34:大往生ってこんなに凄絶だったっけ
ホテル裏の近くの民家にて、倉持房は放送を聞く。
22人と、思いの外死者が出ている事には驚いた。
自分が最初に襲撃したシェパード種犬獣人の青年赤川隆顕も死亡したらしい。
禁止エリアを地図に記録し、先刻殺害した猫耳少女から奪った、
自動拳銃Cz75を装備し、房は荷物を纏め始める。
支給品の食糧であるコンビニおにぎりを一つ頬張り、房は民家を後にした。
同時刻、ホテル一階ラウンジにて放送を聞いた外見は10代の少女、
中身は95歳のいわゆるロリババァの女性、藤島正子。
「結構死んでるのね…」
たった4時間の内に全参加者の半数以上が絶命している事に驚く。
呼ばれた名前の中には自分が殺した二人も含まれていた。
「…さてと…そろそろ行こうかしら」
調達品の車の鍵を持ち、自分のデイパックを肩から引っ提げ、
正子はホテル裏手の従業員用駐車場へと向かった。
ガチャ…
裏口の扉を開けると、肌寒い風が全裸の正子の身体を包む。
「寒いなぁ…早く車、見付けないと」
数台停めてある自動車を手当たり次第に調べていく。
そして、一台の軽自動車の鍵穴と、自分が持つ鍵が合致した。
「よし! これで――――」
ダァン! ダァン!
「!!」
二発の銃声が響き、正子はS&WM459を持ち身構える。
襲撃者がどこにいるのか忙しく視線を動かしながら探す。
ダァン!
「ぐあっ!」
だが見付けるよりも前に、正子の腹に衝撃が走った。
小さな穴が空き鮮血が飛び散る。
腹を押さえその場にへたり込む正子。駐車場裏の茂みから、露出の多い和メイドの
格好をした黒髪の若い女性が出てくる。その手には銃口から煙を噴く拳銃が握られていた。
ダァン! ダァン! ダァン!
一気に畳み掛けるように正子に向けて和メイド――倉持房は銃撃を続けた。
「がはっ…あっ……」
脳移植手術の際に肉体強化手術も一緒に受けていた正子は、
胸元や腹に鉛玉を何発も食らっているがまだ死ぬ事は無い。
だが不死身では無い。これ以上銃撃されれば死ぬ事は目に見えていた。
こんな所で死にたくは無い、折角新たな人生を手に入れたと言うのに。
「こんなっ、所、でっ……え」
血塗れになりながら鬼のような形相で、正子はM459の銃口を房に向け、
引き金を引いた。
ダァン!
だが、空しく風を切るだけであった。
直後に房の放った弾丸が正子の心臓、喉、右目を撃ち抜き、
正子は95歳で壮絶に大往生した。
「……車、ですか……」
運転席のドアに鍵が刺さった軽自動車を見て、房は思案した。
【藤島正子 死亡】
【残り19人】
【午前/B-6ホテル裏従業員用駐車場】
【倉持房】
[状態]良好
[服装]エロい和メイド服(侍魂のい○はの格好に酷似)
[装備]Cz75(9/15)
[持物]基本支給品一式(食糧少量消費)、Cz75予備マガジン(2)、
LARグリズリー(7/7)、LARグリズリー予備マガジン(3)、トンファーバトン
[思考]
1:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
2:車……。
[備考]
※特に無し。
最終更新:2011年02月27日 03:11