえ感じる。
自分の感覚が次第に消失していく、そんな感じだ。

「凄いな。半自動散弾銃と言うものは……俺は以前、これで撃たれた事があってな。
俺の毛皮を売り物にしようとした馬鹿な猟師がいてなぁ。まあ返り討ちにしてやったが……。
鉛の細かい弾丸が身体の中に入り込んで、取るのに相当苦しんだ。
……俺に娘を犯されて仇討ちに来た父親も似たような物を使いやがった…全く…。
だけど、こっちが使う分には、大いに頼りになる…二足歩行は少し辛い、けど」
「……獣のくせに、よく喋るなぁ」
「…喋り過ぎたか…さっさと終わりにしよう」
「……っ」

アインリアがオート5の銃口を床に倒れる誠に向けた。

「…何か遺言があるなら聞くけど?」
「……くたばれ、クソ狼」
「……」


(……ゲレート、もう一度お前に、会いたかった…ごめんな…お前は、生き延びてくれ)


ダァン!! ダァン!!


「……広橋晴那は、犯してから殺した方が良かったかな。
でも…幼女はあんまり…俺、おっぱい大きいコが好みだし。
……さてと、こいつらの装備回収して……南にでも、行こうかねぇ…そういや、
俺、まだ阿部友美としかヤってないなー………可愛い子残ってないかな」



【久村ユイ  死亡】
【広橋晴那  死亡】
【谷口誠  死亡】
【残り14人】



【昼/C-3廃工場】
【アインリア】
[状態]左肩に切り傷、返り血(大)
[服装]無し(服を着る習慣無し)
[装備]ブローニングオート5(5/5)
[持物]基本支給品一式、H&KUSP45(8/12)、H&KUSP45予備マガジン(3)、
シグザウアーP226(15/15)、シグザウアーP226予備マガジン(3)、
12ゲージショットシェル(10)、SVT-40(10/10)、SVT-40予備マガジン(5)、ダマスカスソード
[思考]
1:殺し合いに乗る。優勝を目指す。可愛い女の子は犯してから殺す。
2:今殺した三人の武装を回収する。その後南の市街地へ向かう。
[備考]
※幼女は守備範囲には入っていないようです。


孤竜模索 時系列順 単なるエロ竜では終わらない
孤竜模索 投下順 単なるエロ竜では終わらない

運命だろうが壊してしまえ 谷口誠 死亡
運命だろうが壊してしまえ 久村ユイ 死亡
運命だろうが壊してしまえ 広橋晴那 死亡
灯り無き眼光 アインリア I'll for you

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最終更新:2011年02月27日 16:09
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